以下、本発明の第1の実施の形態に係る反応装置としての統合型ガス化炉1について、図1を参照して説明する。なお、各図において互いに同一あるいは相当する部材には同一符号または類似符号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明のうちのガス化炉部分の基本的な構成を模式的に表現したものである。図に示す統合型ガス化炉1は、熱分解即ちガス化、チャー燃焼、熱回収の3つの機能をそれぞれ担当する第1の室としてのガス化室2、第2の室としてのチャー燃焼室3、熱回収室4を備え、例えば全体が円筒形又は矩形を成した炉体内に収納されている。チャー燃焼室3は、ガス化室2に隣接して一体に形成されている。
ガス化室2、チャー燃焼室3、熱回収室4は仕切壁11、12、13、14、15で分割されており、それぞれの底部に流動媒体を含む濃厚層である流動床が形成される。各室2、3、4の流動床、即ちガス化室流動床、チャー燃焼室流動床、熱回収室流動床の流動媒体を流動させるために、各室2、3、4の底である炉底には、流動媒体中に流動化ガスを吹き込む散気装置が設けられている。散気装置は炉底部に敷かれた例えば多孔板を含んで構成され、該多孔板を広さ方向に分割して複数の部屋に分割されており、各室内の各部の空塔速度を変えるために、散気装置の各部屋から多孔板を通して吹き出す流動化ガスの流速を変化させるように構成している。空塔速度が室の各部で相対的に異なるので各室2、3、4内の流動媒体も室2、3、4の各部で流動状態が異なり、そのため内部旋回流が形成される。図中、散気装置に示す白抜き矢印の大きさは、吹き出される流動化ガスの流速を示している。例えば3bで示す箇所の太い矢印は、3aで示す箇所の細い矢印よりも流速が大きい。
ガス化室2とチャー燃焼室3の間は仕切壁11で仕切られ、チャー燃焼室3と熱回収室4の間は仕切壁12で仕切られ、ガス化室2と熱回収室4の間は仕切壁13で仕切られている(なお本図は、円筒形の炉を平面的に展開して図示しているため、仕切壁11はガス化室2とチャー燃焼室3の間にはないかのように示されている)。即ち、別々の炉として構成されておらず、一つの炉として一体に構成されている。更に、チャー燃焼室3のガス化室2と接する面の近傍には、流動媒体が下降するべく沈降チャー燃焼室5を設ける。即ち、チャー燃焼室3は沈降チャー燃焼室5と、沈降チャー燃焼室5以外のチャー燃焼室本体部とに分かれる。このため、沈降チャー燃焼室5をチャー燃焼室の他の部分(チャー燃焼室本体部)と仕切るための仕切壁14が設けられている。また沈降チャー燃焼室5とガス化室2は、仕切壁15で仕切られている。
ここで、流動床と界面について説明する。流動床は、その鉛直方向下方部にある、流動化ガスにより流動状態に置かれている流動媒体(例えば珪砂)を濃厚に含む濃厚層と、その濃厚層の鉛直方向上方部にある流動媒体と多量のガスが共存し、流動媒体が勢いよくはねあがっているスプラッシュゾーンとからなる。流動床の上方即ちスプラッシュゾーンの上方には流動媒体をほとんど含まずガスを主体とするフリーボード部がある。本発明でいう界面は、ある厚さをもった前記スプラッシュゾーンをいうが、またスプラッシュゾーンの上面と下面(濃厚層の上面)との中間にある仮想的な面ととらえてもよい。
また「流動床の界面より鉛直方向上方においてはガスの流通がないように仕切壁により仕切られ」というとき、さらに界面より下方の濃厚層の上面より上方においてガスの流通がないようにするのが好ましい。
ガス化室2とチャー燃焼室3の間の仕切壁11は、炉の天井19から炉底(散気装置の多孔板)に向かってほぼ全面的に仕切っているが、下端は炉底に接することはなく、炉底近傍に開口部21が形成されている。但しこの開口部21の上端が、ガス化室流動床界面、チャー燃焼室流動床界面のいずれの界面よりも上方にまで達することはない。さらに好ましくは、開口部21の上端が、ガス化室流動床の濃厚層の上面、チャー燃焼室流動床の濃厚層の上面のいずれよりも上方にまで達することはないようにする。言い換えれば、開口部21は、常に濃厚層に潜っているように構成するのが好ましい。即ち、ガス化室2とチャー燃焼室3とは、少なくともフリーボード部においては、さらに言えば界面より上方においては、さらに好ましくは濃厚層の上面より上方ではガスの流通がないように仕切壁11により仕切られていることになる。
またチャー燃焼室3と熱回収室4の間の仕切壁12はその上端が界面近傍、即ち濃厚層の上面よりは上方であるが、スプラッシュゾーンの上面よりは下方に位置しており、仕切壁12の下端は炉底近傍までであり、仕切壁11と同様に下端が炉底に接することはなく、炉底近傍に濃厚層の上面より上方に達することのない開口部22が形成されている。
