JP4228995B2 - 電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電磁鋼板の製造方法に関する。特に、本発明は、電気自動車、エアコン、発電機などの鉄心素材として好適な無方向性電磁鋼板の製造方法に関する。
地球温暖化ガスを削減するため、自動車や家電製品などの分野では消費エネルギーの少ない新製品開発が必要である。例えば、自動車分野では低燃費化するためガソリンエンジンとモータとのハイブリッド駆動自動車(HEV)あるいはモータ駆動の電気自動車がある。家電製品分野では年間電気消費量の少ない高効率エアコンや冷蔵庫などがある。それらの共通した技術はモータであり、モータの高効率化が重要な技術となっている。モータ制御方法としてはインバータ制御が主流となり、モータは広い範囲の回転数で運転できるようになった。そのため、そのモータ高効率化を支える技術の一つとして、鉄心となる無方向性電磁鋼板には高周波域での鉄損低減が要求されている。
無方向性電磁鋼板の高周波鉄損を低減するには、渦電流損を低減することが有効であり、主要な対策は2つある。一つはSi,Al等の成分を増やして鋼板の比抵抗を高める方法、もう一つは、板厚を0.35mm以下に低減する方法である。しかしながら、SiおよびAlの含有量の高い鋼板は変形抵抗が高く延性も乏しいため、冷間圧延において鋼板が端部より破断することがあり、鋼板の生産能率が低下すると共に歩留まりも著しく低下する問題があった。また、これを回避する技術としては、300℃〜600℃での温間圧延技術があるが、特別の設備が必要であり、製造コストが上昇する問題があった。さらに、特許文献1には冷間圧延前に鋼帯をサイドトリミングして、研削代0.5mm以上のエッジグラインダー処理を施し、さらにワークロール形状を工夫することにより、冷間圧延における耳割れを低減する方法が開示されている。しかしながら、この方法でも複数の設備が必要であり、製造コストが上昇する問題があった。
特開平5−76904号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、冷間圧延性が良好な電磁鋼板の製造方法、さらには磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板の製造方法を提供することを主目的とする。
本発明者らは、磁気特性の良好な高い比抵抗を有する無方向性電磁鋼板用の熱延鋼板を冷間圧延する際に起きる破断を抑制する方法について鋭意研究を積み重ねた結果、熱延鋼板の形状を適正化することで冷間圧延での破断発生率を著しく改善し、かつ磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板が得られることを見出した。
すなわち、本発明者らは、高周波鉄損の低い無方向性電磁鋼板の冷間圧延性を調査した結果、初めて冷間圧延時の破断および冷間圧延前の鋼板形状に関する新しい知見を得て、本発明を完成させたのである。
上記目的を達成するために、本発明は、下記式(1)に示す形状パラメータΔt(冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータ)を−0.01以上0.03以下とし、上記冷間圧延に供する鋼板が、質量%で、Si:1%〜4%、P:0.2%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有することを特徴とする電磁鋼板の製造方法を提供する。
Δt=1−t2/t1 (1)
(ここで、t1は上記冷間圧延に供する鋼板の幅中央の板厚であり、t2は上記冷間圧延に供する鋼板の幅端から10mmの板厚である。)
本発明においては、冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータを適正化することにより、冷間圧延での破断発生率を抑制することが可能である。さらに、SiおよびAlの含有量の多い鋼板は高周波鉄損が低いという利点があるものの、変形抵抗が高く延性に乏しいという不具合があるが、上述したように鋼板の形状パラメータを適正に制御することにより、磁気特性の良好な電磁鋼板を破断させることなく安定に製造することができる。また、Si,P,SnおよびSbの含有量を上記範囲とすることにより、冷間圧延に供する鋼板の靭性劣化を抑えることができ、冷間圧延時の破断を効果的に抑制できる。
