JP4235291B2 - 立体映像システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ビデオカメラや銀塩カメラの被写体の位置情報を取得するための画像情報入力装置を複数個設けた立体映像システム関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、3次元映像(以下3D)やバーチャルリアリティ(以下VR)やコンピュータグラフィックス(以下CG)等において、外界や対象物の3次元情報を取得する技術が開発されている。これらは、デジタルカメラやビデオカメラで画像を取り込み、それに処理を施すことで3次元情報を取得していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらは外界や対象物の3次元情報を取得する際にカメラの撮影パターンが未知であるために、複数の画像データからの情報だげでCCD面上の画素に対する外界の対応点に対して連立方程式を立てて、これを解くことで3次元の情報を得ていた。このことはあいまい性を有しているので対象物の情報を精度良く取得することは膨大なデータと演算時間とを必要とし、実時間でシステムを運用することは困難であり実用的でなかった。
【0004】
本発明は上記の問題を解決して、被写体の位置情報を容易にかつ精度よく得ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明による立体映像システムにおいては、可動レンズを有するレンズ手段と、上記レンズ手段を介して結像された被写体像を画素毎の電気信号に変換する撮像手段と、上記撮像手段によって得られた電気信号に基づく画像を表示する表示手段と、上記表示手段を観察するユーザーの視線を検出する視線検出手段と、上記視線検出手段によって検出された上記ユーザーの視線にしたがって上記表示手段における画面上の座標を特定し、上記特定した画面上の座標にしたがって上記撮像手段における撮像面上の座標を特定する座標算出手段と、上記可動レンズの位置を検出する位置検出手段と、上記可動レンズの複数のレンズ位置にそれぞれ対応する焦点距離、前側主点位置座標、及び、後側主点位置座標のデータを記憶する記憶手段と、上記座標算出手段によって特定された上記撮像面上の座標と、上記記憶手段に記憶されている上記位置検出手段の検出位置対応する上記焦点距離、上記前側主点位置座標、及び、上記後側主点位置座標とにしたがって、上記被写体の位置情報を算出する演算手段とを有する画像入力装置を複数個設けている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
図1は画像情報入力装置の基本構成要素を示す図である。1000は撮影光学系であり、本実施の形態では4群リアフォーカスズームとするが、光学タイプは特に限定するものではない。1001、1002、1004、1005は1枚もしくは複数枚のレンズからなるレンズ群であり、1群1001、3群1004は固定のレンズ群、2群1002は変倍レンズ群で可動である。4群1005はフォーカスコンペレンズ群で可動である。1003は光量調節を行う絞り、1006は光電変換を行う固体撮像素子としてのCCDである。
【0011】
2群1002と4群1005は図示しないステップモータによって駆動されるが、ステップモータでなくてもよく、DCモータ等の電磁式モータ、超音波モータ等の固体モータ、静電式モータ等でもよく特に限定しない。
【0012】
2000、3000は2群1002、4群1005の位置を検出する位置検出部であり、カウンタが用いられ、ステップモータを駆動する駆動パルスを数えることでレンズの位置を換算し検出する。この位置検出部も特に限定するものでなく、可変抵抗式の静電容量式、PSDとIRED等の光学式のものでもよい。
【0013】
4000はCPUであり、5000はデータを格納するROMである。CPU4000は位置検出部2000、3000からの出力値Vi、Bjに対して所定の離散化データに変換し、この離散化されたデータI、Jに対応したROM5000に予め格納されている焦点距離Fij、前側主点位置データMij、後側主点位置データUij等のデータを読み込んで、CCD1006の所定の画素kに対応する被写体の位置座標Hijk、方向ベクトルNijkを演算して求める。
【0014】
次に上記の演算について説明する。
