JP4235021B2 - 自在管継手 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、継手部材として広範囲に普及可能な自在管継手に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来は、タンク等の機器類と配管、配管中、など接続部材としてベローズ形状の継手が広く用いられ、免震・耐振構造体として機能している。
【０００３】
一般的な形状としては、図５に示すように管軸に対して直交するベローズを組み込んだ構成のものが多い。
【０００４】
また、図６に示すように、管軸に対してベローズ軸を同心に設けると共に、管軸に対してベローズを所定角度一方向に傾斜した構成が開示されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００５】
また、図７に示すように、管軸に対し一方向傾斜ベローズと直交ベローズを組合せた構成が開示されている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００６】
また、図８に示すように、管軸に対しベローズ軸そのものを所定角度α傾斜して設けた構成の例である（例えば、特許文献３参照。）。
【０００７】
【特許文献１】
特開平１１−２８７３７５号公報
【特許文献２】
特開平１１−２８７３７４号公報
【特許文献３】
特開平１１−２８７３７３号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上述の従来例では何れの場合も、伸縮変位、曲げ変位、円周方向の回転変位に対し、特定の一方向にのみ応力が生ずる為、金属疲労において、その耐久性・寿命が短く、その機能の向上が望まれる、という課題がある。
【０００９】
本発明は、上述の事情に鑑みて成されたもので、ベローズを継手の長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、円周方向への正逆回転変位をバランスよく吸収可能とすると共に、各エレメントに掛る応力を軽減し、継手自身の耐久性・寿命を向上させ得る自在管継手を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【００１１】
（１）外観が管状を呈し、継手構造部を挟んで両端が接続部からなる自在管継手であって、両端接続部の間に所定角度傾斜した複数の襞からなるベローズを、山部と谷部とを順次と隣接して螺旋状に連続した構成と傾斜方向を逆に離間して対向させ、対向位置の基点となる管状長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、左右傾斜ベローズの２種で一組を成す２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする自在管継手。
【００１２】
（２）外観が管状を呈し、継手構造部を挟んで両端が接続部からなる自在管継手であって、両端接続部の間に所定角度傾斜した複数の襞からなるベローズを、山部と谷部とを順次と隣接して螺旋状に連続した構成と傾斜方向を逆に離間して対向させ、更に対向位置の基点を含み且つ前記離間した中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、前記対向位置の基点となる管状長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする自在管継手。
【００１３】
（３）前項（１）または（２）記載の自在管継手において、左右傾斜ベローズの２種で一組を成す２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部、または中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を、両端接続部間において、夫々二組以上複数組連接して成る自在管継手。
【００１４】
（４）前項（１）乃至（３）の何れか記載の自在管継手において、前記ベローズは、襞を形成する山部と谷部を螺旋状に連接した自在管継手。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る自在管継手の実施の形態について説明する。
【００１６】
図１は、実施例１における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図２は、実施例２における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図３は、実施例３における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図４は、実施例４における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図５は、従来例１における管軸に対して直交するベローズを組み込んだ構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図、図６は、従来例２における管軸に対してベローズ軸を同心に設けると共に、管軸に対してベローズを所定角度一方向に傾斜した構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図、図７は、従来例３における管軸に対し一方向傾斜ベローズと直交ベローズを組合せた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図、図８は、従来例４における管軸に対しベローズ軸そのものを所定角度α傾斜して設けた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図である。
