JP4232691B2 - インクジェットプリンタ - Google Patents

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Description

この発明は、アクチュエータの駆動によりインクをノズルから被記録媒体へ吐出して記録を行うインクジェットプリンタに関する。
従来、インクジェットプリンタでは、インクの温度変化による印字品質の低下を防止するため、インクジェットプリンタが置かれている環境の温度(以下、環境温度という)に応じてアクチュエータの駆動信号を変えている。また、印字予定領域を印字したと仮定した場合の印字予定領域に形成されるドット数に基づいて印字後のインクジェットヘッドの温度を推定演算し、その演算結果が、印字品質の低下を招く可能性のあるものである場合に印字データをマスクする手法が提案されている(特許文献1)。
特開平9−239989号公報
ところで近年、インクジェットヘッドの高密度化・高解像度化の要求に加えて、インクジェットプリンタの小型化に伴い、インクジェットヘッドが搭載されるキャリッジ(ヘッドホルダ)も小型化される傾向がある。そのため、新たな問題が生じてきた。
すなわち、近年の高密度化・高解像度化に伴うインクジェットヘッドからの発熱の増加に加えて、発熱源としても働くアクチュエータ駆動用のICチップ(駆動回路)がインクジェットヘッド近傍に設けられることになり、このICチップの設置位置に対応した温度分布がインクジェットヘッド自体に生じるようになった。このため、この温度分布に起因して、ノズルの形成位置の違いにより印字特性に差が生じることが心配されるようになってきた。
そこで、この発明は、インクジェットヘッドのノズルに対応した部分間における温度差による印字品質への影響が出ないようにすることができるインクジェットプリンタを実現することを目的とする。
請求項1に記載の発明では、アクチュエータの駆動により被記録媒体へインクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するインクジェットヘッドと、最も外側の一方のノズル列の外方にてそのノズル列に隣接して設けられ、印字データに基づいてインク吐出のための駆動信号を前記アクチュエータへ出力する駆動回路を有するICチップとを備えており、前記駆動信号の出力タイミングに合わせて前記ノズルからインクを吐出して前記被記録媒体に印字を行い、複数の前記被記録媒体を特定の印字デューティにて連続印字して所定量のインクを消費した場合に、前記最も外側の一方のノズル列の中央部に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域と、前記ICチップから一番離れたノズル列のうちインクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域との温度差が所定の温度以上になったときに印字品質に悪い影響が出るインクジェットプリンタにおいて、このインクジェットプリンタが置かれている環境の温度を計測する環境温度計測手段と、複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとして、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やし、かつ、kがkcを超えていない場合は、今回前記1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回前記1つの被記録媒体の印字を完了する制御手段とを備えているという技術的手段を用いる。
インクジェットヘッド自体の温度や、少なくともインクジェットヘッド上にある1つの特定の部分を含む2つの部分間の温度差は、ICチップおよびアクチュエータから発生する熱、つまりインクの消費量に対応して変化する。このように、温度やその分布とインク消費量とには相関がある。また、温度によって印字特性が変化するものであるから、例えば、上記温度差が印字品質に悪い影響が出ない温度差であれば、上記2つの部分間に存在するノズルによる印字品質には悪い影響が出ないことになる。
また、インクジェットヘッド上の温度分布のうち、一番大きな温度差について、ICチップに隣接するノズル列の中央部に位置するノズルに対応した部分と、ICチップから一番離れたノズル列のうちインクが供給される最上流側に位置するノズルに対応した部分との間が一番正確に示す。
例えば、後述する発明を実施するための最良の形態では、上記ICチップに最も近いノズル列の中央部に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域として領域E3が、ICチップから一番離れたノズル列のうちインクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域として領域E4がそれぞれ選ばれている。
そこで、複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとして、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やす。これにより、インクジェットヘッドが自然冷却される。
例えば、後述する発明を実施するための最良の形態では、今回印刷用紙を1枚印字したことにより今回消費されたインクの消費量cをカウントするインク消費量カウンタと、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味したインク消費量をカウントする熱管理カウンタとを設け、熱管理カウンタのカウント値kがカウント値の基準値kcを超えた場合に、次の印刷用紙の印字開始時刻に対して遅延時間r1〜r3が設定され、1枚の印刷用紙の印字を完了するのに必要な時間が増やされている(図13)。
また、ICチップおよびアクチュエータからの熱がインクジェットヘッドの温度やその分布に及ぼす影響の度合いは、累積されたインク消費量および環境温度によって異なる。
従って、インクジェットヘッドにて消費された今回分を含む累積のインク消費量が、前回までに累積されたインク消費量および環境温度による影響を受けないようにする必要がある。
そこで、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとして、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やす
例えば、後述する発明を実施するための最良の形態では、熱管理カウンタのカウント値kは、通常印字モードでは、環境温度tが上昇すると小さくなる温度係数a1〜a3をインク消費量カウント値cにかけたものを用いて増加され(図12)、発熱制限印字モードでは、温度係数αをインク消費量カウント値cにかけたものを用いて減少されている(図13)。
また、制御手段は、kがkcを超えていない場合は、今回1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回1つの被記録媒体の印字を完了する。
例えば、後述する発明を実施するための最良の形態では、熱管理カウンタのカウント値kが基準値kcより小さいときは、次の印字開始時刻を遅延させないで印字が連続して行なわれている。
請求項に記載の発明では、請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタにおいて、 前記制御手段は、1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やした場合、その増やした時間に対応して前記求めたkを減少させるという技術的手段を用いる。
例えば、後述する発明を実施するための最良の形態では、遅延時間r1〜r3に対応して熱管理カウンタのカウント値kが減少されている(図13)。
