JP4235012B2 - コージェネレーションシステム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、都市ガス、LPガス等を用いてガスエンジン発電機や燃料電池発電機を運転し電気を発生し、副産物として発生した熱を熱交換器により清水に蓄熱し貯湯式の湯水に利用するコージェネレーションシステムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コージェネレーションシステムにおいて副産物として発生した熱は、熱交換器により清水に蓄熱され、貯湯式の湯水に利用されていた。しかし、湯水は風呂や給湯などに用いられ利用者に触れる機会も多く、衛生的なものが求められている。そのため、都市ガス、LPガス等を用いてガスエンジン発電機や燃料電池発電機を運転し電気を発生し、副産物として発生した熱を貯湯式の湯水の加熱に利用するコージェネレーションシステムとして本件出願人が出願したもの(特許文献1)がある。このコージェネレーションシステムは、熱交換器を介して熱の受給を行う熱の供給側水循環路又は熱の受給側水循環路に配設され供給側水循環路又は受給側水循環路を循環する水又は熱媒が一時的に貯留される水タンクと、水タンクの水位を検出する水位電極と、を備え、熱交換器の隔壁が破損した場合には、一方の循環路を流れる水又は熱媒が他方の循環路に侵入し循環路内の水量が増加し循環路に設けられた水タンクの水位が上昇するため、この水位の上昇を水位電極により検知することで、熱交換器の隔壁の破損を検知することができるものである。
【0003】
【特許文献1】
特願2002−207740号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術では、熱交換器の隔壁の破損を検知することはできても、一方の循環路を流れる水又は熱媒が他方の循環路に侵入すること自体を防ぐことは難しく、このため、清水側に暖房水やエンジン冷却水等の混合水等が流れ込まず衛生的であり、耐久性及びメンテナンス性に優れたコージェネレーションシステムが要望されていた。
【0005】
本発明は、上記従来の要望に応えるものであって、清水側に混合水等が流れ込まず衛生的であり、耐久性及びメンテナンス性に優れたコージェネレーションシステムを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のコージェネレーションシステムは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載のコージェネレーションシステムは、水道水等の清水が循環する清水循環路と、不凍液等の不純物を含有する混合液が循環する暖房循環路と、前記清水循環路及び前記暖房循環路に接続され前記清水と前記混合液との間で熱交換を行う少なくとも1の暖房熱交換器と、前記清水循環路に配設され前記清水循環路を循環する前記清水が上端まで満水の状態で貯留されて加熱される貯湯タンクと、前記清水循環路に配設されたバキュームブレーカと、オーバーフロー部を有し前記暖房循環路の前記暖房熱交換器の下流側に配設され前記暖房循環路を循環する前記混合液が貯留され前記オーバーフロー部により前記暖房循環路を大気に開放する暖房水タンクと、前記暖房循環路の前記暖房水タンクの下流側に配設された暖房ポンプと、を備え、
前記暖房熱交換器の最も低い箇所である暖房循環路側の出口が、前記暖房水タンクの液面より高い位置に配設されており、前記貯湯タンクの上端が、前記暖房熱交換器の上面の前記清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)暖房水タンクが暖房熱交換器の下流側に低く配設され暖房循環路がオーバーフロー部により大気に開放されており、暖房熱交換器の最も低い箇所である暖房循環路側の出口が暖房水タンクの液面より高い位置に配設されているため、暖房熱交換器内部の暖房循環路側の水圧を、暖房熱交換器と暖房水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低くすることができる。
(2)貯湯タンクの上端が暖房熱交換器の上面の清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設され、清水循環路の水圧が所定の値より低くなるとバキュームブレーカにより清水循環路が大気に開放されるため、清水の供給が停止し断水状態となり清水循環路の水圧が所定の値より低くなっても、暖房熱交換器内部の清水循環路側の水圧を、貯湯タンクの液面と暖房熱交換器の上面の清水循環路側の出口との落差分だけ大気圧より高くすることができる。
