JP4233858B2 - 縦型管内流下液膜式熱交換器 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、縦型管内流下液膜式熱交換器に関し、配設されるすべての伝熱管に均一に、且つ、液膜状に液体を流下させるための有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の縦型管内流下液膜式熱交換器は、図6に示すように、上部チャンネル11と、その内部に垂直に配設される複数本の伝熱管 (チューブ)12と、このチューブ12の上端を固定する上側の管板(チューブシート)13と、このチューブ12の下端を固定する下側のチューブシート(図示せず)と、下部チャンネル(図示せず)と、シェル14と、から構成されている。ここで、上側のチューブシート13には、通常、上部チャンネル11内に存在する流体と及びシェル14内に存在する流体が、チューブ12と上側のチューブシート13との接合部分から漏出しないように、チューブを3mm程度上側のチューブシート13上面より突出した状態で、その突出した部分と上側のチューブシート13上面とをシール溶接によって(もしくはシール溶接をしない状態で)固定し、チューブ12とチューブシート13を拡管する方法が一般的な製作方法である。
【0003】
このような構成の縦型管内流下液膜式熱交換器110において、液体は、上部チャンネル11の側面に配設された液体の入口110Aからチューブシート13上面に供給される。そして、液体が、上側のチューブシート13の上面に突出したチューブ12の高さ寸法h以上に貯留されると、チューブ12の上端面から液体がオーバーフローして、チューブ12の内周壁に沿って液膜状に流下する。
【0004】
一方、熱交換を行う熱交換媒体(例えば、ガスや液体など)は、媒体の入口110Bもしくはシェル14の下方ノズル(図示せず)から流入し、チューブ12内の液体と熱交換を行うようになっている。
しかしながら、このような縦型管内流下液膜式熱交換器110においては、チューブシート13の設置時の水平度が不良の場合、下方に位置するチューブ12側のみに液体が流下してしまう場合があった。このため、複数本のチューブ12に均一に液体を流下させることができず、液体が流下しないチューブ12においては熱交換することが不可能となってしまうため、伝熱面積が不足してしまうという不具合があった。
【0005】
また、この場合、上側のチューブシート13に垂直に配置されているチューブ12の上端面も同様に傾いてしまうため、チューブ12の上端面外周壁の全周から流下させたい液体が、チューブ12の上端面外周壁の一部のみからしか流下しなくなってしまう場合があった。このため、チューブ12の内周壁に沿って均一に液膜が形成されず、チューブ12の内面の一部分のみでしか熱伝導を行えなくなってしまうという不具合があった。このような理由から、通常、この形式の要求水平度は1/1000〜5/1000とすることが多い。また、上記を解決したとしても、チューブ12上端面の突出高さが均一でないと、低いチューブ12のみから液が流入するため、同様の問題が発生してしまう可能性があった。
【0006】
このような問題を解決するために、例えば、図7に示すように、チューブ12の上端面にV字状のノッチ(切れ目)12aを入れ、このノッチ12aから液体をチューブ12内に流下させることで、チューブ12の内周壁に沿って均一な液膜を形成しようとする手段が一般的に採用されている。
また、図8に示すように、チューブ12の外周壁における円周の接線方向に複数の開口部12bを形成することで、チューブ12の内周壁に沿って均一な液膜を形成しようとする手段が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
さらに、未公開ではあるが、本発明者等は、本体製作後、自重によるチューブシートの撓みや、チューブシートからのチューブ突出誤差を考慮して、この縦型管内流下液膜式熱交換器本体を垂直に据付け、チューブの上端を一気に削りそろえることで、チューブ上端の水平度(突出高さ)を良好にし、チューブの内壁面に沿って均一な液膜を形成させるとともに、複数本のチューブに均一に液体を供給しようとする手段を提案している。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−103673号公報
【0009】
【発明の解決しようとする課題】
しかしながら、上述したような従来の手段においては、複数本のチューブ12に液体を均一に、且つ、液膜状に供給可能とするために、V字状のノッチ12aが形成された部品をチューブ12に設置する際、上側のチューブシート13上端面からの高さ寸法を均一にする必要があり、チューブ12本数が多量な場合、設置精度を確認しなければならない点で、作業効率が良好ではないという問題点があった。
