JP4228631B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の制御装置に係り、特に燃料として天然ガスや石油ガス等、その製造元によっては組成の異なることのある燃料が用いられる内燃機関に適用して好適な制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、内燃機関の排気エミッションを低減させるといった観点から、燃料として天然ガス燃料を用いるようにした機関システムが知られている。また、こうした機関システムにあって、更なる排気エミッションの低減を図るべく、ガソリンを燃料として用いる機関システムにおいて多用されている周知の空燃比フィードバック制御を実行する装置も知られている。ちなみに、こうした空燃比フィードバック制御では、排気ガス中のエミッション成分を検出する上でその指標となる同ガス中の酸素濃度に基づいて、要求される空燃比が得られるように、混合気を形成する燃料の噴射量がフィードバック補正される。
【0003】
ところで、上記天然ガス燃料は、その製造元によっては組成の異なる燃料として生成されることがある。このため、こうした天然ガス燃料を用いる上記機関システムにあっては、その燃料タンク内への燃料補給に伴って、同タンク内に備蓄されている燃料の組成が変化することがある。そして、こうして燃料の組成が変化するようなことがあると、上述した空燃比フィードバック制御にあっては、その噴射量を上述と同様の態様でフィードバック補正したとしても、要求される空燃比に対する実際の空燃比が一致しなくなることがある。すなわち、内燃機関の運転に要求される燃料噴射量等は、その使用される燃料の組成等によって、要求値が異なってくるのが普通である。
【0004】
そこで従来は、機関運転中において上記フィードバック補正値が所定範囲を超えて変化したことをもって、あるいはその状態が所定時間以上継続されることをもって、異なる組成の燃料が燃料タンク内に補給されたことを判断するようにした装置なども提案されている。なお、こうした装置としては、例えば特開平2000−170581号公報に記載の装置などが知られている。この装置では、こうして異なる組成の燃料の補給が判断されることに基づき、上記フィードバック補正値、燃料噴射弁に供給される燃料の圧力、及び点火時期の少なくとも1つを修正することで、燃料組成の変化に起因する上記不都合に対処するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記フィードバック補正値が所定範囲を超えて変化するなど、同フィードバック補正値の乱れは、上記燃料組成が変化したときに限らず、燃料供給系統の異常が発生しているときにも同様に生じる。従って、上記従来の装置において、上記フィードバック補正値に乱れが生じたとしても、実情としては、これが上記燃料供給系統の異常によるものか、あるいは燃料組成の変化によるものかを区別することは困難である。このため、結局は、燃料タンク内に異なる組成の燃料が補給されたことに対する上記判断自体も極めて曖昧なものとなっている。
【0006】
なお、上記天然ガス燃料に限らず、異なる組成の燃料が用いられる可能性のある内燃機関を対象に、それら燃料組成の変化に応じた機関制御を行う装置にあっては、こうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内燃機関に供給される燃料の組成変化をより的確に判断して、それら燃料組成の変化に応じた機関制御を行うことのできる内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以下、上記目的を達成するための手段及びその作用効果について記載する。
先ず、請求項1に記載の発明は、燃料タンクから内燃機関に供給されるガス燃料の組成の変化を判断し、それらガス燃料の組成の変化に応じた機関制御を実行する内燃機関の制御装置において、前記燃料タンクへの燃料補給前後において燃料供給経路内の圧力が推移したことを条件に、同燃料タンクへの燃料補給前後における機関制御量の推移に基づいて前記燃料の組成の変化を判定する組成変化判定手段を備えることをその要旨とする。
【0009】
上記構成によれば、燃料タンクへの燃料補給に際してその補給に応じたかたちで燃料供給経路内の圧力が推移したことを確認することによって、その後に発生した機関制御量の変化を燃料組成の変化によるものと特定でき、機関制御量に基づく燃料組成の変化についての判定を実行することが可能になる。従って、内燃機関に供給されるガス燃料の組成変化をより的確に判断して、それら燃料組成の変化に応じた機関制御を行うことができるようになる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関は、前記燃料タンクへの燃料補給時に、該燃料タンクとそれ以降の前記燃料供給経路との間を遮断する遮断弁を備えて構成され、前記組成変化判定手段は、前記燃料タンクへの燃料補給前後において前記燃料供給経路内の圧力が推移したことを、前記遮断弁の閉弁時の圧力とその後の機関始動に伴う前記遮断弁の開弁後の圧力との差に基づいて判断することをその要旨とする。
【0011】
