JP4229231B2 - アナログ・デジタル変換方法 - Google Patents
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Description
一方、超音波や光による送受信信号の位相差を用いた計測は,海中の測深・探索や、物体の位置計測や、非破壊検査(探傷といいわれる)として、医療分野、建築分野、半導体分野などの様々な分野で使われている,
また、上述した非破壊検査において、前述の跳ね返ってきた信号のフーリエ係数を求めることにより、位相と振幅を求め、これにより内部の状況を検査することも行われている(非特許文献2)。
さらに、精度をあげるために、上記サンプリング定理を満たす程度のAD変換器とオーバーサンプリング法により、送受信信号のサンプリング周波数を上げるという方法が提案されている(非特許文献3)。
C.E.Shannon "Communication in the presence of noise" Proc. IRE, Vol.137,No.1, pp.10−21,1949.参照。 田所、野口、"Resonator Fourier Transformの特性"信学技法、DSP2002−217、pp.47−51.参照。
このようなことを避けるためには、非特許文献3に記載されているように、サンプリング定理を満たす程度のAD変換器とオーバーサンプリング法により、送受信信号のサンプリング周波数を上げるという方法が考えられる。
そこで、本発明は上記従来技術の欠点を解消し、超音波や光を用いた送受信信号の周波数が変化しない点にに着目し、サンプリング定理を満たさずにアナログ信号からデジタル信号に変換できるないアナログ・デジタル変換方法を提供することを目的とする。
本発明は、オーバーサンプリングを用いることなく簡単な演算で位相差を求めることができ、かつ、高速なDSPも必要としないアナログ・デジタル変換方法を提供することを目的とする。
請求項2記載の発明では、本願請求項1記載のアナログ・デジタル変換方法において、前記ステップでは、第1の成分aまたは第2の成分bとすると、振幅値Ampは、Amp=(a 2 +b 2 ) 1/2 により求め、また、位相差θは、θ=−arcsin(b/Amp)(ただし、a,bの符号によってθの値が変化する。)により求めるものであることを特徴とするものである。
(2)オーバーサンプリングを用いることなく、簡単な演算でアナログ信号からデジタル信号を求めることができ、高速なDSPを不要とすることができる。
(3)アナログ信号を有効に再現できるとするサンプリング定理を満足するサンプリンク周波数以下のサンプリング周波数でアナログ信号をサンプリングしてデジタル信号を得ることができるとともに、変換前のアナログ信号に確実に再現可能なデジタル信号を得ることができる。
[本発明を実施するための最良の形態について]
図1ないし図7は本発明を実施するための最良の形態を説明するための図であ る。ここで、図1は、本発明を実施するための最良の形態に係るアナログ・デジタル変換方法を実現する計測システムを示すブロック図である。
この図1において、計測システム1は、AD変換器3と、コンピュータ装置5と、第1の波発生器7と、第1の波発生器7からの駆動信号を被測定体Mに与える送出手段9と、被測定体Mからの反射信号を検出して電気検出信号に変換する検出センサー11とを備えたものである。
b=V(n)・cos(ω*t(n+m))−V(n+m)・cos(ω*t(n))
・・・(2)
Amp=(a2+b2 )1/2 ・・・(3)
θ=−arcsin(b/Amp)
ただし、a,bの符号によってθの値が変化する。 ・・・(4)
前記第1の波発生器7は、その駆動信号をAD変換器3の一方の入力端子に入力するとともに、前記送出手段9を駆動するようになっている。前記送出手段9は、被測定体Mに当接している。前記検出センサー11は、前記被測定体Mに当接されており、前記送出手段9から被測定体M内に送出された第1の波の反射波を前記被測定体Mから検出できるようになっている。
前記AD変換器3は、前記コンピュータ装置5から指定されたサンプリング周波数でAD変換をする。このとき、前記AD変換器3には前記コンピュータ装置5から、前記AD変換器3に入力される入力信号の周波数成分に対し、サンプリング定理以下の周波数でサンプリングするようなAD変換指令(サンプリング指令)Ssが入力されている。
図2ないし図7は本発明を実施するための最良の形態に係るアナログ・デジタル変換方法の妥当性を説明するための波形図であり、各図とも横軸に時間[秒
(Sec)]を、縦軸に測定電圧の値(+1〜0〜−1)を、それぞれとったものである。
V(t)=A*sin(ω*t+θ) ・・・(5)
で与えられる。この数式5において、符号Aは振幅を、符号ωは角周波数(ω=2πf)を、符号tは時間[秒]を、符号fは周波数[Hz]を、それぞれ示している。このようなアナログ測定信号電圧V(t)をAD変換することを考える。
まず、A=1、f=1[kHz]、θ=0(ゼロ)としたときのアナログ信号電圧をV(t)とし、図2で示している。
