JP4234235B2 - 熱磁気エンジン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、感温磁性材製の円筒状ロータ又は感温磁性材製のベルト状回動体に作用するマックスウェル応力を回転駆動源とする熱磁気エンジンの改良に関するものであり、主として工業用温排水や廃熱等の低質エネルギーの有効利用に利用されるものである。
【0002】
図14に示すように、飽和磁束密度B1 、B2 の異なった二種類の強磁性材料A1 、A2 からなる板体Aを永久磁石Mの磁界Hによって磁気飽和させると、両磁性材A1 、A2 の境界面A3 にマックスウェル応力が作用し、板体Aに大きな飽和磁束密度B2 の方から小さな飽和磁束密度B1 の方へ向う力F=1/2▽(B・H)が生ずることは、広く知られた事象である。
【0003】
一方、近年所謂キュリー温度近傍で飽和磁束密度が急激に減少すると云う温度・磁気特性を備えた感温磁気材の開発が進み、例えばフェライトや整磁合金材(サーマロイ等)の如く、その成分調整によってキュリー温度を広範囲に亘って任意に設定できるようにした感温磁性材が出現して来た。
前記図14の板体Aを感温磁性材により製作し、図15に示す如く感温磁性材から成る板体Cの片側の端部C1 を加熱してその飽和磁束密度B1 を小さくすると共に、他側の端部C2 を冷却してその飽和磁束密度B2 を高め、これに永久磁石Mの磁界を与えることにより板体Cの力Fを発生させると云う機構が着想され、本件出願人も当該機構を用いて温排水等の低質エネルギーを回収するようにした熱磁気エンジンを開発し、特開平9−268968号としてこれを公開している。
【0004】
即ち、上記熱磁気エンジンは図16、図17及び図18に示すように、回転支軸1cを備えた回転子1bに嵌合した感熱磁性材製の円筒体1aと、前記回転ドラム1の外方に、円筒体1aと対向状に且つその円周方向に磁極2a・2bを位置せしめて配設した磁石2と、回転ドラム1を形成する円筒体1aの一部分を加熱する加熱領域5と、回転ドラム1を形成する円筒体1aの前記加熱領域5以外の部分を冷却する冷却領域6とから構成されており、工業用温排水5a等を熱源とする加熱領域5に於いて円筒体1aの一部分を加熱すると共に、冷却ファン6aの冷風等を用いる冷却領域6に於いて円筒体1aの他の部分を冷却することにより、回転支軸1cから回転駆動力を取り出すものである。
【0005】
尚、図16乃至図18に於いて、3は支柱、4は軸支持体、5bは水槽であり、また、回転ドラム1は耐熱合成樹脂製の回転子1bの外周に直径400mm、横幅100mm、厚さ1mmの感熱磁性体(鉄・ニッケルから成る整磁材料・サーマロイ)製の円筒体1aを嵌合することにより形成されており、更に、磁石2にはコバルト・サマリウム永久磁石が用いられている。
【0006】
上記特開平9−268968号に係る熱磁気エンジンに於いては、磁石2の位置、感温磁性材(円筒体1a)のキュリー温度、円筒体1aの加熱領域5の面積範囲等を適宜に選定することにより、約80〜85℃の温排水を用い且つシロッコファンで約15〜18℃の風冷を行なうことにより、静止トルク0.7N、最高出力0.17W(回転速度12rpmの時)の回転駆動力が得られている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
前記特開平9−268968号の熱磁気エンジンによれば、比較的低速度に於いては高い出力を得ることができ、従って、感温磁性体製の円筒体1a内の磁束密度B(T)、外部磁界の強さH(A/m)、熱源の温度T(℃)、円筒体1aの温度変化による磁気特性の変化dB/dT、円筒体1aの温度分布dT/dX、外部磁界Hの分布dH/dX(但し、Xはドラム1の円周長さ)を夫々大きくすると共に、ドラム1の直径及び横幅、円筒体1aの断面積を大きくすることにより、低質排熱等をエネルギー源とする熱磁気エンジンの実用化が可能となる。
【0008】
しかし、当該特開平9−268968号の熱磁気エンジンにも解決すべき多くの問題が残されており、その中でも当該熱磁気エンジンの実用化を図る上で問題となる点は、回転ドラム1の回転数の上昇と共に出力値Pが低下することである。
