JP4240521B2 - 偏波グリッドを有する平面アンテナとその製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏波グリッドを有する平面アンテナとその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
直線偏波を放射する平面アンテナの開口面の上面に、ストリップ格子型の偏波グリッドを配置して、交差偏波を抑制することが知られている。この基本構成は図9(b)に示すように、偏波方向と直交する複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド4を、開口面2の上面に所定の距離Hを隔てて開口面に平行に配置するものである。この偏波グリッド4は、通常、金属箔と誘電体を貼り合わせた誘電体基板をエッチングしてストリップ格子5を形成したものが用いられている。
【0003】
また、偏波グリッド4は、図9(a)のように、ストリップ格子幅Wとストリップ格子の配置間隔Pによって、交差偏波の抑圧効果が決定されるが、配置間隔Pは、一般に所望の周波数の自由空間波長の略0.1倍以下とすることが望ましいとされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
近年におけるデータ通信の大容量化に伴い、高密度な情報を近距離で通信するための無線システムが広まってきている。このようなシステムでは、狭い範囲に多くのアンテナを配置する必要があるため、互いの干渉をできるだけ小さくしなければならない。そのため、放射面に対して広角方向の交差偏波について、従来よりも低い値に抑えることが求められている。
しかし、図9(c)に示すように、偏波グリッド4を開口面2に平行に固定した場合、斜線方向に放射される電磁波が無視できず、広角方向における交差偏波の抑制が困難であるという問題があった。また、従来は平面アンテナ1と前記偏波グリッド4を発砲誘電体等のスペーサを介して所定の距離に配置していたが、機械的に不安定であるため、交差偏波の抑圧効果にバラツキが生じるといった問題があった。
【0005】
本発明は、広角方向の交差偏波の抑制と安定した交差偏波の抑制が可能なストリップ格子型偏波グリッドを有する平面アンテナとその製造法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は以下のことを特徴とする。
(1)直線偏波を放射する平面アンテナと、その平面アンテナの開口面とほぼ平行な平面上に、その平面アンテナの偏波方向と直行する方向に複数平行に並べられたストリップ線路からなる偏波グリッドとからなる平面アンテナであって、その直線偏波を放射する平面アンテナと、偏波グリッドとを、その平面アンテナの端部に設けた金属壁を介して接続した偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(2)直線偏波を放射する平面アンテナと、その平面アンテナの開口面とほぼ平行な平面上に、その平面アンテナの偏波方向と直行する方向に複数平行に並べられたストリップ線路からなる偏波グリッドとからなる平面アンテナであって、その直線偏波を放射する平面アンテナと、偏波グリッドとを、偏波グリッドを構成する金属板を折り曲げて接続した偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(3)複数平行に並べられたストリップ線路のうち、少なくとも2以上のストリップ線路を短絡した(1)または(2)に記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(4)誘電体レドームの裏面にストリップ線路を形成した(1)〜(3)のうちいずれかに記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(5)複数平行に並べられたストリップ線路のうち、少なくとも1以上のストリップ線路を接地導体と同電位にした(1)〜(4)のうちいずれかに記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(6)複数平行に並べられたストリップ線路の間隔が、平面アンテナの放射する電波の自由空間波長の0.1倍以下である(1)〜(5)のうちいずれかに記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(7)複数平行に並べられたストリップ線路の線路幅が、ストリップ線路の間隔の0.3〜0.7倍である(6)に記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
(8)絶縁基材上に貼り合わせた導体の不要な個所をエッチング除去してストリップ線路を形成し、直線偏波を放射する平面アンテナの端部に設けた金属壁に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(9)金属板を平行に並べてストリップ線路を形成し、直線偏波を放射する平面アンテナの端部に設けた金属壁に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(10)金属板を打ち抜いてストリップ線路を形成し、直線偏波を放射する平面アンテナの端部に設けた金属壁に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(11)誘電体の裏面に、ストリップ線路を貼り合わせ、直線偏波を放射する平面アンテナの端部に設けた金属壁に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(12)金属板を平行に並べてストリップ線路を形成し、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(13)金属板を打ち抜いてストリップ線路を形成し、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(14)誘電体の裏面に、金属板を平行に並べたストリップ線路を貼り合わせ、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
