JP4245519B2 - 吊上げ器具 - Google Patents
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Description
また、吊上げ器具を用いる別の内視鏡下の手技として、経口摂食が困難な患者に対して、腹部体表に設けるポートから直接胃内に栄養剤を供給するためのチューブ(通路)を造設する、内視鏡下胃瘻造設術がある。この手技には、幾つかの手段があるが、その中の一つとして、前記したようなTバー状の吊上げ器具を、前記手技と同様に穿刺針を通して胃内部に挿入し、外部よりTバーのワイヤーを引っ張り、胃壁を挙上し、胃壁と腹壁を接触させ、胃瘻チューブを胃内に導入留置するといった手技がある。
この作用により、本器具を体腔内に挿入するさいには、閉じた状態、または必要であれば、弾性ワイヤーを押しつぶし、極力細径にした状態で、切開孔や穿刺針の内腔などを通して体腔内部に挿入し、挿入したら、そのまま前記の通り、外筒と軸体を相対的に可動させれば、弾性ワイヤーは形状変化して吊上げ可能な状態とすることができる。一方、手技が終了し、本器具を体腔内から取り出すさいには、前記、外筒と軸体の可動を規制している係止手段を解除し、外筒と軸体を逆方向に相対的に可動させ、即ち、外筒を保持して軸体を押し出すことにより、元の弾性ワイヤーが閉じた状態に戻ることで、体腔内に挿入された部位が細径化(直線化)されることにより、そのまま体腔内部から器具を取り出すことができ、従来のように取り出しに他の器具を必要とすることがなく、また、面倒な挿入、取り出し作業を必要としない器具となっている。
加えて、軸体の先端に刃先を設けると、該刃先により直接穿刺して、吊上げ部への挿入が可能となることで、吊上げ器具の挿入のための穿刺針が、不要となり、一つの器具で、針穿刺、器具挿入、吊上げ、取り出しの吊上げの手技に関わる全ての作業に他の器具を必要としない器具とすることができる。
図1は、本発明の実施形態の第一の実施例を示す吊上げ器具の全体構成図で、拡開前の自然の状態(閉じた状態)を示している。
本実施例の吊上げ器具は、管状の外筒1と、該外筒1の内腔に、先端を外筒1より突出させて設けた軸体2と、長軸な液滴状に湾曲形成し、両端部を前記外筒1の先端部のワイヤー固定部11に接続固定し、湾曲先端部を前記軸体2の突出部のワイヤー保持部(貫通孔)22に貫通させて保持した弾性ワイヤー3と、前記外筒1と前記軸体2との可動を規制する係止手段(41、42、及び44)とにより基本構成している。
外筒1は、管状(パイプ状)の金属あるいは樹脂より形成され、先端部には弾性ワイヤー3の両端部を溶接あるいは接着により固接しており、側面には、前記外筒1と軸体2との可動、および可動を規制する係止手段となる摺動ミゾ41、係止ミゾ42(2箇所)を設けて構成している。
軸体2は、金属あるいは樹脂の棒状体よりなり、基側は操作部となる軸体基21を備えて構成し、先端部分に貫通孔(図示しない)を設けワイヤー保持部22として、弾性ワイヤー3の湾曲端部を貫通させ保持しており、軸体基21には前記した摺動ミゾ41および係止ミゾ42に摺動、係止される、外筒1と軸体2との可動および可動を規制する係止手段となる係止突起44を設けて構成している。
弾性ワイヤー3は、超弾性合金を中間部で2つ折りに湾曲形成し、両端部を前記ワイヤー固定部11に固接し、一方、湾曲端部は前記軸体2のワイヤー保持部(貫通孔)22に保持させ構成している。