請求項2に記載の発明では、アクチュエータの駆動により被記録媒体へインクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するインクジェットヘッドと、前記インクが供給される最下流側に位置する前記ノズルの近傍に設けられ、印字データに基づいてインク吐出のための駆動信号を前記アクチュエータへ出力する駆動回路を有するICチップとを備えており、前記駆動信号の出力タイミングに合わせて前記ノズルからインクを吐出して前記被記録媒体に印字を行い、複数の前記被記録媒体を特定の印字デューティにて連続印字して所定量のインクを消費した場合に、インクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域と、最下流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域との温度差が所定の温度以上になったときに印字品質に悪い影響が出るインクジェットプリンタにおいて、このインクジェットプリンタが置かれている環境の温度を計測する環境温度計測手段と、複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとして、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やし、かつ、kがkcを超えていない場合は、前記1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで前記1つの被記録媒体の印字を完了する制御手段とを備えているという技術的手段を用いる。
例えば、後述する他の実施形態では、熱管理カウント値kの基準値kcが、最下流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域E5の温度と、インクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域E6の温度との差に対応した値となっている。
請求項に記載の発明では、請求項1ないし請求項のいずれか1つに記載のインクジェットプリンタにおいて、前記インクジェットプリンタが前記インクジェットヘッド内のインクを前記ノズルの外部へ吸引する吸引手段を備えており、前記制御手段が、前記1つの被記録媒体の印字を開始する前に前記吸引手段に前記インクジェットヘッド内のインクを前記ノズルの外部へ吸引させることにより前記の1つの記録媒体の印字の完了に必要な時間を増やすという技術的手段を用いる。
例えば、後述する他の実施形態では、熱管理カウンタのカウント値kが基準値kcを超えた場合は、ヘッドホルダ9を移動方向右端へ移動させ、パージ装置2により、インクジェットヘッド30内の気泡を含んだ不良インクをノズル外部へ吸引するパージングが実行され、次の印字開始時刻が遅延されている。
(請求項1に記載の発明の効果)
最も外側の一方のノズル列の中央部に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域と、ICチップから一番離れたノズル列のうちインクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域との温度差による印字品質への影響が出ないようにすることができるインクジェットプリンタを実現することができる。
また、インクジェットヘッドにて消費された今回分を含む累積のインク消費量が、前回までに累積されたインク消費量および環境温度による影響を受けないようにすることができるため、前回までに累積されたインク消費量および環境温度が変化した場合であっても、インクジェットヘッドを冷却するための時間を正確に制御することができる。
さらに、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量kが、温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量kcを超えていない場合は、今回1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回1つの被記録媒体の印字を完了することができるため、印字効率を高めることができる。
例えば複数の被記録媒体を連続印字する場合に、インクの消費量が多い被記録媒体と少ない被記録媒体とが混在しているときに、1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を、インクの消費量が多い被記録媒体に合わせて設定すると、全体の印字時間が長くなってしまうが、インクの消費量が少ないときは、印字時間を増やさないで1つの被記録媒体の印字を完了することができる。そのため、全体の印字時間を短縮可能なインクジェットプリンタを実現することができる。
(請求項に記載の発明の効果)
1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やしたとき、この増やされた時間に応じて前記求めたkを減少させるので、インクジェットヘッドの温度やその分布の状態を反映した印字時間で被記録媒体の印字を完了することができる。すなわち、印字時間が無駄に長くなってしまったり、逆にインクジェットヘッドの温度上昇を招いてしまうことが無くなり、過不足のない印字時間で被記録媒体の印字を完了することができる。
(請求項に記載の発明の効果)
インクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域と、最下流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域との温度差による印字品質への影響が出ないようにすることができるインクジェットプリンタを実現することができる。
また、インクジェットヘッドにて消費された今回分を含む累積のインク消費量が、前回までに累積されたインク消費量および環境温度による影響を受けないようにすることができるため、前回までに累積されたインク消費量および環境温度が変化した場合であっても、インクジェットヘッドを冷却するための時間を正確に制御することができる。
さらに、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量kが、温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量kcを超えていない場合は、今回1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回1つの被記録媒体の印字を完了することができるため、印字効率を高めることができる。
例えば複数の被記録媒体を連続印字する場合に、インクの消費量が多い被記録媒体と少ない被記録媒体とが混在しているときに、1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を、インクの消費量が多い被記録媒体に合わせて設定すると、全体の印字時間が長くなってしまうが、インクの消費量が少ないときは、印字時間を増やさないで1つの被記録媒体の印字を完了することができる。そのため、全体の印字時間を短縮可能なインクジェットプリンタを実現することができる。
(請求項に記載の発明の効果)
インクジェットヘッドを自然冷却する時間を利用して、インクジェットヘッド内のインクをノズルの外部へ吸引することができるため、そのような吸引を行わない場合よりも、時間を有効活用することができる。
次に、この発明を実施するための最良の形態について図を参照して説明する。
(インクジェットプリンタの主要構成)
最初に、インクジェットプリンタの主要構成について図1を参照して説明する。図1はインクジェットプリンタの主要構成を示す平面説明図である。
インクジェットプリンタ1の内部には、2本のガイド軸6,7が設けられており、そのガイド軸6,7には、キャリッジを兼用するヘッドホルダ9が取付けられている。ヘッドホルダ9には、印刷用紙Pへインクを吐出して印刷を行うインクジェットヘッド30が保持されている。ヘッドホルダ9は、キャリッジモータ10により回転する無端ベルト11に取付けられており、キャリッジモータ10の駆動により、ガイド軸6,7に沿って主走査方向に往復移動する。