即ち、回転ドラム1の回転数が上昇するにつれて、導体である感温磁性体製の円筒体1aの外表面に誘起される渦電流が増加する。その結果当該渦電流と磁石2の磁界との間に働く電磁力が大きくなり、これが回転ドラム1に制動力を与えることによって回転ドラムの出力Pが低下する。
【0009】
第2の問題は、熱磁気エンジンの出力の大幅な増加が構造上困難な点である。即ち、回転ドラム1を用いる型式の熱磁気エンジンにあっては、円筒体1aの外周に配置する磁石2の数を増すと共に、円筒体1aの加熱・冷却サイクルを増加させることが、その出力増を図る上で必要不可欠な要件となる。
しかし、回転ドラム1の直径(即ち、円筒体1aの円周長さX)には構造面からの制約があり、従って円筒体1aの加熱・冷却サイクルの増加も必然的に制約を受け、熱磁気エンジンの大幅な出力増加が図れないと云う問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従前のこの種熱磁気エンジンに於ける上述の如き問題、即ち▲1▼渦電流に起因する電磁制動力の発生により、高速回転時の出力が大幅に低下すること及び▲2▼回転ドラムを用いる構造上、磁極や熱サイクル数を増すことが比較的困難であり、その結果、熱磁気エンジンの大幅な出力増を図り難いこと等の問題を解決せんとするものであり、高速回転下に於いても高出力が得られると共に、容易に出力増を図れるようにした熱磁気エンジンを提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本件請求項1に記載の発明は、回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体1aと,前記円筒体1aの円周方向に磁極2a・2bを位置せしめて円筒体1aの外周面と対向状に配設した磁石2と,円筒体1aの一部分を加熱する加熱領域5と,円筒体1aの他の部分を冷却する冷却領域6とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体1aを、複数個の厚みの薄い感熱磁性材製の円筒体1a1 ・1an を電気絶縁材7を介設して同芯状に積層固定した構成としたものである。
【0013】
請求項2の発明は、回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体1aと,前記円筒体1aの円周方向に磁極2a・2bを位置せしめて円筒体1aの外周面と対向状に配設した磁石2と,円筒体1aの一部分を加熱する加熱領域5と,円筒体1aの他の部分を冷却する冷却領域6とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体1aを、非磁性材製の回転子1bの外周面に感熱磁性材製のほぼ均一な厚みのフィルム8aと電気絶縁材製のほぼ均一な厚みのフィルム7aとを交互に複数層積層して成る円筒体1aとしたものである。
【0014】
請求項3の発明は、回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体1aと,前記円筒体1aの円周方向に磁極2a・2bを位置せしめて円筒体1aの外周面と対向状に配設した磁石2と,円筒体1aの一部分を加熱する加熱領域5と,円筒体1aの他の部分を冷却する冷却領域6とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体1aを、複数枚の厚みの薄い感熱磁性材製のディスク体1d1 ・1dn を電気絶縁材7を介設して同芯状に積層固定した構成としたものである。
【0016】
本件請求項4に記載の発明は、回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体1aと,前記円筒体1aの円周方向に磁極2a・2bを位置せしめて円筒体1aの外周面と対向状に配設した磁石2と,円筒体1aの一部分を加熱する加熱領域5と,円筒体1aの他の部分を冷却する冷却領域6とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体(1a)を、非磁性材製の回転子(1b)の外表面にリング状の薄い感熱磁性材製のディスク体と電気絶縁材とを交互に複数層積層して成る円筒体(1a)としたものである。