上記発明においては、上記冷間圧延に供する鋼板が、質量%で、C:0.004%以下、Si:1%〜4%、Mn:0.1%〜2.5%、P:0.2%以下、S:0.006%以下、Al:0.1%〜3%、Ca:0.005%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、かつ(Si+Al)≧2%を満足する鋼組成を有するものであり、上記電磁鋼板が無方向性電磁鋼板であることが好ましい。このような鋼組成を有する鋼板を用いることにより、上述した冷間圧延時の破断低減効果を有効に引き出すことができ、さらに磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を製造することができるからである。
また、上記発明においては、上記冷間圧延に供する鋼板に、熱延板焼鈍または中間焼鈍の少なくともいずれか一方を施すことが好ましい。これにより、磁気特性を向上させることができるからである。
本発明によれば、冷間圧延時の破断が抑制されるので歩留まりを高くすることができ、電磁鋼板の製造コストが低減できるという効果を奏する。また、この電磁鋼板の製造方法により得られる無方向性電磁鋼板を用いて製造したモータの効率は高くなる。このような省エネルギー効果により地球環境に負荷の少ない未来社会創造に貢献できる。
以下、本発明の電磁鋼板の製造方法について詳細に説明する。
本発明の電磁鋼板の製造方法は、下記式(1)に示す形状パラメータΔt(冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータ)を−0.01以上0.03以下とし、上記冷間圧延に供する鋼板が、質量%で、Si:1%〜4%、P:0.2%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有することを特徴とするものである。
Δt=1−t2/t1 (1)
(ここで、t1は上記冷間圧延に供する鋼板の幅中央の板厚であり、t2は上記冷間圧延に供する鋼板の幅端から10mmの板厚である。)
本発明者らは、磁気特性の良好な高い比抵抗を有する無方向性電磁鋼板用の熱延鋼板を冷間圧延する際に起きる破断を抑制する方法について調査した。その結果、冷間圧延に供する鋼板の形状を適正化することで冷間圧延での破断発生率が著しく改善されることを見出した。以下、この発明をなすに至った知見およびそれに到る試験結果について説明する。
転炉−RH−連続鋳造の工程にて、主要成分がC:0.002%、Si:3.0%、Mn:0.2%、P:0.01%、S:0.002%未満、Al:0.6%、Ca:0.0003%未満、Sn+Sb:0.002%未満である連続鋳造スラブを1150℃で加熱後、仕上げ温度を810℃として厚さ1.8mmから2.3mmまで熱間圧延を行った。その鋼板を酸洗後、800℃で10時間の焼鈍を行い、厚さ0.35mmまで冷間圧延を施した。その冷間圧延する直前に鋼板の幅中央部の板厚t1と幅端から10mmの板厚t2とを測定し、鋼板の形状パラメータとしてΔt(=1−t2/t1)を求めた。図1に鋼板の形状パラメータΔtと冷間圧延時の破断発生率との関係を示す。図1より明らかなように、Δtが0.03以下の鋼板を冷間圧延した場合は破断発生率が10%未満に抑えられることが判明した。
なお、鋼中の各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。
冷間圧延に供する鋼板の形状の適正化による冷間圧延時の破断低減効果については必ずしも明らかでないが、本発明者らは次のように推察する。すなわち、SiおよびAlの含有量の高い鋼は変形抵抗が高く延性に乏しいものであり、このように延性に乏しく冷間圧延前の鋼板の形状パラメータΔtが大きい鋼板は、圧延ロールによるエッジ部の拘束が弱いために亀裂を生じやすく、その亀裂を起点として破断にいたると推定される。このような破断は、多パス冷間圧延の前段でも後段でも起こり得るので、高周波鉄損を低減するため板厚の薄い鋼板を製造する際に特に顕著になると考えられる。本発明においては、この冷間圧延前の鋼板の形状パラメータΔtを適正に制御することにより、冷間圧延時の破断を抑制できるのである。
本発明は、上述したように、SiおよびAlの含有量が高いために変形抵抗が高く延性に乏しい鋼板について破断発生率を抑制し、冷間圧延性を向上させるのであるから、SiおよびAlの含有量の高い電磁鋼板一般についても有効である。
本発明においては、冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータを適正化することにより、冷間圧延での破断発生率を改善するものであるが、その効果を有効に引き出しかつ電磁鋼板として必要な特性を満足させるためには、後述するように鋼成分、およびその他の製造条件を限定する必要がある。以下、本発明の電磁鋼板の製造方法における冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータ、鋼成分、および熱間圧延、熱延板焼鈍ならびに中間焼鈍について説明する。
