JP4239605B2 - 回折格子を用いた表示体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回折格子から成るセルを画素として用いた表示体に係り、更に詳しくは、回折格子にブレーズド回折格子を含んでいる表示体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブレーズド回折格子は光学素子として用いることが多く、通常、単一の空間周波数から成る格子パターンとして作製される。一般的な光学用途では、ブレーズド回折格子は、単一波長に対する集光作用、あるいは白色光(多波長)に対する分光作用などの比較的単純な役割を果たす目的で使用されている。
【0003】
一方、例えば、本出願人による特許文献1に示すように、ブレーズド回折格子をディスプレイに用いる例もある。これらの技術では、単純に鋸刃状の断面形状を持った回折格子を用いることにより、正弦波状の断面形状を持つ回折格子よりも高い回折効率が得られることが示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−39508号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術では、以下のような問題がある。
【0006】
主に光学素子として用いられるブレーズド回折格子は、通常、単一の空間周波数から成る格子パターンとして作製されるため、このようなブレーズド回折格子を用いて画像表示を行っても、通常の観察条件においてカラー画像を観察することは不可能である。
【0007】
一方、鋸刃状の断面形状を持つブレーズド回折格子によりディスプレイを構成した場合、輝度向上効果は認められるが、単純に鋸刃状の断面形状にしただけでは、各色のバランスの取れた高品位なカラー画像の表示を行うことは難しい。また、全く任意のブレーズド回折格子を微小領域毎に作製するのは、極めて精密かつ複雑なレリーフ形成が必要となり、作製及び複製が困難である。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、ブレーズド回折格子を用いることによって、高い回折効率を有するとともに、色のバランスの取れた高品位なカラー画像表示を可能とする表示体を提供することにある。
【0009】
また、その第2の目的は、第1の目的に加えて、製造が容易な表示体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0011】
すなわち、請求項1の発明は、上記第1および第2の目的を達成するために、複数の回折格子セルのおのおのを画素として画像を表示する表面レリーフ型からなる表示体において、回折格子セルのうち少なくとも2つは、主斜面と副斜面とを交互に配置することによって鋸刃状の断面形状となるブレーズド回折格子であって、空間周波数が互いに異なり、格子の稜線方向が互いにほぼ同一であり、主斜面の傾斜角を互いにほぼ同一としている。
【0012】
従って、請求項1の発明の表示体においては、以上のような手段を講じることにより、複数種類のブレーズド回折格子セルの主斜面の傾斜角が、格子の空間周波数に依らずに一定のため、容易に安定して製造することが可能となる。更に、これによって、観察時の効果として、製造過程で一様な成形率の低下がある場合でも、各回折格子セルの回折効率の変化をほぼ同様にすることができ、色のバランスを安定して再現することが可能となる。
【0013】
請求項2の発明は、上記第1および第2の目的を達成するために、複数の回折格子セルのおのおのを画素として画像を表示する表面レリーフ型からなる表示体において、各回折格子セルのうち少なくとも1つは、第1の主斜面と第1の副斜面とを交互に配置することによって鋸刃状の断面形状となる第1のブレーズド回折格子からなる回折格子セルであり、残りの回折格子セルのうちの少なくとも1つは、第2の主斜面と第2の副斜面とを交互に配置することによって鋸刃状の断面形状となる第2のブレーズド回折格子からなる回折格子セルであり、第1および第2のブレーズド回折格子は、空間周波数を互いに異とし、格子の稜線方向を互いにほぼ同一とし、主斜面の傾斜角を互いにほぼ同一としている。
【0014】
