以下、本発明の冷蔵庫の実施の形態を図面とともに説明する。
図1は本発明の冷蔵庫を示す側面断面図、図2は図1の冷蔵庫の正面図、図3は本発明の冷蔵庫の冷凍サイクルを示す図、図4は本発明の冷蔵庫の部材を示す拡大図、図5は本発明の冷蔵庫の他の部材を示す拡大図、図6は野菜室12付近から下の配線状態の図、図7R>7は回路収納部から機械室に通じる連通路の図、図8は機械室やその周辺の上から見た図である。
なお、説明の便宜上、従来例の図9と同一の部分については同一の符号を付している。
図1および図2において、冷蔵庫1は外面を覆う外箱2aの内側に内箱2bが配され、外箱2aと内箱2bとの隙間には発泡ウレタン等の断熱材2cが充填されている。冷蔵庫1の内部は上から冷蔵室11、野菜室12、冷凍室13の順に区分けされている。
野菜室12と冷凍室13は断熱材から成る仕切枠17及び仕切板19によって仕切られており、冷凍室13は更に断熱材から成る仕切枠18により上部と下部に仕切られている。冷蔵室11と野菜室12とは断熱材から成る仕切枠16及び樹脂成形品から成る仕切板31、32によって仕切られている。
冷蔵室11の下部には仕切板46で仕切られた隔離室である氷温室14が設けられている。冷蔵室11には食品等を載置する複数の棚45が設けられている。冷蔵室11の前面は回動式の断熱扉3により開閉可能になっている。野菜室12、冷凍室13の上部及び冷凍室13の下部は夫々スライド式の断熱扉4、5、6により前面が開閉可能になっており、収納容器54、55、56を引出せるようになっている。
冷凍室13の後部には断熱層を介して圧縮機20が配されており、圧縮機20は冷気通路23、27内に配される冷却器21、25に接続されて冷凍サイクルが構成されている。
冷凍サイクルの一例の回路図を図3に示すと、圧縮機20には凝縮器71が連結されており、矢印A1のように冷媒がキャピラリーチューブ72、73及び冷却器25を通って圧縮機20に戻る第1の冷凍サイクルが構成されている。また、矢印A2のように冷媒がキャピラリーチューブ72、74及び冷却器21を通って圧縮機20に戻る第2の冷凍サイクルが構成されている。
第1の冷凍サイクルと第2の冷凍サイクルとは並列に構成され、開閉弁78を開くと第1の冷凍サイクルと第2の冷凍サイクルとが同時に実行される。従って、冷却器21、25による冷却が行われ、送風機22、26の駆動により冷凍室13及び冷蔵室11に冷気が送出される。
開閉弁78を閉じると、第2の冷凍サイクルが実行され、冷却器21による冷却が行われて送風機26の駆動により冷凍室13のみの冷却が行われる。冷蔵室11と冷凍室13とのそれぞれに専用の冷却器25、21を設けているので、冷却器25を通る冷気の冷却温度を高く設定して冷却器25、部材42及び冷蔵室11内の結露や氷結を抑制することができるようになっている。また、冷蔵室11及び野菜室12の庫内温度が所定内にある場合に、圧縮機20を冷凍室13の冷却にのみ使用して冷凍室13の冷凍能力をより高くできるようになっている。
更に、冷却器21、25を並列に配しているので、冷媒の流通する配管接続を簡素化することができる。即ち、溶接箇所の多くを圧縮機20が配される機械室内に設けることができ生産性やメンテナンス性が向上する。尚、75、76は冷蔵室及び冷凍室内の温度を検知する温度センサであり、温度センサ75、76の検知によって圧縮機20の駆動や開閉弁78の開閉が実施されるようになっている。また、77は凝縮器71の少なくとも一部を冷却する凝縮器用送風機である。
また、図1、図2において、冷却器21、25の下方には冷却器21、25の除霜を行う除霜ヒータ61、62が設けられている。63、64はドレン受け部材である。冷却器21は冷気通路23内に配されており、冷気通路23は内箱2bと樹脂成形品から成るエバカバー33とにより形成されている。送風機22は冷気通路23内の冷却器21の上方に配されている。冷気通路23は冷凍室13の背面板33aに設けられた吐出口13a、13c及び戻り口13bによって冷凍室13と連通している。なお、エバカバー33と背面板33aで形成される空間で、吐出口13a、13c側空間と戻り口13b側空間とは、背面板33aからエバカバー33側へ突出した突起壁がエバカバー33に達しており、互いに前記突起壁で仕切られている。
冷却器25は冷気通路27内に配され、送風機26は冷却器25の上方に配されている。冷気通路27の下部は氷温室14の背面板35と内箱2bとにより形成されている。冷気通路27の上部は冷蔵室11の背壁を形成する部材42と内箱2b、あるいは隔壁27aと内箱2bにより形成されている。隔壁27aは冷却器25と圧力室27bとを隔離し、隔壁27aに送風機26が取り付けられている。部材42は図4に示すようにアルミニウムやステンレス等の金属板を板金加工して形成さている。
冷蔵室11の天井部分には冷気通路27と連通する天井冷気通路57が設けられ、天井冷気通路57は樹脂成形品から成る上面板43と内箱2bとにより形成されている。部材42及び上面板43には吐出口42a、43aが設けられている。冷蔵室11の天井中央部には透明な照明カバー(図9における符号53)で覆われた従来例と同様の照明灯(図9における符号51)が設けられ冷蔵室11内を照明するようになっている。
冷気通路27の左方には、製氷器67に給水を行う給水ポンプ66が配されており、その前方には給水タンク(不図示)がセットされるようになっている。また、冷気通路27の右方には送風機26の吐出側から分岐して氷温室14の背面に冷気を導く氷温ダクト60が設けられている。また、野菜室12の背後には、圧縮機20、送風機23、26等を駆動制御するための電気回路58が断熱材2c等の断熱層を介して設置されている。