内燃機関にガス燃料を供給する燃料供給システムによっては、その燃料タンク内の燃料圧力がその備蓄燃料の減少に伴って低下するものがある。また、こうした燃料供給システムにあって、安全上の配慮から、内燃機関の停止に際して同燃料タンクと燃料供給経路との間を遮断する遮断弁を備えたものもある。これに対し、上記構成によれば、そうした燃料供給システムにあって、遮断弁の開閉に伴う燃料供給経路内の燃料圧力の変化量が計測される。そして、この変化量により、燃料タンク内への燃料補給がなされたことや、上記燃料供給経路に異常が生じていないことなどを好適に判断することができるようになる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の内燃機関の制御装置において、前記組成変化判定手段は、前記遮断弁の閉弁時における前記燃料供給経路内の圧力を検出して記憶保持するとともに、前記遮断弁の開弁後の圧力として前記機関始動から所定時間経過後の前記燃料供給経路内の圧力を検出し、該検出した圧力と前記記憶保持している圧力との差を前記燃料タンクへの燃料補給前後における前記燃料供給経路内の圧力の差として計測することをその要旨とする。
【0013】
上記構成によれば、遮断弁が開弁された直後において急激に変化している燃料供給経路内の燃料圧力が燃料組成の判定に用いられることを防止することができるようになる。換言すれば、その変化が安定した後における上記燃料圧力を燃料組成の判定に用いることができるようになり、その判定精度の向上を図ることができるようになる。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記燃料タンクへの燃料補給前後における前記機関制御量の推移が、当該機関の空燃比フィードバック制御における燃料噴射量のフィードバック補正値の学習値の推移であり、前記組成変化判定手段は、それら学習値の推移を、前記燃料タンクへの燃料補給前後における同学習値の差として計測することをその要旨とする。
【0015】
前述した空燃比フィードバック制御に際し、燃料噴射量についてのフィードバック補正値に基づいて、理論空燃比と上記要求される空燃比との間の乖離を補償するための学習値を学習する制御が併せて実行されるものがある。この学習値には、理論空燃比と上記要求される空燃比との定常的な乖離傾向が反映されており、その乖離を生じさせる因子の一つである燃料組成の変化についてもこれが好適に反映されていると云える。この点、そうした学習値の燃料補給前後における差を計測する上記構成によれば、その差に基づいて燃料補給に伴って燃料組成が変化したことを的確に判定することができるようになる。しかも、これに併せて、燃料組成の変化度合いについてもこれを精度よく推定することが可能になる。
【0016】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の内燃機関の制御装置において、前記組成変化判定手段は、前記燃料タンクへの燃料補給前における前記学習値を記憶保持するとともに、同燃料タンクへの燃料補給後、機関始動に伴って前記空燃比フィードバック制御が開始されてから所定時間経過後の同学習値を抽出し、該抽出した学習値と前記記憶保持している学習値との差を前記燃料タンクへの燃料補給前後における同学習値の差として計測することをその要旨とする。
【0017】
上記構成によれば、燃料組成の変化に伴う上記学習値の変化が収束するのを待って、上記「燃料補給前後における学習値の差」を計測することができるようになる。そしてこれにより、上記燃料組成の変化についての判定の精度を好適に向上させることができるようになる。
【0018】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記組成変化判定手段は、前記燃料タンクへの燃料補給前後における燃料供給経路内の圧力推移が所定推移以上となっていることを条件に前記燃料タンクへの燃料補給前後における機関制御量の推移を計測し、該計測した機関制御量の推移が所定推移以上となっていることを条件に前記燃料の組成が変化している旨を判定することをその要旨とする。
【0019】
上記構成によれば、上記「燃料供給経路に異常が生じていないことを確認した上で、機関制御量に基づく燃料組成の変化についての判定を実行する」といった構成が好適に実現される。
【0020】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、当該制御装置は、空燃比フィードバック制御に基づいて前記内燃機関への燃料噴射量をフィードバック制御するものであり、前記組成変化判定手段により前記燃料の組成の変化が判定されるとき、前記フィードバック制御する燃料噴射量の基本噴射量を変更することをその要旨とする。
【0021】
上記構成によれば、燃料噴射量に上記学習値を加味するに先立って、同燃料噴射量の基本噴射量を変更することができるようになる。これにより、燃料組成の変化に伴う上記学習値の定常的な変化を好適に抑制することが可能になり、ひいては空燃比フィードバック制御の制御精度の低下についての好適な抑制を図ることが可能になる。
【0022】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、前記内燃機関が、前記ガス燃料として天然ガス燃料を使用する天然ガス機関であることをその要旨とする。
【0023】