ガス化室2と熱回収室4の間の仕切壁13は炉底から炉の天井19にわたって完全に仕切っている。沈降チャー燃焼室5を設けるべくチャー燃焼室3内を仕切る仕切壁14の上端は流動床の界面近傍で、下端は炉底に接している。仕切壁14の上端と流動床との関係は、仕切壁12と流動床との関係と同様である。沈降チャー燃焼室5とガス化室2を仕切る仕切壁15は、仕切壁11と同様であり、炉の天井19から炉底に向かってほぼ全面的に仕切っており、下端は炉底に接することはなく、炉底近傍に開口部25が形成され、この開口の上端が濃厚層の上面より下にある。即ち、開口部25と流動床の関係は、開口部21と流動床の関係と同様である。
ガス化室2に投入された石炭・ごみ等の原料aは流動媒体から熱を受け、熱分解、ガス化される。典型的には、原料aはガス化室2では燃焼せず、いわゆる乾留される。残った乾溜チャーは流動媒体と共に仕切壁11の下部にある開口部21からチャー燃焼室3に流入する。このようにしてガス化室2から導入されたチャーはチャー燃焼室3で燃焼して流動媒体を加熱する。チャー燃焼室3でチャーの燃焼熱によって加熱された流動媒体は仕切壁12の上端を越えて熱回収室4に流入し、熱回収室4内で界面よりも下方にあるように配設された層内伝熱管41で収熱され、冷却された後、再び仕切壁12の下部の開口部22を通ってチャー燃焼室3に流入する。なお、原料aとして、廃棄物、RDF、バイオマス等の低級資源や石炭等の化石燃料等を使用できる。
ここで、熱回収室4は本発明の原料aのガス化システムに必須ではない。即ち、ガス化室2で主として揮発成分がガス化した後に残る主としてカーボンからなるチャーの量と、チャー燃焼室3で流動媒体を加熱するのに必要とされるチャーの量がほぼ等しければ、流動媒体から熱を奪うことになる熱回収室4は不要である。また前記チャーの量の差が小さければ、例えば、ガス化室2でのガス化温度が高目になり、ガス化室2で発生するCOガスの量が増えるという形で、バランス状態が保たれる。
しかしながら図に示すように熱回収室4を備える場合は、チャーの発生量の大きい石炭から、ほとんどチャーを発生させない都市ゴミまで、幅広く多種類の原料aに対応することができる。即ち、どのような原料aであっても、熱回収室4における熱回収量を加減することにより、チャー燃焼室3の燃焼温度を適切に調節し、流動媒体の温度を適切に保つことができる。
一方チャー燃焼室3で加熱された流動媒体は仕切壁14の上端を越えて沈降チャー燃焼室5に流入し、次いで仕切壁15の下部にある開口部25からガス化室2に流入する。
ここで、各室間の流動媒体の流動状態及び移動について説明する。
ガス化室2の内部で沈降チャー燃焼室5との間の仕切壁15に接する面の近傍は、沈降チャー燃焼室5の流動化と比べて強い流動化状態が維持される強流動化域2bになっている。全体としては投入された原料aと流動媒体の混合拡散が促進される様に、場所によって流動化ガスの空塔速度を変化させるのが良く、一例として図に示したように強流動化域2bの他に弱流動化域2aを設けて旋回流を形成させるようにする。
チャー燃焼室3は中央部に弱流動化域3a、周辺部に強流動化域3bを有し、流動媒体およびチャーが内部旋回流を形成している。ガス化室2、チャー燃焼室3内の強流動化域2b、3bの流動化速度は5Umf以上、弱流動化域2a、3aの流動化速度は5Umf以下とするのが好適であるが、弱流動化域2a、3aと強流動化域3bに相対的な明確な差を設ければ、この範囲を超えても特に差し支えはない。チャー燃焼室3内の熱回収室4、および沈降チャー燃焼室5に接する部分には強流動化域3bを配するようにするのがよい。また必要に応じて炉底には弱流動化域2a、3a側から強流動化域2b、3b側に下るような勾配を設けるのが良い(不図示)。ここで、Umfとは最低流動化速度(流動化が開始される速度)を1Umfとした単位である。即ち、5Umfは最低流動化速度の5倍の速度である。
このように、チャー燃焼室3と熱回収室4との仕切壁12近傍のチャー燃焼室3側の流動化状態を熱回収室4側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁12の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室3側から熱回収室4の側に流入し、流入した流動媒体は熱回収室4内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁12の炉底近傍にある下端(の開口部22)をくぐって熱回収室4側からチャー燃焼室3の側に移動する。
同様に、チャー燃焼室3の本体部と沈降チャー燃焼室5との仕切壁14近傍のチャー燃焼室本体部側の流動化状態を沈降チャー燃焼室5側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保つことによって、流動媒体は仕切壁14の流動床の界面近傍にある上端を越えてチャー燃焼室3本体部の側から沈降チャー燃焼室5の側に移動流入する。沈降チャー燃焼室5の側に流入した流動媒体は、沈降チャー燃焼室5内の相対的に弱い流動化状態即ち高密度状態のために下方(炉底方向)に移動し、仕切壁15の炉底近傍にある下端(の開口部25)をくぐって沈降チャー燃焼室5側からガス化室2側に移動する。なおここで、ガス化室2と沈降チャー燃焼室5との仕切壁15近傍のガス化室2側の流動化状態は沈降チャー燃焼室5側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保たれている。このことは流動媒体の沈降チャー燃焼室5からガス化室2への移動を誘引作用により助ける。