この構成により、外筒1を固定して、軸体基21を引っ張ると、外筒1の内腔を軸体2が前記摺動ミゾ41に沿って相対的に後退摺動し、弾性ワイヤー3が弾性に抗して幅方向に拡開され、更に引っ張ると、弾性ワイヤー3の湾曲端部が軸体2の貫通孔に貫通した構成を採るため、該弾性ワイヤー3は先端側より一部が反転し、軸体に軸対称な2つの液滴型の翼状をなす臓器等の吊上げ部が形成される。また、この状態から反対に軸体基部21を押し込むと、弾性ワイヤー3の弾性により元の自然な状態(閉じた状態)に戻る構成となっている。
本例の係止手段は、前記した通り、外筒1に設ける摺動ミゾ41、係止ミゾ42、及び軸体基21に設ける係止突起44により基本構成され、使用前の通常時は、前記係止突起44が、外筒1の先端側の係止ミゾ42に保持されており、この状態から弾性ワイヤー3を拡開、反転するには、外筒1を把持固定し、軸体2を僅かに回動して、係止突起44を先端側の係止ミゾ42より外し、その状態で、軸体2を引っ張り、係止突起44を摺動ミゾ41に沿って摺動し、続いて僅かに回動させて基端側の係止ミゾ42に係合させると、外筒1と軸体2との可動が規制され、前記弾性ワイヤー3を拡開、反転した状態に維持しておくことができる。尚、摺動ミゾ41と係止ミゾ42の設置位置を、係止突起44が係止ミゾ42の位置にあるときに、弾性ワイヤー3が自然な平面状態をとり、摺動ミゾ41を可動中は、弾性ワイヤー3が僅かに捩れた係止ミゾ42側に付勢された状態となるように設定すると、使用中に弾性ワイヤー3の復元力により係止が外れる心配がない。また、係止をより確実にするため、係止ミゾ42の入り口は径を小さめに形成し、係止突起44を挿入するさいは、該入り口を僅かに押し広げて入れるような構成としている。更に、摺動ミゾ41の後端部には、製造時に係止突起44が、外筒1に挿着可能なように摺動ミゾ41に連通する切り欠け部43を設けている。
尚、外筒1と軸体2との可動を規制する係止手段は本手段に特定するものではなく、いかなる公知の手段も適用とすることができる。
図3は、前記形態の吊上げ部形成の中途の段階を示す構成図で、図4は、吊上げ部が形成された状態の構成図を示している。
前述している通り外筒1を把持固定し、軸体2を引っ張ると、弾性ワイヤー3が弾性に抗して外方幅方向に湾曲し、拡開された幅広の液滴形状へと変形し(図3)、更に、軸体2を引っ張り、軸体2の軸方向への突出長が、弾性ワイヤー3の軸方向への長さより短くなると、弾性ワイヤー3の湾曲端部が軸体2の貫通孔に貫通した構成を採るため、該弾性ワイヤー3は、ハート形状を経て、遂には先端側が反転し、軸体に軸対称な2つの液滴型の翼状をなす図4に示す形状となる。この状態で係合突起44を基端側の係合ミゾ42に嵌合し、可動を規制し、弾性ワイヤー3の図4の形状を維持すると、該翼状の肩部が臓器等の体内組織に当接する吊上げ部31として形成される。
本形態の吊上げ器具を小切開創、あるいは外套管の内腔を通じて体腔内に挿入するには、自然状態で長軸な液滴状を形成している弾性ワイヤー3を前記体腔挿入孔より挿入可能な径にする必要がある。そのため、前記軸体基21に設ける係止突起44を先端側の係止ミゾ42から僅かに回動して摺動ミゾ41上に外した状態で、弾性ワイヤー3を押し潰すと、該弾性ワイヤー3の弾性により幅方向への膨らみが軸方向の長さに変換されるため弾性ワイヤー3が細径化され、前記体腔挿入孔より挿入可能な径にすることができる。尚、図では弾性ワイヤー全体が細径化した形状に表されているが、使用上は、体腔挿入通路に接する部分のみが細径化していれば足り、特定の形状をなしているものではない。
以上に説明した、これら第一の実施例の構成によれば、従来の吊上げ器具と比較して、前記した作用効果の通り、体腔内へのアプローチ、組織の吊上げ、体腔内からの取り出しの各ステップで格段に操作性を向上することができる。