従って、請求項2の発明の表示体においては、以上のような手段を講じることにより、複数種類のブレーズド回折格子セルの主斜面の傾斜角が、格子の空間周波数に依らずに一定のため、容易に安定して製造することが可能となる。更に、これによって、観察時の効果として、製造過程で一様な成形率の低下がある場合でも、各回折格子セルの回折効率の変化をほぼ同様にすることができ、色のバランスを安定して再現することが可能となる。
【0015】
請求項3の発明は、上記第1の目的を達成するために、請求項1または請求項2の発明の表示体において、表示する画像の各画素の色に対応して各回折格子セルの空間周波数を決定し、格子の稜線方向をほぼ同一とする回折格子セルを画素としてカラー画像を表示するようにしている。
【0016】
従って、請求項3の発明の表示体においては、以上のように、表示する画像の各画素の色に対応して、各回折格子セルの空間周波数を決定し、格子の稜線方向が一致する回折格子セルを画素としているので、カラー画像を表示する場合、色のバランスの取れた高品位な、つまり正確に色再現したカラー表示が可能となる。
【0017】
請求項4の発明は、上記第1の目的を達成するために、請求項1乃至3のうち何れか1項の発明の表示体において、各回折格子セルのうち、格子の稜線方向が互いに異なる回折格子セルを有している。
【0018】
従って、請求項4の発明の表示体においては、予め設定する観察条件を複数とし、それに対応してブレーズド回折格子セルの稜線方向を複数種類とすることにより、各条件に合致した観察を行った時に各条件に合致した画像をそれぞれ観察することが可能となる。
【0019】
請求項5の発明は、上記第1の目的を達成するために、請求項1乃至4のうち何れか1項の発明の表示体において、格子の稜線方向を互いにほぼ同一とし、表示体面に対する法線ベクトルを中心として、各主斜面に対する法線ベクトルが互いにほぼ対称になるようなブレーズド回折格子セルを含んでいる。
【0020】
従って、請求項5の発明の表示体においては、以上のような手段を講じることにより、ある1つのカラー画像が観察できる観察条件において、表示体面を軸として180°回転させると、別のカラー画像を観察することが可能となる。
【0021】
請求項6の発明は、上記第1の目的を達成するために、請求項1乃至5のうち何れか1項の発明の表示体において、複数の回折格子セルのうちの何れかは、格子の稜線方向を複数のブレーズド回折格子のうちの何れかとほぼ同一とし、正弦波形状または矩形波状の断面形状を有している。
【0022】
正弦波状または矩形波状の断面形状を有する回折格子セルは、ブレーズド回折格子セルによるカラー画像の表示効果よりもやや暗い画像が表示される。従って、請求項6の発明の表示体においては、背景などの表示効果を高めることができる。
【0023】
請求項7の発明は、上記第1の目的を達成するために、請求項1乃至6のうち何れか1項の発明の表示体において、表示する画像の各画素の輝度値に基づいて各回折格子セルの面積を設定することにより、画像を、各回折格子セルによって階調表現して表示するようにしている。
【0024】
従って、請求項7の発明の表示体においては、製造上の成形率低下のある場合でも安定したカラーバランスを保つことができ、正確な色再現を伴ったフルカラー画像を容易に得ることが可能となる。更に、各画素において回折格子の空間周波数を設定して、観察時の波長を選択することにより、複数の回折格子セルの混色表示も利用して、通常の写真やCRT等よりも広い色域を表現することも可能となる。一方、混食表示に用いる回折格子セルとして、R,G,Bの各色に対応する3つのセルを利用すれば、フルカラー表示を容易に実現できる。
【0025】
請求項8の発明は、上記第2の目的を達成するために、請求項1乃至7のうち何れか1項の発明の表示体において、空間周波数の互いに異なる各ブレーズド回折格子の鋸刃状の断面形状を互いに相似形状にしている。
【0026】
従って、請求項8の発明の表示体においては、以上のような手段を講じることにより、機械切削等のように、同一形状の凹凸を形成する装置で、より容易に作製することが可能となる。
【0027】
請求項9の発明は、上記第2の目的を達成するために、請求項1乃至8のうち何れか1項の発明の表示体において、空間周波数の互いに異なる各ブレーズド回折格子における各副斜面の稜線方向に直交する長さをほぼ同一としている。
【0028】