上記構成によれば、製造元によってその組成が異なることのある天然ガス燃料を燃料として用いる天然ガス機関にあって、同燃料の組成変化を的確に判断して、それら燃料組成の変化に応じた機関制御を行うことができるようになる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明にかかる内燃機関の制御装置を具体化した一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
なお、本実施の形態にかかる内燃機関としては、燃料として天然ガス燃料(CNG)を使用する天然ガス機関を想定している。
はじめに、図1を参照して、本実施の形態にかかる内燃機関の制御装置の概略構成について説明する。
【0026】
図1に示されるように、内燃機関10の気筒11には、吸気通路12、及び排気通路13が接続されており、吸気通路12の気筒11近傍には燃料噴射弁14が配設されている。この燃料噴射弁14には後述する燃料供給システム20から燃料が供給されている。そして、この燃料噴射弁14は、その開弁操作(開弁時間)に応じて吸気通路12内に燃料を噴射することで、上記気筒11の燃焼室15内に燃料を供給する。
【0027】
また、上記吸気通路12にはスロットルバルブ16が設けられている。同バルブ16は、図示しないアクセルペダルにより直接、あるいは電子スロットルとして間接に開度調整される。この開度調整により上記吸気通路12の流路面積が調節されて、上記燃焼室15内に吸入される空気の流量が調節される。
【0028】
内燃機関10には、点火プラグ17が設けられており、その先端の電極部分は燃焼室15内に突出している。この点火プラグ17は点火コイル(図示略)を介してイグナイタ18に接続されており、このイグナイタ18によってその点火時期が調節される。そして、この点火プラグ17により、上記燃焼室15内に充填された吸入空気と燃料とからなる混合気がこの点火プラグ17により点火されて燃焼する。上記燃焼室15内にて燃焼された後に上記排気通路13に排出される排気ガスは、同通路13の下流に設けられた周知の触媒(図示略)によって浄化された後、外部に排出される。
【0029】
また、本実施の形態の装置は、イグニッション(IG)スイッチ19を備えている。そして、このIGスイッチ19が「オン」操作されることに基づいて内燃機関10が始動、運転され、「オフ」操作されることに基づいて内燃機関10が停止される。
【0030】
前記燃料供給システム20は、燃料を備蓄する燃料タンク21や、高圧配管22、低圧配管23、上記燃料噴射弁14が取り付けられるデリバリパイプ24等によって構成される。そして、この燃料供給システム20は、燃料タンク21内に備蓄されている燃料を、高圧配管22、低圧配管23、及びデリバリパイプ24を通じて、燃料噴射弁14に供給する。なお、本実施の形態では、これら高圧配管22、低圧配管23、及びデリバリパイプ24等が燃料供給経路に相当する。
【0031】
また、上記燃料タンク21には、燃料充填管25が接続されている。そして、この燃料充填管25の充填口26から燃料を注入することで、上記燃料タンク21に燃料を補給することが可能になっている。また、燃料タンク21と高圧配管22との間にはタンク遮断弁27が設けられている。このタンク遮断弁27は、安全上の配慮から、内燃機関10の停止や燃料タンク21内への燃料の補給に際して閉弁駆動され、このとき同タンク21と高圧配管22との間を遮断する。更に、高圧配管22と低圧配管23との間には、レギュレータ28が設けられている。このレギュレータ28の調整制御を通じて、低圧配管23(デリバリパイプ24)内の燃料の圧力が調整される。
【0032】
一方、本実施の形態の装置には、内燃機関10の運転状態を検出するための各種のセンサが設けられている。すなわち、例えば、上記吸気通路12には、内燃機関10に吸入される空気の量GAを検出するためのエアフローメータ31が設けられている。また、内燃機関10には、その出力軸の回転速度(機関回転速度)NEを検出するための回転速度センサ32や、冷却水の温度THWを検出するための水温センサ33が設けられている。更に、上記排気通路13には上記排気ガス中の酸素濃度を検出するための酸素センサ34が設けられている。その他、上記高圧配管22には、同配管22内の燃料圧力Pを検出するための圧力センサ35が設けられている。また、デリバリパイプ24には燃料温度を検出するための温度センサ36と同パイプ24内の燃料圧力を検出するための圧力センサ37とが設けられている。
【0033】
他方、本実施の形態の装置には、例えばマイクロコンピュータ等からなる電子制御装置30が設けられており、この電子制御装置30には、上記各センサ31〜35の出力信号がそれぞれ取り込まれている。そして、電子制御装置30は、これら各信号に基づいて各種演算を行なうとともに、その演算結果に基づいて燃料噴射弁14の駆動制御や、点火プラグ17(イグナイタ18)の駆動制御等といった機関制御にかかる各種制御を実行する。
【0034】
また、この電子制御装置30は、こうした機関制御にかかる各種制御の1つとして、空燃比フィードバック制御を実行する。
以下、この空燃比フィードバック制御処理の具体的な処理手順について、図2に示すフローチャートを参照して説明する。
【0035】
なお、図2は、空燃比フィードバック制御処理の処理手順を示すフローチャートであり、同フローチャートに示される一連の処理は電子制御装置30により所定の周期をもって繰り返し実行される。また、この一連の処理が空燃比フィードバック制御手段として機能する。