同様に、ガス化室2とチャー燃焼室3との間の仕切壁11近傍のチャー燃焼室3側の流動化状態はガス化室2側の流動化状態よりも相対的に強い流動化状態に保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁11の流動床の界面より下方、好ましくは濃厚層の上面よりも下方にある(濃厚層に潜った)開口部21を通してチャー燃焼室3の側に流入する。
チャー燃焼室3と熱回収室4とは、上端が界面の高さ近傍にあり下端が濃厚層に潜った仕切壁12で仕切られており、仕切壁12近傍のチャー燃焼室3側の流動化状態が、仕切壁12近傍の熱回収室4側の流動化状態よりも強く保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁12の上端を越えてチャー燃焼室3側から熱回収室4側に流入移動し、また仕切壁12の下端をくぐって熱回収室4側からチャー燃焼室3側に移動する。
また、チャー燃焼室3とガス化室2とは、下端が濃厚層に潜った仕切壁15により仕切られており、仕切壁15のチャー燃焼室3側には、上端が界面の高さ近傍にある仕切壁14と仕切壁15を含む仕切壁で画成された沈降チャー燃焼室5が設けられ、仕切壁14近傍のチャー燃焼室3本体部側の流動化状態が、仕切壁14近傍の沈降チャー燃焼室5側の流動化状態よりも強く保たれている。したがって、流動媒体は仕切壁14の上端を越えてチャー燃焼室3の本体部側から沈降チャー燃焼室5側に流入移動する。このように構成することにより沈降チャー燃焼室5に流入した流動媒体は少なくともマスバランスを保つように、仕切壁15の下端(開口部25)をくぐって沈降チャー燃焼室5からガス化室2に移動する。このとき、仕切壁15近傍のガス化室2側の流動化状態が、仕切壁15近傍の沈降チャー燃焼室5側の流動化状態よりも強く保たれていれば、誘引作用により流動媒体の移動が促進される。
さらにガス化室2とチャー燃焼室3本体部とは、下端が濃厚層に潜った仕切壁11で仕切られている。沈降チャー燃焼室5からガス化室2に移動してきた流動媒体は、さきのマスバランスを保つように仕切壁11の下端をくぐってチャー燃焼室3に移動するが、このとき、仕切壁11近傍のチャー燃焼室3側の流動化状態が、仕切壁11近傍のガス化室2側の流動化状態よりも強く保たれていれば、さきのマスバランスを保つようにだけではなく、強い流動化状態により流動媒体はチャー燃焼室3側に誘引され移動する。
熱回収室4は全体が均等に流動化され、通常は最大でも熱回収室4に接したチャー燃焼室3の流動化状態より弱い流動化状態となるように維持される。したがって、熱回収室4の流動化ガスの空塔速度は0〜3Umfの間で制御され、流動媒体は緩やかに流動しながら沈降流動層を形成する。なおここで0Umfとは、流動化ガスが止まった状態である。このような状態にすれば、熱回収室4での熱回収を最小にすることができる。すなわち、熱回収室4は流動媒体の流動化状態を変化させることによって回収熱量を最大から最小の範囲で任意に調節することができる。また、熱回収室4では、流動化を室全体で一様に発停あるいは強弱を調節してもよいが、その一部の領域の流動化を停止し他を流動化状態に置くこともできるし、その一部の領域の流動化状態の強弱を調節してもよい。
ガス化室2の流動化ガスとして最も好ましいのは可燃ガスbを昇圧してリサイクル使用することである。このようにすればガス化室2から出るガスは純粋に原料aから発生したガスのみとなり、非常に高品質のガスを得ることができる。それが不可能な場合は水蒸気等、できるだけ酸素を含まないガス(無酸素ガス)を用いるのが良い。ガス化の際の吸熱反応によって流動媒体の層温が低下する場合は、必要に応じて無酸素ガスに加えて、酸素もしくは酸素を含むガス、例えば空気を供給して可燃ガスbの一部を燃焼させるようにしても良い。チャー燃焼室3に供給する流動化ガスは、チャー燃焼に必要な酸素を含むガス、例えば空気、酸素と蒸気の混合ガスを供給する。また熱回収室4に供給する流動化ガスは、空気、水蒸気、燃焼排ガス等を用いる。