図1のように、XYZ座標をとる。すなわちX軸は紙面の表から裏方向に向かって垂直に、Y軸は紙面平行に下から上方向に、Z軸は光軸として紙面平行に左から右方向にとる。CCD1006の結像面上にXY平面をとる。CCD面上の画素kの座標を(Cxk,Cyk,0)とおく。ここでは画素面の重心とする。
【0015】
焦点距離Fijとすると、後側焦点距離座標は(0,0−Fij)になる。前側主点位置を(0,0,Mij)、後側主点位置を(0,0,Uij)とおく。前側焦点距離座標は(0,0,Mij−Fij)とおける。被写体Hijkの座標を(Hxijk,Hyijk,Hzijk)とおく。このとき、ニュートンの公式により、被写体HijkのX、Y、Z座標は以下の式(1)(2)(3)で求めることができる。
【0016】
Hxijk=Cxk×Fij/(Uij+Fij) ………(1)
Hyijk=Cyk×Fij/(Uij+Fij) ………(2)
Hzijk=Mij−Fij^2/(Uij+Fij) ………(3)
【0017】
また、画素kと前側主点位置を結ぶ線と、後側主点位置と画素kに対応する被写体kを結ぶ線とは平行であることは既知である。従って、被写体kは前側主点を通り、画素kから後側主点位置への方向ベクトルNijk=(−Cxk,−Cyk,Uij)に平行な直線上にあることがわかる。この直線は以下の式(4)で表わすことができる。
x/−Cxk=y/−Cyk=(z−Mij)/Uij ………(4)
【0018】
このように光学系1000の各レンズ群の位置に応じた焦点距離データFijと各主点位置データMij、UijをROM5000に持つことにより、正確に被写体位置Hijkと方向ベクトルNijkを求めることができる。
【0019】
次に、画像情報入力装置を複数個設けた本発明に係る立体映像システムについて説明する。
図2は本発明に係る立体映像システムを表わす図である。
1は複数の視差画像を取り込むための立体カメラであり、右眼用の視差画像を取り込むための光学系101と光電変換素子であるCCD103、左眼用の視差画像を取り込むための光学系102とCCD104を有している。
【0020】
光学系101とCCD103、光学系102とCCD104は同一の光学スペックであればよく、光学スペックを限定するものでない。また、光学系101とCCD103と、光学系102とCCD104とは互いの間隔(以下基線長)と互いの光軸のなす角度(以下幅輳角)は図示しない機構によって可変であり、幅輳角/基線長駆動制御手段11により駆動制御される。図2ではカメラ光軸が交差式による撮影を行っているが、カメラ光軸が平行である平行式による撮影も可能である。
【0021】
10は幅輳角/基線長検出部であり、立体カメラ1の基線長と幅輳角を図示しないエンコーダにより検出する。
2は画像表示部であり、右眼用表示部201と左眼用表示部202と、右眼用視線検出部203と左眼用視線検出部204とを有する。右眼用表示部201と左眼用表示部202はそれぞれ同一スペックであり、観察光学系を有する液晶またはCRT、またはLEDやレーザからの光ビームを網膜に照射してスキャンニングすることで残像効果で映像を観察するいわゆる網膜ディスプレイ等のいずれかでよくここでは限定しない。
【0022】
また、右眼用視線検出部203と左眼用視線検出部204は、いわゆる角膜反射光により視線を検出する方式である。これは例えば特開平5−68188号公報に開示されている。しかしながらこの方式に限定するものではなく、眼球の電位差を利用するEOG法や、強膜の白目と黒目の反射率の違いを利用するものや、コイルを埋め込んだコンタクトレンズを一様な磁界のもとで装着し、眼球運動を計測するサーチコイル法等を用いてもよい。
【0023】
3は右眼用視線検出部203と左眼用視線検出部204からの出力値に応じて撮影可能範囲を演算する演算部であり、右眼用視線範囲算出部301と左眼用視線範囲算出部302と方向ベクトル算出部30被写体座標算出部30と撮影可能範囲算出部304と比較部306とを有する。方向ベクトル算出部30には、前述したカウンタからなる位置検出部2000、3000とCPU4000とROM5000が含まれる。
【0024】
4は画像制御部であり、CCD103、104からの画像信号を所定の画像フォーマットに変換する右眼用、左眼用カメラプロセス部5、6によってビデオ信号として右眼用、左眼用駆動7、8に画像を送る。また画像メモリ9とデータのやり取りを行う。また、各表示部内に設けられた図示しないLEDの発光/消灯を制御する信号をLED発光回路12に送る。画像メモリ9は媒体として磁気テープを用いるがこれに限定するものではなくICメモリ、光磁気ディスク、DVD、CD、PD等でもよい。
