JP4233682B2 - 秘密情報隠蔽カード及びその使用方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、隠蔽層を除去することで秘密情報が目視可能になる、インターネットなどの小口決済プリペイドカード、国際電話テレフォンカード、くじ引き等に好適に使用することができる秘密情報隠蔽カード及びその使用方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の秘密情報隠蔽カードとして、脆弱に形成された銀色の秘密情報隠蔽層をコイン等で削り落として秘密情報を目視する、いわゆるスクラッチカードが多く使用されている。
このスクラッチカードの隠蔽層を形成するスクラッチインキは、比較的簡単に偽造することができてしまうので、一旦、隠蔽層を削り落として秘密情報を盗視した後、隠蔽層を偽造する偽造品が作製される可能性があった。そのような偽造を防止するために、種々の方法が提案されている。
例えば、特開平9−290589号公報に記載のスクラッチカードは、スクラッチインキに光学可変性フレークを添加してスクラッチインキ自体を色変化可能にしたり、通常のスクラッチインキ層に光学可変性インキを上塗りして色変化可能にしたものであり、偽造品の作製が困難になるとともに、デザイン面での効果を呈する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した特開平9−290589号公報に記載のスクラッチカードは、外観を見ただけで、偽造品防止対策が施されていることが分かってしまうので、色変化インキ等を用いて、見た目がそっくりな模造品が作製されてしまう可能性があった。万一、このような模造品が、金券ショップ等に持ち込まれてしまうと、それが模造品であることは、判別できない恐れがある。
【0004】
本発明の課題は、万一、模造されても、模造品を判別することができる秘密情報隠蔽カード及びその使用方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、カード基材(11)と、前記カード基材(11)に形成され、秘密情報(a)を表示する秘密情報表示層(12)と、前記秘密情報表示層(12)に形成され、前記秘密情報(a)を隠蔽し、除去されて前記秘密情報(a)を目視可能にする除去部(14b)及びその除去部(14b)を除去した後も前記秘密情報表示層(12)に付着している残留部(14a)を有する秘密情報隠蔽層(14)とを備える秘密情報隠蔽カードであって、前記残留部(14a)は、前記除去部(14b)と異なる色で形成されていることを特徴とする秘密情報隠蔽カードである。
【0008】
請求項2の発明は、カード基材(11)と、前記カード基材(11)に形成され、秘密情報(a)を表示する秘密情報表示層(12)と、前記秘密情報表示層(12)に形成され、前記秘密情報(a)を隠蔽し、除去されて前記秘密情報(a)を目視可能にする除去部(14b)及びその除去部(14b)を除去した後も前記秘密情報表示層(12)に付着している残留部(14a)を有する秘密情報隠蔽層(14)とを備える秘密情報隠蔽カードであって、前記除去部(14b)は、前記残留部(14a)の上に積層されていることを特徴とする秘密情報隠蔽カードである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の秘密情報隠蔽カードにおいて、前記残留部(14a)は、真偽判別情報(b)を表示することを特徴とする秘密情報隠蔽カードである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の秘密情報隠蔽カードにおいて、前記除去部(14b)は、脆弱で、摩擦力により粉砕除去可能であることを特徴とする秘密情報隠蔽カードである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の秘密情報隠蔽カードにおいて、前記秘密情報隠蔽層(14)に形成され、その秘密情報隠蔽層(14)の表面を保護する隠蔽保護層(15)をさらに備えることを特徴とする秘密情報隠蔽カードである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の秘密情報隠蔽カードの使用方法であって、前記秘密情報隠蔽層(14)を除去する場合において、前記除去部(14b)のみ除去可能であり、前記残留部(14a)は付着したままであるときは、真正品であると判別することを特徴とする秘密情報隠蔽カードの使用方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面等を参照して、本発明の実施の形態について、さらに詳しく説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明による秘密情報隠蔽カードの第1実施形態を示す図である。図中、(A)は表面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
