JP4240342B2 - レトロフォーカス型レンズ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レトロフォーカス型のレンズに関し、特に、カラー液晶プロジェクタに搭載される、色合成プリズムで合成されたカラー画像情報をスクリーン面上に拡大投影する投影レンズとしてのレトロフォーカス型レンズに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液晶表示パネルを用いたカラー液晶プロジェクタに用いられる投影レンズとしては、色合成光学系を挿入するために長いバックフォーカスが要求されている。さらに、短い投影距離で大きな投影像を得るために投影レンズの広角化が必要とされ、矩形の液晶パネルに表示された画像をを矩形状に、かつ歪みなしで投影するためにディストーションを良好とすることが要求されている。
【0003】
バックフォーカスの長い広角レンズとしては、従来より、一眼レフレックスカメラ用の広角レンズとして用いられるレトロフォーカス型レンズが知られている。しかしながら、このような従来の一眼レフレックスカメラに用いられているレトロフォーカス型レンズは、射出角度が大きく、光束がテレセントリックとはなっていないため、カラー液晶プロジェクタに用いた場合、スクリーン上に映出された画像に色むらが発生するという問題があった。
【0004】
このような問題を解決するため本出願人は、色合成光学系等の光学系を挿入し得る適度なバックフォーカスを有し、テレセントリックで、ディストーションを補正し得る投影レンズを既に開示している(特開平9−96759号公報)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カラー液晶プロジェクタにおいては、年々、液晶表示パネルの画素数が増加するのに伴い、各画素のサイズは小となってきており、高画質化が求められるようになってきていることから、上記公報記載のものよりも、解像力が求められ、色収差、さらにはディストーションをより良好に補正することが望まれている。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであり、広画角化および高解像度を達成しつつ、バックフォーカス長およびテレセントリック性を確保し、さらにディストーションおよび色収差等の諸収差を良好なものとしうるレトロフォーカス型レンズを提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のレトロフォーカス型レンズは、大きな共役長側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、および正の屈折力を有する第3群が配列されてなり、
前記第1群は、大きな共役長側から順に、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる小さい屈折力の第1レンズ、小さな共役長側に凹面を向けたガラスからなる負の屈折力を有する第2レンズ、および小さな共役長側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3レンズを配列してなり、
前記第2群は、大きな共役長側から順に配列された、負の屈折力を有する第4レンズと正の屈折力を有する第5レンズを接合した接合レンズを含み、
前記第3群は、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる小さい屈折力のレンズを大きな共役長側に有してなり、
以下の各条件式(1)〜(7)を満足することを特徴とするものである。
【0008】
Bf/f>2.1 (1)
|f/f|>35.0 (2)
|f/f|>25.0 (3)
−0.1<f/fG12<0.25 (4)
−1.9<fG1/f<−1.0 (5)
1.6<fG3/f<2.8 (6)
ν−ν>20 (7)
:全系の焦点距離
Bf :全系のバックフォーカス
:第1レンズの焦点距離
:第6レンズの焦点距離
G12 :第1群と第2群の合成焦点距離
G1 :第1群の焦点距離
G3 :第3群の焦点距離
ν :第4レンズのアッベ数
ν :第5レンズのアッベ数
【0009】
また、前記第3群が、大きな共役長側から順に、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる屈折力の小さい第6レンズ、負の屈折力を有する第7レンズ、正の屈折力を有する第8レンズ、および正の屈折力を有する第9レンズからなり、該第7レンズおよび該第8レンズは接合レンズを構成し、以下の条件式(8)を満足することが好ましい。
ν−ν>32 (8)
ν :第7レンズのアッベ数
ν :第8レンズのアッベ数
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、以下2つの実施例について具体的に説明するが、各実施例に各々対応する図面の説明において同一の要素については同一の符号を付し、重複する説明については省略する。
【0011】
<実施例1>
