JP4233325B2 - 注射器 - Google Patents

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Description

(本発明の目的)
本発明は、注射器およびその使用方法に関するものである。その注射器は、主に保健分野において、他の処理の間に薬剤の注射液を投与したり、血液または体液を採取したりするために用いられる作業用器具である。また、本発明は、液体を取り扱うために注射器を用いることを必要とする他の分野(実験室、異なる種類の活性(actividades)の製造所、または獣医)においても利用される。さらにまた、本発明は、注射器によって液体を吸い上げたり、放出したりする方法に関するものであって、その方法は片手だけで利用することができる。
【0001】
(技術状況の記述)
技術状況において、多くの異なるタイプの注射器が、行われる作業タイプの各必要性に応じて用いられ、適応されている。また、用いられる分野および用途によっても様々な注射器がある。しかし、あらゆる分野において、従来からの注射器の取り扱いは共通し、一致している。
【0002】
従来の注射器は、注射器が用いられる作業によって、より大きな安定度またはより小さな安定度での操作性が要求される。つまり、グラスから大量の水を吸引し、それから水をより小さな容器に分配するために注射器を用いる場合と、人から採血するために注射器を血管に刺す場合とでは、要求される注意および安定性が同様ではないからである。
【0003】
また、従来からの注射器の主な欠点および問題点としては、それらを用いるためには両手を使うことが必要とされることである。
【0004】
つまり、患者側の予期せぬ動きによって、注射針で患者または注射器のユーザを傷つけることが起こり得るので、両手がふさがれることは危険である。
【0005】
上記した危険性を防ぐために、片手だけで注射器を用いることが可能な、種々の注射器や従来からの注射器用のアダプタがある。
【0006】
米国特許番号3、819、091では、従来からの注射器用のアダプタについて記されている。そのアダプタは、片手だけを使って、注射器の吸引操作を容易に行うことができるハンドルにより構成されている。このアダプタでは、片手だけで注射器に安定した吸引を行うことについての問題点を解決するが、注射器およびアダプタ両方を製造しなければならないので、製造コストが増す。また、そのアダプタは、吸引することに対してのみ用いられ、さらに、特定の直径を有する注射器についてのみ用いられ得る。その事実から、注射または排出を目的とする場合、注射器が満たされると、注射器はアダプタから取り外され、従来からの注射器と同じように用いなければならない。
【0007】
また、米国特許番号3、990、446では、片手だけで吸引できる注射器が記されている。しかし、この注射器は、両手を用いなければ液体の排出を行うことできない。また、この注射器は、従来の注射器よりも長くなる。なぜならば、吸引を行う場合、指を支えるために固定された面を有する必要があるからである。なお、その固定された面は、一定の距離にて配されており、ピストンの後端部に配された側面扶持部が、その固定された面に沿って移動しなればならない。
【0008】
また、米国特許番号5、135、511では、片手だけで吸引のみを可能とする従来の注射器用アダプタが記されている。従来の注射器を構成する2つの構成部材に加えて、このアダプタも2つの構成部材からなる。したがって、その組み立てられた一式は複雑なものとなる。また、このアダプタの使用は、構成部材の数がより多くなるので使用時に、より多くの故障が生じ得る。
【0009】
また、米国特許番号5、582、595に開示された注射器は、上記した注射器やアダプタとは異なり、片手によって吸引および排出の両方に用いることができる。この注射器の主な問題は、それを組み立てることにあり、その注射器の使用において失敗を招来する虞がある。つまり、この注射器はシリンダーおよびピストンの2つの主要部からなり、シリンダーはその後方部に向かって結合面と共に伸張するように2つのピストン棒を備え、ピストンは、その端部に2つの扶持面を備えている。そして、この注射器を組み立てるためには、ピストンは注射器の後部に差し込まれる必要があり、したがって、シリンダーの後端の既存面は1つのピストン棒に対して回転可能でなければならないということから問題が生じる。つまり、このことから製品の製造工程およびその製品の組み立てに、より多くのコストがかかる。また、この注射器を使う人は、回転面が吸引時に外れるかもしれないので、より慎重に注意して取り扱わなければならない。また、この注射器では、そのピストンは、従来の注射器のピストンと類似している。すなわち、ピストンが、シリンダーにおいて可動する唯一の構成要素であって、ピストン棒は、シリンダーに結合されているので固定されたままである。
