JP4241189B2 - 車両用遊星歯車装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両のセンターデフ等として用いられる車両用遊星歯車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両用遊星歯車装置は、ハウジングと、このハウジング内に収容された内歯車、太陽歯車及び遊星歯車を有している。遊星歯車は、ハウジングに形成された収容孔に自転可能に収容され、内歯車及び太陽歯車と噛み合っている。したがって、ハウジングが回転駆動されると、その回転が遊星歯車を介して内歯車及び太陽歯車に伝達される。この場合、遊星歯車が自転すると、内歯車及び太陽歯車が差動回転し、遊星歯車が自転しないときには、内歯車及び太陽歯車がハウジングと一体に回転する。
【0003】
ところで、最近の車両用遊星歯車装置においては、内歯車、太陽歯車及び遊星歯車として捩れ歯を有する歯車が多用されている。これは、各歯車として捩れ歯を有する歯車を用いると、内歯車と太陽歯車との差動回転を制限することができるからである。すなわち、各歯車として捩れ歯を有する歯車を用いると、内歯車及び太陽歯車と遊星歯車との噛み合いによって各歯車に軸線方向に作用するスラスト力が発生し、このスラスト力によって各歯車が例えばハウジングにそれぞれ押圧接触させられる。すると、差動回転時には、各歯車の端面がハウジングに摺接し、それらの間に各歯車の回転を抑えようとする摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗によって差動回転が制限される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、各歯車の端面がハウジングに直接摺接すると、歯車が早期に摩耗したり、歯車の端面とハウジングとの間に焼き付きが発生したりするという問題があった。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、回転軸線を中心として回転可能に配置されたハウジングと、このハウジング内に軸線を上記回転軸線と一致させてそれぞれ回転可能に設けられた内歯車及び太陽歯車と、上記ハウジングに自転可能に、かつ上記回転軸線を中心として上記ハウジングと一体に公転するように設けられ、上記内歯車及び上記太陽歯車と噛み合う遊星歯車とを備え、上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車が捩れ歯を有している車両用遊星歯車装置において、上記内歯車、太陽歯車及び遊星歯車のうちの少なくとも一つの歯車の端面とこの歯車に対して相対回転する部材との間に、少なくとも一方に対して摺接する摩擦ワッシャを設けたことを特徴としている。
この場合、上記ハウジングが上記歯車に対して相対回転する部材とされていてもよく、そのような場合には、上記ハウジングに上記摩擦ワッシャが回転不能に連結され、上記摩擦ワッシャが上記歯車の端面に対して摺接することが望ましい。上記ハウジングと上記歯車とに上記摩擦ワッシャがそれぞれ回転不能に連結され、各摩擦ワッシャが他方の摩擦ワッシャを介して上記ハウジング又は上記歯車の端面に摺接するよう、各摩擦ワッシャどうしが互いに摺接することが望ましい。
上記内歯車の軸線方向における一端部に、内周側に突出する環状の当接壁部が設けられ、この当接壁部の上記内歯車の他端側を向く面に上記太陽歯車及び上記遊星歯車の各端面が押圧接触することにより、上記内歯車が上記太陽歯車及び上記遊星歯車に対して相対回転する部材とされ、上記当接壁部の他端側を向く面と上記太陽歯車及び上記遊星歯車の各端面との間に上記摩擦ワッシャがそれぞれ設けられていることが望ましい。その場合には、上記当接壁部と上記遊星歯車の端面との間に設けられた摩擦ワッシャが、上記ハウジングに回転不能に連結されることにより、上記当接壁部及び上記遊星歯車の両者に対して摺接することが望ましい。上記当接壁部と上記太陽歯車の端面との間に設けられた摩擦ワッシャが上記当接壁部に回転不能に連結されていることが望ましい。