上記構成の冷蔵庫1において、圧縮機20の駆動により冷却器21による冷却が行われ、送風機22が駆動されると、冷凍室13内の空気は戻り口13bから冷気通路23に吸引される。該空気は冷却器21と熱交換して冷却され、吐出口13a、13cから冷凍室13に吐出される。これにより、冷凍室13内が例えば−20℃に冷却される。
送風機26が駆動されると、野菜室12内の空気は戻り口12bから冷気通路27に吸引される。該空気は冷却器25と熱交換して冷却され、冷気通路27内を流通して吐出口42a、43aから冷蔵室11内に吐出される。
また、部材42は金属から成るので、冷気通路27内を流通する冷気の冷熱の一部は部材42を介して冷蔵室11内に冷熱として放出される。これにより部材42から放出される冷熱と吐出口42a、43aから吐出される冷気とで冷蔵室11内が例えば3℃に効率良く均一に冷却される。また部材42は熱伝導性の高い材料であればよく、セラミック材料や金属フィラーを含浸した樹脂材料等を使用してもよい。
冷蔵室11内の冷気は棚45の間や棚45の前面を通り連通路12aを介して野菜室12内の前方に吐出される。そして、収納容器54の前面から下方を通って野菜室12内を冷却し、戻り口12bから冷気通路27に導かれて冷気が循環する。吐出口42a、43aから冷蔵室11に吐出された冷気は、野菜室12に流入するまでの間に食品等に冷熱を奪われる。これにより、冷蔵室11内を循環する冷気の温度は上昇し、その上昇した冷気が野菜室12に流入するため、野菜室12内は例えば5℃に冷却される。
また、送風機26から送出される冷気が直ちに氷温ダクト60を介して吐出口60aから氷温室14に適量吐出される。これにより、氷温室14内の温度を例えば−1℃に維持できるようになっている。氷温室14は内部に吐出される冷気量を少量にして室温を0℃付近にするとチルド室となり、冷気量をより少なくして室温が5℃付近にすると野菜室にもなる。冷気量の可変は、吐出口60aを覆うように枢支された扉の開閉等により行うことができる。
本実施形態によると、冷気通路27を通る冷気の冷熱の一部を部材42により伝えて部材42の全面から冷蔵室11内に放出される。従って、冷蔵室11の背面の略全幅を部材42により覆っているので、冷蔵室11の背面から一様に冷気を放出することができ、冷蔵室11内を均一に冷却することができる。そして、冷却器25が部材42の配された冷蔵室11に面して冷蔵室11の上方に配置されており、従来例のように野菜室12に面して配置されないので、冷却器25から吐出口42a、43aまでの経路及び、冷却器25と部材42との距離が短縮される。
これにより、冷気通路27の送風機の吐出側が短くなり通風効率が向上する。また、冷気通路27の全体の長さが短くなるため更に通風効率が向上する。そして、冷気が冷気通路27を通る経路途中の吸熱を低減して冷蔵室11に冷気の吐出や上方からの冷熱の放出を行うことができるので、冷却器25による冷却効率を向上させることができる。しかも、冷蔵室11を更に均一に冷却させることができる。また、冷却器25の前面に従来例のように厚い断熱材34(図9参照)を設ける必要なく、冷蔵庫1内のスペースの利用効率を向上させることができる。
尚、冷却器25及び部材42の一方または両方を冷蔵室11の天井面11aや側壁11bに配置しても同様の効果を得ることができる。また、部材42の厚みが厚い場合は蓄冷能力が上がり、強度も増加する。厚みが薄い場合は冷熱の放出効率が向上し、軽量化にも有利である。そのため、目的に応じて薄板材や厚板材を適時適所に選択して設ければよい。
部材42は図5に示すようなゼリー状や液状の保冷材42cを金属等の包装材42f、42gにより封入した蓄冷部材にしてもよい。このようにすると、部材42は冷気通路27内を流通する冷気の冷熱でより蓄冷され、冷蔵室11内の温度分布に応じて冷熱として放出する。従って、冷蔵室11が均一に冷却されるようになる。更に、蓄冷部材により圧縮機20の停止中や冷気通路27内の冷気温度の変動に対して吸熱や放熱を行い、冷気通路27内の冷気温度を一定に維持することができる。そして、冷蔵室11内の温度を安定して均一に一定の温度に保つことができる。
冷気通路27内を流通する冷気は冷却器25の前面側を通るようになっており、部材42と冷却器25とを離間して配置している。これにより、冷却器25が極低温(例えば−15℃)となっても部材42が過冷却とならず、結露、氷結、霜付きを防止することができる。その結果、室内の冷気乾燥が防止されて乾燥しやすい貯蔵物(野菜や生もの)の貯蔵に適した冷蔵庫を得ることができる。
また、部材42と冷却器25とを離間することで、冷却器25を内箱2bに固定した後、配管により圧縮機20に冷却器25を接続し、その後部材42を設置すればよい。このため、従来のような冷却器25と一体になった部材42を設置するよりも組立が容易となる。そして、部材42の幅が冷却器25や隔壁27aの幅よりも大きいので、配管に連結された溶接部や隔壁27a等を部材42により覆うことができ、別途隠蔽するための部材を設ける必要がない。しかも、冷却器25からの冷熱を幅広く間接的に冷蔵室11内へ放出できるので均一で氷結や結露の心配のない冷却効率のよい冷蔵庫を得ることができる。
また、冷気通路27の幅を大きくすると冷気通路27の断面積が大きくなって冷気の流通速度が低下する。本実施形態では冷気通路27の幅を部材42の幅の1/2よりも大きくしており、更に冷却器25の幅を広くしている。このため、同一の風量の送風機を使用しても冷気の流通速度が低下して通風抵抗が小さくなる。その結果、冷却器25と冷気との熱交換効率及び送風機26の送風効率を向上させることができる。従って、冷却器25の冷却効率を向上させることができる。また、送風機26の使用電力も少なくでき、送風による騒音も低減することができる。
