JP4230660B2 - メッセージ・システムにおける通信設備のための装置および方法 - Google Patents
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Description
（発明の属する技術分野）
本発明は一般に無線通信システムに関し、特に、メッセージ・システムにおける通信設備のための方法および装置に関する。
【０００１】
（発明の背景）
一般に双方向メッセージ・システムが知られている。この種のメッセージ・システムが発達するにつれて、ユーザの要請に応じるべく大量のデータ通信を行う必要性が生じてきた。この必要性は、直交振幅変調(QAM)のような高速変調技術に対する制約をもたらす。伝送速度がより高速になると、メッセージが送られる携帯用加入者装置の場所を必要とすることになる。このため、短期間シンボルにおける異なる伝送遅延の劣化効果に起因して、高速伝送では同時伝送(simulcast transmission)は使用されない。そのかわりに、ある信号送信機から近くの加入者装置への非同時伝送(non-simulcast transmission)が必要とされ、加入者装置の位置に対する必要性に対処している。
【０００２】
一方、同時伝送を例えばわずかに利用したとしても、加入者装置を見出す必要性は残り、これはその位置が未知である場合、または総ての加入者に影響を及ぼすシステム・ワイド・コマンド(system-wide command)を伝送する場合である。また、メッセージ・システムを介して加入者装置の同期のために同時伝送を使用することも考えられる。しかしながら、同時伝送の同期信号単独では、非同時伝送を利用する非常に高速な伝送に同期するのに充分な精度および分解能を備えていない。
【０００３】
したがって、高速変調技術が使用される場合における加入者装置に同期するための方法および装置が必要とされている。また、その加入者を探索する方法および装置も必要とされている。
【０００４】
（発明の概要）
本発明の一形態によれば、メッセージ・システムにおける通信設備のための方法が提供される。このメッセージ・システムは第１集合内のＫ個の送信機より成り（Ｋは所定の正の整数）、この方法は、ディジタル同期信号を同時伝送する段階およびＫ個のタイムスロット期間中にＫ個の微調整信号を伝送する段階より成り、タイムスロットの各々には送信機のうちの１つが割り当てられ、各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された１対のトーン信号より成り、所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有し、当該方法は更に携帯用加入者装置において、ディジタル同期信号および微調整信号を受信し、ディジタル同期信号および前記タイムスロットの所定の配置に関する情報に基づいて、微調整信号の開始に関する粗い推定値を生成し、第１集合中のある送信機からおよび隣接する集合の送信機に対応するＭ−１個からのタイムスロット期間中に受信されたＭ個の微調整信号より成る受信信号における、２Ｍ点フーリエ変換（ＦＴ）を各タイムスロットについて計算し、少なくとも１つの微調整信号に対応するＦＴ計算を利用して粗い推定値を微調整し、少なくとも１つの微調整信号の開始部に対する微調整を行う方法である。
【０００５】
本発明の他の形態にあっては、メッセージ・システムにおける通信装置を利用する携帯用加入者装置が提供される。この携帯用加入者装置は、ディジタル同期信号と、メッセージ・システムの固定部内のＫ個の送信機により伝送されたＫ個の微調整信号とをＫ個のタイムスロット期間中に受信する受信機であって、Ｋは所定の正の整数であり、各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された１対のトーンより成り、所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有するところの受信機と、受信機に結合され、ディジタル同期信号およびタイムスロットの所定の配置に関する知識に基づいて微調整信号の開始部の粗い推定値を生成する処理システムより成り、処理システムは、第１集合中の送信機から、および隣接集合中の対応するＭ−１個のものからのタイムスロット期間中に受信されたＭ個の微調整信号より成る受信信号において、各タイムスロットについて２Ｍ点フーリエ変換（ＦＴ）を計算し、このＦＴ計算に基づいて、微調整信号の少なくとも１つに対応する粗い推定値を微調整し、微調整信号の前記少なくとも１つの開始部の微調整された推定値を生成する携帯用加入者装置である。
【０００６】
（実施例）
図１は、本発明によるメッセージ・システムを例示するブロック図を示す。このシステムは、コントローラ１１２および複数の基地局１１６を含む固定部１０２と、認証返送機能(acknowledge-back capability)を有することが好ましい複数の携帯用加入者装置１２２を含む携帯部１２２とを備える。基地局１１６は、一般的な無線周波数（ＲＦ）技術を利用して携帯加入者装置１２２と通信を行うために使用され、基地局１１６を制御するコントローラ１２２に通信リンク１１４を介して結合される。
【０００７】
コントローラのハードウエアは、モトローラ・インコーポレイテッドによる無線メッセージ・ゲートウエイ(WMG(商標): Wireless Messaging Gateway)アドミニストレータ・ページング端末およびＲＦコンダクタ(商標)メッセージ分配装置の組み合わせによることが好ましい。基地局１１６のハードウエアは、モトローラ・インコーポレイテッドによるニュークレアス・オーケストラ(Nucleus(商標) Orchestra)送信機およびＲＦオーディエンス(RF Audience(商標))受信機の組み合わせによることが好ましい。携帯用加入者装置のハードウエアは、モトローラ・インコーポレイテっどのページファインダ(PageFinder(商標))のようなものであることが好ましい。コントローラ１１２，基地局１１６および携帯用加入者装置１２２に対して他の同種のハードウエアを採用することも可能であることは言うまでもない。
【０００８】
各基地局１１６は、送受信アンテナ１１８を介して携帯用加入者装置１２２にＲＦ信号を送信する。各基地局１１６は、送受信アンテナ１１８を介して複数の携帯用加入者装置１２２からＲＦ信号を受信することが好ましい。基地局１１６から携帯用加入者装置１２２に伝送されたＲＦ信号(外出信号(outbound signal))は、携帯用加入者装置１２２を区別する選択呼出アドレスおよび発呼者により発せられたメッセージより成り、更には無線通信システムの動作パラメータを調整するためにコントローラ１１２により発せられた命令も含む。携帯用加入者装置１２２から基地局１１６へ伝送されたＲＦ信号(入来信号(inbound signal))は、肯定応答(ACK)および否定応答(NAK)のような予め予定されたメッセージと、登録要求のような予め予定されていないメッセージを含む。認証返送メッセージ・システムの例は、Siwiak et al.による１９８９年１０月１７日に特許された米国特許番号4,875,038があり、本願でも利用可能である。また、本発明はいくつかの制約とともに１方向メッセージ・システムにも利用可能である。
【０００９】
コントローラ１２２は、電話リンク１０１を介して、発せられた選択呼出メッセージを受信する公衆切換電話ネットワーク(PSTN)１１０に結合されることが好ましい。ＰＳＴＮ１１０からのメッセージより成る選択呼出発呼は、例えば、ＰＳＴＮ１１０に結合された既存の電話１１１から発生させることが可能である。なお、パケット切換ネットワークおよびローカル・エリア・ネットワークのような他の種類の通信ネットワークを利用して、コントローラ１１２に発呼メッセージを転送することも可能である。