従って、請求項9の発明の表示体においては、以上のような手段を講じることにより、エッチングなどの化学的な凹凸の形成方法や、電子線描画などの微細加工方法により容易に、かつ高精度に作製することが可能となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の各実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0030】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態を図1から図3を用いて説明する。
【0031】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る表示体の概念を説明するための図である。
【0032】
すなわち、本発明の実施の形態に係る表示体は、図1(a)に示すように、マトリクス状に配置された複数の回折格子セルCから構成してなる表面レリーフ型の表示体10であり、各回折格子セルCのおのおのを画素としてその1次回折光により所望の画像を表示する。
【0033】
そして、図1(b)および図1(c)に示すように、回折格子セルCのうち少なくとも2つは、空間周波数νが互いに異なり、格子の稜線方向を互いに同一、すなわち基準方向eに対する稜線方向の角度を同一(θ=θ)とし、更に、図1(d)および図1(e)に示すように、表示体面に対する傾斜角φが互いに同一(傾斜角φ=傾斜角φ)であるブレーズド回折格子である。
【0034】
ブレーズド回折格子は、図1(b)の場合a−b方向、図1(c)の場合a−bに沿って主斜面f(図1(d)の場合f、図1(e)の場合f)と副斜面g(図1(d)の場合g、図1(e)の場合g)とを交互に規則的に配置することによって、表示体10に対して鋸刃形状の断面を有している。
【0035】
ブレーズド回折格子セルを表示体10に用いる際の典型的な格子間隔d(図1(d)の場合d、図1(e)の場合d)は、およそ0.5〜2μm程度であり、典型的な格子の高さh(図1(d)の場合h、図1(e)の場合h)は0.1〜1μm程度である。特に最適な格子の高さhは、主にブレーズド回折格子を構成する材料の屈折率と、表示体10が反射型か透過型かに依存する。
【0036】
以下、簡単のため、表示体10が屈折率1の媒質(空気など)に接しており、その媒質中より光が入射し、表示体10の表面で反射して回折光を生じる際について主に論じる。これ以外の条件の場合は、媒質の屈折率や透過型または反射型かの光学的な差異を考慮して、主としてブレーズド回折格子セルの主斜面fの傾斜角φを最適角度φoptにすることによって補正すれば、同様の議論が成立する。
【0037】
ブレーズド回折格子セルにおいて、格子間隔dは下記(1)式によって決定される。
d=λ/(sinα−sinβ) ・・・・・(1)
ただし、λは入射光の波長(観察時の色に対応)である。αは格子の格子ベクトル方向に直交する方向における0次回折光(透過光や正反射光)の射出角度、βは同方向における1次回折光の射出角度(観察する方向に対応)である。
【0038】
最も一般的な条件として、表示体面に対して垂直方向に光が射出する条件を考慮する。この場合、1次回折光の射出角度β=0°であり、0次回折光の角度α=αとすると、上記(1)式は次のように簡略化される。
d=λ/sinα・・・・・(2)
また、主斜面fの傾斜角φを用いると、ブレーズド回折格子セルの最大高さhmaxは下記(3)式によって表される。
【0039】
max=d×tanφ・・・・・(3)
ここで、ブレーズド回折格子セルにおいて観察条件を一定の条件にした場合でも、波長λ毎に最大高さhmaxは異なる。一方、主斜面fの傾斜角φを一定にすると、ブレーズド回折格子セルの空間周波数νにより格子の高さhmaxが変化し、少なくとも可視波長帯域において、同一の観察条件においては波長λに依存することなくほぼ同様の回折効率が得られることになる。
【0040】
すなわち、ブレーズド回折格子セルを表示体10の画素構成要素として用いる場合、特定の観察条件において観察される各画素を構成しているブレーズド回折格子セルの傾斜角φを一定にすれば、任意の表示色がほぼ同様の回折効率、すなわちほぼ同様の輝度で表示可能となり、空間周波数νに依存する各画素の色に関してバランスの取れたカラー画像の表示を可能としている。
【0041】