【００１７】
（実施例１）
以下、実施例１について図面を参照して説明する。
【００１８】
図１において、外観が管状を呈し、継手構造部ＢＫを挟んで両端が接続部Ｆ、Ｆからなる自在管継手であって、両端接続部Ｆ、Ｆの間に所定角度傾斜した複数の襞からなる左右傾斜ベローズ１，１を、傾斜方向を逆に離間して例えば、図中左側をθａ左傾させ、右側をθｂ右傾させて対向させ、対向位置の基点となる管状長手方向の中心線ｌ０を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、左右傾斜ベローズ１、１の２種で一組を成す２種一組みの組み合わせベローズｂｋ２からなる継手構造部ＢＫを構成し（尚、中心線ｌ０は継手の長手方向寸法Ｌの１／２である）、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成とし、左右対称に設けた前記左右傾斜ベローズ１、１を形成する襞のピッチｐａ、ｐｂ、襞の高さ寸法ｈａ、ｈｂ、襞の個数ｎａ，ｎｂ、襞の傾斜角度θａ、θｂ等の絶対値を左右共に同一値として構成して成ることを特徴とする。
【００１９】
他の符号について、２はベローズ以外の筒状部である。
【００２０】
上述の構成に基づいて作用を説明する。
【００２１】
本発明に係る自在管継手を、タンク等の機器類や配管の途中に接続することにより、地震、その他の災害による振動等に対し、左右逆向きに傾斜させ、ベローズを継手の長手方向中心線を境にして左右対象に配設したので、従来の一方向傾斜ベローズ継手と比較して、変位量を左右傾斜が逆のベローズによって相殺または分散して各エレメントに掛る応力が軽減され、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を十分に全方位に対してバランスよく吸収可能とすると共に、継手としての耐久性・寿命を向上させることが出来る。
【００２２】
（実施例２）
実施例２は、図２に示すように、実施例１の構成に加えて、左右傾斜ベローズの中間部となる中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、この中央ベローズを挟んで左右傾斜ベローズで一組となる一組３種の組み合わせベローズからなる継手構造部とした例である。
【００２３】
即ち、外観が管状を呈し、継手構造部ＢＫを挟んで両端が接続部Ｆ、Ｆからなる自在管継手であって、両端接続部Ｆ、Ｆの間に所定角度傾斜した複数の襞からなる左右傾斜ベローズ１、１を、傾斜方向を逆に離間して対向させ、更に対向位置の基点を含み且つ前記離間した中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、前記対向位置の基点となる管状長手方向の中心線ｌ０を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズｂｋ３からなる継手構造部ＢＫを構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする。
【００２４】
実施例２の場合は、実施例１の作用に加えて、全方位の変位に対して、更にバランスよく柔軟に対応できる機能を備えた構成とした例である。
【００２５】
（実施例３）
実施例３は、図３（ａ）、（ｂ）において、（ａ）は実施例１の２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を二組以上複数組連接した場合の例であり、（ｂ）は実施例２の３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を二組以上複数組連接した場合の例であり、夫々設置条件に適宜対応して組み合わせることにより、より効果を高めることが出来る。
【００２６】
（実施例４）
実施例４は、複数の襞からなるベローズとは異なり、図４に示すように、襞を形成する山部と谷部を螺旋状に連接したことを特徴とする。
【００２７】
各符号は、実施例１の符号に′（ダッシュ）を付して使い分けることとした。
【００２８】
構成において、螺旋状に連接した山部と谷部３を左右に傾斜方向を逆にし且つ所定寸法離間して配設してある。その他実施例１と同様の部分については、説明を省略する。
【００２９】
本発明に係る自在管継手は管の長手方向、管軸の中心を基点として左右対称の構造としたことにより、全体としてバランス良く変位を吸収可能である。
【００３０】
尚、作用については、実施例１の場合と同様であるので説明を省略する。
【００３１】
また、図面では、襞を形成する山部と谷部を急激に折り曲げた「とがった」形で表しているが、山部と谷部に丸みを付け、その断面が曲率半径を有する構造とすることも出来る。
【００３２】
更に、本実施形態において、１）接続部は、フランジ式、ネジ式、或はヘルール式何れでも良く、限定するものではない。２）材質については、ゴム、樹脂等の弾性体または不錆鋼（ｓｕｓ）等の金属系の材質の何れでも良く、特に金属系の材質の場合は、継手としての金属疲労を極力抑えることが出来、用途を広範囲に適応可能であり、一般産業界は言うに及ばず、石油関連を含む化学産業、原子力産業、自動車産業、鉄道車両関係、航空機、船舶関係等々に広く応用可能な自在管継手を提供出来る。