JP4231518B2 - 熱交換装置 - Google Patents

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Description

この発明は、板状チューブに設けられている流路を流通している第1熱媒体又は第2熱媒体と、前記流路と接触している蓄熱材との熱交換を行う熱交換装置に関するものである。
波板の伝熱プレートを互いに重ね合わせるように積層して熱媒体の流路を形成した熱交換装置として、特許文献1、特許文献2、特許文献3に記載された装置が知られている。すなわち、特許文献1は、正弦波状の凹凸の突起を有する伝熱プレートを銅またはアルミ材で形成し、各伝熱プレートを交互に重ね合わせた構成の発明が記載されている。この特許文献1に記載された発明では、前記凹凸部の内部に流路が形成され、ここに熱媒体が流通するように構成されている。また、特許文献2は、伝熱プレートを交互に重ね合わせ、それらの伝熱プレートの間に熱媒体の流路が形成されている発明が記載されている。そして、伝熱プレートの突起のうち、冷媒流路側の接触する突起同士は互いに接合し、熱媒体流路側の接触する突起同士は互いに接合されない構成としている。このため、熱媒体の体積が膨張した場合に、熱媒体流路側の接触する突起同士は接合されていないので部分的に容易に変形することができる。その結果、熱媒体の体積膨張が吸収され、熱交換装置の変形が防止される。また、特許文献3には、特許文献2と同様に、伝熱プレートが交互に重ね合わせて流路が形成された発明が記載されている。
特開平10−232093号公報 特開平11−173771号公報 特開平10−122770号公報
上記の特許文献1から特許文献3に記載の各発明は、板状の伝熱プレートを多層に重ねて熱搬送媒体(熱媒体)を流す流路を構成した熱交換器・蓄熱器であるが、流路を形成する際に、伝熱プレートの接合を容易に行えるようにするため、プレス成形された凹部を交互に接合した構造にしている。しかしながら、上下の伝熱プレートの凹部を対向させることで一つの流路を形成しているため、上下の伝熱プレートによる2つの凸部について、流路が1つしか形成されず、その結果、一対のプレートで構成できる流路の本数が相対的に少なく、したがって流路を流通する熱媒体と伝熱プレートの周囲の熱媒体との間の熱交換面積が狭くなってしまう。
また、上記の伝熱プレートを積層に重ねて熱搬送流体を流す流路を形成した板状チューブの間に、蓄冷材・蓄熱材を介在させた構造の蓄熱器が知られている。しかしながら、この種の蓄熱器にあっては、板状チューブの間に介在する蓄冷材・蓄熱材が凝固・融解を繰り返すときに生じる膨張・収縮による応力を板状チューブが受け、板状チューブが変形する場合がある。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであり、板材を接合して熱媒体用流路を形成した伝熱プレートの熱交換面積を容易に拡大できる熱交換装置を提供することを目的としたものである。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、冷却されることによって凝固する蓄熱材を第1熱媒体によって冷却し、かつその蓄熱材を第2熱媒体によって加熱するように構成された熱交換装置において、二枚の板材が接合され、かつその一方の板材の一部が前記接合面とは反対方向に凸となってその内部に流路を形成している少なくとも一対の板状チューブが互いに対向して配置され、一方の板状チューブにおける前記凸となった突条部の背面側に他方の板状チューブにおける前記凸となった突条部が対向して配置され、それら一対の板状チューブの間に前記蓄熱材が充填され、いずれか一方の板状チューブにおける前記流路に前記第1熱媒体が流通させられるとともに、他方の板状チューブにおける前記流路に前記第2熱媒体が流通させられていることを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記突条部は、前記平坦部に対して傾斜した外側面を備えていることを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、請求項1まは2の発明において、前記突条部は、断面形状が前記平坦部側を底辺とした三角形状をなすように構成されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、突条部と平坦部とで閉じられている流路が蓄熱材中に配置されているため、上下の伝熱プレートによる1つの凸部について、1つの流路が形成される。このため、上下の伝熱プレートの凹部を対向させることで1つの流路を形成している場合と比較して、流路と蓄熱材との表面積が大きくなる。したがって、蓄熱材と流路を流れる第1熱媒体又は第2熱媒体との熱交換効率が向上する。