1.冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータ
まず、本発明における冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータについて説明する。
本発明において、冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータΔtは、冷間圧延に供する鋼板の幅中央の板厚t1および幅端から10mmの板厚t2により下記式(1)で求める値と定義する。
Δt=1−t2/t1 (1)
本発明においては、形状パラメータΔtは−0.01以上0.03以下とされる。この形状パラメータΔtを0.03以下とすることが、冷間圧延時の破断を抑制する上で不可欠である。形状パラメータΔtが0.03を超えると、冷間圧延にて破断が生じやすい。一方、形状パラメータΔtが−0.01未満になった場合、破断発生率は減少するものの冷延鋼板の形状が耳伸び(縁伸び)となる可能性があり、その部分は平坦度が悪いため切り捨てなければならず、歩留まりを低下させる。したがって、本発明においては形状パラメータΔtの範囲を−0.01以上0.03以下とし、より好ましくは0.00以上0.03以下とする。
ここで、上記Δtは、例えばX線またはガンマ線透過法と計算機処理とにより、冷間圧延に供する鋼板(例えば熱間圧延後の鋼帯)の板厚(上記のt1およびt2)を100mピッチで全長にわたって測定し、各位置でのΔtを上記式(1)から求め、得られたΔtの値を平均することにより求めることができる。
なお、本発明において、冷間圧延に供する鋼板とは、冷間圧延する直前の鋼板をいう。
2.冷間圧延に供する鋼板の鋼成分
次に、本発明に用いられる冷間圧延に供する鋼板の鋼成分について説明する。本発明に用いられる冷間圧延に供する鋼板は、質量%で、Si:1%〜4%、P:0.2%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有するものである。本発明における冷間圧延に供する鋼板としては、このような鋼組成を有するものであれば特に限定されないが、電磁鋼板としての必要な特性を満足させるためには、質量%で、C:0.004%以下、Si:1%〜4%、Mn:0.1%〜2.5%、P:0.2%以下、S:0.006%以下、Al:0.1%〜3%、Ca:0.005%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、かつ(Si+Al)≧2%を満足する鋼組成を有するものであることが好ましい。以下、各鋼成分について説明する。
なお、各元素の含有量を示す「%」は、特に断りのない限り「質量%」を意味するものである。また、本発明において、「残部が実質的にFeおよび不純物からなる」とは、本発明の効果を阻害しない範囲で他の元素を含有する場合を含むことを意味する。
(1)Si
Siは、鋼の比抵抗を高め、鉄損低減に有効である。しかしながら、Si含有量が1%未満では鉄損が十分に低減できない場合がある。一方、Si含有量が4%を超えると冷間圧延において破断しやすくなり製造コストが著しく増大する可能性がある。したがって、Si含有量は1%以上4%以下とする。また、鉄損をより一層低減するためにはSi含有量は2%以上が好ましい。
(2)P
Pは、不可避的不純物であり、熱延鋼板の靱性を低下させるのでなるべく低減するのが好ましい。P含有量が0.2%を超えると鋼の靱性が著しく劣化し、冷間圧延時に破断する可能性がある。したがって、P含有量は0.2%以下とする。一方、Pは高磁場での磁束密度を改善する作用を有することから、熱延鋼板の靱性劣化を最小限に抑え、高磁場での磁束密度を改善するには、P含有量を0.03%以上0.12%以下にするのが好ましい。
(3)SnおよびSb
SnおよびSbは、少量添加することで無方向性電磁鋼板の磁気特性を向上させるのに有効な元素である。しかしながら、SnおよびSbの合計含有量が0.1%を超えると熱延鋼板の靱性を著しく低下させるおそれがあり、冷間圧延での破断の要因となる。したがって、SnとSbの合計含有量は0.1%以下とする。また、熱延鋼板の靱性劣化を最小限に抑え、磁気特性を改善するには、SnおよびSbの合計含有量を0.01%以上0.03%以下にするのが好ましい。
(4)C
