以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。はじめに、本発明の実施形態である光ディスク装置で取り扱い対象としている光ディスクについて簡単に説明する。本実施形態の光ディスク装置は、Blu−rayディスクを取り扱い対象としている。Blu−rayディスクは、周知のとおり、HMW変調方式およびMSK変調方式を併用してアドレス情報をウォブル信号に埋め込んでいる。
図1は、Blu−rayディスクのアドレスフォーマットを概略的に説明する図である。図1において、各マスはウォブル信号の1キャリア周期区間を表しており、白いマスは変調が施されていないモノトーンウォブルを、グレーのマスはMSK変調マークウォブルを、斜線が引かれたマスはHMW変調されたウォブルをそれぞれ示している。
Blu−rayディスクにおいて、1ビットのデジタル情報は、56キャリア周期区間のウォブルで表現される。この56キャリア周期区間はADIPユニットと呼ばれる。このADIPユニットが83個集まって、ADIPワードを構成し、1ADIPワードで一つのアドレス情報を表現している。83個のADIPユニットのうち8ADIPユニットは、HMW変調が施されていない無変調ADIPユニットである。無変調ADIPユニットは、連続して設けられており、ADIPワードの開始位置を示すワードシンク信号の検出等に用いられる。
ADIPユニットは、前半の18キャリア周期区間と、後半の38キャリア周期区間に大別される。以下では、前半の18キャリア周期区間を「MSK変調区間」、後半の38キャリア周期区間を「HMW変調区間」と呼ぶ。MSK変調区間にはMSK変調方式により、HMW変調区間にはHMW変調方式により、当該ADIPユニットが示す1ビットのデジタルデータ値が埋め込まれている。
MSK変調方式は、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍の周波数として周波数変調する。したがって、基準キャリア信号がcos(ωt)とすると、「0」は{cos(ωt)}または{−cos(ωt)}となり、「1」は{cos(1.5ωt)}または{−cos(1.5ωt)}となる。{cos(1.5ωt)}、{−cos(ωt)}、{−cos(1.5ωt)}の3周期区間を連続させたものはMSK変調マークと呼ばれる。Blu−rayディスクでは、第一のMSK変調マークをADIPユニットの先頭に挿入し、ビットシンク検出に利用している。また、第二のMSK変調マークを挿入する位置によって、当該ADIPユニットが示す1ビットのデジタルデータ値を表現している。具体的には、第二のMSK変調マークが、ADIPユニット先頭から13〜15キャリア周期区間に挿入された場合、当該ADIPユニットのデジタルデータ値は「1」となる。一方、第二のMSK変調マークが、ADIPユニット先頭から15〜17キャリア周期区間に挿入された場合、当該ADIPユニットのデジタルデータ値は「0」となる。
HMW変調方式は、正弦波の基準キャリア信号に、偶数次(例えば二次)の高調波信号を加算、または、減算する変調方式である。したがって、キャリア信号をcos(ωt)とした場合、「0」は{cos(ωt)−A・sin(2ωt)}で、「1」は{cos(ωt)+A・sin(2ωt)}で表現される。Blu−rayディスクでは、当該ADIPユニットが示すデジタルデータ値に応じてHMW変調されたウォブルを37キャリア周期区間に亘って連続させ、最後の一つにモノトーンウォブルを存在させている。例えば、あるADIPユニットの示すデジタルデータ値が「0」の場合、当該ADIPユニットのHMW変調区間には、37個のHMW[0]ウォブルが連続し、最後に一つのモノトーンウォブルが存在することになる。同一デジタルデータ値を示すHMW変調ウォブルを37キャリア周期区間に亘って連続させることにより、ウォブルシフト等に対する耐性を高めている。
次に、かかるBlu−rayディスクを取り扱い対象とした、本発明の実施形態である光ディスク装置について説明する。図2は、光ディスク装置の構成を示すブロック図である。光ディスク装置のスピンドルモータ12は、光ディスク10が所定の回転数で回転するように光ディスク10を回転駆動する。スピンドルモータ12は、スピンドルサーボ回路26によりサーボ制御される。
