JP4235477B2 - 紙幣用金庫の取付装置 - Google Patents

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種の料金精算機や自動販売機等に用いる紙幣用金庫に関するものであって、具体的には、紙幣用金庫を料金精算機や自動販売機等の本体ボックス内に取付ける取付装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の一般的な紙幣用金庫は、例えば特許文献1に見られるように、紙幣挿入口(紙幣投入口)の内側に設けられている。
【0003】
【特許文献1】
実開平1−164586号公報
【0004】
添付した図面のうち、図11は上記特許文献1に記載されている従来例の構成を説明したものであって、図中、1は料金精算機や自動販売機等の本体ボックス、2は前面パネル板、3は紙幣投入口、符号4で全体的に示したのは紙幣受入部4Kと、紙幣識別部4Tと、紙幣用金庫部4Sから成る紙幣用金庫であって、紙幣用金庫4の全体は上下の取付用ブラケット1A,1Bの先端部間に、前記紙幣投入口3の内側に位置を合せてボルト11…とナット11Aによって締付け固定されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の如く構成した従来の装置に於いて、紙幣投入口3から挿入された紙幣は、図11に示すように紙幣搬送通路4Rを通って紙幣用金庫部4Sに送り込まれる仕組に成っている。従って、図示のように紙幣投入口3からバールBLのような細長い道具類を紙幣搬送通路4Rに差し込んで、この通路4Rをこじ開けて広げることによって、外部よりピンセット等を用いて紙幣用金庫部4S内に収められている紙幣(売上金)を容易に盗み出すことができる問題があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するために成されたものであって、その技術的課題は、紙幣投入口からバールのような道具類を差し込んで紙幣搬送通路等をこじ開けることによる紙幣の盗難を、比較的簡単な手段を講じることによって確実に防止できるように工夫した紙幣用金庫の取付装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の技術的課題を解決するために本発明で講じた手段は以下の如くである。
【0008】
(1) 前記請求項1に記載の紙幣用金庫の取付装置は、料金精算機や自動販売機等の本体ボックスの前面パネル板に取付けたプレートに設けられている紙幣投入口から投入された売上金等の紙幣を回収して収納する紙幣用金庫を、上記本体ボックス内金庫取付部に取付ける取付装置であって、上記本体ボックス内部で、且つ、上記前面パネル板の内側面に、金庫取付け用の上下のブラケットを上下に間隔をあけて設けると共に、上記紙幣用金庫の中心よりも上記紙幣投入口に近い前部側の上下面に上下の取付片を突設して、これ等上下の取付片と上記上下のブラケットの間を、取付用のボルト又はネジと、これ等ボルト又はネジの溝に内径部を喰い込ませて取付状態を維持するネジ抜け止めワッシャーとによって、外部より必要限度以上の力が紙幣用金庫に加わると、その取付状態が容易に外れてしまうように構成した簡易取付手段を介して取付けることによって、上記の紙幣用金庫を上記本体ボックス内の金庫取付部分に取付けたことを特徴とするものである。
【0009】
) 前記請求項に記載の紙幣用金庫の取付装置は、請求項に記載の紙幣用金庫の取付装置において、ネジ抜け止めワッシャーの内径部をネジ溝に喰い込ませることにより、金庫取付部への紙幣用金庫の取付状態を維持するボルト又はネジの先端部に、運搬時用ナットを装着して上記の取付状態を締付け固定できるように構成したことを特徴とするものである。
【0010】
) 前記請求項に記載の紙幣用金庫の取付装置は、請求項1又は2に記載の紙幣用金庫の取付装置において、紙幣用金庫の中心よりも後部側にワイヤーや紐等から成る吊下げ部材の一端を取付け、この吊下げ部材の他端を、上記紙幣用金庫に対する取付け位置よりも更に後部側に設けた本体ボックス側の取付部に取付けたことを特徴とするものである。
【0011】