したがって、アナログ測定信号電圧V(t)の正確な正弦を認識する場合には、高い周波数のサンプリング周波数が必要となる。また、入力正弦波と出力正弦波の位相差を調べるにも、一般には、前記入力正弦波および前記出力正弦波を正確に認識し、それら入出力正弦波の位相差を求めることになるため、同様のことがいえる。
そこで、本発明では、超音波や光を用いた送受信信号は周波数が変化しないことに着目し、サンプリング定理を満たさない場合でも、送受信信号の位相差を算出できる方法を提供するものである。
(n)とすると、
V(n)=A*sin(ω*t(n)+θ) ・・・(6)
となる。また、前記サンプリング時間t(n)の一サンプリング時間後の時刻t(n+1)とすると、そのときのデジタルデータをV(n+1)とすると、
V(n+1)=A*sin(ω*t(n+1)+θ) ・・・(7)
となる。ここに、Aは信号の振幅、ωは角周波数(=2πf)、fは周波数で既知の値である。また、上記数式6および数式7において、振幅Aと位相差θは未知数である。
V(n)={V(n+1)/sin(ω*t(n+1)+θ)}sin(ω*t(n)+θ) ・・・(8)
となる。この数式8を整理すると、
V(n)*sin(ω*t(n+1)+θ)−V(n+1)*sin(ω* t(n)+θ)=0 ・・・(9)
となり、数式9を得ることができる。この数式9に三角関数の加法定理を適用すると、
V(n){sin(ω*t(n+1)cosθ+cos(ω*t(n+1)s inθ}
−V(n+1){sin(ω*t(n)cosθ+cos(ω*t(n)sinθ}=0
・・・(10)
{V(n)sin(ω*t(n+1)−V(n+1)sin(ω*t(n)} cosθ+{V(n)cos(ω*t(n+1)−V(n+1)cos(ω*t(n)}sinθ=0 ・・・
(11)
となる。ところで、
a*sinθ+b*cosθ=(a2 +b2)1/2*sin(θ+α)・・・ (12)
で与えられる。したがって、第1の成分(a)は、
a={V(n)sin(ω*t(n+1)−V(n+1)sin(ω*t
(n)}
・・・(12)
となり、数式1となる。また、第2の成分(b)は、
b={V(n)cos(ω*t(n+1)−V(n+1)cos(ω*t(n)}
・・・(13)
となり、数式2となる。
Amp*sin(θ+α)=0 ・・・(14)
となる。
ここに、Amp=(a2 +b2)1/2 ・・・(15)
となり、上記数式3となる。
θ=−arcsin(b/Amp) ・・・(16)
となる。数式12における第1の成分(a)と第2の成分(b)と位相θの関係は、
a>0,b>0のとき、θ=180−arcsin(b/Amp)
a<0,b>0のとき、θ=arcsin(b/Amp)
a<0,b<0のとき、θ=arcsin(b/Amp)
a>0,b<0のとき、θ=−180−arcsin(b/Amp)
・・・(16)
となる。この数式16が、数式4と同じなる。
これにより、アナログ信号の位相θが上記数式16より求まり、振幅Ampは数式6または数式7に、前記位相θを代入することにより算出できることがわかる。
上述した演算式(数式1ないし数式4)の妥当性についての説明を具体的に検 討してみる。
いま、上記方法により、計測するアナログ信号の周波数より低いサンプリング周波数(サンプリング定理を満たさないサンプリング周波数)で軽減波を再現できることをシミレーションしてみる。
(2)=2/750[秒]のときにV(2)=0.5となる。
上記数式1に、f=1000[Hz]、t(1)=1/750[秒]のときにV(1)=0.5を代入すると、
0.5=Amp*sin(2000π/750+θ) ・・・(17a)
を得ることができる。
・・・(17b)
を得ることができる。
これら数式17a,17bと、前記数式3、4を用いて計算すると、位相θ =π/6、振幅Amp=1と正確に求まることがわかる。
したがって、計測したアナログ信号V(n)は、
V(n)=Amp*sin(2000πt+π/6)
となって、元の正弦波を位相を含めた形で再現できることになる。
図8は、本発明を実施するために最適な実施の形態に係るアナログ・デジタル変換方法を実証するこめの実験装置を示す図である。
この図8において、本発明を実証するための実験装置21は、AD変換器23と、前記コンピュータ装置25と、ファンクションジェネレータ27と、送出手段29と、検出センサー31と、XYZステージ33と、載置台35とからなる。なお、AD変換器23は上記AD変換器3と、コンピュータ装置25は上記コンピュータ装置5と、ファンクションジェネレータ27は上記正弦波発生器7と、前記送出手段29は上記送出手段9と、前記検出センサー31は上記検出センサー11と、それぞれ同一のものと考えてよい。
また、前記ファンクションジェネレータ27の出力の一方は、送出手段29に供給されるようになっている。前記ファンクションジェネレータ27の出力の他方は、前記AD変換器23に入力されるようになっている。
前記AD変換器23は、前記コンピュータ装置5のサンプリングや変換制御の下に、入力されたアナログ信号を、前記コンピュータ装置25で指定されたサンプリング周期でAD変換して、前記コンピュータ装置25に当該変換した後のデジタルデータを供給できるうよになっている。