ピックアップ14は、レーザダイオードやフォトディテクタを有して光ディスク10に対向配置され、光ディスク10に対してレーザ光を照射してデータを記録するとともに、光ディスク10からの反射光を電気信号に変換して再生信号を出力する。ピックアップ14は、スレッドモータ36(送りモータ)、フォーカス/トラッキングサーボ回路22により光ディスク10に照射するレーザ光の位置が制御される。すなわち、スレッドモータ36は、送りサーボ回路の制御によりピックアップ14を構成するキャリッジを光ディスク10の半径方向に駆動する。また、フォーカス/トラッキングサーボ回路22は、ピックアップ14のフォーカス及びトラッキングアクチュエータを駆動してフォーカス/トラッキング制御を行う。ピックアップ14からの再生信号は、ウォブル信号処理部16及びRFアンプ18に供給される。
ウォブル信号処理部16は、再生信号からウォブル信号を抽出し、さらに、当該ウォブル信号に埋め込まれたデジタル情報を復調する。復調されたデジタル情報は、CPU32に供給される。このウォブル信号処理部16の具体的な構成については後に詳説する。
RFアンプ18は、再生信号を増幅してエンコード/デコード回路20やフォーカス/トラッキングサーボ回路22、送りサーボ回路24、スピンドルサーボ回路26の各種サーボ回路に供給する。
エンコード/デコード回路20は、イコライザや基準クロックを生成するPLL回路、二値化器を備え、再生信号をデコードしてインターフェースバッファコントローラ34に供給する。RAM37は、エンコード/デコード回路20の作業用記憶領域として用いられる。なお、データ記録時には、エンコード/デコード回路20は、記録すべきデータをエンコードして記録補償回路30に供給し、記録補償回路30はエンコードデータに基づいて所定の記録ストラテジでレーザドライバ28を駆動する。レーザドライバ28は駆動電流をピックアップ14内のレーザダイオードに供給して記録パワーのレーザ光を射出させる。
インターフェースバッファコントローラ34は、ホストコンピュータとのデータの送受やデータバッファの制御を行う。RAM38は、インターフェースバッファコントローラ34の作業用記憶領域として用いられる。
CPU32は、ホストコンピュータからのコマンドに基づき装置全体の制御を行う。ウォブル信号処理部16で抽出されデコードされたウォブル信号は上述したようにCPU32に供給される。CPU32は、ウォブル信号に基づいて光ディスク10のサイズや最適記録パワー、最適再生パワー等を設定して各部を制御する。なお、ウォブル信号の基本周波数fwobは既知であるため、これを回転数制御に用いることもできる。すなわち、ウォブル信号処理部16にてウォブル信号の周波数を検出し、この周波数に基づいてスピンドルサーボ回路26がスピンドルモータ12を制御してもよい。
図3は、ウォブル信号処理部16の構成を示すブロック図である。再生されたウォブル信号は、二値化器40、MSK検出部44、HMW検出部52に供給される。二値化器40は、ウォブル信号を二値化処理した後、PLL回路42へと出力する。PLL回路42は、入力された二値化ウォブル信号からエッジ成分を検出して、基準キャリア信号{cos(ωt)}に同期したウォブルクロックを生成する。生成されたウォブルクロックは、MSK検出部44、HMW検出部52を初めとする、ウォブル信号処理部の各部に供給され、リファレンスクロックとして利用される。
MSK検出部44は、再生されたウォブル信号をMSK復調し、ウォブル信号に含まれるMSK変調マークを検出する。このMSK復調には、従来の周知技術、例えば、特許文献1,2に記載されているMSK復調技術等が利用できるため、ここでは、その詳細な説明は省略する。これらの周知技術を利用したMSK検出部44からの出力信号は、MSK変調マーク部分にビットが立てられたMSK検出信号として、MSK用シンク検出部46およびデコーダ50へと出力される。
MSK用シンク検出部46は、MSK検出信号のビットパターンから、ADIPユニットの先頭を示すビットシンクを検出する。そして、検出されたビットシンクに基づき、ウォブルクロックに同期したシンク信号を生成する。生成されたシンク信号は、後述するHMW用シンク検出部62で検出されたシンク信号とともにセレクタ48に入力され、デコーダ50に供給される。
