JP4241975B2 - 2−スルホニルピリジン誘導体の製造方法 - Google Patents

2−スルホニルピリジン誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、2−スルホニルピリジン誘導体の製造方法に関する。本発明により製造される2−スルホニルピリジン誘導体は、医薬、農薬などの合成原料として、例えばクロロニコチニル系殺虫剤の合成中間体として有用な5−アミノメチル−2−クロロピリジン、パーキンソン氏病治療薬として臨床開発が進められているラザベミドの合成中間体である2,5−ジクロロピリジンや、2−ヒドロキシピリジンなどの医薬中間体の合成原料として有用である(特開平1−213263号公報、特開平9−118666号公報、特開平10−139760号公報および特開平9−59254号公報参照)。
【0002】
【従来の技術】
最近、ピリジン骨格を有する生理活性物質が数多く発見されている。これらの化合物の合成中間体として有用な2−スルホニルピリジン誘導体の製造方法としては、(1)スルホニルシアニドとアシロキシブタジエン誘導体とを反応させる方法(特開平9−118666号公報参照)、(2)p−トルエンスルホニルシアニドと1−エトキシ−2−メチルブタジエンとを反応させる方法[シンセシス(Synthesis)、623頁(1989年)および国際出願公開WO98/11071号参照]、(3)2−ハロゲノピリジンをアルカリ金属のチオラートと反応させ、スルフェニルピリジンへ誘導した後、順次酸化することにより合成する方法[ジャーナル オブ ザ ケミカル ソサイエティー パーキン トランスアクション1(Journal of the Chemical Society Perkin Transaction 1)、1839頁(1984年)]などが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記(1)および(2)の方法は、熱的に不安定なジエン化合物の使用が必須であること、上記(3)の方法は工程数が多く、目的物の収率が低いことなどの問題点を有しており、2−スルホニルピリジン誘導体の工業的に有利な製造方法とは言い難い。
しかして、本発明の目的は、2−スルホニルピリジン誘導体を、温和な条件下に収率よく、工業的に有利に製造し得る方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、上記の目的は、
▲1▼一般式(I)
【0005】
【化5】
Figure 0004241975
【0006】
(式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R4は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルキルチオ基、アシロキシ基、保護された置換されていてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R2とR3またはR3とR4は一緒になって−(CH2)−(式中、nは3または4を表す。)を表してもよい。)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物[以下、α,β−不飽和カルボニル化合物(I)と略記する]を、一般式(II)
【0007】
【化6】
Figure 0004241975
【0008】
(式中、R5は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。)
で示されるスルホニルシアニド[以下、スルホニルシアニド(II)と略記する]と反応させることを特徴とする一般式(III)
【0009】
【化7】
Figure 0004241975
【0010】
(式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前記定義のとおりである。)
で示される2−スルホニルピリジン誘導体[以下、2−スルホニルピリジン誘導体(III)と略記する]の製造方法、および
▲2▼一般式(III-1)
【0011】
【化8】
Figure 0004241975
【0012】
(式中、R5は前記定義のとおりである。)
で示される2−スルホニルピリジン誘導体を提供することにより達成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
上記一般式中、R1、R2、R3、R4およびR5がそれぞれ表すアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基などの直鎖状または分岐状のアルキル基が挙げられる。これらのアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;水酸基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基などが挙げられる。
【0014】
1、R2、R3、R4およびR5がそれぞれ表すアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。これらのアリール基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;水酸基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などの置換基などが挙げられる。
【0015】
4が表すアルコキシル基としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基などが挙げられ、アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基などが挙げられ、アシロキシ基としては、例えばアセトキシ基、プロパノイルオキシ基、ブタノイルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などの脂肪族または芳香族アシロキシ基などが挙げられ、アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n−ブトキシカルボニル基などが挙げられ、保護された置換されていてもよいアミノ基としては、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ベンゼンスルホニル基、tert−ブトキシカルボニル基などの保護基で保護された、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基などで置換されていてもよいアミノ基が挙げられる。
【0016】
2、R3およびR4がそれぞれ表すハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などが挙げられる。
【0017】
5が表すシクロアルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらのシクロアルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;水酸基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0018】
5が表すアラルキル基としては、例えばベンジル基、フェネチル基などが挙げられる。これらのアラルキル基は置換基を有していてもよく、かかる置換基としては、例えば塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシル基;水酸基;tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジフェニルシリルオキシ基などの三置換シリルオキシ基;ニトロ基;フェニル基、p−メトキシフェニル基などのアリール基などが挙げられる。