【0025】
次に本システムの第1の実施の形態による動作について説明する。
図3に視線検出部203、204から演算部3に至る動作のフローチャートを示す。
ここでステップ1は図2の203、204に対応し、ステップ2、3は301、302に対応し、ステップ4、5、6は303に対応し、ステップ7は307に対応する。
【0026】
ステップ1は視線検出であり、左眼、右眼それぞれの角膜反射の座標を出力する。ステップ2でこの座標と対応する右眼、左眼用のLCD上の座標を求める。ステップ3で対応する右眼、左眼用のCCD上の座標を求める。ステップ4、5、6で前述したように、光学系101と102のレンズ群の位置に応じて各光学系11、12の焦点距離Fijと前側主点Mijおよび後側主点UijをROMから読み込んで、被写体座標Hijk(Hxijk,Hyijk,Hzijk)を上記式(1)(2)(3)により算出する。ステップ7で前側主点Mijと被写体Hijkを結ぶ方向ベクトルNijkを光学系101及び102について式(4)によりそれぞれ求める。
【0027】
次に撮影可能範囲算出部304について述べる。
視差画像を人が融像できるのは表示画面上で被写体の視差(ここでは画面上のズレ量)が、奥行き方向(表示画面よりも奥行き方向)では人の瞳間隔(約63mm)以下であることまたは手前方向(表示画面よりも手前方向)では目の前約20cm程度までである。これを利用して撮影可能範囲を決定する手順を図4について説明する。
【0028】
図4のy軸は奥行き方向を表わす。z軸は天地方向を表わす。x軸は奥行き方向に垂直方向である。CL は左眼用光学系10の前側主点位置座標、CR は右眼用光学系10の前側主点位置座標、Bは光学系101、102の光軸中心の交点である。点Aは点Bに対して奥行き方向の点、点Cは点Bに対して手前方向の点である。
【0029】
この時点Bは光学系101、102の画面中心となり視差Oの点であり、表示された立体映像では表示画面上の点になる。点Aは表示画面の奥の点、点Cは表示画面の手前の点として表示されることになる。点Aと点Cは左眼、右眼用光学系10、10のレンズ画角20w内にあるとする。ここで、各座標をA(0,A)、B(0,B)、C(0,C)CL (−k,0)、CR (k,0)とする。
【0030】
また、∠BCL O=∠BCR O=θb ………(5)
∠BCL A=∠BCR A=θa ………(6)
∠BCL C=∠BCR C=θc ………(7)
とする。
【0031】
ここで、表示画面の水平方向の長さを2Wsとすると、画面中心からの点Aのズレ量Daは以下の式で表わせる。
Da=Ws×tan(θa)÷tan(θw) ………(8)
【0032】
従って、観察者の瞳間隔を2dh とすれば、以下の式が成り立つ。
dh≧Da ………(9)
また、tan(θa+θb)=A÷k ………(10)
tan(θb)=B÷k ………(11)
【0033】
であるから、式(8)から式(11)により以下の式が成り立つ。
A≦k×{dh ×tan(θw)+Ws×tan(θb)}÷{Ws−dh ×tan(θb)×tan(θw)} ………(12)
【0034】
式(12)によって画面中心にB点がくるときの奥行き方向の融像可能範囲が算出される。すなわち、B点から奥行き方向の点で融像可能なのは式(11)の右式で計算される値よりも小さいことが条件となる。式(12)で、kとθbは幅輳角/基線長検出部10によって取得される。また、θwはレンズデータより既知であり、Wsは表示条件によって既知である。dh は所定の値(本実施の形態においては63mm)を使用するがこれに限定するものでない。
【0035】
次に点Cについて考える。
上と同様にして、点Cの画面上でのズレ量Dc は以下の式で表わせる。
C =Ws×tan(θc)÷tan(θw) ………(13)
画面からの飛び出し量を目の前からd、表示画面までの視距離dS とすると
C ≦dh ×(dS −d)÷d ………(14)
tan(θc)−k×(B−C)÷(k2 +B×C) ………(15)
【0036】
以上より以下の式が成り立つ。
C≧k×{d×Ws×tan(θb)−dh ×(ds−d)×tan(θw)}÷{Ws×d+tan(θb)×dh ×(ds−d)×tan(θw)}………(16)
【0037】
