JP4229368B2 - 繊維性成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は木材チップ、草、藁などの繊維性材料の有効活用を図るべく、これらを成形品化する技術の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
木材チップ、草、藁などの繊維性材料は、紙製品、木製品、建材などに有効利用されるが、結合材(バインダー)としてフェノール樹脂、ユリア樹脂、アクリル樹脂などの高分子樹脂を用いることが一般的である。しかし高分子樹脂を用いると再利用(リサイクル)や廃棄が困難となる。
【0003】
そこで、高分子樹脂の代わりに樹木から抽出した天然物質であるリグノフェノール誘導体を用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平9−278904号公報(段落番号[0025]、図6〜図10)
【0005】
特許文献1の図6を従来の技術の代表例と位置づけ、詳しく説明する。
図9は特許文献1の図6の再掲図であり、特許文献1段落番号[0025]第3行〜第6行に「・・・セルロース系ファイバーを成形し、この成形体に、リグノフェノール誘導体溶液を含浸した後、溶媒を留去する。溶媒の留去によりリグノフェノール誘導体は粘結性を発揮し、成形材料に対して接着性を発揮する。・・・」と説明されているとおりに、リグノフェノール誘導体溶液に成形体を浸漬することを基本とする。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
成形体をリグノフェノール誘導体溶液に浸漬すると、当然のことながら溶液の浸透は、成形体の表面から中心に向かって進行する。しかし、成形体はある程度緻密であるため、浸透速度が低く、中心まで浸透させるには時間がかかる。時間がかかると生産性が低下する。
【0007】
又、リグノフェノール誘導体溶液は、容器に満たし、そこへ成形体を浸漬するため、リグノフェノール誘導体溶液は、成形体体積よりも数倍の体積のものを準備する必要があり、容器に残るなど無駄が発生する。ところで、リグノフェノール誘導体は、多量に準備することや無駄が発生すると、製品コストが嵩むことになる。
【0008】
そこで本発明の目的は、リグノフェノール誘導体の使用を前提として生産性を高めることができると共にリグノフェノール誘導体の無駄を省くことのできる製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、繊維性材料とリグノフェノール誘導体と射出機構と金型と臨界温度を超え且つ臨界圧力を超えることを条件に気体・液体の性質をあわせもつ超臨界流体とを準備する準備工程と、超臨界流体、リグノフェノール誘導体及び前記繊維性材料を射出機構に供給する供給工程と、射出機構の加熱筒内部でスクリューによる混練を実施することでリグノフェノール誘導体に超臨界流体を含浸させつつ繊維性材料と混練させる可塑化工程と、可塑化した繊維性材料を金型へ射出する射出工程と、金型内部で成形を促す成形工程と、からなる繊維性成形品の製造方法であって、
前記準備工程では、繊維性材料は70〜95質量%、リグノフェノール誘導体は30〜5質量%、超臨界流体はリグノフェノール誘導体を基準としてそれの少なくとも0.5質量%を準備することを特徴とする。
【0013】
請求項2では、超臨界流体を構成する物質は、二酸化炭素又は窒素であることを特徴とする。
二酸化炭素は、臨界温度が31.3℃で、臨界圧力が7.4MPaであって、比較的低温で且つ比較的定圧で処理することができる。加えて、二酸化炭素ガスは無毒ガスであるため、成形後の成形品から大気中へ自然放出することができる。