【0036】
図2に示されるように、この処理では先ず、同処理を実行する条件が成立しているか否かが判断される(ステップS100)。ここで、この実行条件としては、例えば、以下のような条件を挙げることができる。
【0037】
(条件a)機関始動時でないこと。
(条件b)機関冷却水温THWが所定温度以上であること。
(条件c)酸素センサ34の活性化処理が完了していること。
【0038】
これら(条件a)〜(条件c)のうちいずれか一つでも成立していないときには、空燃比フィードバック制御を実行する条件が成立していないと判断される(ステップS100:NO)。そして、この場合には、フィードバック補正係数FAFが「1.0」に設定された後(ステップS140)、本処理が一旦終了される。従って、この場合には、空燃比についてのフィードバック制御は行われない。なお、本実施の形態では、このフィードバック補正係数FAFがフィードバック補正値に相当する。
【0039】
一方、上記(条件a)〜(条件c)の全てが成立していると判断される場合には(ステップS100:YES)、以下の処理を通じて、フィードバック補正係数FAFが更新される。
【0040】
すなわち先ず、酸素センサ34の出力電圧Voxが所定の基準電圧Vrよりも小さいか否かが判断される(ステップS101)。そして、出力電圧Voxが上記基準電圧Vr未満であると判断される場合には(ステップS101:YES)、燃焼に供された混合気の実際の空燃比(実空燃比)が理論空燃比よりもリーンであるとして、空燃比識別フラグXOXが「0」に設定される(ステップS110)。
【0041】
その後、空燃比識別フラグXOXの値と同空燃比識別フラグXOXの前制御周期における値XOXO(以下、単に「前回値XOXO」)とが比較される(ステップS111)。そして、これらが一致している場合には(ステップS111:YES)、実空燃比が理論空燃比よりもリーン側の値にある状態が継続しているものと判断される。そして、この場合には、上記フィードバック補正係数FAFに所定の積分量a(a>0)が加算され、その加算値(=FAF+a)が新たなフィードバック補正係数FAFとして設定された後(ステップS112)、本処理は一旦終了される。
【0042】
一方、空燃比識別フラグXOXの値がその前回値XOXOと異なっている場合には(ステップS111:NO)、実空燃比が理論空燃比を基準としてこれよりもリッチ側の値からリーン側の値に反転したものと判断される。そして、この場合には、フィードバック補正係数FAFに所定のスキップ量A(A>0)が加算され、その加算値(=FAF+A)が新たなフィードバック補正係数FAFとして設定される(ステップS113)。なお、このスキップ量Aは先の積分量aと比較して十分に大きな値に設定されている。
【0043】
これに対して、上記酸素センサ34の出力電圧Voxが上記基準電圧Vr以上であると判断される場合には(ステップS101:NO)、実空燃比が理論空燃比よりもリッチであるとして、空燃比識別フラグXOXが「1」に設定される(ステップS120)。
【0044】
その後、空燃比識別フラグXOXの値とその前回値XOXOとが比較される(ステップS121)。そして、これらが一致している場合には(ステップS121:YES)、実空燃比が理論空燃比よりもリッチ側にある状態が継続しているものと判断される。そして、この場合には、フィードバック補正係数FAFから所定の積分量b(b>0)が減算され、その減算値(=FAF−b)が新たなフィードバック補正係数FAFとして設定された後(ステップS122)、本処理は一旦終了される。
【0045】
一方、空燃比識別フラグXOXの値がその前回値XOXOと異なっている場合には(ステップS121:NO)、実空燃比が理論空燃比を基準としてこれよりもリーン側の値からリッチ側の値に反転したものと判断される。そして、この場合には、フィードバック補正係数FAFから所定のスキップ量B(B>0)が減算され、その減算値(=FAF−B)が新たなフィードバック補正係数FAFとして設定される(ステップS123)。なお、このスキップ量Bは先の積分量bと比較して十分に大きな値に設定されている。
【0046】
そして、フィードバック補正係数FAFに上記スキップ量Aが加算された場合((ステップS113)、あるいは同補正係数FAFから上記スキップ量Bが減算された場合には(ステップS123)、次に後述する空燃比学習処理が実行される(ステップS130)。そしてその後、次回の処理に備えて現在の空燃比識別フラグXOXが前回値XOXOとして記憶された後(ステップS131)、本処理は一旦終了される。
【0047】
図3は、こうした空燃比フィードバック制御を通じて算出されるフィードバック補正係数FAFの推移例を示している。同図3に示されるように、フィードバック補正係数FAFは、酸素センサ34の出力電圧Voxが上記基準電圧Vrを跨いで変化するとき(スキップタイミング)には、比較的大きく変化するように上記各スキップ量A,Bに基づいて増減操作される。一方、酸素センサ34の出力電圧Voxが上記基準電圧Vrを跨いで変化したときから再び同基準電圧Vrを跨いで変化するときまでの期間(積分期間)では、比較的徐々に変化するように上記積分量a,bに基づいて増減操作される。
【0048】