式(16)によって画面中心に点Bがくるときの手前方向の融像可能範囲が算出される。すなわち、B点から手前方向の点で融像可能なのは式(16)の右式で計算される値よりも大きいことが条件となる。式(16)で、kとθbは幅輳角/基線長検出部10によって取得される。また、θwはレンズデータより既知であり、Ws、dsは表示条件によって既知である。dh 、dは本実施の形態においては所定の値(本実施の形態においてはdh =63mm、d=200mm)を使用するがこれに限定するものでない。
【0038】
図5に上記のフローチャートを示す。
ステップ11にてθbとkを読み込む。
ステップ12にてWs、ds、dh 、dを読み込む。
ステップ13にて式(12)に従って奥行き融像限界点Aを求める。
ステップ14にて式(16)に従って手前融像限界点Cを求める。
ステップ15にてステップ13、14とレンズ撮影画角θw、基線長k、幅輳角θbから撮影可能範囲が決定される。
【0039】
次にステップ5で求められた視線対象までの距離と、ステップ15で決定された撮影可能範囲とを比較部306で比較する。すなわち視線対象が上記撮影可能範囲内か、範囲外であるかを比較する。次に範囲内であるか、範囲外であるかを撮影者に知らせるように画像制御部4へ指令する。そして表示201、202の第1または両方のLEDを画像制御部4からの信号に基づいて点灯または点滅させてその光を撮影者に観察させることで範囲内か範囲外であることを表示する。
【0040】
LEDが点灯のときは範囲外、LEDが消灯のときは範囲内としてもよいし、LEDが点滅のときは範囲外、LEDが消灯のときは範囲内としてもよい。また、前記撮影可能範囲からの出力結果を各表示部に出力してもよい。
尚、ステップ1からステップ15までの一連のタイミングは特に限定するものではないが、例えば1/30秒毎に1回づつ行うものとする。
【0041】
次に第2の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、図1においてCPU4000により位置検出部2000、3000からの出力値Vi、Bjに対して所定の離散化データに変換し、この離散化されたデータに応じてROM5000に格納されている前側主点位置データMij、後側主点位置データUijを読み込んでCCD1006の所定の画素kに対応する被写体の方向ベクトルNijkを演算し求めるようにしたものである。
【0042】
次に上記演算について説明する。
図1において、前側主点位置を(0,0,Mij)、後側主点位置を(0,0,Uij)とおく。このとき前述したように、画素kと前側主点位置を結ぶ線と後側主点位置と画素kに対応する被写体kを結ぶ線は平行であることは既知である。
【0043】
従って被写体kと前側主点を通り、画素kから後側主点位置への方向ベクトルN=(−Cxk,−Cyk,Uij)に平行な直線上にあることがわかる。この直線は前記式(4)で表わすことができる。
このように光学系1000の各レンズ群の位置に応じた主点位置をデータとして有することで正確に被写体のいる方向ベクトルを求めることができる。
【0044】
次に、本実施の形態による画像情報入力装置を複数個設けた図2の立体映像システムの動作について説明する。
【0045】
図6に図2の視線検出部203、204から演算部3に至る動作のフローチャートを示す。
ここでステップ21は図2の203、204に対応し、ステップ22、23は301、302に対応し、ステップ24は303に対応し、ステップ25、26、28、29、30は307に対応し、ステップ27は305に対応する。
【0046】
ステップ21は視線検出である。左眼、及び右眼のそれぞれの角膜反射の座標を出力する。ステップ22でこの座標と対応する右眼、左眼用のLCD上の座標を求める。ステップ23で対応する右眼、左眼用のCCD上の座標を求める。ステップ24で上述したように光学系101と102のレンズ群の位置に応じて各光学系11、12の前側主点と後側主点位置をROMから読み込んで、前側主点と被写体を結ぶ方向ベクトルを光学系101及び102についてそれぞれ求める。
【0047】
ステップ25で右眼用方向ベクトルdR 、左眼用方向ベクトルdL が同一平面内にあるかどうかを調べ、同一平面内であればステップ26へ進み、そうでなければステップ28に進む。
ステップ26で右眼用方向ベクトルdR と左眼用方向ベクトルdL の交点の座標を求める。
ステップ28で右眼用方向ベクトルdR と光学系12の基準点を通る平面Pを求める。
【0048】