秘密情報隠蔽カード10は、カード基材11と、秘密情報表示層12と、秘密情報保護層13と、秘密情報隠蔽層14とを備える。
【0014】
カード基材11は、このカードの担体となるものであり、印刷適性のあるものを好適に使用することができる。例えば、塩化ビニル樹脂(PVC),ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリカーボネート(PC)等の発泡体である発泡プラスチックシート又は紙シートなどである。
カード基材11は、カードの名称を示す文字やカードを装飾する絵柄等のカード装飾11aを印刷している。
【0015】
秘密情報表示層12は、秘密にする情報a(図2参照)を表示する層であり、カード基材11上に通常使用されているインキで印刷されている。この印刷は、オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、接触・非接触トナー定着方式等の方法を1種類又は2種類以上組み合わせて印刷する。
【0016】
秘密情報保護層13は、秘密情報隠蔽層14を削り落とすときの摩擦から秘密情報表示層12の秘密情報aを保護する層であり、秘密情報表示層12に形成されている。秘密情報保護層13は、ほぼ透明であり、下地の秘密情報aを目視することができる。秘密情報保護層13は、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を1種類又は2種類以上組み合わされたものを印刷して形成する。
【0017】
秘密情報隠蔽層14は、秘密情報表示層12の秘密情報aを隠蔽する層であり、秘密情報保護層13に形成されている。秘密情報隠蔽層14は、残留部14aと、除去部14bとを有する。
【0018】
残留部14aは、コイン等で擦っても削り落とされずに付着したままになる部分である。残留部14aは、真偽判別情報b(図2参照)を表示する。残留部14aは、金属粉を含有する顔料と、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を1種類又は2種類以上組み合わされたビヒクルとを有するインキで印刷されている。
【0019】
除去部14bは、コイン等で擦ると容易に削り落とされる部分である。除去部14bは、残留部14aの上に形成されており、その残留部14aを隠蔽し、さらに、秘密情報表示層12の秘密情報aを隠蔽している。
除去部14bは、アルミニウム粉を含む顔料と合成ゴム系樹脂のビヒクルとを有するインキで印刷されている。このようなインキの具体的なものとしては、例えば、帝国インキ製造(株)製のセリコールRUBインキ等を挙げることができる。
【0020】
(作製方法)
本実施形態の秘密情報隠蔽カード10は、以下のように製造する。
(1)厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート(PET)カード基材11に対して、所定領域に文字又はマーク等の秘密情報aを印刷して、秘密情報表示層12を形成する。また、それ以外の領域に、カード装飾11aを印刷する。
(2)(1)において秘密情報表示層12を形成したカード基材11に対して、秘密情報保護層13を印刷して形成する。
(3)(2)において秘密情報保護層13を形成したカード基材11に対して、秘密情報隠蔽層14の残留部14aを印刷して形成する。
(4)(3)において残留部14aを形成したカード基材11に対して、秘密情報隠蔽層14の除去部14bを印刷して形成する。
(5)以上により、秘密情報隠蔽カード10が完成する。
【0021】
(使用方法)
図2は、本発明による秘密情報隠蔽カードの第1実施形態の使用状態を示す図である。図中、(A)は使用前、(B)は使用後、(C)は(B)のC部拡大図である。
(1)使用者は、秘密情報隠蔽カード10を入手する。このとき、秘密情報隠蔽層14があるので、使用者は、秘密情報(ID番号)aを目視することができない(図2(A))。
(2)(1)において秘密情報隠蔽カード10を入手した使用者は、秘密情報隠蔽層14をコイン等で削り落とす。
すると、秘密情報表示層12の秘密情報(ID番号)a及び残留部14aの真偽判別情報bが目視可能に現れる(図2(B),(C))。