ガス化室2とチャー燃焼室3の流動床の上面(スプラッシュゾーンの上面)より上方の部分すなわちフリーボード部は完全に仕切壁11、15で仕切られている。さらに言えば、流動床の濃厚層の上面より上方の部分すなわちスプラッシュゾーン及びフリーボード部は完全に仕切壁11、15で仕切られているので、チャー燃焼室3とガス化室2のそれぞれの圧力P1,P2のバランスが多少乱れても、双方の流動層の界面の位置の差、あるいは濃厚層の上面の位置の差、即ち層高差が多少変化するだけで乱れを吸収することができる。即ち、ガス化室2とチャー燃焼室3とは、仕切壁11、15で仕切られているので、それぞれの室の圧力P1,P2が変動しても、この圧力差は層高差で吸収でき、どちらかの層が開口部21、25の上端に下降するまで吸収可能である。従って、層高差で吸収できるチャー燃焼室3とガス化室2のフリーボードの圧力差の上限値は、互いを仕切る仕切壁15の下部の開口部21、25の上端からの、ガス化室流動床のヘッドと、チャー燃焼室流動床のヘッドとのヘッド差にほぼ等しい。
以上説明した実施の形態の統合型ガス化炉1では、一つの流動床炉の内部に、ガス化室2、チャー燃焼室3、熱回収室4の3つを、それぞれ隔壁を介して設け、更にチャー燃焼室3とガス化室2、チャー燃焼室3と熱回収室4はそれぞれ隣接して設けられている。この統合型ガス化炉1は2塔循環方式の炉と違って、チャー燃焼室3とガス化室2間に大量の流動媒体循環を可能にしているので、流動媒体の顕熱だけでガス化のための熱量を充分に供給でき、ガス化炉の原則である「できるだけ少量の、且つ発熱量の高い可燃ガスを得る」ことが最も容易に実現できる。
さらに本発明の実施の形態では、チャー燃焼ガスu1と可燃ガスbの間のシールが完全にされるので、ガス化室2とチャー燃焼室3の圧力バランス制御がうまくなされ、燃焼ガスu1と可燃ガスbが混ざることがなく、可燃ガスbの性状を低下させることもない。
また、熱媒体としての流動媒体とチャーはガス化室2側からチャー燃焼室3側に流入するようになっており、さらに同量の流動媒体がチャー燃焼室3側からガス化室2側に戻るように構成されているので、自然にマスバランスがとれ、流動媒体をチャー燃焼室3側からガス化室2側に戻すために、コンベヤ等を用いて機械的に搬送する必要もなく、高温粒子のハンドリングの困難さ、顕熱ロスが多いといった問題もない。
以上説明したように、本発明の実施の形態では、図1に示すように、1つの流動床炉内に、原料aの熱分解・ガス化、チャー燃焼、及び層内熱回収の3つの機能を共存させ、チャー燃焼室3内の高温流動媒体を熱分解・ガス化の熱源供給の熱媒体としてガス化室2に供給する統合型ガス化炉1において、前記ガス化室2と熱回収室4は互いに接しないように配置するか、もしくは仕切壁13によって炉底から天井19にわたって完全に仕切るかし、且つガス化室2とチャー燃焼室3は流動床の界面より上方においては完全に仕切壁15で仕切り、該仕切壁15近傍のガス化室2側の流動化状態の強さとチャー燃焼室3側の流動化状態の強さとの相対的な関係を所定の関係に保つことによって、当該仕切壁15の炉底近傍に設けた開口部25を通じて、チャー燃焼室3側からガス化室2側へ流動媒体を移動させるように構成されている。また、ガス化室2側からチャー燃焼室3側へチャーを含んだ流動媒体を開口部21を通じて移動させるように構成されている。
この実施の形態によれば、ガス化室2とチャー燃焼室3は流動床の界面より上方においては完全に仕切壁15で仕切られているので、それぞれの室のガス圧力が変動しても圧力バランスが崩れて燃焼ガスu1と可燃ガスbが混ざるという問題を生じない。このため、ガス化室2とチャー燃焼室3の間に特別な圧力バランス制御を必要としない。そして、該仕切壁15近傍のガス化室2側の流動化状態とチャー燃焼室3側の流動化状態の強弱を所定の状態に保つことによって、当該仕切壁15の炉底近傍に設けた開口部25を通じて、チャー燃焼室3側からガス化室2側へ安定に流動媒体を大量に移動させることが出来る。このため、チャー燃焼室3側からガス化室2側への流動媒体の移動に機械的な高温粒子のハンドリング手段を必要としない。また、前記ガス化室2の流動化ガスとしては無酸素ガスを用いるが、このいわゆる無酸素ガスとしては水蒸気等の全く酸素を含まないガスを用いるようにしてもよい。
可燃ガスbの流れが内部に形成されるガス化室2の内部には、粒子・ガス分離装置としての、あるいはサイクロン式分離装置としてのサイクロンセパレータ31が配置されている。サイクロンセパレータ31は、ガス化室2で生成した可燃ガスbを導入する入り口部32と、可燃ガスbに同伴し、サイクロンセパレータ31で分離された粒子cを導く粒子排出配管33と、粒子排出配管33の先端に位置し粒子cを排出する粒子排出口34と、粒子cが分離された可燃ガスbを排出するガス排出口35とを備える。
図2に示すように、入り口部32からサイクロンセパレータ31に入った可燃ガスbは旋回流を形成し、粒子cは遠心力によりサイクロンセパレータ31の内壁31Aに向かい内壁31Aを伝って旋回しながら落下し、サイクロンセパレータ31の図2(B)中下部に取り付けられた粒子排出配管33から排出される。粒子cの分離された可燃ガスbは、サイクロンセパレータ31の図2(B)中上部に形成されたガス排出口35から排出される。なお、後述のサイクロンセパレータ131、231、331、431、531も、サイクロンセパレータ31と同じ構造である。