HMW検出部52は、再生されたウォブル信号をHMW復調し、各キャリア周期区間ごとに(ウォブル1波ごとに)、HMW[0]ウォブル、HMW[1]ウォブル、モノトーンウォブルのいずれであるかを判断する。なお、モノトーンウォブルとは変調されていないウォブルを指すもので、MSK変調されたウォブルも、このHMW検出部52ではモノトーンウォブルとして取り扱われる。また、HMW復調には、従来の周知技術、例えば、特許文献1〜3等に記載されている各種HMW復調技術等が利用できるため、ここでは、その詳細な説明は省略する。
検出結果は、HMW[0]用、HMW[1]用、モノトーン用に設けられた合計三つの出力端子から、それぞれ出力される。具体的には、HMW[1]の検出結果は、HMW[1]ウォブルの検出に応じてビットが立てられた検出信号としてHMW[1]用端子から出力される。また、HMW[0]の検出結果はHMW[0]ウォブルの検出に応じてビットが立てられた検出信号としてHMW[0]用端子から、モノトーンの検出結果はモノトーンウォブルの検出に応じてビットが立てられた検出信号としてモノトーン用端子から、それぞれ出力される。
ここで、従来、このHMW検出部52での検出信号は、直接、デコーダ50へと供給されていた。デコーダ50は、HMW検出部52から供給されたHMWの検出信号、および、MSK検出部44から供給されたMSK検出信号それぞれに基づいてアドレスデコーダを実行する。このデコードの際には、供給されたMSK検出信号およびHMW検出信号を、各ADIPユニットごとに区切り、各ADIPユニットの示すデジタルデータ値を判断する。
具体的には、MSK検出信号およびシンク検出信号に基づいて、ADIPユニットの先頭位置を特定するとともに、当該ADIPユニット内で二回目に出現するMSK変調マーク(第二のMSK変調マーク)の挿入位置を判断する。そして、第二のMSK変調マークの挿入位置が13〜15キャリア周期区間の場合は当該ADIPユニットの値を「1」と判断する。第二のMSK変調マークの挿入位置が15〜17キャリア周期区間の場合は当該ADIPユニットの値を「0」と判断する。
また、HMW検出信号およびシンク検出信号に基づいて、各ADIPユニット内におけるHMW変調ウォブルの値を判断する。例えば、一つのADIPユニット内の後半の38キャリア周期区間(HMW変調区間)のHMW復調結果が、HMW[1]であった場合には、当該ADIPユニットの示す値は「1」と判断する。逆に、一つのADIPユニット内のHMW変調区間のHMW復調結果が、HMW[0]であった場合には、当該ADIPユニットの示す値を「0」と判断する。
ここで、かかる判断を行うためには、その前提として、正確にHMW復調が行われていることが必要である。すなわち、モノトーンをHMW[1]と検出したり、HMW[1]をHMW[0]と検出したりする誤復調があった場合には、デコーダでのADIPユニットの値判断が正確にできない。例えば、あるADIPユニットのHMW変調区間に、HMW[1]、HMW[0]の両方が混在していた場合には、当該ADIPユニットの値が「1」なのか「0」なのかの判断ができず、結果として、アドレスデコードの信頼性を低下させる。
もちろん、ビットシンクが検出でき、ADIPユニットの先頭位置が明確である場合には、誤復調か否かの推定がある程度できる。例えば、ADIPユニットのモノトーン区間に出現するHMW[1]やHMW[0]は誤復調であると判断できる。しかし、ウォブルシフト等が原因でMSK復調ができず、ビットシンクが検出できなかった場合には、HMWの誤復調は大きな問題となる。この場合には、ADIPユニットの先頭位置が特定できず、既述のような誤復調か否かの判断は全くできないことになる。その結果、信頼性のあるアドレスデコードがより困難になる。
そこで、本実施形態では、デコーダ50に入力されるHMW復調結果の品質を向上し、より信頼性の高いアドレスデコードを可能とするために、HMW検出部52の後段に、後述のカウンタ54や比較器56、AND回路60等を設け、HMWの誤復調の影響を大幅に低減している。また、AND回路60の後段にHMW用シンク検出部も設け、HMW復調結果に基づくビットシンクの検出も行っている。以下、これらについて説明する。