【００１０】
外出および入来メッセージ用に使用されるプロトコルは、本発明により修正されるモトローラのよく知られたフレックス(FLEX(商標))双方向ディジタル選択呼出信号プロトコルに類似するものを使用することが可能である。このプロトコルは、周知のエラー検出およびエラー補償技術を使用し、伝送中に生じるビット・エラーに対処するものである。ただし、任意の１コード・ワード中のビット・エラーが多すぎるものでないことを前提とする。
【００１１】
図２は、本発明によるコントローラ１１２および基地局１１６の部分ブロック図２００を示す。コントローラ１１２は、処理システム２１０，既存の基地局インターフェース２０４，および既存のネットワーク・インターフェース２１８を備える。基地局１１６は送信機２０６を備え、少なくとも１つの受信機２０７を備えることが好ましい。
【００１２】
処理システム２１０は、コントローラ１１２の動作を指示するために使用される。この処理システム２１０は、基地局インターフェース２０４を経て通信リンク１１４介して基地局送信機２０６に結合されることが好ましい。１方向メッセージ・システムにあっては、基地局受信機２０７を省略することも可能である。
【００１３】
通信リンク１１４としては、例えば、直接ワイヤ・ライン(電話)リンク、データ通信リンク、無線周波数(ＲＦ)送受信リンク、マイクロ波送受信リンクまたは衛星リンク等の既存の手段を利用することが可能である。処理システム２１０は、電話線リンク１０１を経てＰＳＴＮ１１０を介して通信する発呼者により発せられた外出メッセージを受信するためのネットワーク・インターフェース２１８にも結合される。
【００１４】
コントローラ１１２および基地局１１６の動作を制御するために必要な機能を実行するために、処理システム２１０は、既存オコンピュータ・システム２１２および既存の記憶媒体２１４を備えることが好ましい。この既存の記憶媒体２１４は、例えば、携帯用加入者装置１２２のアドレスおよびプログラム・オプションのような加入者情報より成る加入者データベース２２０を含む。
【００１５】
既存のコンピュータ・システム２１２は、既存の記憶媒体２１４に含まれるソフトウエアによりプログラムされ、本発明により必要とされる動作および機能を実行することが好ましい。既存のコンピュータ・システム２１２は、サン・マイクロシステムズ,インコーポレイテッドのVTE Sparc(商標)プロセッサのような複数のプロセッサより成ることが好ましい。これらのプロセッサは、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)のようなメモリを備え、このメモリはプログラムを実行する際の一時的メモリ格納装置としての機能を実行する。また、プロセッサは例えばＰＳＴＮ１１０を利用して発呼者から発せられたメッセージを格納および待行列化し(queuing)、携帯用加入者装置１２２から受信した認証結果を処理し、携帯用加入者装置１２２に対して予め予定されたメッセージのプロトコル処理を行うようなスクラッチ・パッド処理機能を有する。既存の格納媒体２１４は、既存のハードディスク格納装置であることが好ましい。
【００１６】
他の種類のコンピュータ・システム２１２を利用することも可能であり、また、処理システム２１０の処理要請に対処するために付加的なコンピュータ・システム２１２および同種又は異種の格納媒体２１４を利用することも可能である。さらに、基地局送信機２０６から分離した又は連結した付加的な基地局受信機２０７を利用して、所望の入来信号感度を得ることも可能であり、また、基地局送信機２０６および基地局受信機２０７に対する付加的な別個のアンテナ１１８を利用することも可能である。
【００１７】
格納媒体（マス・メディア）２１４は、本発明において利用されるソフトウエアおよび様々なデータベースを含むことが好ましい。特に、マス・メディア２１４は、メッセージ処理要素２２２を含み、これは後述するように処理システム２１０をプログラムして本発明にしたがってメッセージを処理する。このマス・メディアは、本発明における携帯用加入者装置１２２の位置を調べるための位置情報も含む。コントローラ１１２および基地局１１６は、システムの大きさおよび構造に依存して、互いに連結されている又は分離されているようにすることも可能である。大きなシステムにあっては、コントローラ１１２の機能要素は、複数のネットワーク化されたコントローラ内に分散させることも可能である。
【００１８】
図３は、本発明における携帯用加入者装置１２２のブロック図である。この装置は、基地局１１６からの伝送を捕獲するアンテナ３０４を備える。アンテナ３０４は、伝送内容を受信して情報を引きだすための既存の受信機３０８に結合されている。アンテナ３０４は、メッセージ・システムの固定部１０２に情報を送信する送信機３０２にも結合されることが好ましい。受信機３０８および送信機３０２は、処理システム３０６に結合される。この処理システムは既存のプロセッサ３１０より成り、受信されたおよび送信された情報を処理するディジタル処理プロセッサ(DSP)より成ることが好ましい。特に、好適実施例にあってはモトローラ・インコーポレイテッドによる56800DSPモデルが使用される。プロセッサ３１０に関し、他の同様なプロセッサを利用することも可能であろう。送信機３０２および受信機３０８は、参照周波数３０３にも結合される。参照周波数３０３は処理システム３０６に結合され、参照周波数を調整することにより、処理システムが携帯用加入者装置１２２をある通信チャネルに調整できるようにする。これは、以下に説明するような複数の微調整信号内で伝送されたトーン対(pair of tones)によるものである。送信機３０２は、１方向メッセージ・システムでは省略することも可能である。
【００１９】
処理システム３０６は、例えば既存の液晶ディスプレイ３１６を介してユーザに受信情報の一部を提供するユーザ・インターフェース３１４にも結合されることが好ましい。ユーザ・インターフェース３１４は、ユーザに新規情報が到来したことを知らせる既存の報知要素３１８も含む。さらに、ユーザ・インターフェース３１４は、加入者装置１２２を制御する周知のユーザ制御要素３２０を含む。プロセッサ３１０は、加入者装置１２２が応答可能である選択呼出アドレス３２２を格納する既存のメモリ３１２に結合される。メモリ３１２は、本発明により処理システム３０６をプログラムするメッセージ処理要素３２４を備える。特に、メモリ３１２は、処理システムにフーリエ変換計算を実行させるためのフーリエ処理要素３２６と、携帯用加入者装置１２２の位置を調べるための位置情報要素３２８とを有し、これらについては後述する。位置情報要素３２８は、１方向システムでは省略することが可能である。
【００２０】
図４は本発明によるメッセージ・システムの基地局送信機２０６用の割当スロット構成４００を例示的に示す。この図には、番号１−１２が付された基地局送信機２０６周囲の複数の６角形セルと、グループ化された第１集合(cluster)４０２と、この集合に隣接する６つの集合４０４が描かれている。各セルは、各々のセルの中央に配置された基地局送信機２０６によりサービス提供される理想的なカバレッジ領域を表現する。各セル内の送信機番号は、送信機が後述するトーン対より成る微調整信号を送信する期間のタイム・スロットに対応する。
【００２１】