上記当接壁部が上記遊星歯車と対向する外側部分と、この外側部分に回転不能に、かつ軸線方向へ移動可能に連結され、上記太陽歯車と対向する内側部分とを有し、上記外側部分と上記遊星歯車の端面との間、及び上記内側部分と上記太陽歯車の端面との間に、上記摩擦ワッシャがそれぞれ設けられていることが望ましい。上記外側部分及び上記内側部分の、上記内歯車の他端側から一端側へ向かう方向を向く各面が上記内歯車の端面とされ、この内歯車の端面とされた上記外側部分及び内側部分の各面と上記ハウジングとの間に上記摩擦ワッシャが設けられ、この摩擦ワッシャが上記ハウジングに回転不能に連結されていることが望ましい。
上記ハウジングが、一端が開口し、内部に上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車を収容する筒状の本体部と、この本体部の開口部に設けられ、上記遊星歯車を自転可能に支持するキャリア部とを有し、上記キャリア部を上記本体部の開口部の内周面に回動不能に嵌合し、かつ脱出不能にすることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図1〜図4を参照して説明する。
図1及び図2は、この発明の一実施の形態を示す。この実施の形態の車両用遊星歯車装置Aは、軸線を回転軸線Lと一致させて回転可能に配置されたハウジング1を備えている。ハウジング1は、本体部2とキャリア部3とを有している。
【0007】
本体部2は、円筒状をなしており、その一端部(図1において右端部)には底部2aが形成され、他端部が開口している。底部2aの外側の端面中央部には、回転軸線L上を延びる断面円形の突出部2bが形成されており、この突出部2b及び底部2aには、それらの中央部を貫通する貫通孔2cが形成されている。一方、キャリア部3は、円板部3aを有している。この円板部3aは、その一端面(図1において右端面)が本体部2の他端面に突き当てられるとともに、円板部3aの一端面に形成された円形突出部3bが本体部2の他端開口部に嵌合されている。そして、円板部3aを貫通して本体部2の他端面に螺合されたボルトB1を締め付けることにより、円板部3aが本体部2に固定されている。これにより、本体部2の他端開口部が閉じられている。円板部3aの他端面中央部には、回転軸線L上を延びる突出部3cが形成されている。この突出部3c及び円板部3aには、それらの中央部を貫通する貫通孔3dが形成されている。貫通孔3dの内周面には、スプライン孔部3eが形成されている。このスプライン孔部3eには、エンジンによって回転駆動される中空の入力軸(図示せず)が回転不能に嵌合される。これにより、ハウジング1が回転軸線Lを中心として回転駆動されるようになっている。
【0008】
ハウジング1内には、内歯車4がその軸線を回転軸線Lと一致させて回転可能に収容されている。内歯車4は、内歯車部5と当接壁部6とを有している。内歯車部5の外径は、本体部2の内径とほぼ同一であり、内歯車部5の全長は、底部2aと円板部3aとの間の距離とほぼ同一に設定されている。これにより、内歯車部5は、本体部2に対して回転軸線Lを中心として回転可能であるが、その径方向及び軸線方向のいずれの方向へもほとんど移動不能になっている。当接壁部6は、円板状をなしており、内歯車部5の底部2a側に位置する一端部(図1の右端部)にスプライン嵌合と同様な状態で嵌合している。したがって、当接壁部6は、内歯車部5に対して回動不能であるが、回転軸線L方向へは移動可能に連結されている。ただし、当接壁部6は、実際には回転軸線L方向へ移動することはほとんどない。この点は後述する。当接壁部6の内側の端面(図1において左端面)の中央部には、回転軸線L上を延びる突出部6aが形成されている。この突出部6a及び当接壁部6の中央部には、これを貫通するスプライン孔部6bが形成されている。このスプライン孔部6bには、貫通孔2cを貫通した軸(図示せず)の一端部が回転不能に連結される。この軸の他端部は、この遊星歯車装置1がセンターデフとして用いられる場合であればフロントデフ又はリヤデフの一方に接続され、フロントデフ又はリヤデフとして用いられる場合であれば、左右の車輪の一方に接続される。
【0009】