【0019】
本発明における反応は、通常、溶媒の存在下に行われる。使用する溶媒としては、反応に悪影響を与えない限り、特に限定されるものではないが、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、石油エーテルなどの脂肪族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンなどの芳香族炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシエタン、ジブチルエーテルなどのエーテル;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル;塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素;ジメチルスルホキシド;またはこれらの混合溶媒などが挙げられる。溶媒の使用量は、スルホニルシアニド(II)に対し、0.1〜200倍重量の範囲が好ましい。
【0020】
反応は触媒の存在下または不存在下に行われ、触媒としては酸触媒またはアンモニウム塩などが使用される。酸触媒としては、例えばホウ酸、ホウ酸トリエチル、ホウ酸トリブチルなどのホウ酸エステル;リン酸、リン酸トリブチルなどのリン酸エステル;過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウムなどの過塩素酸のアルカリ金属塩;IRC−50(オルガノ社製)などの弱酸性イオン交換樹脂などが挙げられる。また、アンモニウム塩としては、例えば塩化アンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウムなどが挙げられる。触媒の使用量は、スルホニルシアニド(II)に対し、0.01〜1当量の範囲が好ましい。
【0021】
また、反応は、アルコールの存在下に行ってもよい。アルコールとしては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、イソアミルアルコールなどが挙げられる。これらのアルコールの使用量は、スルホニルシアニド(II)に対し、0.1〜200当量の範囲が好ましい。
【0022】
反応は、α,β−不飽和カルボニル化合物(I)およびスルホニルシアニド(II)の混合溶液を還流して行うことが好ましい。α,β−不飽和カルボニル化合物(I)に対するスルホニルシアニド(II)の使用量は特に制限されないが、α,β−不飽和カルボニル化合物(I)1モルに対し、スルホニルシアニド(II)を0.5モル〜1モルの範囲で使用することが好ましい。また、反応温度は、0℃〜200℃の範囲が好ましく、80℃〜120℃の範囲がより好ましい。
【0023】
このようにして得られた2−スルホニルピリジン誘導体(III)は、通常の有機化合物の単離・精製に用いられる方法により単離・精製することができる。例えば、反応混合物を濃縮、冷却することによって再結晶により精製することができる。また、反応混合物をそのまま濃縮し、得られる粗生成物を必要に応じて蒸留、クロマトグラフィなどにより精製することができる。
【0024】
また、反応の進行に伴い水が生成するが、これを除去しながら反応を行うことにより、高収率で2−スルホニルピリジン誘導体(III)を得ることができる。水を除去する方法は特に限定されないが、水と共沸する溶媒を使用し、溶媒と共沸させて系外に留出させることにより効率よく行うことができる。また、系内にモレキュラーシーブスなどの、反応に悪影響を与えない脱水剤を共存させておいてもよい。
【0025】
なお、原料として用いるα,β−不飽和カルボニル化合物(I)およびスルホニルシアニド(II)はいずれも公知化合物であり、容易に入手あるいは製造することができる。例えば、α,β−不飽和カルボニル化合物(I)はアルドール縮合反応により合成可能である(例えば特開平9−59201号および特開昭63−135356号公報参照)。また、スルホニルシアニド(II)は対応するスルフィン酸金属塩とハロゲン化シアンを反応させて製造できる[オーガニック シンセシス(Organic Synthesis)、6巻、727頁(1988年)参照]。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【0027】
実施例1
温度計、マグネチックスターラ、ディーンシュターク型水分定量受器および冷却管を装備した内容積50mlの3口フラスコに、クロトンアルデヒド(2−ブテナール)8.05g(113mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド9.17g(54.9mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いて過塩素酸リチウム589mg(5.55mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温110℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら15時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニルピリジン10.8gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率89%)。
【0028】
融点:90〜91℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:7.51-7.62(m,4H), 7.93(t,1H,J=7.9Hz), 8.04-8.11(m,2H), 8.21(d,1H,J=7.9Hz), 8.68(d,1H,J=4.0Hz)
【0029】
実施例2
実施例1と同様の反応装置に、クロトンアルデヒド8.20g(115mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド9.55g(57.2mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.33g(5.78mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温110℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら3時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニルピリジン10.9gを得た(純度98%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率85%)。
【0030】
実施例3
実施例1と同様の反応装置に、クロトンアルデヒド8.22g(115mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド9.22g(55.2mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いて過塩素酸ナトリウム677mg(5.55mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温110℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら18時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニルピリジン11.2gを得た(純度98%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率91%)。