また、インクジェットプリンタ1には、イエローインクが収容されたインクタンク5aと、マゼンタインクが収容されたインクタンク5bと、シアンインクが収容されたインクタンク5cと、ブラックインクが収容されたインクタンク5dとが備えられている。各インクタンク5a〜5dは、それぞれ可撓性のチューブ14a、14b、14c、14dによってチューブジョイント20と接続されている。さらに、ヘッドホルダ9の移動方向の左端には、フラッシングのときにノズルから吐出された不良インクを吸収する吸収部材4が設けられている。ヘッドホルダ9の移動方向の右端には、パージングのときにインクジェットヘッド30内部の不良インクをノズルから吸引するパージ装置2が設けられており、そのパージ装置2の左方には、ノズル面に付着したインクを払拭するワイパ3が設けられている。
(ヘッドホルダの主要構造)
次に、ヘッドホルダの主要構造について図2および図3を参照して説明する。
図2はヘッドホルダからバッファタンクおよびヒートシンクを取り外した状態を示す斜視図であり、図3は図2を左側面から透視した説明図である。
図3に示すように、ヘッドホルダ9の底部には、インクジェットヘッド30が、そのノズル面31aをヘッドホルダ9の外側に露出するようにして設置されており、インクジェットヘッド30の上部には、インクジェットヘッド30へ供給するインクを貯留するバッファタンク40が設置されている。バッファタンク40の端部には、図2に示すように、インクをこのバッファタンク40に供給するためのチューブジョイント20が接続されている。図3に示すようにバッファタンク40の下面にはインク流出口40aが設けられており、インクジェットヘッド30の上面に設けられたインク供給口30aとシール部材90を介して接続されている。
バッファタンク40の上方には、回路基板84が設けられており、回路基板84の上方はカバー9aにより覆われている。ヒートシンク60は、下面をICチップ80の上面に接触させている接触部材60aと、接触部材60aの外側側縁から上方に立ち上がり形成された側面部材60bとから構成される。接触部材60aおよび側面部材60bは、それぞれ横長の板状に形成されており、側面部材60bの内側の板面はバッファタンク40の長手側面と対向している。側面部材60bとヘッドホルダ9の側壁との間には、回路基板84の下面から突出したコンデンサ81を収容する空間が形成されている。バッファタンク40の右方には、バッファタンク40内に蓄積された空気を外部へ排気する排気装置45が設けられている。
ICチップ80に電気的に接続されたフラットケーブル70は、側面部材60bとヘッドホルダ9の側壁との間に形成された隙間を介して引き出され、回路基板84上に設けられたコネクタ85に電気的に接続されている。コネクタ85は、CPU57(図4)を有する制御回路と電気的に接続されている。
本実施の形態におけるインクジェットヘッド周りの配設状態について、図16を用いて説明する。図16(A)は、インクジェットヘッドをノズルが形成されたノズル面側から見た概略平面図であり、ICチップとインクジェットヘッドとの配置関係を模式的に示している。図16(B)は、図16(A)中の矢印Fで示す方向から見た説明図である。
図16(A)に示すように、インクジェットヘッド30は、全体として矩形状の外形を有している。そのノズル面31aには、複数のノズルが配列して形成されており、複数のノズル列を構成している。図中の左側から、イエローインクを吐出する複数のノズルが配列されたイエローインク用ノズル列33aと、マゼンタインク用のノズル列33bと、シアンインク用のノズル列33cと、ブラックインク用のノズル列33dとが所定の間隔を介して順に隣接配置されている。また、各ノズル列に対してインクが供給される上流側には、それぞれのノズル列に対応した位置に、バッファタンク40からのインクが流入し各ノズル列に対応するインクをそれぞれ供給するインク供給口30a〜30dが設けられている。
また、このインクジェットヘッド30の近傍であって、イエローインク用ノズル列33aの外方には、このノズル列33aの配列方向に沿って、発熱源でもあるICチップ80が配設されている。図16(B)に示すように、ICチップ80が発生する熱を放熱するためのヒートシンク60が、このICチップ80の上面に当接するようにして設置されている。
インクジェットヘッド30は、図16(B)に示すように、流路が形成されているキャビティ部31と、その上面に固定された圧電アクチュエータ32とから構成されている。このうち、キャビティ部31の内部には、インクが充填される複数のキャビティが備えられており、キャビティ部31の下面に形成されたノズル面31aには複数のノズルが開口している。各ノズルは、対応するキャビティにそれぞれ連通しており、これにより、ノズル列33a〜33dの上流側に形成されたインク供給口30a〜30dから、キャビティを介して個別のノズルに至る一連の流路が形成されている。圧電アクチュエータ32を駆動することにより、これらのノズルからインクが吐出されることになる。この圧電アクチュエータ32は、フラットケーブル70によって、インクジェットヘッド30に隣接配置されているICチップ80と電気的に接続されている。
(制御系の主要構成)
次に、インクジェットプリンタ1の制御系の主要構成について、それをブロックで示す図4を参照して説明する。
インクジェットプリンタ1は、CPU57およびゲートアレイ(G/A)42を備える。CPU57は、ICチップ80に備えられた駆動回路80aへの印字動作指令、後述する印字制御、フラッシング、パージングなどのメンテナンス指令の出力などの印字に必要な主な制御を実行する。ゲートアレイ42は、ホストコンピュータ71から送信された印字データをインターフェース(I/F)41を介して受信し、印字データの展開の制御を行う。CPU57およびゲートアレイ42には、後述する印字制御を実行するためのコンピュータプログラム、基準消費用などのデータが記憶されているROM43と、ゲートアレイ42がホストコンピュータ71から受信した印字データを一時的に記憶するためのRAM44とが接続されている。
また、CPU57には、印刷用紙Pの有無を検出する媒体センサ58、インクジェットヘッド30がホームポジションにあることを検出する原点センサ46、環境温度を計測する温度センサ59、キャリッジモータ10を駆動するためのモータドライバ48、紙送りモータ(LFモータ)50を駆動するためのモータドライバ49、各種の信号をCPU57に与える操作パネル56などが接続されている。また、インクジェットヘッド30を構成するキャビティ部31のノズル面31aと反対側の面であって、領域E3に対応する部分には、その部分の温度を計測する温度センサ91が設けられており、その温度センサ91は、CPU57に接続されている。
また、ゲートアレイ42には、ホストコンピュータ71から受信した印字データをイメージデータとして一時的に記憶するイメージメモリ51が接続されている。駆動回路80aは、ゲートアレイ42から出力された印字データ52、転送クロック53および印字クロック54に基づいて動作し、圧電アクチュエータ32を駆動する。ゲートアレイ42には、ヘッドホルダの移動方向に沿って設けられたエンコーダ部材(図示省略)に記されたマークを読取るエンコーダセンサ55が接続されている。
(実験内容)
次に、本願発明者が行った実験内容について図5ないし図10を参照して説明する。
図5はインク液滴の種類と駆動信号波形と液滴体積との関係を示す説明図である。図6は3種類のインク液滴を吐出して印字された線を示す説明図である。図7(A)は環境温度と温度係数との関係を示す説明図であり、図7(B)は熱管理カウンタのカウント値と熱管理カウンタ係数との関係を示す説明図である。図8はインク液滴量とインク消費量カウンタ増分と熱管理カウンタ増分との関係を示す説明図である。図9は図8の具体例を示す説明図である。図10はインク消費量カウンタ増分累積値と熱管理カウンタ増分累積値との関係を示す説明図である。
図5に示すように、インク液滴は、大滴、中滴および小滴の計3種類から構成されており、それぞれ異なる駆動信号波形が対応している。また、本実施の形態では、インク液滴の体積は、それぞれ30pl(ピコリットル)、15pl、5plとなるように駆動信号波形を構成してある。すなわち、ノズルから各インク液滴を吐出させるためにアクチュエータに印加する駆動信号波形は、それぞれパルス幅L1〜L4からなるパルス列A、パルス幅L5,L6,L4からなるパルス列B、パルス幅L7,L4からなるパルス列Cである。