【0017】
請求項5の発明は、回転自在に軸支したローラ9a・9b間に巻回され、厚みの薄い感温磁性材製のフィルム8aを備えたベルト状の回動体10と、前記回動体10の長手方向に磁極2a、2bを位置せしめ、回動体10の外表面と対向状に且つその長手方向に所定の間隔を置いて配設した複数個の磁石2と、回動体10の一方の各磁極と対向する近傍部分を加熱する加熱領域5と、回動体10の他方の各磁極と対向する近傍部分を冷却する冷却領域6とから形成され、前記ローラ9a及び又はローラ9bから回転駆動力を出力する構成とし、前記ベルト状の回動体10を、厚みの薄い感温磁性材製のフィルム8aを電気絶縁材7を介設して複数枚積層して成る回動体10としたものである。
【0019】
請求項6の発明は、回転自在に軸支したローラ9a・9b間に巻回され、厚みの薄い感温磁性材製のフィルム8aを備えたベルト状の回動体10と、前記回動体10の長手方向に磁極2a、2bを位置せしめ、回動体10の外表面と対向状に且つその長手方向に所定の間隔を置いて配設した複数個の磁石2と、回動体10の一方の各磁極と対向する近傍部分を加熱する加熱領域5と、回動体10の他方の各磁極と対向する近傍部分を冷却する冷却領域6とから形成され、前記ローラ9a及び又はローラ9bから回転駆動力を出力する構成とし、前記ベルト状の回動体10を、非磁性材製のベルト体10aの外表面に複数枚の厚みの薄い感温磁性材製のフィルム8aを電気絶縁材7を介設して積層固着して成る積層体10bを有する回動体10としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の各実施形態を説明する。
図1は本発明に係る熱磁気エンジンの縦断面概要図であり、図2は要部を示す平面概要図、図3は回転ドラム1の断面概要図である。
図1乃至図3に於いて1は回転ドラム、1aは感熱磁性材製の円筒体、1bは非磁性材製の回転子、1cは回転支軸、2は磁石、2a・2bは磁極、3は支柱、4は軸支持体、5は加熱領域、5aは温排水、5bは水槽、5cは温水ノズル、6は冷却領域、6aは冷却水、6bは冷水ノズルであり、熱磁気エンジンの構成そのものは、感熱磁性材製の円筒体1aの部分を除いて前記図16乃至図18の従来例の場合と略同一である。
【0022】
即ち、回転ドラム1は、後述するように、薄い感温磁性材の円筒体1a1 〜1an を積層固着して成る直径400mm、横幅100mm、厚さ1.5mmの円筒体1aと、その内方へ嵌合固定した中央部に軸挿通用リブ部を設けた耐熱合成樹脂製の回転子1bと、これに挿通固定した回転支軸1cとより形成されている。
また、前記薄い円筒体1a1 〜1an を形成する感熱磁性材としては、整磁材料であるサーマロイを使用しており、成分は鉄・ニッケルであって、他の材料に比べて前記各条件の点で優れており、熱的・機械的ショックにも強く、しかも耐食性もよいと云う特徴を有している。
更に、感熱磁性材のTc1000は約80℃に設定されている。但し、ここでTc1000とは、磁界Hが25(0e)に於いて感温磁性材料の飽和磁束密度が1000Gになるときの温度のことであり、キュリー温度とは少し異なる。尚、当該サーマロイの物理特性はTc1000…50〜250(℃)、密度…8.2(g/cc)、硬さ…130(HV)、弾性係数…8500(kg/mm)、熱膨張係数…0.00001(1/℃)、比熱…0.12(Cal/g・℃)、熱伝導率13.6である。
【0023】
前記磁石2は、コバルト・サマリウム永久磁石から成る磁極2a・2bとヨーク2cとから形成されており、磁極2a・2bの外形寸法は25mm×20mm×100mm(横幅)に、またヨーク2cは25mm×122mm×100mm(横幅)に、夫々選定されている。