また、冷蔵室11の背面からは部材42による冷熱の放出と、吐出口42aを介して冷気の吐出が行われ、冷蔵室11の前部から天井冷気通路57を通って吐出口43aを介して冷気が吐出されるので、冷蔵室11の全体を均一に冷却することができる。しかも、送風機26は冷却器25の上方にあるため天井冷気通路57に近づいて設けられ、天井冷気通路57の奥(冷蔵室の前方側)に配される吐出口43aまで効率良く冷気を送ることができる。なお、吐出口43aは上面板43の全面の多くの部分に設けて、棚45に上下に冷気が通過する小さな開口部を適所に設けると、冷蔵室11は更に均一に冷却される。
また、部材42に吐出口42aを設けず、上面板43の吐出口43aを冷蔵室11の前方に形成すると、吐出された冷気は冷蔵室11の前面を流下し、開閉扉3を開いた際にエアカーテンとなって外気の進入を抑制して庫内の温度上昇を抑制することができる。
また、戻り口12bは吐出口42a、43aと離れた位置に配されているため、吐出された冷気が冷蔵室11を循環しないまま戻り口12bに流入するようなショートサーキットを防止して、冷却効率の向上を図ることができる。しかも、部材42の全面を冷熱放出として利用することができ、室内の均一冷却が可能となるとともに、上方から冷蔵室内を照明する照明光の反射板として利用することができ室内を均一に照明することができる。
また、冷蔵室11及び冷凍室13に比して庫内温度の高い野菜室12の背後に電気回路58を設置することによって断熱材2cの厚みを薄くすることができ、冷蔵庫1のスペースの利用効率をさらに向上させることができる。
そして、冷却器25に通じる冷気通路27は、断熱層である内箱2bや断熱材2cを介して、電気回路58を収納する回路収納部の収納ボックス58aや電装カバー58bの上下方向で上方に位置しており、前後方向で冷気通路27と回路収納部が重ならず、これもまた、野菜室12のスペースの利用効率を向上させることとなる。
しかも、冷気通路27の下方に戻り口12bを設けているため、野菜室12の背面の上方に戻り口12bが位置することになり、野菜室後方上部付近まで充分冷気が回ることになり、いっそう効率のよい野菜室12の冷却が可能となっている。
なお、収納容器54の上方には、野菜ケースカバー54aが収納容器54の上方開口部を覆うように設けられているが、野菜ケースカバー54aと仕切板31、32とによってできる空間も、連通路12aを介して野菜室12内の前方に吐出された冷蔵室11内の冷気の一部が後方に流れる冷気通路となるが、野菜ケースカバー54aや仕切板31、32の少なくともどちらか一方から凸部を設け、その冷気通路の開口面積を調整することにより、野菜ケースカバー54a上を後方に流れる冷気の量や、収納容器54の前方を流れる冷気の量を適度に設定でき、収納容器54内の貯蔵物を効率よく適温に間接冷却することが可能となる。
そして、戻り口12b付近の収納ボックス58a上方に位置する内箱2bは、後方に行く程高くなる傾斜面となっており、戻り口12bに吸込まれた戻り冷気は、流れの方向を変えて、内箱2bの垂直面にそうように、冷気通路27内を上方に流れやすくなっている。そのため、通風抵抗が減少し通風効率の向上に役立つとともに、渦流の発生をも防ぐこともでき、送風騒音の低下にも役立つことになる。
しかも、収納ボックス58aの上部が略水平面であるときは、収納ボックス58aの上部と前記内箱2bの傾斜面との間に充填された断熱材2cは、戻り口12bの上下方向での開口面積を狭めることなく、前記略水平面である収納ボックス58aの上部の前方において厚くとることができ、電気回路58からの発熱を充分断熱することとなり、電気回路58からの発熱等の庫内側への侵入を防ぎ、冷却効率の向上となる。なお、前記略水平面である収納ボックス58aの上部の前方から後方においては、更に断熱材2cの厚さが増し、いっそう電気回路58からの発熱等の庫内側への侵入を防ぐことになり、より冷却効率の向上に役立つこととなる。
また、収納ボックス58aの上部を前記内箱2bの傾斜面同様に後方に行く程高くなる傾斜面で、前記内箱2bの傾斜面とその周辺の断熱材2cと収納ボックス58aの傾斜面をもつ上部とからなる断熱層を必要厚さに保った傾斜面とすると、断熱効率を損なわずに収納ボックス58a等からなる回路収納部内の容積を大きくでき、電気回路58の収納がしやすくなり、電気回路58の大きさに適度にあわせることにより、回路収納部を小さくでき、その周辺の内箱2bの庫内側への突出し量が減り、これもまた、断熱効率を損なわずに、スペースの利用効率を向上させることとなる。
なお、前記で、収納ボックス58a上方に位置する内箱2bの傾斜面や収納ボックス58aの上部の傾斜面は該当する部分の一部であっても、ある程度の前記効果が得られることとなり、また、傾斜面の少なくとも一部が曲面であってもよく、前記内箱2bの傾斜面とその付近の内箱2bの略垂直面とを、上に凹となる曲面の一部で滑らかに結ぶと、内箱2bの製作で真空成形の場合は内箱2bのエッジ部での破れが生じにくくなるとともに、冷気流の方向が徐々に変わることになり、冷気が更に流れやすくなる。
また、収納ボックス58aと電装カバー58bの上方とで、回路収納部に開口部58cを設けてあるため、電気回路58の発熱で暖められた空気が、開口部58cから外部に流れ出し、収納ボックス58aと電装カバー58bの下方とで設けられた、回路収納部の開口部58dから外気が侵入し、収納ボックス58aと電装カバー58bとで構成される回路収納部内にある電気回路58の冷却に役立つばかりでなく、外気温度を検出するための外気温度センサが電気回路58に設けられている場合は、より正確な外気温が検出されることになり、しかも、外気が侵入する前記開口部58d付近に前記外気温度センサを設けておくと、更にその正確さは確実なものとなる。
しかも、収納ボックス58aの上部の傾斜面は、後方に行く程高くなっており、開口部58cがその傾斜面の高い部分近くにあるため、暖められた空気は留まることなく開口部58c付近に流れ、開口部58cから外部に流れ出しやすくなっている。なお、本図における開口部58c近くの、収納ボックス58aの下方に伸びている部分を少なくすると、更に流れ出しやすくなる。