【0010】
この型の注射器の最大の欠点は、使用時において、針を制御することが困難となることである。つまり、この型の注射器を使用するのに必要となる力は、従来の注射器に比べてその針からかなり離れた位置で加えられるからである。
【0011】
本発明が目的とする注射器によって、上記した注射器の欠点は解消される。つまり、本発明の注射器は自然な状態で指を曲げることによって、いかなる時でも、快適に、安定し安全な力で、注射器の動きおよび針を制御しながら、非常に簡単に吸引および排出を行うことができるからである。また、片手だけで用いることができ、容易に素早く組み立てられる2つの独立した主要部を備えている注射器を、以下に述べる注射器と同じくらい簡単に製造できるものは引用した関連資料には見当たらない。
【0012】
(説明)
本発明は、通常の手段によって液体を吸引および排出する、注射器およびその方法であって、特有の構成を備えている。その構成によって、注射器を片手だけで用いることができ、また、安定した取り扱いが可能となる。つまり、液体の吸引および排出の2つの操作は、指によって圧する、または指を曲げることと同様の作用によって行うことができる。一方、従来からの注射器では、吸引時、片手だけで取り扱うと、注射器のユーザまたは患者を刺したり傷つけたりする虞があるので両手で用いられなければならない。
【0013】
また、片手だけで注射器を扱うために、従来からの注射器とは異なる構造的修正がなされているが、使用および製造の容易性は維持されている。
【0014】
本注射器は、2つの主要部すなわち構成要素を備えている。その1つはシリンダー形状であって、一端で液体の吸引および/または排出開口部と、対向する端(el extremo contrario)で開口している2つの側面の縦溝(ranuras longitudinales laterales)と、後方部材すなわち第2扶持面およびもう一方の前方部材すなわち第3扶持面を備える中央扶持面とを有し、シリンダーの横に配された中央孔(hueco central)を備えている。
【0015】
また、第2主要部は、一端でピストンを有するピストン棒と、その反対端で2つの細長い(alargados)構成部材またはプッシュ部(empujadores)を有する2つの結合リンク(nexos de unio'n)とから構成される。先端(シリンダーに向かって挿入される端)方向に伸びる側において、細長い構成部材またはプッシュ部は、その部材に対して横軸方向にある2つの扶持面(第4扶持面)にて末端となる。一方、反対の端では、細長い構成部材またはプッシュ部は、共に他の扶持面(第1扶持面)によって連結されている。
【0016】
細長い構成部材の厚さは、シリンダーの直径によってより厚かったり、またはより薄かったりする。シリンダーの直径が小さい注射器の場合、ピストン棒を覆う端での細長い構成部材の厚さは、ピストン棒の動きに対してより大きな安定性を与えるため、また後部間隙部(abertura posterior)に指が差し込めるように幅を広げるため、より厚くなる。大きな直径の注射器のこれら細長い構成部材では、その構成部材の中でより薄い厚さであるか、または同じぐらいの厚さとなる。
【0017】
また、細長い構成部材の端と結合された2つの柄(lengueetas solidarias)を備え、無関係ないくつかの部材が、連結リンクが沿って動く溝に入らないようにする注射器を提供することができる。
【0018】