上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、紙幣投入口からバール等の道具類を差し込んでこじ開けようとすると、紙幣用金庫に必要限度以上の外力が加わるため、この外力を受けて簡易取付手段が外れて本体ボックス内の紙幣用金庫が後退又は落下する。従って、バール等で広くこじ開けた紙幣投入口及び紙幣搬送通路からピンセット等を差し込んでも、紙幣用金庫内の紙幣を摘み出すことができなくなるので、売上金等の盗難を防止することができる。
【0012】
また、上記()で述べた請求項1に係る手段によれば、バール等の挿入によって紙幣用金庫に必要限度以上の外力が加わると、ネジ抜け止めワッシャーがボルト又はネジから抜けて取付けが外れるため、本体ボックス内の紙幣用金庫が後退又は落下して、紙幣の盗難を防止することができる。
【0013】
更に、上記(1)で述べた請求項1に係る手段によれば、前記簡易取付手段による紙幣用金庫の取付装置が、紙幣用金庫の中心位置よりも前側、即ち、紙幣投入口に近い前面側に設けられているため、バール等の挿入によって紙幣用金庫に必要限度以上の外力が加わった場合に、上記各簡易取付手段による取付けが簡単に外れて、紙幣用金庫を速やかに後退又は脱落させることを可能にする。
【0014】
上記()で述べた請求項2に係る手段によれば、本発明を実施した料金精算機や自動販売機等の搬送や移動に際して、紙幣用金庫を取付けたボルト又はネジに運搬用ナットを装着して締付け固定することにより、運搬時や移動時の振動による紙幣用金庫の後退や脱落を防止することができる。
【0015】
上記()で述べた請求項3に係る手段によれば、外力によって紙幣用金庫の取付けが外れると、吊下げ部材の取付け位置が紙幣用金庫の中心よりも後方にある関係で、バール等の挿入によって紙幣用金庫が前側から外力を受けて押された場合に、上記各簡易取付手段による取り付けが簡単に外れ、また、この吊下げ部材の吊下げ支点が上記取付け位置よりも更に後方にある関係で、紙幣用金庫は本体ボックス内に於いて当初の取付位置よりも後方に移動した状態(紙幣投入口より離間する状態)で、而かも、その前面側を斜め下方を向けた状態で宙吊り状態に成るため、外部より紙幣用金庫を捕らえにくくして紙幣の盗難を防止すると共に、紙幣用金庫の落下を防止できるため、落下による紙幣用金庫の破損や、破損に基づく紙幣の盗難を防止することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、上述した本発明に係る紙幣用金庫の取付装置の実施の形態を図面と共に説明すると、図1は本発明を実施した料金精算機の一例を示した正面図であって、図中、1は料金精算機の本体ボックス、2は前面パネル板、3は前面パネル板2に取付けたプレート3Xに設けた紙幣投入口(紙幣挿入口)、5はチケット等の挿入口、6は料金等の案内表示部、7はコイン投入口、8はインターホン、9は釣銭や領収書等の取出口であって、これ等前面パネル板2に設けた各部材の種類や形成位置等は、実施の一例であることは勿論である。
【0017】
図2と図3は上記本体ボックス1の内部に実施されている本発明の構成を説明した側面図と平面図、図4は図2のX視部を拡大したものであって、これ等の図面及び上記図1に於いて、符号4で全体的に示したのは紙幣用金庫で、この金庫4は前記図11で示した従来例と同様に一体的に連設された紙幣受入部4Kと、紙幣識別部4Tと、投入された紙幣SKを収納する紙幣用金庫部4Sとによって構成されていて、図示はしていないが紙幣受入部4Kと紙幣識別部4Tには、紙幣投入口3から投入(挿入)された紙幣SKを受入れて搬送する紙幣搬送通路(図11参照)が設けられている。
【0018】
3Aは前記紙幣投入口3の内側面と、これに対向させた紙幣受入部4Kの受入口(図示省略)の間に介在したスペーサ(パッキン)、1A,1Bは上記本体ボックス1の内部で、且つ、上記前面パネル板2の内側面に上下に間隔をあけて取付けた上記紙幣用金庫4を取付けるための上下のブラケットを示す。4Ta,4Taは上記紙幣用金庫4の中心部よりも前部側の上下面、具体的には紙幣識別部4Tの前面部側の上下面に突設した取付片、1Aa,1Baは上下のブラケット1A,1Bの先端部を下側及び上側に略L字状に屈曲して形成した取付板、11,11はこれ等上下の取付板1Aa,1Baに挿通した先端部側に上記の取付片4Ta,4Taを取付けることによって、上下のブラケット1A,1Bの間に上記一体化された紙幣用金庫4を取付けるボルト又はネジであって、これ等のボルト又はネジ11は、いずれも図示したようにそのネジ先を紙幣投入口3に近い前面側より、本体ボックス1の奥側に向けた状態に装着して、上記紙幣用金庫4の取付けを行う仕組に成っている。