ステップ29で平面Pへの左眼用方向ベクトルdL の正射影したベクトルdL′を求める。ステップ27で立体カメラ1の所定の基準点(左眼用光学系10の基準座標と右眼用光学系10の基準座標の中点)とステップ26またはステップ30にて求めた交点との距離と座標を求める。尚、撮影可能範囲算出部304については図4、図5により説明した通りである。
【0049】
次に第3の実施の形態について説明する。
本実施の形態は、図1において、CPU4000はCCD1006の所定の画素kに対応する被写体の位置座標Hijkと方向ベクトルNijkを演算し求めるために、位置検出部2000、3000からの出力値Vi、Rjに対してレンズ位置データと所定の離散化データI,Jに変換し、この離散化されたデータI,Jと上記所定の画素kが含まれる画素範囲(m,n)に対応するレンズ1000のディストーション補正データテーブルDから一組のディストーション補正データ(Dmij,Dnij)と、上記離散化されたデータI,Jに対応した焦点距離データテーブルFから焦点距離データFijと、上記離散化されたデータI,Jに対応した主点位置データテーブルSから前側主点位置データMij、後側主点位置データUijをROM5000から読み込むものである。
【0050】
次に上記の演算について説明する。
図1において、位置座標を求める被写体が結像しているCCD面上の画素kの座標を(Cmk,Cnk,0)とおく。ここでは画素面の重心とする。このとき、図7に示すように、CCD面上を所定の範囲に分割したどの画素範囲に画素kが含まれるか、その画素範囲D(m,n)とレンズの位置データI,jに対応したX軸方向のディストーション補正データをDmij、Y軸方向のディストーション補正データをDnijとし、一組のデータ(Dmij,Dnij)とする。
【0051】
通常レンズ1000は理想的なレンズでない限り、収差としてディストーションを有している。すなわちCCD面上に結像した像は歪んでいる。従って、CCD面上の画素位置から被写体の位置を求める際にこの歪みを補正してやることで精度よく被写体位置を求めることができる。
【0052】
本実施の形態では、上述したようにCCD画素に対応したディストーション補正データを有している。従ってCCD面上の画素kの座標(Cmk,Cnk,0)に結像した像はディストーションがなければ座標(Dmij×Cmk,Dnij×Cnk,0)に結像していることになる。すなわちここでいうディストーション補正データはディストーションがないときの被写体のCCD面上の結像位置(C, mk,C, nk,0)を求めるための補正係数であり、レンズ1000固有の係数である。
【0053】
ここで、
, mk=Dmij×Cmk ………(17)
, mk=Dnij×Cnk ………(18)
とする。
【0054】
上記ディストーション補正データは、実際のレンズのディストーションを測定して求めてもよいし、レンズ設計値を元に設定してもよい。システムが要求する精度に応じて設定するものとする。当然のことながら前者の方が得られる精度はよいが、ここでは特に限定するものでない。また、本実施の形態では、ディストーション補正データをCCD画素を所定の範囲に分けてその範囲毎に設定しているが、画素毎に設定してもよく特に限定するものでない。以下、特にことわりがない限り被写体に対応するCCD面上の画素kの座標は上記補正後のデータ(C, mk,C, nk,0)とする。
【0055】
レンズの位置データI,Jに対応した焦点距離をFijとおくと、後側焦点距離座標は(0,0、−Fij)になる。レンズの位置データI,Jに対応した前側主点位置を(0,0、Mij)、後側主点位置を(0,0、Uij)とおく。前側焦点距離座標は(0,0、Mij−Fij)、後側焦点距離座標は(0,0、Uij+Fij)とおける。また、被写体Hijkの座標を(Hxijk,Hyijk,Hzijk)とおく。このとき、ニュートンの公式により、被写体HijkのX、Y、Z座標は以下の式で求めることができる。
【0056】
Hxijk=C, mk×Fij/(Uij+Fij) ………(19)
Hyijk=C, mk×Fij/(Uij+Fij) ………(20)
Hzijk=Mij−Fij+Fij^2/(Uij+Fij)
………(21)
【0057】
また、画素kと前側主点位置を結ぶ線と後側主点位置と画素kに対応する被写体kを結ぶ線は平行であることは既知である。従って被写体kは前側主点を通り、画素kから後側主点位置への方向ベクトルNijk=(−C, xk,−C, yk,Uij)に平行な直線上にあることがわかる。この直線は以下の式で表わすことができる。
x/−C′mk=y/−C′mk=(z−Mij)/Uij………(22)