図５は本発明によるメッセージ・システムのためのプロトコル・タイミング５００を示す。タイミング５００は、外出送信のために使用される通信プロトコルの一部を表現する。このプロトコルでは、ディジタル同期信号５０２の後に、例えば２５ｍｓの短期間のサイレンス(silence)５０４が続く。サイレンス５０４の後には、Ｋ個の微調整信号(fine tuning signal)が続き、各々はＫ個のタイムスロット５１０のうちの１つの中で伝送される。Ｋの値は、集合４０２，４０４内の基地局送信機数に等しいことが好ましい。この例示的なスロット割当図にあっては、Ｋの値は１２である。各タイムスロット５１０はトーン対５１２を含み、これは例えば７．５ｍｓの所定の第１期間内に伝送される１対のキャリアである。スロット数はチャネル割当４００の送信機数に対応することが好ましく、例えばスロット４の間は、番号４が割り当てられた総ての送信機が各々のトーン対を送信する。各集合４０２，４０４のトーン対は異なり、トーン周波数は例えば４００Ｈｚの所定の周波数シフトだけずれていることが好ましい。また、トーン対５１２は、周知の手法を利用して特性を改善するためにブラックマン・ウインドウ化される(Blackman windowed)ことが好ましい。しかしながら、ハミングやハミング・ウインドウ(Hamming window)のような他のウインドウ関数を利用して特性を改善することも可能であろう。
【００２２】
図６は、本発明による理想的なスペクトル・ダイヤグラム６００を例示するものである。スペクトル・ダイヤグラム６００は、単独のタイムスロット期間中に携帯用加入者装置１２２により受信されたスペクトルを示す。例えば、タイムスロットがスロット４であり、携帯用加入者装置１２２が中央の集合４０２内に位置する場合、支配的なトーン対６０２，６０４は、その中央の集合ナイン送信機番号４からのものである。より弱いトーン対６０６，６０８は隣接集合４０４内の送信機番号４からのものである。各トーン対中のトーンは、例えば２８００Ｈｚである所定の量６１０だけ周波数分離されている。異なる隣接セル４０２，４０４のトーン対は、互いに４００Ｈｚだけ周波数シフトされている（６１２）。この値は、スロット期間が７．５ｍｓであるときに、総てのトーンの直交性を保証するものである。所与の集合４０２，４０４の各送信機は、対応するタイムスロット内で同一の２つの周波数トーン対を送出する。集合４０２，４０４は、このトーン周波数対により識別されることが可能であり、送信機はそのタイムスロットから区別することが可能である。信号６１４は、携帯用加入者装置１２２に対するトーン周波数対６０２，６０４，６０６，６０８の周波数とは異なる参照周波数であることが好ましい。この参照周波数６１４は、送信機番号に適合しない総てのタイムスロット期間中に各送信機から送出される。あるいは、参照周波数信号６１４を送出せずに、サイレンスに置き換えることも可能である。
【００２３】
図７は本発明によるメッセージ・システムの動作を説明するためのフローチャート７００を示す。フローチャート７００は、コントローラ１１２が基地局送信機２０６にディジタル同期信号５０２を同時伝送するように制御することから始まる（７０２）。コントローラ１１２は、基地局送信機２０６がＫ個のタイムスロットの期間中にＫ個の微調整信号を伝送するように制御する（７０４）。これらのタイムスロットは、基地局送信機２０６のうちの１つに割り当てられた各タイムスロットであり、図４−６で参照され、Ｋ＝１２である。各微調整信号は、所定の量だけ周波数分離された１対のトーンより成り、例えばゼロ相対位相のような所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有する。携帯用加入者装置１２２は、ディジタル同期信号５０２を受信し（７０６）、粗い推定(rough estimate)を行う（７０８）。これは例えば、ディジタル同期信号５０２から、およびタイムスロット５１０の所定の配置に関する知識から、各タイムスロット５１０の微調整信号５０６の開始から１５０μ秒近辺、のような精度である。
【００２４】
次に携帯用加入者装置１２２は、タイムスロット５１０の各々について、受信信号上の２Ｍ点フーリエ変換（ＦＴ）を計算する（７１０）。この受信信号は、集合４０２の基地局送信機２０６から、および隣接集合４０１の基地局送信機２０６に対応するＭ−１個のものから、のタイムスロット期間中に受信したＭ個の微調整信号より成る。
【００２５】
Ｍ＝７の図４−６の例示的なメッセージ・システムについて、１４点のＦＴ計算結果は図６に示すようなものになるであろう（ただし、携帯用加入者装置１２２で必要とされない参照周波数信号６１４はない。）。ＦＴ計算により生成された振幅から、処理システム３０６は、各タイムスロット５１０について、最高の振幅値を有する支配的な微調整信号(dominant fine tuning signal)を調べる。図６にあっては、これはトーン対６０２，６０４である。処理システム３０６は、以下に説明するようにして、その支配的な微調整信号に対して実行されたＦＴ計算から、支配的な微調整信号の相対的な到来時間も調べる。
【００２６】
各タイムスロット期間中に第１集合４０２内の携帯用加入者装置１２２が受信する信号は、次式で表される。
【００２７】
【数１】
ここで、A1は集合ｉの送信機からの信号振幅であり、ω1iおよびω2iは集合ｉの送信機のトーン周波数対であり、φiはチャネル位相であり、τiは集合ｉの送信機からの伝送遅延であり、n(t)は周辺の付加的なホワイト・ガウシアン・ノイズ(White Gaussian noise)である。
【００２８】
S(t)は次式のようにも表現することができる。
【００２９】
【数２】
ここで、i(t)は２次的送信機からの信号寄与、すなわち第１集合４０２に隣接する集合中の送信機からの寄与である。
【００３０】
S(t)のフーリエ変換をS(ω)、n(t)のフーリエ変換をN(ω)とし、S(ω)の複素共役をS(ω)バーとする。
【００３１】
【数３】
ここで、隣接集合のトーン対間の直交性に起因して、i(t)のフーリエ変換は周波数ω11およびω21においてゼロに等しい点に留意すべきである。各タイムスロット期間中の支配的なトーン対の到来時間の推定値は、次式のようになる。
【００３２】
【数４】
この到来時間の推定値が、フーリエ変換を計算するために使用されたウインドウの開始(start of window)に関連するものであることは、有益なものとなろう。ディジタル同期信号５０２およびタイムスロット割当の知識に基づいて調べられるように、各タイムスロット５１０について、そのウインドウは、タイムスロットの始まりに対応するデータとともに開始される。
【００３３】
再び図７を参照する。処理システム３０６は、メッセージ・システムの固定部１０２に相対到来時間の推定値を送信する（７１２）。コントローラ１１２は、基地局受信機２０７からその相対到来時間を受信し（７１４）、周知の手法を利用してその相対到来時間から携帯用加入者装置１２２の位置を計算する。あるいは、携帯用加入者装置１２２は、送信機位置のデータベースその他のマップ情報を利用して予めプログラムしておき、携帯用加入者装置１２２が自身の位置を計算し（７１６）、ユーザにその位置を表示するようにすることも可能である。このようにすることは、１方向メッセージ・システムに特に有益である。処理システム３０６は、微調整信号のトーン対にしたがって参照周波数３０３を調整することによって（７１８）、通信チャネルに対する正確な調整を維持することが好ましい。このような処理は、支配的トーン対のトーンのうちの一方の近辺で付加的なＦＴを計算することにより行い、最大振幅を有する周波数を見出すことが好ましい。この周波数と基地局送信機２０６により伝送された既知の高精度周波数（集合の身元情報からの知識）との間の相違は、周波数誤差である。この周波数誤差は、周知の手法を利用して、参照周波数３０３の出力周波数を補正するために使用される。この周波数誤差は、複数のタイムスロットについて計算され、マクロ・ダイバーシティ(macro-diversity)により精度を改善するため平均化されることが好ましい。