又、窒素は、臨界温度が−147℃で、臨界圧力が約3.4MPaであって、常温(−147℃以上であればよい)で加圧するだけで容易に製造することができ、無毒ガスであるため、成形後の成形品から大気中へ自然放出することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明で使用する射出機構の断面図であり、射出機構10は、加熱筒11と、この加熱筒11に回転自在に且つ前後進可能に取付けたスクリュー12と、このスクリュー12を前後進させるスクリュー前後進手段としての油圧シリンダ13と、この油圧シリンダ13のピストン14を回転させることで前記スクリュー12を回転させるスクリュー回転手段15と、スクリュー12の基部に設け、スクリュー12のポジションを検出するスクリュー位置検出手段16と、加熱筒11の先端に設けたノズルバルブ17と、加熱筒11の基部に接続したホッパー18と、このホッパー18の縮径部19に挿入したフィードスクリュー21と、このフィードスクリュー21の軸22に取付けた撹拌羽根23、24と、ホッパー18の上部の蓋25に取付けたフィードモータ26と、蓋25に接続した材料供給管27、リグノフェノール誘導体供給管28及び超臨界流体供給管29と、これらの材料供給管27、リグノフェノール誘導体供給管28及び超臨界流体供給管29に各々設けたゲートバルブ31、32、33とからなる。
【0020】
34はシール材であり、前記ノズルバルブ17とともに加熱筒11内に超臨界流体(高圧流体)を封じ込める作用を発揮する。
【0021】
金型40は、固定型41と可動型42とこれらの間に形成したキャビティ43とからなる。型締め機構は省略した。
【0022】
超臨界流体供給管29で供給する超臨界流体を説明する。
図2は物質の状態図であり、横軸は温度、縦軸は圧力を示す。気体と固体との境界線は昇華曲線であり、気体と液体との境界線は蒸発曲線であることは周知の通りである。この蒸発曲線の高圧、高温側に、一般に終点があり、この終点を臨界点と呼ぶ。この臨界点に対応する温度Tcを臨界温度、対応する圧力Pcを臨界圧という。臨界点より高温領域では、蒸発や凝固に変化が存在しない超臨界流体となる。
【0023】
図3は二酸化炭素の状態図であり、横軸は圧力、縦軸は密度を示す。横軸の圧力を増加するに連れて密度が大きくなるので、超臨界二酸化炭素は気体の性質を有する。
【0024】
【表1】
【0025】
表1は気体、液体及び超臨界流体の物性値をまとめた表である。しかし、表では比較し難いので、この物性値をグラフ化して次の図に示す。
【0026】
図4は気体、液体及び超臨界流体の物性値を比較したグラフである。
(a)は密度の比較図であり、気体の密度は、液体の密度の1/1000倍程度である。一方、超臨界流体の密度は、液体の密度の0.2〜1.0倍であり、超臨界流体は密度の点では液体に近い。
(b)は粘度の比較図であり、超臨界流体は粘度の点では気体に近いことがわかる。
【0027】
(c)は拡散係数の比較図であり、超臨界流体の拡散係数は気体より遙かに小さいが、液体の約10倍である。この拡散係数は大きいほど相の平衡化が迅速に行える。
【0028】
本発明では、リグノフェノール誘導体に超臨界流体を含浸させて材料の流動化を促すことを特徴とする。図4(a)に示す密度が大きいほど流動化性能が大きくなる。流動化の点では、超臨界流体は気体の1000倍に相当し、大きな流動化性能を有する。
一方、図4(b)に示す粘度は小さいほど射出圧を下げることができる。粘度の点では、超臨界流体は液体の1/30以下であるため、射出圧を下げることができる。
【0029】
このように、超臨界状態の二酸化炭素又は窒素を採用することで、超臨界流体が可塑剤として作用するので樹脂流動性が向上し、繊維性材料の射出成形が実現できたと言える。
【0030】
以上の構成からなる射出機構10及び金型40を用いて実施する本発明の繊維性成形品の製造方法を次に説明する。
図5は本発明の繊維性成形品を製造するのに好適な製造フロー図であり、図1を参照しつつ説明する。ST××はステップを示す。
【0031】
ST01:繊維性材料とリグノフェノール誘導体と超臨界流体と射出機構と金型とを準備する。
【0032】
リグノフェノール誘導体は、次の要領で製造することができる。
木粉、チップ、廃材、木片などの木質化した材料は、リグニンを含むリグノセルロース系材料であり、この材料をクレゾールなどのフェノール誘導体で処理すると材料が溶解し、リグニンをリグノフェノール誘導体として抽出することができる。
【0033】
