JP4231594B2 - 水道メータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水道メータに関するもので、より詳しくは計量室を有するインナーケースを本体ケースに内蔵した複箱式の水道メータに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、本体ケースに直接計量室を形成して該計量室内に羽根車を配置した、いわゆる単箱式の水道メータは、再生使用の場合、本体ケースをショートブラストで研摩したときのノズルの摩耗などによって器差性能を悪化させ、性能面での問題が生じる。
【0003】
このような問題を解決できるものとして従来、羽根車を収納した計量室を有するインナーケースを本体ケースに内蔵する、いわゆる複箱式の水道メータがある。
【0004】
この複箱式の水道メータにおけるインナーケースは、従来、その周壁を全周にわたって同一の厚みにした円筒状に形成するとともにこれに多数のノズルを形成して、本体ケースの内周面に密着状態で収納されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前記インナーケースに形成される流入ノズルのノズル有効長、すなわち噴流を作り出すために有効に作用する長さは、長い程計量精度が向上する。このノズル有効長を長くするには、一般に流入ノズルを形成する部分のインナーケースの板厚を厚くする必要がある。
【0006】
そのため、前記従来のように、周壁の板厚を全周にわたって同一の厚み寸法にしたインナーケースにおいては、そのインナーケースの周壁の全周が厚肉になり、そのインナーケースの外径が大きくなる。そのため、該インナーケースを内蔵する複箱式の水道メータの小型化を阻害していた。
【0007】
そこで本発明は、インナーケースの流入ノズルのノズル有効長を十分確保し、かつ、複箱式の水道メータの小型化を図ることを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1の発明は、計量室を有するインナーケースを本体ケース内に設置するものにおいて、
前記インナーケースの周壁を、円形の外周面と円形の内周面で形成し、かつその内周面の軸芯を外周面の軸芯に対して流出口側へ偏芯させて、インナーケースの周壁の厚みを周方向において偏肉させ、その厚肉側に流入ノズルを形成し、薄肉側に流出口を形成したことを特徴とするものである。
【0009】
本発明においては、インナーケースの周壁の厚みを偏肉させたので、その厚肉側と同一厚で全周を形成する従来のインナーケースに比べて、インナーケースの周壁の外径を小径にできる。また、水道メータの性能として重視される正流時の流入ノズルは厚肉部に形成されているため、流入ノズルのノズル有効長を十分長くして正確な噴流を発生させて十分な計測精度を確保できる。
【0011】
請求項2記載の第2の発明は、前記第1の発明において、前記インナーケースの流出口を、本体ケースの流出口の軸芯に対して、インナーケースの計量室内に備えられる羽根車の逆流時の回転方向へ偏位させたことを特徴とするものである。
【0012】
本発明においては、前記のようにインナーケースの流出口を薄肉部に形成したことによって、水の逆流時に流出口が流入ノズルとなった場合に、ノズル有効長が短くなるかマイナス状態になり、逆流時に計測精度が低下する場合がある。そのため、インナーケースの流出口を前記のように本体ケースの流出口の軸芯に対して羽根車の回転方向へ偏位させることにより、羽根車の回転効率が良くなり、逆流時の計測精度が高まる。
【0013】
請求項3記載の第3の発明は、前記第1の発明において、前記インナーケースの流出口を、仕切り板により周方向に複数に分割したことを特徴とするものである。
【0014】
本発明においては、インナーケースの流出口を仕切り板によって周方向に複数に分割することにより、逆流時において流出口が流入ノズルとなった場合に、そのノズル有効長をプラス側へ長くすることができ、流出口を薄肉部に形成しても逆流時の計測精度を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図に示す実施例に基いて本発明の実施の形態につて説明する。
図1は複箱式の水道メータの側断面図、図2は図1におけるY−Y線断面図である。
【0016】
前記の図1及び図2において、水道メータを構成する本体ケース1は、その中央部にインナーケース収納室2を形成し、その一方の側に水の流入口3を形成し、他方の側に水の流出口4を形成している。前記インナーケース収納室2を形成する本体ケース1の内周面1aは、図1及び図2に示す中心O1 を軸芯とする円形の面で形成されている。
【0017】
前記インナーケース収納室2内には樹脂製のインナーケース5が、その下部の外周面5aを本体ケース1の内周面1aに密接状態に嵌合させて収納設置されている。該インナーケース5の詳細な構造は後述する。