ここで、上述した空燃比フィードバック制御にあっては、実空燃比と理論空燃比とが定常的に乖離する傾向を有していない場合、フィードバック補正係数FAFはその基準値である「1.0」を中心としてその近傍で変動するようになる。従って、フィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVは略「1.0」と等しくなる。一方、燃料噴射弁14の噴射特性の固体差や燃料組成の相違等に起因して実空燃比が理論空燃比からリッチ側或いはリーン側に定常的に乖離する傾向がある場合、又は理論空燃比自体が変化する場合、フィードバック補正係数FAFはその基準値である「1.0」と異なる値を中心にその近傍で変動するようになる。従って、フィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVは、その乖離傾向に応じて「1.0」とは異なる値に収束するようになる。このため、このフィードバック補正係数FAFの基準値(=「1.0」)とその平均値FAFAVとの間の乖離に基づいて実空燃比と理論空燃比との定常的な乖離傾向または理論空燃比の変化を監視することができる。こうした実情をふまえ、上記空燃比学習処理(図2のステップS130)では、この定常的な乖離傾向または理論空燃比の変化を監視するためパラメータとして空燃比学習値KGを算出するようにしている。
【0049】
以下、図4のフローチャートを参照して、こうした空燃比学習処理の具体的な処理手順について説明する。
この処理では先ず、空燃比学習処理の実行条件が成立しているか否かが判断される(ステップS200)。この実行条件としては、例えば内燃機関10が完全暖機状態にあること等が挙げられる。そして、この実行条件が成立していないと判断される場合には(ステップS200:NO)、本処理は一旦終了される。
【0050】
一方、空燃比学習処理の実行条件が成立していると判断される場合には(ステップS200:YES)、以下の演算式に従ってフィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVが算出される(ステップS201)。
FAFAV←(FAFB+FAF)/2
この関係式において「FAFB」は前回のスキップ処理、すなわち上記各スキップ量A,Bに基づく増減操作がなされたときのフィードバック補正係数FAFの値である。すなわち、ここでは、酸素センサ34の出力電圧Voxが上記基準電圧Vrを跨いで変化したときのフィードバック補正係数FAFの値FAFBと、その後再び出力電圧Voxが上記基準電圧Vrを跨いで変化したときのフィードバック補正係数FAFの値との相加平均が上記平均値FAFAVとして算出される。
【0051】
このようにしてフィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVが算出された後、次回の算出処理に備えて現在のフィードバック補正係数FAFが前回のスキップ処理実行時における値FAFBとして記憶される(ステップS202)。
【0052】
その後、フィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVと所定値C,D(D>「1.0」>C)との比較が行われる(ステップS203,S204)。そして、フィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVが所定値C未満である場合には(ステップS203:YES)、実空燃比が理論空燃比に対してリッチ側に乖離する傾向があると判断され、この乖離傾向を補償すべく空燃比学習値KGがより小さい値になるように学習される。具体的には、現在の空燃比学習値KGから所定値γが減算され、その減算値(KG−γ)が新たな空燃比学習値KGとして設定される(ステップS205)。
【0053】
一方、フィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVが所定値D以上である場合には(ステップS203及びS204:NO)、実空燃比が理論空燃比に対してリーン側に乖離する傾向があると判断され、この乖離傾向を補償すべく空燃比学習値KGがより大きな値になるように学習される。具体的には、現在の空燃比学習値KGに所定値γが加算され、その加算値(KG+γ)が新たな空燃比学習値KGとして設定される(ステップS206)。
【0054】
他方、フィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVが所定値α以上であり且つ所定値β未満である場合には(ステップS203:NO、且つステップS204:YES)、同平均値FAFAVがその基準値「1.0」の近傍で変動しており、実空燃比が理論空燃比から乖離する傾向はないと判断される。そしてこの場合には、上記空燃比学習値KGの更新は行われない。
【0055】
このようにフィードバック補正係数FAFの平均値FAFAVの推移に応じて空燃比学習値KGが適宜更新された後、本処理は一旦終了される。
このようにして逐次更新されている空燃比学習値KG及び前記フィードバック補正係数FAFは、前記燃料噴射制御の制御目標とする燃料噴射量(燃料噴射弁14の開弁時間)を算出する処理において用いられる。
【0056】
以下、こうした燃料噴射量算出処理の概要について説明する。
この処理では先ず、そのときどきの機関運転状態に基づいて、制御目標とする燃料噴射量の基本値(基本燃料噴射量)Tbseが算出される。
【0057】