超臨界流体には、安価で、入手容易で、且つ毒性のない二酸化炭素又は窒素が好適である。
二酸化炭素の臨界温度は31.3℃、臨界圧は7.4MPaであり、図1において超臨界流体供給管29、ホッパ18及び加熱筒11の耐圧を高め、ヒータ、保温材で温度を高めることで、超臨界状態を容易に維持させることができる。
【0034】
又、窒素は、臨界温度が−147℃で、臨界圧力が約3.4MPaであって、常温(−147℃以上であればよい)で加圧するだけで容易に製造することができる。
【0035】
超臨界流体供給管29、ホッパー18及び加熱筒11の全てを臨界圧以上にするためには、ゲートバルブ31、32、33を閉じると共に、ノズルバルブ17を閉じることで密閉空間を作ることが有効である。
【0036】
図5に戻って、ST02:リグノフェノール誘導体、超臨界流体及び繊維性材料をホッパーに供給する。繊維性材料は、木粉、チップ、廃材、木片、草などの樹木草片であれば、種類は問わない。図1において、材料供給管27を通じて矢印▲1▼のごとく、繊維性材料をホッパー18へ供給すると同時に、リグノフェノール誘導体供給管28を通じて矢印▲2▼のごとく、リグノフェノール誘導体をホッパー18へ供給する。そして、超臨界流体供給管29を通じて矢印▲3▼のごとく、超臨界流体をホッパー18に供給する。
【0037】
ST03:ホッパー内を撹拌する。すなわち、図1にてフィードモータ26の作用で撹拌羽根23、24を廻すことで、撹拌しリグノフェノール誘導体に超臨界流体を十分に接触させ、含浸させる。
【0038】
ST04:加熱筒へ撹拌済みの材料をフィードする。すなわち、図1にてフィードモータ26で廻されるフィードスクリュー21の押出し作用で、材料を加熱筒11内へ押し込む。
【0039】
ST05:加熱筒内で混練する。すなわち、図1にてスクリュー12を所定の回転数で廻すと、材料はスクリュー12の溝に沿って移動して先端に向かう。先端に材料が溜まるが、この溜まる量に対応してスクリュー12は後退する。
【0040】
加熱筒11では、材料がスクリュー12の作用で加熱筒11との間で圧縮されるつつ、混練が進行する。このときに、リグノフェノール誘導体に超臨界流体が浸透し、リグノフェノール誘導体の溶融粘性が下がり、射出圧を下げることができる。そしてリグノフェノール誘導体は繊維性材料に均等に混ざる。
【0041】
ST06:次に、射出を実行する。すなわち、図1にてノズルバルブ17を開き、後退しているスクリュー12を前進させる。スクリュー12の押出し作用により、溶融化材料は、金型40のキャビティ43に充満する。
【0042】
ST07:射出した溶融化材料を冷却・固化させた後に、金型を開いて、繊維性成形品を取出せばよい。超臨界流体は、成形品から大気中へ自然放出させることができる。
得られた繊維性成形品を構成する母材は樹木・草からなる天然材料であり、バインダーは樹木から抽出したリグノフェノール誘導体であって天然材料である。この結果、繊維性成形品は、土中に廃棄することで土に戻すことができ、破砕することで紙原料に転用しリサイクル化を図ることができる。
【0043】
本発明を実施するときに原料の配合が重要となるので、以下にその説明をする。
図6はリグノフェノール誘導体の割合と成形品の光沢との関係を示すグラフである。
横軸はリグノフェノール誘導体(上段)並びに繊維性材料(下段)の割合を示し、縦軸は成形品の光沢を示す。木材チップに代表される繊維性材料は光沢に乏しい。逆に、リグノフェノール誘導体は光沢作用を発揮する。リグノフェノール誘導体と繊維性材料との合計を100質量%として、両者の配合を種々変更して成形品の光沢を調べた。
【0044】
グラフに示すとおりに、リグノフェノール誘導体の割合が5質量%以上であれば、必要な光沢が確保できることが確認できた。そこで、リグノフェノール誘導体の割合の最小値を5質量%、繊維性材料の割合の最大値を95質量%にすることとした。
【0045】
図7はリグノフェノール誘導体の割合と成形品の強度との関係を示すグラフである。
横軸はリグノフェノール誘導体並びに繊維性材料の割合を示し、縦軸は成形品の引張り強さを示す。
リグノフェノール誘導体と繊維性材料との合計を100質量%として、両者の配合を種々変更して成形品の引張り強さを調べたところ、山形の曲線を描くことが分かった。