特に、表面レリーフ型の回折格子の複製をエンボス等の技術で行う場合、通常、複製物には若干の格子の高さhの減少が見られ、従来技術では色のバランスが崩れてしまうが、本実施の形態によれば、格子の高さhの減少があっても全体の明るさが変化するだけで、安定したカラーバランスを実現するようにしている。
【0042】
従って、本実施の形態に係る表示体10においては、作製及び複製が極めて安定し、明るいカラー画像表示を可能とすると共に、極めて正確な色再現を容易に実現する。
【0043】
また、反射型のブレーズド回折格子セルにおいて、回折格子による回折効率、すなわち入射光に対する1次回折光の割合を最大にするためには、以下に示す(4)式を満たすように、主斜面fの傾斜角φが最適角度φoptになるように設計すればよい。
φopt=α/2 ・・・・・(4)
従って、本実施の形態において、ブレーズド回折格子の主斜面fの傾斜角φをφoptにすれば、極めて輝度の高いカラー画像の表示を可能としている。
【0044】
表示体10におけるブレーズド回折格子セル以外の回折格子セルについては、ブレーズド回折格子セルではない回折格子セル、例えば図2に示すように表示体面に対する断面が正弦波形状をなす回折格子セルや、図3に示すように表示体面に対する断面が矩形波形状をなす回折格子セルであっても構わない。これらブレーズド回折格子セルではない回折格子セルについても、稜線方向はブレーズド回折格子セルのものと同一(θ=θ=θ=θ)とすると、ブレーズド回折格子を同方向から同時に観察できる。
【0045】
各回折格子セルCについては、表示する画像の各画素の色に対応して空間周波数νを決定する。これによって、格子の稜線方向が一致する各回折格子セルCを画素としてカラー画像を表示するようにしている。また、表示する画像の各画素の輝度値に基づいて、各回折格子セルCの面積を設定することによって、これら各回折格子セルCによって階調表現された画像を表示するようにしている。
【0046】
次に、以上のように構成した本実施の形態に係る表示体の作用について説明する。
【0047】
すなわち、本発明の実施の形態に係る表示体は、図1(a)に示すように、マトリクス状に配置された複数の回折格子セルCから構成してなる表面レリーフ型の表示体10であって、図1(b)および図1(c)に示すように、回折格子セルCのうち少なくとも2つは、空間周波数νが互いに異なり、格子の稜線方向を互いに同一、すなわち基準方向eに対する稜線方向の角度を同一(θ=θ)とし、更に、図1(d)および図1(e)に示すように、表示体表面に対する傾斜角φが互いに同一(傾斜角φ=傾斜角φ)であるブレーズド回折格子セルから構成される。
【0048】
そして、各回折格子セルCのおのおのを画素として、図1(a)に示すような所望の画像が表示される。
【0049】
主斜面fの傾斜角φを一定にすると、ブレーズド回折格子の空間周波数νにより格子の最大高さhmaxが変化し、可視波長帯域において、同一の観察条件においては波長λに依存することなくほぼ同様の回折効率が得られる。
【0050】
すなわち、ブレーズド回折格子セルを表示体10の画素構成要素として用いる場合、特定の観察条件において観察される各画素を構成している各ブレーズド回折格子セルの傾斜角φを一定にすれば、任意の表示色がほぼ同様の回折効率、すなわちほぼ同様の輝度で表示され、空間周波数νに依存する各画素の色に関してバランスの取れたカラー画像が表示される。
【0051】
特に、表面レリーフ型の回折格子の複製をエンボス等の技術で行う場合、通常、複製物には若干の格子の高さhの減少が見られるが、本実施の形態によれば、格子の高さhの減少があっても傾斜角φの変化が一様であれば全体の明るさが変化するだけで、安定した色再現が実現される。
【0052】
上述したように、本実施の形態に係る表示体10においては、作製及び複製が極めて安定し、明るいカラー画像表示を可能とすると共に、極めて正確な色再現を容易に実現することができる。
【0053】
更に、反射型のブレーズド回折格子において、前記(4)式を満たすように、すなわち、主斜面fの傾斜角φが最適角度φoptになるように設計することによって、回折格子による1次の回折効率、すなわち入射光に対する1次回折光の割合を最大にすることができる。これによって、極めて輝度の高いカラー画像を表示することができる。
【0054】