図1に戻って説明を続ける。サイクロンセパレータ31のガス排出口35は、ガス化室2のガス排出口36に、配管37により接続されている。粒子排出配管33は、ガス化室2を出てチャー燃焼室3に入り込むように構成され、粒子排出口34は、チャー燃焼室3の流動床界面の上方に位置するよう構成されている。分離された粒子cは、ガス化室2から粒子排出配管33を介してチャー燃焼室3に直接導入される。
よって、ガス化室2のガス排出口36からは、チャー等の粒子cが除去された可燃ガスbが排出される。ガス化室2で生成された可燃ガスbから、サイクロンセパレータ31によって分離された粒子cは、チャー燃焼室3に送られ、チャー分等が燃焼される。
本実施の形態では、サイクロンセパレータ31をガス化室2内に配置したので、サイクロンセパレータを炉外に配置した場合に発生する、サイクロンセパレータからの外気への放熱がなく、サイクロンセパレータへ可燃ガスbを導く外部配管、サイクロンセパレータからチャー燃焼室3に分離した粒子cを導く外部配管が不要となるので、放熱損失を減少させることができる。また、温度低下を減少させることができるので、温度が低下すると析出するタール分等の液状物質がある場合においては、温度低下によるトラブル要因を排除できる。
図3に、他の実施の形態の統合型ガス化炉101を示す。図に示す統合型ガス化炉101は、図1に示す統合型ガス化炉1と、後述のサイクロンセパレータ131の配置に関するもの以外は同じ構成である。図に示すように、統合型ガス化炉101のガス化室102の内部に、サイクロンセパレータ131を配置し、さらに粒子排出配管133Aをガス化室102の内部に配置し、粒子排出口134Aを、ガス化室102とチャー燃焼室103の間を仕切る仕切壁111の開口部121の近傍に位置させるようにし、粒子排出口134から出た粒子cがチャーおよび流動媒体の流れにのってチャー燃焼室103に運ばれるようにしてもよい。粒子cは、ガス化室102からチャー燃焼室103に導入される。この場合、サイクロンセパレータ131によって分離された粒子cが、チャー燃焼室103に送られ、チャー分等が燃焼される。また、ガス化室102のガス排出口136からは、チャー等の粒子cが除去された可燃ガスbが排出される。よって、図1の統合型ガス化炉101と同様の効果を得ることができる。
図3に一部破線にて示すように、ガス化室102の内部に、サイクロンセパレータ131を配置し、さらに粒子排出配管133Bをガス化室102の内部に配置し、粒子排出口134Bがガス化室102のガス化室流動床の界面の上方に位置するようにしてもよい。このようにすると粒子cのガス化室102の内部の滞留時間を長くすることができる。
本実施の形態では、サイクロンセパレータ131をガス化室102内に配置したので、サイクロンセパレータを炉外に配置した場合に発生する、サイクロンセパレータ131からの外気への放熱がなく、サイクロンセパレータへ可燃ガスbを導く外部配管、サイクロンセパレータからガス化室102に分離した粒子cを導く外部配管が不要となるので、放熱損失を減少させることができる。また、温度低下を減少させることができるので、温度が低下すると析出するタール分等の液状物質がある場合においては、温度低下によるトラブル要因を排除できる。
図4に、他の実施の形態の統合型ガス化炉201を示す。図に示す統合型ガス化炉201は、図1に示す統合型ガス化炉1と、後述のサイクロンセパレータ231の配置に関するもの以外は同じ構成である。図に示すように、サイクロンセパレータ231を統合型ガス化炉201のチャー燃焼室203に設置してもよい。図中実線にて示すように、サイクロンセパレータ231の粒子排出配管233Aをガス化室202まで延長し、粒子排出口234Aがガス化室202のガス化室流動床内に位置するようにしてもよい。この場合、分離された粒子cは、チャー燃焼室203からガス化室202に直接導入される。
また、図中一部二点鎖線にて示すように、粒子排出配管233Bを、チャー燃焼室本体部と沈降チャー燃焼室215の間を仕切る仕切壁214の上方まで延長し、粒子排出口234Bが仕切壁214の上方に位置するようにし、粒子排出口234から排出された粒子cが仕切壁214を越えて沈降チャー燃焼室205に向かう流れにのってチャー燃焼室203から沈降チャー燃焼室205に流れ込み、さらにガス化室202に流れ込むようにしてもよい。このようにすると分離された粒子cをガス化室202に戻すので、粒子cのガス化室202での滞留時間を長くすることができる。また、図中一部破線にて示すように、粒子排出配管233Cの粒子排出口234Cがチャー燃焼流動床の界面の上方に位置するようにしてもよい。このようにすると分離された粒子cをチャー燃焼室203に戻すので、粒子cのチャー燃焼室203内の滞留時間を長くすることができる。