尚、前記コバルト・サマリウム磁石の磁気特性は、最大エネルギー積…26.69(MGOe)、残留磁束密度…1.0669(KG)、B保持力…8.849(KOe)、J保持力…10.05(KOe)、磁束密度の温度係数…3(%/℃)、リコイル比透磁率…1.02、キュリー温度…820(℃)であり、また前記磁石2を形成するヨーク2bには、耐食性を考えてSUS430を使用している。
【0024】
前記加熱領域5は、熱媒タンク内に貯留した70〜90℃の熱媒(湯)を温水ノズル5cから回転ドラム1の外表面へ噴出し、当該回転ドラム1の外表面の一部分を加熱する構成としている。
また、前記冷却領域6は、冷水ノズル6bからの冷却水6aにより回転ドラム1の外表面の一部分を強制冷却する構成としている。
【0025】
図4は、本発明の要部を形成する感温磁性材製の円筒体1aの第1実施例を示す部分拡大断面図であり、非磁性材製の短筒状回転子1bの外周面に、厚さ0.01〜0.2mmの感温磁性材の板材又はフィルム材より成る複数個の薄い円筒体1a1 〜1an を積層固着することにより形成されている。
【0026】
前記薄い円筒体1a1 〜1an は夫々別体として形成されており、僅かに内径の違う円筒体1a1 〜1an をその内径順に順次積層固着することにより、厚さ1.5〜3.0mmの円筒体1aが形成されている。
【0027】
尚、本実施態様では、各薄い円筒体1a1 〜1an を個別に形成し、これ等を積層固着するようにしているが、各薄い円筒体1a1 〜1an を、公知のCVDやPVD等の薄膜形成技術を用いて順次積層状に形成することも可能である。
【0028】
また、積層した各薄い円筒体1a1 〜1an の層間は密着された状態となっているが、各薄い円筒体1a1 〜1an の内・外表面上に形成された酸化膜等が不働態膜の役目を果たし、円筒体1aの直径方向の電気抵抗は相当高抵抗になっている。
その結果、磁石2の磁界によって生ずるうず電流は、各円筒体1a1 〜1an の厚さが薄いことと相俟って、従前の円筒体1aの場合に比較して相当に減少し、これにより円筒体1aの回転速度が上昇しても電磁制動力が押えられ、出力アップを図ることが可能となる。
【0029】
図5は、本発明に係る円筒体の第2実施例を示すものであり、積層した複数の薄い円筒体1a1 〜1an の層間に、電気絶縁材から成る円筒状のフィルム7a又は薄い円筒体7bを介在させたものである。
当該電気絶縁材より成る薄い円筒状のフィルム7a又は円筒体7bを介在させることにより、発生する前記うず電流をより少なくすることができ、その結果回転ドラム1に作用する制動力がより少さくなり、高速回転時の出力アップが可能となる。
尚、前記円筒状のフィルム7a又は円筒体7bとしては、熱伝導性のより高い物質が、円筒体1aの加熱・冷却のサイクルの点から好都合である。
【0030】
図6は円筒体1aの第3実施例を示すものであり、積層した複数の薄い感温磁性材製円筒体1a1 〜1an の層間に電気絶縁材より成る薄い棧体7cを介在せしめたものである。
当該棧体7cを介在させることにより、前記円筒体1a1 〜1an に発生するうず電流値をより小さくできると共に、各薄い円筒体1a1 〜1an の層間内への熱媒体5aの流入が可能となり、円筒体1aの加熱・冷却のサイクルをより円滑に増加されることが可能となる。
また、棧体7cとしては、熱伝達性に優れた物質が前記加熱・冷却の熱サイクルの増加上有利である。
【0031】
図7は、本発明の第2実施形態に係る熱磁気エンジンの一部を省略した縦断面概要図であり、非磁性材製の回転子1bの外周に固着した感熱磁性材製の円筒体1aの形態が、前記図1乃至図6に示した第1実施形態の場合と若干異なっている。尚、円筒体1aの部分を除いてその他の部分の構成は、前記第1実施形態の場合とほぼ同一である。
【0032】
即ち、図7の第2実施形態に於いては、円筒体1aがリング状の薄い感熱磁性材製のディスク体1d1 〜1dn を複数枚積層固着することにより形成されており、具体的には厚さ0.1〜0.3mm程度のディスク体1d1 〜1dn を30〜50枚積層することにより、円筒体1aが形成されている。尚、図7に於いて、6aは冷却水、6bは冷水ノズル、5aは温排水、5bは温水ノズルである。
【0033】