さらに、請求項2、3の発明によれば、請求項1の発明で得られる効果に加えて、一方の板状チューブの突条部において、突条部に沿って凝固・融解されることにより生じる応力は、応力の一部が他方の板状チューブに対して水平方向にかかるため、他方の板状チューブにかかる応力を緩和することができる。
以下、本発明を実施した最良の形態について説明する。この発明の熱交換装置は、エネルギーを増大させる正の熱(温熱)の蓄熱と、エネルギーを低下させる負の熱(冷熱)の蓄熱とのいずれも可能である。以下の説明では、後者のいわゆる冷熱の蓄熱を行うように構成した具体例を示す。図1は、この発明に係る第1実施形態における熱交換装置1の概略的な斜視図である。図1に記載されている熱交換装置1では、第1熱媒体2又は第2熱媒体3を流通させる複数本の流路が形成された板状チューブ4が、前記第1熱媒体2又は前記第2熱媒体3との間で熱交換を行う蓄熱材5中に配置されている。板状チューブ4は、熱交換装置1の内部に設けられ、この熱交換装置1の横方向α、縦方向β、高さ方向γのいずれかの方向に、板状チューブ4を介在させ、ある一定間隔で交互に配置して構成されている。
図1において、熱交換装置1の外側には、板状チューブ4の一端部に設けられている図示しない空間と連通するように、第1熱媒体2に該当する冷媒の導入管6aが熱交換装置1を貫通して設けられている。また、熱交換装置1の外側で、板状チューブ4の前記一端部と対向する板状チューブ4の他端部に設けられている図示しない空間と連通するように、第1熱媒体2に該当する冷媒の導出管7aが熱交換装置1を貫通して設けられている。さらに、熱交換装置1の外側で、板状チューブ4の前記他端部に設けられ、前記導出管7aと連通されていない図示しない空間と連通するように、第2熱媒体3に該当するブラインの導入管6bが熱交換装置1を貫通して設けられている。さらにまた、熱交換装置1の外側で、板状チューブ4の前記一端部に設けられ、前記導入管6aと連通されていない図示しない空間と連通するように、ブラインの導出管7bが熱交換装置1を貫通して設けられている。
図2に、上記の熱交換装置1の内部に配置される板状チューブ4の一例を断面図で示してある。ここに示す板状チューブ4は、この発明における板材に相当する二枚の伝熱プレート8,9を互いに対向させて接合することにより構成されている。各伝熱プレート8,9には、内部が空洞部となるように曲げ加工して形成された突条部8A,9Aが所定の間隔をあけてほぼ平行に形成されている。そして、これらの突条部8A,9A同士の間の部分が平坦部8B,9Bとなっている。その突条部8A,9Aの形状は、図7、図8に記すように三角形断面、四角形断面、半円状断面などの任意の形状であってもよく、図2には断面形状が前記平坦部8B,9B側を底辺とした三角形をなす例を記載している。各突条部8A,9Aは、内部の空洞部が、各伝熱プレート8,9同士の接合面側に開口するように構成され、したがって各空洞部が溝状をなしている。そして、一方の伝熱プレート8,9における突条部8A,9Aに、他方の伝熱プレート9,8における平坦部9B,8Bが対向するように各伝熱プレート8,9が接合されている。したがって、各突条部8A,9Aによってその内側に形成されている空洞部の開口部は相手側の伝熱プレート8,9の平坦部8B,9Bによって閉じられている。こうして、各突条部8A,9Aの内部に流路10が形成されている。
この板状チューブ4に設けられている流路10は、板状チューブ4の他端部で導出管7aと連通されている図示しない空間と連通し、前記板状チューブ4の一端部で導入管6aと連通されている図示しない空間と連通している。または、前記流路10は、板状チューブ4の他端部で導入管6bと連通されている図示しない空間と連通し、前記板状チューブ4の一端部で導出管7bと連通されている図示しない空間と連通している。これにより、導入管6aから流入した冷媒は、各突条部8A,9Aの内部に形成された流路10を経由して導出管7aへと流通する。また、導入管6bから流入したブラインは、各突条部8A,9Aの内部に形成された流路10を経由して導出管7bへと流通する。