各回折格子セルCについては、表示する画像の各画素の色に対応して空間周波数νが決定される。これによって、格子の稜線方向が一致する各回折格子セルCを画素としてカラー画像が表示される。また、表示する画像の各画素の輝度値に基づいて、各回折格子セルCの面積が設定されることによって、各回折格子セルCによって階調表現された画像が表示される。
【0055】
これにより、予め設定した観察条件下において、カラー表現された階調画像が特定方向から確実に観察されるようになる。
【0056】
なお、表示体10におけるブレーズド回折格子セル以外の回折格子セルについては、ブレーズド回折格子セルではない回折格子セル、例えば図2に示すような断面形状が正弦波状をなす回折格子セルや、図3に示すように断面形状が矩形波状をなす回折格子セルも用いられる。これらブレーズド回折格子セルではない回折格子セルについても、稜線方向はブレーズド回折格子セルのものと同一(θ=θ=θ=θ)とすると、ブレーズド回折格子を同方向から同時に観察できる。
【0057】
ブレーズド回折格子セルは+1次回折光のみが極めて高い回折効率を持つが、ブレーズド回折格子セル以外のこれら回折格子セルは、+1次回折光とー1次回折光の効率の差がほとんどないため、+1次回折光によりブレーズド回折格子セルと、これら回折格子セルによるカラー画像が観察され、−1次回折光によりこれら回折格子セルによる画像のみが観察される。これによって、ブレーズド回折格子セルによるカラー画像の表示効果よりもやや暗い画像が表示され、背景などの表示に用いることができる。
【0058】
上述したように、本実施の形態に係る表示体においては、上記のような作用により、複数種類のブレーズド回折格子セルの傾斜角φが、格子の空間周波数νに依らずに一定のため、容易に安定して製造することが可能となる。これは、回折格子セルの空間周波数νが観察時の色に対応するため、観察時の効果として、色のバランスを安定して再現できることを意味する。
【0059】
特に、表示する画像の各画素の色に対応して、各回折格子セルの空間周波数νを決定し、格子の稜線方向が一致する回折格子セルを画素としているので、カラー画像を表示すれば、色のバランスの取れた高品位な、つまり正確に色再現したカラー表示を実現することができる。
【0060】
また、表示する画像の各画素の輝度値に基づき、回折格子セルの面積を設定することにより階調表現された画像を表示することができる。これにより、正確な色再現を伴ったフルカラー画像を容易に得ることが可能となる。このとき、各画素において波長λを選択できるので、複数の回折格子セルの混色表示も利用して、通常の写真やCRT等よりも広い色域を表現することができる。
【0061】
更にまた、以上のような独特の視覚効果を利用して、本実施の形態に係る表示体を有価証券類に貼付することにより、真贋判定を容易とし、貼付された媒体に高い偽造防止効果を付与することも可能となる。
【0062】
なお、複数種類のブレーズド回折格子の鋸刃形状を、互いに相似形状とするようにしても良い。つまり、図1(a)に示すような表示体10に、図1(b)および図1(c)に示すような2種類のブレーズド回折格子セルC(#1)およびブレーズド回折格子セルC(#2)が設けられている場合、下記(5)式に示すように、(格子間隔d/格子高さh)を、ブレーズド回折格子セルC(#1)、およびブレーズド回折格子セルC(#2)の場合ともに等しくする。
/h=d/h ・・・(5)
これによって、機械切削等のように、同一形状の凹凸を形成する装置で、より容易に作製することが可能となる。
【0063】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態を図4から図5を用いて説明する。
【0064】
本実施の形態に係る表示体は、第1の実施の形態に係る表示体の変形例であるので、ここでは異なる部分のみについて説明する。
【0065】
すなわち、本実施の形態に係る表示体は、第1の実施の形態に係る表示体に配置されていた複数種類のブレーズド回折格子セルのうち、格子の稜線方向を互いに同一とし、表示体10の表面である表示体面に対する法線ベクトルを中心として、各主斜面fに対する法線ベクトルが互いにほぼ対称になるようなブレーズド回折格子セルを含んでいる。
【0066】
図4および図5を用いて具体的に説明する。
【0067】