尚、図7の第2実施形態に於いても、第1実施形態の場合と同様に、複数枚のディスク体1d1 〜1dn をそのまま直に積層固着しても、或いは電気絶縁材製のフィルムや電気絶縁材製の桟体1cを介在せしめて積層固着するようにしてもよい。
また、非磁性材製の回転子1bの外周縁によって、積層固着したディスク体1d1 〜1dn より成るリング状の円筒体1aの上・下両面を挾持すると共に、各ディスク体1d1 〜1dn の間に桟体1cを放射状に介在させ、冷却水6aや温排水5aの流通路を形成するようにしてもよい。
【0034】
図8は、本発明の第2実施形態に係る熱磁気エンジンの一部を省略した縦断面概要図であり、図9は図8の一部を省略した平面図である。
当該熱磁気エンジンは回転自在に軸支したローラ9a・9bと、両ローラ9a・9b間に巻回した感温磁性材製のフィルムの積層体10bを備えたベルト状回動体10と、ベルト状回動体10の外周面部に所定のピッチで配設した磁石2と、ベルト状回動体10の所定箇所を加熱する加熱領域5と、ベルト状回動体10の所定箇所を冷却する冷却領域6等から構成されている。
【0035】
前記ベルト状回動体10は、図10に示すように感温磁性材製の薄いフィルム8aを複数枚積層固着することにより、約厚さ0.5〜1.0mm程度のベルト状に形成されており、ローラ9a・9b間にエンドレス状に巻回されている。
尚、図10の第1実施例に於いては、複数枚のフィルム8a同士を積層状に直接固着する構成としているが、各感温磁性材製のフィルム8aの層間に、電気絶縁材製のフィルム(図示省略)を介在させるようにしてもよく、或いは、熱伝導性の高い電気絶縁材製のフィルム上に感温磁性材製の薄膜を形成し、これを複数枚積層固着するようにしてもよい。
また、前記感温磁性材製のフィルム8aの形成方法は如何なる方法であってもよい。
【0036】
前記ベルト状回動体10は、図11に示すように低熱伝導性の非磁性材製ベルト体10aの外表面に、感温磁性材製のフィルム8aを公知の所謂薄膜形成技術を用いて複数枚積層状に固着形成し、積層体10aにかかる引張り力を非磁性材製ベルト10bにより負担する構成としてもよい。
また、前記図11の実施例に於いては、非磁性材製のベルト10b上にフィルム8aを積層状に固着形成するようにしているが、図12に示すように、フィルム8aの各層間に高熱伝導性の電気絶縁材より成るフィルム7aを介在させるようにしてもよい。
【0037】
磁石2は、図8及び図9に示す如くベルト状回動体10の外表面と対向状に適宜の間隔で配設されており、ベルト状回動体10の感温磁性材製のフィルム積層体10bに強磁界を加える。
【0038】
前記加熱領域5及び冷却領域6は、前記磁石2の各磁極2a・2bの真下若しくは図8に示す如く各磁極2a・2bの前後位置に、所定の間隔を置いて配設されており、図8の実施形態に於いては、約90〜95℃の温水を直接ベルト状回動体10へ向けて噴霧することにより加熱領域5が、また5〜10℃の冷水を直接ベルト状回動体10へ向けて噴霧することにより冷却領域6が、夫々形成されている。
【0039】
前記各磁石2の磁極ピッチや各磁石2の配置間隔及び各磁極2a・2bと加熱領域5や冷却領域6との相互位置関係等は、ベルト回動体10の加熱・冷却サイクルやその回動速度等から適宜に決定される。
【0040】
今、磁石2の各磁極2a・2bと回動体10の加熱・冷却領域5・6が図14のモデルに示す如き理想的な位置関係にあると、回動体10の冷・温域境界には前述の如く矢印方向にマックスウェル力が作用し、回動体10は矢印方向に回動される。また、回動体10に加えられた回動力は、ローラ9a・9bの一方又は両方を介して外部へ、機械的出力として出力されることになる。
尚、回動体10に作用する全マックスウェル力は、磁石2の数と回動体10に備えられた感温磁性材製フィルム積層体10bの縦断面積の積に比例(即ち、積層体10bの体積に比例)する。
【0041】
試験の結果によれば、図13に示すように、第1実施形態の回転ドラム型の熱磁気エンジンに於いては、30〜40rpmの回転速度に於いて約3Wの出力が得られている(但し、回転ドラム1及び磁石2の仕様は図1乃至図3の場合と同一であり、且つ磁石数を3、加熱温度を98℃、冷却温度を11℃とした場合の値である)。同様に、第2実施形態の熱磁気エンジンでも3〜5Wの出力が得られている。