この注射器を使用するためには、以下に記されるように特有の方法で片手の指を配置する必要がある。従来からの注射器と同じように、この注射器には、液体を吸引するための手先位置と、液体を排出するための手先位置との2つの手先位置がある。つまり、第1手先位置では、吸引のために、ピストンをシリンダーの開口部の近く、またはシリンダーの開口部に接する状態で準備をし、親指以外の2本の指を第4扶持面に配し、親指を第2扶持面に配置する。なお、親指は、第2扶持面と第1扶持面との間で区切られた窓(ventana)に配されるようにして、第2扶持面に配置されている。一旦、指が配置されたら、指によって押す、または指を曲げる動作以外何も必要としない。このようにして、ピストンの動きに沿って2つの相反する力を生み出し、両方の主要部が関連して動き、液体を吸引するのである。
【0019】
注射器のシリンダーの中の液体を排出するためには、吸引後、第2手先位置において、指の位置を変えねばならない。しかし、注射器を手放す必要も、もう一方の手を使う必要もないということに気づくであろう。つまり、このことを行うために、親指は第1扶持面に配され、他の2本の指は第3扶持面に据えられる。これらの位置に指を配置するとともに、指は、第1手先位置とは別の指によって押す、または指を曲げる動作を行う。このようにして、ピストンの動きに沿って2つの相反する力を生み出し、両方の主要部が関連して動き、液体を排出したり、注射したりする。
【0020】
上記した構成によって、注射器を用いるために手、手首または注射器を変える必要はない。つまり、片手の3本の指を変化させるだけで、安全かつ安定した方法で液体の吸引および排出を連続した動作で十分に切り替えられる。
【0021】
この注射器の操作が容易であるゆえに、いかなるトレーニングも必要なく容易に習得される。また、この注射器によって、2つの機能を素早く安全に行うことができる。つまり、誤操作によってユーザが患者を傷つけたり、またはユーザ自身を傷つけたりすることを防ぎ、制御不能な動きを抑制して2つの機能を行うことができる。すなわち、2つの動作において親指によって及ばされる力の方向は、シリンダー内のピストン棒およびピストンが動く軸方向と一致するので、吸引および排出を決定する動きは常に安定し、安全でかつ完全に制御される。
【0022】
したがって、このような設計のおかげで、吸引ポジションから排出ポジションに、またはその逆にポジションを変える場合、2本の指位置を変えるために注射器を手放す必要も、もう一方の手で補助する必要も、手または注射器を変化させる必要もない。
【0023】
また、指で押す動作または指を曲げる動作という2つの行為においては同じであり、ただ、指の位置を変化させることのみを伴うものであるので、吸引および排出時の制御は、安全で、安定した完全なものとなる。また、この注射器の取り扱い、習得を容易にすることにも寄与している。
【0024】
したがって、安定し、制御された方法での片手だけによる使用は、針を使って液体を吸引する場合にユーザが不本意に刺したり、切ったりしないようにして、感染症の危険を避ける。
【0025】
また、採血または液体を血管に注射する場合、この注射器は、片手だけしか必要としないので、もう一方の手の指は、血管が絶えず一定に位置するように使えるという利点を提供する。
【0026】
本発明の目的である注射器の構成は、1つまたはいくつかの使用を伴う注射器に適用できるし、薬を処方した注射、採血、生検の穿刺などにおいて用いられてもよい。
【0027】
(図面の説明)
注射器およびその手段によって液体を吸引および排出するための方法に関して理解を深めるために、7つの図面が本特許明細書に添付されている。つまり、その目的は、当該の発明が基づいている根拠のより深い理解と好ましい実施形態の説明の理解とを促すことである。また、図面は例示であって、それに制限されるものではないことを考慮に入れなければならない。
【0028】
図1は、液体を吸収するのに好ましい本特許明細書の目的である注射器の正面図である。
【0029】
図2は、既に吸収された液体を排出する状態にある注射器の正面図である。
【0030】
図3は、下部主要部つまり第1主要部を上方からみた平面図である。
【0031】
図4は、上記注射器の2つの部分の分解組み立て図である。
【0032】
図5は、上記注射器の透視図である。
【0033】
図6は、液体の吸収時に用いられる注射器を、その注射器のユーザの手の指位置となり得る第1手先位置にて示す正面図である。
【0034】
図7は、液体の排出時に用いられる注射器を、その注射器のユーザの手の指位置となり得る第2手先位置にて示す正面図である。