【0010】
また、V字状のノッチ12a或いは開口部12bを持つ部品を、チューブ12毎に製作する必要があり、チューブ12の本数が多量な熱交換器においては、コストが増大するという問題点があった。
一方、上述した本発明者等が提案した手段においては、縦型管内流下液膜式熱交換器110を設置するスペースが狭く、例えば、蒸留塔に横持させた状態で設置する場合には、蒸留塔側の撓みを正確に予測することができず、縦型管内流下液膜式熱交換器110を垂直に保持することが困難であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、複数本の伝熱管に均一で、且つ、液膜状に液体を流下可能とする縦型管内流下液膜式熱交換器を容易且つ低コストで提供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
このような課題を解決するために、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器は、伝熱管の上端面が、上側の管板の上面以下に位置するように配設されていることを特徴としている。
ここで、本発明において「伝熱管の上端面が、上側の管板の上面以下に位置する」とは、伝熱管の上端面が上側の管板の上面と同一面に位置する場合や、伝熱管の上端面が上側の管板の上面よりも下方に位置する場合を指す。
【0012】
本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器は、前記縦型管内流下液膜式熱交換器において、前記伝熱管を複数備えるとともに、上部チャンネル内に設置された分散板に供給される液体を、前記上側の管板上面の前記複数の伝熱管の近傍に垂らすことを特徴としている。
本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器は、前記縦型管内流下液膜式熱交換器において、前記上側の管板上であって、前記複数の伝熱管における直近の3本のそれぞれの重心により形成される三角形の重心位置に、前記分散板からの液体を垂らすように複数の分散孔が形成され、その分散板から前記上側の管板上へ液体が供給されるようになっていることを特徴としている。
【0013】
本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器は、前記の縦型管内流下液膜式熱交換器において、前記上側の管板上であって、前記複数の伝熱管における直近の4本のそれぞれの重心により形成される四角形の重心位置に、前記分散板からの液体を垂らすように複数の分散孔が形成され、その分散板から前記上側の管板上へ液体が供給されるようになっていることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器は、前記のいずれかの縦型管内流下液膜式熱交換器において、前記上部チャンネル内であって、前記分散板のさらに上方に位置するように、前記分散板に形成されている分散孔からずれた位置に前記液体を垂らして供給する第二分散板が配設されていることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器は、前記のいずれかの縦型管内流下液膜式熱交換器において、前記複数の伝熱管は、その伝熱管の近傍に垂らされ前記管板の上面に円周状に広がる前記液体が円周状態を維持する範囲内に、前記伝熱管の縁が位置するように配設されていることを特徴としている。
【0016】
本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、伝熱管を、その上端面が上側の管板の上面以下に位置するように配設されていることによって、管板の上面に液体を貯留しなくても、液体を伝熱管の内周壁に沿って液膜状に供給することが可能となる。よって、伝熱管には従来のようにV字状のノッチや開口部を形成する必要がなくなるため、縦型管内流下液膜式熱交換器にかかるコストを大幅に低減させるとともに、製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0017】
また、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、上部チャンネル内であって、上側の管板よりも上方の位置に、液体を上側の管板の複数の伝熱管の近傍に垂らすことにより供給する分散板を配設したことによって、伝熱管の近傍に垂らされた液体はその動圧によって円周状に広がり、流れのままに直近にある伝熱管の内壁に液膜状に供給されるため、複数の伝熱管に均一に液体を供給することが可能となる。
【0018】