本願発明者は、環境温度25゜Cの下でイエローインク用ノズル列33a、マゼンタインク用ノズル列33b、シアンインク用ノズル列33cおよびブラックインク用ノズル列33dからそれぞれ上記3種類のインク液滴を吐出させ、例えばA4サイズの印刷用紙を600×600dpiの解像度で連続印字したときのノズル面31a上の2つの領域E3,E4間(図16(A)参照)の温度差を測定するとともに、その温度差と印字品質との関係を調べた。連続印字は、印字時の印字デューティとして、いくつかの水準を設けて行い、ここでは50%、120%、165%及び200%の場合について調べた。
また、インクの消費量は、各ドットを形成するための駆動信号波形の違いを考慮しながら、換言するとインク液滴の体積を加味しながらインク液滴の吐出回数を累積することにより求めた。この実効的な吐出回数は、ドット数をカウントするインク消費量カウンタにて行い、インク液滴の大きさ(体積)に応じて小滴1つの吐出でカウント値を「+1」し、中滴1つの吐出でカウント値を「+3」し、大滴1つの吐出でカウント値を「+6」した。また、インク液滴の大きさは、ホストコンピュータから送信されてくる印字データ中に示される駆動信号波形の種類A〜Cを判定して行った。
なお、この実験では、各ノズル列33a〜33dがそれぞれインクジェットヘッド30上に作る温度の分布(温度差)を詳細に調べているが、印字品質への温度差の影響を求めるだけであれば、発熱源としても働くICチップ(駆動回路)に隣接するノズル列、本実施の形態では図16(A)に示すようにノズル列33aで連続印字をすることで所望の結果は得られた。
(結論)
その結果、印字デューティ165%で連続印字を行い、インク消費量カウンタのカウント値(以下、インク消費量カウント値という)が3000万を超えたときに上記の温度差が5゜Cに達した。印字品質については、温度差が5゜Cに達する前に印刷した領域と異なり、達した後に印刷した領域では、5゜C(あるいはそれ以上)という温度差を生じている部位間で、例えば、帯状の色の濃淡(いわゆる、バンディング)や白スジが発生していることが分かった。
つまり、印字デューティ165%で連続印字を行い、ドット数が3000万を超えたときは、次の印刷用紙の印字開始時刻を遅延させ、上記温度差が5゜Cを超えないようにインクジェットヘッド30の自然冷却を促すようにすれば、次の印刷用紙の印字においてバンディングや白スジが発生せず、印字品質を高めることができることが分かった。なお、この実験での印字デューティとは、1つの印刷用紙の印字を完了するのにある一定の時間を決めておき、この時間内に印刷用紙を解像度に対応した最大数のドットで印字した場合(いわゆるベタ塗り)を100としたときに、実際に印字されたドット数の割合のことをいう。
また、別の知見として、環境温度が低下すると、それに伴ってインクの粘度が低下するため、駆動信号の電圧を高くすることにより、インクの吐出特性を一定にして得られる印字品質を保つようにしている。しかし、駆動信号の電圧が高くなると、投入電力が増えることになり、その分ICチップ80の温度上昇が速くなることが分かった。さらに、インクの消費量の増加に伴って温度差が広がるが、その広がり方は、温度が上昇するにつれて緩やかになる非線形な特性を示した。つまり、ある期間におけるインク消費量の増分が同じでも、インク消費量が少ないころの期間であるか、あるいは、インク消費量がある程度多くなったころの期間であるかによって温度差の広がり方が異なることが分かった。
以上より、同じインク消費量でも、環境温度およびそれまでのインク消費量などの要因によって、温度差が5゜Cに到達するまでにかかる時間や到達のしかたが異なることが分かった。つまり、上記各要因による影響を加味するために、インク消費量カウント値に対して所定値を増減しなければ、温度差が5゜Cに達したことを正確に判定できないことが分かった。
そこで、本願発明者は、上記各要因による影響の大きさに応じてインク消費量カウント値を補正する手法を開発した。まず、環境温度によってインク消費量カウント値をどの程度補正すればよいか調べた。その結果、環境温度による影響の大きさを温度係数aとすると、環境温度と温度係数aとの関係は図7(A)に示すように、環境温度が上昇すると温度係数aが小さくなる関係にあることが分かった。つまり、インク消費量カウント値に対して環境温度に対応する温度係数aを乗ずることにより、環境温度による温度差に対する影響を是正できることが分かった。
次に、それまでのインク消費量によってインク消費量カウント値をどの程度補正すればよいかを調べた。なお、上記各影響を加味したインク消費量をカウントするカウンタを熱管理カウンタとし、その熱管理カウンタによりカウントされるカウント値、つまり上記各影響を加味したインク消費量を熱管理カウント値とした。
その結果、累積されたインク消費量による温度差に対する影響の大きさを熱管理カウンタ係数bとしたとき、累積インク消費量カウント値と熱管理カウンタ係数bとの関係を図7(B)に示す。これより、累積インク消費量カウント値が増加すると熱管理カウンタ係数bが小さくなる関係にあることが分かった。つまり、累積インク消費量カウント値に対して熱管理カウンタ係数bを乗ずることにより、インク消費量による温度差に対する影響を是正できることが分かった。
具体的には、熱管理カウント値をk、今回の印字により印刷用紙1枚当りに消費されたインク消費量を示すインク消費量カウント値をc、温度係数をa、熱管理カウンタ係数をbとすると、熱管理カウント値k=(k+c・a・b)となる。ここで、温度係数aは環境温度によって異なり、熱管理カウンタ係数bは熱管理カウント値によって異なる。なお、k は前回までの熱管理カウント値である。
例えば、図8に示すように、インク液滴の大滴、中滴および小滴をそれぞれ1滴吐出したとすると、インク消費量カウンタ増分は、6、3、1となり、これに対して熱管理カウンタ増分は、それぞれ6×a×b、3×a×b、1×a×bとなる。そして、図6に示すように、インクジェットヘッド30を主走査方向へ移動させながら各インク液滴により50ドットずつ印字を行い、3種類の太さの線を印字したとする。なお、図9に示すように、この印字実験における環境温度や累積インク消費量から、温度係数aを0.3とし、熱管理カウンタ係数bを0.2として熱管理カウンタの増分を求めた。
この場合、各インク液滴に対するインク消費量カウンタ増分は、6×50=300、3×50=150、1×50=50となり、インク消費量カウンタ増分の合計は500となる。また、各インク液滴に対する熱管理カウンタ増分は、6×50×0.3×0.2=18、3×50×0.3×0.2=9、1×50×0.3×0.2=3となり、熱管理カウンタ増分の合計は30となる。
従って、今回のインク消費量カウンタ増分の500に対して、熱管理カウンタの増分の30が対応し、それまでの熱管理カウント値にこの30を加算した値が、今回の印字により算出された熱管理カウンタのカウント値になる。図10に、この具体例の関係をグラフにて示す。図10は、異なる大きさのインク液滴を任意に組み合わせた印字を、数回繰り返したときの熱管理カウント値の変化を示している。初回の印字においてある量のインクが消費されており、これに続けて、上述した条件の印字およびさらに別の条件の印字を行っている。この図10より、初回の印字では、これに続く印字に比べてインクの消費量(インク消費量カウンタ増分)が少ないにも係わらず、環境温度やインク消費量の関係から、熱管理カウント値は大きな伸びを示している。この初回の印字に対しては、温度係数aと熱管理カウンタ数bとは共に大きな値が採用されている。逆に、これに続く2回目の印字では、環境温度やインク消費量の累積値の関係から、インク消費量カウンタ増分(インク消費量)の割には熱管理カウント値の伸びは鈍くなっている。この時の温度係数aと熱管理カウンタ数bとは、初回の印字に対する値より小さく、図9にも示したように、それぞれ0.3(=a)と0.2(=b)とが用いられている。本実施の形態では、これに続く3回目の印字では、さらに小さな温度係数aと熱管理カウンタ数bとが用いられている。
このように、印字が繰り返される毎に、環境温度やインクジェットヘッド30自体の温度も上昇していくので、それにつれてインクジェットヘッド30上に生じる温度差に対応した熱管理カウンタ増分累積値の増加の仕方が緩やかになる。すなわち、非線形な特性を示した。