また、第2実施形態の熱磁気エンジンに於いては、回転数が約30〜40rpmの下で約100W〜1KWの出力を得るべく、現在実施設計が進められており、ベルト状回動体10の長さ約20m、磁石数10個、ベルト状回動体10の幅150mm、感温磁性材製フィルムの厚さ約50〜100μm、積層数5〜10層、冷却温度約10℃、加熱温度約98℃程度の条件下に於いて、20〜30W(回転数30rpm)の出力が得られる予定である。
【0042】
【発明の効果】
本発明に於いては、回転ドラムやベルト状回動体に備えた感熱磁性材製の円筒体又は感熱磁性材製の積層体を、薄い感熱磁性材製の円筒体や薄い感熱磁性材製のディスク体又は感熱磁性材製のフィルムを用いて形成する構成としている。これにより、回転ドラムやベルト状回動体に備えた感熱磁性材に誘起される渦電流が少なくなり、高速回転時に作用する電磁制動力がより小さくなって、高出力の取り出しが可能となる。
【0043】
また、本発明の第3実施形態に於いては、ベルト状回動体の長さや幅を任意に選定することができ、所謂感熱磁性材部分の体積の増加を機械的に容易に図ることができる。
その結果、感熱磁気エンジンの出力増加をより容易に達成することができ、工業用排温水等の低質排熱エネルギーの有効利用が可能となる。
本発明は上述の通り優れた実用的効用を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る熱磁気エンジンの断面概要図である。
【図2】図1の要部を示す平面概要図である。
【図3】回転ドラムの断面概要図である。
【図4】本発明で使用する円筒体の第1実施例を示す部分拡大断面図である。
【図5】円筒体の第2実施例を示す部分拡大断面図である。
【図6】円筒体の第3実施例を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る熱磁気エンジンの一部を省略した縦断面概要図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る熱磁気エンジンの一部を省略した縦断面概要図である。
【図9】図8の一部を省略した平面概要図である。
【図10】ベルト状回動体10の第1実施例を示す部分断面図である。
【図11】ベルト状回動体10の第2実施例を示す部分断面図である。
【図12】ベルト状回動体10の第3実施例を示す部分断面図である。
【図13】第1実施形態に係る熱磁気エンジンの出力特性曲線である。
【図14】回動体に作用するマックスウェル力の説明用モデルである。
【図15】回動体に作用するマックスウェル力の説明図である。
【図16】従前の熱磁気エンジンの作動説明図である。
【図17】従前の熱磁気エンジンの要部縦断面図である。
【図18】従前の回転ドラムの断面概要図である。
【符号の説明】
1は回転ドラム、1aは感熱磁性材製の円筒体、1a1 〜1an は薄い感温磁性材製の円筒体、1bは非磁性材製の回転子、1cは回転支軸、1d1 〜1dn は薄い感熱磁性材製のディスク体、2は磁石、2a・2bは磁極、2cはヨーク、3は支柱、4は軸支持体、5は加熱領域、5aは温排水、5bは水槽、5cは温水ノズル、6は冷却領域、6aは冷却水、6bは冷却水、7は電気絶縁材、7aは薄い電気絶縁材製のフィルム、7bは薄い電気絶縁材製の円筒体、7cは薄い電気絶縁材製の棧体、8aは薄い感温磁性材製のフィルム、9a・9bはローラ、10はベルト状回動体、10aは非磁性材製のベルト体、10bは感温磁性材製のフィルムの積層体。
Claims (6)
- 回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体(1a)と,前記円筒体(1a)の円周方向に磁極(2a)・(2b)を位置せしめて円筒体(1a)の外周面と対向状に配設した磁石(2)と,円筒体(1a)の一部分を加熱する加熱領域(5)と,円筒体(1a)の他の部分を冷却する冷却領域(6)とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体(1a)を、複数個の厚みの薄い感熱磁性材製の円筒体(1a1 )・(1an )を電気絶縁材(7)を介設して同芯状に積層固定した構成としたことを特徴とする熱磁気エンジン。