図3は、上記の板状チューブ4を組み込んで形成された熱交換装置1の内部構造を拡大して示した横断面図である。ここに示す複数の板状チューブ4は、相互に所定の間隔をあけて対向して配列されている。より具体的には、冷媒やブラインとは異なる別の熱媒体としての蓄熱材5が板状チューブ4に接するようにサンドイッチ状に介在され、各板状チューブ4が所定間隔に重なるように配列されている。各板状チューブ4の流路10には、冷媒、もしくはブラインが流入しているため、蓄熱材5を介して冷媒とブラインとの間で熱交換が行われるようになっている。ここで、任意の板状チューブ4の流路10に冷媒が流入し、任意の板状チューブに隣接する板状チューブ4の流路10にブラインが流入している場合は、蓄熱材5を介して冷媒とブラインとの間で熱交換が行われるようになっている。
また、図3に示す板状チューブ4は、一方の板状チューブ4における突条部8A,9Aが、該一方の板状チューブ4に隣接する他方の板状チューブ4における平坦部9B,8Bに対向するように配列されている。具体的には、伝熱プレート8に設けられている突条部8Aは、伝熱プレート8,9同士の接合面側に開口するように構成され、一方の伝熱プレート8,9における突条部8A,9Aに、他方の伝熱プレート9,8における平坦部9B,8Bが対向するように各伝熱プレート8,9が接合されている。そのため、板状チューブ4は、任意の伝熱プレート8に設けられている突条部8Aと隣接する板状チューブ4の伝熱プレート9に設けられている平坦部9Bとが対向するように配列されている。
図4,図5は、蓄冷時における熱交換装置1の内部構造を拡大して示す横断面図である。熱交換装置の構造は図3と同一であるため、図3と同じ符号を付して説明を省略する。図4に示される蓄熱材5は、加熱されて融解するとともに冷却されて凝固する蓄熱材からなり、具体的には、この蓄熱材5は水やエチルグリコール水溶液、塩化アンモニウム水溶液など融点が低く、融解熱が比較的大きい潜熱蓄熱材からなる。図4に示す具体例では、突条部8A,9Aが互い違いに配置されるため、流路10に冷媒が流通している場合は、凝固物11が突条部8A,9A及び平坦部8B,9Bの周辺の蓄熱材5中に生成される。突条部8A,9Aに生成された凝固物11は、突条部8A,9Aの面に沿って成長するため、対向する伝熱プレート9,8にかかる応力が緩和される。また、平坦部8B,9Bに生成された凝固物11は、平坦面8B,9Bの面に沿って成長するが、対向する突条部9A,8Aが凸となっているため、伝熱プレート9,8にかかる応力が緩和される。
流路10に冷媒が流通されているときは、突条部8A,9A及び平端部8B,9Bから蓄熱材5への熱伝導により、突条部8A,9A及び平端部8B,9B付近から蓄熱材5が冷却され、凝固物11が生成される。平坦部8B,9B付近に生成された凝固物11は、蓄熱材5を挟んて対向する突条部9A,8Aの突起部に向かって成長する。また、突条部8A,9Aの突起部付近で生成された凝固物11が蓄熱材5を挟んで対向する平坦部9B,8Bに向かってそれぞれ成長する。
その結果、隣接する板状チューブ4の流路10にブラインが流通しているときは、突条部8A,9A付近に生成された凝固物11は、凝固物11の成長に伴い蓄熱材5を挟んで対向する平坦部9B,8Bに接近する。その結果、突条部8A,9A付近で生成された凝固物11の冷熱は対面側の伝熱プレート9,8へ奪われ、凝固物11が突条部8A,9Aの先端付近で切断される。また、平坦部8B,9B付近で生成された凝固物11の冷熱は対面側の伝熱プレート9,8の突条部9A,8Aへ奪われ、凝固物11が突条部9A,8Aの先端付近で切断される。
これにより、凝固物11が液状の蓄熱材5で剥離され、前記凝固物11は蓄熱材5の温度差により誘発される自然対流によって伝熱プレート8,9の表面付近から離れるようになる。このため、伝熱プレート8,9の表面に凝固物11が形成し、冷媒が搬入する冷熱が蓄熱材5へ伝わりにくくなるのを防止することができる。そしてまた、新たに板状チューブ4の表面に蓄熱材5の凝固物11が生成し、蓄熱材5全体へ効率よく冷媒が搬入する冷熱が伝えられることとなる。
