JP4235991B2 - パチンコ機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一例であるパチンコ機は、正面側に、多数の障害釘や各種入賞装置等を配置した円状の遊技領域を有しており、遊技領域を流下する遊技球が特定の入賞装置へ入賞したか否か、あるいは遊技者にとって有利な大当たり状態が生起しているか否かといった遊技の状態に応じ、様々な演出を行う。演出は、遊技領域内の図柄表示装置による様々な図柄の表示と、遊技領域の周縁に配置された電飾ランプの点滅と、パチンコ機内部のスピーカーによる発音とによって、その大半が行われる。
【0003】
そして、図16に示すように、パチンコ機301は、図柄表示CPU332を有し図柄表示装置を制御する図柄表示基板312と、それぞれ電飾CPU322を有し電飾ランプを制御する複数の電飾基板318・・と、図柄表示基板312、スピーカー316及び各電飾基板318を制御する主基板314とを備えている。主基板314は、数ms(ミリ秒)ごとの割込みを発生する主CPU320を備えており、各基板312,316及びスピーカー316に、信号334〜336を送って制御を行う。
【0004】
信号334〜336は、割込みごとに逐次送られるものであって、図柄表示基板312に対する信号334は、アニメーションにおけるコマの種類あるいは所定部分の位置が少しずつ変わった情報を表すものであり、スピーカー316に対する信号335は、音階を維持するか変ずるかの情報を表すものであり、電飾基板に対する信号336は、点灯あるいは消灯状態を維持するかどうかの情報を表すものである。なお、不正情報の流入を防止するため、各基板312,318及びスピーカー316から主制御装置314へ信号を発することはない。また、主基板314は、遊技球の払い出し装置を制御する払い出し基板340と、入賞装置の奥等に配置される遊技球検出器342,342・・とも、電気的に接続されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のパチンコ機301では、演出を行うため、主制御装置314は、割込みごとに、信号334〜336を発する。よって、発信に際しノイズを拾ってしまった場合にも、割込みに同調して制御を行うので、瞬間的ではあるが、図柄表示装置の画質が損なわれ、電飾ランプの点滅が不明瞭になり、音質が劣化する等、誤動作の原因となってしまう。また、主基板314と各基板312,318あるいはスピーカー316との接続線のいずれかに、信号334〜336の発信タイミングを読み取って割込みを割り出す不正基板を取り付け、不正な制御を行うといった行為が可能となってしまう。
【0006】
更に、主基板314は、演出に関する制御情報についても、割込みごとに発信しなければならない一方、払い出し基板340や遊技球検出器342等も制御するために、複雑な演出が困難となっている。加えて、電飾基板318ごとに電飾CPU322が設けられており、電飾CPU322が多数必要となる。
【0007】
したがって、本発明の課題は、誤動作を抑え、割込みの割り出しに基づく不正行為を防止し、多彩な演出をシンプルな構成で効率よく実行することができる遊技機を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のうち、請求項1に記載の発明は、遊技者にとって価値のある特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、所定条件の充足により、変動表示後に確定表示され、前記確定表示された種類により前記特別遊技状態の有無を報知し、特別図柄を表示する図柄表示手段と、効果音発生手段を制御する音制御手段、及び、電飾手段を制御する電飾制御手段のうち少なくとも一方と、コマンドを発信する主制御手段と、前記図柄表示手段、並びに、前記音制御手段及び前記電飾制御手段のうち少なくとも一方を、前記主制御手段からのコマンドに基づいて制御するコマンド処理手段とを含み、前記コマンドには、前記図柄表示手段における前記特別図柄に関する前記変動表示、並びに、前記効果音発生手段における発音及び前記電飾手段における電飾点灯のうち少なくとも一方に係る時間を指定する第1コマンドと、前記確定表示の種類を指定する第2コマンドと、前記時間の経過後において発せられる、前記図柄表示手段における前記確定表示の実行を指令する第3コマンドとが含まれており、前記コマンド処理手段は、前記第1コマンドに基づいて、前記図柄表示手段に、前記時間の経過後も継続する前記変動表示をさせるとともに、前記音制御手段に、前記時間の経過時に停止する、前記発音の制御をさせ、及び/または、前記電飾制御手段に、前記時間の経過時に停止する、前記電飾点灯のの制御をさせ、前記第3コマンドに基づいて、前記図柄表示手段に、前記第2コマンドの種類に基づく 前記確定表示をさせるとともに、前記音制御手段及び前記電飾制御手段のうち少なくとも一方に、前記発音及び前記電飾点灯のうち少なくとも一方の一旦停止制御をさせることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態につき、図面に基づいて説明する。図1は、遊技機の一例であるパチンコ機の正面説明図、図2はパチンコ機の構成を示す説明図であって、パチンコ機1は、正面上半部に、障害釘2,2・・や、図柄始動口4、アタッカー6、普通図柄始動ゲート21,21等の各種入賞口等を配置した円状の遊技領域8を備えている。図柄始動口4とアタッカー6の奥、及び各普通図柄始動ゲート21の周りには、それぞれ遊技球検出器16が設けられている。また、通電39をすると磁力により図柄始動口4あるいはアタッカー6を入賞容易あるいは可能に開放するソレノイド15が、それぞれの内部に設置されている。加えて、遊技領域8の両側部には、それぞれ電飾ランプ3が配置されている。各電飾ランプ3は、内側にLED5,5・・を搭載した、電飾手段としての電飾基板9を備えている。
【0014】
また、遊技領域8の中央には、遊技内容を表現する特別図柄26等の図柄を表示可能な図柄表示部10を備えた、図柄表示装置12が設けられている。図柄表示装置12の内部構成を図3に示す。図柄表示装置12は,図柄表示部10における表示を制御する、図柄表示手段としての図柄表示基板30を備えている。図柄表示基板30には、図柄表示CPU32と、RAM33及びROM34と、コマンド出力端子31とが、各種インターフェイス(図示せず)を介して電気的に接続(インターフェイスを含め単に接続という)されており、更にこれらの調整回路27を搭載している。調整回路27はまた、液晶パネルからなる図柄表示部10とも接続されている。なお、図柄表示装置12は、4つのLEDからなる入賞記憶表示部13を備えており、入賞記憶表示部13は、図柄表示装置12の外部にある、図柄表示装置12周辺のLED5,5・・についての電飾基板9に接続されている。