【００３４】
次に、携帯用加入者装置１２２は、各タイムスロット５１０の支配的微調整信号に対して、キャリアとノイズおよびプラス干渉との比C/(N+I)を計算する（７２０）。この計算は、各タイムスロットの支配的トーン対の電力を加算し、その加算結果を、隣接集合４０４からの他の６つの干渉トーン対の電力和で除算することにより行われることが好ましい。最高のC/(N+I)を有するタイムスロットに対応する基地局送信機２０６はが、支配的送信機として選択される。処理システムは、その支配的送信機に対応するトーン対の到来時刻の推定値を利用することにより、微調整信号の始まりの粗い推定値を微調整する（７２２）。これは、ＦＴウインドウの既知の開始時間に、ＦＴウインドウの開始に関する微調整信号の開始部の計算された到来時間を加算することによって行われる。処理システム３０６は、微調整信号の開始の微調整された推定値から、携帯用加入者装置１２２のシンボル・タイミングに同期する（７２４）。この手法によれば、マイクロ秒より微細な精度でシンボル・タイミングを得ることが可能になる。
【００３５】
処理システム３０６は、最高のC/(N+I)に対応する信号品質指標を計算し（７２６）、その信号品質指標を周知の手法を利用してメッセージ・システムの固定部１０２に送信することが好ましい。固定部１０２は、例えば伝送速度、電力、ビーム放射またはオムニ指向性伝送等のデータ伝送に関するユーザの伝送手法を調べる。あるいは、処理システム３０６が伝送手法を調べ（７２６）、その伝送手法を固定部１０２に知らせるようにすることも可能である。
【００３６】
本発明により、高速変調手法が採用される場合の携帯用加入者装置に同期する方法および装置が提供される。また、本発明によれば、周波数上で加入者装置を追跡し、受信信号の品質を調べることにより加入者装置を見出す方法および装置も提供される。
【００３７】
さらに、上記本発明の説明に基づいて、様々な修正や変形を行うことも可能であろう。例えば、例示的に１２セルの再利用パターンおよび５６００Ｈｚのサブ・チャネル帯域に基づく実施例を説明したが、他の再利用パターンおよび他の帯域に本発明を利用することも可能である。従って、本発明は先に説明した実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるメッセージ・システムの例示的ブロック図である。
【図２】 本発明によるコントローラおよび基地局の部分ブロック図である。
【図３】 本発明による携帯用加入者装置のブロック図である。
【図４】 本発明によるメッセージ・システムの送信機用の例示的スロット割当図である。
【図５】 本発明によるメッセージ・システムの例示的タイミング・プロトコルを示す。
【図６】 本発明による理想的な例示的スペクトル図である。
【図７】 本発明によるメッセージ・システムの動作を表すフロー・チャートである。
本発明は一般に無線通信システムに関し、特に、メッセージ・システムにおける通信設備のための方法および装置に関する。
【０００１】
（発明の背景）
一般に双方向メッセージ・システムが知られている。この種のメッセージ・システムが発達するにつれて、ユーザの要請に応じるべく大量のデータ通信を行う必要性が生じてきた。この必要性は、直交振幅変調(QAM)のような高速変調技術に対する制約をもたらす。伝送速度がより高速になると、メッセージが送られる携帯用加入者装置の場所を必要とすることになる。このため、短期間シンボルにおける異なる伝送遅延の劣化効果に起因して、高速伝送では同時伝送(simulcast transmission)は使用されない。そのかわりに、ある信号送信機から近くの加入者装置への非同時伝送(non-simulcast transmission)が必要とされ、加入者装置の位置に対する必要性に対処している。
【０００２】
一方、同時伝送を例えばわずかに利用したとしても、加入者装置を見出す必要性は残り、これはその位置が未知である場合、または総ての加入者に影響を及ぼすシステム・ワイド・コマンド(system-wide command)を伝送する場合である。また、メッセージ・システムを介して加入者装置の同期のために同時伝送を使用することも考えられる。しかしながら、同時伝送の同期信号単独では、非同時伝送を利用する非常に高速な伝送に同期するのに充分な精度および分解能を備えていない。
【０００３】
したがって、高速変調技術が使用される場合における加入者装置に同期するための方法および装置が必要とされている。また、その加入者を探索する方法および装置も必要とされている。
【０００４】
（発明の概要）
本発明の一形態によれば、メッセージ・システムにおける通信設備のための方法が提供される。このメッセージ・システムは第１集合内のＫ個の送信機より成り（Ｋは所定の正の整数）、この方法は、ディジタル同期信号を同時伝送する段階およびＫ個のタイムスロット期間中にＫ個の微調整信号を伝送する段階より成り、タイムスロットの各々には送信機のうちの１つが割り当てられ、各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された１対のトーン信号より成り、所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有し、当該方法は更に携帯用加入者装置において、ディジタル同期信号および微調整信号を受信し、ディジタル同期信号および前記タイムスロットの所定の配置に関する情報に基づいて、微調整信号の開始に関する粗い推定値を生成し、第１集合中のある送信機からおよび隣接する集合の送信機に対応するＭ−１個からのタイムスロット期間中に受信されたＭ個の微調整信号より成る受信信号における、２Ｍ点フーリエ変換（ＦＴ）を各タイムスロットについて計算し、少なくとも１つの微調整信号に対応するＦＴ計算を利用して粗い推定値を微調整し、少なくとも１つの微調整信号の開始部に対する微調整を行う方法である。
【０００５】
本発明の他の形態にあっては、メッセージ・システムにおける通信装置を利用する携帯用加入者装置が提供される。この携帯用加入者装置は、ディジタル同期信号と、メッセージ・システムの固定部内のＫ個の送信機により伝送されたＫ個の微調整信号とをＫ個のタイムスロット期間中に受信する受信機であって、Ｋは所定の正の整数であり、各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された１対のトーンより成り、所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有するところの受信機と、受信機に結合され、ディジタル同期信号およびタイムスロットの所定の配置に関する知識に基づいて微調整信号の開始部の粗い推定値を生成する処理システムより成り、処理システムは、第１集合中の送信機から、および隣接集合中の対応するＭ−１個のものからのタイムスロット期間中に受信されたＭ個の微調整信号より成る受信信号において、各タイムスロットについて２Ｍ点フーリエ変換（ＦＴ）を計算し、このＦＴ計算に基づいて、微調整信号の少なくとも１つに対応する粗い推定値を微調整し、微調整信号の前記少なくとも１つの開始部の微調整された推定値を生成する携帯用加入者装置である。
【０００６】
（実施例）
図１は、本発明によるメッセージ・システムを例示するブロック図を示す。このシステムは、コントローラ１１２および複数の基地局１１６を含む固定部１０２と、認証返送機能(acknowledge-back capability)を有することが好ましい複数の携帯用加入者装置１２２を含む携帯部１２２とを備える。基地局１１６は、一般的な無線周波数（ＲＦ）技術を利用して携帯加入者装置１２２と通信を行うために使用され、基地局１１６を制御するコントローラ１２２に通信リンク１１４を介して結合される。