ハウジング1内には、太陽歯車7がその軸線を回転軸線Lと一致させて回転可能に収容されている。太陽歯車7は、連結筒部7aとこの連結筒部7aの一端部(図1において右端部)に一体に連設された外歯車部7bとから構成されている。連結筒部7aは、貫通孔3dの内周面に回転可能に支持されている。連結筒部7aの他端部内周面には、スプライン孔部7cが形成されている。このスプライン孔部7cには、上記入力軸を貫通した軸(図示せず)の一端部が回転不能に連結される。この軸の他端部は、この遊星歯車装置1がセンターデフとして用いられる場合であればフロントデフ又はリヤデフの他方に接続され、フロントデフ又はリヤデフとして用いられる場合であれば、左右の車輪の他方に接続される。外歯車部7bは、内歯車部5の内側に配置されている。外歯車部7bの外径は、内歯車部5の外径より小径である。したがって、外歯車部3bの外周面と内歯車部5の内周面との間には、環状空間が形成されている。
【0010】
上記キャリア部3の円板部3aの内側の端面には、回転軸線Lを中心とする環状の支持突出部3fが形成されている。この支持突出部3fは、内歯車部5の内周面及び外歯車部3bの外周面に対して若干の隙間をもった状態で上記環状空間に挿入されている。支持突出部3fには、その先端面から基端側へ向かって回転軸線Lと平行に延びる複数の収容孔3gが形成されている。収容孔3gは、通常3つ以上形成される。各収容孔3gは、支持突出部3fの周方向へ等間隔に配置されている。各収容孔3gは、周方向へ不等間隔に配置してもよい。収容孔3gは、その軸線が支持突出部3fの外周面と内周面と中央に位置するように配置されている。しかも、収容孔3gの内径は、支持突出部3fの厚さより大きく設定されている。したがって、支持突出部3fの径方向における収容孔3gの外側の側部及び内側の側部は、支持突出部3fの外周面及び内周面からそれぞれ外部に開放されている。
【0011】
各収容孔3gには、遊星歯車8が収容されている。したがって、遊星歯車8は、ハウジング1が回転するとハウジング1とともに回転軸線Lを中心として公転する。遊星歯車8の外径は、収容孔3gの内径とほぼ同一に設定されており、遊星歯車8は収容孔3gに回転可能(自転可能)に収容されている。しかも、遊星歯車8の外径が収容孔3gの内径とほぼ同一であるから、遊星歯車8の外周部は、収容孔3gの外側及び内側の各開放部から外部に突出している。そして、遊星歯車は、収容孔3gから外周側へ突出した部分において内歯車部5と噛み合い、内周側へ突出した部分において太陽歯車7の外歯車部7bと噛み合っている。よって、ハウジング1が回転駆動されると、その回転が遊星歯車8を介して内歯車4及び太陽歯車7に伝達される。この場合、遊星歯車8が自転すると、内歯車4と太陽歯車7とが差動回転し、遊星歯車8が自転しないときには、ハウジング1、遊星歯車8、内歯車4及び太陽歯車7が一体に回転する。
【0012】
内歯車部5、外歯車部7b及び遊星歯車8は、捩れ歯を有している。したがってハウジング1が回転駆動されると、内歯車部5、外歯車部7b及び遊星歯車8には、互いの噛み合いにより回転軸線Lと平行なスラスト力がそれぞれ作用する。この場合、車両がエンジンによって前進駆動されているときであれば、内歯車部5及び外歯車部7bには、それらを底部2a側から円板部3a側へ向かって押圧するスラスト力が作用し、遊星歯車8には内歯車部5及び外歯車部7bに作用するスラスト力と逆向きのスラスト力が作用する。勿論、車両が後退駆動されているとき、及びエンジンブレーキが動作しているときには、各歯車5,7b,8には前進駆動時と逆向きのスラスト力が作用する。
【0013】