【0015】
一方、アタッカー6の下側には、普通図柄表示部19及び普通入賞記憶表示部20が設けられている。普通図柄表示部19は7セグメントLEDで構成され、普通図柄表示基板25と接続されている。また、普通入賞記憶表示部20は、普通図柄表示部19近傍に配置された4つのLEDからなり、アタッカー6の裏側の電飾基板9と接続されている。
【0016】
更に、遊技領域8の下方には、供給皿42が突設されており、更に下方には、貯留皿43が突設されている。また更に、貯留皿43の右方には、ハンドル45が突設されている。一方、供給皿42の奥側には、効果音発生手段としてのスピーカー7が内設されている。
【0017】
加えて、図4に示すパチンコ機1の背面側には、ハンドル45と連結された発射装置46が設けられている。また、パチンコホールの遊技球循環装置からの遊技球を貯える遊技球タンク48が上側に設けられているとともに、遊技球タンク48と、貯留皿42及び供給皿43とを結ぶ遊技球通路の途中に、所定個数の遊技球を送り出す遊技球払い出し装置17aが設けられている。遊技球払い出し装置17aは、払い出し基板17により制御される。そして、図柄表示装置12と発射装置46との間に位置したカバー11の奥には、主制御手段としての主基板14が搭載されている。
【0018】
主基板14は、2msごとの割込みを発生可能な主CPU18を備えているとともに、図柄表示基板30との間に配置されるコマンド処理基板50と接続されている。コマンド処理基板50は、コマンド処理CPU52を備えている。なお、主基板14は、ソレノイド15・・、遊技球検出器16・・、払い出し基板17、普通図柄表示基板25等の部材と接続されている。また、不正防止のため、主基板14と外部部材との接続において、双方向通信をしないように構成されている。なお、コマンド処理基板50の近傍には、電飾制御手段としての電飾制御基板28と、音制御手段としての音制御基板58とが設置されている。電飾制御基板28は、電飾制御CPU29を備えているとともに、各電飾基板9と接続されている。また、音制御基板58は、音制御CPU59を備えているとともに、スピーカー7と接続されている。
【0019】
そして、コマンド処理基板50は、図柄表示基板30と双方向通信自在に接続されているとともに、スピーカー7及び電飾制御基板28と接続されている。なお、各種CPU18,29,52,59は、図柄表示CPU32のように、RAMやROMと共動するものであるが、図柄表示CPU32も含め、対応するCPU18,32,52,59の動作、あるいは基板14,30,50,58自体の動作として説明する。RAMやROMは,図柄表示CPU32のように基板上に実装されるもの、CPUと併せワンチップで構成したもの、といった構成が存在する。
【0020】
上記構成のパチンコ機1の動作につき、次に説明する。パチンコ機1の電源を入れると、主基板14の主CPU18は、割込みごとに、記憶した分岐用変数に基づいて分岐する同一プログラムを、繰り返し実行し始める。分岐用変数は、メインRAM30内の各種フラグ・変数等に基づいて変更される。一方で、主CPU18は、一定の値域の下で繰り返し割込みごとに1増加するループカウンタ(例えば0〜311、311の後0に戻る)を各種駆動し始める。
【0021】
そして、遊技者が供給皿42に遊技球を入れると、遊技球が発射装置46に供給される。更に、遊技者がハンドル45を捻ると、発射装置46は、捻り角度に応じた強度で、供給された遊技球を遊技領域8へ弾く。遊技領域8に達し流下した遊技球が、いずれかの普通図柄始動ゲート21を通過すると、周りの遊技球検出器16が、主基板14へ検出信号40を発する。検出信号40を受けた主CPU18は、自身が記憶する普通入賞記憶Zの値を、所定上限の4に達していない限り、1増す。
【0022】
普通入賞記憶Zの値は、普通入賞記憶表示部20に、次に述べるように、主基板14が発するコマンド信号35を用いて表示される。主基板14は、検出信号40を受けると、更新された普通入賞記憶Zの値に基づき、図5の下5段のような2バイトのコマンドを生成する。例えば、Zが3になったとすると、コマンド「91H・04H」(Hは16進数の意)を作成する。作成後、コマンド処理基板50へ、コマンドをコマンド信号35として送る。
【0023】
コマンド処理基板50は、1バイト目(DATA1)が「91H」のコマンドを受けると、2バイト目(DATA2)に応じた態様で普通入賞記憶表示部20のランプを点灯するよう、電飾制御基板28に電飾制御信号38を送る。電飾制御信号38は、コマンドに近いものであるが、実際に点灯しているランプの数を電飾制御基板28から返してもらうことを指示することができ、換言すれば双方向通信が指定可能な点で、コマンドと相違するものである。なお、DATA1が「91H」である場合には、図柄表示基板30及び音制御基板58へ信号は発せられない(NO CARE)。
【0024】
普通入賞記憶表示部20に関する電飾制御信号38を受けた電飾制御基板28は、電飾制御信号38に基づき、アタッカー6奥の電飾基板9にLEDの点消灯の指令としての電飾信号44を送り、結局、普通入賞記憶Zの値分だけ、普通入賞記憶表示部20においてランプが点灯する。
【0025】
主基板14は一方で、普通入賞記憶Zが1以上であれば、普通入賞記憶Zの値を1減じて、普通図柄表示部19における普通図柄表示ゲームの開始を、普通図柄表示基板25に指示する。なお、普通入賞記憶Zを減じる場合も、DATA1が91Hであるコマンドを送信し、普通入賞記憶表示部20の表示をする。
【0026】
普通図柄表示ゲームは、所定時間(例えば30秒)の変動表示の後、一桁の数字である普通図柄を、普通図柄表示部19に確定表示(2秒以上の静止表示)することにより行う。そして、普通図柄が奇数で確定表示されると、図柄始動口4の役物が断続的に一定時間開放し、図柄始動口4に入賞し易くなるという有利な状態となる(小当たり)。
【0027】
普通図柄は、主基板14において、小当たり判定用ループカウンタの瞬時値Yの範囲と対応付けて選択され、主基板14が、普通図柄表示部19において、選択された普通図柄につき変動表示後に確定表示されるよう、普通図柄表示基板25を直接に逐次制御する(従来方式)。
【0028】
他方、遊技球が図柄始動口4に入賞した場合について説明する。図柄始動口4奥の遊技球検出器16が主基板14へ発した検出信号40を受けた主CPU18は、RAM20内の入賞記憶Nの値を、所定上限の4に達していない限り、1増すとともに、各種ループカウンタの瞬時値を取り出し、入賞記憶Nの順序に対応付けて保存する。