【0031】
実施例4
実施例1と同様の反応装置に、クロトンアルデヒド10.16g(145mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド10.09g(60.4mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlを添加した後、窒素雰囲気下として内温110℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら15時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニルピリジン9.11gを得た(純度90%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率62%)。
【0032】
実施例5
実施例1と同様の反応装置に、チグリンアルデヒド(trans−2−メチル−2−ブテナール)8.40g(100mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを添加した後、窒素雰囲気下として内温110℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら3時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−5−メチルピリジン10.5gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率88%)。
【0033】
融点:117〜118℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:2.40(s,3H), 7.52-7.60(m,3H), 7.70(dd,1H,J=1.8Hz,8.6Hz), 8.03-8.07(m,2H), 8.09(d,1H,J=8.6Hz), 8.50(d,1H,J=1.8Hz)
【0034】
実施例6
実施例1と同様の反応装置に、クロトンアルデヒド8.20g(115mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド9.55g(57.2mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.33g(5.78mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温110℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら3時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニルピリジン11.3gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率89%)。
【0035】
実施例7
実施例1と同様の反応装置に、クロトンアルデヒド8.20g(115mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド9.55g(57.2mmol)を入れ、溶媒としてジイソプロピルエーテル15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.33g(5.78mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温83℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら20時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したイソプロピルエーテル10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニルピリジン11.9gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率94%)。
【0036】
実施例8
実施例1と同様の反応装置に、チグリンアルデヒド8.40g(100mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてブタノール15mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.15g(5.00mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温118℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら4時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したイソプロピルエーテル10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニル−5−メチルピリジン9.81gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率83%)。
【0037】
実施例9
実施例1と同様の反応装置に、クロトンアルデヒド8.07g(113mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド9.69g(58.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてリン酸トリブチル1.45g(5.80mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温116℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら4時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニルピリジン11.3gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率88%)。
【0038】
実施例10
実施例1と同様の反応装置に、チグリンアルデヒド9.00g(107mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸0.30g(4.85mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温119℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら4時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニル−5−メチルピリジン11.1gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率94%)。
【0039】
実施例11
実施例1と同様の反応装置に、チグリンアルデヒド4.29g(51.1mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.15g(5.00mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温119℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら6時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニル−5−メチルピリジン10.5gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率89%)。