【0058】
このように光学系1000の各レンズ群の位置に応じた焦点距離データFijと各主点位置データMij、Uijを有することで正確に被写体位置Hijkと方向ベクトルNijkを求めることができる。
【0059】
次に、本実施の形態による画像情報入力装置を複数個設けた立体映像システムの動作について説明する。
図8に図2の視線検出部203、204から演算部3に至る動作のフローチャートを示す。
ここでステップ41は203、204に対応し、ステップ42、43は301、302に対応し、ステップ44、45、46、47、48は303に対応し、ステップ49は307に対応する。
【0060】
ステップ41は視線検出である。左眼、及び右眼のそれぞれの角膜反射の座標を出力する。
ステップ42でこの座標と対応する右眼、及び左眼用のLCD上の座標を求める。
ステップ43で対応する右眼、及び左眼用のCCD上の座標を求める。
ステップ44、45、46で上述したように、光学系101と102のレンズ群の位置に応じて各光学系11、12のディストーション補正データ(Dmij,Dnij)、焦点距離Fijと前側主点Mij及び後側主点UijをROMから読み込んで、被写体座標Hijk(Hxijk,Hyijk,Hzijk)を上記式(17)〜(21)により算出する。
ステップ47で前側主点Mijと被写体Hijkを結ぶ方向ベクトルNijkを光学系101及び102について式(6)にてそれぞれ求める。
また、撮影可能範囲算出部304についは、図4、図5により説明した通りである。
【0061】
尚、図1、図2の各機能ブロックによるシステムは、ハード的に構成してもよく、また、CPUやメモリ等から成るマイクロコンピュータシステムに構成してもよい。コンピュータシステムに構成する場合、上記メモリは本発明による記憶媒体を構成する。この記憶媒体には、図1、図5、図6、図8のフローチャートについて前述した動作を制御するための処理手順を実行するためのプログラムが記憶される。
【0062】
また、この記憶媒体としては、ROM、RAM等の半導体メモリ、光ディスク、光磁気ディスク、磁気媒体等を用いてよく、これらをCD−ROM、フロッピディスク、磁気媒体、磁気カード、不揮発性のメモリカード等に構成して用いてよい。
【0063】
従って、この記憶媒体を図1、図2に示したシステム以外の他のシステムあるいは装置で用い、そのシステムあるいはコンピュータがこの記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し、実行することによっても、前述した各実施の形態と同等の機能を実現できると共に、同等の効果を得ることができ、本発明の目的を達成することができる。
【0064】
また、コンピュータ上で稼働しているOS等が処理の一部又は全部を行う場合、あるいは、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された拡張機能ボードやコンピュータに接続された拡張機能ユニットに備わるメモリに書き込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づいて、上記拡張機能ボードや拡張機能ユニットに備わるCPU等が処理の一部又は全部を行う場合にも、各実施の形態と同等の機能を実現できると共に、同等の効果を得ることができ、本発明の目的を達成することができる。
【0065】
また、第1、第2の実施の形態で用いられる撮影レンズの焦点距離データと前側主点位置座標データと後側主点位置座標データとを記憶したROM5000、あるいは第3の実施の形態の形態で用いられる撮影レンズの固有の収差補正データと焦点距離データと主点位置データと記憶したROM5000は、本発明によるデータを記憶した記憶媒体を構成する。
この記憶媒体も上記コンピュータ読み取り可能な記憶媒体と同様のものが用いられる。
【0066】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による立体映像システムによれば、各画像情報入力装置において、可動レンズの位置を検出した情報に基づいて被写体の位置情報を求めるようにしたので、精度の高い被写体の位置情報を得ることができる。このため、立体映像撮影する際に、被写体が撮影範囲にあるか範囲外であるかを高い精度で検出することができ、これによって疲労度の少ない見やすい立体映像を得ることができる。また、複数の画像情報入力装置を設けているため、一方のレンズ情報の不具合が生じても、他方のレンズの焦点距離と主点位置情報等から被写体座標を求めることができ、データの信頼性を向上させることができる。