【0029】
また、主基板14は一方で、所定条件として入賞記憶Nが1以上であるかを判断し、真であり条件を充足していれば入賞記憶Nの値を1減じて、図柄表示ゲームを開始する。なお、入賞記憶Nの値は、入賞記憶表示部13において、普通入賞記憶部20と同様のコマンド(DATA1が90H、DATA2は10H〜14H、図5)により、左詰めで表示される。
【0030】
図柄表示ゲーム処理100を、高レベルのフローチャートとして図6に示す。図柄表示ゲーム処理100において、主基板14は、減じた入賞記憶Nに対応する、存在するうち最前に記憶された各種ループカウンタの瞬時値の記憶や、初期値0の各種フラグ・変数・記憶を利用する。
【0031】
なお、本実施形態では、図柄表示ゲームは、図7に示すような、それぞれ1つの麻雀牌を表した左図柄22、中図柄24及び右図柄23(各12種)から構成される特別図柄26について行われる。特別図柄26は、図柄表示ゲームごとに、各左図柄等22〜24のスクロールによって変動表示され、中図柄24を最後にスクロールした後で全左図柄等22〜24を停止して、1種類につき確定表示される。確定表示された特別図柄26の種類が、同一種類の左図柄等22〜24から構成された大当たり図柄(「一萬・一萬・一萬」〜「中・中・中」の12種)に相当すると、パチンコ機1は、遊技者にとって有利となる特別遊技状態(大当たり)を生起する。また、更に特定の大当たり図柄(三萬,伍萬,七萬,白,發,中に係るもの、確変図柄)に該当すると、パチンコ機1は、大当たりに引き続き、遊技者にとって更に有利となる高確率状態を生起する。なお、高確率状態における特別図柄の変動を高確率変動という。また、高確率状態でない場合を低確率状態といい、更に高確率変動と同様に低確率変動の語を定義する。
【0032】
図柄表示ゲーム処理100にあたり、主基板14は、まず、値域が0〜311である大当たりループカウンタの瞬時値の記憶である大当たり記憶Vが、所定値7であるかどうかの大当たり判定102を行う。大当たり記憶Vが7であれば、大当たりフラグBを1とする。
【0033】
次に、第1コマンド決定処理104を実行する。第1コマンドは、DATA1が80H若しくは81Hであり、DATA2ごとに図8に示すような内容を有する。当該内容は、図柄表示基板30への変動表示指令、スピーカー7の発音指定及び電飾点灯指定という3種類の内容を一括して含み、主として変動表示をする通算時間(変動時間)ごとに分かれたものである。なお、低確率状態に対応するコマンド(DATA1=80H)のみ図8に示すが、高確率状態のコマンド(DATA1=81H)の内容は、低確率状態のものと同様である。
【0034】
主基板14は、図9に示すように、大当たりフラグBや入賞記憶Nといった値等ごとに、値域が0〜410の第1コマンド決定用ループカウンタに基づく第1コマンド決定記憶Pと、第1コマンドとの対応を示す、データテーブル90,90・・が記憶されている。そして、第1コマンド決定処理104において、主基板14は、第1コマンド決定記憶Pを参照し、対応するデータテーブル90に当てはめて、対応した第1コマンドを引き出す。なお、第1コマンド決定処理104においては、割込みごとに値を1減算し、0となることをほぼ毎回判断(モニタ)して時間経過を知らせる減算タイマGの値を、第1コマンドで指定される変動時間に相当する値(変動時間が5秒であれば2500)に準備しておく。減算タイマGの値は、主CPU18により減算される。
【0035】
即ち、低確率状態における第1コマンド決定処理104においては、大当たりフラグBが0であり、かつ入賞記憶Nの値が4未満である場合、例えば第1コマンド決定記憶Pが1であると、0〜360の範囲内であるので、第1コマンドが「80H・02H」と決定され、379(361〜380)であると、第1コマンドが「80H・01H」と決定され、383(381〜387)であると、第1コマンドが「80H・03H」と決定される。
【0036】
また、低確率状態において、大当たりフラグBが0であり、かつ入賞記憶Nの値が上限の4である場合、第1コマンドは、第1コマンド決定記憶Pが0〜360であると「80H・01H」、361〜380だと「80H・02H」・・といったように決定される。なおこの場合、最も短い変動時間に対応する「80H・01H」と決定される確率が比較的に高く、したがって、変動時間が平均して短くなる。
【0037】
更に、低確率状態において大当たりフラグBが1である場合、第1コマンドは、第1コマンド決定記憶Pが0〜200であると「80H・03H」、201〜300であると第1コマンド「80H・04H」・・といったように決定され、「80H・01H」「80H・02H」に決定されることはない。
【0038】
第1コマンド決定処理104に続いては、図10に高レベルに示す、第2コマンド決定処理106に移る。第2コマンドは、停止される左図柄等22〜24(停止図柄)の種類をそれぞれに指定する左,右,中小コマンドの集合であり、各小コマンドは、第1コマンドと同様に2バイト数で表現される。各小コマンドのDATA1には、左小コマンドが「82H」、右小コマンドが「84H」、中小コマンドは「83H」が与えられる。また、各小コマンドのDATA2は、図11に中小コマンドについて示すように、左図柄等22〜24を構成する麻雀牌に対応した数値01H〜0CHをとる。
【0039】
各小コマンドのDATA2は、値域が0〜11(0BH)である左,右,中小コマンド用ループカウンタWL,WR,WC(L,R,Cはそれぞれ左図柄22,右図柄23,中図柄24についてのループカウンタや記憶等であることを示し、以下同様とする)の瞬時値の記憶である左〜中小コマンド決定記憶SL〜C、大当たりフラグB、第1コマンドのDATA2等に基づいて決定される。なお、右コマンド用ループカウンタWRは、左小コマンド用ループカウンタWLが1回りすると(11から0になると)値を1つカウントすることとなり、右,中小コマンド用ループカウンタWR,Cの関係も同様である。右,中小コマンド用ループカウンタWR,C以外のループカウンタは、1割込みごとに駆動される。
【0040】
主CPU18は、まず、ブロック130において、大当たりフラグBを参照する。大当たりフラグBが0である場合には、更にブロック131において、第1コマンドのDATA2を参照する。当該DATA2が03H未満であると、最終的に、ブロック136において、各小コマンド決定記憶SL〜Cに1加えたものを各小コマンドのDATA2とし、記憶する。ただし、ブロック132で左右小コマンド決定記憶SL,Rが一致しているか否か判断し,一致している場合には、ブロック134で右小コマンド決定記憶SLを1増した後、右小コマンドのDATA2を決定して、必ず異なるものを指定されることとする。なお、加算の結果、右小コマンド決定記憶SRが12となると、0に戻して扱う。