【０００７】
コントローラのハードウエアは、モトローラ・インコーポレイテッドによる無線メッセージ・ゲートウエイ(WMG(商標): Wireless Messaging Gateway)アドミニストレータ・ページング端末およびＲＦコンダクタ(商標)メッセージ分配装置の組み合わせによることが好ましい。基地局１１６のハードウエアは、モトローラ・インコーポレイテッドによるニュークレアス・オーケストラ(Nucleus(商標) Orchestra)送信機およびＲＦオーディエンス(RF Audience(商標))受信機の組み合わせによることが好ましい。携帯用加入者装置のハードウエアは、モトローラ・インコーポレイテっどのページファインダ(PageFinder(商標))のようなものであることが好ましい。コントローラ１１２，基地局１１６および携帯用加入者装置１２２に対して他の同種のハードウエアを採用することも可能であることは言うまでもない。
【０００８】
各基地局１１６は、送受信アンテナ１１８を介して携帯用加入者装置１２２にＲＦ信号を送信する。各基地局１１６は、送受信アンテナ１１８を介して複数の携帯用加入者装置１２２からＲＦ信号を受信することが好ましい。基地局１１６から携帯用加入者装置１２２に伝送されたＲＦ信号(外出信号(outbound signal))は、携帯用加入者装置１２２を区別する選択呼出アドレスおよび発呼者により発せられたメッセージより成り、更には無線通信システムの動作パラメータを調整するためにコントローラ１１２により発せられた命令も含む。携帯用加入者装置１２２から基地局１１６へ伝送されたＲＦ信号(入来信号(inbound signal))は、肯定応答(ACK)および否定応答(NAK)のような予め予定されたメッセージと、登録要求のような予め予定されていないメッセージを含む。認証返送メッセージ・システムの例は、Siwiak et al.による１９８９年１０月１７日に特許された米国特許番号4,875,038があり、本願でも利用可能である。また、本発明はいくつかの制約とともに１方向メッセージ・システムにも利用可能である。
【０００９】
コントローラ１２２は、電話リンク１０１を介して、発せられた選択呼出メッセージを受信する公衆切換電話ネットワーク(PSTN)１１０に結合されることが好ましい。ＰＳＴＮ１１０からのメッセージより成る選択呼出発呼は、例えば、ＰＳＴＮ１１０に結合された既存の電話１１１から発生させることが可能である。なお、パケット切換ネットワークおよびローカル・エリア・ネットワークのような他の種類の通信ネットワークを利用して、コントローラ１１２に発呼メッセージを転送することも可能である。
【００１０】
外出および入来メッセージ用に使用されるプロトコルは、本発明により修正されるモトローラのよく知られたフレックス(FLEX(商標))双方向ディジタル選択呼出信号プロトコルに類似するものを使用することが可能である。このプロトコルは、周知のエラー検出およびエラー補償技術を使用し、伝送中に生じるビット・エラーに対処するものである。ただし、任意の１コード・ワード中のビット・エラーが多すぎるものでないことを前提とする。
【００１１】
図２は、本発明によるコントローラ１１２および基地局１１６の部分ブロック図２００を示す。コントローラ１１２は、処理システム２１０，既存の基地局インターフェース２０４，および既存のネットワーク・インターフェース２１８を備える。基地局１１６は送信機２０６を備え、少なくとも１つの受信機２０７を備えることが好ましい。
【００１２】
処理システム２１０は、コントローラ１１２の動作を指示するために使用される。この処理システム２１０は、基地局インターフェース２０４を経て通信リンク１１４介して基地局送信機２０６に結合されることが好ましい。１方向メッセージ・システムにあっては、基地局受信機２０７を省略することも可能である。
【００１３】
通信リンク１１４としては、例えば、直接ワイヤ・ライン(電話)リンク、データ通信リンク、無線周波数(ＲＦ)送受信リンク、マイクロ波送受信リンクまたは衛星リンク等の既存の手段を利用することが可能である。処理システム２１０は、電話線リンク１０１を経てＰＳＴＮ１１０を介して通信する発呼者により発せられた外出メッセージを受信するためのネットワーク・インターフェース２１８にも結合される。
【００１４】
コントローラ１１２および基地局１１６の動作を制御するために必要な機能を実行するために、処理システム２１０は、既存オコンピュータ・システム２１２および既存の記憶媒体２１４を備えることが好ましい。この既存の記憶媒体２１４は、例えば、携帯用加入者装置１２２のアドレスおよびプログラム・オプションのような加入者情報より成る加入者データベース２２０を含む。
【００１５】
既存のコンピュータ・システム２１２は、既存の記憶媒体２１４に含まれるソフトウエアによりプログラムされ、本発明により必要とされる動作および機能を実行することが好ましい。既存のコンピュータ・システム２１２は、サン・マイクロシステムズ,インコーポレイテッドのVTE Sparc(商標)プロセッサのような複数のプロセッサより成ることが好ましい。これらのプロセッサは、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(DRAM)のようなメモリを備え、このメモリはプログラムを実行する際の一時的メモリ格納装置としての機能を実行する。また、プロセッサは例えばＰＳＴＮ１１０を利用して発呼者から発せられたメッセージを格納および待行列化し(queuing)、携帯用加入者装置１２２から受信した認証結果を処理し、携帯用加入者装置１２２に対して予め予定されたメッセージのプロトコル処理を行うようなスクラッチ・パッド処理機能を有する。既存の格納媒体２１４は、既存のハードディスク格納装置であることが好ましい。
【００１６】
他の種類のコンピュータ・システム２１２を利用することも可能であり、また、処理システム２１０の処理要請に対処するために付加的なコンピュータ・システム２１２および同種又は異種の格納媒体２１４を利用することも可能である。さらに、基地局送信機２０６から分離した又は連結した付加的な基地局受信機２０７を利用して、所望の入来信号感度を得ることも可能であり、また、基地局送信機２０６および基地局受信機２０７に対する付加的な別個のアンテナ１１８を利用することも可能である。
【００１７】
格納媒体（マス・メディア）２１４は、本発明において利用されるソフトウエアおよび様々なデータベースを含むことが好ましい。特に、マス・メディア２１４は、メッセージ処理要素２２２を含み、これは後述するように処理システム２１０をプログラムして本発明にしたがってメッセージを処理する。このマス・メディアは、本発明における携帯用加入者装置１２２の位置を調べるための位置情報も含む。コントローラ１１２および基地局１１６は、システムの大きさおよび構造に依存して、互いに連結されている又は分離されているようにすることも可能である。大きなシステムにあっては、コントローラ１１２の機能要素は、複数のネットワーク化されたコントローラ内に分散させることも可能である。
【００１８】