(3)暖房熱交換器内部の暖房循環路側の水圧が暖房熱交換器の最も低い箇所である暖房循環路側の出口と暖房水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低く、断水状態での清水循環路側の水圧が貯湯タンクの液面と暖房熱交換器の上面の清水循環路側の出口との落差分だけ大気圧より高いため、清水が断水状態の時の清水循環路側の水圧を貯湯タンクと暖房水タンクとの液面の落差分だけ暖房循環路側の水圧より高くすることができる。
(4)暖房熱交換器の暖房循環路側の出口が、暖房水タンクの液面より高い位置に配設されており、貯湯タンクの出口が、暖房熱交換器の清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されているため、清水が断水状態で暖房熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、暖房熱交換器内部の暖房循環路側の水圧より清水循環路側の水圧が高いため、暖房循環路側から清水側循環路側へ混合液が流入するのを防ぐことができる。
(5)暖房ポンプにより混合液が循環されるため、熱交換を効率よく行うことができる。
(6)暖房水タンクが暖房熱交換器の下流側に配設されており、暖房ポンプが暖房水タンクの下流側に配設されているため、暖房ポンプの水流による急激な圧力が暖房熱交換器に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0007】
ここで、暖房熱交換器において熱交換される清水や混合液としては、清水としては貯湯タンクに貯湯された湯やバーナー等により加熱された湯等であり、混合液としては浴槽水や床暖房等の暖房機の熱媒、ガスエンジン発電機や燃料電池発電機などの排熱を回収する熱媒等である。
暖房熱交換器としては、壁によって分けられた空間に温度の異なる2種類の流体を流し、壁からの伝熱と壁と流体間の対流により2流体間の伝熱を行なわせる表面式熱交換器ならば何でも用いることができる。特に、プレート型の熱交換器は、表面に波状等の加工を施すことで接触面積を広く取ることができ熱交換の効率に優れるため、好適に用いられる。
貯湯タンクは、常時は上端まで水道水圧により満水になっており、余剰熱を蓄熱する働きを有している。
バキュームブレーカは、清水循環路の水圧が所定の値より低くなると清水循環路を大気に開放する。
暖房循環路に配設された暖房水タンクは、外部に開放されたオーバーフロー部を有しており、暖房循環路に余分な圧力をかけないような構造になっている。
暖房熱交換器と暖房水タンクの液面との高さの差は、できるだけ大きい方がよい。高さの差が、小さくなるにつれて圧力差が小さくなり、好ましくない。
各タンクと暖房熱交換器の位置は、高い順に、貯湯タンク上部、暖房熱交換器、暖房水タンクの液面となるようにするのが良い。
【0010】
請求項2に記載のコージェネレーションシステムは、水道水等の清水が循環する清水循環路と、エンジン発電機等の排熱装置の排熱により加熱された水が循環するエンジン排熱循環路と、前記清水循環路及び前記エンジン排熱循環路に接続され前記清水と前記水との間で熱交換を行う少なくとも1のエンジン熱交換器と、前記清水循環路に配設され前記清水循環路を循環する前記清水が上端まで満水の状態で貯留されて加熱される貯湯タンクと、前記清水循環路に配設されたバキュームブレーカと、液面が大気に開放されており前記エンジン排熱循環路の前記エンジン熱交換器の下流側に配設され前記エンジン排熱循環路を循環する前記水が貯留されるエンジン冷却水タンクと、前記エンジン排熱循環路の前記エンジン冷却水タンクの下流側に配設された排熱ポンプと、を備え、
前記エンジン熱交換器の最も低い箇所である前記エンジン排熱循環路側の出口が、前記エンジン冷却水タンクの前記液面より高い位置に配設されており、前記貯湯タンクの上端が、前記エンジン熱交換器の上面の前記清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されている構成を有している。
この構成により、以下のような作用を有する。