この実施例1のレトロフォーカス型レンズは液晶プロジェクタの投影レンズとして機能し、図1に示すように、各液晶表示パネル(実際には3つの液晶表示パネルが配されている)1からの各色光は色合成プリズム(クロスダイクロイックプリズム)3において合成され、このレトロフォーカス型レンズによって、大きな共役長側に配されたスクリーン(図示せず)上に投射され、そのスクリーン上にカラー画像を形成する。そのレンズ構成は、大きな共役長側から順に、負の屈折力を有する第1群G、正の屈折力を有する第2群G、および正の屈折力を有する第3群Gが配列されてなるもので、第1群Gは、大きな共役長側から順に、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる小さい屈折力の第1レンズL、小さな共役長側に凹面を向けたガラスからなる負の屈折力を有する第2レンズL、および小さな共役長側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3レンズLを配列してなり、第2群Gは、大きな共役長側から順に配列された、負の屈折力を有する第4レンズLと正の屈折力を有する第5レンズLを接合した接合レンズからなり、第3群Gは、大きな共役長側から順に、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる小さい屈折力の第6レンズL、負の屈折力を有する第7レンズL、正の屈折力を有する第8レンズL、および正の屈折力を有する第9レンズLからなり、該第7レンズLおよび該第8レンズLは接合レンズを構成してなる。なお、第2群Gと第3群Gの間には絞り2が配されている。
【0012】
また、本実施例のレトロフォーカスレンズは、以下の各条件式(1)〜(8)を満足するように構成されている。
Bf/f>2.1 (1)
|f/f|>35.0 (2)
|f/f|>25.0 (3)
−0.1<f/fG12<0.25 (4)
−1.9<fG1/f<−1.0 (5)
1.6<fG3/f<2.8 (6)
ν−ν>20 (7)
ν−ν>32 (8)
:全系の焦点距離
Bf :全系のバックフォーカス
:第1レンズLの焦点距離
:第6レンズLの焦点距離
G12 :第1群Gと第2群Gの合成焦点距離
G1 :第1群Gの焦点距離
G3 :第3群Gの焦点距離
ν :第4レンズLのアッベ数
ν :第5レンズLのアッベ数
ν :第7レンズLのアッベ数
ν :第8レンズLのアッベ数
【0013】
次に、上記条件式(1)〜(8)について説明する。
まず、上記条件式(1)は、十分なバックフォーカス長を確保するための条件式であり、この条件からはずれるとレンズ系と結像面の間に色合成プリズムを挿入することが困難となる。
また、上記条件式(2)、(3)は、温度の変化に伴う光学性能の劣化を防ぐための条件式であり、プラスチック非球面レンズの屈折力を規定するものである。これらの条件式からはずれると、プラスチックレンズの屈折力が強くなり過ぎ、温度変化による光学性能の劣化が大きくなってしまう。
【0014】
また、上記条件式(4)は、第1群Gと第2群Gの合成屈折力を規定する条件式で、この上限を上回ると、十分なバックフォーカスを確保できなくなる。一方、下限を下回ると、バックフォーカス長を確保するには有利であるが、球面収差を良好に補正するためには第6レンズLの屈折力が大きくなり過ぎ、温度変化による影響が大きくなってしまう。
【0015】
さらに、上記条件式(5)は、第1群Gの屈折力を規定する条件式で、下限を下回ると、レンズ系全体を小さくすることができるものの、歪曲収差の発生が大きくなって、第1群Gの非球面での補正量を大きくしなければならず、この結果、第1群Gの屈折力が大きくなり、温度変化による影響が大きくなってしまう。一方、上限を上回ると、レンズ系全体が大きくなり、好ましくない。
【0016】
また、上記条件式(6)は、第3群Gの屈折力を規定する条件式で、下限を下回ると十分なバックフォーカス長を確保することが困難となる。一方、上限を上回ると、レンズ系が大きくなり過ぎ、さらに、十分広い画角とするためには第1群Gと第2群Gの屈折力を強くしなければならなくなり、これによりディストーションや像面湾曲が大きくなり、その補正が困難となる。
【0017】
また、上記条件式(7)は倍率色収差を規定する条件式で、下限を下回ると倍率色収差が大きくなり過ぎ、その補正が困難となる。
また、上記条件式(8)は軸上色収差を規定する条件式で、下限を下回ると軸上色収差が大きくなり過ぎ、その補正が困難となる。
【0018】
さらに、上記条件式(7)、(8)は、色収差を良好なものとするための条件式で、これらの範囲をはずれると色収差を良好なものとすることが困難となる。なお、光学系に使用できるプラスチックはその材料が限られているので、ガラスレンズと比較すると色収差を適切に補正することが難しく、したがって、色収差を補正するためにはガラス材料を適切に用いることが必要である。
【0019】
次に、この実施例1における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(mm)、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νを下記表1に示す。
ただし、この表1および後述する表3において、各記号R,D,N,νに対応させた数字は大きな共役側から順次増加するようになっている。また、R,R,R11,R12は、下記非球面式(A)により表される非球面であり、その光軸上の曲率半径については表1に示される値となっている。
【0020】
Z=cY/{1+(1−Kc1/2
+AY+BY+CY+DY10 (A)
ただし、Z:光軸からの高さYの非球面上の点より、非球面頂点の接平面(光軸に垂直な平面)に下ろした垂線の長さ(mm)
c:非球面の近軸曲率(光軸上の曲率半径(R)の逆数)
Y:光軸からの高さ(mm)
K:離心率
A,B,C,D:第4,6,8,10次の非球面係数
なお、表2に第1、2、11、12面の非球面係数A,B,C,Dおよび離心率Kを示す。
【0021】
【表1】
Figure 0004240342
【0022】
【表2】
Figure 0004240342
また、この実施例1における、Fナンバおよび画角2ωは表1に示すように各々2.5および83.0°である。また、レンズの全系焦点距離fは1.0に規格化されている。
なお、本実施例1の各々の値は具体的には表5に示す如く設定されている。
【0023】
<実施例2>
実施例2のレトロフォーカス型レンズについて図2を用いて説明する。
この実施例2のレンズは、上記実施例1のレンズとほぼ同様のレンズ構成とされている。
この実施例2における各レンズ面の曲率半径R(mm)、各レンズの中心厚および各レンズ間の空気間隔D(mm )、各レンズのd線における、屈折率Nおよびアッベ数νを下記表3に示す。