また、前記開口部58c付近の収納ボックス58aと電装カバー58bは、収納ボックス58aからの壁面が外側となるように、前後方向で重なっているため、外部からの水の浸入をある程度防ぐことができるようになっている。
なお、前記開口部58cや開口部58dは収納ボックス58aや電装カバー58bに単独で設けても同様の効果は得られる。また、前記開口部58cの上部を、壁面から続けて後方に突出したり、その突出しの後方先端を下方に下げて前記開口部58cの開口部の少なくとも一部と重ねたりしておくと、外部からの水の浸入に対しある程度の防御の役目になる。
そして、開口部58dについても同様に、開口部58dの上部を、壁面から続けて後方に突出したり、その突出しの後方先端を下方に下げて前記開口部58dの開口部の少なくとも一部と重ねたり、開口部を前後方向で重なるようにして、開口を本図のように下向きにしておくと、外部からの水の浸入を防ぐ役目になる。
また、送風機22付近の収納ボックス58a下方に位置する内箱2bは、後方に行く程低くなる傾斜面となっており、送風機22のファンに吸引される送風機22後方周辺の内箱2b付近の冷気は、徐々に方向を変えて内箱2bの傾斜面にそうように送風機22のファン方向に流れやすくなっており、送風効率の向上に役立つとともに、渦流の発生をも防ぐこともでき、送風騒音の低下にも役立っている。
そして、収納ボックス58aの下部が略水平面であるときは、収納ボックス58aの下部と前記内箱2bの傾斜面との間に充填された断熱材2cは、前記送風性能を維持したまま、前記略水平面である収納ボックス58aの下部の前方において厚くとることができ、電気回路58からの発熱を充分断熱することとなり、電気回路58からの発熱等の庫内側への侵入を防ぎ、冷却効率の向上となる。なお、前記略水平面である収納ボックス58aの下部の前方から後方においては、更に断熱材2cの厚さが増し、いっそう電気回路58からの発熱等の庫内側への侵入を防ぐことになり、より冷却効率の向上に役立つこととなる。
また、収納ボックス58aの下部を前記内箱2bの傾斜面同様に後方に行く程低くなる傾斜面で、前記内箱2bの傾斜面とその周辺の断熱材2cと収納ボックス58aの傾斜した下部とからなる断熱層を必要厚さに保った傾斜面とすると、断熱効率を損なわずに収納ボックス58a等からなる回路収納部内の容積を大きくでき、電気回路58の収納がしやすくなり、電気回路58の大きさに適度にあわせることにより、回路収納部を小さくでき、その周辺の内箱2bの庫内側への突出し量が減り、これもまた、断熱効率を損なわずに、スペースの利用効率を向上させることとなる。
なお、前記で、収納ボックス58a下方に位置する内箱2bの傾斜面や収納ボックス58aの下部の傾斜面は該当する部分の一部であっても、ある程度の前記効果が得られることとなり、また、傾斜面の少なくとも一部が曲面であってもよく、前記内箱2bの傾斜面とその付近の内箱2bの略垂直面とを、上に凸となる曲面の一部で滑らかに結ぶと、内箱2bの製作で真空成形の場合は内箱2bのエッジ部での破れが生じにくくなるとともに、冷気が更に流れやすくなる。
しかも、収納ボックス58aの下部の傾斜面は、後方に行く程低くなっており、開口部58dがその傾斜面の低い部分近くにあるため、たとえ収納ボックス58aの内部に、水が浸入したり、前記内部で結露等により水分が発生したりしても、前記水や水分が収納ボックス58aの下部に集まり、前記傾斜面を伝って開口部58dから外部に流れ出るため、収納ボックス58aの内部からの排水効果が生じる。
また、前記のように、前記開口部58d付近の電装カバー58bを、収納ボックス58aからの壁面や冷蔵庫1本体の背面部より外側となるように、前後方向で重なっているため、外部からの水の浸入をある程度防ぐことができるようになっている。
また、前記のような開口部58cや開口部58dのどちらか一方のみを設けても、程度の差はあるとしても、ある程度の前記に該当する個別の効果は生じることとなる。そして、電装カバー58bに前記同様の開口部を数カ所設けると更に収納ボックス58a内の冷却効果は増す。
また、冷凍室13と断熱層を介して設けられた、冷凍室13の下の圧縮機20等が配された機械室を含む空間を、前後に伸びた仕切壁で左右に仕切り、その仕切壁の後方の圧縮機20近くに凝縮器用送風機77を設け、右側に圧縮機20を設け、左側に凝縮器71の少なくとも一部を設け、左側前方から凝縮器用送風機77の運転により外気を吸込み、左側に設けられた前記凝縮器71の少なくとも一部を冷却し、凝縮器用送風機77を通過した空気が圧縮機20の表面を冷却した後、右側前方から室内に吐出されるような通路を前記空間に設けておくと、凝縮器用送風機77により凝縮器71の少なくとも一部や圧縮機20やその他機械室や前記空間にある発熱体を冷却できることになる。
なお、前記で圧縮機20、凝縮器71等の位置が左右方向で入れ替わり、それに応じ送風方向も入れ替わった状態になっても、同様の効果が得られることは明白である。
そして、圧縮機20等が設けられている機械室をふさぐための機械室カバー20cの、前記仕切壁より左側の、凝縮器用送風機77が運転されたときに大気圧より低圧になる部分に、開口部20dを設けると、前記通路の低圧側に開口部20dが設けられることになり、冷蔵庫1の背面外側からも開口部20dを通って空気が吸い込まれ、圧縮機20等のある機械室の部品を冷却するのに役立つ。
しかも、従来のように、圧縮機20等の機械室にある発熱する部品を冷却した熱風を、冷蔵庫1の背面外側に排出することなく、冷蔵庫1の背面外側の空気をさえ吸込むため、熱風排出による冷蔵庫1の背面付近の外気の温度上昇はなく、しかも、電気回路58を収納している収納ボックス58aや電装カバー58bは、従来品よりも低い位置にあるため、その周辺の外気温度の上昇は少なく、その結果、電気回路58の温度上昇も従来よりは低くおさえられることになり、これもまた、電気回路58の電気部品や回路基板を、許容限界温度の低いものを使用できたり、従来部品を使用したときは温度限度の余裕度が増し、品質の向上につながることになる。