【0046】
繊維性成形品は、家具や木質調食器を想定しているため、取扱いに耐える強さが必要である。横軸のリグノフェノール誘導体5質量%から縦軸に平行な線を描き、曲線と交わった点をP1とする。発明者らの研究では、この点P1における引張り強さを、必要強さとみなすことができる。
【0047】
点P1を通る横線を引き、この横線と交わった新たな点をP2とする。この点P2は横軸の目盛りで30質量%に相当する。すなわち、リグノフェノール誘導体の割合を5〜30質量%にすることで、必要な強さを発揮させることができるといえる。
【0048】
そして、より高い強さが要求されたときには、図示するごとくリグノフェノール誘導体の割合を10〜25質量%にすることで、好ましい強さを発揮させることができるといえる。
【0049】
従って、繊維性材料を70〜95質量%としリグノフェノール誘導体を30〜5質量%とすることが有効であり、好ましくは繊維性材料を75〜90質量%としリグノフェノール誘導体を25〜10質量%とする。
【0050】
超臨界流体は、リグノフェノール誘導体に極めて良好に含浸し、少量であってもリグノフェノール誘導体の溶融粘性を大幅に下げる作用を発揮する。超臨界流体は、リグノフェノール誘導体に対して0.5質量%以上であれば流動化の目的を達成しうる。0.5質量%未満であるとリグノフェノール誘導体の流動抵抗が低減しないため、好ましくない。
【0051】
次に本発明に係る別実施例を説明する。
図8は図1の別実施例図であり、図1と共通の要素は符号を流用し、詳細な説明は省略する。この別実施例は、超臨界流体供給管29から分岐管35を分岐し、この分岐管35の先端を加熱筒11の途中に接続し、分岐管35にゲートバルブ36を設けたことを特徴とする。
【0052】
発明者らが実験したところでは、条件によっては射出圧が許容値以上に上昇し、射出工程に支障を来すことがあった。その理由は、超臨界流体がリグノフェノール誘導体によく含浸すると同時にリグノフェノール誘導体から抜けやすいため、ホッパー18から金型40までの経路が長いと、途中で超臨界流体が抜けてしまったと考えられる。
そこで、図のようにホッパー18と加熱筒11との2箇所で超臨界流体を供給すると、ホッパー18内部及び加熱筒11内部での材料の流動化が維持できた。
【0053】
超臨界流体供給管(供給系統)が複雑になるが、3箇所又は4箇所以上で、超臨界流体を供給することは差し支えない。
【0054】
尚、図1で説明した射出機構10は1例を示したに過ぎず、全電動式射出機構であってもよい。
又、超臨界流体をリグノフェノール誘導体に予め混合した状態で、ホッパー18に供給することや、超臨界流体を繊維性材料に予め混合した状態で、ホッパー18に供給することは差し支えない。
【0055】
さらに又、図5で説明したフローは1例を示したに過ぎず、ステップを増減すること、発明の主旨を変えない範囲でステップの内容を変更することは差し支えない。
【0056】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、リグノフェノール誘導体に超臨界流体を含浸することで、リグノフェノール誘導体の溶融粘性が下がるから射出圧を下げることができる。このことにより、射出成形法が実施可能となる。
そして、射出成形法を採用することで、多量の成形品を効率よく生産することができる。
【0057】
射出機構において、可塑化工程で溶融粘性の下がったリグノフェノール誘導体に繊維性材料を十分に混練させるため、成形品の表面から中心までリグノフェノール誘導体を均等に配合することができる。リグノフェノール誘導体の結合作用で繊維性材料を成形品化することができる。
【0058】
リグノフェノール誘導体は樹木から抽出した天然物質であり、繊維性材料も天然物質であるから、繊維性成形品を地中に廃棄したときにはバクテリアなどの助けにより土壌に戻すことができる。又は、繊維性成形品をリサイクル化することができる。
【0060】
加えて請求項1では、準備工程で、繊維性材料は70〜95質量%、リグノフェノール誘導体は30〜5質量%、超臨界流体はリグノフェノール誘導体を基準としてそれの少なくとも0.5質量%準備することを特徴とする。