【0067】
また、被写体の位置情報を可動レンズの位置情報と共に、焦点距離データ、前側主点位置座標データ、後側主点位置座標データ、あるいはレンズ固有の収差補正データ、焦点距離データ、主点位置データに基づいて求めることにより、処理のためのデータ量や演算時間を特に大きくすることなく、精度の高い被写体位置情報を容易に取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による画像情報入力装置の第1、第2、第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】画像情報入力装置を用いた立体映像撮影装置の実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態による立体映像撮影装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】撮影可能範囲算出を説明する構成図である。
【図5】撮影可能範囲算出を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施の形態による立体映像撮影装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2の実施の形態による画像情報入力装置の動作を説明するためのCCD面を示す構成図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態による立体映像撮影装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1000 撮影光学系
1001、1004 固定レンズ群
1002 変倍レンズ群
1005 フォーカスコンペレンズ群
1006 CCD
2000、3000 位置検出部
4000 CPU
5000 ROM

Claims (7)

  1. 可動レンズを有するレンズ手段と、
    上記レンズ手段を介して結像された被写体像を画素毎の電気信号に変換する撮像手段と、
    上記撮像手段によって得られた電気信号に基づく画像を表示する表示手段と、
    上記表示手段を観察するユーザーの視線を検出する視線検出手段と、
    上記視線検出手段によって検出された上記ユーザーの視線にしたがって上記表示手段における画面上の座標を特定し、上記特定した画面上の座標にしたがって上記撮像手段における撮像面上の座標を特定する座標算出手段と、
    上記可動レンズの位置を検出する位置検出手段と、
    上記可動レンズの複数のレンズ位置にそれぞれ対応する焦点距離、前側主点位置座標、及び、後側主点位置座標のデータを記憶する記憶手段と、
    上記座標算出手段によって特定された上記撮像面上の座標と、上記記憶手段に記憶されている上記位置検出手段の検出位置対応する上記焦点距離、上記前側主点位置座標、及び、上記後側主点位置座標とにしたがって、上記被写体の位置情報を算出する演算手段とを有する画像入力装置を複数個設けたことを特徴とする立体映像システム。
  2. 上記位置情報は、上記撮像手段の所定の画素に対するベクトルであることを特徴とする請求項1に記載の立体映像システム。
  3. 上記位置情報は、上記撮像手段の所定の画素に対する上記被写体の位置座標とベクトルであることを特徴とする請求項1に記載の立体映像システム。
  4. 上記位置情報は、上記レンズ手段の固有の収差補正データと焦点距離と主点位置データとから求めた上記撮像手段の所定の画素に対する上記被写体の位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の立体映像システム。
  5. 上記レンズ手段の固有の収差補正データは、上記撮像手段の所定の画素範囲に対応したデータテーブルであることを特徴とする請求項に記載の立体映像システム。
  6. 上記レンズ手段の固有の収差補正データは、上記撮像手段の所定の画素に対応したデータテーブルであることを特徴とする請求項に記載の立体映像システム。
  7. 上記複数の画像情報入力装置により、右眼用視差画像と左眼用視差画像とを得るようにしたことを特徴とする請求項1に記載の立体映像システム。
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