更に、圧縮機20のある側の前記通路の、圧縮機20前方に前後方向の仕切を追加して前記凝縮器用送風機77を設け、圧縮機20後方付近の機械室カバー20cに開口部20d同様の開口部を設けると、圧縮機20近くの冷蔵庫1の背面側外気をも吸込むため、圧縮機20の冷蔵庫1の背面側を更に冷却でき、機械室カバー20cのその付近の圧縮機20による温度上昇が更に低くおさえられ、電気回路58を収納している収納ボックス58aや電装カバー58b周辺の外気温度の上昇は更に少なくなる。
なお、圧縮機20の輻射熱の外部への放射を低く維持するため、図1のように、前記開口部20dの後方は開口部20dの上部から続く壁面で覆われ、下方に開口しているようにするとよく、開口部20d周辺の補強にもなり、機械室への水の浸入防止にも役立つ。
また、開口部20dや前記機械室等の低圧部と回路収納部である収納ボックス58a、電装カバー58bの開口部(例えば:開口部58c、58d)を連通路で結び、前記回路収納部内と機械室等の低圧部と前記連通路でつながるようにして、前記回路収納部に外気に通じる開口部を別に設けると、前記回路収納部内の空気が前記機械室の低圧部に流れ込み、前記回路収納部内の電気回路58を強制冷却できるようになり、電気回路58の電気部品や回路基板を、さらに許容限界温度の低いものを使用できたり、従来部品を使用したときは温度限度の余裕度が増し、さらに品質の向上につながることになる。
そして、周波数変換等により圧縮機20等の回転数制御をする回路収納部内にある電気回路58の部品の発熱量が増加して冷却がより必要となっても、前記回路収納部と圧縮機20や凝縮器用送風機77のある機械室とが近づき、短い連通路で互いに結ぶことができるようになったため、連通路の通風抵抗も少なく、通風面積も少なくてもよく、従来から使用のような小型の凝縮器用送風機77であっても充分冷却に役立つことになる。
また、回路収納部より下方で、冷蔵庫1の背面側となる位置に、外部に通じる開口部を設け、前記連通路の機械室側開口部につながる部分を前記開口部につなぎ、回路収納部内と冷蔵庫1の背面側の外部空間とをつなぐようにして、前記回路収納部上方に外気に通じる開口部を別に設けると、自然対流による換気が可能となり、回路収納部内の電気回路58を冷却するとともに、回路収納部内との前記連通路の接続は、前記回路収納部下面側と前記連通路をつなぐようにすると、排水も可能となった連通路となる。
なお、前記連通路は冷蔵庫1背面表面にダクト状のものを設けて形成してもよく、庫内側の断熱厚さが充分とれるものであれば、断熱材2c内に設けてもよい。
また、冷蔵庫1の下方にある送風機22の上方近くの冷蔵庫1の背面側に断熱材2cを含む断熱層を介して回路収納部である収納ボックス58a、電装カバー58bを設け、その内部に電気回路58を設け、圧縮機20を含む各電装部品に各々配線(例えば:リード線)にて電気的に接続してあるため、前記圧縮機20、開閉弁(図3に示す符号78)78、冷凍室13側の除霜ヒータ62、や送風機22、凝縮器用送風機77、冷凍室13用の温度センサ(図3に示す符号76)、製氷機67等の電装部品と電気回路58との間の配線は従来品に比べ非常に短くなる。また、前記回路収納部内の電気回路58から、各々の電装部品へ接続のための配線が、上下に分かれて引き出されるため、その各々の配線の束の太さは、下方一方に引き出される従来品よりも細くなる。
それゆえ、配線材がコスト的にも安くなり、冷蔵庫に配線や配線の束を組み込む作業もやりやすくなるため、組立性や仕上がりの信頼性も向上する。また、内箱2bの断熱材2c側に配線や配線の束をテープ等で適所を仮止めした後、内箱2bと外箱2aとの隙間に発泡ウレタン等の断熱材2cを充填したとき、前記配線材の占める個所が少なく、配線の束が細いいため、配線材によるウレタン等の発泡時の流れを阻害するような個所の発生の可能性も減少し、断熱材2c内のボイド(ガス空間)発生の可能性も減少することとなり、断熱性の維持の向上に役立つとともに、断熱材2c内に熱伝導性の高い配線材の占める領域も減り、断熱性の向上に役立つこととなり、エネルギーの省力化となる。
なお、図1においては、冷蔵室11側の給水ポンプ66、除霜ヒータ61や送風機26、冷蔵室11用の温度センサ(図3に示す符号75)等への電気回路58との配線の長さは、従来品とあまりかわらないが、従来品と配線の引き回し方向が異なり、圧縮機20のある側と逆の方向となり、各々の配線を束ねた太さは従来品より細く(例えば:図9従来品=最大束直径約20mm、図1発明品=最大束直径約15mm)なり、配線の束の引き回しやテープ等での仮止め等の組立上の作業性は向上する。
そして、照明灯51への配線は長くなるが、配線の数が少ない(例えば:4本)ため、断熱性や作業性の低下の可能性は非常に少ない。また、前記で除霜ヒータ61、冷却器25、送風機26を下方に下げ、収納ボックス58a、電装カバー58bの回路収納部上方近くに設けると、電気回路58との配線の長さは更に短くなり、いっそう前記各々のの効果は向上する。
しかも、収納ボックス58a、電装カバー58bの回路収納部の下方壁面または側方壁面の下方に配線引出し口を設け、前記各々の配線を引き出すと、配線の多くを占める下方に向かう配線の長さは更に短くてすみ、より前記の効果は向上する。しかも、回路収納部の下方壁面に配線引出し口を設けた場合は、断熱層の厚さが薄い等の原因で、たとえ配線周辺に結露が生じても、その結露による水分は上方には上がりにくく、回路収納部への水分の侵入を防ぐことができる。