HMW検出部52で検出されるHMW[0]ウォブル、モノトーンウォブル、HMW[1]ウォブルの検出結果は、仮検出信号として、その後段のカウンタ54a〜54cに供給される。カウンタ54a〜54cは、HMW検出部52の出力端子に応じて、三つ設けられている。HMW[1]仮検出信号,モノトーン仮検出信号,HMW[0]仮検出信号は、それぞれ、対応するカウンタ54a〜54cに供給される。各カウンタ54は、HMW[1]、モノトーン,HMW[0]それぞれの、過去複数キャリア周期区間における発生回数をカウントする。換言すれば、カウンタは、HMW[1]、HMW[0]、モノトーンそれぞれの一定キャリア周期区間での発生頻度を算出する頻度算出手段として機能する。
図4は、カウンタ54の具体的構成を示す図である。各カウンタ54は、シフトレジスタ68と、加算器70と、から構成される。シフトレジスタ68は、19段に設定されており、一キャリア周期ごとにシフトアップされる。ここで、シフトレジスタを19段とするのは、同一パターンのウォブルが連続する最少数だからである。すなわち、Blu−rayディスクでは、モノトーンウォブル(HMW検出部52によりモノトーンウォブルと判断されたMSK変調ウォブルも含む)の連続する19キャリア周期区間(MSK変調区間の18キャリア+HMW変調区間の末尾の1キャリア)が、同一パターンのウォブルが連続する最少数である。もちろん、Blu−rayディスク以外の光ディスクに適用する場合は、各光ディスクのアドレスフォーマットに応じてシフトレジスタの段数を適宜、変更してもよい。シフトレジスタ68の各段からの出力は、各シフトレジスタ68に対応して設けられた加算器70に出力され、加算される。各加算器70からは、過去19キャリア周期における各データ値の発生回数が出力される。
カウンタ54a〜54cからの出力は、比較器56およびAND回路60に入力される。この比較器56およびAND回路は、各パターンの発生頻度の比較に基づいてHMW検出信号を生成するHMW検出信号生成手段として機能する。比較器56a〜56cは、カウンタ54a〜54cで検出されたHMW[1]、モノトーン、HMW[0]の発生回数を比較する。第一比較器56aは、HMW[1]の発生回数(A信号)と、モノトーンの発生回数(B信号)と、を比較し、前者が後者に比して等しい又は大きい場合に「High」を出力する。第二比較器56bは、HMW[1]の発生回数(A信号)と、HMW[0]の発生回数(C信号)と、を比較し、前者が後者に比して等しい又は大きい場合に「High」を出力する。第三比較器56cは、HMW[0]の発生回数(C信号)と、モノトーンの発生回数(B信号)と、を比較し、前者が後者に比して等しい又は大きい場合に「High」を出力する。なお、この比較器56としては、ヒステリシスコンパレータを用いることが望ましい。
比較器56a〜56cからの出力は、第一AND回路60aおよび第二AND回路60bに入力され、各出力の論理積が取られる。第一AND回路60aでは、第一比較器56aの出力信号(D信号)と、第二比較器56bの出力信号(E信号)と、の論理積が算出される。第二AND回路60bでは第二比較器56bの出力信号(E信号)の反転信号と、第三比較器56cからの出力信号(F)と、の論理積が取られる。この第一AND回路60aからの出力信号GはHMW[1]の検出信号として、第二AND回路60bからの出力信号GはHMW[0]の検出信号として、デコーダ50に供給される。後に詳説するが、この第一、第二AND回路60a,60bから出力されるHMW検出信号は、HMW検出部における誤復調の影響が低減されている。そのため、デコーダは、HMW検出信号に基づいて、安定したアドレスデコードが可能となる。
AND回路60a,60bから出力されるHMW検出信号G,Hは、HMW用シンク検出部62にも供給される。HMW用シンク検出部62は、HMW検出信号に基づいて、シンク信号を生成する。具体的には、HMW検出信号G,Hの論理和をとり、得られた論理和信号KをPLL回路に供給することでADIPユニットに同期したシンククロック(L信号)を生成する。また、HMW検出信号G、Hの論理和、および、シンククロックに基づいて、HMW変調されていない8個のADIPユニットの区間、無変調区間の位置信号Mも生成する。生成されたシンククロックLおよび無変調区間の位置信号Mは、シンク信号としてセレクタ48へと供給される。このようにHMW検出信号に基づいてシンク信号を生成するHMW用シンク検出部を設けることで、MSK復調ができなかった場合でも、シンク信号を得ることができる。