図4(a)に平面図および図4(b)に断面図を示すようなブレーズド回折格子セルC(#5)と、図5(a)に平面図および図5(b)に断面図を示すようなブレーズド回折格子セルC(#6)とはそれぞれ、図1に示す第1の実施の形態に係る表示体10に含まれるブレーズド回折格子セルであって、空間周波数νが互いに異なり、格子の稜線方向を互いに同一、すなわち基準方向eに対する稜線方向の角度を同一(θ=θ)とし、更に、表示体表面に対する傾斜角φが互いに同一(φ=φ)であるブレーズド回折格子セルからなる。
【0068】
しかしながら、図1に示す場合と異なり、図4および図5に示すように、ブレーズド回折格子セルC(#5)とブレーズド回折格子セルC(#6)とは、それぞれ主斜面fに対する法線ベクトルを対称としている。すなわち、ブレーズド回折格子セルC(#5)の主斜面fに対する法線ベクトルと、ブレーズド回折格子セルC(#6)の主斜面fに対する法線ベクトルとは、対称になっている。
【0069】
これによって、表示体表面の法線ベクトルjに対するブレーズド回折格子セルC(#5)の主斜面fの法線ベクトルkの方向と、表示体面の法線ベクトルjに対するブレーズド回折格子セルC(#6)の主斜面fの法線ベクトルkの方向とは、表示体面の法線ベクトルjを中心として互いに対称となる。
【0070】
本実施の形態に係る表示体は、上述したような構成をしているので、法線ベクトルk同士が表示体面の法線ベクトルjを中心として対称をなしているブレーズド回折格子セルによって、それぞれ別のカラー画像を表示することができるので、第1の実施の形態で奏される作用効果に加えて、一つのカラー画像が観察できる観察条件において、表示体10の表面を180°回転させると、別のカラー画像を観察することが可能となる。
【0071】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態を図6を用いて説明する。
【0072】
本実施の形態に係る表示体は、第1の実施の形態に係る表示体の変形例であるので、ここでは異なる部分のみについて説明する。
【0073】
すなわち、本実施の形態に係る表示体は、第1の実施の形態に係る表示体に配置されていた複数種類のブレーズド回折格子セルの、各副斜面gの表示体面に沿った長さmをほぼ同一としている。
【0074】
図6を用いて具体的に説明する。
【0075】
図6(a)にその断面図を示すようなブレーズド回折格子セルと、図6(b)にその断面図を示すようなブレーズド回折格子セルとはそれぞれ、図1に示す第1の実施の形態に係る表示体10に含まれるブレーズド回折格子セルであって、空間周波数νが互いに異なり、格子の稜線方向を互いに同一とし、更に、表示体表面に対する傾斜角φが互いに同一(φ=φ)であるブレーズド回折格子からなる。
【0076】
しかしながら、図6(a)にその断面図を示すブレーズド回折格子セルは、図6(b)にその断面図を示すブレーズド回折格子セルよりも主斜面fの長さが長く(f=f)、格子高さhも高い(h=h)。しかしながら、図6(a)にその断面図を示すブレーズド回折格子セルの各副斜面gの表示体表面に沿った長さmと、図6(b)にその断面図を示すブレーズド回折格子セルの各副斜面gの表示体表面に沿った長さmとはそれぞれ等しい。
【0077】
本実施の形態に係る表示体は、このように各ブレーズド回折格子セルの副斜面gの表示体面に沿った長さmを等しくしているので、第1の実施の形態で奏される作用効果に加えて、エッチングなどの化学的な凹凸の形成方法や、電子線描画などの微細加工方法により容易に、かつ高精度に作製することが可能となる。
【0078】
(第4の実施の形態)
本実施の形態に係る表示体は、第1の実施の形態に係る表示体の変形例であるので、ここでは異なる部分のみについて説明する。
【0079】
すなわち、本実施の形態に係る表示体は、第1の実施の形態に係る表示体に配置されていたブレーズド回折格子セルを複数グループに分類し、各グループにおけるブレーズド回折格子セルの稜線方向を異なるようにしたものである。つまり、異なる稜線方向をとる複数グループのブレーズド回折格子セルを含んでいる。
【0080】
本実施の形態に係る表示体は、上述したような構成をしているので、予め設定する観察条件を複数とし、それに対応してブレーズド回折格子セルの稜線方向を複数種類とすることにより、各条件に合致した観察を行った時に各条件に合致した画像をそれぞれ観察することが可能となる。