【0041】
例えば、小コマンド決定記憶SL〜Cがそれぞれ0,1,2であるとき、左〜中小コマンドのDATA2を、順に01H,02H,03Hとし、組み合わせで「一萬・三萬・二萬」という種類に係る特別図柄26を指定するものとする。また、小コマンド決定記憶SL〜Cが11,11,11のときは、右小コマンド決定記憶SRを12とし、下限0に戻して、左〜中小コマンドのDATA2を0CH,01H,0CHとし、「中・中・一萬」の種類の特別図柄26を指定するものとする。このように、大当たりフラグBが0であると、主CPU18は、小コマンドのDATA2を、大当たり図柄以外の種類(はずれ図柄)を表すものにする(図8)。
【0042】
一方、主CPU18は、大当たりフラグBは0であるが第1コマンドのDATA2が03H以上である場合、ブロック138に移行して、左小コマンド決定記憶SLを右小コマンド決定記憶SRに複製するとともに、ブロック142において、中小コマンド決定記憶SCに、左小コマンド決定記憶SLから所定値ずらしたものを複製して、最終的に、ブロック136において、左図柄22と右図柄23とが揃う種類(リーチ図柄)のうち、最後に停止する中図柄24が揃わないもの(はずれリーチ図柄)を示す内容に決定する。なお、上記所定値は、乱数で決めることができるし、第1コマンドのDATA2の値に応じて決定することもできる。
【0043】
したがって、例えば中小コマンド決定記憶SCをずらすため、左小コマンド決定記憶SLに−1を加えるとし、更に小コマンド決定記憶SL〜Cがそれぞれ0,*,*であるとき(*はいずれの数値であっても良いことを示す)は、左〜中小コマンドのDATA2は、順に01H,01H,0CHと決定され、「一萬・中・一萬」という、はずれリーチ図柄である特別図柄26を指定するものとされる。
【0044】
他方、大当たりフラグBが1であると、ブロック130からブロック143に移行し、左小コマンド決定記憶SLを、右小コマンド決定記憶SRと(ブロック143)中小コマンド決定記憶SCと(ブロック144)に複製し、ブロック136において、全ての左図柄等22〜24が揃う大当たり図柄を指定するものとする。なお、主CPU18は、左小コマンド決定記憶SLが、確変図柄に対応する2,4,6,9,10,11である場合、後に高確率状態とするため、確率状態フラグKを1にセットする(ブロック146)。
【0045】
即ち、主CPU18は、各小コマンド決定記憶SL〜Cがそれぞれ0,*,*であるときは、左〜中小コマンドのDATA2を、順に01H,01H,01Hで、「一萬・一萬・一萬」という大当たり図柄を表すものとする。各小コマンド決定記憶SL〜Cが2,*,*では、各小コマンドのDATA2を、「三萬・三萬・三萬」という確変図柄を表す03H,03H,03Hと決定し、また確率状態フラグKを1とし、双方を記憶する。
【0046】
このようにして、第1コマンドや、第2コマンドの各小コマンドが決定されると、主基板14は、各コマンドに係る2バイトの数値からなるコマンド信号35を、図12(a)のタイムチャートに表されるように、コマンド処理基板50へ送信する。このコマンド送信処理108において、第1コマンド決定後の所定割込み内で、第1コマンド信号120を発する。主CPU18は、第1コマンド信号120の発信と同時に、第1コマンドの変動時間に対応した減算タイマGを駆動させる。続いて、次の割込み内に、第2コマンドの左図柄22に関する左小コマンド信号122を発する。更に、連続した割込み内で、順に右小コマンド信号123、中小コマンド信号124を発する。
【0047】
また、主CPU18は、減算タイマGをモニタして、0となり、数千から数万割込み後に訪れる変動時間の経過を示したら、第3コマンド信号126を発信する。第3コマンド信号126は、2バイト数「85H・01H」で構成される。なお、中コマンド信号124と第3コマンド信号126の間においては、原則としてコマンド信号35は発せられない。
【0048】
そして、発せられたコマンド信号35は、コマンド処理基板50に流入する。コマンド処理基板50は、コマンド信号35を受け取ると、そのまま記憶する。
【0049】
一方、コマンド処理基板50は、コマンド信号35の記憶(特に明記しない限り、コマンドに含める)に基づいて、接続された図柄表示基板30、音制御基板58、電飾制御基板28を制御する。ここでは、1つのコマンドにつき、図8,図11等の「内容」で示された秒数(変動時間)にわたる、上記3つの部材の制御を、3種の信号36〜38の発信により行う(第1・第2コマンド処理110、図6)。なお、表示制御信号36及び音制御信号37は、電飾制御信号38と同様、双方向のやり取りが可能であり、コマンドと同等の情報を有する。
【0050】
例えば、コマンド処理基板50が、第1コマンド「80H・01H」を受けると、図柄表示基板30に対して、特別図柄26が5.1秒間変動するアニメーション(左図柄等22〜24のスクロール等)を行うような表示制御信号36を発するとともに、音制御基板58には5.1秒間にわたり所定のメロディを繰り返す指令としての音制御信号37を発し、更に電飾制御基板28には、5.1秒間にわたり一定のパターンで点灯する指令としての電飾制御信号38を発する。なお、電飾制御基板28は、電飾制御信号38に基づき、適宜選択した電飾基板9,9・・に対して電飾信号44を発する一方、音制御基板58は、音制御信号37に基づき、適宜選択したスピーカー7に対して音信号47を発し、上記パターン若しくはメロディの制御を行う。
【0051】
また、第1コマンド「80H・0AH」を受けると、同様に図柄表示基板30、電飾制御基板28、音制御基板58に対して表示制御信号36、電飾制御信号38、音制御信号37を発する。そして、本第1コマンドは、第1コマンド決定記憶Pに関するデータテーブル90,90・・の態様により,主基板14において稀にしか生成されず、しかも、DATA2は03H以上で、第2コマンド決定処理106においてリーチ図柄とされており、変動表示のアニメーションはリーチ動作を含む長時間にわたるものである。リーチ動作は、左右図柄22,23が揃った状態で中図柄24が変動する動作である。そして、リーチ動作に対応させ、表示制御信号36のアニメーションの内容はもちろん、音制御信号37につき特別な音階の発音の指令としての音信号47を生むものとして、また電飾制御信号38の内容を、激しく点滅することの指令である電飾信号44を生むものとして、興趣高い演出をする。
【0052】