セレクタ48では、MSK検出信号に基づいて生成されたシンク信号と、HMW検出信号に基づいて生成されたシンク信号のいずれか一方を優先的に出力し、当該一方の信号が得られなかった場合に、他方を出力する。セレクタ48から出力されたシンク信号は、デコーダ50へと供給され、データデコードに利用される。
次に、本実施形態におけるHMW復調の流れを図面を参照して説明する。図5は、HMW検出部から出力される仮検出信号と、カウンタ54から出力される信号A〜Cを示す図である。図5では、ADIPユニットの示す値が{1,0,1}となるウォブル信号が入力された場合を例示している。また、説明の簡便化のために、HMW検出部52では、誤復調は無かったものとしている。
HMW検出部52は、ウォブル信号を復調して、HMW[1],HMW[0],モノトーンそれぞれの仮検出信号を出力する。この仮検出信号は、図5の上段部に図示するような波形となる。
HMW検出部52から出力された各仮検出信号はカウンタ54に入力され、HMW[1],HMW[0],モノトーンそれぞれの、過去19キャリア周期での発生回数がカウントされる。各カウンタ54からの出力信号波形は、図5の下段に図示したとおりである。この図において、第一カウンタ54aからの出力信号A(HMW[1]の発生回数)は太実線で、第二カウンタ54cからの出力信号B(モノトーンの発生回数)は破線で、第三カウンタ54cからの出力信号C(HMW[0]の発生回数)は細実線で、図示されている。
図5から明らかなように、シフトレジスタの段数分だけディレイがあるものの、デジタルデータ値「1」のADIPユニット内ではA信号が、デジタルデータ値「0」のADIPユニット内ではC信号が、それぞれピークを迎えていることが分かる。また、A信号およびC信号のピークの間には、B信号のピークがあることが分かる。
続いて、これらの信号A〜Cを比較器56で比較した結果は、図6に図示するとおりとなる。図6の上段は、既述の信号A〜Cを、下段は比較器56およびAND回路60からの出力信号D〜Hを示す。
第一比較器56aでは、A信号(HMW[1]発生回数)とB信号(モノトーン発生回数)が比較され、信号Dが出力される。第二比較器56bでは、A信号(HMW[1]発生回数)とC信号(HMW[0]発生回数)が比較され、信号Eが出力される。第三比較器56cでは、C信号(HMW[0]発生回数)とB信号(モノトーン発生回数)が比較され、信号Fが出力される。
D信号およびE信号は、第一AND回路60aに供給され、その論理積が信号Gとして出力される。図6から明らかなように、この信号Gは、HMW[1]の発生回数が、HMW[0]およびモノトーンの発生回数より大きい区間を示す信号となる。そして、この信号Gは、デジタルデータ値「1」を示すADIPユニットのHMW変調区間(後半の38キャリア周期区間)を示す信号と取り扱うことができ、ひいては、HMW[1]の検出信号として取り扱うことができる。
E信号の反転信号およびF信号は、第二AND回路60bに供給され、その論理積が信号Hとして出力される。図6から明らかなように、この信号Hは、HMW[0]の発生回数が、HMW[1]およびモノトーンの発生回数より大きい区間を示す信号となる。そして、この信号Hは、デジタルデータ値「0」を示すADIPユニットのHMW変調区間(後半の38キャリア周期区間)を示す信号と取り扱うことができ、ひいては、HMW[0]の検出信号として取り扱うことができる。
したがって、この二つの比較器60a,60bから出力された信号G,Hは、それぞれ、HMW[1]検出信号,HMW[0]検出信号としてデコーダ50に供給される。デコーダ50は、両信号に基づき、各ADIPユニットのデジタルデータ値を判断する。
次に、ノイズ等の影響により、HMW検出部52において誤復調が生じた場合について、図7を用いて説明する。図7は、HMW検出部52から出力された仮検出信号、カウンタ54からの出力信号A〜C、AND回路60からの出力信号G,Hを示す図である。
この図7において、HMW検出部52に入力されるウォブル信号は、図5,6の場合と同じである。しかしながら、ノイズ等の影響により、HMW検出部52で正確な復調が出来なかった場合、図7の上段に図示するように、誤復調に起因する単発的なパルスが多発している仮検出信号が出力される場合がある。従来では、かかる単発的パルスが多発している仮検出信号も、直接、デコーダ50に供給していた。しかしながら、かかる誤復調成分を過分に含んだ仮検出信号では、各ADIPユニットのデジタルデータ値を判断することが困難であり、ひいては、信頼性の高いアドレスデコードはできない。