- 回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体(1a)と,前記円筒体(1a)の円周方向に磁極(2a)・(2b)を位置せしめて円筒体(1a)の外周面と対向状に配設した磁石(2)と,円筒体(1a)の一部分を加熱する加熱領域(5)と,円筒体(1a)の他の部分を冷却する冷却領域(6)とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体(1a)を、非磁性材製の回転子(1b)の外周面に感熱磁性材製のほぼ均一な厚みのフィルム(8a)と電気絶縁材製のほぼ均一な厚みのフィルム(7a)とを交互に複数層積層して成る円筒体(1a)としたことを特徴とする熱磁気エンジン。
- 回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体(1a)と,前記円筒体(1a)の円周方向に磁極(2a)・(2b)を位置せしめて円筒体(1a)の外周面と対向状に配設した磁石(2)と,円筒体(1a)の一部分を加熱する加熱領域(5)と,円筒体(1a)の他の部分を冷却する冷却領域(6)とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体(1a)を、複数枚の厚みの薄い感熱磁性材製のディスク体(1d1 )・(1dn )を電気絶縁材(7)を介設して同芯状に積層固定した構成としたことを特徴とする熱磁気エンジン。
- 回転自在に軸支した感熱磁性材製の円筒体(1a)と,前記円筒体(1a)の円周方向に磁極(2a)・(2b)を位置せしめて円筒体(1a)の外周面と対向状に配設した磁石(2)と,円筒体(1a)の一部分を加熱する加熱領域(5)と,円筒体(1a)の他の部分を冷却する冷却領域(6)とから形成した熱磁気エンジンに於いて、前記円筒体(1a)を、非磁性材製の回転子(1b)の外表面にリング状の薄い感熱磁性材製のディスク体と電気絶縁材とを交互に複数層積層して成る円筒体(1a)としたことを特徴とする熱磁気エンジン。
- 回転自在に軸支したローラ(9a)・(9b)間に巻回され、厚みの薄い感温磁性材製のフィルム(8a)を備えたベルト状の回動体(10)と、前記回動体(10)の長手方向に磁極(2a)、(2b)を位置せしめ、回動体(10)の外表面と対向状に且つその長手方向に所定の間隔を置いて配設した複数個の磁石(2)と、回動体(10)の一方の各磁極と対向する近傍部分を加熱する加熱領域(5)と、回動体(10)の他方の各磁極と対向する近傍部分を冷却する冷却領域(6)とから形成され、前記ローラ(9a)及び又はローラ(9b)から回転駆動力を出力する構成とし、前記ベルト状の回動体(10)を、厚みの薄い感温磁性材製のフィルム(8a)を電気絶縁材(7)を介設して複数枚積層して成る回動体(10)としたことを特徴とする熱磁気エンジン。
- 回転自在に軸支したローラ(9a)・(9b)間に巻回され、厚みの薄い感温磁性材製のフィルム(8a)を備えたベルト状の回動体(10)と、前記回動体(10)の長手方向に磁極(2a)、(2b)を位置せしめ、回動体(10)の外表面と対向状に且つその長手方向に所定の間隔を置いて配設した複数個の磁石(2)と、回動体(10)の一方の各磁極と対向する近傍部分を加熱する加熱領域(5)と、回動体(10)の他方の各磁極と対向する近傍部分を冷却する冷却領域(6)とから形成され、前記ローラ(9a)及び又はローラ(9b)から回転駆動力を出力する構成とし、前記ベルト状の回動体(10)を、非磁性材製のベルト体(10a)の外表面に複数枚の厚みの薄い感温磁性材製のフィルム(8a)を電気絶縁材(7)を介設して積層固着して成る積層体(10b)を有する回動体(10)としたことを特徴とする熱磁気エンジン。
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