コマンド処理基板50はまた、第1コマンドと同様に、記憶した第2コマンドを参照し、図柄表示基板30に対して、各停止図柄を、対応する小コマンドのDATA2が示す左図柄等22〜24とするよう、準備させる旨の表示制御信号36を送る。なおこの場合、電飾制御基板28及び音制御基板58に対してはNOCAREであり、図柄表示部10のアニメーションも含め、第1コマンドに基づく動作を続ける。
【0053】
そして、主基板14の減算タイマGによって変動時間後に発せられた第3コマンドを、コマンド処理基板50が受け取ると、図柄表示基板30に対して、全左図柄等22〜24を、記憶済の第2コマンドに基づき停止し、特別図柄26を少なくとも2秒間確定表示する旨の表示制御信号36を発するとともに、各電飾制御基板28及び音制御基板58に対して、点灯及び発音を一旦停止させるための制御信号37,38を送る(図6の第3コマンド処理112)。遊技者は、特別図柄26が大当たり図柄で図柄表示部10に確定表示されたか否かによって、大当たりの生起の有無を認識することができる。
【0054】
ここで、図柄表示ゲーム処理100につき、図柄表示基板30の図柄表示CPU32は、処理する密度が薄いコマンドの通信と、図柄表示部10における表示にのみ使用され、主基板14のように、色々な対象について処理は行わないし、賞品球の払い出しも制御しない。したがって、アニメーション等の図柄についてのデータを極めて多量に保持し、かつ処理することができ、図柄表示ゲームに関する図柄表示等を、複雑で多彩なものとすることができる。
【0055】
例えば、データの一部を、3次元の参照点を要素とする極めて多要素の集合として作成しておき、短時間ごとに徐々に切り替えて発生させた視線ベクトルに基づいて、全ての参照点について演算し、左右図柄等22〜24について、それぞれ異なった方向に高速に回転しながらスクロールされる、といったアニメーションも、図柄表示基板30によってスムーズに処理されてしまう。
【0056】
また、コマンド表示基板50と図柄表示基板30との間においては、双方向通信が可能であるため、図柄表示基板30で出現したデータをコマンド処理基板50に戻すことができ、変動時間や確定表示については主基板14からの第1コマンド等による指令どおりであるが、アニメーションにつき図柄表示基板30側でパターンを乱数により振り分けるといった場合であって、当該パターンごとに電飾若しくは音を変化したいとき、あるいは、図柄表示基板30における情報処理の量が一時的に多くなり、コマンドの受け入れを保留したいときの保留信号を、コマンド処理基板50に送る場合等に有効である。
【0057】
さて、主基板14は、第3コマンド送信後すぐに、大当たりフラグBと確率状態フラグKとに応じて、次のコマンドを送信する(図6の分岐処理114)。B=0かつK=0の場合には、はずれ図柄が確定表示されるが、主基板14は自らの各種フラグ・記憶等を適宜リセットするとともに、コマンド「90H・01H」を送る(図5)。コマンド処理基板50は、当該コマンドを受けると、消音及び消灯といった、次のコマンドである新たな入賞記憶Nの消化に対応する第1コマンドを受信するまでの待機を指令する制御信号37,38を送り、表示制御信号36は発しない。したがって、コマンド処理基板50の待機中は、図柄表示装置12は、はずれ図柄若しくははずれリーチ図柄に係る特別図柄26を確定表示し続ける。
【0058】
一方、リーチ動作後大当たり図柄が確定表示されるB=1においては、大当たり処理を行う。大当たり処理において、主基板14は、まずコマンド「89H・04H」を送信する(図13)。コマンド処理基板50は、「89H・04H」に基づき、大当たり開始画面(遊技内容が表現される図柄の一種である)の表示制御信号36を送信するとともに、ファンファーレの発音指令を内容とする音制御信号37を送り、更に電飾制御基板28に電飾制御信号38を送る。電飾制御信号38を受けた電飾制御基板28は、所定の電飾基板9にそれぞれ激しいLED点滅をさせる電飾信号44を送る。
【0059】
そして、主基板14は、ソレノイド15に断続的に通電39をし、アタッカー6を前方へ開放して入賞可能とする。また、アタッカー6に入賞して奥の遊技球検出器16からの検出信号40を受けると、遊技球払い出し装置17aが多数の遊技球を供給皿42若しくは貯留皿43へ払い出すように、払い出し基板17に払い出し指令41を送る。アタッカー6の開放により、遊技者は多数の遊技球を得られ、有利となる。
【0060】
通電39によるアタッカー6の開放は、通算して16回指示し、各回(ラウンド)の開放は原則30秒間で、遊技球検出器13が1ラウンドにつき所定上限(10回)以上入賞すると、そのラウンドの開放を強制的に終える。なお、ラウンド自体の所要時間は一定である。
【0061】
各ラウンドにおいては、主基板14が、DATA1を「8BH」とするコマンドを発信する。コマンド処理基板50は、当該コマンドに基づき、DATA2に対応するラウンド中のアニメーション(図柄の一種)を表示し、アタッカー6開放に係る、音制御信号37及び電飾制御信号38を発する(図9)。当該電飾制御信号38に基づき、電飾制御基板28はアタッカー6内側の電飾基板9へも電飾信号44を発し、当該音制御信号37に基づき、音制御基板58はラウンド中の音楽を流すようにスピーカー7に音信号47を発する。
【0062】
そして、ラウンドが終了すると(あるいは第1ラウンドの開始時には)、主基板14は「8AH」をDATA1とするコマンドを発し、当該コマンドに基づきコマンド処理基板50がDATA2に対応するラウンド開始画面(図柄の一種)を表示し、アタッカー6閉鎖に係る、擬音発生のための音制御信号37及び一旦消灯指定である電飾制御信号38を発する(図9)。以上が最終の16ラウンドまで繰り返される。
【0063】
なお、主基板14は、各ラウンド中に、確定表示された大当たり図柄の一部と同種の図柄を表示指令する「8CH」(DATA2は、左小コマンドのDATA2と同じもの)、アタッカー6の入賞数に対応した数字を含む図柄を表示指令する「8DH」(DATA2は、アタッカー6に係る検出信号40のカウンタに基づく)等を送る。
【0064】
最終ラウンド終了後、主基板14の主CPU18は、確率状態フラグKを参照し、0であれば、はずれた場合と同様の待機状態に移行する(コマンド「90H・01H」が発せられる)。一方、確変図柄を確定表示済のK=1であると、更に高確率状態を生起する。高確率状態は、図柄表示ゲームにおいて、大当たり判定102で大当たりとする値を7の他に11、15・・と数個増やして大当たりを生起し易くするように、主基板14によって処理され、図柄表示ゲームが所定回数(150回等)行われるまで持続される。当該所定回数経過直後には、確率状態フラグKがリセットされる(K=0)。