(1)エンジン冷却水タンクがエンジン熱交換器の下流側に配設されエンジン排熱循環路が大気に開放されており、エンジン熱交換器の最も低い箇所であるエンジン排熱循環路側の出口がエンジン冷却水タンクの液面より高い位置に配設されているため、エンジン熱交換器内部のエンジン排熱循環路側の水圧を、エンジン熱交換器の最も低い箇所であるエンジン排熱循環路側の出口とエンジン冷却水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低くすることができる。
(2)貯湯タンクの上端がエンジン熱交換器の上面の清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設され、清水循環路の水圧が所定の値より低くなるとバキュームブレーカにより清水循環路が大気に開放されるため、清水の供給が停止し断水状態となり清水循環路の水圧が所定の値より低くなっても、エンジン熱交換器内部の清水循環路側の水圧を、貯湯タンクの液面とエンジン熱交換器の上面の清水循環路側の出口との落差分だけ大気圧より高くすることができる。
(3)エンジン熱交換器内部のエンジン排熱循環路側の水圧がエンジン熱交換器の最も低い箇所であるエンジン排熱循環路側の出口とエンジン冷却水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低く、断水状態での清水循環路側の水圧が貯湯タンクの液面とエンジン熱交換器の上面の清水循環路側の出口との落差分だけ大気圧より高いため、清水が断水状態の時の清水循環路側の水圧を貯湯タンクとエンジン冷却水タンクとの液面の落差分だけエンジン排熱循環路側の水圧より高くすることができる。
(4)エンジン熱交換器のエンジン排熱循環路側の出口が、エンジン冷却水タンクの液面より高い位置に配設されており、貯湯タンクの出口がエンジン熱交換器の清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されているため、清水が断水状態でエンジン熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、エンジン熱交換器内部のエンジン排熱循環路側の水圧より清水循環路側の水圧が高いため、エンジン排熱循環路側から清水側循環路側へ混合液が流入するのを防ぐことができる。
(5)排熱ポンプにより混合液が循環されるため、熱交換を効率よく行うことができる。
(6)エンジン冷却水タンクがエンジン熱交換器の下流側に配設されており、排熱ポンプがエンジン冷却水タンクの下流側に配設されているため、排熱ポンプの水流による急激な圧力がエンジン熱交換器に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0011】
ここで、エンジン熱交換器としては、前述の暖房熱交換器と同様のものが用いられる。
エンジン熱交換器とエンジン冷却水タンクの液面との高さの差は、できるだけ大きい方がよい。高さの差が、小さくなるにつれて圧力差が小さくなり、好ましくない。
各タンクとエンジン熱交換器の位置は、高い順に、貯湯タンク上部、エンジン熱交換器、エンジン冷却水タンクの液面となるようにするのが良い。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
(実施の形態1)
図1は本実施の形態1におけるコージェネレーションシステムを示す構成図である。
図1において、1は温度成層を形成して貯湯を行う貯湯循環系統、2は図示しないガスエンジン発電機の排熱を利用して(例えばウォータージャケットからの湯を利用して)貯湯循環系統1における湯水の加熱等を行うエンジン排熱系統、3は温水を使用した暖房を行う暖房系統、4は暖房系統3を高温に加熱するための高温暖房循環系統、5は風呂の追い焚きのための熱交換を行う風呂加熱循環系統、6は風呂の追い焚きを行う風呂追い焚き系統、7は全体を制御する制御装置、8は給水給湯系統である。
【0015】
貯湯循環系統1は、貯湯タンク101、循環ポンプ102、湯水の温度を計測する貯湯サーミスタ103〜106、通水水量を連続的に制御する循環比例弁107、循環する湯水の温度を計測する循環サーミスタ109、温度成層を形成するためのじゃま板110,111、逃し弁123a、図示しないガスエンジン発電機の排熱と熱交換する熱の供給側124aと熱の受給側124bとから成るエンジン熱交換器124、循環ポンプ102から供給される湯水をバイパスする貯湯弁125(開閉弁)、出湯管に配設されたエア抜き弁127、貯湯循環系統1の水圧が所定の値より低くなると貯湯循環系統1を大気に開放するバキュームブレーカ126、圧力スイッチ128を備えて構成されている。