そして、これを基にした印字制御では、熱管理カウンタ増分累積値が基準値kc(例えば、解像度600×600dpi、印字デューティ165%で連続印字を行い、ドット数が3000万となった時の熱管理カウント値)を越えたときに、次回の印字開始時刻を所定時間遅延させることにより、インクジェットヘッド30を自然冷却し、温度差が5゜C未満になるまで待機するように制御する。
なお、本実験では、図10に示すように、印字が進むのにつれて熱管理カウント値の増加分を算出しているが、実際に装置を制御するときには、印刷用紙の給紙時間中に一括して演算するようにしている。
(印字制御の流れ)
次に、上述の実験結果を利用して本願発明を具体化するためにCPU57が実行する印字制御の流れについて、それを示す図11ないし図13のフローチャートを参照して説明する。
なお、以下の説明において、インク消費量カウント値とは、A4サイズの印刷用紙1枚の印字を完了したときにインク消費量カウンタが示すカウント値をいい、基準値とは、インクジェットヘッド30上の領域E3,E4間の温度差が5゜Cに達するために必要なインク消費量カウント値をいう。また、遅延時間とは、次の印刷用紙の印字開始時刻を遅延させる時間をいう。
CPU57は、インクジェットプリンタ1の電源が投入された直後か否かを判断し(図11のステップ(以下、Sと略す)2)、電源投入直後であると判断した場合は(S2:Yes)、インク消費量カウンタおよび熱管理カウンタの各カウント値の0リセット、遅延時間の0リセットなどの初期設定を行う(S4)。また、電源投入直後ではないと判断した場合は(S2:No)、ホストコンピュータ71から印字データ群を受信する処理を行う(S6)。印字データ群は、それぞれが一定時間の印字動作を行うための複数のラスターデータからなる。続いてCPU57は、遅延時間が設定されているか否かを判断し(S8)、設定されていないと判断した場合は(S8:No)、印字を実行する(S16)。続いて印刷用紙1枚の印字を終了したか否かを判断し(S18)、終了したと判断した場合は(S18:Yes)、インク消費量カウンタのカウント値に基づいてインク消費量カウント値cを演算する(S20)。
インクジェットプリンタ1のROM43(図4)には、駆動信号波形A〜Cとインク消費量カウンタ増分とを対応付けたテーブルが記憶されている。また、3種類の駆動信号波形A〜Cは、インクジェットプリンタ1に接続されたコンピュータから送信される印字データ群を構成する各印字データの中で指示されている。そして、インクジェットプリンタ1のCPU57が機能の1つとして実行するインク消費量カウンタは、受信した印字データ群を展開したときに各印字データ毎に指示されている駆動信号の種類を判定し、上記テーブルを参照し、駆動信号の種類に対応するインク消費量カウンタ増分を読出す。その読出したインク消費量カウンタ増分を累積演算することにより、印刷用紙1枚の印字を行うために消費した累積インク消費量カウント値cを算出する(S20)。
続いてCPU57は、印字モード決定処理を実行する(S22)。この印字モード決定処理では、環境温度tを測定し(図12のS24)、その環境温度tが環境温度t1以上かつ環境温度t2未満であるか否かを判定する(S26)。ここで、環境温度tが環境温度t1以上かつ環境温度t2未満であると判定した場合は(S26:Yes)、温度係数a1を選択する(S28)。ROM43には、環境温度の各範囲と温度係数a1〜a3とを対応付けた温度係数テーブルが記憶されており、CPU57は、環境温度に対応する温度係数を選択する。
また、環境温度tが環境温度t1以上かつ環境温度t2未満ではないと判定した場合は(S26:No)、環境温度tが環境温度t2以上かつ環境温度t3未満であるか否かを判定する(S30)。ここで、環境温度tが環境温度t2以上かつ環境温度t3未満であると判定した場合は(S30:Yes)、上記温度係数テーブルから温度係数a2を選択する(S32)。
さらに、環境温度tが環境温度t2以上かつ環境温度t3未満ではないと判定した場合は(S30:No)、環境温度tが環境温度t3以上か否かを判定する(S34)。ここで、環境温度tが環境温度t3以上であると判定した場合は(S34:Yes)、上記温度係数テーブルから温度係数a3を選択する(S36)。
CPU57は、上記のように温度係数aの選択を行うと、累積インク消費量カウント値cが累積インク消費量カウント値c1以上かつ累積インク消費量カウント値c2未満であるか否かを判定する(S38)。ここで、累積インク消費量カウント値cが累積インク消費量カウント値c1以上かつ累積インク消費量カウント値c2未満であると判定した場合は(S38:Yes)、熱管理カウンタ係数b1を選択する(S40)。ROM43には、累積インク消費量カウント値cの各範囲と熱管理カウンタ係数b1〜b3とを対応付けた熱管理カウンタ係数テーブルが記憶されており、CPU57は、累積インク消費量カウント値cに対応する熱管理カウンタ係数bを選択する。
また、累積インク消費量カウント値cが累積インク消費量カウント値c1以上かつ累積インク消費量カウント値c2未満ではないと判定した場合は(S38:No)、累積インク消費量カウント値cが累積インク消費量カウント値c2以上かつ累積インク消費量カウント値c3未満であるか否かを判定する(S42)。ここで、累積インク消費量カウント値cが累積インク消費量カウント値c2以上かつ累積インク消費量カウント値c3未満であると判定した場合は(S42:Yes)、上記熱管理カウンタ係数テーブルから熱管理カウンタ係数b2を選択する(S44)。
さらに、累積インク消費量カウント値cが累積インク消費量カウント値c2以上かつ累積インク消費量カウント値c3未満ではないと判定した場合は(S42:No)、上記熱管理カウンタ係数テーブルから熱管理カウンタ係数b3を選択する(S48)。
CPU57は、上記のように熱管理カウンタ係数bの選択を行うと、熱管理カウント値kを更新する(S50)。ここでは、先のS20において演算したインク消費量カウント値cに温度係数aおよび熱管理カウンタ係数bを乗じて得られた値にそれまでの熱管理カウント値kを加算した値を新たな熱管理カウント値kとすることにより更新を行う。
そしてCPU57は、熱管理カウント値kが基準値kcを超えているか否か、つまりインクジェットヘッド30上の2点間の温度差が5゜Cを超えているか否かを判定し(S52)、超えていないと判定した場合は(S52:No)、次の印字開始時刻を遅延させない通常印字モードを実行し(S54)、超えていると判定した場合は(S52:Yes)、次の印字開始時刻を遅延させる発熱制限印字モードを実行する(S56)。
発熱制限印字モードでは、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k1以上かつ熱管理カウント値k2未満であるか否かを判定し(図13のS58)、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k1以上かつ熱管理カウント値k2未満であると判定した場合は(S58:Yes)、次の印字開始時刻の遅延時間r1を選択し、タイマに設定する(S60)。これにより、次の印字開始時刻がr1時間遅延され、その分、インクジェットヘッド30が自然冷却される。ROM43には、熱管理カウント値kの各範囲と遅延時間r1〜r3とが対応付けられた遅延時間テーブルが記憶されており、CPU57は、熱管理カウント値kに対応する遅延時間rを選択する。
続いてCPU57は、減算係数β1を選択する(S62)。ここで、減算係数β1とは、熱管理カウント値kを減算するための係数であり、遅延時間rの長さによって異なる値が設定されている。つまり、熱管理カウント値kをそのままにしておくと、インクジェットヘッド30上の2点間の温度差が5゜C未満になったにも拘わらず、次の印字開始時刻が遅延されてしまうという事態が発生するため、遅延時間に対応した分の値を熱管理カウント値kから減算することにより、上記のような事態が発生しないようにする。ROM43には、遅延時間r1〜r3と減算係数β1〜β3とがそれぞれ対応付けられた減算係数テーブルが記憶されており、CPU57は、減算係数テーブルから遅延時間rに対応する減算係数βを選択する。