【0065】
主基板14はまた、大当たり判定時以外においても、確率状態フラグKを適宜参照し、高確率状態であると、低確率状態と異なる制御をする。例えば、図柄表示ゲーム終了後B=0かつK=1の場合「90H・01H」の代わりに「90H・02H」を送り、コマンド処理基板50と電飾制御基板28とを介して、高確率ランプ点灯の指令を含む待機状態の制御をする。また、第1コマンドとして、電飾制御基板28が生ずる電飾点灯パターンを変じた他はほぼ低確率状態と同様の内容を持つ、DATA1が「81H」のコマンドを「80H」のものの代わりに送る。
【0066】
なお、主基板14は、長時間入賞記憶Nあるいは普通入賞記憶Zがなく第1コマンドを発信しない場合、「89H・01H」「89H・02H」のいずれか一方(パチンコ機1の機種に対応するもの)を送信し、コマンド処理基板50を介して、2種類のタイトル画面(図柄の一種)を表示し、かつ所定の態様で発音及び電飾制御するよう指令する(図14中央付近参照)。また、主基板14は、電源投入直後、図柄表示装置12へ所定のはずれ図柄に係る左図柄等22〜24の表示(図柄の一種)をするように、86H〜88HをDATA1とするコマンドを送信し、コマンド処理基板50は初期表示(図柄の一種)を指示する(音と電飾はNO CARE、図14上部参照)。更に、タイトル画面表示時に発射装置からの信号を受けた場合、「89H・03H」を送信し、コマンド処理基板50は、図柄表示基板30に、第2コマンド若しくは初期表示についての記憶に基づいて、タイトル画面表示前の特別図柄26及び背景を表示するよう指令する。
【0067】
このようにして、パチンコ機1においては、図柄表示部10における大部分の表示と、大半の音制御及び電飾制御指令とを行うが、一連の制御を、ごく少ないコマンドで実現するため、発生は極めて稀であっても、コマンドの欠落や変化(エラー)への対策をうつ必要がある。また、エラー対策としては、図柄表示ゲーム処理100について、特別図柄26が大当たり図柄で確定表示されているがアタッカー6が開放しないといった事態を回避することが特に重要である。
【0068】
例えば、図12(b)のように、第2コマンドの左,中小コマンド信号122,124がエラーとなった場合を考える。コマンド処理基板50は、第1コマンド信号120を受け取ると、1秒間の経過を知らせる減算タイマMを駆動する。コマンド処理基板50は、減算タイマMが0となるまでに、全小コマンド信号122〜124、即ちDATA1が82H〜84Hの第2コマンドを、1つずつ受け取らないと、保有するエラー用プログラムにより、左,中小コマンド信号122,124を正常に受け取ることができなかった旨の情報を含むエラーコマンドを新たに生成し、記憶する。
【0069】
図柄表示基板30は、第1コマンドに基づくコマンド処理基板50からの指令の受信により、特別図柄26を変動表示し始めているが、その後、エラーコマンドを受け取ると、変動表示を続けるとともに、図15のような「通信エラー」の文字(図柄の一種)を表示する。また、図柄表示基板30は、エラーコマンドの記憶を有した状態で、第3コマンドに基づくコマンド処理基板50からの指令を受けると、図15のように、正常に受信できなかった左,中小コマンド122,124に対応する左,中図柄22,24の部分に「?」という図柄を表示し、正常に受信した右小コマンド信号123に対応する右図柄23は,右小コマンドで示される種類で確定表示する。
【0070】
また、図12(c)のように、第1コマンド信号120がエラーとなった場合には、コマンド処理基板50は、DATA1が80Hもしくは81Hではない、各第2コマンド信号122〜124あるいは第3コマンド126等が図柄表示ゲーム処理100の最初に送信されたことに基づいて、エラーコマンドを生成する。図柄表示基板30は、特別図柄26を変動表示することなく、「通信エラー」の文字、及び第2コマンド信号の受信状況に応じた左図柄等22〜24若しくは「?」の図柄を表示する。なおこの場合、電飾制御信号38が発せられず、電飾信号44も発せられないので電飾ランプ3,3・・が全消灯し、音制御信号37も発せられないので無音となり、この点からも第1コマンド信号120のエラーが確認できる。
【0071】
更に、図12(d)のように、第3コマンド信号126のみがエラーとなった場合には、コマンド処理基板50はエラーコマンドを生成せず、図柄表示CPU32は、特別図柄26について、アニメーションによる変動表示を継続する。即ち、図柄表示基板30は、第3コマンドを待って、アニメーションのうち最後の部分を繰り返す処理を行い、確定表示はしない。一方、電飾制御基板28は、第1コマンドで指定された変動時間分の電飾信号44を送ると送信を停止し、コマンド基板50からの音制御信号37も同様である。したがってこの場合、特段のエラー表示はされないが、特別図柄26がいつまで経っても確定表示されないこと、及び変動表示中にも関わらず無音及び全消灯となることにより、エラーを認識できる。
【0072】
加えて、非常に稀な事態ではあるが、図12(e)のように、全コマンド信号がエラーとなった場合が起こると、特別図柄26が変動表示されず、エラー表示もされず、発音及び電飾も行われない。しかし、遊技球が図柄始動口4へ入賞したにも関わらず、特別図柄26が変動表示されないこととなるし、発音及び電飾が行われないため、エラーの発生を認識することができる。
【0073】
そして、上記図12(b)〜(e)の場合によれば、第1〜第3コマンドのエラーにつき、いずれの組み合わせで発生しても対応することができる。また、エラー表示若しくは変動表示の継続、あるいは変動表示が開始しないことにより、エラー時に大当たり図柄の確定表示をしてしまうことはないし、エラー表示に係る図柄の種類及び状態、また図柄表示と効果音・電飾(入賞記憶を含む)との関係により、いずれの信号がエラーとなったかを判別することができる。なお、主基板14側が認識可能なエラーを主基板14内で発生した場合には、コマンド「89H・08H」等をコマンド処理基板50へ送る(図14下部)。コマンド処理基板50は、「89H・08H」により、エラー画面の表示制御信号36のみを送る。
【0074】
以上のパチンコ機1では、遊技内容が表現される図柄を表示する図柄表示基板30と、スピーカー7を制御する音制御基板58、及び、電飾基板9,9・・を制御する電飾制御基板28と、遊技内容を指示するコマンドを発信する主基板14と、図柄表示基板30、並びに、音制御基板58及び電飾制御基板28を、主基板14からのコマンドに基づいて制御するコマンド処理基板50とを含むので、主基板14は、コマンド信号35を数個送信するだけで、各種図柄の多彩な表示と、効果音の発生と、電飾とを制御することができる。