【0040】
実施例12
実施例1と同様の反応装置に、セネシオンアルデヒド(3−メチル−2−ブテナール)9.00g(107mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸0.30g(4.85mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温119℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら3時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−4−メチルピリジン8.50gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率72%)。
【0041】
融点:128〜129℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:2.47(s,3H), 7.25(dd,1H,J=1.6Hz,4.8Hz), 7.53-7.62(m,3H), 8.04-8.08(m,2H), 8.10(d,1H,J=1.6Hz), 8.52(d,1H,J=4.8Hz)
【0042】
実施例13
実施例1と同様の反応装置に、チグリンアルデヒド9.00g(107mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル0.57g(2.48mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温119℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら7時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として2−ベンゼンスルホニル−5−メチルピリジン8.50gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率72%)。
【0043】
実施例14
実施例1と同様の反応装置に、メシチルオキシド(4−メチル−3−ペンテン−2−オン)9.80g(100mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.15g(5.00mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温116℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら10時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−4,6−ジメチルピリジン6.14gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率49%)。
【0044】
融点:106〜107℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:2.41(s,3H),2.50(s,3H),7.09(s,1H),7.49-7.62(m,3H), 7.83(s,1H), 8.08(d,2H)
【0045】
実施例15
実施例1と同様の反応装置に、2−クロロ−2−ブテナール11.2g(107mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール1.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.30g(5.65mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温121℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら7時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−5−クロロピリジン8.87gを得た(純度98%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率69%)。
【0046】
融点:154〜155℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:7.50-7.68(m,4H), 7.89(dd,1H,J=2.3Hz,8.0Hz), 8.02-8.09(m,1H), 8.16(d,1H,J=8.0Hz), 8.60(d,1H,J=2.3Hz)
【0047】
実施例16
温度計、メカニカルスターラ、滴下漏斗を装備した内容積500mlの3口フラスコに、オキシ塩化リン100ml(164.5g、1.07mol)を加えて0℃に冷却し、攪拌しながらN,N−ジメチルホルムアミド120mlを1時間かけて滴下した。内温を0℃に維持して2時間攪拌し、この反応混合液に3−ペンタノン100ml( 85.3g、0.99mol)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、内温を室温まで上昇させてさらに2時間攪拌したのち、反応混合液を500gの氷に滴下した。この混合物を分液して有機層を分離し、水層を酢酸エチル200mlで2回抽出した。抽出液と先の有機層とを合わせて無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧下に除去し、3−クロロ−2−メチル−2−ペンテナールを得た( 131.2g、ほぼ100%収率)。
次に、実施例1と同様の反応装置に、上記で得た3−クロロ−2−メチル−2−ペンテナール13.25g(100mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド8.35g(50.0mmol)を入れ、溶媒としてトルエン15mlおよびブタノール0.7mlを加え、続いてホウ酸トリブチル1.15g(5.00mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温122℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら4時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、氷浴中で冷却して結晶を析出させた。この結晶をグラスフィルターで濾過し、5℃以下に冷却したトルエン10mlで洗浄後、真空ポンプで2時間真空乾燥し、淡黄色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−4−クロロ−3,5−ジメチルピリジン13.09gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率93%)。
【0048】
融点:91〜92℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:2.38(s,3H),2.79(s,3H),7.53-7.68(m,3H), 7.97-8.00(m,2H),8.20(s,1H)
【0049】
実施例17