また、前記回路収納部の上方壁面または側方壁面の上方に異なる配線引出し口を設け、上方に向かう配線を引き出すと、配線の引出し口の数は増加し、断熱材2cの回路収納部内への侵入を防ぐためのシール処理数は増加するが、上方に向かう配線材の長さは更に短くなり、いっそう前記の効果は向上することとなる。
また、電源コード引出し口58eを回路収納部の上方である上下方向で中央よりに設けると、電源コード引出し口58eとコンセント(外部電源の差込口)の上下方向での距離は、前記コンセントが部屋の壁の上方にある場合であっても下方にある場合であっても同じような値となり、冷蔵庫1の電源コード(不図示)の長さを回路収納部が冷蔵庫1本体の背面上方にあるものよりも短く(例えば:約50cm)でき、コスト的にも有利であり、組立性も向上し、位置的関係から特に上方にあるコンセントに接続しても無駄なコードのたるみも減少し、コードの傷付きの可能性も少なくなる。
なお、本図においては、収納ボックス58aと電装カバー58bの合わせ目の側方上方に互いに凹部を設け、電源コード引出し口58eとしているが、収納ボックス58aまたは電装カバー58bのどちらか一方の上方に開口部を設け、電源コード引出し口としても、前記同様の効果は得られる。
図6において、送風機22周辺の内箱2bに開口部を設け、前記開口部にコネクター81をもつ配線82を差込み、前記配線82と前記開口部の隙間はシール材にてシール処理をおこなう。また、前記配線82は収納ボックス58aの開口部から回路収納部内に引き込まれ、前記配線82を通した収納ボックス58aの開口部と配線82の隙間もシール材にてシール処理される。
前記と同様に、圧縮機20周辺の機械室にあるボトムプレート83の開口部にコネクター84をもつ配線85を差込み、前記配線85と前記開口部の隙間はシール材にてシール処理をおこなう。また、前記配線85は収納ボックス58aの開口部から回路収納部内に引き込まれ、前記配線85を通した収納ボックス58aの開口部と配線85の隙間もシール材にてシール処理される。
更に、野菜室12より上方にある電装部品との接続のため、電気回路58に電気的に接続される配線86も同様に、収納ボックス58aの開口部を通りシール処理をされて上方に引き出される。
また、前記配線82、85、86の各々は結束バンド等で適所を束ねられており、内箱2bの断熱材2c側となる所定の場所にテープ止めされ、外箱2aに組み込まれた後、前記内箱2bと外箱2aの隙間に発泡ウレタン等の断熱材2cが充填される。
なお、前記外箱2aは側面部と上面部が一体となったキャビネット部2dと背面側のバックプレート2eからなり、各々の電装部品に接続する前記配線82、86のコネクター81等を、内箱2bの開口部から庫内側に引き込み、各々の前記開口部のシール処理を施し、配線82、85、86を内箱2b上に引き回し適所でテープ止めし、その後、内箱2bとキャビネット部2dを組み立て、ボトムプレート83を内箱2bとキャビネット部2dに組み込み、ボトムプレート83の開口部から機械室側にコネクター84を引き出した後、前記開口部のシール処理を施す。
さらに、キャビネット部2dにバックプレート2eを組み込み、前記バックプレート2eに収納ボックス58aを組み込むときに、前記収納ボックス58aの開口部を通して、配線82、85、86の電気回路58への接続端子を収納ボックス58a内側に引き込み、収納ボックス58aをバックプレート2cに取付ける。そして、前記各々の前記開口部のシール処理を施した後、キャビネット部2dとバックプレート2eからなる前記外箱2aと内箱2b、および、内箱2bとボトムプレート83の隙間に発泡ウレタン等からなる断熱材2cが充填されることになる。
そして、その後、収納ボックス58a内に電気回路58が組み込まれ、前記配線82、85、86に設けられたコネクター(不図示)にて電気回路58に電気的に接続される。
また、前記コネクター84には、圧縮機20から来る駆動用リード線や温度過昇防止サーモ用リード線の5本のリード線が保護チューブにて覆われた状態で、また、凝縮器用送風機77から来る駆動用リード線2本が同様に保護チューブにて覆われた状態で、各々前記コネクター84に接続される。なお、前記保護チューブに覆われた各々のリード線は結束バンドで機械室の壁面等に固定され、前記コネクター84への接続個所やその周辺はビニールカバー等で防水処理が施される。
なお、前記圧縮機20への5本のリード線には突入電流・ロック電流等の大電流のかかる可能性のあるものであり、通電面積の大きな(例えば:0.75平方mm)リード線被覆厚さの厚い(例えば:0.3mm以上)の耐熱ダブルシースのものを使用するため、かなり太いリード線(例えば:外径3mm)となり、前記各々のリード線に対応する配線85の束の外径は10mm程度にも達し、かなりな太さになる。
また、前記コネクター81には、除霜ヒータ62や送風機22や、前記除霜ヒータ62近くに設けられた過昇防止用温度ヒューズ(不図示)や、製氷機67の製氷皿を駆動させる駆動モータ(不図示)や、製氷完了検知のための温度センサ(不図示)や、冷凍室13用の温度センサ76等から来る、8本の電源電圧のかかるリード線と4本の信号用リード線が、エバカバー33や背面板33a等の壁面上を引き回され、前記コネクター81に接続される。そして、前記各々のリード線に対応する配線82の束の外径も12mm程度にも達し、これもまた、かなりな太さになる。
なお、前記コネクター81は、送風機22周辺の冷気通路23の一部を、内箱2bの凹凸にて設けた隔離部内に位置させ、エバカバー33の前記隔離部に対応する位置にヒンジをもつ隔離部蓋(不図示)を設け、前記コネクター81に前記各々のリード線を接続した後、隔離部内に前記コネクター81やリード線を押し込み前記隔離部蓋にて蓋をして、冷気通路23内に前記接続部等が露出して冷気にさらされないようにしている。