さらに、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、上側の管板上であって、複数の伝熱管における直近の3本のそれぞれの重心により形成される三角形の重心位置に、分散板からの液体を垂らすように複数の分散孔が形成され、その分散板から上側の管板上へ液体が供給されるようになっていることによって、分散板の上面に供給された液体は円周状に広がり、流れのままに直近にある伝熱管の内壁に沿って液膜状に供給されるようになる。よって、縦型管内流下液膜式熱交換器の水平度が厳密でなくとも、全ての伝熱管に均一に、且つ、液膜状に液体を供給することができるため、縦型管内流下液膜式熱交換器の製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0019】
さらに、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、上側の管板上であって、複数の伝熱管における直近の4本のそれぞれの重心により形成される四角形の重心位置に、分散板からの液体を垂らすように複数の分散孔が形成され、その分散板から上側の管板上へ液体が供給されるようになっていることによって、この分散板を介して管板の上面に供給された液体は、その動圧によって円周状に広がり、流れのまま直近にある伝熱管の内壁に液膜状に供給されるようになる。よって、縦型管内流下液膜式熱交換器の水平度が厳密でなくとも、全ての伝熱管に均一に、且つ、液膜状に液体を供給することができるため、
縦型管内流下液膜式熱交換器の製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0020】
さらに、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、チャンネル内であって、分散板のさらに上方に位置するように、分散板に形成されている分散孔からずれた位置に液体を垂らして供給する第二分散板が配設されていることによって、上部チャンネル上部から液体を供給する型式であっても、第二分散板により上方から供給される液体の動圧を抑制し、その下方に配設された分散板でより確実に伝熱管の近傍に液体を垂らすことが可能となる。但し、この分散板は、必ずしも二段に限定されるものではない。よって、縦型管内流下液膜式熱交換器の水平度が厳密でなくとも、全ての伝熱管により均一に、且つ、液膜状に液体を供給することができるため、縦型管内流下液膜式熱交換器の製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、複数の伝熱管は、その伝熱管の近傍に垂らされ管板の上面に円周状に広がる液体が円周状態を維持する範囲内に、伝熱管の縁が位置するように配設されていることによって、縦型管内流下液膜式熱交換器の水平度が厳密でなくとも、全ての伝熱管に均一に、且つ、液膜状に液体を供給することができるため、縦型管内流下液膜式熱交換器の製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器の一構成例を示す一部縦断面図である。図2は、縦型管内流下液膜式熱交換器の分散板を示す平面図である。なお、図1及び図2に示した縦型管内流下液膜式熱交換器は、説明の便宜上、伝熱管を13本具備した構造としたが、これに限らず、伝熱管の本数は設計仕様によるものである。
【0023】
本実施形態における縦型管内流下液膜式熱交換器10は、図1に示すように、上部チャンネル1と、この上部チャンネル1内に垂直方向に配設される多数本の伝熱管(チューブ)2と、チューブ2の上端を固定する上側の管板(チューブシート)3と、この上側のチューブシート3の上方に配設される分散板4と、チューブ2の下端を固定する下側のチューブシート(図示せず)と、下部チャンネル(図示せず)と、シェル5と、から構成されている。
【0024】
上側のチューブシート3は、複数本のチューブ2が配設されており、その直近の3本のチューブ2は、それぞれの重心で正三角形が形成されるように配置されている。このチューブシート3に配設されたチューブ2は、その上端面がそれぞれチューブシート3の上面よりも下方に位置するように溶接固定されている。
分散板4は、上側のチューブシート3よりも上方の位置に配設された第一の分散板4Aと、この第一の分散板4Aと上側のチューブシート3との間に位置するように配設された第二の分散板4Bと、から構成されている。この第一の分散板4A及び第二の分散板4Bは、それぞれ上部チャンネル1の内径と略同一直径を有する円板状をしており、それぞれの分散板4に形成された分散孔径、孔数より推定される液深以上の深さ寸法を有する横壁を有している。なお、チューブシート3と第二の分散板4Bとの間の間隔や、第一の分散板4Aと第二の分散板4Bとの間の間隔は、液体を所定の位置に確実に落下可能とするのであれば、特に限定されず、液体の流量及び流速、製作上の作業効率、及びメンテナンス性を考慮して調整することが好ましい。