(15)誘電体の裏面に、金属板を打ち抜いたストリップ線路を貼り合わせ、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1において、直線偏波を放射する平面アンテナ1の開口面2から略平行に保持され、かつ、前記平面アンテナ1の偏波方向に直交する複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド4であって、前記平面アンテナ1の地導体3と同電位の接地面とを含む放射領域に連続してストリップ格子5を形成したことを特徴とするものである。
【0006】
図2(a)、(b)において、直線偏波にを放射する平面アンテナ1の開口面2から略平行に保持され、かつ、前記平面アンテナ1の偏波方向に直交する複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド4であって、前記平面アンテナ1の偏波方向の面内か、これと直交する面内のいずれか一方の面内において、前記平面アンテナ1の地導体3と同電位の接地面とを含む放射領域に連続してストリップ格子5を形成したことを特徴とするものである。
【0007】
図3において、直線偏波を放射する平面アンテナ1の開口面2の上部に位置する領域の端部と前記平面アンテナ1の地導体3と同電位の接地面とを含む放射領域の一部または全部の領域に、ストリップ格子を導通させる金属導体6を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
図9(a)、(b)において、ストリップ格子の周期Pが自由空間波長の0.1倍以下、ストリップ格子幅が周期の略0.5倍、放射面2との距離Hが自由空間波長の0.1倍以上を満たすことを特徴とするものである。
【0009】
図4(a)、(b)において、エッチングにより形成されたストリップ格子5をもつフレキシブル基板で偏波グリッド4を形成すると共に、所定の距離を保持するために開口面2の側面方向に配置された金属壁7を用いることにより、前記フレキシブル基板を地導体3と同位面の接地面に固着させたことを特徴とするものである。
【0010】
図6(a)、(b)において、打抜きまたはエッチングにより形成されたストリップ格子5をもつ金属板8で偏波グリッド4を形成すると共に、前記金属板8の端部を所定の距離だけ曲げ加工し、地導体3と同位面の接地面に固着させたことを特徴とするものである。
【0011】
図7(a)、(b)において、エッチングにより形成されたストリップ格子5をもつフレキシブル基板で偏波グリッド4を形成すると共に、所定の距離を保持するために開口面2の側面方向に配置された導体または誘電体のガイド9と固定板10とを、用いることにより、前記フレキシブル基板を地導体3と同位面の接地面に固着させたことを特徴とするものである。
【0012】
図8(a)、(b)において、打抜きまたはエッチングにより形成されたストリップ格子5をもつ金属板、あるいは、エッチングにより形成されたストリップ格子5をもつフレキシブル基板で偏波グリッド4を形成すると共に、前記偏波グリッド4が誘電体レドーム11の内側に密着して一体化されたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明の偏波グリッド4は、ポリイミド基材に銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板のエッチングまたは、薄い金属板の打抜きあるいはエッチングにより、不要な部分を除去して製作している。前記偏波グリッド4は、柔軟性に優れているため、レドームの内側に貼り付けたり、折り曲げて使用することができる。また、偏波グリッド4は安定して放射面1に対し平行に固定する必要があるため、金属壁7およびガイド9は、高さ精度と変形しないための硬度が必要である。また、金属壁7はアンテナを軽量化するためにアルミニウムが好ましいが、他の金属でも製作できる。
【0014】
【実施例】
実施例1
図1において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の上方および側面に、ポリイミド基材に銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板をエッチングすることにより、複数のストリップ格子5を形成した偏波4を配置した。前記フレキシブル基板の固定方法については、実施例7による。
【0015】
実施例2
図2(a)、(b)において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の上方および、偏波方向の面内かこれと直交する面内のいずれか一方の側面に、ポリイミド基材に銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板をエッチングすることにより、複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド4を配置した。前記フレキシブル基板の固定方法については、実施例6による。
【0016】
実施例3
図3において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の上方および側面に、エッチングにより形成されたストリップ格子5および金属導体6をもつ金属板8を配置した。前記金属板8の固定方法については、実施例5による。
【0017】
実施例4
図4(a)、(b)において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の側面に、アルミニウムでできた金属壁7を配置し、ポリイミド基材に銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板をエッチングすることにより、複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド4を開口面から略平行に固着した。
【0018】
図5(a)、(b)が交差偏波の抑制効果を表す図である。図5(a)が偏波グリッドの無い場合、図5(b)が偏波グリッドがある場合の交差偏波を示している。これより偏波グリッドで交差偏波が大きく改善できることを確認した。
【0019】
実施例5
図6(a)、(b)において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の上方および側面に、エッチングにより形成されたストリップ格子5をもつ、銅製の金属板8を配置した。また、前記金属板8は、端部を所定の距離だけ曲げ加工し、開口面2から略平行に固着した。
【0020】
実施例6