図３は、本発明における携帯用加入者装置１２２のブロック図である。この装置は、基地局１１６からの伝送を捕獲するアンテナ３０４を備える。アンテナ３０４は、伝送内容を受信して情報を引きだすための既存の受信機３０８に結合されている。アンテナ３０４は、メッセージ・システムの固定部１０２に情報を送信する送信機３０２にも結合されることが好ましい。受信機３０８および送信機３０２は、処理システム３０６に結合される。この処理システムは既存のプロセッサ３１０より成り、受信されたおよび送信された情報を処理するディジタル処理プロセッサ(DSP)より成ることが好ましい。特に、好適実施例にあってはモトローラ・インコーポレイテッドによる56800DSPモデルが使用される。プロセッサ３１０に関し、他の同様なプロセッサを利用することも可能であろう。送信機３０２および受信機３０８は、参照周波数３０３にも結合される。参照周波数３０３は処理システム３０６に結合され、参照周波数を調整することにより、処理システムが携帯用加入者装置１２２をある通信チャネルに調整できるようにする。これは、以下に説明するような複数の微調整信号内で伝送されたトーン対(pair of tones)によるものである。送信機３０２は、１方向メッセージ・システムでは省略することも可能である。
【００１９】
処理システム３０６は、例えば既存の液晶ディスプレイ３１６を介してユーザに受信情報の一部を提供するユーザ・インターフェース３１４にも結合されることが好ましい。ユーザ・インターフェース３１４は、ユーザに新規情報が到来したことを知らせる既存の報知要素３１８も含む。さらに、ユーザ・インターフェース３１４は、加入者装置１２２を制御する周知のユーザ制御要素３２０を含む。プロセッサ３１０は、加入者装置１２２が応答可能である選択呼出アドレス３２２を格納する既存のメモリ３１２に結合される。メモリ３１２は、本発明により処理システム３０６をプログラムするメッセージ処理要素３２４を備える。特に、メモリ３１２は、処理システムにフーリエ変換計算を実行させるためのフーリエ処理要素３２６と、携帯用加入者装置１２２の位置を調べるための位置情報要素３２８とを有し、これらについては後述する。位置情報要素３２８は、１方向システムでは省略することが可能である。
【００２０】
図４は本発明によるメッセージ・システムの基地局送信機２０６用の割当スロット構成４００を例示的に示す。この図には、番号１−１２が付された基地局送信機２０６周囲の複数の６角形セルと、グループ化された第１集合(cluster)４０２と、この集合に隣接する６つの集合４０４が描かれている。各セルは、各々のセルの中央に配置された基地局送信機２０６によりサービス提供される理想的なカバレッジ領域を表現する。各セル内の送信機番号は、送信機が後述するトーン対より成る微調整信号を送信する期間のタイム・スロットに対応する。
【００２１】
図５は本発明によるメッセージ・システムのためのプロトコル・タイミング５００を示す。タイミング５００は、外出送信のために使用される通信プロトコルの一部を表現する。このプロトコルでは、ディジタル同期信号５０２の後に、例えば２５ｍｓの短期間のサイレンス(silence)５０４が続く。サイレンス５０４の後には、Ｋ個の微調整信号(fine tuning signal)が続き、各々はＫ個のタイムスロット５１０のうちの１つの中で伝送される。Ｋの値は、集合４０２，４０４内の基地局送信機数に等しいことが好ましい。この例示的なスロット割当図にあっては、Ｋの値は１２である。各タイムスロット５１０はトーン対５１２を含み、これは例えば７．５ｍｓの所定の第１期間内に伝送される１対のキャリアである。スロット数はチャネル割当４００の送信機数に対応することが好ましく、例えばスロット４の間は、番号４が割り当てられた総ての送信機が各々のトーン対を送信する。各集合４０２，４０４のトーン対は異なり、トーン周波数は例えば４００Ｈｚの所定の周波数シフトだけずれていることが好ましい。また、トーン対５１２は、周知の手法を利用して特性を改善するためにブラックマン・ウインドウ化される(Blackman windowed)ことが好ましい。しかしながら、ハミングやハミング・ウインドウ(Hamming window)のような他のウインドウ関数を利用して特性を改善することも可能であろう。
【００２２】
図６は、本発明による理想的なスペクトル・ダイヤグラム６００を例示するものである。スペクトル・ダイヤグラム６００は、単独のタイムスロット期間中に携帯用加入者装置１２２により受信されたスペクトルを示す。例えば、タイムスロットがスロット４であり、携帯用加入者装置１２２が中央の集合４０２内に位置する場合、支配的なトーン対６０２，６０４は、その中央の集合ナイン送信機番号４からのものである。より弱いトーン対６０６，６０８は隣接集合４０４内の送信機番号４からのものである。各トーン対中のトーンは、例えば２８００Ｈｚである所定の量６１０だけ周波数分離されている。異なる隣接セル４０２，４０４のトーン対は、互いに４００Ｈｚだけ周波数シフトされている（６１２）。この値は、スロット期間が７．５ｍｓであるときに、総てのトーンの直交性を保証するものである。所与の集合４０２，４０４の各送信機は、対応するタイムスロット内で同一の２つの周波数トーン対を送出する。集合４０２，４０４は、このトーン周波数対により識別されることが可能であり、送信機はそのタイムスロットから区別することが可能である。信号６１４は、携帯用加入者装置１２２に対するトーン周波数対６０２，６０４，６０６，６０８の周波数とは異なる参照周波数であることが好ましい。この参照周波数６１４は、送信機番号に適合しない総てのタイムスロット期間中に各送信機から送出される。あるいは、参照周波数信号６１４を送出せずに、サイレンスに置き換えることも可能である。
【００２３】
図７は本発明によるメッセージ・システムの動作を説明するためのフローチャート７００を示す。フローチャート７００は、コントローラ１１２が基地局送信機２０６にディジタル同期信号５０２を同時伝送するように制御することから始まる（７０２）。コントローラ１１２は、基地局送信機２０６がＫ個のタイムスロットの期間中にＫ個の微調整信号を伝送するように制御する（７０４）。これらのタイムスロットは、基地局送信機２０６のうちの１つに割り当てられた各タイムスロットであり、図４−６で参照され、Ｋ＝１２である。各微調整信号は、所定の量だけ周波数分離された１対のトーンより成り、例えばゼロ相対位相のような所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有する。携帯用加入者装置１２２は、ディジタル同期信号５０２を受信し（７０６）、粗い推定(rough estimate)を行う（７０８）。これは例えば、ディジタル同期信号５０２から、およびタイムスロット５１０の所定の配置に関する知識から、各タイムスロット５１０の微調整信号５０６の開始から１５０μ秒近辺、のような精度である。
【００２４】
次に携帯用加入者装置１２２は、タイムスロット５１０の各々について、受信信号上の２Ｍ点フーリエ変換（ＦＴ）を計算する（７１０）。この受信信号は、集合４０２の基地局送信機２０６から、および隣接集合４０１の基地局送信機２０６に対応するＭ−１個のものから、のタイムスロット期間中に受信したＭ個の微調整信号より成る。
【００２５】
Ｍ＝７の図４−６の例示的なメッセージ・システムについて、１４点のＦＴ計算結果は図６に示すようなものになるであろう（ただし、携帯用加入者装置１２２で必要とされない参照周波数信号６１４はない。）。ＦＴ計算により生成された振幅から、処理システム３０６は、各タイムスロット５１０について、最高の振幅値を有する支配的な微調整信号(dominant fine tuning signal)を調べる。図６にあっては、これはトーン対６０２，６０４である。処理システム３０６は、以下に説明するようにして、その支配的な微調整信号に対して実行されたＦＴ計算から、支配的な微調整信号の相対的な到来時間も調べる。
【００２６】
各タイムスロット期間中に第１集合４０２内の携帯用加入者装置１２２が受信する信号は、次式で表される。
【００２７】
【数１】
【００２８】
S(t)は次式のようにも表現することができる。
【００２９】
【数２】
【００３０】