【0025】
第一の分散板4Aには、その下方に配設される第二の分散板4Bに形成された第二の分散孔4bからずれた位置に液体を垂らすことができるように、第一の分散孔4aが形成されている。ここで、第一の分散孔4aの配置は、第二の分散板4Bに形成された複数の第二の分散孔4bに均一に液体を流下させるために、上側のチューブシート3に配設されたチューブ2と同軸を有するような円形状とするのが好ましい。
【0026】
第二の分散板4Bには、図2に示すように、その下方に配設され、各頂点に伝熱管2が配設された三角形の重心位置であるチューブシート3上に液体を垂らすことができるように、第二の分散孔4bが形成されている。
上記構成の縦型管内流下液膜式熱交換器10において、液体は、まず、上部チャンネル1の上方に配設された液体入口11Aから、第一の分散板4Aに形成された第一の分散孔4aと第二の分散板4Bに形成された第二の分散孔4bとを介して、上側のチューブシート3に配設されたチューブ2の近傍に垂らされる。そして、近傍に垂らされた液体は、図3に示すように、その落下地点Oを中心にして上側のチューブシート3の上面を円周状に広がり、図2に示すように、正三角形の各頂点位置に配設されたチューブ2の内壁に沿って液膜状に流下するようになる。
【0027】
このとき、上側のチューブシート3に配設されたチューブ2の近傍に垂らされる液体は、図3に示すように、その落下地点Oを中心にして、動圧によって液が立たない状態で範囲Xまで円周状に広がり、その後液が立ち上がった後、ある流速を維持できなくなるまでの円周長さになると、均一な円周を描けなくなる。よって、チューブ2の内壁に沿って液膜状に液体を流下させるために、上側のチューブシート3に配設されるチューブ2の少なくとも縁が、液体の落下地点Oより範囲X前後の間に位置することが好ましく、液体種による広がり範囲Xや、分散板4との間隔、或いは液体の供給量などによって調整することが好ましい。
【0028】
このように、本実施形態における縦型管内流下液膜式熱交換器10によれば、チューブ2の上端面がチューブシート3の上面よりも下方に位置するように配設したことによって、チューブシート3の上面に液体を貯留しなくても、簡単な方法で液体をチューブ2の内周壁に沿って液膜状に供給することが可能となる。よって、チューブ2には従来のようにV字状のノッチや開口部を形成する必要がなくなるため、縦型管内流下液膜式熱交換器10にかかるコストを大幅に低減させるとともに、製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0029】
また、上側のチューブシート3よりも上方の位置に、液体を上側のチューブシート3に配設された複数のチューブ2の近傍に垂らすことにより供給する分散板4を配設したことによって、チューブ2の近傍に垂らされた液体は円周状に広がり、流れのままに直近にあるチューブ2の内壁に沿って液膜状に供給されるため、縦型管内流下液膜式熱交換器10に要求される水平度を大幅に緩和させることが可能となる。
【0030】
特に、第二の分散板4Bに形成された第二の分散孔4bを、その下方に配設された上側のチューブシート3上において、直近にある3本のチューブ2の重心により形成された複数の正三角形の各重心位置に液体を垂らすことができるように形成したことによって、全てのチューブ2内に均一な液体を液膜状に流下させることが可能となる。
【0031】
さらに、第一の分散板4Aに形成された第一の分散孔4a及び第二の分散板4Bに形成された第二の分散孔4bを介して、上側のチューブシート3に配設された複数のチューブ2の近傍に液体を垂らすようにしたことによって、縦型管内流下液膜式熱交換器10の水平度を厳密に調整しなくても、複数のチューブ2に均一に、且つ、液膜状に液体を流下させることが可能となる。すなわち、縦型管内流下液膜式熱交換器10の製造及び設置、並びに設置後の管理に要する作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0032】
なお、本実施形態における縦型管内流下液膜式熱交換器10においては、チューブシート3に配設されたチューブ2を、その上端面がそれぞれチューブシート3の上面よりも下方に位置するように溶接固定されている場合について説明したが、少なくともチューブ2の上端面が上側のチューブシート3の上面以下に位置するように配置されているのであればこれに限らない。例えば、チューブ2の上端面が上側のチューブシート3の上面と同一面となるように配置するようにしてもよい。
【0033】