【0075】
したがって、パチンコ機1の主基板14に基づく図柄表示装置12、電飾制御基板28を介する各電飾基板9及び音制御基板58を介するスピーカー7の制御は、コマンド処理基板50によってそれぞれ別個に行われ、誤動作の防止をすることができる。また、大半のコマンドにおいて、1つ当たり3種類の制御を成立させることができ、図柄表示基板30、スピーカー7及び各電飾基板9のそれぞれについて制御するよりもはるかに効率的である。なお、仮に当該3種の部材をそれぞれコマンド制御するとした場合と比較しても、コマンド数および送信頻度が減少し、効率面で優位であることに変わりはない。更に、主基板14から引き出す電線が激減し、コマンド処理CPU52及び電飾制御CPU29により多数の電飾CPUが必要なくなるので、パチンコ機1内部の構成をシンプルにすることができる。
【0076】
また、主基板14からコマンド処理基板50へのコマンド信号35の送信は、主基板14において数千割込みから数万割込みに1回と、格段に少なくて済む。よって、定常的な送信を原因とするノイズが発生せず、図柄表示部10の表示やメロディーの発音、電飾の点滅を綺麗に行うことができるし、誤動作を防止にも寄与することができる、また、主基板14の割込みの割り出しを防止でき、したがって、割込みタイミングを用いた不正行為を防止することができる。なお,各種信号36,37,38,44,47について、コマンド信号35と同様に、制御の質の向上と不正行為の防止に寄与している。
【0077】
更に、図柄表示基板30について、遊技球の検出や払い出しのための信号を送受信しないので、表示に関する情報処理に集中することができるし、表示制御についてのほぼ全ての情報を、主基板14以外に保持することができ、主基板14側の情報の節約になる。特に、特別図柄26においては、図柄表示基板30は、第1〜第3コマンド信号120〜126のみに基づいて、図8等に示す多様なパターンで表示することができる。そしてその表示は、3次元データを利用して、立体的で極めて滑らかな動画を表示する等、極めて複雑だが斬新かつ興味深い変動表示を行うことができる。ここで、動画は、別データのコマの切り替えによらず、1通りの3次元データを演算して行うことができ、記憶面で効率的に使用することができる。
【0078】
加えて、本制御を実行する基板構成は、コマンドに応答するコマンド処理CPU52の指令の内容を変更するだけで、例えば、メロディや点滅パターンが相違するものといった、演出の異なる別機種に適用可能とすることができ、汎用性に優れる。また、主基板14以外の基板は、コマンドに対応している主基板14であればどのようなものでも接続することができ、各基板の組み合わせが自在で、転用は容易である。例えば、電飾制御基板28を変更し、別機種に対応した電飾パターンにすることができる。同様に、音制御基板58の交換により効果音を変更することができる。また同様に、図柄表示装置12のROM34等を変更して、特別図柄26につき、麻雀牌をモチーフにしたものではなく、花札をモチーフにしたものとすることもできる。
【0079】
また更に、コマンド制御基板50は、減算タイマMに基づき、所定のコマンドが所定時間内に送信されてきたかどうか判断し、正常に送信されてこなかった場合には、新たにエラーコマンドを生成し、図柄表示基板30にエラー情報を示す各種図柄の表示を指令するので、図柄表示部10において、エラーの発生を的確に報知することができるし、図柄表示装置12等が通信エラーから保護される。
【0080】
加えて、図柄表示装置12には、コマンドを出力するコマンド出力端子31が設けられているので、コマンドをモニタする外部装置と接続することにより、大当たり発生時に特別図柄を揃えるコマンドを生成しているかどうかといったコマンドの手順や、表示内容とコマンドとの整合性等を簡単にチェックすることができる。
【0081】
なお、本発明は、以上の実施形態に限定されるものではなく、次に一部示すように様々に変更可能である。コマンド制御基板には、図柄表示基板と音制御基板とのみ接続し、1つのコマンド当たり当該2つの基板が制御されるようにすることができる。この場合、電飾制御基板は主基板による直接制御とすることができる。同様に、図柄表示基板と電飾制御基板とのみ接続することができる。また、電飾制御基板28と電飾基板9との間においても、双方向通信をさせることができる。音制御基板58及びスピーカー7間においても同様である。
【0082】
更に、コマンドの指示内容に対する値は、他の範囲のものとすることができるし、2バイトで表現される必要はなく、1ビットから通信可能なオーダーまでの範囲で変更可能である。また更に、コマンド処理基板は、コマンドについて、そのまま記憶をせずに、図柄表示CPU等に適した数値とする等の目的で、様々に新たなコマンドを生成することができる。コマンドの生成に際しては、基のコマンドを削除することができるし、変形・加工により生成することができる。また更に、エラーは、図柄表示部において表示せずに、電飾のパターンにより、あるいは所定の効果音により、またはこれらの組み合わせにより、表示することができる。
【0083】
加えて、図柄表示装置は、1つの第1コマンドのDATA2に対し、1つの表示パターンに関するデータを集合させる必要はなく、大当たりフラグや確率状態フラグ等の値に反しない範囲で、更にいくつかの表示パターンに関するデータを選択するように構成することができる。この場合、図柄表示CPUによって発生される乱数を用いて、表示パターンを振り分けることができる。また、主基板側の、大当たりフラグ等に基づく第2コマンド決定の処理を適宜変更することができる。更に、演出の適用に関するデータテーブル90の項目数やフラグとの対応、またフラグによる各種変数等の変化を変更することもできる。これらによれば、更に演出を多様なものとすることができる。
【0084】
一方、高確率状態に関しては、大当たりとなる数値の増加に限られず、平均変動時間の短い第1コマンド決定用のデータテーブルを用意あるいは利用して、所定時間当たりに大当たり判定回数を増やすものや、小当たりの確率増加あるいは変動時間短縮をするものや、これらの複合したもの等にでき、生起しないようにし、あるいは独自の図柄により生起の判定をすることもできる。更に、高確率状態の終了条件は、所定回数の変動・確定表示完了後とせずに、一定時間内、所定発射数内、所定入賞数内等とすることができるし、確定表示や独自の図柄ごとに終了条件を変化させても良い。
【0085】