Cは、200℃程度の低温時効により炭化物(セメンタイト、εカーバイド)を形成し、磁気特性劣化の原因となるので、なるべく低減することが重要である。C含有量が0.004%を超えると、時効による磁気特性劣化が生じる可能性がある。したがって、C含有量は0.004%以下であることが好ましい。
(5)Mn
Mnは、鋼の比抵抗を高め、鉄損低減に有効である。しかしながら、その効果はSiより小さい。Mn含有量が0.1%未満になるとMnSが微細に分散して鉄損が劣化する可能性がある。一方、Mn含有量が2.5%を超えると原料コストが大きくなる。したがって、Mn含有量は0.1%以上2.5%以下であることが好ましい。
(6)S
Sは、不可避的不純物であり、添加する必要はない。S含有量が0.006%を超えると微細なMnSが形成され、鉄損が劣化する可能性がある。したがって、S含有量は0.006%以下とすることが好ましい。また、鉄損をより一層低減するためには、S含有量を0.002%以下にすることがより好ましい。
(7)Al
Alは、Si同様に鋼の比抵抗を高め、鉄損低減に有効であると同時に脱酸に有効であり、鋼の清浄度を高めて熱延鋼板の靱性を高めるのに重要である。しかしながら、Al含有量が3%を超えると飽和磁束密度が著しく低下し鉄心性能が劣化する可能性がある。一方、Al含有量が0.1%未満ではAlNが微細に分散して鉄損が低下する可能性がある。したがって、Al含有量は0.1%以上3%以下であることが好ましい。
さらに、高周波鉄損を低減するには、SiおよびAlの合計含有量が2%以上であることが好ましい。SiおよびAlの合計含有量が2%未満では鋼板の比抵抗が十分大きくなく、渦電流損が増大する場合があるからである。
(8)Ca
Caは、本発明では必須の元素でない。しかしながら、Caを0.001%以上含有させることにより硫化物や酸化物を粗大化させるので、鉄損低減に有効な元素である。一方、Ca含有量が0.005%を超えると製品の耐食性が劣化する可能性がある。したがって、Ca含有量は0.005%以下であることが好ましい。また、鉄損をより一層低減するにはCa含有量を0.001%以上0.003%以下とすることがより好ましい。
(9)その他の不可避的不純物
製鋼プロセスにおいて鋼中に混入する不純物で0.01%以上混入する可能性のある成分としてCu,Ni,Cr等が存在する。Cu,Ni,Crのいずれも含有量を0.1%以下に低減しておけば、本発明の効果が損なわれることはない。また、上記成分以外の不純物成分は、いずれも含有量が0.01%以下に低減されていれば本発明の効果に影響はない。
3.熱間圧延
本発明においては、例えば、上述の鋼成分を有する鋼塊または鋼片(以下、スラブということもある。)に熱間圧延を施し、この熱間圧延により得られる熱延鋼板に冷間圧延を施し、さらにこの冷間圧延により得られる冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施すことにより、電磁鋼板を製造することができる。この場合、上述した冷間圧延に供する鋼板とは、上記熱延鋼板になる。
冷間圧延に供する鋼板として熱延鋼板の形状パラメータを適正に制御する方法としては、熱間圧延の仕上げ圧延においてワークロールベンディングを制御する方法、仕上げ圧延機ロールの形状を凸型あるいはS字とする方法(特開平8−66701号公報)、ペアクロスロールによる仕上げ圧延を行う方法(特開平8−112602号公報)などが挙げられるが、これらの方法により熱延鋼板の形状パラメータを適正化する他に、熱延鋼帯の全長にわたって形状パラメータを適正化することも重要であるので、熱間圧延の粗圧延後の鋼帯を加熱し、長手方向の鋼帯温度を均一化することが好ましい。
このようにして熱延鋼板の形状パラメータΔtを適正化する場合であっても、高周波鉄損の低い無方向性電磁鋼板は、Si含有量が高く熱間圧延での変形抵抗が高いうえに、板厚0.35mm以下の最終製品を効率的に製造するために熱延鋼板の板厚を2.5mm以下にまで薄くする場合があり、そのため熱間圧延により鋼板の形状を適正化することは必ずしも容易ではない場合がある。したがって、結果的にΔtが上述した範囲を超える場合には、熱延鋼板の両エッジをトリムして、冷間圧延前にはΔtが上述した範囲内となるようにすることにより冷間圧延時の破断発生を抑制できる。
本発明における熱間圧延としては一般的な方法を用いることができ、上記熱間圧延での温度、圧延方向に対する張力等の条件は、スラブの鋼組成、目的とする熱延鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。
4.熱延板焼鈍および中間焼鈍
