JP4237077B2 - 転炉排ガス処理装置の排ガス流量の算出方法 - Google Patents
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Description
転炉の操業では、一酸化炭素(CO)を主成分とする転炉ガスが多量に発生するが、この転炉ガスは冷却し除塵した後、有価ガスとして回収される。この転炉ガスは、高温であって多量の塵を含むため、冷却器で冷却した後、除塵装置により除塵される。この除塵装置としては、湿式集塵器を用いたシステムと乾式電気集塵器を用いたシステムがある。
上記の問題を解決するために、電気集塵器を用いた転炉排ガス処理装置において、スタビライザ入口と出口のガス温度、及び排ガス流量によりスタビライザへの噴霧水量を制御して、前記電気集塵器入口のガス温度を制御する方法は、特公昭61−56289号公報に開示されているように、既に提案されている。
しかし、この方法においても、ダスト中に捕捉される噴霧水量、または水滴としてスタビライザ下部に落下する噴霧水量が不明のため、排ガス中の水蒸気量やガス密度を求めることができず、正確な排ガス流量を計測することができなかった。
このために、従来の技術では次のような問題があった。
(1) スタビライザ出口(電気集塵器入口)のガス温度を高い精度で制御することができない。
(2)排ガス流量と排ガス中のCO,CO2 濃度を用いて、吹錬の終点制御をした場合、その精度が劣る。
(3) 正確な回収ガスの回収量の把握ができない。
(4) 排ガス流量を用いたガスバランス・マテリアルバランスの算出に支障がある。
乾式電気集塵器を用いた転炉排ガス処理装置であって、誘引送風機の入口ガス圧力検出器と、出口ガス圧力検出器と、入口ガス温度検出器と、前記誘引送風機の回転数検出器と、前記誘引送風機駆動用電動機の電流値検出器と、排ガス分析器と、炉内吹込み酸素流量検出器とを備えた転炉排ガス処理装置において、
前記誘引送風機を定格回転数以下の所定回転数として、温度と密度が既知のガス体の基準性能曲線Iを作成し、
実操業で実測した前記誘引送風機の入口ガス温度と入口ガス圧力と回転数によって、前記基準性能曲線Iを補正して性能曲線IIを作成し、
前記性能曲線IIの送風機全圧曲線と、実操業で実測した前記誘引送風機全圧の等圧線との交点から複数の排ガス流量を求め、
実操業で実測した排ガス中のCO又はCO2濃度と、炉内吹込み酸素流量とにより、前記複数の排ガス流量のうちの1つを特定して、
転炉排ガス処理装置の排ガス流量を算出することである。
誘引送風機回転数の変動が±20%以内である通常の転炉操業でのガス量変動範囲においては、ガス流量、ガス圧力、軸動力と誘引送風機回転数との間に比例関係が成立する。性能曲線IIは基準性能曲線Iを本関係にもとづく回転数による補正以外に、実操業での誘引送風機の入口ガス温度と入口ガス圧力によって使用状態に補正しているから、実操業状態での性能曲線となっている。この実操業状態での性能曲線IIの送風機全圧曲線と、実操業で実測した誘引送風機全圧(吸込圧力+吐出圧力)との交点により、複数の排ガス流量が求まり、さらに、実操業で実測した排ガス中のCO又はCO2濃度と、炉内吹込み酸素流量とにより、前記複数の排ガス流量から1つを特定することができる。
実施態様は、上記解決手段において、性能曲線IIの電流値曲線における特定された排ガス流量に対応する電流値と、実操業で実測した電流値と、基準性能曲線Iのガス密度とから、実操業での排ガスの密度を求めることである。
〔作 用〕
性能曲線IIは使用状態のガス密度が未知のため基準性能曲線Iのガス密度として作成されるが、実操業での排ガス密度は、(基準性能曲線Iのガス密度)×(実操業での実測電流値)/(基準性能曲線Iの電流値)を計算することにより、求めることができる。
(1) 請求項1に係る発明の効果
予めガス温度、ガス密度が既知の気体を用いて、誘引送風機を所定の回転数として基準性能曲線Iを作成し、この基準性能曲線Iを補正して性能曲線IIを作成し、この性能曲線IIの送風機全圧曲線と、実操業で実測した前記誘引送風機全圧の等圧線との交点から複数の排ガス流量を求め、実操業で実測した排ガス中のCO又はCO2濃度と、炉内吹込み酸素流量とにより、前記複数の排ガス流量のうち1つを特定して、転炉排ガス処理装置の排ガス流量を算出することにより、ベンチュリ管、オリフィス、ピトー管等の流量計を用いることなく、ガス密度が不明であっても、正確な排ガス流量を求めることができ、スタビライザ出口のガス温度を高精度に制御可能であり、吹錬の終点制御の精度向上が可能となり、また回収ガスの回収量、ガスバランス・マテリアルバランスの算出を正確に把握できるようになった。