この遊星歯車装置Aにおいては、車両の前進駆動時に外歯車部7b及び遊星歯車8に作用するスラスト力を利用して所定の大きさのトルクバイアス比を得るとともに、各遊星歯車装置間におけるトルクバイアス比のバラツキを小さくするために、2つの摩擦ワッシャ9,10が用いられている。一方の摩擦ワッシャ9は、外歯車部7bの連結筒部7a側の端面とこれに対向するキャリア部3の円板部3aとの間に配置されており、円板部3aに回転不能に連結されている。したがって、差動回転時には、外歯車部7bが円板部3aに直接摺接ことがなく、摩擦ワッシャ9を介して摺接する。摩擦ワッシャ9は、回転軸線Lを中心として回転可能に、かつ円板部3a及び外歯車部7bに対して相対回転可能にしてもよい、摩擦ワッシャ9の外歯車部7bとの接触面には、多数の溝(図示せず)が形成されている。この溝には潤滑油が保持されており、その潤滑油が外歯車部7bと摩擦ワッシャ9との接触面間に適正量だけ供給されることにより、摩擦ワッシャ9の早期摩耗や焼き付きが防止されるとともに、潤滑油の供給過多による摩擦抵抗の過度の減少が防止されている。また、摩擦ワッシャ9の早期摩耗及び焼き付き防止のために、摩擦ワッシャ9の外歯車部7bとの接触面には、例えば無電解ニッケルメッキ、クロムメッキ、浸炭焼き入れ、窒化チタン(TiN)、炭化チタン(TiC)、タングステンカーバイド(WC)等のコーティング、又はWC、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)の溶射等の各種の表面処理が施されている。
【0014】
他方の摩擦ワッシャ10は、ハウジング1の支持突出部3fの先端面にボルトB2によって固定されている。したがって、差動回転時には遊星歯車8の図1における右端面が摩擦ワッシャ10に摺接する。この摩擦ワッシャ10の遊星歯車8との接触面にも、摩擦ワッシャ9と同様の溝及び表面処理が施されている。
【0015】
また、車両の後退駆動時、及び前進時におけるエンジンブレーキの動作時に所定の大きさのトルクバイアス比を得るとともに、そのバラツキを小さく抑えるために、摩擦ワッシャ11,12が用いられている。摩擦ワッシャ11は、内歯車4の当接壁部6と太陽歯車7の外歯車部7bとの対向面間に配置されており、当接壁部6と外歯車部7bとのいずれか一方に固定されている。摩擦ワッシャ11の他方との接触面には、上記摩擦ワッシャ9,10と同様の溝が形成されるとともに、表面処理が施されている。摩擦ワッシャ12は、ハウジング1の底部2aと当接壁部6との対向面間に配置されており、底部2aに回転不能に連結されている。摩擦ワッシャ12の当接壁部6との接触面にも摩擦ワッシャ9,10と同様の溝が形成されるとともに、表面処理が施されている。
【0016】
なお、摩擦ワッシャ9、外歯車部7b,摩擦ワッシャ11、当接壁部6及び摩擦ワッシャ12の回転軸線L方向における長さの合計は、それらが配置された円板部3aと底部2aとの間隔とほぼ同一になっている。したがって、摩擦ワッシャ9、外歯車部7b,摩擦ワッシャ11、当接壁部6及び摩擦ワッシャ12は、回転軸線L方向へはほとんど移動不能になっている。
【0017】
上記構成の遊星歯車装置において、車両が前進するようにハウジング1がエンジンによって回転駆動されているときには、内歯車部5及び外歯車部7bと遊星歯車8との噛み合いによって発生するスラスト力により、外歯車部7bが摩擦ワッシャ9に押圧接触させられるとともに、遊星歯車8が摩擦ワッシャ10に押圧接触させられる。したがって、差動回転時には、それらの接触面間に摩擦抵抗が発生する。この摩擦抵抗によって所定の大きさのトルクバイアス比が得られる。しかも、摩擦ワッシャ9、10の面粗度等の摩擦抵抗に関与する要因については、各遊星歯車装置に用いられる各摩擦ワッシャ9どうし及び各摩擦ワッシャ10どうしで容易にほぼ同一にすることができる。各摩擦ワッシャ9,10が単純な形状をなし、しかも単独で加工することが可能だからである。したがって、各遊星歯車装置間におけるトルクバイアス比のバラツキを小さく抑えることができる。
【0018】
さらに、太陽歯車7及び遊星歯車8摩擦ワッシャ9,10を介してハウジング1に摺接するから、太陽歯車7及び遊星歯車8の早期摩耗を防止することができるとともに、各歯車7,8とハウジング1とが焼き付くのを防止することができる。しかも、摩擦ワッシャ9,10については、太陽歯車7及び遊星歯車8との接触面の面粗さをハウジング1に比して極めて容易に向上させることができるのみならず、各接触面には上記のような溝及び表面処理が施されているので、各歯車7,8と摩擦ワッシャ9,10との間の焼き付きも確実に防止することができる。
【0019】