また、本実施形態における縦型管内流下液膜式熱交換器10においては、第二の分散板4Bの第二の分散孔4bを、その下方に配設された上側のチューブシート3上において、チューブ2が複数の正三角形の各頂点位置に形成されたそれら正三角形の重心位置に液体を垂らすことができるように形成したが、液体を複数本のチューブ2に均一に流下可能であれば、直近にある4本のチューブ2のそれぞれの重心により形成される四角形の重心位置に、第二の分散板4Bからの液体を垂らすように複数の第二の分散孔4bを形成するようにしてもかまわない。
【0034】
また、本実施形態における縦型管内流下液膜式熱交換器10においては、分散板4として、第一の分散板4A及び第二の分散板4Bの二枚を配設したが、これに限らず、例えば、第二の分散板4Bのみを配設してもよいし、さらには、均一な分散を厳密に行うために、複数の分散板4を配設するようにしてもよい。
【0035】
【実施例】
次に、本発明の効果を、以下に示す本発明例及び比較例に基づいて検証する。
〔本発明例〕
本発明例として、図4に示すように、本実施形態の縦型管内流下液膜式熱交換器と同様のチューブシート3、分散板4を用いたコールドテスト機を用意した。なお、図4中図1と同一の部分は、図1の符号を用いて説明する。
【0036】
本発明例で使用したコールドテスト機においては、チューブ径19mm、チューブ肉厚2mmである53本のチューブ2を、30°、25mmピッチで配列したものを適用した。このうち、チューブシート3の真ん中の列に配置され、且つ、チューブシート3に傾斜が形成される場合にその傾斜方向の上から下方向(図4における左から右方向)に位置する5本のチューブ2に順に▲1▼〜▲5▼の番号を付け、この5本のチューブ2のみを300mmの長さとし、残りのチューブ2は50mmの長さとした。また、分散板4は、チューブ2と同軸位置に6mmの分散孔(図示せず)が53箇所に形成された第一の分散板4A及びチューブ2の重心が形成する正三角形の重心位置に4mmの分散孔(図示せず)が138箇所に形成された第二の分散板4Bを適用した。
【0037】
そして、分散板4上に異なる流量の液体を流下させる場合において、チューブシート3における指定位置への液落下状況、チューブシート3内における液膜形成状況、及び5本のチューブ2の液流量を以下の条件で調査した。なお、本実施例においては、異なる水平度を有するように、水平状態を保持した場合と、1/100の傾斜で保持した場合とにおいて実験を行った。
<チューブシートの指定位置への液落下状況確認試験>
・チューブシート3における液体落下位置全てにおいて、目視によって確実に液体が落下しているか否かを確認した。
<チューブ内における液膜形成状況確認試験>
・チューブ2の下端開放部分より、液膜の形成状況を目視により確認した。
<複数本のチューブにおける液流量確認試験>
・5本のチューブ2において、流下した液流量を測定し、1本当たりのチューブ2に流下する液流量を測定する。結果は、表1に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
この結果、チューブシート3の指定位置への液落下状況確認試験においては、いずれの条件下であっても略全てにおいて、目標とする液落下位置に液体が落下し、且つ、図3のような状態で落下した液体が飛び跳ねることなく、直近のチューブ2へ均一に供給されていることが確認できた。
また、チューブ2内における液膜形成状況確認試験においては、水平度や液流量を変化させたいずれの条件下であっても、チューブ2の内周壁に沿って液膜が均一な厚みで形成されていたことが確認できた。
【0040】
さらに、5本のチューブ2における液流量試験においては、表1に示すように、液体の流量や水平度が変化しても、一本当たりのチューブ2に供給される流量は略一定であったことが確認できた。
〔比較例〕
比較例として、図5に示すように、本発明例と同一のコールドテスト機において、そのチューブシート3の上面からチューブ2の上端面を3mm突出させた装置を用いた。なお、図5中図1と同一の部分は、図1の符号を用いて説明する。
そして、このコールドテスト機を用いて、本発明例と同様の条件で、チューブシート3における指定位置への液落下状況、チューブシート3内における液膜形成状況、及び5本のチューブ2の液流量を以下の条件で調査し、結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】
この結果、チューブシート3の指定位置への液落下状況確認試験においては、いずれの条件下であっても略全てにおいて、本発明例と同様の結果が得られた。ところが、1/100の傾斜でチューブシート3を保持した場合の落下後の状況が本発明例と異なり、落下した液は、下方(傾いたチューブシート3の低い方)に位置するチューブ2の突出した端面にあたり、飛び跳ねていることが確認できた。
【0043】