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ベローズを継手の長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設したことで、応力が左右に分散または相殺され、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とすると共に、各エレメントに掛る応力を軽減し、継手自身の耐久性・寿命、即ち金属疲労の限界を著しく向上させることができ、あらゆる業界に広く応用可能である、という効果を呈する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施例１における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図２】 実施例２における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図３】 実施例３における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図４】 実施例４における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図５】 従来例１における管軸に対して直交するベローズを組み込んだ構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【図６】 従来例２における管軸に対してベローズ軸を同心に設けると共に、管軸に対してベローズを所定角度一方向に傾斜した構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【図７】 従来例３における管軸に対し一方向傾斜ベローズと直交ベローズを組合せた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【図８】 従来例４における管軸に対しベローズ軸そのものを所定角度α傾斜して設けた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【符号の説明】
１ 傾斜ベローズ
２ 筒状部
３ 螺旋状に連接した山部と谷部
Ｆ 接続部
ＢＫ 継手構造部
ｂｋ２ ２種一組の組み合わせベローズ
ｂｋ３ ３種一組の組み合わせベローズ
ｐａ、ｐｂ ベローズを形成する襞のピッチ
ｈａ、ｈｂ 襞の高さ寸法
ｎａ，ｎｂ 襞の個数
θａ、θｂ 襞の傾斜角度
【発明の属する技術分野】
本発明は、継手部材として広範囲に普及可能な自在管継手に関する。
【０００２】
【従来の技術】
従来は、タンク等の機器類と配管、配管中、など接続部材としてベローズ形状の継手が広く用いられ、免震・耐振構造体として機能している。
【０００３】
一般的な形状としては、図５に示すように管軸に対して直交するベローズを組み込んだ構成のものが多い。
【０００４】
また、図６に示すように、管軸に対してベローズ軸を同心に設けると共に、管軸に対してベローズを所定角度一方向に傾斜した構成が開示されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００５】
また、図７に示すように、管軸に対し一方向傾斜ベローズと直交ベローズを組合せた構成が開示されている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００６】
また、図８に示すように、管軸に対しベローズ軸そのものを所定角度α傾斜して設けた構成の例である（例えば、特許文献３参照。）。
【０００７】
【特許文献１】
特開平１１−２８７３７５号公報
【特許文献２】
特開平１１−２８７３７４号公報
【特許文献３】
特開平１１−２８７３７３号公報
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
然しながら、上述の従来例では何れの場合も、伸縮変位、曲げ変位、円周方向の回転変位に対し、特定の一方向にのみ応力が生ずる為、金属疲労において、その耐久性・寿命が短く、その機能の向上が望まれる、という課題がある。
【０００９】
本発明は、上述の事情に鑑みて成されたもので、ベローズを継手の長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、円周方向への正逆回転変位をバランスよく吸収可能とすると共に、各エレメントに掛る応力を軽減し、継手自身の耐久性・寿命を向上させ得る自在管継手を提供することを目的とする。
【００１０】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記構成を備えることにより上記課題を解決できるものである。
【００１１】
（１）外観が管状を呈し、継手構造部を挟んで両端が接続部からなる自在管継手であって、両端接続部の間に所定角度傾斜した複数の襞からなるベローズを、山部と谷部とを順次と隣接して螺旋状に連続した構成と傾斜方向を逆に離間して対向させ、対向位置の基点となる管状長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、左右傾斜ベローズの２種で一組を成す２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする自在管継手。
【００１２】
（２）外観が管状を呈し、継手構造部を挟んで両端が接続部からなる自在管継手であって、両端接続部の間に所定角度傾斜した複数の襞からなるベローズを、山部と谷部とを順次と隣接して螺旋状に連続した構成と傾斜方向を逆に離間して対向させ、更に対向位置の基点を含み且つ前記離間した中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、前記対向位置の基点となる管状長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする自在管継手。
【００１３】
（３）前項（１）または（２）記載の自在管継手において、左右傾斜ベローズの２種で一組を成す２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部、または中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を、両端接続部間において、夫々二組以上複数組連接して成る自在管継手。