【0035】
(好ましい実施形態の説明)
注射器およびその使用方法である本発明は、従来からの注射器とは異なる構成要素からなる新規な装置を提供する。そして、その装置は、ユーザが片手だけで通常と同様に指の押す力または曲げる力によって、吸引または吸収、および排出の2つの基本的動作を行うことができるとともに、注射器の使用時に安定性を維持でき、容易に、安全に使用できる新しい構成要素を備える。
【0036】
上記注射器は、2つの主要部、すなわち、各々が、単一部材にて形成され、それぞれ特定の構成部材を有している独立した構造体を備えていることが好ましい。第1主要部10は、円柱状であり、液体の吸引および/または排出開口部11を有する前端部10aおよび第2開口端部すなわち出入口部10bを備える。また注射器の前端部10aでは、吸引および/または排出開口部11とは別に、皮下注射針を前端部10aに接続する手段16を備える。
【0037】
第2主要部20は、第1主要部10の出入口部10bから第1主要部すなわちシリンダー10に挿入される、第1部材すなわちピストン棒21からなる。ピストン棒21は、注射器11の開口部に近接しているその端部にてピストンを、それとは逆の端部にて緩衝部(tope)21bを備える。第2主要部20は、2つのポジションの間で移動することができる。つまり第1ポジション(図6)とは、ピストン21aがシリンダー10の前端部10aに近接するポジションであり、第2ポジション(図7)とは、ピストン21aがシリンダー10の前端部10aから離れたポジションである。したがって、開口部11から液体を吸引するため、第2主要部材20は、第1ポジションから第2ポジションに移動し、注射器にある液体を開口部11から排出するため、第2主要部20は、第2ポジションから第1ポジションに移動する。
【0038】
また、上記注射器は、その2つの主要部10と20との間で割り当てられた、操作用の4つの基本扶持面を備える。
【0039】
また、第2主要部20は、既に述べた上記主要部20の一方の端部に配されているピストン棒21と、第2部分すなわちプッシュ部22との2つ部分に分けられる。上記プッシュ部22は、2つの細長い構成部材24、25を備えており、それらの後端部22bで第1扶持面23aと接合している。また、第2主要部は、プッシュ部22を第1軸方向Cに向けて圧することによって、第2ポジションから第1ポジションに移動する。
【0040】
上記シリンダー10は、その出入口部10bで、扶持要素すなわち中央扶持面12を備えている。上記中央扶持面12は、シリンダーの横に突出しており、シリンダー10と一体部分を構成する。この扶持要素12は、扶持要素12の後方側に形成された第2扶持面12aおよび扶持要素12の前面領域に形成された第3扶持面23bから構成される。この第3扶持要素23bにおいて、第1軸方向Cとは反対の軸方向Dに向けて加圧され、第2主要部20を第2ポジションから第1ポジションに移動させる。
【0041】
第2主要部20のプッシュ部22は、その前端部22aにおいて、2つの第4扶持面27a、27bを備える。第4扶持面27a、27bは、2つの側面フランジ24a、25aからなり、各側面フランジ24a、25aの一方は、細長い構成部材24、25のうちの1方の先端に配されている。そして、側面フランジ24a、25aにおいて第1軸方向とは反対である第2軸方向に向けて圧することで、第2主要部20を第1ポジションから第2ポジションに移動させることができる。
【0042】
また、細長い構成部材24、25の厚さは、注射器の直径に応じてより大きくなったり、またはより小さくなったりしてもよい。小さな直径を有するシリンダー10の注射器の場合、ピストン棒を覆う前端部22aでの上記細長い構成部材24、25の厚さは、ピストン棒の本体21の動きに対して、より大きな安定性を与えるために、さらにまた、指を挿入するように間隙部(abertura)26の幅を広くするためにより厚くなる。また、大きな直径の注射器の前端部22aでのこれら細長い構成部材24、25は、これらの細長い構成部材の中でより薄い厚さ、または略同じ厚さとなる。
【0043】
さらにまた、無関係ないくつかの部材が、連結リンク28、29が沿って動く溝13、14に入らないようにするために、細長い構成部材24、25の端部に接合された2つの柄30、31を備える注射器を提供することができる。