この真偽判別情報bにより、使用者は、入手した秘密情報隠蔽カード10が本物であることを確認することができる。
(3)(2)においてID番号aを目視した使用者は、そのID番号aを電話機やパソコンに入力して、国際電話やインターネット上での決済をおこなう。
【0022】
本実施形態によれば、残留部14aは、真偽判別情報bを有するので、模造品の判別を容易におこなうことができる。
また、残留部14aは、除去部14bに隠蔽されているので、外観のみからでは、その存在を察知されないため、模造品が作られにくい。万一、その存在を察知されても、位置や真偽判別情報bの内容を特定することは、困難であるので、模造することができない。
さらに、残留部14aは、印刷によって形成されているので、その位置や真偽判別情報bの内容を容易に変更することができるため、模造品を作製することは、非常に困難である。
【0023】
(第2実施形態)
図3は、本発明による秘密情報隠蔽カードの第2実施形態を示す図である。図中、(A)は表面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
なお、以下に示す実施形態では、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
秘密情報隠蔽カード10は、カード基材11と、秘密情報表示層12と、秘密情報保護層13と、塗り分けられて形成された残留部14a及び除去部14bを有する秘密情報隠蔽層14とを備える。
残留部14aは、例えば、アルミニウム粉のように、除去部14bと同じ色の金属粉を含有する顔料を使用するインキで形成されている。
【0024】
本実施形態によれば、残留部14aは、除去部14bとなじんでしまうので、外観のみからでは、偽造防止対策が施されていることが分からない。そのため、見た目だけで、模造品が作られることがない。
【0025】
(第3実施形態)
図4は、本発明による秘密情報隠蔽カードの第3実施形態を示す図である。図中、(A)は表面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
秘密情報隠蔽カード10は、カード基材11と、秘密情報表示層12と、秘密情報保護層13と、異なる色で塗り分けられて形成された残留部14a及び除去部14bを有する秘密情報隠蔽層14とを備える。
残留部14aは、例えば、銅粉のように、除去部14bと異なる色の金属粉を含有する顔料を使用するインキで形成されている。残留部14aは、真偽判別情報bを表示する(図A)。
【0026】
本実施形態によれば、残留部14aは、真偽判別情報bを有するので、模造品の判別を容易におこなうことができる。
真偽判別情報bは、その存在が一目で分かるので、偽造抑止効果がある。また、一旦、除去部14bを除去して秘密情報aを盗視した後、除去部14bを偽造しようとしても、残留部14aを除く部分にのみ除去部14bを形成することは、困難であり、秘密情報隠蔽層14を偽造することはできない。そのため、その秘密情報隠蔽層14を見るだけで、偽造品を容易に判別することができる。
【0027】
(第4実施形態)
図5は、本発明による秘密情報隠蔽カードの第4実施形態を示す図である。図中、(A)は表面図、(B)は(A)のB−B断面図である。
秘密情報隠蔽カード10は、カード基材11と、秘密情報表示層12と、秘密情報保護層13と、秘密情報隠蔽層14と、秘密情報隠蔽層14の表面を保護する隠蔽保護層15とを備える。
隠蔽保護層15は、秘密情報隠蔽層14の表面を傷付き等から保護する層であり、秘密情報隠蔽層14に形成されている。隠蔽保護層15は、セルロース樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂などの樹脂を1種類又は2種類以上組み合わされたものをオフセット印刷、又はシルク印刷し、UV乾燥して形成することができる。このように、UV乾燥によって即乾させることで、表面を強固にすることができ、秘密情報隠蔽層14の表面を傷付き等から保護することができる。
【0028】
本実施形態によれば、隠蔽保護層15は、秘密情報隠蔽層14の表面を被膜するので、秘密情報隠蔽層14の強度を高めることができ、例えば、移送時に、摩擦等によって、秘密情報隠蔽層14の表面が傷付けられることを防止することができる。
また、隠蔽保護層15は、秘密情報隠蔽層14の表面の平滑性を向上させることもできるので、そのことによっても、秘密情報隠蔽層14の表面の傷付き等を防止することができる。
【0029】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の均等の範囲内である。