【００１４】
（４）前項（１）乃至（３）の何れか記載の自在管継手において、前記ベローズは、襞を形成する山部と谷部を螺旋状に連接した自在管継手。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る自在管継手の実施の形態について説明する。
【００１６】
図１は、実施例１における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図２は、実施例２における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図３は、実施例３における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図４は、実施例４における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図、図５は、従来例１における管軸に対して直交するベローズを組み込んだ構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図、図６は、従来例２における管軸に対してベローズ軸を同心に設けると共に、管軸に対してベローズを所定角度一方向に傾斜した構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図、図７は、従来例３における管軸に対し一方向傾斜ベローズと直交ベローズを組合せた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図、図８は、従来例４における管軸に対しベローズ軸そのものを所定角度α傾斜して設けた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図である。
【００１７】
（実施例１）
以下、実施例１について図面を参照して説明する。
【００１８】
図１において、外観が管状を呈し、継手構造部ＢＫを挟んで両端が接続部Ｆ、Ｆからなる自在管継手であって、両端接続部Ｆ、Ｆの間に所定角度傾斜した複数の襞からなる左右傾斜ベローズ１，１を、傾斜方向を逆に離間して例えば、図中左側をθａ左傾させ、右側をθｂ右傾させて対向させ、対向位置の基点となる管状長手方向の中心線ｌ０を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、左右傾斜ベローズ１、１の２種で一組を成す２種一組みの組み合わせベローズｂｋ２からなる継手構造部ＢＫを構成し（尚、中心線ｌ０は継手の長手方向寸法Ｌの１／２である）、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成とし、左右対称に設けた前記左右傾斜ベローズ１、１を形成する襞のピッチｐａ、ｐｂ、襞の高さ寸法ｈａ、ｈｂ、襞の個数ｎａ，ｎｂ、襞の傾斜角度θａ、θｂ等の絶対値を左右共に同一値として構成して成ることを特徴とする。
【００１９】
他の符号について、２はベローズ以外の筒状部である。
【００２０】
上述の構成に基づいて作用を説明する。
【００２１】
本発明に係る自在管継手を、タンク等の機器類や配管の途中に接続することにより、地震、その他の災害による振動等に対し、左右逆向きに傾斜させ、ベローズを継手の長手方向中心線を境にして左右対象に配設したので、従来の一方向傾斜ベローズ継手と比較して、変位量を左右傾斜が逆のベローズによって相殺または分散して各エレメントに掛る応力が軽減され、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を十分に全方位に対してバランスよく吸収可能とすると共に、継手としての耐久性・寿命を向上させることが出来る。
【００２２】
（実施例２）
実施例２は、図２に示すように、実施例１の構成に加えて、左右傾斜ベローズの中間部となる中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、この中央ベローズを挟んで左右傾斜ベローズで一組となる一組３種の組み合わせベローズからなる継手構造部とした例である。
【００２３】
即ち、外観が管状を呈し、継手構造部ＢＫを挟んで両端が接続部Ｆ、Ｆからなる自在管継手であって、両端接続部Ｆ、Ｆの間に所定角度傾斜した複数の襞からなる左右傾斜ベローズ１、１を、傾斜方向を逆に離間して対向させ、更に対向位置の基点を含み且つ前記離間した中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、前記対向位置の基点となる管状長手方向の中心線ｌ０を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズｂｋ３からなる継手構造部ＢＫを構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする。
【００２４】
実施例２の場合は、実施例１の作用に加えて、全方位の変位に対して、更にバランスよく柔軟に対応できる機能を備えた構成とした例である。
【００２５】
（実施例３）
実施例３は、図３（ａ）、（ｂ）において、（ａ）は実施例１の２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を二組以上複数組連接した場合の例であり、（ｂ）は実施例２の３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を二組以上複数組連接した場合の例であり、夫々設置条件に適宜対応して組み合わせることにより、より効果を高めることが出来る。
【００２６】
（実施例４）
実施例４は、複数の襞からなるベローズとは異なり、図４に示すように、襞を形成する山部と谷部を螺旋状に連接したことを特徴とする。