また、各種ループカウンタ、変数、記憶の値域や、左図柄等の種類数・態様、大当たり時のラウンド数等は、様々に変更することができる。更に、大当たり時表示、タイトル画面、エラー表示画面についても、3次元データに基づく表示を行うことができる。加えて、3次元データに基づく表示は、視線ベクトルを用いた回転に限定されず、外力ベクトルを与えて計算した、背景にぶつかる演出の変形や、モーションキャプチャといったものを利用することができる。そして、本発明は、図柄表示装置にCRTを使用するものや、電飾ランプにLEDを使用しないもの、スピーカーを複数設けたもの、あるいは普通図柄を有しないもの等他のタイプのパチンコ機に適用することができるし、他の遊技機に適用することもできる。
【0086】
【発明の効果】
本発明のうち、請求項1に記載の発明は、遊技者にとって価値のある特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、所定条件の充足により、変動表示後に確定表示され、前記確定表示された種類により前記特別遊技状態の有無を報知し、特別図柄を表示する図柄表示手段と、効果音発生手段を制御する音制御手段、及び、電飾手段を制御する電飾制御手段のうち少なくとも一方と、コマンドを発信する主制御手段と、前記図柄表示手段、並びに、 前記音制御手段及び前記電飾制御手段のうち少なくとも一方を、前記主制御手段からのコマンドに基づいて制御するコマンド処理手段とを含み、前記コマンドには、前記図柄表示手段における前記特別図柄に関する前記変動表示、並びに、前記効果音発生手段における発音及び前記電飾手段における電飾点灯のうち少なくとも一方に係る時間を指定する第1コマンドと、前記確定表示の種類を指定する第2コマンドと、前記時間の経過後において発せられる、前記図柄表示手段における前記確定表示の実行を指令する第3コマンドと
が含まれており、前記コマンド処理手段は、前記第1コマンドに基づいて、前記図柄表示手段に、前記時間の経過後も継続する前記変動表示をさせるとともに、前記音制御手段に、前記時間の経過時に停止する、前記発音の制御をさせ、及び/または、前記電飾制御手段に、前記時間の経過時に停止する、前記電飾点灯の制御をさせ、前記第3コマンドに基づいて、前記図柄表示手段に、前記第2コマンドの種類に基づく 前記確定表示をさせるとともに、前記音制御手段及び前記電飾制御手段のうち少なくとも一方に、前記発音及び前記電飾点灯のうち少なくとも一方の一旦停止制御をさせるので、図柄表示と発音と電飾とを効率良くかつ信頼性高く制御するとともに、パチンコ機の内部構成をシンプルにすることができ、更に、割込みを割り出す基板による不正行為を防止する一方、多彩な演出を実行することができ、特別図柄につき効率的かつ斬新・多彩な演出を実行することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】遊技機の一例であるパチンコ機1の正面を示す説明図である。
【図2】パチンコ機1の要部ブロック図である。
【図3】図柄表示装置12の要部ブロック図である。
【図4】パチンコ機1の背面を示す説明図である。
【図5】待機及び入賞記憶に関するコマンドの説明図である。
【図6】図柄表示ゲームの処理を示す高レベルのフローチャートである。
【図7】図柄表示部10における特別図柄26の表示を表す説明図である。
【図8】第1コマンドの一部説明図である。
【図9】第1コマンドと第1コマンド決定記憶Pとの対応を示すデータテーブル90を示す説明図である。
【図10】第2コマンド決定処理106の高レベルのフローチャートである。
【図11】第2コマンドのうちの中小コマンドを示す説明図である。
【図12】(a)〜(e)はコマンド信号35のタイミングチャートである。
【図13】大当たり状態時に発せられるコマンドの説明図である。
【図14】各種コマンドを表す説明図である。
【図15】図柄表示部10におけるエラー表示を表す説明図である。
【図16】従来のパチンコ機の要部を示すブロック図である。
【符号の説明】
1・・パチンコ機、4・・図柄始動口、6・・アタッカー、7・・スピーカー、9・・電飾基板、10・・図柄表示部、12・・図柄表示装置、14・・主基板、15・・ソレノイド、16・・遊技球検出器、17・・払い出し基板、18・・主CPU、20・・普通入賞記憶表示部、26・・特別図柄、28・・電飾制御基板、29・・電飾制御CPU、30・・図柄表示基板、31・・コマンド出力端子、32・・図柄表示CPU、33・・RAM、34・・ROM、35・・コマンド信号、36・・表示制御信号、37・・音制御信号、38・・電飾制御信号、39・・通電、40・・検出信号、41・・払い出し指令、44・・電飾信号、47・・音信号、50・・コマンド処理基板、52・・コマンド処理CPU、58・・音制御基板、59・・音制御CPU、90・・データテーブル、120・・第1コマンド信号、122・・左小コマンド信号、123・・右小コマンド信号、124・・中小コマンド信号、126・・第3コマンド信号。
Claims (1)
- 遊技者にとって価値のある特別遊技状態を生起するパチンコ機であって、
所定条件の充足により、変動表示後に確定表示され、前記確定表示された種類により前記特別遊技状態の有無を報知し、特別図柄を表示する図柄表示手段と、
効果音発生手段を制御する音制御手段、及び、電飾手段を制御する電飾制御手段のうち少なくとも一方と、
コマンドを発信する主制御手段と、
前記図柄表示手段、並びに、前記音制御手段及び前記電飾制御手段のうち少なくとも一方を、前記主制御手段からのコマンドに基づいて制御するコマンド処理手段と
を含み、
前記コマンドには、
前記図柄表示手段における前記特別図柄に関する前記変動表示、並びに、前記効果音発生手段における発音及び前記電飾手段における電飾点灯のうち少なくとも一方に係る時間を指定する第1コマンドと、
前記確定表示の種類を指定する第2コマンドと、
前記時間の経過後において発せられる、前記図柄表示手段における前記確定表示の実行を指令する第3コマンドと
が含まれており、
前記コマンド処理手段は、
前記第1コマンドに基づいて、前記図柄表示手段に、前記時間の経過後も継続する前記変動表示をさせるとともに、前記音制御手段に、前記時間の経過時に停止する、前記発音の制御をさせ、及び/または、前記電飾制御手段に、前記時間の経過時に停止する、前記電飾点灯の制御をさせ、
前記第3コマンドに基づいて、前記図柄表示手段に、前記第2コマンドの種類に基づく前記確定表示をさせるとともに、前記音制御手段及び前記電飾制御手段のうち少なくとも一方に、前記発音及び前記電飾点灯のうち少なくとも一方の一旦停止制御をさせる
ことを特徴とするパチンコ機。
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