また、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k1以上かつ熱管理カウント値k2未満ではないと判定した場合は(S58:No)、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k2以上かつ熱管理カウント値k3未満であるか否かを判定する(S64)。ここで、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k2以上かつ熱管理カウント値k3未満であると判定した場合は(S64:Yes)、上記遅延時間テーブルから遅延時間r2を選択してタイマに設定し(S66)、上記減算係数テーブルから減算係数β2を選択する(S68)。
さらに、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k2以上かつ熱管理カウント値k3未満ではないと判定した場合は(S64:No)、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k3以上であるか否かを判定する(S70)。ここで、熱管理カウント値kが熱管理カウント値k3以上であると判定した場合は(S70:Yes)、上記遅延時間テーブルから遅延時間r3を選択してタイマに設定し(S72)、上記減算係数テーブルから減算係数β3を選択する(S74)。
CPU57は、上記のように遅延時間rの設定および減算係数βの選択を行うと、環境温度tに対応する温度係数αを選択する(S76)。ROM43には、環境温度tの複数種類の範囲と複数の温度係数αとを対応付けた減算用温度係数テーブルが記憶されており、CPU57は、減算用温度係数テーブルから環境温度tに対応する温度係数αを選択する。減算用温度係数テーブルに設定されている温度係数αの値は、印字モード決定処理(図12)において用いた温度係数テーブルに設定されている温度係数aとは異なる値となっている。つまり、環境温度tが、インクジェットヘッド30の2点間の温度差に及ぼす影響の大きさは、インクジェットヘッド30の温度が上昇するときと下降するときとで異なるため、2種類の温度係数テーブルを用いることにより、インクジェットヘッド30を自然冷却するタイミングおよび時間を正確に制御する。
そして、CPU57は、熱管理カウント値kを更新する(S78)。ここでは、先のS20において演算したインク消費量カウント値cに温度係数αおよび減算係数βを乗じて得られた値を熱管理カウント値kから減算した値を新たな熱管理カウント値kとすることにより更新を行う。
以上の各ステップを経ることにより、次回の印字をするときに求める熱管理カウント値kの基礎となる熱管理カウント値(k+c・a・b−c・α・β)が求まる。
上記のように遅延時間rが設定されると、先のS8において遅延時間rが設定されていると判定し(S8:Yes)、遅延時間rを計測するタイマが作動中であるか否かを判定し(S10)、作動中ではないと判定すると(S10:No)、タイマをスタートして遅延時間rの計測を開始する(S12)。そして、タイマの計測時間がタイムアップしたか否かを判定し(S14)、タイムアップしたと判定すると(S14:Yes)、S6において受信した印字データ群に基づく印字を開始する(S16)。
以上のようにCPU57は、1枚の印刷用紙の印字を終了する毎にインク消費量カウント値cを演算し、その演算されたインク消費量カウント値cに対して環境温度およびインク消費量による影響を加味した補正を行う。その補正されたインク消費量カウント値、つまり熱管理カウント値kが基準値kcを超えている場合は、熱管理カウント値kの大きさに対応した遅延時間を設定し、次回の印字開始時刻を遅延させ、インクジェットヘッド30を2点間の温度差が5゜C未満になるまで自然冷却する。そして、遅延時間が経過すると、次の印字を開始する(図5)。
また、熱管理カウント値kが基準値kcを超えていない場合は、連続して次の印字を実行する。
(最良の形態による効果)
(1)以上のように、上記最良の形態に係るインクジェットプリンタ1を使用すれば、ICチップ80が隣接するイエローインク用ノズル列33aの中央部に位置するノズルに対応した領域E3の温度と、ICチップ80から一番離れたブラックインク用ノズル列33dのうちインクが供給される最上流側に位置するノズルに対応した領域E4の温度との差が、印字品質への影響が出る可能性のある5゜Cを超えないように印字制御することができる。
従って、領域E3,E4間の温度差による印字品質への影響が出ないようにすることができるインクジェットプリンタを実現することができる。
(2)しかも、インク消費量カウント値cに対応して適切に熱管理カウント値kの増加分を設定することができるため、インクジェットヘッドを冷却するための時間を正確に制御することができる。また、設定した遅延時間に対応して熱管理カウント値kの減少分を設定することができるため、次の印字時間が無駄に長くなるおそれがない。
(3)また、環境温度tに基づく重み付けをして熱管理カウント値kを増減することができるため、熱管理カウント値kが環境温度による影響を受けないようにすることができるので、環境温度が変化した場合であっても、インクジェットヘッドを冷却するための時間を正確に制御することができる。
(3)さらに、熱管理カウント値kが基準値kcより少ないときには、連続して次の印字を行うことができるため、印字効率を高めることができる。
(4)さらに、インク消費量に対応する熱管理カウント値kを決めるために必要な2つの特定部分が、ともにインクジェットヘッド30上にあるので、インクジェットヘッド30の温度やその分布の状態を反映した熱管理カウント値kの増加・減少をすることができる。すなわち、正確に過不足のない印字時間で印刷用紙の印字を完了することができる。
[他の実施形態]
(1)図14は、他の実施形態のインクジェットプリンタにおけるICチップおよびインクジェットヘッドの配置関係をノズル面から見た平面図である。このインクジェットプリンタは、2つのICチップ80により各アクチュエータを駆動する構成となっており、各ICチップ80は、インク供給口30a〜30dから一番離れた位置、つまりインクが供給される最下流側に設けられている。このインクジェットプリンタでは、インクが供給される最上流側に位置するノズルに対応した領域Eの温度と、インクが供給される最下流側に位置するノズルに対応した領域Eの温度との差が5゜Cを超えると、バンディングや白スジが発生し、印字品質が低下するおそれがあるが、前述の印字制御を適用することにより、領域E5,E6間の温度差を5゜C未満に抑制しながら印字を行うことができるため、印字品質を高めることができる。なお、このインクジェットプリンタが、請求項7に記載のインクジェットプリンタに対応する。
(2)前述の実験において、インクジェットヘッド30上の2点間の温度差を測定する箇所は、前記各実施形態に記載の箇所に限定されるものではなく、上記温度差と印字品質との関係を実験することができる箇所であればよい。例えば、図16において領域E1内の所定個所および領域E2内の所定個所でもよい。
(3)インクジェットヘッド30上の温度差を計測する2箇所のうち1箇所をインクジェットヘッド30上に設定し、もう1箇所をインクジェットヘッド30上ではなくインクジェットヘッド30の外部に設定して前述の実験を行うこともできる。つまり、インクジェットヘッド30上の温度差を検出または推定できる箇所であれば、特にインクジェットヘッド30上に限定されない。例えば、図16においてインクジェットヘッド30の外部であってICチップ80の近傍に設けてもよい。
(4)インクジェットヘッド30を自然冷却するために印字開始時刻を遅延させて待機している期間を利用してパージングを実行することもできる。換言すると、印字開始前にパージングを実行することにより、印字開始時刻を遅延させ、インクジェットヘッド30を自然冷却することもできる。例えば、前述の発熱制限印字モード(図13)のS60,S66,S72の各処理内容をそれぞれ「パージングを設定」という処理内容に変更し、S8(図11),S10,S14の各処理内容を「パージングが設定されているか?」、「パージング開始」、「パージング終了タイミング?」という処理内容にそれぞれ変更する。