そして、この基本燃料噴射量Tbseや、上記フィードバック補正係数FAF、空燃比学習値KGに基づいて下式(1)から、上記制御目標とする燃料噴射量(最終燃料噴射量)Tinjが算出される。
Tinj=Tbse(1+(FAF−1.0)+(KG−1.0))K1+K2 …(1)
(K1,K2:補正係数)
そして、上記燃料噴射制御にあっては、こうして算出される最終燃料噴射量Tinjに相当する時間だけ、上記燃料噴射弁14が開弁駆動される。
【0058】
こうした燃料噴射制御によれば、実空燃比が「理論空燃比×フィードバック補正係数FAF」といった演算式により算出される空燃比となるように、燃料噴射弁14の燃料噴射量が増減補正されるようになる。加えて、実空燃比が理論空燃比よりもリッチ側にあるいはリーン側に定常的に乖離する傾向を有する場合には、上記空燃比学習値KGに基づいて上記燃料噴射量が増減補正されるようになり、その乖離についてもこれが好適に補償されるようになる。
【0059】
ここで、本実施の形態の装置では、基本的には、上記空燃比学習値KGの推移を監視し、その推移に基づいて燃料の組成が変化したことを判定する。そして、前述したように、この空燃比学習値KGの乱れは、燃料組成が変化したときの他、前記燃料供給系統に異常が発生しているときも同様に生じる。このため、単に上記空燃比学習値KGを監視したのでは、この学習値KGの乱れが、燃料供給系統の異常によるものか、燃料組成の変化によるものかを区別することは難しいことも前述した通りである。
【0060】
そこで、本実施の形態では、燃料タンク21への燃料補給に際して同補給に応じたかたちで上記高圧配管22内の燃料圧力Pが推移したことを条件に、上記空燃比学習値KGに基づく燃料組成の変化についての判定を実行するようにしている。これにより、機関制御量の変化が燃料組成の変化によるものと特定でき、燃料組成の変化が的確に判断されるようになる。
【0061】
なお、本実施の形態の装置では、前記燃料噴射量算出処理において、燃料組成の変化に伴う上記空燃比学習値KGの変化を補償するための補正項Kaが設定されている。そして、この補正項Kaは、燃料組成が変化した旨の判定がなされる度に、上記空燃比学習値KGの変化量に基づき更新される。そして、燃料噴射量算出処理にあっては、この補正項Kaによって前記基本燃料噴射量Tbseが補正された後、最終燃料噴射量Tinjが算出される。すなわち、本実施の形態の装置では、前記燃料噴射制御が燃料組成の変化に応じたかたちで行われるようになっている。
【0062】
以下、こうした一連の処理について、その概要を、それら処理の流れに沿って説明する。
すなわち先ず、前記IGスイッチ19が「オン」操作された後に前記タンク遮断弁27が開弁されるまでの期間において、高圧配管22内の燃料圧力P及び上記空燃比学習値KGがそれぞれ開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiとして記憶される。
【0063】
その後、IGスイッチ19が「オン」操作されてから所定時間Taが経過すると、上記開弁前圧力Piとこのときの燃料圧力P(開弁後圧力Ps)とに基づいて下式(2)から、タンク遮断弁27の閉弁状態から開弁状態への移行に伴う上記燃料圧力Pの変化量が所定値αよりも大きいか否かが判断される。
Ps−Pi>α …(2)
この関係式(2)により判定される要件について以下に説明する。
【0064】
本実施の形態の装置では、天然ガス燃料が燃料タンク21内に加圧注入され、備蓄されている。このため、燃料タンク21内の燃料圧力は、燃料の残量の減少に伴って低下する。
【0065】
上記タンク遮断弁27が閉弁されているときには、燃料タンク21内と高圧配管22内とは遮断されている。このため、燃料タンク21への燃料補給が行われたところで、このときにおける高圧配管22内の燃料圧力(上記開弁前圧力Pi)は、同補給が行われる以前の圧力、すなわち内燃機関10が停止される以前における燃料タンク21内の燃料圧力で維持される。そして、その後において上記タンク遮断弁27が開弁されて燃料タンク21内と高圧配管22内とが連通されると、同配管22内に燃料タンク21内の高圧の燃料が流入するようになる。従って、上記開弁後圧力Psは、燃料補給後における燃料タンク21内の燃料圧力となる。
【0066】
また、上記所定値αとしては、燃料タンク21への燃料補給に伴って上昇すると見込まれる圧力上昇量である。
従って、これら開弁前圧力Pi、開弁後圧力Ps、所定値αの関係を定めた上記関係式(2)によれば、タンク遮断弁27が閉弁されてから開弁されるまでの期間、換言すれば、内燃機関10が停止されている期間において燃料タンク21内の燃料圧力が大きく上昇したことが判断される。そして、これをもって燃料タンク21に燃料が補給されたことが判定される。
【0067】
なお、上記所定時間Taとしては、IGスイッチ19が「オン」操作された後においてタンク遮断弁27が開弁され、更にはこれに伴って生じる高圧配管22内の燃料圧力Pの変動が十分に安定するようになる時間が設定される。これにより、燃料補給の判定に際して、タンク遮断弁27が開弁された直後において急激に変化している高圧配管22内の燃料圧力Pが用いられることが防止される。
【0068】
こうした関係式(2)を通じて、燃料タンク21に燃料が補給されたことが確認されたときには、次に燃料タンク21への燃料補給に伴って燃料供給系統内の燃料の組成が変化したか否かが判断される。