エンジン排熱系統2は、排熱ポンプ201、湯が100℃を越えないようにするため大気に開放されたエンジン冷却水タンク202、暖房系統3との間において熱交換する熱の供給側204aと熱の受給側204bとを有する暖房エンジン熱交換器204、排熱サーミスタ205、図示しないガスエンジン発電機の発電能力に余剰が生じた場合にその余剰電力を回収して熱源として使用するための余剰電力回収ヒータ206、排熱ポンプ201からの湯水が供給される往路口207、図示しないガスエンジン発電機のウォータージャケットからの湯水が供給される戻り口208を備えて構成されている。エンジン冷却水タンク202は、排熱警告電極202a、排熱高水位電極202b、排熱低水位電極202c、排熱基準電極202dを有している。これにより、水位が低下した場合等に必要に応じて後述する排熱補給水弁を介して後述の給水口より補給水が供給される。
【0016】
暖房系統3は、暖房ポンプ301、高温暖房循環系統4との間において熱交換する熱の供給側302aと熱の受給側302bとから成る暖房熱交換器302、暖房サーミスタ303、バイパス回路304、暖房水タンク305、往路口306、戻り口307を備えて構成されている。暖房水タンク305は、暖房警告電極308、暖房高水位電極309、暖房低水位電極310、暖房基準電極311を有している。これにより、水位が低下した場合等に必要に応じて後述する暖房補給水弁を介して後述の給水口より補給水が供給される。
高温暖房循環系統4は、補助熱源器401、補助熱源出サーミスタ402a、補助熱源入サーミスタ402b、高温暖房循環系統4を作動させるためのオン、オフ動作の暖房弁403(開閉弁)、流量センサ404を備えて構成されている。
風呂加熱循環系統5は、風呂追い焚き系統6との間において熱交換する熱の供給側501aと熱の受給側501bとから成る風呂熱交換器501、風呂熱交換器501の下流側に配設されたふろ弁502(開閉弁)を備えて構成されている。
風呂追い焚き系統6は、風呂ポンプ601、図示しない浴槽へ追焚用の湯を供給する往路口602、図示しない浴槽からの湯水が供給される戻り口603、図示しない浴槽と風呂熱交換器501の間を循環する湯水の温度を計測する風呂サーミスタ604、風呂水流スイッチ605、水位センサ606を有する。
【0017】
給水給湯系統8は、湯比例弁112、水比例弁113、給湯口117、給水口118、給水口118から供給される清水の水圧を調整する減圧逆止弁119、給水温度を計測する給水サーミスタ120、水量を計測する給水水量センサ121、逆流防止の逆止弁122,122a、高温出湯防止弁129、水停止手動弁130、給湯温度を計測する給湯サーミスタ131、暖房補給水弁132、排熱補給水弁133を備えて構成されている。
また、給水給湯系統8は、風呂追い焚き系統6と給水給湯系統8をバイパスして接続する湯張り経路8aを有する。湯張り経路8aは、通水のオン、オフ制御を行う湯張り弁114、湯張り水量センサ114a、逆流防止の逆止弁115、116を有する。
【0018】
以上のように構成されたコージェネレーションシステムにおいて、暖房系統3からなる暖房循環路と、貯湯循環系統1と高温暖房循環系統4と風呂加熱循環系統5と給水給湯系統8とからなる清水循環路との間での各機器の配置及び清水循環路側への漏水防止効果について、図を用いて以下に説明する。
図2は本実施の形態1における暖房循環路と清水循環路との間での各循環路を示すコージェネレーションシステムの概略構成図であり、図3は暖房循環路と清水循環路との間での熱交換における各機器の配置図、図4は暖房熱交換器の内部概略図である。
図2において、9は貯湯循環系統1と高温暖房循環系統4と風呂加熱循環系統5と給水給湯系統8とからなる清水循環路、10は暖房系統3からなる暖房循環路である。図3において、305aは暖房水タンク305のオーバーフロー部、305bは暖房水タンク305の液面、hは貯湯タンク101と暖房水タンク305との液面の高さの差である。図4において、302cは熱の供給側302a及び熱の受給側302bの間に形成された隔壁部、302dは金属疲労や腐食等により隔壁部302cに形成された漏洩箇所であり、P9は熱の供給側302a内部での清水循環路9側の水圧、P10は熱の受給側302b内部での暖房循環路10側の水圧である。