S(t)のフーリエ変換をS(ω)、n(t)のフーリエ変換をN(ω)とし、S(ω)の複素共役をS(ω)バーとする。
【００３１】
【数３】
【００３２】
【数４】
【００３３】
再び図７を参照する。処理システム３０６は、メッセージ・システムの固定部１０２に相対到来時間の推定値を送信する（７１２）。コントローラ１１２は、基地局受信機２０７からその相対到来時間を受信し（７１４）、周知の手法を利用してその相対到来時間から携帯用加入者装置１２２の位置を計算する。あるいは、携帯用加入者装置１２２は、送信機位置のデータベースその他のマップ情報を利用して予めプログラムしておき、携帯用加入者装置１２２が自身の位置を計算し（７１６）、ユーザにその位置を表示するようにすることも可能である。このようにすることは、１方向メッセージ・システムに特に有益である。処理システム３０６は、微調整信号のトーン対にしたがって参照周波数３０３を調整することによって（７１８）、通信チャネルに対する正確な調整を維持することが好ましい。このような処理は、支配的トーン対のトーンのうちの一方の近辺で付加的なＦＴを計算することにより行い、最大振幅を有する周波数を見出すことが好ましい。この周波数と基地局送信機２０６により伝送された既知の高精度周波数（集合の身元情報からの知識）との間の相違は、周波数誤差である。この周波数誤差は、周知の手法を利用して、参照周波数３０３の出力周波数を補正するために使用される。この周波数誤差は、複数のタイムスロットについて計算され、マクロ・ダイバーシティ(macro-diversity)により精度を改善するため平均化されることが好ましい。
【００３４】
次に、携帯用加入者装置１２２は、各タイムスロット５１０の支配的微調整信号に対して、キャリアとノイズおよびプラス干渉との比C/(N+I)を計算する（７２０）。この計算は、各タイムスロットの支配的トーン対の電力を加算し、その加算結果を、隣接集合４０４からの他の６つの干渉トーン対の電力和で除算することにより行われることが好ましい。最高のC/(N+I)を有するタイムスロットに対応する基地局送信機２０６はが、支配的送信機として選択される。処理システムは、その支配的送信機に対応するトーン対の到来時刻の推定値を利用することにより、微調整信号の始まりの粗い推定値を微調整する（７２２）。これは、ＦＴウインドウの既知の開始時間に、ＦＴウインドウの開始に関する微調整信号の開始部の計算された到来時間を加算することによって行われる。処理システム３０６は、微調整信号の開始の微調整された推定値から、携帯用加入者装置１２２のシンボル・タイミングに同期する（７２４）。この手法によれば、マイクロ秒より微細な精度でシンボル・タイミングを得ることが可能になる。
【００３５】
処理システム３０６は、最高のC/(N+I)に対応する信号品質指標を計算し（７２６）、その信号品質指標を周知の手法を利用してメッセージ・システムの固定部１０２に送信することが好ましい。固定部１０２は、例えば伝送速度、電力、ビーム放射またはオムニ指向性伝送等のデータ伝送に関するユーザの伝送手法を調べる。あるいは、処理システム３０６が伝送手法を調べ（７２６）、その伝送手法を固定部１０２に知らせるようにすることも可能である。
【００３６】
本発明により、高速変調手法が採用される場合の携帯用加入者装置に同期する方法および装置が提供される。また、本発明によれば、周波数上で加入者装置を追跡し、受信信号の品質を調べることにより加入者装置を見出す方法および装置も提供される。
【００３７】
さらに、上記本発明の説明に基づいて、様々な修正や変形を行うことも可能であろう。例えば、例示的に１２セルの再利用パターンおよび５６００Ｈｚのサブ・チャネル帯域に基づく実施例を説明したが、他の再利用パターンおよび他の帯域に本発明を利用することも可能である。従って、本発明は先に説明した実施例に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明によるメッセージ・システムの例示的ブロック図である。
【図２】 本発明によるコントローラおよび基地局の部分ブロック図である。
【図３】 本発明による携帯用加入者装置のブロック図である。
【図４】 本発明によるメッセージ・システムの送信機用の例示的スロット割当図である。
【図５】 本発明によるメッセージ・システムの例示的タイミング・プロトコルを示す。
【図６】 本発明による理想的な例示的スペクトル図である。
【図７】 本発明によるメッセージ・システムの動作を表すフロー・チャートである。
Claims (24)
- メッセージ・システムにおける通信設備のための方法であって、前記メッセージ・システムは第１集合内のＫ個の送信機より成り（Ｋは所定の正の整数）、当該方法は：
ディジタル同期信号を同時伝送する段階；および
Ｋ個のタイムスロット期間中にＫ個の微調整信号を伝送する段階；
より成り、タイムスロットの各々には前記送信機のうちの１つが割り当てられ、各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された１対のトーン信号より成り、所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有し、当該方法は更に携帯用加入者装置において：
前記ディジタル同期信号および該ディジタル同期信号に続く前記微調整信号を受信し；
前記ディジタル同期信号および前記タイムスロットの所定の配置に関する情報に基づいて、前記微調整信号の開始に関する粗い推定値を生成し；
前記第１集合中のある送信機から、および隣接する集合の送信機に対応するＭ−１個からのタイムスロット期間中に受信されたＭ個の微調整信号より成る受信信号における、２Ｍ点フーリエ変換値を各タイムスロットについて計算し；
前記少なくとも１つの微調整信号に対応するフーリエ変換計算値を利用して前記粗い推定値を微調整し、前記少なくとも１つの微調整信号の開始部の微調整された推定値を生成し、該微調整された推定値に携帯加入者装置のシンボル・タイミングを同期させることを特徴とする方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
各タイムスロットについて、最大の振幅を有する支配的微調整信号を探索し；
各タイムスロットについて、前記支配的微調整信号に対応するフーリエ変換計算値に基づいて前記支配的微調整信号の相対的到来時間を調べることを特徴とする請求項１記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
複数の支配的微調整信号について調べられた複数の相対的到来時間を、前記メッセージ・システムの固定部に伝送し；
前記固定部において： 前記複数の相対的到来時間を受信し；
前記携帯用加入者装置が位置する場所を計算することを特徴とする請求項１記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
複数の支配的微調整信号について、複数の相対的到来時間を調べ；
前記複数の到来時間から位置を計算し；
前記携帯用加入者装置のユーザの位置を調べることを特徴とする請求項１記載の方法。 - 前記メッセージ・システムが、前記第１集合に隣接するＫ個の付加的送信機より成る第２集合を含み、
前記方法が更に前記Ｋ個の付加的な送信機において、
Ｋ個のタイムスロット期間中に、Ｋ個の付加的な微調整信号を伝送し、これら各微調整信号は、前記所定の量だけ周波数上で分離された他のトーン対より成り、前記第１集合の前記トーン対と所定の周波数だけずれていることを特徴とする請求項１記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