【0019】
12,12は上記本体ボックス1の奥側に向けて突出するボルト又はネジ11,11に装着して、その内径部12H(図7参照)を各ボルト又はネジ11のネジ溝に係合させることによって、ボルト又はネジ11,11に対する上記紙幣用金庫4の取付状態を簡易的に支持する抜け止めワッシャーである。
【0020】
請求項に記載のこの抜け止めワッシャー12は、簡易取付手段の一例を成すものであって、紙幣SKの受入れやその識別、或は、搬送を行う通常の動作時には、上記ボルト又はネジ11,11による紙幣用金庫4の取付状態をこのワッシャー12が維持するが、図5や図11の如くバールBLのような道具類が紙幣投入口3から挿入されて、紙幣投入口3の方向から奥側に向けて必要限度以上の外力が加わると、図5に示す様に上記の抜け止めワッシャー12,12がボルト又はネジ11,11から外れるため、紙幣用金庫4がボルト又はネジ11,11から外れて、取付状態が外れる仕組に成っている。
【0021】
また、上記ボルト又はネジ11と抜け止めワッシャー12による紙幣用金庫4の簡易取付位置は、紙幣用金庫4の中心部よりも前側、即ち、紙幣投入口3に近い紙幣識別部4Tの前面側上下部分に設けられているため、上記紙幣投入口3側からの外力を受けると、抜け止めワッシャー12が容易に抜けて、取付が簡単に外れるように成っている。
【0022】
図4において13はスペーサを示し、また、図2乃至図6に於いて1Rは本体ボックス1の内部に横方向に架設した支持部材を示す。更に図中、4Zは上記紙幣用金庫4に設けた取っ手、WEは一端をこの取っ手4Zに取付け、他端を上記支持部材1Rの取付部1Hに取付けたワイヤー或は紐体等から成る吊下げ部材で、上記の取っ手4Zは紙幣用金庫4の中心部よりも奥側(本体ボックス1の奥側)に設けられ、更に、上記の取付部1Hは取っ手4Zの位置よりも更に奥側の位置に取付けられている。
【0023】
従って、バールBL等の挿入による外力によって、図5の如く抜け止めワッシャー12がボルト又はネジ11から抜けて紙幣用金庫4の取付けが外れると、図6に示すように紙幣用金庫4の全体が、ワイヤー等の吊下げ部材WEによって紙幣受入部4K側を下に向けた状態で、而かも、当初の取付位置よりも本体ボックス1の奥側に移動した位置に宙吊り状態に吊下げられるため、紙幣用金庫4が捕らえにくくなって、紙幣投入口3からの紙幣SKの抜き出しをより難しくすると共に、紙幣用金庫4の落下による破損を防止することができる。
【0024】
図8に於いて、16は前記請求項に記載した運搬時用ナットであって、本発明を実施した料金精算機や販売機の運送時や移動時には、図示の如く抜け止めワッシャー12を取付けたボルト又はネジ11のネジ部にこのナット14を装着して締付け固定することにより、運送時の振動等による外力によって、抜け止めワッシャー12が抜けて紙幣用金庫4が外れる事故を防止することができる。
【0025】
本発明の他の実施例を示した図9に於いて14は略リベット構造のプラスチック製止め具で、同図(イ)はこの止め具14を用いて紙幣用金庫4を本体ボックス1内の上下のブラケット1A,1Bの取付板1Aa,1Baの間に簡易取付けしている状態を示す。プラスチック製止め具14は、同図(ロ)に示すように、上記の取付板1Aa,1Ba等用の挟持部14Bと受け部14Aを備えるものであつて、必要限度以上の外力を受けると受け部14Aが壊れて取付け状態が抜け出し、紙幣用金庫4の取付けが外れる仕組に成っている。
【0026】
また、本発明の他の実施例を示した図10に於いて、15は弾性部材であって、板バネやスプリング、或は、弾性を備えたプラスチック材等で構成されたこの弾性部材15は、紙幣用金庫4をその弾性的な圧力によって紙幣投入口3の内側部分に簡易的に取付けておき、必要限度以上の外力が加わると、上記弾性圧力による簡易的な取付けを外して、紙幣用金庫4を本体ボックス1の奥側に後退移動、又は、脱落させる仕組に成っている。図中、1Eはガイドレール、1Fは弾性部材15の取付壁を示す。