【0018】
前記インナーケース5の上部には表示ユニット6が載置され、該表示ユニット6の上部は窓ガラス7により密封されている。前記インナーケース5は、上ケース8を本体ケース1へ螺合することによってこの上ケース8を介して本体ケース1へ固着され、前記表示ユニット6と窓ガラス7はリング9によって上ケース8へ固着されている。
【0019】
前記インナーケース5における前記本体ケース1の内周面1aに嵌合する部分、すなわち計量室10を形成する筒状の周壁5bの外周面5aは、図2に示すように、前記本体ケース1の内周面1aの軸芯O1 と同芯で、かつ本体ケース1の内周面1aと同径の円形に形成されている。また、周壁5bの内周面5cは、その軸芯O2 を、前記軸芯O1 に対して前記本体ケース1の流出口4側へ偏芯させた状態で、その軸芯O2 を中心とする円形に形成されている。これにより、図2及び図3に示すように、計量室10を形成する周壁5bの板厚は、一方、すなわち本体ケース1の流入口3側に位置する部分の肉厚D1 が最も厚い厚肉部5dとなり、他方、すなわち本体ケース1の流出口4側に至るほど漸減し、流出口4側に位置する部分の肉厚D2 が最も薄い薄肉部5eとなった偏肉構造となる。
【0020】
前記インナーケース5における厚肉部5dには水の流入ノズル11が形成され、該流入ノズル11の外側開口部が本体ケース1における流入口3に臨み、また、薄肉部5eには水の流出口12が形成され、該流出口12の外側開口部が本体ケース1における流出口4に臨んでいる。また、前記流入ノズル11及び流出口12は、図2及び図3に示すように、本体ケース1の流入口3と流出口4の軸線X−Xに対して傾斜して形成されている。
【0021】
前記インナーケース5の計量室10内には、前記軸芯O2 部に羽根車軸13を配置した羽根車14が回転自在に備えられている。なお、前記羽根車軸13にはマグネット15が固着され、これが前記表示ユニット6部に設けたマグネット15aと対向しており、羽根車14の回転が磁気継手を介して表示ユニット6内の歯車輪列に伝達され、表示部で流量が表示されるようになっている。
【0022】
前記インナーケース5の流入ノズル11は、水道メータの性能として重視される正流(流入ノズル11から流出口12へ水が流れる状態をいい、通常このときの計測精度をもって水道メータの代表的性能として表示される)の精度を上げるために、その流入ノズル11におけるノズル有効長が長い程良い。ここで、ノズルと有効長とは、図4に示すような、噴流を作り出すために有効に作用する対向面の重なりの長さL1 をいう。
【0023】
本発明の実施例においては、前記のように、インナーケース5の外周面5aの軸芯O1 と内周面5cの軸芯O2 を偏芯させて流入ノズル11部の肉厚D1 を厚くしたので、前記ノズル有効長L1 をプラス状態で長くとることができ、正流時に正確な噴流を発生させて計量精度を向上させることができる。
【0024】
また、水道メータに対して水が逆流(図2における反矢印方向)する場合もあり、この場合にもその逆流量を正確に計測することが望ましい。
逆流の場合は前記インナーケース5の本来の流出口12が流入ノズルとなる。この場合、前記のようにインナーケース5の周壁5bの板厚が偏肉されてその流出口12部が薄肉になっていると、図3に示すようにノズル部の対向面の重なりがなく、ノズル有効長がマイナスL2 となって逆流の計測精度が低下する。
【0025】
そこで、本発明においては、図2及び図5(a)に示すように、流出口12を、本体ケース1の流出口4の軸線X−Xに対して羽根車14の逆流時の回転方向(図2における反矢印方向)に偏位させて形成した。これは、例えば図5(b)に示すように流出口12を本体ケース1の流出口4の軸線X−Xを中心として形成した場合には、その逆流して流入する水の流れが羽根車14の軸芯近くへ向かうのに対し、流出口12を本発明のように偏位させることにより、図5(a)に示すように、逆流して流入する水の流線がインナーケース5の内周面5cの接線に近づき、すなわち羽根車14を加速する側である羽先部に近い部分へ向き、かつ本体ケース1側の流出口4の傾斜部4aが仮想ノズルとなって、同一流量であっても羽根車14に作用する回転力が大きくなる。したがって、前記のように、薄肉化によるノズル有効長の短縮或いはマイナス状態から生じる計測精度の低下を補正して計測精度を向上させることができる。
【0026】
ちなみに、流出口12を図5(b)の位置に形成した場合は図6のAの器差特性に示すように器差がマイナス側へ大きく振れたのに対し、図5(a)のように偏位させた場合には図6のBの器差特性を示し、器差精度が±5%以内に納まった。一般に許容される器差精度は±5%であるため、逆流の場合にも十分な計測精度を確保できた。
【0027】