前記トーン対を利用して参照周波数を調整し、前記携帯用加入者装置を通信チャネルに正確に合わせることを特徴とする請求項１記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
各タイムスロットについて、最大の振幅を有する支配的微調整信号を探索し；
各タイムスロットの前記支配的微調整信号に対して、キャリアとノイズおよび干渉との比(C/(N+I))を測定し；
最大のC/(N+I)を有するタイムスロットに対応する送信機の１つを支配的送信機として選択することを特徴とする請求項１記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
前記支配的送信機により伝送された前記微調整信号の前記少なくとも１つに対する開始部の微調整された推定値に、シンボル・タイミングを同期させることを特徴とする請求項７記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
前記メッセージ・システムの固定部と通信するために使用する、最大のC/(N+I)から決定されるユーザの伝送方法を調べ；
前記伝送方法を前記メッセージ・システムの前記固定部に知らせることを特徴とする請求項７記載の方法。 - 更に前記携帯用加入者装置において：
最大のC/(N+I)に基づく信号品質指標を調べ；
前記信号品質指標を前記メッセージ・システムの固定部に伝送することを特徴とする請求項７記載の方法。 - 更に前記メッセージ・システムの固定部において：
前記信号品質指標に基づいてユーザの伝送方法を調べ、前記携帯用加入者装置に知らせることを特徴とする請求項１０記載の方法。 - メッセージ・システムにおける通信装置を利用する携帯用加入者装置であって、当該携帯用加入者装置は：
ディジタル同期信号と、前記メッセージ・システムの固定部内のＫ個の送信機により伝送され、かつ該ディジタル同期信号に続くＫ個の微調整信号とをＫ個のタイムスロット期間中に受信する受信機であって、Ｋは所定の正の整数であり、各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された１対のトーンより成り、所定値の相対位相により特徴付けられる開始部を有するところの受信機；および
前記受信機に結合され、前記ディジタル同期信号および前記タイムスロットの所定の配置に関する知識に基づいて微調整信号の開始部の粗い推定値を生成する処理システム；
より成り、前記処理システムは、第１集合中の送信機から、および隣接集合中の対応するＭ−１個のものからのタイムスロット期間中に受信されたＭ個の微調整信号より成る受信信号において、各タイムスロットについて２Ｍ点フーリエ変換値を計算し；
このフーリエ変換計算値に基づいて、前記微調整信号の少なくとも１つに対応する前記粗い推定値を微調整し、前記微調整信号の前記少なくとも１つの開始部の微調整された推定値を生成し、該微調整された推定値に携帯加入者装置のシンボル・タイミングを同期させることを特徴とする携帯用加入者装置。 - 前記処理システムが、
各タイムスロットについて、最大の振幅を有する支配的微調整信号を探索し；および
各タイムスロットについて、前記支配的微調整信号に対応するフーリエ変換計算値に基づいて前記支配的微調整信号の相対的到来時間を調べることを特徴とする請求項１２記載の携帯用加入者装置。 - 更に、
前記処理システムに結合され、前記メッセージ・システムの前記固定部に情報を伝送する送信機を備え、前記送信機が前記メッセージ・システムの前記固定部に対して、複数の支配的微調整信号について調べられた複数の相対的到来時間を送信することを前記処理システムが制御することを特徴とする請求項１２記載の携帯用加入者装置。 - 前記処理システムが、
複数の支配的微調整信号について、複数の相対的到来時間を調べ；
前記複数の到来時間から位置を計算し；
前記携帯用加入者装置のユーザの位置を調べることを特徴とする請求項１２記載の携帯用加入者装置。 - 前記処理システムに結合され前記受信機に結合され、前記携帯用加入者装置を通信チャネルに合わせるために参照周波数を利用し、前記処理システムは前記トーン対に従って前記参照周波数を調整し、前記携帯用加入者装置を前記通信チャネルに正確に合わせることを特徴とする請求項１２記載の携帯用加入者装置。
- 前記処理システムが、
各タイムスロットについて、最大の振幅を有する支配的微調整信号を探索し；
各タイムスロットの前記支配的微調整信号に対して、キャリアとノイズおよび干渉との比(C/(N+I))を測定し；
最大のC/(N+I)を有するタイムスロットに対応する送信機の１つを支配的送信機として選択することを特徴とする請求項１２記載の携帯用加入者装置。 - 前記処理システムが、
前記支配的送信機により伝送された前記微調整信号の前記少なくとも１つに対する開始部の微調整された推定値に、シンボル・タイミングを同期させることを特徴とする請求項１７記載の携帯用加入者装置。 - 前記処理システムに結合され、前記メッセージ・システムの前記固定部に情報を伝送する送信機を更に備え、
前記処理システムが、前記メッセージ・システムの固定部に通知するために、最大のC/(N+I)に基づいてユーザの伝送方法を調べ、前記伝送方法を前記メッセージ・システムの前記固定部に知らせるため送信機を制御することを特徴とする請求項１７記載の携帯用加入者装置。 - 前記処理システムに結合され、前記メッセージ・システムの前記固定部に情報を伝送する送信機を更に備え、
前記処理システムが、最大のC/(N+I)に基づく信号品質指標を調べ；
前記信号品質指標を前記メッセージ・システムの固定部に伝送するように前記送信機を制御することを特徴とする請求項１７記載の携帯用加入者装置。 - 第１集合中のＫ個の基地局送信機と、請求項１２乃至２０のいずれか１項に記載の加入者装置とを含むメッセージ・システムにおける通信設備を制御するコントローラであって、前記Ｋは所定の正の整数であり、当該コントローラは：
メッセージを受信するネットワーク・インターフェース；
前記ネットワーク・インターフェースに結合され、前記メッセージを処理する処理システム；および
前記処理システムに結合され、前記基地局送信機が前記メッセージを送信することを制御し、基地局受信機を利用して携帯用加入者装置からの応答を受信する基地局インターフェース；
を備え、前記処理システムは、ディジタル同期信号を同時伝送するために前記基地局を制御し、前記基地局送信機の１つに各々割り当てられたＫ個のタイムスロット期間中にＫ個の微調整信号を伝送するよう前記基地局送信機を制御し、前記各微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離されたトーン対より成り、所定値の相対位相により特徴付けられた開始部を有することを特徴とするコントローラ。 - 前記メッセージ・システムが、前記第１集合に隣接するＫ個の付加的な基地局送信機の第２集合を含み、前記処理システムは、Ｋ個のタイムスロット期間中にＫ個の付加的な微調整信号を付加的な基地局が伝送するように制御し、前記付加的な微調整信号は、所定の量だけ周波数上で分離された他のトーン対より成り、前記第１集合中の前記トーン対と所定の周波数だけ周波数シフトされることを特徴とする請求項２１記載のコントローラ。
- 前記処理システムは、前記携帯用加入者装置に更に伝送するために使用する伝送方法を調べ、前記伝送方法は前記携帯用加入者装置から受信された信号品質指標に基づいて定められることを特徴とする請求項２１記載のコントローラ。
- 前記処理システムが、前記携帯用加入者装置から複数の相対的到来時間を受信し、前記携帯用加入者装置が位置する場所を計算することを特徴とする請求項２１記載のコントローラ。
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