そして、前記配線82、85は、内箱2bの外箱2a側表面を引き回され、一つの束(例えば:外径15mm)にされて収納ボックス58a内へと導かれる。収納ボックス58aが従来に比べ、送風機22や圧縮機20に非常に近くなっているため、前記配線82、85の内箱2b上の引き回し長さはかなり短くなり、配線材がコスト的にも安くなり、冷蔵庫に配線や配線の束を組み込む作業もやりやすくなるため、組立性や仕上がりの信頼性も向上する。
なお、圧縮機20を左右方向で一方の右側に、冷却器21を左右方向で前記圧縮機20と異なる側の左側に、断熱層を介して前記各々を設け、冷却器21周辺に送風機22を設け、必要厚さに設けた断熱材2cをもつ断熱層を介して、前記送風機22の上方に回路収納部を設けているため、更に収納ボックス58aと圧縮機20との距離は短くなり、配線材がコスト的にも更に安くなり、冷蔵庫に配線や配線の束を組み込む作業もいっそうやりやすくなるため、組立性や仕上がりの信頼性もより向上することになる。
また、内箱2bと外箱2aとの隙間に発泡ウレタン等の断熱材2cを充填したとき、前記配線82、85の占める個所が少ないため、配線82、85によるウレタン等の発泡時の流れを阻害するような個所の発生の可能性も減少し、断熱材2c内のボイド(ガス空間)発生の可能性も減少することとなり、断熱性の維持の向上に役立つとともに、断熱材2c内に熱伝導性の高い配線材の占める領域も減り、断熱性の向上に役立つこととなり、エネルギーの省力化にもなる。
なお、圧縮機20の上方に冷却器21を設け、その上方に送風機22を設けた場合であっても、前記よりは該当する配線の長さは少し長くはなるが、前記同様の効果は得られる。
図7において、87は、収納ボックス58a内からボトムプレート83の開口部を通り、機械室の低圧側につながるダクトである。凝縮器用送風機77が運転されると、収納ボックス58a内の空気は、前記ダクト87を通り、前記機械室の低圧側に流れ出す。
そのため、収納ボックス58aと電装カバー58bからなる回路収納部内の空気が前記機械室の低圧部に流れ込み、前記回路収納部内の電気回路58を強制冷却できるようになり、電気回路58の電気部品や回路基板を、許容限界温度の低いものを使用できたり、従来部品を使用したときは温度限度の余裕度が増し、品質の向上につながることになる。
そして、前記回路収納部と圧縮機20や凝縮器用送風機77のある機械室とが近くにあるため、短い連通路で互いに結ぶことができるようになり、連通路の通風抵抗も少なく、通風面積も少なくてもよく、従来から使用のような小型の凝縮器用送風機77であっても充分役に立つ。
なお、前記ダクト87の組み込みは、ボトムプレート83を内箱2bとキャビネット部2dに組み込んだ後、ボトムプレート83の開口部から機械室側にダクト87の先端を引き出し、前記開口部のシール処理を施す。そして、キャビネット部2dにバックプレート2eを組み込み、前記バックプレート2eに収納ボックス58aを組み込むときに、前記収納ボックス58aの開口部を通して、ダクト87の先端を収納ボックス58a内側に引き込み、収納ボックス58aをバックプレート2eに取付ける。
そして、前記開口部のシール処理を施した後、キャビネット部2dとバックプレート2eからなる前記外箱2aと内箱2b、および、内箱2bとボトムプレート83の隙間に発泡ウレタン等からなる断熱材2cが充填されることになる。
また、前記ダクト87は、ジャバラ状の凹凸を曲げ部に適所設けたブロー成形品でもよく、前記凹凸のない樹脂成形品の組品でもよく、発泡スチロール等による断熱材からなるものでもよい。そして、必要であれば、前記ダクト87内部や内箱2bに近づくダクト87の部分や内箱2bに適当にスペーサーや断熱材を設けてもよい。
さらに、前記ダクト87を前記断熱材2c内に設けると、断熱厚さが充分取れないときは、冷蔵庫1の背面に飛び出すことになるが、収納ボックス58aと電装カバー58bからなる回路収納部から、機械室カバー20cの開口部につながるダクトを、バックプレート2eの後方に設けても前記同様の効果は得られる。
このとき、前記ダクトを分解や着脱自在に設けておくと、前記ダクト内の清掃も容易となり、清潔に保てるばかりでなく、ダクト内のホコリ等による詰まりの防止も可能となる。
図8において、冷凍室13の下の圧縮機20等が配された機械室を含む、冷凍室13と断熱層を介して設けられた空間を、前後方向に仕切るように仕切壁88が設けられている。そして前記仕切壁88の前方に、左右方向に仕切る仕切壁89が設けられている。また、前記仕切壁88の後方の機械室となる所に、左右方向に仕切る仕切壁90が設けられている。そして、前記仕切壁90には凝縮器用送風機77が設けられている。
また、前記仕切壁89の右側には蒸発皿91が設けられ、前記蒸発皿91を支えるように金属性の蒸発皿受け板92が設けられている。更に、前記蒸発皿受け板92の下面には、圧縮機20の吐出パイプ20aからつながる凝縮パイプ93が取付けられている。
さらに、仕切壁89、90の左側には、仕切壁88に開口部を設け、前記開口部を通るフィンをもつ凝縮器71が設けられている。前記凝縮器71の一部は圧縮機20を支える圧縮機取付台94の一部で支えられ、また、仕切壁89の下に設けられた底板95にも凝縮器71の一部は支えられている。そして、下面に凝縮パイプ93をもつ前記蒸発皿受け板92をも前記底板95は空間をもって支えている。
また、仕切壁88の上部には凹部を設け、シール材を介してドレンパイプ96が設けられており、前記ドレンパイプ96の先端開口部は前記蒸発皿91の上方に位置している。そして、前記ドレンパイプ96の他端はドレン受け部材63、64につながっている。そのため、冷却器21、25に着霜した霜等を、除霜ヒータ61、62で溶かした水が、ドレン受け部材63、64からドレンパイプ96に流れ込み、前記蒸発皿91に溜まるようになっている。