本実施の形態では、サイクロンセパレータ231をチャー燃焼室203内に配置したので、サイクロンセパレータを炉外に配置した場合に発生する、サイクロンセパレータ231からの外気への放熱がなく、サイクロンセパレータへ可燃ガスbを導く外部配管、サイクロンセパレータからガス化室202に、またはチャー燃焼室203に、分離した粒子cを導く外部配管が不要となるので、放熱損失を減少させることができる。また、温度低下を減少させることができるので、温度が低下すると析出するタール分等の液状物質がある場合においては、温度低下によるトラブル要因を排除できる。ガス流速の速いチャー燃焼室203からガス流速の遅いガス化室202に粒子を移送することにより、粒子cの炉内滞留時間を増加することができる。
図5は、本発明の第1の実施の形態に係る統合型ガス化炉1を複合サイクル発電システムに利用した場合を示す。
本発明の統合型ガス化炉1が圧力容器50の中に配され、加圧下で運転される。統合型ガス化炉1の外壁が圧力容器を兼ねた一体構造であっても良い。ガス化室2で発生した可燃ガスbは、ガス化室2内のサイクロンセパレータ31によって粒子cが分離された後、集塵装置51によって灰分が分離された燃焼ガスu1と共に、助燃室としてのトッピングコンバスタ53に導かれて燃焼し高温ガスrとなる。集塵装置51は、サイクロンセパレータ31と同じ構造としてもよいし、集塵装置としての、セラミックフィルター、耐熱合金を用いた金属フィルター等を用いてもよい。高温ガスrは、エネルギー回収装置としてのガスタービン部55に供給される。ガスタービン部55は、通常の燃焼ガスタービンの出力タービン部と同様の装置であり、パワーリカバリータービンとも呼ばれるものである。
チャー燃焼室3の上部には必要に応じて伝熱管42を設置しても良い。原料a中に塩素が含まれている場合でも、塩素はガス化室2で発生する可燃ガスb側にほとんど含まれてしまうので、本実施形態におけるチャー燃焼ガスu1は殆ど塩素を含まない。したがって、伝熱管42は蒸気過熱器として500℃以上の蒸気過熱に用いることができる。熱回収室4内に配置された層内伝熱管41は伝熱管42よりもさらに腐食環境ではないので、蒸気過熱器としては伝熱管42よりも高温にまで対応できる。
図に示す、加圧流動床炉による発電システムは、まず加圧ガス化室2で原料aをガス化し、発生した未燃カーボン(いわゆるチャー)を加圧チャー燃焼室3で燃焼するが、このチャー燃焼室3から出た燃焼ガスu1を集塵装置51で灰分を分離し、ガス化室2で生成された可燃ガスbをガス化室2内のサイクロンセパレータ31で粒子cを除去した後、トッピングコンバスタ53で混合燃焼させて高温ガスrを得て、ガスタービン部55を駆動する。サイクロンセパレータ31で除去された粒子cは、ガス化室2からチャー燃焼室3の流動床界面の上方に導かれ、チャー分が燃焼される。
この加圧流動床炉による発電システムにおいて重要なことは、如何にガスタービン部55への流入ガスの温度をガスタービン側で決まる許容最高温度まで高められるかであるが、これを制約する条件として最も大きいものがガス化室2で生成した可燃ガスbのクリーニングである。ここでクリーニングとは、例えば脱硫である。脱硫は例えばガスタービン部55のタービン翼の保護のために必要である。
可燃ガスbのクリーニングは還元雰囲気での脱硫反応の最適温度の関係上、通常450℃程度まで冷却する必要がある。これに対して、ガスタービン部55の入り口ガス温度は高いほど反応効率が高まるので、できるだけ高温にすべきである。現状ではガスタービン構成材料の耐熱性、耐食性の制約から、1200℃弱にまで高めるのが一般的である。即ち、ガスクリーニングの温度450℃からガスタービン部入り口温度の1200℃まで、ガスの温度を上げられるだけの発熱量を有することが可燃ガスbに要求される。
なお、図5には不図示であるが、ガス化室2とサイクロンセパレータとの間のガス経路には、可燃ガスクーラが設けられ、可燃ガスbを例えば450℃程度まで冷却し、さらに典型的には脱硫装置も設けられてもよい。これはガスタービンの翼の保護のために行われる。なお、チャー燃焼室3からのガス経路にはガスクーラや脱硫装置は通常は不要である。それは、炉内には石灰石が投入されまた石灰石は流動媒体と共に循環しており、チャー燃焼室3はまた酸素の存在する酸化雰囲気にあるので、硫黄分はCaSO4として除去されるからである。
したがって、改良型の加圧流動床炉による発電システムにおいては、できるだけ少量で、且つ単位発熱量の高い可燃ガスbを得る方向でシステムの開発が進められるべきである。何故ならば、450℃でクリーニングすべき可燃ガスb量が減れば、冷却による顕熱ロスが減り、且つ可燃ガスbに求められる最低必要発熱量も低くて済む。更に可燃ガスbの発熱量がガスタービン入り口の所要のガス温度に上昇させるのに必要な発熱量以上であれば、燃焼空気比を上げてガスタービン部55に流入する可燃ガスb量を増加させることができるので、更なる発電効率の向上を期待できるからである。