【0019】
図3に示すように、暖房熱交換器302を暖房水タンク305の液面305bより必ず高い位置にするために、暖房熱交換器302の最も低い箇所である暖房循環路10側の出口は、暖房水タンク305の液面305bより高い位置に配設されている。暖房系統3からなる暖房循環路10は、暖房水タンク305のオーバーフロー部305aにより大気に開放されており、また、暖房水タンク305が暖房熱交換器302の下流側に配設され、暖房ポンプ301が暖房水タンク305の下流側に配設されているため、熱の受給側302b内部において暖房ポンプ301による急激な圧力が暖房熱交換器302に及ぼす影響を小さくすることができ、その圧力は無視できて暖房循環路10の水圧には加算されない。よって、暖房循環路側の水圧P10は、漏洩箇所302dと暖房水タンク305の液面305bとの落差分だけ大気圧より低い値となる。
また、貯湯タンク101は常時においては、減圧逆止弁119の設定水圧(>大気圧)により上端まで満水の状態で清水が貯められており、断水時にはバキュームブレーカ126により大気に開放される。よって、通常時においては清水循環路側の水圧P9は減圧逆止弁119の設定水圧で維持され、また、断水時には貯湯タンクの上端と漏洩箇所302dとの落差分だけ大気圧より高い値となる。よって、熱の供給側302a内部の水圧P9は、熱の受給側302b内部での水圧P10よりも大きくなり、その値の差は、給水口118からの給水が行われなくなり(断水時)減圧逆止弁119の設定水圧がなくなった際であっても、貯湯タンク101と暖房水タンク305との液面の高さの差hによる水圧分だけP9はP10よりも大きくなることから、常時P9>P10が成立することになる。これにより、隔壁部302cに漏洩箇所302dが形成されなおかつ断水状態になっても、清水循環路9に暖房循環路10に混合液が流入することはなく、図4に示すように清水循環路9から暖房循環路10に清水が流入するだけにとどまり、清水循環路9が不凍液等の混合水に汚染されるのを防ぐことができる。
【0020】
以上のように本実施の形態1におけるコージェネレーションシステムは構成されているので、以下のような作用を有する。
(1)暖房循環路がオーバーフロー部により大気に開放されており、暖房熱交換器の暖房循環路側の出口が暖房水タンクの液面より高い位置に配設されているため、暖房熱交換器内部の漏洩箇所における暖房循環路側の水圧を、漏洩箇所と暖房水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低くすることができる。
(2)貯湯タンクの出口が暖房熱交換器の清水側循環路側の出口と同じ位置に配設され、断水時にはバキュームブレーカにより清水循環路が大気に開放されるため、清水の供給が停止し断水状態となっても、暖房熱交換器内部の漏洩箇所における清水循環路側の水圧を、貯湯タンクの液面と漏洩箇所との落差分だけ大気圧より高くすることができる。
(3)暖房熱交換器内部の漏洩箇所における暖房循環路側の水圧が漏洩箇所と暖房水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低く、断水状態での漏洩箇所における清水循環路側の水圧が貯湯タンクの液面と漏洩箇所との落差分だけ大気圧より高いため、清水が断水状態の時の漏洩箇所における清水循環路側の水圧を貯湯タンクと暖房水タンクとの液面の落差分だけ暖房循環路側の水圧より高くすることができる。
(4)清水が断水状態で暖房熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、暖房熱交換器内部の暖房循環路側の水圧より清水循環路側の水圧が高いため、清水側循環路側へ混合液が流入するのを確実に防ぐことができる。
(5)貯湯タンクの出口が暖房熱交換器の清水循環路側の出口と同じ位置に配設されていることにより、清水が断水状態で暖房熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、暖房循環路側から清水循環路側への混合水の流入を防ぐことができる。
(6)バキュームブレーカにより、断水時で熱交換器に穴があき貯湯タンクが冷やされても貯湯タンク内の水圧が低くなり混合水を清水循環路側へと吸引してしまうことを防ぐことができる。
(7)暖房水タンクが暖房熱交換器の下流側に配設されており、暖房ポンプが暖房水タンクの下流側に配設されているため、暖房ポンプの水流による急激な圧力が暖房熱交換器に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0021】