図6は、蓄冷時における他の熱交換装置1の内部構造を拡大して示す横断面図である。ここに示す板状チューブ4は、この発明における板材に相当する二枚の伝熱プレート8,9を互いに対向させて接合することにより構成されている。各伝熱プレート8,9には、内部が空洞部となるように曲げ加工して形成された突条部8A,9Aが所定の間隔をあけてほぼ平行に形成されている。そして、これらの突条部8A,9A同士の間の部分が平坦部8B,9Bとなっている。その突条部8A,9Aの形状は、三角形断面、四角形断面、半円状断面などの任意の形状であってもよい。各突条部8A,9Aは、内部の空洞部が、各伝熱プレート8,9同士の接合面側に開口するように構成され、したがって各空洞部が溝状をなしている。そして、一方の伝熱プレート8,9における突条部8A,9Aに、他方の伝熱プレート9,8における突条部9A,8Aが対向するように各伝熱プレート8,9が接合されている。したがって、各突条部8A,9Aによってその内側に形成されている空洞部の開口部は相手側の伝熱プレート8,9の突条部8A,9Aによって閉じられている。こうして、各突条部8A,9Aの内部に流路12が形成されている。
この板状チューブ4に設けられている流路12は、図2に示す板状チューブ4と同様に板状チューブ4の他端部で導出管7aと連通されている図示しない空間と連通し、前記板状チューブ4の一端部で導入管6aと連通されている図示しない空間と連通している。または、板状チューブ4の他端部で導入管6bと連通されている図示しない空間と連通し、前記板状チューブ4の一端部で導出管7bと連通されている図示しない空間と連通している。これにより、導入管6aから流入した冷媒は、各突条部8A,9Aの内部に形成された流路12を経由して導出管7aへと流通する。また、導入管6bから流入したブラインは、各突条部8A,9Aの内部に形成された流路12を経由して導出管7bへと流通する。
ここで、流路12に流通している第2熱媒体3が冷媒の場合、熱交換が突条部8A,9Aと蓄熱材5との間でなされ、凝固物11が突条部8A,9Aの周辺で生成される。また、凝固物11は平坦部8B,9Bでも生成される。凝固物11は蓄熱材5を挟んだ対面にある伝熱プレート9,8の突条部9A,8Aに向かって成長し続けるが、このとき、凝固物11の成長による体積膨張に起因して対向して配置された伝熱プレート9,8に応力が作用する。ところが、突条部8A,9Aは横断面三角形状に形成されているため、対面の伝熱プレート9,8にかかる応力は矢印で示すように左右に分散される。そのため、伝熱プレート9,8にかかる応力が緩和される。
本発明の熱交換装置の外観斜視図である。 その熱交換装置に使用される板状チューブの要部を拡大して示した部分横断面図である。 熱交換装置本体の要部を拡大して示した部分横断面図である。 蓄冷時における熱交換器の状態の一例を表す部分横断面図である。 蓄冷時における熱交換器の状態の他の例を表す部分横断面図である。 蓄冷時における熱交換器の状態の他の例を表す部分横断面図である。 板状チューブの変形例における部分横断面図である。 板状チューブの別の変形例における部分横断面図である。
符号の説明
1…熱交換装置、 2…第1熱媒体、 3…第2熱媒体、 4…板状チューブ、 5…蓄熱材、 6a,6b…導入管、 7a,7b…導出管、 8,9…伝熱プレート、 8A,9A…突条部、 8B,9B…平坦部、 10、12…流路、 11…凝固物。

Claims (3)

  1. 冷却されることによって凝固する蓄熱材を第1熱媒体によって冷却し、かつその蓄熱材を第2熱媒体によって加熱するように構成された熱交換装置において
    二枚の板材が接合され、かつその一方の板材の一部が前記接合面とは反対方向に凸となってその内部に流路を形成している少なくとも一対の板状チューブが互いに対向して配置され、
    一方の板状チューブにおける前記凸となった突条部の背面側に他方の板状チューブにおける前記凸となった突条部が対向して配置され、
    それら一対の板状チューブの間に前記蓄熱材が充填され、
    いずれか一方の板状チューブにおける前記流路に前記第1熱媒体が流通させられるとともに、他方の板状チューブにおける前記流路に前記第2熱媒体が流通させられ
    いることを特徴とする熱交換装置。
  2. 前記突条部は、前記平坦部に対して傾斜した外側面を備えていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換装置。
  3. 前記突条部は、断面形状が前記平坦部側を底辺とした三角形状をなすように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の熱交換装置。
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