【0069】
ここで、燃料の組成、換言すれば燃料に含まれる可燃成分の含有率が変化すると、燃焼に必要な燃料量は異なる量となる。従って、燃料組成が変化すると、これに伴って排気エミッションの低減を図る上で好適な空燃比(要求空燃比)も変化するようになる。そしてこれは、制御目標とする所定の空燃比と、実空燃比との乖離を招くこととなる。
【0070】
一方、こうした乖離は、上記空燃比フィードバック制御において徐々に解消されるようになる。これは、燃料の組成が変化すると、それに伴って排気ガス中のエミッション成分が変化して、同成分を検出する上でその指標となる酸素センサ34の出力電圧Voxも変化し、ひいては空燃比学習値KGが変化するようになるからである。そしてこれは、上記空燃比学習値KGの変化を監視することで、燃料組成の変化を判定することが可能になることをも意味する。
【0071】
そこで、本実施の形態では、燃料補給前の空燃比学習値(開弁前学習値KGi)と燃料補給後の空燃比学習値KGとを比較することで、燃料タンク21内の燃料の組成が変化したか否かを判断するようにしている。
【0072】
具体的には、前述した空燃比フィードバック制御が開始されてから所定時間Tbが経過した後において、上記開弁前学習値KGiとこのときの空燃比学習値KGとに基づいて下式(3)から、燃料補給に伴う空燃比学習値KGの変化量が所定値βよりも大きいか否かが判断される。
|KG−KGi|>β …(3)
そして、この判断では、所定値βよりも大きいことをもって、燃料組成が変化した旨の判定がなされる。
【0073】
なお、上記所定時間Tbとしては、空燃比フィードバック制御が開始された後において、燃料組成の変化に起因する空燃比学習値KGの変化が十分に収束するようになる時間が設定される。これにより、上記関係式(3)に基づく燃料組成の変化についての判定が、空燃比学習値KGの変化が収束するのを待って実行されるようになる。
【0074】
そして、燃料組成が変化したと判定されたときには、次に、前記燃料噴射量算出処理において、その変化に起因して生じる空燃比学習値KGの変化分(=KG−KGi)を補償すべく、前記補正項Kaが更新される。具体的には、例えば、このとき記憶されている補正項Kaと上記変化分とに基づいて新たな補正項Kaが算出され、設定される。
【0075】
そしてその後における燃料噴射量算出処理にあっては、空燃比学習値KGを加味して最終燃料噴射量Tinjを算出するに先立って、そのときどきにおいて算出される前記基本燃料噴射量Tbseが上記補正項Kaに基づいて下式(4)のように補正される。
Tbse←Tbse×Ka …(4)
すなわち、上記基本燃料噴射量Tbseが、燃料組成の変化に伴って空燃比学習値KGが変化する分だけ予め補正される。これにより、燃料組成の変化に起因する空燃比学習値KGの定常的な変化についてはこれが抑制されるようになる。
【0076】
その後、この補正された基本燃料噴射量Tbseを用いて前記関係式(1)から最終燃料噴射量Tinjが算出される。そして、前記燃料噴射制御にあっては、この最終燃料噴射量Tinjに応じた時間だけ燃料噴射弁14が開弁駆動される。
【0077】
以下、上述した一連の処理の具体的な処理手順について、図5〜図9を参照して説明する。
ここでは先ず、図5〜図8を参照して、燃料組成の判定にかかる処理について説明する。
【0078】
なお、図5は、燃料組成の判定にかかる処理の具体的な処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、所定時間毎の割り込み処理として、前記電子制御装置30により実行される。本実施の形態の装置では、この処理が燃料組成の変化を判定する組成変化判定手段として機能する。また、図6〜図8は、図5に示される処理の一環として実行される各処理の具体的な処理手順を示すフローチャートである。図6は前記開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiを記憶する処理(図5のステップS300)の処理手順を、図7は燃料補給の有無を判定する処理(同ステップS400)の処理手順を、図8は燃料組成の変化を判定する処理(同ステップS500)の処理手順をそれぞれ示している。
【0079】
図5に示されるように、燃料組成を判定する処理では、開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiを記憶する処理(ステップS300)、燃料補給の有無を判定する処理(ステップS400)、燃料組成の変化を判定する処理(ステップS500)といった順に上述した各処理が実行される。
【0080】
すなわち先ず、図6に示す開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiを記憶する処理が実行される。
図6に示されるように、この処理では先ず、Aフラグが「オフ」されているか否かが判断される(ステップS301)。このAフラグは、前記IGスイッチ19が「オン」操作されたときに「オフ」操作されるフラグであり、開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiを記憶した後に「オン」操作されるフラグである。すなわち、このAフラグが「オフ」されていることをもって、IGスイッチ19が「オン」操作された後において、上記開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiが未だ記憶されていないことを判断することができる。