この誤復調成分を過分に含んだ仮検出信号を、既述の第一〜第三カウンタ54a〜54cに入力した場合、図7の中段に図示するような信号A〜Cが得られる。この信号A〜Cは、誤復調に起因する単発的なパルスの影響を受けて、微小変動が繰り返されているものの、各信号の大まかな波形は、図5における信号A〜Cの波形と類似していることが分かる。すなわち、誤復調成分を含んだ仮検出信号から得られた信号A〜Cでも、デジタルデータ値「1」のADIPユニット内ではA信号が、デジタルデータ値「0」のADIPユニット内ではC信号が、それぞれピークを迎えている。また、A信号およびC信号のピークの間には、B信号のピークがある。
そして、この信号A〜Cを比較器56およびAND回路60に入力して得られた波形が図7における信号G,Hである。この誤復調成分を含む仮検出信号から求められた信号G,Hは、誤復調成分のない仮検出信号から得られた信号G,H(図6における信号G,H)と、ほぼ同じ波形であることが分かる。つまり、HMW検出部52において誤復調が行われ、不正確な仮検出信号が出力されても、カウンタ54、比較器56、AND回路60を経ることにより、誤復調成分の影響が低減され、信頼性の高いHMW検出信号G,Hが得られることが分かる。かかる信頼性の高いHMW検出信号G,Hをデコーダ50に供給することにより、アドレスデコードの信頼性をより向上できる。
次に、HMW検出信号G,Hに基づくシンク信号生成の流れについて図8を用いて説明する。既述の第一、第二AND回路60a,60bから出力されるHMW検出信号G,Hは、HMW用シンク検出部62のOR回路64に入力され、その論理和が取られる。OR回路64から出力される論理和信号Kは、18キャリア周期相当のLow部分と、38キャリア周期相当のHigh部分と、を繰り返す信号となる。換言すれば、1ADIPユニットと同じ周期の信号となる。この論理和信号KはPLL回路65に供給される。PLL回路65は、入力された論理和信号Kからエッジ成分を検出して、ADIPユニットに同期したクロック信号Lを出力する。このクロック信号Lは、MSK復調信号に基づいて生成されるクロック信号と同じく、ADIPユニットのデコードに利用される。
また、論理和信号Kおよびクロック信号Lは、無変調区間検出部66にも供給される。無変調区間検出部66は、論理和信号Kを、クロック信号Lに同期させ、信号Mを生成する。この信号Mは、無変調区間を検出するための信号であり、ADIPワードのデコードに利用される。なお、HMW用シンク検出部62から出力されるシンク信号は、シフトレジスタの段数分だけディレイが生じている。デコーダ50は、このディレイ量を考慮してアドレスデコードを行う。
つまり、本実施形態によれば、HMW検出信号からもシンク信号を生成しているため、ウォブルシフトやクロストークの影響によりMSK復調ができなかったとしても、シンク信号を得ることができる。その結果、より信頼性の高いアドレスデコードが可能となる。
以上の説明から明らかなように、本実施形態によれば、HMW[0]、HMW[1],モノトーンの発生頻度をカウントし、HMW[0]またはHMW[1]の発生頻度が最も大きい部分をそれぞれ検出し、当該部分をHMW[0]またはHMW[1]の検出信号としている。これにより、誤復調に起因して発生する単発的なパルスの影響を低減でき、デコーダでの取り扱いが容易なHMW検出信号を得ることができる。また、誤復調の影響が低減されたHMW検出信号に基づいてシンク信号を生成しているため、MSK復調ができない場合でも安定してアドレスデータのデコードができる。
なお、本実施形態では、取り扱い対象の光ディスクとしてBlu−rayディスクを例示しているが、同一デジタル値を示すHMW変調ウォブルを複数周期に渡り連続させて1ビットの被変調データを表現するウォブルを有する光ディスクであれば、当然、他の種類の光ディスクにも適用できる。
10 光ディスク、14 ピックアップ、16 ウォブル信号処理部、44 MSK検出部、46 MSK用シンク検出部、48 セレクタ、50 デコーダ、54 カウンタ、56 比較器、60 AND回路、62 HMW用シンク検出部、64 OR回路、65 PLL回路、66 無変調区間検出部、68 シフトレジスタ、70 加算器。