【００２７】
各符号は、実施例１の符号に′（ダッシュ）を付して使い分けることとした。
【００２８】
構成において、螺旋状に連接した山部と谷部３を左右に傾斜方向を逆にし且つ所定寸法離間して配設してある。その他実施例１と同様の部分については、説明を省略する。
【００２９】
本発明に係る自在管継手は管の長手方向、管軸の中心を基点として左右対称の構造としたことにより、全体としてバランス良く変位を吸収可能である。
【００３０】
尚、作用については、実施例１の場合と同様であるので説明を省略する。
【００３１】
また、図面では、襞を形成する山部と谷部を急激に折り曲げた「とがった」形で表しているが、山部と谷部に丸みを付け、その断面が曲率半径を有する構造とすることも出来る。
【００３２】
更に、本実施形態において、１）接続部は、フランジ式、ネジ式、或はヘルール式何れでも良く、限定するものではない。２）材質については、ゴム、樹脂等の弾性体または不錆鋼（ｓｕｓ）等の金属系の材質の何れでも良く、特に金属系の材質の場合は、継手としての金属疲労を極力抑えることが出来、用途を広範囲に適応可能であり、一般産業界は言うに及ばず、石油関連を含む化学産業、原子力産業、自動車産業、鉄道車両関係、航空機、船舶関係等々に広く応用可能な自在管継手を提供出来る。
【００３３】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、ベローズを継手の長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設したことで、応力が左右に分散または相殺され、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とすると共に、各エレメントに掛る応力を軽減し、継手自身の耐久性・寿命、即ち金属疲労の限界を著しく向上させることができ、あらゆる業界に広く応用可能である、という効果を呈する。
【図面の簡単な説明】
【図１】 実施例１における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図２】 実施例２における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図３】 実施例３における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図４】 実施例４における自在管継手の実施の形態を示す要部構成側面図
【図５】 従来例１における管軸に対して直交するベローズを組み込んだ構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【図６】 従来例２における管軸に対してベローズ軸を同心に設けると共に、管軸に対してベローズを所定角度一方向に傾斜した構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【図７】 従来例３における管軸に対し一方向傾斜ベローズと直交ベローズを組合せた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【図８】 従来例４における管軸に対しベローズ軸そのものを所定角度α傾斜して設けた構成のベローズ継手の要部構成を示す一部破断側面図
【符号の説明】
１ 傾斜ベローズ
２ 筒状部
３ 螺旋状に連接した山部と谷部
Ｆ 接続部
ＢＫ 継手構造部
ｂｋ２ ２種一組の組み合わせベローズ
ｂｋ３ ３種一組の組み合わせベローズ
ｐａ、ｐｂ ベローズを形成する襞のピッチ
ｈａ、ｈｂ 襞の高さ寸法
ｎａ，ｎｂ 襞の個数
θａ、θｂ 襞の傾斜角度
Claims (4)
- 外観が管状を呈し、継手構造部を挟んで両端が接続部からなる自在管継手であって、両端接続部の間に所定角度傾斜した複数の襞からなるベローズを、山部と谷部とを順次と隣接して螺旋状に連続した構成と傾斜方向を逆に離間して対向させ、対向位置の基点となる管状長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、左右傾斜ベローズの２種で一組を成す２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする自在管継手。
- 外観が管状を呈し、継手構造部を挟んで両端が接続部からなる自在管継手であって、両端接続部の間に所定角度傾斜した複数の襞からなるベローズを、山部と谷部とを順次と隣接して螺旋状に連続した構成と傾斜方向を逆に離間して対向させ、更に対向位置の基点を含み且つ前記離間した中央部分に管軸に直交する複数の襞からなるベローズを設け、前記対向位置の基点となる管状長手方向の中心線を境にして折り曲げた時に重なるように左右対称に配設し、中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を構成し、軸方向の伸縮変位、軸に交差する平面上での曲げ変位、捩れとなる円周方向への正逆回転変位を全方位に対してバランスよく吸収可能とする構成としたことを特徴とする自在管継手。
- 請求項１または２記載の自在管継手において、左右傾斜ベローズの２種で一組を成す２種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部、または中央ベローズ、左右傾斜ベローズの３種で一組を成す３種一組の組み合わせベローズからなる継手構造部を、両端接続部間において、夫々二組以上複数組連接して成ることを特徴とする自在管継手。
- 請求項１乃至３の何れか記載の自在管継手において、前記ベローズは、襞を形成する山部と谷部を螺旋状に連接したことを特徴とする自在管継手。
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