また、前記のような流出口12の薄肉化に対して器差精度を向上させる方法としては、図7に示すように流出口12の中間に、流出口12をインナーケース5の周方向(周壁5bの周方向)に複数、例えば2分する仕切り板16を設けてもよい。
【0028】
例えば、図7(b)に示すように、前記のようなマイナスのノズル有効長−L2 を有する1個の流出口12と同等の周方向長を確保して、図7(a)に示すように仕切り板16で2分することにより、その2分された第1の流出口12aのノズル有効長L3 と第2の流出口12bのノズル有効長L4 をプラスのノズル有効長にすることができる。なお、図7において、−L2 ≪L3 +L4 の関係に、また、a=b+cの関係に設定する。このa=b+cに設定するのは、ノズルによる圧損を変えないためである。
【0029】
このように、ノズル有効長をプラスにした結果、図8に示すように、図7(b)のものが器差特性Cのように器差精度がマイナス側へ大きく振れたのに対し、図7(a)に示すものはDの器差特性を示し、器差精度を±5%以内に納めることができた。
【0030】
また、前記実施例のように、インナーケース5を周方向に偏肉させたことにより、例えばインナーケース5の計量室10の内径を同一とし、そのインナーケース5の周壁5bを全周にわたって同一板厚にした従来のインナーケースと比較した場合、本発明におけるインナーケース5の周壁5bの外径は、図2及び図3に示す偏芯量Fの2倍の寸法分小径になる。したがって、従来と同一の計量室を確保してインナーケース5の外径を従来のものよりも小径にして本体ケース1の外径を従来の本体ケースの外径よりも小径にし、水道メータの小型化を図ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のようであるから、請求項1の発明によれば、複箱式の水道メータにおいて、水の正流時における計測精度を十分確保してインナーケースの小型化、強いては水道メータの小型化を図ることができる。
【0032】
請求項2及び3記載の発明によれば、更に水の逆流時における計測精度も十分確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す複箱式の水道メータの側断面図。
【図2】図1におけるY−Y線断面図。
【図3】本発明におけるインナーケースの平断面図。
【図4】図3における流入ノズル部の拡大平断面図。
【図5】本発明のインナーケースにおける流出口部の水の流れを説明する図で、(a)は流出口を本体ケースの流出口の軸線に対して偏位させた図、(b)は流出口を本体ケースの流出口の軸線上に位置させた比較のための図。
【図6】図5における両流出口による器差特性を示す図。
【図7】(a)は本発明におけるインナーケースの流出口の他の例を示す図、(b)は比較のための図。
【図8】図7における両流出口による器差特性を示す図。
【符号の説明】
1 本体ケース
3 本体ケースの流入口
4 本体ケースの流出口
5 インナーケース
5a 外周面
5b 周壁
5c 内周面
5d 厚肉部
5e 薄肉部
10 計量室
11 流入ノズル
12 流出口
14 羽根車
16 仕切り板
O1 インナーケースの外周面の軸芯
O2 インナーケースの内周面の軸芯
Claims (3)
- 計量室を有するインナーケースを本体ケース内に設置するものにおいて、
前記インナーケースの周壁を、円形の外周面と円形の内周面で形成し、かつその内周面の軸芯を外周面の軸芯に対して流出口側へ偏芯させて、インナーケースの周壁の厚みを周方向において偏肉させ、その厚肉側に流入ノズルを形成し、薄肉側に流出口を形成したことを特徴とする水道メータ。 - 前記インナーケースの流出口を、本体ケースの流出口の軸芯に対して、インナーケースの計量室内に備えられる羽根車の逆流時の回転方向へ偏位させたことを特徴とする請求項1記載の水道メータ。
- 前記インナーケースの流出口を、仕切り板により周方向に複数に分割したことを特徴とする請求項1記載の水道メータ。
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JP21349399A JP4231594B2 (ja) | 1999-07-28 | 1999-07-28 | 水道メータ |
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JP21349399A Expired - Lifetime JP4231594B2 (ja) | 1999-07-28 | 1999-07-28 | 水道メータ |
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-
1999
- 1999-07-28 JP JP21349399A patent/JP4231594B2/ja not_active Expired - Lifetime
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