本発明においては、例えば、上記熱間圧延により得られる熱延鋼板に熱延板焼鈍を施し、この熱延板焼鈍が施された熱延鋼板に冷間圧延を施し、さらにこの冷間圧延により得られる冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施すことにより、電磁鋼板を製造することができる。なお、熱延板焼鈍とは、熱延鋼板の焼鈍すなわち冷間圧延を施す前に行う焼鈍のことである。
また本発明においては、上記熱間圧延により得られる熱延鋼板に中間焼鈍をはさんだ二回以上の冷間圧延を施し、さらにこの冷間圧延により得られる冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施すことにより、電磁鋼板を製造することもできる。なお、中間焼鈍とは、冷間圧延の途中で行う焼鈍のことである。
このように本発明においては、上記冷間圧延に供する鋼板に、熱延板焼鈍または中間焼鈍の一方、もしくは熱延板焼鈍および中間焼鈍を施すことが好ましい。熱延板焼鈍および中間焼鈍は、本発明の必須工程ではないが、電磁鋼板の磁気特性を高めるのに有効である。
本発明における熱延板焼鈍および中間焼鈍としては一般的な方法を用いることができ、上記熱延板焼鈍および中間焼鈍での温度、時間等の条件は、鋼板の鋼組成、本発明により製造される電磁鋼板の目的などにより適宜選択するものとする。
5.その他
本発明により製造された電磁鋼板としては、特に限定されるものではないが、無方向性電磁鋼板であることが好ましい。無方向性電磁鋼板の高周波鉄損を低減するためにSi,Alの含有量を増加させると、変形抵抗が高く延性が低くなるので冷間圧延時に破断するという不具合が生じるが、本発明においては比較的Si,Alの含有量が多い無方向性電磁鋼板を製造する場合であっても、冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータΔtを制御することにより冷間圧延時の破断を抑制できるので、磁気特性に優れた無方向性電磁鋼板を安定して製造することが可能である。
本発明においては、上述したように上記熱延鋼板に冷間圧延を施し、この冷間圧延により得られる冷延鋼板に仕上げ焼鈍を施すことにより電磁鋼板を製造することができるものである。
本発明における冷間圧延としては一般的な方法を用いることができ、上記冷間圧延での温度、圧延方向に対する張力等の条件は、鋼板の鋼組成、目的とする冷延鋼板の板厚などにより適宜選択するものとする。また、本発明における冷延鋼板の仕上げ焼鈍としては一般的な方法を用いることができ、上記冷延鋼板の仕上げ焼鈍での温度、時間等の条件は、冷延鋼板の鋼組成、本発明により製造される電磁鋼板の目的などにより適宜選択するものとする。
また本発明においては、上記冷延鋼板の仕上げ焼鈍後に、鋼板表面に絶縁皮膜を塗布する工程を行ってもよい。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を例示して、本発明を具体的に説明する。
[実施例1〜10]
転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tonを取鍋内に出鋼し、取鍋をRH式真空脱ガス装置に移動した。RH式真空脱ガス装置にて減圧脱炭を行い、鋼中のC含有量を0.005%以下とした後に、Si,Mn,P,S,Al,Ca,SnおよびSbの含有量を調整し、連続鋳造機にてスラブとした。
同一鋼成分につき16本のスラブを加熱炉で1150℃まで加熱し、仕上げ温度800〜860℃、巻き取り温度400〜550℃で熱間圧延し、厚さ1.6mmから2.3mmの鋼帯を製造した。一部の鋼帯(鋼A,C,E,GおよびI〜M)の熱間圧延に際しては、粗圧延後に鋼帯をヒーター加熱し、長手方向の均熱性を向上させた。このように製造したすべての熱延鋼板の幅方向の板厚プロファイルを上述した方法により測定し、形状パラメータΔtを求めた。
次に、酸洗脱スケールして、一部(鋼Aのみ)は鋼板エッジを15mmトリムし、800℃で10時間焼鈍した。さらに、厚さ0.35mmから0.20mmまで冷間圧延し、1080℃で仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍後、鋼板表面に絶縁皮膜を塗布した。この鋼板から28cmエプスタイン試験片を採取し、JIS−C−2550規定の方法により鉄損を測定した。
[比較例1〜6]
転炉で脱炭脱硫した溶鋼230tonを取鍋内に出鋼し、取鍋をRH式真空脱ガス装置に移動した。RH式真空脱ガス装置にて減圧脱炭を行い、鋼中のC含有量を0.005%以下とした後に、Si,Mn,P,S,Al,Ca,SnおよびSbの含有量を調整し、連続鋳造機にてスラブとした。