【0044】
吸引時のピストンの動きと同じ方向に、力を及ぼすことができるようにするため、注射器は第2主要部20において窓すなわち間隙部26を備えている。なお、第2主要部20が第1ポジションにある場合、この間隙部26は、ユーザの指が挿入できるぐらいの十分な大きさである。また、このポジションにおいて、間隙部26は、液体を吸引する前に、シリンダー10の出入口部10bで、側面の細長い構成部材24、25によって境界が定められている。側面の細長い構成部材24、25は、連結リンク28、29によって第2主要部20のピストン棒21に接合され、同様に、第1扶持面23aによって第2主要部20の後端部22bで接合される。吸引時、この間隙すなわち窓26は、第2ポジションにおいてそのサイズが大きくなり最大となる。その際、この間隙部26は、ピストン棒21の緩衝部21bと、細長い構成部材24、25と、後端部22bでこの細長い構成部材24、25を接合する第1扶持面23aとによってその境界が区切られている。
【0045】
第2主要部20が、第1主要部10と関連して動くことができるようにするために、第1主要部10は、その出入口部10bにおいて、この出入口部10bからシリンダーの前端部10aの方に伸びた少なくとも2つの縦溝13、14を備えている。これら縦溝13、14において、プッシュ部22の細長い構成部材24、25およびピストン棒21の緩衝部21bを接合する連結リンク28、29が収納される。ピストン棒21のピストン21aが第1ポジションに配される、すなわち、開口部11に接する場合、この溝13、14は、シリンダー10の出入口部10bから、連結リンク28、29が占有している場所まで伸びる。
【0046】
第2主要部20が第1ポジションにある場合、すなわち、液体の吸引または吸収の準備がなされている場合、ピストン棒21の緩衝部21bは、シリンダー10の出入口部10bから少し離れた距離のところに配される。なお、この距離は、第1ポジションと第2ポジションとの間での第2主要部20の移動範囲に一致する。吸引が終了し、かつ液体の放出前、すなわち第2主要部20が第2ポジションにあるとピストン棒21の緩衝部21bは、シリンダー10の出入口部10bと同じ高さに位置する。
【0047】
中央扶持面としての機能を果す、上述した扶持要素12は、軸方向にピストン軸21と、連結リンク28、29と、第4扶持面27a、27bと、細長い構成部材24、25の一部分とが通ることができるように形成された貫通開口部(orificio pasante)15を備える。この貫通開口部15は、所定位置に細長い構成部材24、25を保持する役割を果す、側面扶持縁15aを備えている。
【0048】
ここで、第2ポジションから第1ポジションに変えるために、すなわち、注射器の中の液体を排出する前に、指を第3扶持面23bに配置する必要がある。したがって、この扶持面23bとプッシュ部22の前端部22aとの間の距離は、ユーザが注射器の各側面に、1本の指を置くことができる長さとなっている。
【0049】
この注射器には、血管部分に対して必要ならば、片手の指で血管の位置を保持し、もう一方の手でこの注射器を用いて、薬剤を排出または挿入できることのみならず、同様に血液を吸引または排出できるといった特別な用途がある。
【0050】
液体の吸引用にこの注射器を用いるためには、その液体の液接触域(contacto fluido)に第1主要部10の開口部11を配置させ、ピストン棒21を第1ポジションに配置させる必要がある。そして、このように配置しておいて、手の指を注射器の異なる面に置かなければならない。すなわち、ピストン棒21の緩衝部21bと、細長い構成部材24、25と、第1扶持面23aとによって、プッシュ部材22の後端部22bで境界が区切られている間隙部26に親指を配するとともに、同じ手の2本の指を第4扶持面27a、27bに配置しなければならない。また、この注射器を用いて、液体を吸引しつづけるためには、親指によって第1軸方向Cに向かって第2扶持面12aに力を及ぼすとともに、第2主要部22を第1ポジションから第2ポジションに移動させるために、同じ手の2本の指によって、第1軸方向Cとは反対方向である第2軸方向Dに向かって第4扶持面27a、27bに力を及ぼす必要がある。
【0051】