(実施の形態2)
図5は本実施の形態2におけるエンジン排熱循環路と清水循環路との間での各循環路を示すコージェネレーションシステムの概略構成図であり、図6はエンジン排熱循環路と清水循環路との間での熱交換における各機器の配置図、図7はエンジン熱交換器の内部概略図である。
図5において、11はエンジン排熱系統2からなるエンジン排熱循環路である。図6において、203はエンジン冷却水タンク202の液面、h’は貯湯タンク101とエンジン冷却水タンク202との液面の高さの差である。図7において、124cは熱の供給側124a及び熱の受給側124bの間に形成された隔壁部、124dは金属疲労や腐食等により隔壁部124cに形成された漏洩箇所であり、P11は熱の供給側124a内部でのエンジン排熱循環路11側の水圧である。
【0022】
図6に示すように、エンジン熱交換器124をエンジン冷却水タンク202の液面203より必ず高い位置にするために、エンジン熱交換器124の最も低い箇所であるエンジン排熱循環路11側の出口は、エンジン冷却水タンク202の液面203より高い位置に配設されている。エンジン排熱系統2からなるエンジン排熱循環路11は、エンジン冷却水タンク202により大気に開放されており、また、エンジン冷却水タンク202がエンジン熱交換器124の下流側に配設され、排熱ポンプ201がエンジン冷却水タンク202の下流側に配設されているため、熱の供給側124aの内部において排熱ポンプ201による急激な圧力がエンジン熱交換器124に及ぼす影響を小さくすることができ、その圧力は無視できてエンジン排熱循環路11の水圧には加算されない。よって、エンジン排熱循環路の水圧P11は、漏洩箇所124dとエンジン冷却水タンク202の液面203との落差分だけ大気圧より低い値となる。
また、清水循環路側の水圧P9は、実施の形態1と同じであるため、これにより熱の受給側124b内部の水圧P9は、熱の供給側124a内部での水圧P11よりも大きくなり、その値の差は、給水口118からの給水が行われなくなり(断水時)減圧逆止弁119の設定水圧がなくなった際であっても、貯湯タンク101とエンジン冷却水タンク202との液面の高さの差h’による水圧分だけP9はP11よりも大きくなることから、常時P9>P11が成立することになる。これにより、隔壁部124cに漏洩箇所124dが形成されなおかつ断水状態になっても、清水循環路9にエンジン排熱循環路11に混合液が流入することはなく、図7に示すように清水循環路9からエンジン排熱循環路11に清水が流入するだけにとどまり、清水循環路9が不凍液等の混合水に汚染されるのを防ぐことができる。
【0023】
以上のように本実施の形態2におけるコージェネレーションシステムは構成されているので、以下のような作用を有する。
(1)エンジン排熱循環路が大気に開放されており、エンジン熱交換器のエンジン排熱循環路側の出口がエンジン冷却水タンクの液面より高い位置に配設されているため、エンジン熱交換器内部の漏洩箇所におけるエンジン排熱循環路側の水圧を、漏洩箇所とエンジン冷却水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低くすることができる。
(2)貯湯タンクの出口がエンジン熱交換器の清水側循環路側の出口と同じ位置に配設され、断水時にはバキュームブレーカにより清水循環路が大気に開放されるため、清水の供給が停止し断水状態となっても、エンジン熱交換器内部の漏洩箇所における清水循環路側の水圧を、貯湯タンクの液面と漏洩箇所との落差分だけ大気圧より高くすることができる。
(3)エンジン熱交換器内部の漏洩箇所におけるエンジン排熱循環路側の水圧が漏洩箇所とエンジン冷却水タンクの液面との落差分だけ大気圧より低く、断水状態での漏洩箇所における清水循環路側の水圧が貯湯タンクの液面と漏洩箇所との落差分だけ大気圧より高いため、清水が断水状態の時の清水循環路側の水圧を貯湯タンクとエンジン冷却水タンクとの液面の落差分だけエンジン排熱循環路側の水圧より高くすることができる。
(4)清水が断水状態でエンジン熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、エンジン熱交換器内部のエンジン排熱循環路側の水圧より清水循環路側の水圧が高いため、清水側循環路側へ混合液が流入するのを防ぐことができる。