【0061】
リグノフェノール誘導体の割合が5質量%未満であると、成形品の表面の光沢が乏しくなり、木質感が損なわれる。
また、リグノフェノール誘導体は繊維性材料を結合するバインダーの役割を果たす。リグノフェノール誘導体の割合が5質量%未満であると、結合力が不十分になり、成形品の強度が不十分になり、成形品が壊れやすくなる。木質感を高めると共に強度を確保するために、リグノフェノール誘導体の割合は5質量%以上にする必要がある。
【0062】
反面、リグノフェノール誘導体は軟質材料であるから、15質量%以上になるとその割合が増加するほど成形品の強度が低下する。本発明者らが実験し、検討したところでは、リグノフェノール誘導体の割合が30質量%を超えると成形品の強度が不十分となることが分かった。そのため、リグノフェノール誘導体の割合は30質量%以下にする必要がある。
【0063】
超臨界流体は、リグノフェノール誘導体に極めて良好に含浸し、少量であってもリグノフェノール誘導体の溶解粘性を大幅に下げる作用を発揮する。超臨界流体は、リグノフェノール誘導体に対して0.5質量%以上であれば流動化の目的を達成しうる。0.5質量%未満であるとリグノフェノール誘導体の流動抵抗が低減しないため、好ましくない。
【0064】
すなわち、請求項1では、繊維性材料は70〜95質量%、リグノフェノール誘導体は30〜5質量%、超臨界流体はリグノフェノール誘導体を基準としてそれの少なくとも0.5質量%とすることで、ほぼ繊維性材料が70〜95質量%で、リグノフェノール誘導体が30〜5質量%の成形品を得ることができ、この成形品は木質感がよく、十分な強度が期待できる。
また、請求項2では、超臨界流体を構成する物質は、二酸化炭素又は窒素であることを特徴とする。
二酸化炭素は、臨界温度が31.3℃で、臨界圧力が7.4MPaであって、比較的低温で且つ比較的定圧で処理することができる。加えて、二酸化炭素ガスは無毒ガスであるため、成形後の成形品から大気中へ自然放出することができる。
又、窒素は、臨界温度が−147℃で、臨界圧力が約3.4MPaであって、常温で加圧するだけで容易に製造することができ、無毒ガスであるため、成形後の成形品から大気中へ自然放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で使用する射出機構の断面図
【図2】物質の状態図
【図3】二酸化炭素の状態図
【図4】気体、液体及び超臨界流体の物性値を比較したグラフ
【図5】本発明の繊維性成形品を製造するのに好適な製造フロー図
【図6】リグノフェノール誘導体の割合と成形品の光沢との関係を示すグラフ
【図7】リグノフェノール誘導体の割合と成形品の強度との関係を示すグラフ
【図8】図1の別実施例図
【図9】特許文献1の図6の再掲図
【符号の説明】
10…射出機構、11…加熱筒、12…スクリュー、28…、リグノフェノール誘導体供給管、29…超臨界流体供給管、40…金型。
Claims (2)
- 繊維性材料とリグノフェノール誘導体と射出機構と金型と臨界温度を超え且つ臨界圧力を超えることを条件に気体・液体の性質をあわせもつ超臨界流体とを準備する準備工程と、超臨界流体、リグノフェノール誘導体及び前記繊維性材料を射出機構に供給する供給工程と、射出機構の加熱筒内部でスクリューによる混練を実施することでリグノフェノール誘導体に超臨界流体を含浸させつつ繊維性材料と混練させる可塑化工程と、可塑化した繊維性材料を金型へ射出する射出工程と、金型内部で成形を促す成形工程と、からなる繊維性成形品の製造方法であって、
前記準備工程では、繊維性材料は70〜95質量%、リグノフェノール誘導体は30〜5質量%、超臨界流体はリグノフェノール誘導体を基準としてそれの少なくとも0.5質量%を準備することを特徴とする繊維性成形品の製造方法。 - 前記超臨界流体を構成する物質は、二酸化炭素又は窒素であることを特徴とする請求項1記載の繊維性成形品の製造方法。
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