前記コンピュータ装置25は、図1のコンピュータ装置5と全く同様に、ディスプレイ、入力装置、その他の装置が設けられている。また、前記コンピュータ装置25は、その処理結果をディスプレイやプリンタを用いて表示できるようになっている。
(実験1)
図9は、上記実験装置21を用いて実験1をしたときに得られたデータを示す図であって、横軸には時間[秒]を、縦軸には振幅を、それぞれとったものである。
図10は、上記実験1と同じ条件のときに、本発明の実施するために最適な実施の形態に係るアナログ・デジタル変換方法によって計算した波形を示す図であって、横軸には時間[秒]を、縦軸には振幅を、それぞれとったものである。
このような条件のときに、サ ンプリング周波数を40[kHz]、ビット数 を8[ビット(Bit)]で収得した入力データ(ファンクションジェネレータ27の出力信号)を図9では○印として示し、出力データ(検出センサー31からの検出信号)を図9では△印で示した。
図9に示すデータを、Agilent Technologies Inc.(アジレント・テクノロジーズ社)のUniversal Counter 「53132A」を用いて入力波形と出力波形の位相差を測定すると156[度]であった。
図10からも明らかなように,20[MHz]の高サンプリングレートで取り込んだときのときの図9の波形と同様な波形になっていることが確認できる。また,計算により得られる入出力波形の位相差は156[度]となっており、前記HP社製の位相差検出器で測定したものと同じであることがわかる。
次に,実験2では、荷重を変えたときの例を示したものてある。被測定体Mを 、実験1と同様に、Sillicon 40[%]とし、荷重を実験1とは異ならせて5[g]に設定して実験をしたものである。その結果は、図12および図13に示す。
図11は、上記実験装置21を用いて実験2をしたときに得られたデータを示す図であって、横軸には時間[秒]を、縦軸には振幅を、それぞれとったものである。
図12は、上記実験2と同じ条件のときに、本発明の実施するために最適な実施の形態に係るアナログ・デジタル変換方法によって計算した波形を示す図であって、横軸には時間[秒]を、縦軸には振幅を、それぞれとったものである。
(元の)データをよくシミュレーションしていることが確認できる。また,提案法により求められた入出力波形の位相差は131[度]となり,HP社のUniversal Counter 「53132A」で測定したものと同じとなる ことがわかる。
今回の実験では,300[kHz]の超音波に対して,40[kHz]の低サンプリングレートで、かつ、8[ビット(Bit)]のAD変換器23でAD変換を行ったが、電圧の分解能、すなわちビット(Bit)数を上げればより高精度な位相検出が可能であることは容易に予想できる。
また,入力周波数に関しても、もっと高い周波数を用いても同様の結果が得られることはいうまでもない。
本発明は、超音波による非破壊検査やその他の送受信による測定系ばかりではなく、例えば光による送受信測定系にも適用可能である。
3 AD変換器
5 コンピュータ装置
9 送出手段
11 検出センサー
21 実験装置
23 AD変換器
25 コンピュータ装置
27 ファンクションジェネレータ
29 送出手段
31 検出センサー
33 XYZステージ
35 載置台
M 被測定体(サンプル)
Claims (2)
- 同一周波数成分を有するアナログ信号V(t)を、
V(t)=A*sin(ω*t+θ)
(ただし、Aは振幅、ωは角周波数、tは時間、θは位相差、*は掛け算であることを示す。以下同じ。)
とすると、このアナログ信号V(t)をサンプリング定理以下の周波数でサンプリングし、それらサンプリングした値の内の少なくとも二つの時点(t(n)、t(n+m))における測定時点情報および周波数情報から、
第1の成分aとして、
a=V(n)*sin(ω*t(n+m))−V(n+m)*sin(ω・t(n))を得るとともに、
第2の成分bとして、
b=V(n)*cos(ω*t(n+m))−V(n+m)*cos(ω*t(n))を得て、
これら第1の成分aおよび第2の成分bを基に位相差を算出し、当該算出した位相差と第1の成分aまたは第2の成分bとを基に振幅値をさらに算出し、あるいは、これら第1の成分aおよび第2の成分bを基に振幅値を算出し、当該算出した振幅値と第1の成分aまたは第2の成分bとを基に位相差をさらに算出するステップを備え、
前記ステップで得た振幅値と位相差とから測定しようとしたアナログ信号の再現可能としてなることを特徴とするアナログ・デジタル変換方法。 - 前記ステップでは、第1の成分aまたは第2の成分bとすると、
振幅値Ampは、
Amp=(a 2 +b 2 ) 1/2
により求め、また、位相差θは、
θ=−arcsin(b/Amp)
(ただし、a,bの符号によってθの値が変化する。)
により求めるものであることを特徴とする請求項1記載のアナログ・デジタル変換方法。
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