図6は、本発明の実施形態の第二の実施例を示す全体構成図を示し、図7は、その先端側部分を示す拡大図(Aが正面図、Bが側面図)で、拡開まえの自然の状態(閉じた状態)を示している。
本形態の吊上げ器具は、前記構成の器具の軸体2の先端部に穿刺用の刃先24を設け、弾性ワイヤー3を、前記軸体2への取り付け角度を90度違えて2対として構成した器具を示した。
尚、拡開時や体腔内への挿入時の状態は前述の実施例とほぼ同様の形態となるため説明を省略する。
図8は、第一の実施例の器具を使用した、器具の使用方法を説明するための模式図で、早期胃がんなどに対する腹腔鏡下胃局所切除術において、病変部を持ち上げ、その部位を切除する病変部挙上法に本器具を使用するさいの胃壁吊上げの方法を示すものである。(尚、本説明は、本器具の使用方法のみを説明するもので、実際の臨床での手術法を説明するものではなく、吊上げに必要な工程以外に関しては記載していない。)
1.先ず、経口的に挿入された内視鏡、及び腹腔鏡観察下に、内針52を有する外套管51で、体外から腹壁6及び胃壁7を貫通させ患部近傍を穿刺し(図A)、内針を抜去し外套管を胃内部に留置する。
2.次に、本吊上げ器具を、図5で示したように弾性ワイヤー3を押し潰し細径にした状態で、外套管51の内腔を通して、該弾性ワイヤー3の先端の出の長さが適当となるまで胃内部に挿入する(図B)。
3.挿入ができたら、外套管51を抜去する(図C)。外套管51が抜去されると、弾性ワイヤー3は、弾性により胃内部で元の形状へと戻る。
4.続いて、外筒1を保持し、軸体基21を僅かに回動して先端側の係止ミゾ42から係止突起44を外し、摺動ミゾ41に沿って軸体2を後退させると、弾性ワイヤー3が外方に拡開、更に、反転して翼状の吊上げ部31が形成される。ここで、再び軸体基21を僅かに回動して、係止突起44を基側の係止ミゾ42に挿入して可動を規制した状態で、必要なだけ器具を持ち上げると、前記吊上げ部31が胃壁と当接されていることで、該当接された周辺の胃壁が必要なだけ吊上げられる。(図D)
5.この状態で、吊上げた胃壁の一部を自動縫合器により切除する。
6.切除終了後、本器具を胃内部より取り出すさいは、外筒1を保持して軸体基21を僅かに回動し、基側の係止ミゾ42から係止突起を外し、軸体2を押し戻すことで、弾性ワイヤー3が弾性により元の閉じた自然状態へと戻り、そのまま体外より引き抜くことにより、抜去することができる。
11. ワイヤー固定部(外筒)
2. 軸体
21. 軸体基
22. ワイヤー保持部
24. 刃先
3. 弾性ワイヤー
31. 吊上げ部(臓器当接部)
41. 摺動ミゾ
42. 係止ミゾ
43. 切り欠き部
44. 係止突起
51. 外套管
52. 内針
6. 腹壁
7. 胃壁
9. Tバー
Claims (4)
- 管状の外筒と、
該外筒より突出して設け、該外筒の内腔を軸方向に可動する棒状の軸体と、
長軸な液滴状に湾曲形成し、両端部を前記外筒に固定し、湾曲端部を前記軸体の先端部に設けた貫通孔に貫通させ保持した弾性ワイヤーと、
前記外筒と前記軸体との可動を規制する係止手段とにより構成し、
前記筒体と前記軸体を相対的に可動させると、前記弾性ワイヤーが長軸な液滴形状から、外方に拡開、更に先端側より一部が反転して体内組織に係合保持する吊上げ部が形成されることを特徴とした吊上げ器具。 - 前記弾性ワイヤーは、二対を備え、該二対は、軸体への取り付け角度を異として形成した請求項1の吊上げ器具。
- 前記弾性ワイヤーは、超弾性合金、または形状記憶合金よりなる請求項1乃至2の吊上げ器具。
- 前記軸体の先端は、刃先を備えた請求項1乃至3のいずれかの吊上げ器具。
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