なお、前記仕切壁88、89、90の上部とドレンパイプ96の上部には、シール材が張り付けられ、前記ボトムプレート83との隙間のシール処理をしており、また、前記仕切壁88、89、90の下部と圧縮機取付台94、底板95とは、互いにシール処理がされている。
また、キャビネット部2dとバックプレート2eボトムプレート83の断熱材2c側にも、凝縮パイプ93と同様のパイプ(不図示)が、アルミ箔テープ等で取付けられており、前記凝縮パイプ93ともあわせて前記凝縮器71の補助的役目をしている。
そして、圧縮機20の吐出パイプ20aを出た冷媒は、凝縮パイプ93からバックプレート2eの前記パイプ(不図示)を流れ、その後、ボトムプレート83の前記パイプ(不図示)から凝縮器71に流れ、キャビネット部2dの前記パイプ(不図示)を流れる。この間に、冷媒は高圧のもとで冷却されてガス冷媒から液冷媒になり、ドライヤー(不図示)を通りキャピラリーチューブ72に達することになる。
また、凝縮器用送風機77が運転されると、前記底板95とボトムプレート83の間を、仕切壁89の左側前方から空気が吸い込まれ、仕切壁88の開口部を通り機械室の一部に流れ込み凝縮器用送風機77に達する、この間、凝縮器71から熱を奪い、凝縮器71を通る冷媒を冷却して液化を助ける。
そして、圧縮機20側の機械室に前記空気は流れ込み圧縮機20を冷却し、仕切壁88の開口部を通り蒸発皿91の上方に達する。そして、その後、蒸発皿91に除霜水が溜まっていれば、その溜まった除霜水の蒸発を助けて、蒸発した水分を含んだ暖気状態で前記底板95とボトムプレート83の間を前記空気は仕切壁89の右側前方から外に排出される。
なお、機械室カバー20cの機械室側低圧部となる部分に、開口部20dが設けられているため、冷蔵庫1の背面側外側から前記開口部20dを通り、機械室低圧部に外気が流れ込み、圧縮機20等の機械室内部の発熱体の冷却に役立つ。
また、凝縮パイプ93は高温(例えば:80℃前後)であるため、金属性の蒸発皿受け台92を介して、蒸発皿91の水は暖められ蒸発しやすくなり、凝縮パイプ93はその気化熱や凝縮器用送風機77による空気の流れで冷却されることになる。
更に、ボトムプレート83の断熱材2c側に設けられたパイプ内の冷媒も前記凝縮器用送風機77による空気の流れで冷却されることになる。
そして、従来のように、圧縮機20等機械室にある部品を冷却した熱風を、冷蔵庫1の背面外側に排出することなく、冷蔵庫1の背面外側の空気をさえ吸込むため、熱風排出による冷蔵庫1の背面付近の外気の温度上昇はなく、しかも、電気回路58を収納している収納ボックス58aや電装カバー58bは、冷蔵庫1本体の背面部で従来品よりも低い位置にあるため、その周辺の外気温度の上昇は少なく、その結果、電気回路58の温度上昇も従来よりは低くおさえられることになり、電気回路58の電気部品や回路基板を、許容限界温度の低いものを使用できたり、従来部品を使用したときは温度限度の余裕度が増し、品質の向上につながることになる。
また、バックプレート2eの断熱材2c側に設けられた前記パイプを、電気回路58を収納している収納ボックス58aよりも上方に位置させると、更に、電気回路58を収納している収納ボックス58aや電装カバー58b周辺の外気温度の上昇は少なくなる。
本発明において、冷蔵室11と野菜室12とを同一の冷却器25により冷却しているが、冷蔵室と冷凍室とを同一の冷却器により冷却する場合であっても部材42を配置する側に冷却器を配置することによって冷気が吐出されるまでの経路が短縮され上記と同様の効果を得ることができる。また、冷却器21、25として蒸発器を用いているが、ペルチェ方式やその他の冷却方式による冷却器を用いても同様の効果を得ることができる。
また、部材42の少なくとも一部に凹凸を設けたり、部材42の表面を粗い面に形成したり等して、保湿機能を部材42に持たせると、部材42に生じた結露を流下させずに留まらせることができる。そして、結露水の蒸発により室内の湿度が維持されて保湿を行うことができるため、貯蔵物(特に野菜や生もの)の長期保存に役立つ。また、部材42に保湿機能を有する保湿材を取り付けてもよい。
なお、上記の構成は冷蔵室11の背面側上方に冷却器25を設けたものであるが、冷蔵室11と隔離室である氷温室14の境界である仕切り板46よりも冷蔵室11側に少なくとも冷却器25の一部を設けた場合であっても氷温室14の奥行きが若干短くなるが、上記と同様の効果を生じる。しかも、氷温室14側にある冷却器25の近くに部材42を設けると、氷温室14が更に均一に冷却される冷蔵庫となる。
また、冷蔵室11と野菜室12の境界である仕切り板32よりも冷蔵室11側に少なくとも冷却器25の一部を設けた場合であると、野菜室12側にある部分の冷却器25の前方は十分な厚みのある断熱層が必要となるが、従来よりもその部分が減少してスペースの有効利用を図ることができる。また、従来よりも送風機26の吐出側の通路が短くなり、送風効率を向上下冷蔵庫を得ることができる。
更に、配線や電源コードに関しては、冷蔵室11や野菜室12や冷凍室13等の貯蔵室の配列順や位置関係が異なるものであっても、前記と同様の効果が得られ、更には、冷蔵室11と冷凍室13とを同一の冷却器22のみにより冷却する場合であっても、前記と同様の効果が得られる。
なお、本発明において、冷気通路を通る冷気による冷熱の一部が部材を介して貯蔵室内に放出されるとは、冷気通路を通る冷気の一部が部材から吸熱して該部材を冷却し、部材が貯蔵室内から吸熱して貯蔵室内を冷却することを意味する。
また、前記で左右方向とは、冷蔵庫を正面から見て左右の方向を意味し、前後方向とは、冷蔵庫を正面から見て前後の方向を意味する。
そして、前記配線等で、開口部のシール処理とは、開口部を通した配線やダクト等表面と前記開口部とで生じた隙間を、シール材やスポンジ等で行うシールの処理のことをいう。
さらに、本図において、巾の狭い断面のハッチングは省略している。