図5のシステムでは、チャー燃焼室3からの燃焼ガスu1は集塵装置51で集塵、脱塵された後、タービン部55に導かれ動力が回収される。このとき、燃焼ガスu1は直接タービン部55に導いてもよいが、この燃焼ガスu1の温度はあまり高くないので、動力回収の効率は必ずしも高くはない。そこで、ガス化室2で生成された可燃ガスbを、ガス化室2内のサイクロンセパレータ31で集塵、脱塵した後、トッピングコンバスタ53に導き、ここで燃焼させる。この燃焼は、さきに述べたチャー燃焼室3からの燃焼ガスu1にとっては助燃ということになる。この燃焼熱により、チャー燃焼室3からの燃焼ガスu1は1200℃(出力タービン部の耐熱温度によっては1500℃も可能)程度の高温ガスrとなる。この高温ガスrを出力タービン部(動力回収装置)55に供給する。このような装置においては、チャー燃焼室3とトッピングコンバスタ53を合わせたものが、通常のガスタービンの燃焼器に相当する。
そして出力タービン部の回転軸に減速機を介して、あるいは直接連結された発電機57を駆動し、電力を発生する。なお、図5の実施の形態では、出力タービン部55の回転軸には圧縮機(典型的には軸流空気圧縮機)56が直結されており、圧縮空気を発生する。この圧縮空気は、主としてチャー燃焼室3の燃焼空気としてチャー燃焼室3に供給される。また一部はトッピングコンバスタ53に供給される。もっともトッピングコンバスタ53では、通常は、チャー燃焼室3からの排ガス中に残る酸素で可燃ガスbを燃焼させることができる。なお、この実施の形態では、圧力容器50内は5〜10kg/cm2 程度に加圧される。圧力容器50内は、出力タービン部55の仕様に合わせて、例えば30kg/cm2 程度にまで加圧してもよい。
図5の実施の形態では、出力ガスタービン部55には、チャー燃焼室3からの排ガスu1とガス化室2からの可燃ガスbとを導くため、これらを一度混合する予混合室としてもトッピングコンバスタ53が必要であるが、出力ガスタービン部55に、ガス化室2からの可燃ガスbだけを導く場合には、ガスタービンに付属する不図示の燃焼器に直接可燃ガスbを導入してもよい。ガス化室2からの可燃ガスbだけを導くばあいは、熱量の高いガスを燃料としてガスタービンを運転することができる。
また、出力タービン部55から排出された排気ガスhは経路125を通って廃熱ボイラ58に導かれ、その後排気ガス経路128を通って不図示の脱硫、脱硝装置等を介して、不図示の煙突から放出される。
一方、廃熱ボイラ58では排気ガスhの熱を回収して、水蒸気sを発生する。この水蒸気sは水蒸気配管127を通って、蒸気タービン162に供給され、蒸気タービン162の回転軸に減速機を介して、あるいは直接連結された発電機163を駆動し、電力を発生する。蒸気タービン162に供給される水蒸気sには、伝熱管41、42からの水蒸気sを含めてもよい。
図に示す複合サイクル発電システムは、本発明の第1の実施の形態に係る統合型ガス化炉1を利用しているので、サイクロンセパレータ31からの放熱を防ぎ、その周囲配管からの放熱損失を大幅に低減することができ、高温ガスrの温度低下を減少させることができる。よって、放熱損失による発電効率の減少を低減させることができる。
次に図6を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る反応装置としての2塔循環式ガス化炉301について説明する。2塔循環式ガス化炉301は2つの別体のガス化炉302とチャー燃焼炉303と、ガス化炉302で原料aをガス化する際に発生したチャーの付着した流動媒体をチャー燃焼炉303に送るチャー搬送配管305と、付着したタールがチャー燃焼炉303で燃焼されて除去された流動媒体をガス化炉302に送る流動媒体搬送配管304を含んで構成される。
ガス化炉302とチャー燃焼炉303には、それぞれ散気坂306、307が設けられ、散気坂306、307から炉内上方へ流動化ガスが導入され、流動媒体の流動化が行われ、流動床が形成される。ガス化炉302には、流動化ガスとして蒸気s、あるいは可燃ガスbが供給され、チャー燃焼炉303には、流動化ガスとして空気kが供給される。
チャー搬送配管305のガス化炉302の取付部は、ガス化炉302の流動床の上部に、チャー搬送配管305のチャー燃焼炉303の取付部は、散気坂307のわずか上方に位置するようにする。流動媒体搬送配管304のチャー燃焼炉303の取付部は、チャー燃焼炉303の流動床の上部に、流動媒体搬送配管304のガス化炉302の取付部は、散気坂306のわずか上方に位置するようにする。
ガス化炉302には、原料aが投入され、流動媒体の顕熱により原料aがガス化され、可燃ガスbが生成される。原料aのガス化により発生したチャーおよび流動媒体がチャー搬送配管305を通ってガス化炉302からチャー燃焼炉303へ送られ、チャー燃焼炉303でチャーが燃焼して燃焼ガスu1が発生する。このとき、チャーの燃焼により発生する燃焼熱が流動媒体に顕熱として与えられる。