【0081】
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0082】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ブレーズド回折格子を用いることによって、高い回折効率を有するとともに、色のバランスの取れた高品位なカラー画像表示を可能とする表示体を実現することができる。更に、このような表示体を容易に製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態に係る表示体の概念を説明するための図
【図2】 表示体断面が正弦波形状の回折格子セルの概念を説明するための図
【図3】 表示体断面が矩形波形状の回折格子セルの概念を説明するための図
【図4】 第2の実施の形態に係る表示体を説明するためのブレーズド回折格子の断面図
【図5】 第2の実施の形態に係る表示体を説明するためのブレーズド回折格子の断面図
【図6】 第3の実施の形態に係る表示体を説明するためのブレーズド回折格子の断面図
【符号の説明】
10…表示体、C…回折格子セル

Claims (9)

  1. 複数の回折格子セルのおのおのを画素として画像を表示する表面レリーフ型からなる表示体において、
    前記回折格子セルのうち少なくとも2つは、主斜面と副斜面とを交互に配置することによって鋸刃状の断面形状となるブレーズド回折格子であって、空間周波数が互いに異なり、格子の稜線方向が互いにほぼ同一であり、前記主斜面の傾斜角が互いにほぼ同一である表示体。
  2. 複数の回折格子セルのおのおのを画素として画像を表示する表面レリーフ型からなる表示体において、
    前記各回折格子セルのうち少なくとも1つは、第1の主斜面と第1の副斜面とを交互に配置することによって鋸刃状の断面形状となる第1のブレーズド回折格子からなる回折格子セルであり、
    残りの回折格子セルのうちの少なくとも1つは、第2の主斜面と第2の副斜面とを交互に配置することによって鋸刃状の断面形状となる第2のブレーズド回折格子からなる回折格子セルであり、
    前記第1および第2のブレーズド回折格子は、空間周波数を互いに異とし、前記格子の稜線方向を互いにほぼ同一とし、前記主斜面の傾斜角を互いにほぼ同一とする表示体。
  3. 表示する画像の各画素の色に対応して前記各回折格子セルの空間周波数を決定し、格子の稜線方向をほぼ同一とする回折格子セルを画素としてカラー画像を表示するようにした請求項1または請求項2に記載の表示体。
  4. 前記各回折格子セルのうち、格子の稜線方向が互いに異なる回折格子セルを有している請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の表示体。
  5. 格子の稜線方向を互いにほぼ同一とし、表示体面に対する法線ベクトルを中心として、各主斜面に対する法線ベクトルが互いにほぼ対称になるようなブレーズド回折格子セルを含む請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の表示体。
  6. 前記複数の回折格子セルのうちの何れかは、格子の稜線方向を前記複数のブレーズド回折格子のうちの何れかとほぼ同一とし、正弦波形状または矩形波状の断面形状を有する請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の表示体。
  7. 表示する画像の各画素の輝度値に基づいて前記各回折格子セルの面積を設定することにより、前記画像を、前記各回折格子セルによって階調表現して表示するようにした請求項1乃至6のうち何れか1項に記載の表示体。
  8. 前記空間周波数の互いに異なる各ブレーズド回折格子の鋸刃状の断面形状を互いに相似形状にした請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の表示体。
  9. 前記空間周波数の互いに異なる各ブレーズド回折格子における前記各副斜面の稜線方向に直交する長さをほぼ同一とした請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の表示体。
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