温度計、マグネチックスターラ、ディーンシュターク型水分定量受器および冷却管を装備した内容積25mlの3口フラスコに3−メチル−1−フェニル−2−ブテン−1−オン0.96g(6.00mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド0.84g(5.00mmol)を入れ、溶媒としてトルエン5mlおよびブタノール0.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル0.12g(0.50mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温112℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら8時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去し、得られた粗生成物を酢酸エチル5mlで再結晶し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−4−メチル−6−フェニルピリジン0.42gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率28%)。
【0050】
融点:170〜171℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:2.54(s,3H), 7.42-7.46(m,3H), 7.51-7.61(m,3H), 7.67(s,1H), 7.90-7.95(m,3H), 8.14(dd,2H,J=1.7Hz,8.4Hz)
【0051】
実施例18
温度計、マグネチックスターラ、ディーンシュターク型水分定量受器および冷却管を装備した内容積25mlの3口フラスコに3−フェニル−2−ブテナール0.93g(6.36mmol)およびベンゼンスルホニルシアニド0.99g(5.91mmol)を入れ、溶媒としてトルエン5mlおよびブタノール0.5mlを加え、続いてホウ酸トリブチル0.14g(0.59mmol)を添加した後、窒素雰囲気下として内温112℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら2時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去した。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/4)により精製し、無色の結晶として、下記の物性を有する2−ベンゼンスルホニル−4−フェニルピリジン1.20gを得た(純度99%、ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率71%)。
【0052】
融点:145〜146℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:7.49-7.70(m,9H), 8.11(m,2H), 8.43(d,1H,J=2.0Hz), 8.69(d,1H,J=5.0Hz)
【0053】
実施例19
内容積5mlのフラスコに、シクロヘキシリデンアセトアルデヒド106mg(純度84%、0.72mmol)、ベンゼンスルホニルシアニド120mg(0.72mmol)、ホウ酸トリブチル17mg(0.072mmol)、1−ブタノール11mg(0.14mmol)および脱水剤としてモレキュラーシーブス−4A(310mg)を入れ、溶媒としてトルエン1.5mlを加えた後、内温110℃にて14時間加熱した。この溶液を室温まで冷却後、モレキュラーシーブスをろ別し、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、黄色結晶として、下記の物性を有する1−ベンゼンスルホニル−5,6,7,8−テトラヒドロイソキノリン31mgを得た(ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率16%)。
【0054】
融点:109〜112℃
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:1.80−1.86(m,4H), 2.80−2.84(m,2H),3.26−3.31(m,2H),7.10(d,1H, J=4.7Hz), 7.55-7.64(m,3H), 7.97−8.01(m,2H), 8.17(d,1H,J=4.7Hz)
【0055】
実施例20
温度計、マグネチックスターラ、ディーンシュターク型水分定量受器および冷却管を装備した内容積100mlの3口フラスコに、4−アセトキシ−2−メチル−2−ブテナール5.0g(39.6mmol)、ベンゼンスルホニルシアニド7.05g(39.6mmol)、ホウ酸トリブチル0.91g(4.0mmol)および1−ブタノール(0.59g、7.9mmol)を入れ、溶媒としてトルエン20mlを加えた後、内温108℃にて攪拌し、生成する水を分離除去しながら22時間加熱還流した。この溶液を室温まで冷却後、溶媒などの低沸成分を減圧下に除去した。得られた粗生成物をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=1/3)で精製し、褐色の油状物として、下記の物性を有する3−アセトキシ−2−ベンゼンスルホニル−5−メチルピリジン2.62gを得た(ベンゼンスルホニルシアニド基準で収率24%)。
【0056】
1H−NMRスペクトル(270MHz, CDCl3, TMS, ppm), δ:2.40(s,3H), 2.42(s,3H),7.36(d,1H,J=1.0Hz), 7.50-7.65(m,3H), 8.00−8.03(m,2H), 8.33(d,1H,J=1.0Hz)
【0057】
【発明の効果】
2−スルホニルピリジン誘導体を、温和な条件下に収率よく、工業的に有利に製造し得る方法が提供される。

Claims (4)

  1. 一般式(I)
    Figure 0004241975
    (式中、R1は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3はそれぞれ水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R4は水素原子、ハロゲン原子、アルコキシル基、アルキルチオ基、アシロキシ基、保護された置換されていてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアルキル基またはアリール基を表し、R2とR3またはR3とR4は一緒になって−(CH2)−(式中、nは3または4を表す。)を表してもよい。)で示されるα,β−不飽和カルボニル化合物を、一般式(II)
    Figure 0004241975
    (式中、R5は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。)で示されるスルホニルシアニドと反応させることを特徴とする一般式(III)
    Figure 0004241975
    (式中、R1、R2、R3、R4およびR5は前記定義のとおりである。)で示される2−スルホニルピリジン誘導体の製造方法。
  2. 生成する水を除去しながら反応を行う請求項1記載の製造方法。
  3. 一般式(III-1)
    Figure 0004241975
    (式中、R5は置換基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアラルキル基を表す。)で示される2−スルホニルピリジン誘導体。
  4. 酸触媒またはアンモニウム塩の存在下に反応を行なう請求項1記載の製造方法。
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