チャーが除去され顕熱が与えられた流動媒体は、流動媒体搬送配管304を通ってチャー燃焼炉303からガス化炉302へ送られ、原料aのガス化が行われる。ガス化炉302のフリーボード部にはサイクロンセパレータ331が設置されている。サイクロンセパレータ331によりガス化炉302で発生した可燃ガスbの除塵が行われ、除塵後の可燃ガスbがガス化炉302から排出される。
図7の平面図に示すように、サイクロンセパレータ331(図6)の、分離した粒子cを排出する粒子排出配管333は、ガス化炉302を出てチャ−燃焼炉303に入るよう構成されている。粒子排出配管333は、図中、ガス化炉302の中心とチャー燃焼炉303の中心を結んだ線上を通るように配置されており、所定の勾配が設けられている。所定の勾配とは、粒子がガス化炉302からチャー燃焼炉303にスムーズに移動するよう徐々に下方に下がる勾配である。図に示す粒子排出配管333のルートは、所定の勾配を持ってガス化炉302からチャー燃焼炉303に向かう最短のルートである。
粒子排出配管333の先端にある粒子排出口334は、チャー燃焼炉303の流動床の界面の上方に位置している。よって、チャー燃焼炉303に送られた粒子中のチャー分が燃焼され、燃焼ガスu1が発生する。
よって本実施の形態の2塔循環式ガス化炉301は、ガス化炉302で生成された可燃ガスb中の粒子cを除去するサイクロンセパレータ331をガス化炉302内部のフリーボード部に備えるので、サイクロンセパレータを炉外に配置した場合に発生する、サイクロンセパレータからの外気への放熱がなく、サイクロンセパレータへ可燃ガスを導く外部配管からの放熱がない。さらに、除去された粒子cをチャー燃焼炉303に搬送して排出する粒子排出配管333を最短ルートを通り直線上に配置することができ、粒子排出配管333の、炉の外部を通る外部配管の長さを短くすることができ、外部配管の引き回しを最小限とすることができる。よって、分離された粒子cの取り扱い上のトラブルが起こりにくく、分離された粒子cの温度低下を最小限とすることができ、系全体の反応効率の低下を最小限とすることができる。
図8に他の実施の形態の2塔循環式ガス化炉401を示す。図に示す2塔循環式ガス化炉401は、図6に示す2塔循環式ガス化炉301と、後述のサイクロンセパレータ431の配置に関するもの以外は同じ構成である。図に示すように、サイクロンセパレータ431を2塔循環式ガス化炉401のガス化炉402内部のフリーボード部に設置し、粒子排出配管433Aをガス化炉402内部に配置させ、粒子排出口434Aをガス化炉402のチャー搬送配管405の入口405Aの近傍に配置させて、粒子排出口434から排出された粒子cがチャー搬送配管405に入り込む流れに乗って、チャー燃焼炉403に送られるようにしてもよい。また、図中一部破線にて示すように、粒子排出口434Bが、ガス化炉402の流動床界面の上方に位置するようにし、粒子排出口434Bから排出された粒子cがガス化炉流動床内部を循環するようにしてもよい。
本実施の形態では、サイクロンセパレータ431をガス化炉402内に配置したので、サイクロンセパレータを炉外に配置した場合に発生する、サイクロンセパレータからの外気への放熱がなく、サイクロンセパレータへ可燃ガスbを導く外部配管、サイクロンセパレータからガス化炉402に分離した粒子cを導く外部配管が不要となるので、放熱損失を減少させることができる。また、温度が低下すると析出するタール分等の液状物質がある場合においては、温度低下によるトラブル要因を排除できる。
図9に他の実施の形態の2塔循環式ガス化炉501を示す。図に示す2塔循環式ガス化炉501は、図6に示す2塔循環式ガス化炉301と、後述のサイクロンセパレータ531の配置に関するもの以外は同じ構成である。図に示すように、サイクロンセパレータ531をチャー燃焼炉503内部のフリーボード部に設置し、粒子排出配管533Aをガス化炉503内部に配置させ、粒子排出口534Aをガス化炉503の流動床界面の上方に位置させてもよい。また、図中一部破線で示すように、粒子排出配管533Bをチャー燃焼炉503内部に配置させ、粒子排出口534Bを流動媒体搬送配管504の入口504Aの近傍に配置させて、粒子排出口534Bから排出された粒子cが流動媒体搬送配管504に入り込む流れに乗って、ガス化炉502に送られるようにしてもよい。また、図中二点鎖線にて示すように、粒子排出配管533Cと粒子排出口534Cとがチャー燃焼炉503の流動床界面の上方に位置するようにし、粒子排出口534Cから排出された粒子cがチャー燃焼炉流動床内部を循環するようにしてもよい。本実施の形態の2塔循環式ガス化炉501は、サイクロンセパレータ531からの放熱がなく、粒子cをチャー燃焼炉503に戻す場合は粒子排出配管533からの放熱がなく、また粒子cをガス化炉502に戻す場合は粒子排出配管533を直線状にすることができるので粒子排出配管533からの放熱を最小にすることができる。