例えば、秘密情報隠蔽層14は、下層が目視不能に着色されたポリエチレンテレフタレート,延伸ポリスチレン,ポリ塩化ビニル,セロファン,延伸ポリプロピレン等の樹脂フィルムを使用して、剥離不能な残留部14aと、剥離可能な除去部14bとを形成しても、同様の効果が得られる。
【0030】
【発明の効果】
以上詳しく説明したように、本発明によれば、除去可能な除去部と、除去不能な残留部を有するので、模造品の判別が容易におこなうことができる。
【0032】
本発明によれば、残留部は、除去部と異なる色で形成されているので、秘密情報を盗視した後、除去部を偽造しようとしても、偽造が困難であるため、偽造品を容易に判別することができる。
【0033】
本発明によれば、除去部は、残留部の上に積層されているので、外観のみからでは、残留部の存在を察知されない。万一、その存在を察知されても、位置や真偽判別情報の内容を特定することは、困難であるので、模造することができない。
【0034】
本発明によれば、残留部は、真偽判別情報を表示するので、模造品の判別を容易におこなうことができる。
【0035】
本発明によれば、除去部は、脆弱で、摩擦力により粉砕除去可能であるので、容易に作製することができる。
【0036】
本発明によれば、秘密情報隠蔽層に隠蔽保護層が形成されているので、秘密情報隠蔽層の表面の強度を高めることができ、秘密情報隠蔽層の傷付き等を防止することができる。
【0037】
本発明によれば、秘密情報隠蔽層を除去する場合において、除去部のみ除去可能であり、残留部は付着したままであるときは、真正品であると判別するので、簡単に真偽判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による秘密情報隠蔽カードの第1実施形態を示す図である。
【図2】本発明による秘密情報隠蔽カードの第1実施形態の使用状態を示す図である。
【図3】本発明による秘密情報隠蔽カードの第2実施形態を示す図である。
【図4】本発明による秘密情報隠蔽カードの第3実施形態を示す図である。
【図5】本発明による秘密情報隠蔽カードの第4実施形態を示す図である。
【符号の説明】
10 秘密情報隠蔽カード
11 カード基材
11a カード装飾
12 秘密情報表示層
13 秘密情報保護層
14 秘密情報隠蔽層
14a 残留部
14b 除去部
15 隠蔽保護層
a 秘密情報
b 真偽判別情報
Claims (6)
- カード基材と、
前記カード基材に形成され、秘密情報を表示する秘密情報表示層と、
前記秘密情報表示層に形成され、前記秘密情報を隠蔽し、除去されて前記秘密情報を目視可能にする除去部及びその除去部を除去した後も前記秘密情報表示層に付着している残留部を有する秘密情報隠蔽層と
を備える秘密情報隠蔽カードであって、
前記残留部は、前記除去部と異なる色で形成されている
ことを特徴とする秘密情報隠蔽カード。 - カード基材と、
前記カード基材に形成され、秘密情報を表示する秘密情報表示層と、
前記秘密情報表示層に形成され、前記秘密情報を隠蔽し、除去されて前記秘密情報を目視可能にする除去部及びその除去部を除去した後も前記秘密情報表示層に付着している残留部を有する秘密情報隠蔽層と
を備える秘密情報隠蔽カードであって、
前記除去部は、前記残留部の上に積層されている
ことを特徴とする秘密情報隠蔽カード。 - 請求項1又は請求項2に記載の秘密情報隠蔽カードにおいて、
前記残留部は、真偽判別情報を表示する
ことを特徴とする秘密情報隠蔽カード。 - 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の秘密情報隠蔽カードにおいて、
前記除去部は、脆弱で、摩擦力により粉砕除去可能である
ことを特徴とする秘密情報隠蔽カード。 - 請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の秘密情報隠蔽カードにおいて、
前記秘密情報隠蔽層に形成され、その秘密情報隠蔽層の表面を保護する隠蔽保護層をさらに備える
ことを特徴とする秘密情報隠蔽カード。 - 請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の秘密情報隠蔽カードの使用方法であって、
前記秘密情報隠蔽層を除去する場合において、前記除去部のみ除去可能であり、前記残留部は付着したままであるときは、真正品であると判別する
ことを特徴とする秘密情報隠蔽カードの使用方法。
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