(5)貯湯タンクの上端がエンジン熱交換器と同じ位置に配設されていることにより、清水が断水状態でエンジン熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、エンジン排熱循環路側から清水循環路側への混合液の流入速度を防ぐことができる。
(6)バキュームブレーカにより、断水時で熱交換器に穴があき貯湯タンクが冷やされても貯湯タンク内の水圧が低くなり混合水を清水循環路側へと吸引してしまうことを防ぐことができる。
(7)エンジン冷却水タンクがエンジン熱交換器の下流側に配設されており、排熱ポンプがエンジン冷却水タンクの下流側に配設されているため、排熱ポンプの水流による急激な圧力がエンジン熱交換器に及ぼす影響を小さくすることができる。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明のコージェネレーションシステムによれば、以下のような有利な効果が得られる。
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、
(1)暖房熱交換器の暖房循環路側の出口が、暖房水タンクの液面より高い位置に配設されており、貯湯タンクの出口が、暖房熱交換器の清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されており、清水が断水状態で暖房熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、暖房熱交換器内部の暖房循環路側の水圧より清水循環路側の水圧が高いため、清水側循環路側へ混合液が流入するのを確実に防ぐことができ衛生的であり、部品交換等の間隔をのばせ耐久性及びメンテナンス性に優れたコージェネレーションシステムを提供することができる。
(2)暖房水タンクが暖房熱交換器の下流側に配設されており、暖房ポンプが暖房水タンクの下流側に配設されているため、暖房ポンプの水流による急激な圧力が暖房熱交換器に及ぼす影響を小さくすることができ、耐久性に優れたコージェネレーションシステムを提供することができる。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、
(1)エンジン熱交換器のエンジン排熱循環路側の出口が、エンジン冷却水タンクの液面より高い位置に配設されており、貯湯タンクの出口が、エンジン熱交換器の清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されているため、清水が断水状態でエンジン熱交換器の各循環路の境界に漏洩箇所が発生しても、エンジン熱交換器内部のエンジン排熱循環路側の水圧より清水循環路側の水圧が高いため、清水側循環路側へ混合液が流入するのを確実に防ぐことができ衛生的であり、部品交換等の間隔をのばせ耐久性及びメンテナンス性に優れたコージェネレーションシステムを提供することができる。
(2)エンジン冷却水タンクがエンジン熱交換器の下流側に配設されており、排熱ポンプがエンジン冷却水タンクの下流側に配設されているため、排熱ポンプの水流による急激な圧力がエンジン熱交換器に及ぼす影響を小さくすることができ、耐久性に優れたコージェネレーションシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態1におけるコージェネレーションシステムを示す構成図
【図2】本実施の形態1における暖房循環路と清水循環路との間での各循環路を示すコージェネレーションシステムの概略構成図
【図3】暖房循環路と清水循環路との間での熱交換における各機器の配置図
【図4】暖房熱交換器の内部概略図
【図5】本実施の形態2におけるエンジン排熱循環路と清水循環路との間での各循環路を示すコージェネレーションシステムの概略構成図
【図6】エンジン排熱循環路と清水循環路との間での熱交換における各機器の配置図
【図7】エンジン熱交換器の内部概略図
【符号の説明】
1 貯湯循環系統
2 エンジン排熱系統
3 暖房系統
4 高温暖房循環系統
5 風呂加熱循環系統
6 風呂追い焚き系統
7 制御装置
8 給水給湯系統
8a 湯張り経路
9 清水循環路
10 暖房循環路
11 エンジン排熱循環路
101 貯湯タンク
102 循環ポンプ
103,104,105,106 貯湯サーミスタ
107 循環比例弁
109 循環サーミスタ
110,111 じゃま板