車両の前進時における差動回転時には、内歯車部5の端面がキャリア部3の円板部3aに対して摺接し、そのときに発生する摩擦抵抗によってもトルクバイアス比が増大されるので、内歯車部5と円板部3aとの対向面間にも摩擦ワッシャを配置し、その摩擦ワッシャを円板部3aに固定することが望ましい。
【0020】
車両の後退駆動時、及び前進時におけるエンジンブレーキの動作時には、当接壁部6又は外歯車部7bが摩擦ワッシャ11に摺接するとともに、当接壁部6が摩擦ワッシャ12に摺接する。これによって、所定の大きさのトルクバイアス比が得られるとともに、トルクバイアス比のバラツキが小さく抑えられる。しかも、当接壁部6及び外歯車部7bの早期摩耗を防止することができるとともに、摩擦ワッシャ11,12と当接壁部6及び外歯車部7bとの焼き付きを防止することができる。車両の後退駆動時及び前進時におけるエンジンブレーキの動作時には、内歯車部5が底部2aに摺接するとともに、遊星歯車8が収容孔3gの底面に摺接するので、底部2aの内歯車部5との対向部、及び収容孔3gの底面にも摩擦ワッシャを固定するのが望ましい。
【0021】
上記の内容から明かなように、この遊星歯車装置Aにおいては、ハウジング1が内歯車4、太陽歯車7及び遊星歯車8に対して相対回転する部材になっているとともに、内歯車4の当接壁部6が太陽歯車7に対して相対回転する部材になっている。
【0022】
図3及び図4はこの発明の他の実施の形態を示す。この実施の形態の遊星歯車装置Bは、一部の各構成だけが上記遊星歯車装置Aと相違しており、その他の構成は上記遊星歯車装置Aと同様になっている。そこで、遊星歯車装置Bについては、上記遊星歯車装置Aと異なる構成についてのみ説明し、同様な部分には同一符号を付してその説明を省略する。勿論、遊星歯車装置Bも遊星歯車装置Aと同様の効果を奏することができる。
【0023】
この遊星歯車装置Bにおいては、上記遊星歯車装置のスプライン孔部3eに代えて、本体部2の外周面の一端部と他端部とにスプライン部2d、2eがそれぞれ形成されている。そして、スプライン部2d,2eのいずれか一方を介してハウジング1が回転駆動されるようになっている。
【0024】
キャリア部3は、本体部2の開口部の内周面にスプライン嵌合等によって回動不能に嵌合されている。しかも、キャリア部3は、キャリア部3より外側において開口部の内周面に螺合されたリング状の雄ねじ部材13を締め付けることにより、本体部2の内周面に形成された段差面2fに押し付けられている。これにより、キャリア部3が本体部2に回動不能にかつ移動不能(脱出不能)に固定されている。このようにしてキャリア部3を本体部2に固定した場合には、図1及び図2に示す遊星歯車装置Aのように複数のボルトB1でキャリア部3を本体部2に固定する場合に比して、ボルト挿通孔、ねじ孔の形成の手間を軽減することができるとともに、複数のボルトを締め付ける手間を軽減することができる。したがって、遊星歯車装置Bの製造費を低減することができる。しかも、ボルトB1のためのねじ孔及びボルト挿通孔を形成すると、その分だけ本体部2及びキャリア部3の円板部3aの外径が大径になるが、この遊星歯車装置Bではねじ孔及びボルト挿通孔を形成する必要がないので、その分だけ遊星歯車装置B全体を小径化することができる。
【0025】
内歯車4の当接壁部6は、内歯車部5の一端部(図3において左端部)に一体に形成された内側に向かって突出する環状突出部(外側部分)6Aと、この環状突出部6Aの内周面にスプライン嵌合等により回動不能に、かつ回転軸線L方向へ移動可能に嵌合された可動部(内側部分)6Bとから構成されている。内歯車部5の他端側を向く環状突出部6Aの端面は遊星歯車8と対向しており、同方向を向く可動部6Bの端面は太陽歯車7と対向している。可動部6Bには、突出部6a及びスプライン孔部6bが形成されている。太陽歯車7は、上記遊星歯車装置Aの連結筒部7aに対応する部分を有しておらず、外歯車部7bに対応する部分だけで構成されている。そして、太陽歯車7は、その一端部(右端部)を除く大部分が内歯車部5の内側に配置されている。太陽歯車7の内周面には、スプライン孔部7cが形成されている。
【0026】