この動作において、ピストン棒21の緩衝部21bは、注射器の最大許容量以上に注射器に負荷をかけないようにするために用いられる。つまり、吸引動作終了時に、この緩衝部21bは、間隙部26に挿入され、第2扶持面12aに配置されている親指と接触するようになる。
【0052】
シリンダー10からピストン棒21が抜け出ることを防ぐこの手段に加えて、さらに、シリンダー10からピストン棒21が抜け出にくくすることを目的として、
シリンダーの内部表面に、凹凸面のリング17がシリンダー10の出入口部10bに近接する位置に備えられる。
【0053】
以前に注射器の中に挿入された液体を排出するために、親指を第1扶持面23aに、同じ手の2本の指を第3扶持面23bにそれぞれ配置する必要がある。これらの指が注射器に配置され、開口部11が注射器の内容物を受けるための容器またはテストチューブの上に配置されると、親指は第1軸方向に力を及ぼし、他の2本の指は、第2主要部22を第2ポジションから第1ポジションに移行させるために、第1軸方向とは反対の方向である第2軸方向に力を及ぼす。
【0054】
また、片手だけで、上記した動作を安定して、安全に、容易な方法で行うためには、注射器は特有の、特徴的な構成を備える必要がある。つまり、その注射器の構成は、手の指の注射器に及ぼす力によって、適用される力の方向がピストンの動きの方向と同じ方向となるように実行することができる。なお、このピストンの動きの方向は、吸引または排出のどちらが行われるかによってある方向またはそれとは別の方向となる。
【0055】
本質的な性質の範囲内において、本発明は、例示手段としてここで単に示したものとは細部のみが異なる他の実施形態で実行してもよい。また、本発明は、その特許請求の範囲に含まれる限り、最も適切な手段および材質と共に、ならびに最も好適な付属品と共に任意の形状および寸法にて実施されてもよく、その構成要素は技術的に等価な他の構成要素と置き換えられてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 液体を吸収するのに好ましい本特許明細書の目的である注射器の正面図である。
【図2】 既に吸収された液体を排出する状態にある注射器の正面図である。
【図3】 下部主要部つまり第1主要部を上方からみた平面図である。
【図4】 上記注射器の2つの部分の分解組み立て図である。
【図5】 上記注射器の透視図である。
【図6】 液体の吸収時に用いられる注射器を、その注射器のユーザの手の指位置となり得る第1手先位置にて示す正面図である。
【図7】 液体の排出時に用いられる注射器を、その注射器のユーザの手の指位置となり得る第2手先位置にて示す正面図である。

Claims (18)

  1. 液体の吸引および/または排出するための開口部(11)が配されている第1前端部(10a)および第2開口端部すなわち出入口部(10b)を備える、シリンダー形状の第1主要部(10)と、
    先端にピストン(21a)を備え、前記シリンダー形状の第1主要部(10)の出入口部(10b)からそのシリンダー形状の第1主要部(10)内に挿入される第1部材すなわちピストン棒(21)第2前端部(22a)および後端部(22b)を有する第2部材すなわちプッシュ部(22)を備える第2主要部(20)とから形成されており、
    前記第2主要部(20)は、前記ピストン棒(21)の前記ピストン(21a)が前記シリンダー形状の第1主要部(10)の第1前端部(10a)に近接する位置にある第1ポジションと、このピストン棒(21)の前記ピストン(21a)が前記シリンダー形状の第1主要部(10)の前記第1前端部(10a)から離れた位置にある第2ポジションとの間で移動することができ、
    前記開口部(11)から液体を吸引するためには、前記第2主要部(20)が第1ポジションから第2ポジションに移動し、前記開口部(11)から液体を排出するためには、前記第2主要部(20)が第2ポジションから第1ポジションに移動し、
    前記プッシュ部(22)の後端部(22b)では、前記第2主要部(20)が第2ポジションから第1ポジションに移動するように、当該注射器の長手方向において液体が排出される方向である第1軸方向に力ぼす第1扶持面(23a)が設けられており