112 湯比例弁
113 水比例弁
114 湯張り弁
114a 湯張り水量センサ
115,116 逆止弁
117 給湯口
118 給水口
119 減圧逆止弁
120 給水サーミスタ
121 給水水量センサ
122,122a 逆流防止の逆止弁
123a 逃し弁
124 エンジン熱交換器
124a 熱の供給側
124b 熱の受給側
124c 隔壁部
124d 漏洩箇所
125 貯湯弁(開閉弁)
126 バキュームブレーカ
127 エア抜き弁
128 圧力スイッチ
129 高温出湯防止弁
130 水停止手動弁
131 給湯サーミスタ
132 暖房補給水弁
133 排熱補給水弁
201 排熱ポンプ
202 エンジン冷却水タンク
202a 排熱警告電極
202b 排熱高水位電極
202c 排熱低水位電極
202d 排熱基準電極
203 エンジン冷却水タンクの液面
204 暖房エンジン熱交換器
204a 熱の供給側
204b 熱の受給側
205 排熱サーミスタ
206 余剰電力回収ヒータ
207 往路口
208 戻り口
301 暖房ポンプ
302 暖房熱交換器
302a 熱の供給側
302b 熱の受給側
302c 隔壁部
302d 漏洩箇所
303 暖房サーミスタ
304 バイパス回路
305 暖房水タンク
305a オーバーフロー部
305b 暖房水タンクの液面
306 往路口
307 戻り口
308 暖房警告電極
309 暖房高水位電極
310 暖房低水位電極
311 暖房基準電極
401 補助熱源器
402a 補助熱源出サーミスタ
402b 補助熱源入サーミスタ
403 暖房弁(開閉弁)
404 流量センサ
501 風呂熱交換器
501a 熱の供給側
501b 熱の受給側
502 ふろ弁(開閉弁)
601 風呂ポンプ
602 往路口
603 戻り口
604 風呂サーミスタ
605 風呂水流スイッチ
606 水位センサ
P9 清水循環路側の水圧
P10 暖房循環路側の水圧
P11 エンジン排熱循環路側の水圧
h 貯湯タンクと暖房水タンクとの液面の高さの差
h’ 貯湯タンクとエンジン冷却水タンクとの液面の高さの差
Claims (2)
- 水道水等の清水が循環する清水循環路と、不凍液等の不純物を含有する混合液が循環する暖房循環路と、前記清水循環路及び前記暖房循環路に接続され前記清水と前記混合液との間で熱交換を行う少なくとも1の暖房熱交換器と、前記清水循環路に配設され前記清水循環路を循環する前記清水が上端まで満水の状態で貯留されて加熱される貯湯タンクと、前記清水循環路に配設されたバキュームブレーカと、オーバーフロー部を有し前記暖房循環路の前記暖房熱交換器の下流側に配設され前記暖房循環路を循環する前記混合液が貯留され前記オーバーフロー部により前記暖房循環路を大気に開放する暖房水タンクと、前記暖房循環路の前記暖房水タンクの下流側に配設された暖房ポンプと、を備え、
前記暖房熱交換器の最も低い箇所である暖房循環路側の出口が、前記暖房水タンクの液面より高い位置に配設されており、前記貯湯タンクの上端が、前記暖房熱交換器の上面の前記清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されていることを特徴とするコージェネレーションシステム。 - 水道水等の清水が循環する清水循環路と、エンジン発電機等の排熱装置の排熱により加熱された水が循環するエンジン排熱循環路と、前記清水循環路及び前記エンジン排熱循環路に接続され前記清水と前記水との間で熱交換を行う少なくとも1のエンジン熱交換器と、前記清水循環路に配設され前記清水循環路を循環する前記清水が上端まで満水の状態で貯留されて加熱される貯湯タンクと、前記清水循環路に配設されたバキュームブレーカと、液面が大気に開放されており前記エンジン排熱循環路の前記エンジン熱交換器の下流側に配設され前記エンジン排熱循環路を循環する前記水が貯留されるエンジン冷却水タンクと、前記エンジン排熱循環路の前記エンジン冷却水タンクの下流側に配設された排熱ポンプと、を備え、
前記エンジン熱交換器の最も低い箇所である前記エンジン排熱循環路側の出口が、前記エンジン冷却水タンクの前記液面より高い位置に配設されており、前記貯湯タンクの上端が、前記エンジン熱交換器の上面の前記清水循環路側の出口と同じ位置又は高い位置に配設されていることを特徴とするコージェネレーションシステム。
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