図7(a)、(b)において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の側面にABSでできたガイド9と、アルミニウム製の固定板10とを配置し、ポリイミド基材に銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板をエッチングすることにより、複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド4を開口面から略平行に固着した。
【0021】
実施例7
図8(a)、(b)において、直線偏波を放射するトリプレート給電型による平面アンテナ1の開口面2の上方および側面に、ABS製で厚さ3mmの誘電体レドーム11を配置し、前記レドーム11の内側に、ポリイミド基材に銅箔を貼り合わせたフレキシブル基板をエッチングすることにより、複数のストリップ格子5を形成した偏波グリッド2を接着し、一体化した。
【0022】
また、実施例1〜7において、グリッドの各寸法は、図9(a)、(b)においてスリット周期Pが自由空間波長の0.1倍以下、スリット幅Lが周期Pの約0.5倍、放射面との距離Hが自由空間波長の0.1倍以上を満たしている。
【0023】
【発明の効果】
本発明により、広角方向の交差偏波の抑制と安定した交差偏波の抑制が可能なストリップ格子型偏波グリッドが実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1を示す分解斜視図である。
【図2】本発明の実施例2を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施例3を示す分解斜視図である。
【図4】本発明の実施例4を示す分解斜視図および側面図である。
【図5】本発明の効果を説明するための線図である。
【図6】本発明の実施例5を示す分解斜視図および側面図である。
【図7】本発明の実施例6を示す分解斜視図および側面図である。
【図8】本発明の実施例7を示す分解斜視図および側面図である。
【図9】従来例を示す分解斜視図、正面図および側面図である。
【符号の説明】
1.平面アンテナ 2.開口面
3.地導体 4.偏波グリッド
5.ストリップ格子 6.金属導体
7.金属壁 8.金属板
9.ガイド 10.固定板
11.誘電体レドーム
Claims (15)
- 直線偏波を放射する平面アンテナと、その平面アンテナの開口面とほぼ平行な平面上に、その平面アンテナの偏波方向と直行する方向に複数平行に並べられたストリップ線路からなる偏波グリッドとからなる平面アンテナであって、その直線偏波を放射する平面アンテナと、偏波グリッドとを、その平面アンテナの地導体端部全周に設けた金属壁の上部全周を介して接続した偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 直線偏波を放射する平面アンテナと、その平面アンテナの開口面とほぼ平行な平面上に、その平面アンテナの偏波方向と直行する方向に複数平行に並べられたストリップ線路からなる偏波グリッドとからなる平面アンテナであって、その直線偏波を放射する平面アンテナと、偏波グリッドとを、偏波グリッドを構成する金属板を折り曲げて接続した偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 複数平行に並べられたストリップ線路のうち、少なくとも2以上のストリップ線路を短絡した請求項1または2に記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 誘電体レドームの裏面にストリップ線路を形成した請求項1〜3のうちいずれかに記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 複数平行に並べられたストリップ線路のうち、少なくとも1以上のストリップ線路を接地導体と同電位にした請求項1〜4のうちいずれかに記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 複数平行に並べられたストリップ線路の間隔が、平面アンテナの放射する電波の自由空間波長の0.1倍以下である請求項1〜5のうちいずれかに記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 複数平行に並べられたストリップ線路の線路幅が、ストリップ線路の間隔の0.3〜0.7倍である請求項6に記載の偏波グリッドを有する平面アンテナ。
- 絶縁基材上に貼り合わせた導体の不要な個所をエッチング除去してストリップ線路を形成し、直線偏波を放射する平面アンテナの地導体端部全周に設けた金属壁の上部全周に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 金属板を平行に並べてストリップ線路を形成し、直線偏波を放射する平面アンテナの地導体端部全周に設けた金属壁の上部全周に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 金属板を打ち抜いてストリップ線路を形成し、直線偏波を放射する平面アンテナの地導体端部全周に設けた金属壁の上部全周に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 誘電体の裏面に、ストリップ線路を貼り合わせ、直線偏波を放射する平面アンテナの地導体端部全周に設けた金属壁の上部全周に接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 金属板を平行に並べてストリップ線路を形成し、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 金属板を打ち抜いてストリップ線路を形成し、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 誘電体の裏面に、金属板を平行に並べたストリップ線路を貼り合わせ、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
- 誘電体の裏面に、金属板を打ち抜いたストリップ線路を貼り合わせ、その金属板を折り曲げて直線偏波を放射する平面アンテナと接続する偏波グリッドを有する平面アンテナの製造法。
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