    前記シリンダー形状の第1主要部(10)は、当該注射器の長手方向を縦軸方向とした場合、そのシリンダーにおける軸方向に突出し、このシリンダー形状の第1主要部(10)と一体に形成された扶持要素(12)を、出入口部(10b)に備え、
    当該注射器から液体が排出される側を前方側としたとき、
    前記扶持要素(12)は、その後方側に第2扶持面を形成し、その前方側に、第2主要部(20)が第2ポジションから第1ポジションに移動するように、第1軸方向とは反対方向である第2軸方向に力が及ぼされる第3扶持面(23b)を形成している注射器であって、
    前記第2主要部(20)のプッシュ部(22)は、連結リンク(28、29)によって第2主要部(20)のピストン棒(21)に接合されているとともに、第1扶持面(23a)によってプッシュ部の後端部(22b)において接合された2つの細長い構成部材(24、25)を備え、ピストン棒(21)における前記ピストンが備えられている端部とは反対側の端部に設けられた緩衝部(21b)、前記扶持要素(12)、前記細長い構成部材(24、25)および前記第1扶持面(23a)によって境界が定められた間隙部(26)設けられ
    前記第2主要部(20)のプッシュ部(22)は、その第2前端部(22a)で、第2主要部(20)を第1ポジションから第2ポジションに移動させるように、前記第1軸方向とは反対方向である第2軸方向に力ぼすための第4扶持面(27a、27b)を形成しており
    前記シリンダー形状の第1主要部(10)は、その出入口部(10b)において、出入口部(10b)からシリンダー形状の第1主要部(10)の前記第1前端部(10a)の方に向かって、第1ポジション時に前記ピストン棒の緩衝部(21b)によって占有される位置まで伸びている少なくとも2つの縦溝(13、14)を備
    前記第2主要部(20)のプッシュ部(22)の細長い構成部材(24、25)は、前記縦溝(13、14)に収納される連結リンク(28、29)によって、前記第2主要部(20)のピストン棒(21)の緩衝部(21b)に接合されていることとを特徴とする注射器。
  2. 前記第2主要部(20)が第1ポジションにある場合、この位置において、前記シリンダー形状の第1主要部(10)の出入口部(10b)と、前記扶持要素(12)と、前記側面の細長い構成部材(24、25)と、この細長い構成部材(24、25)の後端部にて細長い構成部材を接合する第1扶持面(23a)とによって境界が定められた前記間隙部(26)は、ユーザの親指をこの間隙部(26)に挿入できるぐらい十分な大きさであることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
  3. 前記第2主要部(20)が第1ポジションにある場合、ピストン棒(21)の緩衝部(21b)は、第1ポジションと第2ポジションとの間で第2主要部(20)が動く範囲に応じた、シリンダー形状の第1主要部(10)の出入口部(10b)からの距離に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の注射器。
  4. 前記第2主要部(20)が第2ポジションにある場合、前記第2主要部(20)のピストン棒(21)の緩衝部(21b)は、シリンダー形状の第1主要部(10)の出入口部(10b)と同じ高さに配置されることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の注射器。
  5. 前記扶持要素(12)は、軸方向に、前記第2主要部(20)のピストン棒(21)と、前記連結リンク(28、29)と、前記第4扶持面(27a、27b)と、前記細長い構成部材(24、25)の一部とが通ることができるように形成された貫通開口部(15)を備えていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の注射器。
  6. 前記扶持要素(12)の前記貫通開口部(15)は、所定位置に前記細長い構成部材(24、25)を保持する役割を果す、側面扶持縁(15a)を備えていることを特徴とする請求項に記載の注射器。