この印字制御を実行すれば、インクジェットヘッドを自然冷却する時間を有効活用することができる。なお、このインクジェットプリンタが、請求項8に記載のインクジェットプリンタに対応する。また、パージングを実行するために必要な時間が、インクジェットヘッド30を自然冷却するために必要な時間より短い場合は、パージング終了後に次の印字開始時刻まで待機した状態にすることもできる。さらに、パージングの他、フラッシング、ワイピング(ワイパ3によりノズル面に付着したインクを払拭する動作)および排気(排気装置45によりバッファタンク40内に蓄積された空気を外部へ排気する動作)の中の少なくとも1つ以上を実行することもできる。
(5)図15は熱管理カウント値とインクジェットヘッド上の温度差との関係を示す説明図である。同図に示すように、熱管理カウント値kが基準値kcを超えた場合は、基準値kcを超える前まで設定されていた印字デューティを低くしたデューティ制限印字に切替えることにより、インクジェットヘッド30の2点間の温度差が5゜Cを超えないように制御し、その後次の印字開始時刻を遅延させてインクジェットヘッド30を自然冷却する印字制御を実行することもできる。
つまり、この印字制御の概念を請求項1に記載の制御手段と対応させて記載すると、「複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとした場合に、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、印字デューティを低くすることにより、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やし、かつ、kがkcを超えていない場合は、印字デューティを変更せず、今回前記1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回前記1つの被記録媒体の印字を完了する制御手段」となる。
この印字制御を実行すれば、印字中にインクジェットヘッド30の2つの領域間の温度差が5゜Cを超えることがないため、温度差による印字品質が低下するおそれが全くない。
なお、この印字制御では、ホストコンピュータ71から印字データ群を受信する毎に熱管理カウント値kを演算する。このため、図15において印字開始から熱管理カウント値kが基準値kcに達するまでの期間は、熱管理カウント値kが段階的に増加している。また、デューティ制限印字の期間は、熱管理カウント値kを演算する毎にデューティ制限印字による減少分が減算されるため、熱管理カウント値kが段階的に減少している。
また、印字中に熱管理カウント値kが基準値kcを超えた場合は、印字を中断しないで最後まで印字を実行し、次の印刷用紙の印字開始時刻を所定時間遅延させた後に、所定時間印字デューティを低くして印字を行うように制御することもできる。さらに、環境温度などの要因によって印字デューティを異ならせることもできる。
(6)熱管理カウント値kが基準値kcを超えた場合は、印字に用いるノズル数を減らし、その分、印字時間を増やすことにより、インクジェットヘッド30を自然冷却するように制御することもできる。
つまり、この印字制御の概念を請求項1に記載の制御手段と対応させて記載すると、「複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとした場合に、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、印字を行うときに必要な前記ノズルの数を減らすことにより、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やし、かつ、kがkcを超えていない場合は、印字を行うときに必要な前記ノズルの数を変更せず、今回前記1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回前記1つの被記録媒体の印字を完了する制御手段」となる。
この印字制御を実行すれば、印字中にインクジェットヘッド30の2つの領域間の温度差が5゜Cを超えることがないため、温度差による印字品質が低下するおそれが全くない。
また、印字中に熱管理カウント値kが基準値kcを超えた場合は、印字を中断しないで最後まで印字を実行し、次の印刷用紙の印字開始時刻を所定時間遅延させた後に、所定時間ノズルの数を減らして印字を行うように制御することもできる。さらに、環境温度などの要因によって減らすノズル数を異ならせることもできる。
(7)印字開始時刻を遅延させるための遅延時間の中に、印字完了後に次の被記録媒体(印刷用紙)が供給(給紙)される時間を含めることもできる。
(8)インクジェットヘッド上の温度差の上昇速度は、印字解像度(dpi)、被記録媒体のサイズ(例えばA4、B5など)、被記録媒体の種類(例えばインクジェットプリンタ専用紙、普通紙など)、カラー印字かモノクロ印字かの選択、印字目的(文書、写真など)などの印字条件によっても変化する。
そこで、各印字条件と温度差との関係を実験により求め、各印字条件が温度差に与える影響を是正するための係数と印字条件との関係をテーブル形式でROMなどに記憶させておき、印字時に設定された印字条件に対応した係数をインク消費量カウント値に乗ずるようにすることもできる。
これによれば、印字条件による温度差に及ぼす影響を是正できるため、印字条件が変化しても正確な熱管理カウント値を算出することができるので、インクジェットヘッドをより一層正確なタイミングで自然冷却できるとともに、無駄に自然冷却するおそれがない。
(9)前記各実施形態の印字制御では、印刷用紙1枚単位で印字消費量を演算し、その印字消費量が基準印字消費量を超えている場合に遅延時間を設定したが、1ラスターまたは複数ラスター単位で印字消費量を演算し、その印字消費量が基準印字消費量を超えている場合に遅延時間を設定する印字制御を用いることもできる。つまり、印字データ群が、それぞれが一定時間の印字動作を行うための複数の単位印字データからなる場合において、複数の単位印字データの各印字開始時刻を遅延することもできる。
この印字制御を用いれば、インクジェットヘッド上の温度差が印字品質に与える悪い影響が出ないように1ラスターまたは複数ラスター単位で制御することができる。
(10)また、前述の最良の形態および他の実施形態では、印字制御を印刷用紙1枚単位で印字消費量を演算し、その印字消費量が基準消費量を超えている場合に、次に続く印刷用紙1枚単位で遅延時間を設定していたが、1ラスターまたは複数ラスター単位で遅延時間を設定しても良い。
CPU57が、図11から図13に示した各ステップを実行していくなかで、図13に示したように、発熱制限印字モードに入ったとき、熱管理カウント値kの各範囲に応じて遅延時間rが設定される点は共通している。ここで、本実施形態では、設定された遅延時間r1〜r3を1つの印刷用紙の印刷を終了するのに必要な各ラスターに対して均等に配分する新たなステップがそれぞれ加えられている。すなわち、実際に1つの印刷用紙の印字を完了するまでに要したインクの消費量と基準消費量とを比較し、その比較結果に基づいて、これに続く次の印刷用紙の印字を完了するために、これに関する所定の印字データ群を構成する単位印字データ(1ラスターに対応したデータ)毎に一定の遅延時間が加えられている。これにより、1つの印刷用紙の印字を完了したときに、この印字で発生した熱により、次の印刷時に加える遅延時間の総和が認識可能な長さになったとしても、インクジェットヘッドを冷却するために印字動作が滞ることなく連続して行われる。つまり、これに続き次の印刷用紙を印字するときにも、これに関連した印字データ群を構成する単位印字データ毎に分散して遅延時間が加えられることになるので、一連の各印字動作が停滞することなく滑らかに行われる。作業者にとって、違和感のない印刷作業が可能となる。
なお、この場合、設定された遅延時間の配分処理は、複数ラスターに対応したデータ毎に行っても良い。