また、チューブ2内における液膜形成状況確認試験においては、1/100の傾斜でチューブシート3を保持した場合に、下方に位置するチューブ2からの流入液量が多く、チューブ2の内周壁に沿って均一な厚みで液膜を形成できていなかったことが確認できた。
さらに、5本のチューブ2における液流量試験においては、表2に示すように、1/100の傾斜でチューブシート3を保持した場合に、下方に位置するチューブ2と上方に位置するチューブ2とに流れ込む流入液量に差が生じてしまい、実際の熱交換器の伝熱能力に著しい差を生じさせる要因となってしまうことが確認できた。
【0044】
以上の結果より、通常1/1000〜5/1000程度の水平度を要求する縦型管内流下液膜式熱交換器において、チューブ2の上端面が上側のチューブシート3の上面以下に位置するように配置することによって、1/100の水平度においても全く問題なく、均一な分散及び液膜形成が可能な方法であることが確認できた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、伝熱管を、その上端面が上側の管板の上面以下に位置するように配設したことによって、上側の管板の上面に液体を貯留しなくとも、液体を伝熱管の内周壁に沿って液膜状に供給することが可能となる。よって、縦型管内流下液膜式熱交換器にかかるコストを大幅に低減させるとともに、製造及び設置、並びに設置後の管理にかかる作業効率を大幅に向上させることが可能となる。
【0046】
また、本発明の縦型管内流下液膜式熱交換器によれば、上部チャンネル内であって、上側の管板よりも上方の位置に、液体を上側の管板に配設された複数の伝熱管の近傍に垂らすことにより供給する分散板を配設したことによって、伝熱管の近傍に垂らされた液体はその動圧によって円周状に広がり、流れのままに直近にある伝熱管の内周壁に沿って液膜状に供給されるため、縦型管内流下液膜式熱交換器の水平度が厳密でなくとも、全ての伝熱管に均一に、且つ、液膜状に液体を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器の一構成例を示す縦断面図である。
【図2】本発明に係る縦型管内流下液膜式熱交換器の分散板を示す平面図である。
【図3】液が落下した時の状態を示す模式図である。
【図4】本発明例で用いたコールドテスト機を示す模式図である。
【図5】比較例で用いたコールドテスト機を示す模式図である。
【図6】従来の縦型管内流下液膜式熱交換器で適用されている伝熱管の一構成例を示す縦断面図である。
【図7】従来の縦型管内流下液膜式熱交換器で適用されている伝熱管の他の構成例を示す縦断面図である。
【図8】従来の縦型管内流下液膜式熱交換器で適用されている伝熱管の他の構成例を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1、11 上部チャンネル
2、12 チューブ(伝熱管)
3、13 上側のチューブシート(管板)
4 分散板
4A 第一の分散板
4B 第二の分散板
4a 第一の分散孔
4b 第二の分散孔
5、14 シェル
10 縦型管内流下液膜式熱交換器
10A、110A 液体入口
110B ガス入口
Claims (4)
- 縦型をしたシェルの上下にそれぞれ水平に位置する管板を設けると共に、これら上下一対の管板間に、これらを貫通するように複数の伝熱管を架け渡し、かつ、前記シェルの上下にそれぞれ上部チャンネルと下部チャンネルを備えた縦型管内流下液膜式熱交換器において、
前記上側の管板の上方に、前記上部チャンネル内に供給される液体を溜める分散板を設けると共に、当該分散板に、前記液体を前記上側の管板上面の前記複数の伝熱管の近傍に垂らすための分散孔を形成し、
かつ、前記伝熱管の上端面が、前記上側の管板の上端面よりも下方に位置するように配設したことを特徴とする縦型管内流下液膜式熱交換器。 - 前記各分散孔を、
前記上側の管板上であって、前記複数の伝熱管における直近の3本のそれぞれの重心により形成される三角形の重心位置に対応する位置に形成したことを特徴とする請求項1に記載の縦型管内流下液膜式熱交換器。 - 前記各分散孔を、
前記上側の管板上であって、前記複数の伝熱管における直近の3本のそれぞれの重心により形成される四角形の重心位置に対応する位置に形成したことを特徴とする請求項1に記載の縦型管内流下液膜式熱交換器。 - 前記上部チャンネル内であって、前記分散板のさらに上方に位置するように、前記分散板に形成された分散孔からずれた位置に前記液体を垂らして供給する第二の分散板を配設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の縦型管内流下液膜式熱交換器。
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