【0024】
また、R,R,R11,R12は、上記非球面式(A)により表される非球面であり、その光軸上の曲率半径については表3に示される値となっている。
なお、表4に第1、2、11、12面の非球面係数A,B,C,Dおよび離心率Kを示す。
【0025】
【表3】
Figure 0004240342
【0026】
【表4】
Figure 0004240342
また、この実施例2における、Fナンバおよび画角2ωは表3に示すように各々2.5および83.0°である。また、レンズの全系焦点距離fは1.0に規格化されている。
なお、前述した条件式(1)〜(8)は全て満足されており、各々の値は下記表5に示す如く設定されている。
【0027】
【表5】
Figure 0004240342
なお、上記実施例1、2に対応させてその各収差図(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差の収差図)を各々図3、4に示す。なお、この収差図においてωは半画角を示す。これら図3、4から明らかなように、上述した各実施例によれば、前述した各収差、特に色収差およびディストーションを良好なものとすることができる。
【0028】
また、各球面収差図においては d線、F線およびC線に対する収差が、また各倍率色収差図においてはd線に対するF線およびC線の収差が示されている。さらに、各非点収差図には、サジタル(S)像面およびタンジェンシャル(T)像面に対する収差が示されている。
【0029】
なお、本発明のレトロフォーカス型レンズとしては、上記実施形態のものに限られるものではなく種々の態様の変更が可能であり、例えば各レンズの曲率Rおよびレンズ間隔(もしくはレンズ厚)D、さらには第2群および第3群のレンズ形状およびレンズ枚数を適宜変更することが可能である。
なお、本発明レンズはをカラー液晶プロジェクタの投影レンズとして用いる場合のほか、その他の結像レンズ等として用いる場合にも同様の効果を得ることができる。
【0030】
【発明の効果】
以上、詳細に説明した通り、本発明のレトロフォーカス型レンズによれば、最も、大きな共役長側のレンズのレンズ面を非球面とし、かつこのレンズを屈折力の小さいプラスチックレンズとするとともに、このレンズの小さな共役長側に、小さな共役長側に大きな曲率の凹面を向けたガラスよりなる凹レンズを配設するようにしているので、結像機能を確保しつつ、色収差およびディストーション等の収差の補正を良好とすることができ、さらに、プラスチックレンズの温度変化に伴う影響を抑制することができる。また、広画角化および高解像度を達成することができる。
【0031】
また、小さな共役長側をテレセントリックな系とすることができ、特に液晶表示パネルを用いた投射型テレビ等の投影レンズで問題となる周辺光量の低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図2】本発明の実施例2に係るレンズ基本構成を示す概略図
【図3】実施例1に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差の収差図)
【図4】実施例2に係るレンズの各収差図(球面収差、非点収差、ディストーションおよび倍率色収差の収差図)
【符号の説明】
〜L レンズ
〜R19 レンズ面あるいはプリズム面の曲率半径
〜D18 レンズあるいはプリズムの面間隔
X 光軸
1 液晶表示パネル
2 絞り
3 色合成プリズム

Claims (2)

  1. 大きな共役長側から順に、負の屈折力を有する第1群、正の屈折力を有する第2群、および正の屈折力を有する第3群を配列されてなり、 前記第1群は、大きな共役長側から順に、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる小さい屈折力の第1レンズ、小さな共役長側に凹面を向けたガラスからなる負の屈折力を有する第2レンズ、および小さな共役長側に凹面を向けた負の屈折力を有する第3レンズを配列してなり、
    前記第2群は、大きな共役長側から順に配列された、負の屈折力を有する第4レンズと正の屈折力を有する第5レンズを接合した接合レンズを含み、
    前記第3群は、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる小さい屈折力のレンズを大きな共役長側に有してなり、
    以下の各条件式(1)〜(7)を満足することを特徴とするレトロフォーカス型レンズ。
    Bf/f>2.1 (1)
    |f/f|>35.0 (2)
    |f/f|>25.0 (3)
    −0.1<f/fG12<0.25 (4)
    −1.9<fG1/f<−1.0 (5)
    1.6<fG3/f<2.8 (6)
    ν−ν>20 (7)
    :全系の焦点距離
    Bf :全系のバックフォーカス
    :第1レンズの焦点距離
    :第6レンズの焦点距離
    G12 :第1群と第2群の合成焦点距離
    G1 :第1群の焦点距離
    G3 :第3群の焦点距離
    ν :第4レンズのアッベ数
    ν :第5レンズのアッベ数
  2. 前記第3レンズ群が、大きな共役長側から順に、少なくとも1つの非球面を有する、プラスチックからなる屈折力の小さい第6レンズ、負の屈折力を有する第7レンズ、正の屈折力を有する第8レンズ、および正の屈折力を有する第9レンズからなり、該第7レンズおよび該第8レンズは接合レンズを構成し、以下の条件式(8)を満足することを特徴とする請求項1記載のレトロフォーカス型レンズ。
    ν−ν>32 (8)
    ν :第7レンズのアッベ数
    ν :第8レンズのアッベ数
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