上記請求項1の発明の効果の他に、実操業での排ガス密度を求めることができる。
この実施例の説明に用いるのは、軸流ファン及び乾式電気集塵器を用いた転炉排ガス処理装置であり、次のような仕様を備えている。
転炉容量:250T/Heat
送酸量:60000m3 N/Hr
処理ガス量:180000m3 N/Hr
誘引送風機容量:180000m3 N/Hr
誘引送風機昇圧能力:600mmAq
(ガス回収時吸込圧力/吐出圧力=−200mmAq/400mmAq)
誘引送風機吸込ガス温度:200℃
誘引送風機吸込ガス比重量:1.432Kg/m3 N
誘引送風機回転数:1800rpm
誘引送風機の吸込ガス温度:150℃
回転数:1620rpm
吸込圧力:−150mmAq
吐出圧力:320mmAq
送酸量:60000 m3 N/Hr
CO濃度:70%、CO2 濃度:16%、N2 濃度:14%
電流値:199A
即ち、炉内に吹込まれた純酸素は、溶銑中の炭素と反応し100%濃度のCOガスとして発生するが、その一部は炉内での燃焼、所謂炉内2次燃焼と炉口から吸込んだ空気による燃焼(炉口燃焼)により、ガス回収型の転炉排ガス処理装置ではCO濃度は吹錬初期を除き70〜85%となる。
したがって、炉内吹込み酸素流量と排ガス中のCOまたはCO2 濃度が判れば転炉排ガス流量は図4に示す関係となり、炉内2次燃焼率と炉口燃焼率が不明であっても概略の排ガス流量が想定できるため、前記性能曲線II上で排ガス流量が特定できることになる。
実施例では測定値のCO濃度70%から、図4のCO濃度が70%の点に垂線Eを引き、曲線(a)と(d)の交点から水平に引いた線G,Fの排ガス量比との交点が求まり、その値は送酸量の1.9〜2.5倍の範囲となる。この係数を用いて排ガス量を求めて、更に測定時の送風機吸込み状態(−150mmAq、150℃)に換算すると、求める排ガス流量は2990m3 /min.〜3930m3 /min.の範囲の中にあり、上記実操業での実測時の誘引送風機吸込み排ガス流量は、図3の性能曲線II上における交点Cの3850m3 /min.となる。
一方、ガス回収型の転炉排ガス処理装置には必ず排ガス分析計が設置されるから、排ガス組成と先に求めたガス密度から基準状態の排ガス流量と水蒸気量を求めることができる。
また、実施例は軸流送風機を使用した例について既述したが、軸流送風機に限られるものではなく、他の型式の送風機を使用した場合でも、本発明に包含される。
2:冷却器
3:スタビライザ
4: 排ガス流量計
5:乾式電気集塵器
6:軸流送風機
7:切替ダンパ
8:放散筒
9:ガス回収ダクト
Claims (2)
- 乾式電気集塵器を用いた転炉排ガス処理装置であって、誘引送風機の入口ガス圧力検出器と、出口ガス圧力検出器と、入口ガス温度検出器と、前記誘引送風機の回転数検出器と、前記誘引送風機駆動用電動機の電流値検出器と、排ガス分析器と、炉内吹込み酸素流量検出器とを備えた転炉排ガス処理装置において、
前記誘引送風機をその定格回転数以下の所定回転数として、温度と密度が既知のガス体の基準性能曲線Iを作成し、
実操業で実測した前記誘引送風機の入口ガス温度と入口ガス圧力と回転数によって、前記基準性能曲線Iを補正して性能曲線IIを作成し、
前記性能曲線IIの送風機全圧曲線と、実操業で実測した前記誘引送風機全圧の等圧線との交点から複数の排ガス流量を求め、
実操業で実測した排ガス中のCO又はCO2濃度と、炉内吹込み酸素流量とにより、前記複数の排ガス流量のうち1つを特定すること、
を特徴とする転炉排ガス処理装置の排ガス流量の算出方法。 - 上記性能曲線IIの電流値曲線における上記特定された排ガス流量に対応する電流値と、上記実操業で実測した電流値と、上記基準性能曲線Iのガス密度とから、実操業での排ガス密度を求めることを特徴とする請求項1に記載の転炉排ガス処理装置の排ガス流量の算出方法。
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