  7. 前記2つの縦溝(13、14)は、前記シリンダー形状の第1主要部(10)の前記出入口部(10b)から、前記ピストン棒(21)の前記ピストン(21a)が前記開口部(11)と接して配されている場合に、前記連結リンク(28、29)が占有する位置まで伸びていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の注射器。
  8. 前記細長い構成部材(24、25)の第2前端部(22a)に接合された2つの柄(30、31)を備え、無関係ないくつかの部材が前記2つの縦溝(13、14)に入ることと、前記連結リンク(28、29)がそれら前記2つの縦溝(13、14)に沿って動くこととを防ぐことを特徴とする請求項7に記載の注射器。
  9. 前記第2主要部(20)が第2ポジションにある場合、前記第3扶持面(23b)とこの第2主要部(20)の前記プッシュ部(22)の前記第2前端部(22a)との間の距離は、前記第2主要部(20)の前記プッシュ部(22)の前記第2前端部(22a)と前記第3扶持面(23b)との間で、ユーザが注射器の各側面に1本の指を配置することができるような距離であることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の注射器。
  10. 前記第4扶持面(27a、27b)は、2つの側面フランジ(24a、25a)からなり、各側面フランジ(24a、25a)の一方が、前記細長い構成部材(24、25)のうちの1方の先端に配されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の注射器。
  11. 片手だけで用いられることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の注射器。
  12. 前記シリンダー形状の第1主要部(10)の前記第1前端部(10a)に皮下注射針を接続するために、このシリンダー形状の第1主要部(10)の前記第1前端部(10a)に手段(16)が備えられていることを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の注射器。
  13. 前記シリンダー形状の第1主要部(10)が、一体成形された部材であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の注射器。
  14. 前記第2主要部(20)が、一体成形された部材であることを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の注射器。
  15. 前記プッシュ部(22)の第2前端部(22a)前記細長い構成部材(24、25)の厚さは、当該注射器が備えるシリンダー形状の第1主要部(10)のシリンダー直径に基づいて、厚くなったり薄くなったりすることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
  16. 小さいシリンダー直径のシリンダー形状の第1主要部(10)である注射器に関して、前記プッシュ部(22)の第2前端部(22a)での前記細長い構成部材(24、25)の厚さは、細長い構成部材(24、25)間での離隔幅によって境界が定められている開口部(26)に、親指を挿入可能とする前記細長い構成部材(24、25)の厚さの中でより厚いものが選択されることを特徴とする請求項15に記載の注射器。
  17. 大きなシリンダー直径のシリンダー形状の第1主要部(10)である注射器に関して、前記プッシュ部(22)の第2前端部(22a)での前記細長い構成部材(24、25)の厚さは、細長い構成部材(24、25)間での離隔幅によって境界が定められている開口部(26)に、親指を挿入可能とする前記細長い構成部材(24、25)の厚さの中でより薄くなる、または略等しくなるものが選択されることを特徴とする請求項15に記載の注射器。
  18. 前記シリンダー形状の第1主要部(10)の内部面において、前記ピストン棒(21)がシリンダー形状の第1主要部(10)から抜け出ることを防ぐために、シリンダー形状の第1主要部(10)の出入口部(10b)に近接する位置に少なくとも1つの、凹凸面を有するリングを備えことを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の注射器。
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