同一鋼成分につき16本のスラブを加熱炉で1150℃まで加熱し、仕上げ温度800〜860℃、巻き取り温度400〜550℃で熱間圧延し、厚さ1.6mmから2.3mmの鋼帯を製造した。このように製造したすべての熱延鋼板の幅方向の板厚プロファイルを上述した方法により測定し、形状パラメータΔtを求めた。
次に、酸洗脱スケールして、一部(鋼BおよびHのみ)は鋼板エッジを15mmトリムし、800℃で10時間焼鈍した。さらに、厚さ0.35mmから0.20mmまで冷間圧延し、1080℃で仕上げ焼鈍した。仕上げ焼鈍後、鋼板表面に絶縁皮膜を塗布した。この鋼板から28cmエプスタイン試験片を採取し、JIS−C−2550規定の方法により鉄損を測定した。
[評価]
実施例1〜10および比較例1〜6における熱延鋼板の成分分析値、形状パラメータΔt、冷間圧延時の破断発生率、および製品の平坦度、厚さならびに磁気特性を表1に示す。
ここで、Δtは、上述したように同一鋼成分につき冷間圧延に供した16本のすべての鋼帯について求めたので、表1では最小値と最大値との範囲で示した。
また、冷間圧延時の破断発生率とは、同一鋼成分について冷間圧延に供した全鋼帯(16本)のうち冷間圧延中に破断した鋼帯(m本)の割合である。すなわち、破断発生率は下記式により求めた。
破断発生率(%)=100m/16
さらに、平坦度とは、仕上げ焼鈍後の鋼帯から長手方向に3mの鋼板を採取して、水平な定盤上にのせ、側波の高さ(h)および波長(L)を測定することにより得られるh/L値を基準とするものであり、表1において平坦度100h/L値が0.6以下のものを「○」印で表し、平坦度100h/L値が0.6を超えるものを「×」印で表す。
Figure 0004228995
実施例1〜10の熱延鋼板のように本発明にしたがって形状パラメータΔtを制御し、Si,P,SnおよびSbの含有量を所定の範囲としたものは、冷間圧延時の破断発生率が少なかった。一方、比較例1〜3の熱延鋼板のように形状パラメータΔtが0.03を超えるもの、ならびに比較例5および6のように鋼組成が本発明で規定する範囲を外れるものは、冷間圧延時の破断発生率がいずれも10%を超え、製造工程に大きな支障があった。逆に、形状パラメータΔtが−0.01未満であった比較例4の熱延鋼板については、仕上げ焼鈍にて鋼板エッジ部は平坦度が著しく悪いため切り捨てる必要があった。
また、熱延鋼板の鋼組成が本発明で好ましい範囲となっている鋼A,C,E,G,IまたはJより製造した実施例1〜6の熱延鋼板は、上述したように冷間圧延時の破断発生率が少ないとともに、製品の高周波鉄損W10/400も18W/kg未満と良好であった。
さらに、実施例2,3および比較例2,3の結果からわかるように、熱延鋼板の形状パラメータΔtを制御し冷間圧延時の破断を抑制するには、粗圧延後に鋼帯を加熱する工程が非常に有効であることも確認された。
冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータΔtと冷間圧延時の破断発生率との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 下記式(1)に示す形状パラメータΔt(冷間圧延に供する鋼板の形状パラメータ)を−0.01以上0.03以下とし、前記冷間圧延に供する鋼板が、質量%で、Si:1%〜4%、P:0.2%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有することを特徴とする電磁鋼板の製造方法。
    Δt=1−t2/t1 (1)
    (ここで、t1は前記冷間圧延に供する鋼板の幅中央の板厚であり、t2は前記冷間圧延に供する鋼板の幅端から10mmの板厚である。)
  2. 前記冷間圧延に供する鋼板が、質量%で、C:0.004%以下、Si:1%〜4%、Mn:0.1%〜2.5%、P:0.2%以下、S:0.006%以下、Al:0.1%〜3%、Ca:0.005%以下、および(Sn+Sb):0.1%以下を含有し、残部が実質的にFeおよび不純物からなり、かつ(Si+Al)≧2%を満足する鋼組成を有するものであり、前記電磁鋼板が無方向性電磁鋼板であることを特徴とする請求項1に記載の電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記冷間圧延に供する鋼板に、熱延板焼鈍または中間焼鈍の少なくともいずれか一方を施すことを特徴とする請求項2に記載の電磁鋼板の製造方法。
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