車両が前進するようにハウジング1が回転駆動されたとき、内歯車部5には、環状突出部6Aを遊星歯車8に接近する方向へ押圧するスラスト力が作用し、遊星歯車8には、これを環状突出部6Aに接近する方向へ押圧するスラスト力が作用する。太陽歯車7には、内歯車部5に作用するスラスト力と同じ向きのスラスト力が作用する。そこで、環状突出部6Aと遊星歯車8との互いに対向する端面間には、摩擦ワッシャ14が配置されている。この摩擦ワッシャ14は、その内周面に形成された突出部14aが、キャリア部3の支持突出部3fの先端部に形成された環状凸部3hの切欠き部3iに嵌り込むことにより、支持突出部3fに回動不能に連結されている。したがって、差動回転時には、環状突出部6A及び遊星歯車8の各端面が摩擦ワッシャ14の両端面にそれぞれ摺接する。また、互いに対向する太陽歯車7の端面とキャリア3の円板部3aとの間には、摩擦ワッシャ15,16が配置されている。摩擦ワッシャ15は、太陽歯車7に回転不能に連結されている。摩擦ワッシャ16は、円板部3aに回転不能に連結されている。したがって、差動回転時には、摩擦ワッシャ15,16が互いに摺接する。換言すれば、摩擦ワッシャ15は、摩擦ワッシャ16を介して円板部3aに摺接し、摩擦ワッシャ16は、摩擦ワッシャ15を介して太陽歯車7に摺接する。
【0027】
車両が後退するようにハウジングが回転駆動されたとき、又は車両の前進時においてエンジブレーキの動作時には、内歯車部5、太陽歯車7及び遊星歯車8に上記と逆向きのスラスト力が作用する。そこで、太陽歯車7と可動部6Bとの間には、摩擦ワッシャ17が配置されている。この摩擦ワッシャ17は、太陽歯車7と可動部6Bとのいずれか一方に回動不能に連結されている。したがって、摩擦ワッシャ17は、差動回転時には、太陽歯車7と可動部6Bとのいずれか他方に対して摺接する。また、環状突出部6Aと底部2aとの間、及び可動部6Bと底部2aとの間には、摩擦ワッシャ18が配置されている。つまり、摩擦ワッシャ18の外周側の部分が環状突出部6Aと底部2aとの間に配置され、摩擦ワッシャ18の内周側の部分が可動部6Bと底部2aとの間に配置されている。したがって、摩擦ワッシャ18は、二つの摩擦ワッシャと同等に機能する。これにより、摩擦ワッシャの数を減らして、製造費の低減が図られている。摩擦ワッシャ18は、底部2aに回動不能に連結されている。
【0028】
車両が後退するようにハウジングが回転駆動されたとき、又は車両の前進時においてエンジブレーキの動作時には、遊星歯車8の端面が収容孔3gの底面に摺接するので、収容孔3gの底面と遊星歯車8との間にも摩擦ワッシャを設けておくことが望ましい。また、各摩擦ワッシャ14〜18の他の部材との接触面には、上記の遊星歯車装置Aにおける各摩擦ワッシャ9〜12と同様に、潤滑油を保持するための多数の溝を形成したり、表面処理を施すことが望ましい。
【0029】
上記の内容から明かなように、この遊星歯車装置Bにおいては、ハウジング1が内歯車4、太陽歯車7及び遊星歯車8に対して相対回転する部材になっている。ただし、ハウジング1と内歯車4の環状突出部6A及び可動部6Bとの間に摩擦ワッシャ18が設けられるとともに、ハウジング1と太陽歯車7との間に摩擦ワッシャ15,16が設けられているが、ハウジング1と遊星歯車8との間には、摩擦ワッシャが設けられていない。また、内歯車4(の環状突出部6A及び可動部6B)が遊星歯車8及び太陽歯車7に対して相対回転する部材になっている。
【0030】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、適宜変更可能である。
例えば、上記の実施の形態においては、ハウジング1を回転駆動し、内歯車4及び太陽歯車7の回転を出力回転として取り出しているが、内歯車4と太陽歯車7とのいずれか一方を回転駆動し、他方及びハウジング1の回転を出力回転として取り出すようにしてもよい。
【0031】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、トルクバイアス比のバラツキを小さく抑えることができるとともに、太陽歯車や遊星歯車等の各歯車の早期摩耗及び焼き付きを防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態を示す図であって、図2のY−Y線に沿う断面図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】この発明の他の実施の形態を示す図であって、図4のY−Y線に沿う断面図である。