【0027】
尚、図9(イ)と図10には、外力によって簡易取付けが外れると、紙幣用金庫4を吊下げ部材WEで吊下げて盗難を防止する構成が記載されていないが、これ等図9(イ)と図10に示した紙幣用金庫4にも、図6に示したような吊下げ装置が実施可能であることは勿論である。
【0028】
【発明の効果】
以上述べた次第で、本発明に係る紙幣用金庫の取付装置によれば、紙幣投入口からバール等の道具を差し込んでこじ開けようとすると、その外力によって紙幣用金庫の取付けが外れて、紙幣用金庫が後退したり、宙吊りになったり、或は、落下したりするため、紙幣用金庫内に収めた売上金等の盗難を防止できるものであって、構成が簡単で実施が容易である点と相俟って、各種の料金精算機や自動販売機等に実施して、まことに好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る紙幣用金庫の取付装置を実施した料金精算機の一例を示した正面図。
【図2】 本発明に係る紙幣用金庫の取付装置の構成を説明した側面図。
【図3】 本発明に係る紙幣用金庫の取付装置の構成を説明した平面図。
【図4】 図2のX視部分の拡大図。
【図5】 バールの挿入によって紙幣用金庫の取付けが外れた状態を説明した側面図。
【図6】 取付けが外れて紙幣用金庫が宙吊りに成っている状態を説明した側面図。
【図7】 本発明で用いる抜け止めワッシャーの一例を示した正面図。
【図8】 本発明で用いる運搬時用ワッシャーの使用状態を説明した側面図。
【図9】 (イ)は本発明で用いるプラスチック製止め具の使用例を説明した側面図、(ロ)はプラスチック製止め具の一例を示した側断面図。
【図10】 本発明で用いる弾性部材の一例とその使用例を説明した側面図。
【図11】 従来の紙幣用金庫の取付例を説明した側面図。
【符号の説明】
1 本体ボックス
1A,1B ブラケット
1R 支持部材
1H 取付部
2 前面パネル板
WE 吊下げ部材
3 紙幣投入口(紙幣挿入口)
3X プレート
4 紙幣用金庫
4Z 取っ手
11 ボルト又はネジ
12 抜け止めワッシャー
14 プラスチック製止め具
15 弾性部材
16 運搬時用ナット
SK 紙幣

Claims (3)

  1. 料金精算機や自動販売機等の本体ボックスの前面パネル板に取付けたプレートに設けられている紙幣投入口から投入された売上金等の紙幣を回収して収納する紙幣用金庫を、上記本体ボックス内金庫取付部に取付ける取付装置であって、
    上記本体ボックス内部で、且つ、上記前面パネル板の内側面に、金庫取付け用の上下のブラケットを上下に間隔をあけて設けると共に、上記紙幣用金庫の中心よりも上記紙幣投入口に近い前部側の上下面に上下の取付片を突設して、これ等上下の取付片と上記上下のブラケットの間を、取付用のボルト又はネジと、これ等ボルト又はネジの溝に内径部を喰い込ませて取付状態を維持するネジ抜け止めワッシャーとによって、外部より必要限度以上の力が紙幣用金庫に加わると、その取付状態が容易に外れてしまうように構成した簡易取付手段を介して取付けることによって、上記の紙幣用金庫を上記本体ボックス内の金庫取付部分に取付けたことを特徴とする紙幣用金庫の取付装置。
  2. ネジ抜け止めワッシャーの内径部をネジ溝に喰い込ませることにより、金庫取付部への紙幣用金庫の取付状態を維持するボルト又はネジの先端部に、運搬時用ナットを装着して上記の取付状態を締付け固定できるように構成したことを特徴とする請求項に記載の紙幣用金庫の取付装置。
  3. 紙幣用金庫の中心よりも後部側にワイヤーや紐等から成る吊下げ部材の一端を取付け、この吊下げ部材の他端を、上記紙幣用金庫に対する取付け位置よりも更に後部側に設けた本体ボックス側の取付部に取付けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の紙幣用金庫の取付装置。
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