(11)この発明は、圧電素子などの電気機械変換素子を利用した圧電アクチュエータの他、電気熱変換素子を利用したアクチュエータを駆動源とするインクジェットプリンタにも適用することができる。また、インクジェットヘッド上にインクカートリッジを備えたタイプのインクジェットプリンタ、または、スキャナー機能またはコピー機能を備えたインクジェットプリンタ、あるいは、インクジェットヘッドが移動しない方式のインクジェットプリンタにも適用することができる。
[各請求項と実施形態との対応関係]
圧電アクチュエータ32が請求項1のアクチュエータに対応し、印刷用紙Pが被記録媒体に対応する。また、熱管理カウント値kが、「前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量」に対応し、基準値kcが、「温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量」に対応する
温度センサ59(図4)が請求項1の環境温度計測手段に対応し、パージ装置2が請求項の吸引手段に対応する。
そして、CPU57が実行する印字モード決定処理(図12)のS24〜S56および発熱制限印字モード(図13)のS58〜S78が制御手段として機能する。
この発明を実施するための最良の形態に係るインクジェットプリンタの主要構成を示す平面説明図である。 ヘッドホルダからバッファタンクおよびヒートシンクを取り外した状態を示す斜視説明図である。 図2を左側面から透視した説明図である。 インクジェットプリンタ1の制御系の主要構成をブロックで示す説明図である。 インク液滴の種類と駆動信号波形と液滴体積との関係を示す説明図である。 3種類のインク液滴を吐出して印字された線を示す説明図である。 図7(A)は環境温度と温度係数との関係を示す説明図であり、図7(B)は熱管理カウンタのカウント値と熱管理カウンタ係数との関係を示す説明図である。 インク液滴量とインク消費量カウンタ増分と熱管理カウンタ増分との関係を示す説明図である。 図8の具体例を示す説明図である。 インク消費量カウンタ増分累積値と熱管理カウンタ増分累積値との関係を示す説明図である。 CPU57が実行する印字制御の流れを示すフローチャートである。 CPU57が図11のS22において実行する印字モード決定処理の流れを示すフローチャートである。 CPU57が図12のS56において実行する発熱制限印字モードの流れを示すフローチャートである。 他の実施形態のインクジェットプリンタにおけるICチップおよびインクジェットヘッドの配置関係をノズル面から見た平面図である。 熱管理カウント値とインクジェットヘッド上の温度差との関係を示す説明図である。 図16(A)は、インクジェットヘッドをノズルが形成されたノズル面側から見た概略平面図であり、ICチップとインクジェットヘッドとの配置関係を模式的に示している。図16(B)は、図16(A)中の矢印Fで示す方向から見た説明図である。
符号の説明
1 インクジェットプリンタ
2 パージ装置
30 インクジェットヘッド
32 圧電アクチュエータ(アクチュエータ)
57 CPU(制御手段)
59 温度センサ(環境温度計測手段)
k 熱管理カウント
kc 基準
P 印刷用紙(被記録媒体)
t 環境温度
r1〜r3 遅延時間

Claims (4)

  1. アクチュエータの駆動により被記録媒体へインクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するインクジェットヘッドと、
    最も外側の一方のノズル列の外方にてそのノズル列に隣接して設けられ、印字データに基づいてインク吐出のための駆動信号を前記アクチュエータへ出力する駆動回路を有するICチップとを備えており、
    前記駆動信号の出力タイミングに合わせて前記ノズルからインクを吐出して前記被記録媒体に印字を行い、複数の前記被記録媒体を特定の印字デューティにて連続印字して所定量のインクを消費した場合に、前記最も外側の一方のノズル列の中央部に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域と、前記ICチップから一番離れたノズル列のうちインクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域との温度差が所定の温度以上になったときに印字品質に悪い影響が出るインクジェットプリンタにおいて、
    このインクジェットプリンタが置かれている環境の温度を計測する環境温度計測手段と、
    複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとして、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やし、かつ、kがkcを超えていない場合は、今回前記1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回前記1つの被記録媒体の印字を完了する制御手段とを備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. アクチュエータの駆動により被記録媒体へインクを吐出する複数のノズルが配列されたノズル列を複数列有するインクジェットヘッドと、
    前記インクが供給される最下流側に位置する前記ノズルの近傍に設けられ、印字データに基づいてインク吐出のための駆動信号を前記アクチュエータへ出力する駆動回路を有するICチップとを備えており、
    前記駆動信号の出力タイミングに合わせて前記ノズルからインクを吐出して前記被記録媒体に印字を行い、複数の前記被記録媒体を特定の印字デューティにて連続印字して所定量のインクを消費した場合に、インクが供給される最上流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域と、最下流側に位置するノズルに対応したインクジェットヘッドの領域との温度差が所定の温度以上になったときに印字品質に悪い影響が出るインクジェットプリンタにおいて、
    このインクジェットプリンタが置かれている環境の温度を計測する環境温度計測手段と、
    複数の前記被記録媒体を前記特定の印字デューティにて連続して印字する場合に、今回前記被記録媒体を1つ印字した際に、前回までに累積されたインク消費量k および環境温度による影響を加味した今回分を含む累積のインク消費量をk、環境温度による前記温度差に対する影響を是正するための係数をa、前記インク消費量k による前記温度差に対する影響を是正するための係数をb、今回前記被記録媒体を1つ印字したことにより今回消費されたインク消費量をc、前記温度差が前記所定の温度差に達するために必要なインク消費量をkcとして、k=(k +c・a・b)を求め、その求めたkがkcを超えた場合に、今回1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やし、かつ、kがkcを超えていない場合は、今回前記1つの被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やさないで今回前記1つの被記録媒体の印字を完了する制御手段とを備えていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  3. 前記制御手段は、
    1つの前記被記録媒体の印字を完了するのに必要な時間を増やした場合、その増やした時間に対応して前記求めたkを減少させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェットプリンタ。
  4. 前記インクジェットプリンタが前記インクジェットヘッド内のインクを前記ノズルの外部へ吸引する吸引手段を備えており、
    前記制御手段が、
    前記1つの被記録媒体の印字を開始する前に前記吸引手段に前記インクジェットヘッド内のインクを前記ノズルの外部へ吸引させることにより前記の1つの記録媒体の印字の完了に必要な時間を増やすことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のインクジェットプリンタ。
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