【図4】図3のX−X線に沿う断面図である。
【符号の説明】
A 車両用遊星歯車装置
B 車両用遊星歯車装置
L 回転軸線
1 ハウジング
2 本体部
3 キャリア部
4 内歯車
6 当接壁部
6A 環状突出部(外側部分)
6B 可動部(内側部分)
7 太陽歯車
8 遊星歯車
9 摩擦ワッシャ
10 摩擦ワッシャ
11 摩擦ワッシャ
12 摩擦ワッシャ
14 摩擦ワッシャ
15 摩擦ワッシャ
16 摩擦ワッシャ
17 摩擦ワッシャ
18 摩擦ワッシャ

Claims (6)

  1. 回転軸線を中心として回転可能に配置されたハウジングと、このハウジング内に軸線を上記回転軸線と一致させてそれぞれ回転可能に設けられた内歯車及び太陽歯車と、上記ハウジングに自転可能に、かつ上記回転軸線を中心として上記ハウジングと一体に公転するように設けられ、上記内歯車及び上記太陽歯車と噛み合う遊星歯車とを備え、上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車が捩れ歯を有している車両用遊星歯車装置において、
    上記内歯車の軸線方向における一端部に、内周側に突出する環状の当接壁部が設けられ、
    上記当接壁部が上記遊星歯車と対向する外側部分と、この外側部分に回転不能に、かつ軸線方向へ移動可能に連結され、上記太陽歯車と対向する内側部分とを有し、
    互いに対向する上記外側部分の端面と上記遊星歯車の端面との間に少なくとも一方の端面に対して摺接する摩擦ワッシャが設けられ、互いに対向する上記内側部分の端面と上記太陽歯車の端面との間に少なくとも一方に対して摺接する摩擦ワッシャが設けられていることを特徴とする車両用遊星歯車装置。
  2. 上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車のうちの少なくとも一つの歯車の端面と上記ハウジングとの間に摩擦ワッシャが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用遊星歯車装置。
  3. 上記外側部分の端面と上記遊星歯車の端面との間に設けられた上記摩擦ワッシャが上記ハウジングに回転不能に連結され、上記摩擦ワッシャが上記外側部分の端面と上記遊星歯車の端面との両者に対して摺接することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用遊星歯車装置。
  4. 上記内側部分の端面と上記太陽歯車の端面との間に上記摩擦ワッシャが設けられ、上記摩擦ワッシャが上記内側部分と上記太陽歯車とのいずれか一方に回動不能に連結されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用遊星歯車装置。
  5. 上記外側部分及び上記内側部分の、上記内歯車の軸線方向における他端部側から上記一端部側へ向う方向を向く各面と上記ハウジングとの間に摩擦ワッシャが設けられ、この摩擦ワッシャが上記外側部分及び上記内側部分の、上記内歯車の上記他端部側から上記一端部側へ向う方向を向く各面に摺接するよう、上記ハウジングに回転不能に連結されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の車両用遊星歯車装置。
  6. 上記ハウジングが、一端が開口し、内部に上記内歯車、上記太陽歯車及び上記遊星歯車を収容する筒状の本体部と、この本体の開口部に設けられ、上記遊星歯車を自転可能に支持するキャリア部とを有し、上記キャリア部を上記本体部の開口部の内周面に回動不能に嵌合し、かつ脱出不能にしたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の車両用遊星歯車装置。
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