【0081】
そして、このAフラグが「オフ」されていると判断される場合には(ステップS301:YES)、開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiを記憶する必要があるとして、前記タンク遮断弁27が閉弁されているか否かが判断される(ステップS302)。
【0082】
そして、タンク遮断弁27が開弁されていると判断される場合には(ステップS302:YES)、このときの高圧配管22内の燃料圧力Pが開弁前圧力Piとして、またこのとき記憶されている空燃比学習値KGが開弁前学習値KGiとしてそれぞれ記憶される(ステップS303)。その後、上記Aフラグが「オン」操作された後(ステップS304)、この記憶処理は一旦終了される。
【0083】
一方、上記Aフラグが「オン」されていると判断される場合には(ステップS301:NO)、上記開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiが既に記憶されているとして、上述した処理を実行することなく(ステップS302〜S304の処理をジャンプして)、この記憶処理は一旦終了される。
【0084】
他方、上記タンク遮断弁27が開弁されていると判断される場合には(ステップS301:YES、且つステップS302:NO)、上記開弁前圧力Pi及び開弁前学習値KGiを記憶する環境下にないとして、その記憶が実行されない。すなわち、この場合には、ステップS303及びS304の処理を実行することなく、この記憶処理は一旦終了される。
【0085】
次に、図7に示す燃料補給の有無を判定する処理が実行される。
図7に示されるように、この燃料補給判定処理では、先ずBフラグが「オフ」されているか否かが判断される(ステップS401)。このBフラグは、上記IGスイッチ19が「オン」操作されたときに「オフ」操作されるフラグであり、燃料補給の有無についての判定が実行された後に「オン」操作されるフラグである。すなわち、このBフラグが「オフ」されていることをもって、IGスイッチ19が「オン」操作された後において、燃料補給の有無についての判定が未だ実行されていないと判断することができる。
【0086】
そして、このBフラグが「オフ」されていると判断される場合には(ステップS401:YES)、その後IGスイッチ19が「オン」操作されてから前記所定時間Ta以上経過したか否かが判断される(ステップS402)。
【0087】
そして、所定時間Ta以上経過したと判断される場合には(ステップS402:YES)、このときの高圧配管22内の燃料圧力Pが開弁後圧力Psとして記憶される(ステップS403)。
【0088】
そしてその後、前記関係式(2)から、タンク遮断弁27の閉弁状態から開弁状態への移行に伴う上記燃料圧力Pの変化量が所定値αよりも大きいか否かが判断される(ステップS404)。
【0089】
そして、所定値αよりも大きいと判断される場合には(ステップS404:YES)、燃料補給がなされた旨の判定がなされ、判定実行フラグが「オン」操作される(ステップS405)。なお、この判定実行フラグは、上記IGスイッチ19が「オン」操作されたときに「オフ」操作されるフラグであって、後述する補正項Kaを算出する処理において、燃料組成の変化の判定を実行するか否かの判断(図8のステップS503)に際して参照されるフラグである。
【0090】
一方、タンク遮断弁27の閉弁状態から開弁状態への移行に伴う上記燃料圧力Pの変化量が所定値α以下であると判断される場合には(ステップS404:NO)、今回燃料補給はなされなかったとして、上記判定実行フラグは「オン」操作されない(ステップS405の処理をジャンプする)。
【0091】
このように、タンク遮断弁27の閉弁状態から開弁状態への移行時における上記燃料圧力Pの推移に応じて、上記判定実行フラグの「オン」操作を選択した後、あるいは「オフ」状態の維持を選択した後、上記Bフラグが「オン」操作される(ステップS406)。その後、この燃料補給判定処理は一旦終了される。
【0092】
なお、上記Bフラグが「オン」されていると判断される場合には(ステップS401:NO)、燃料補給の有無の判定が既に完了しているとして、同判定を実行することなく(ステップS402〜S406の処理をジャンプして)、この燃料補給判定処理は一旦終了される。
【0093】
また、上記IGスイッチ19が「オン」操作された後の経過時間が所定時間Ta未満であると判断される場合には(ステップS401:YES、且つステップS402:NO)、高圧配管22内の燃料圧力Pが未だ安定していないとして、燃料補給の有無の判定が実行されない。すなわち、この場合には、ステップS403〜S406の処理をジャンプして、この燃料補給判定処理は一旦終了される。
【0094】
次に、図8に示す燃料組成の変化を判定する処理が実行される。
図8に示されるように、この組成変化判定処理では、先ずCフラグが「オフ」されているか否かが判断されるとともに(ステップS501)、上記空燃比フィードバック制御が開始されてから前記所定時間Tb以上経過したか否かが判断される(ステップS502)。なお、上記Cフラグは、上記IGスイッチ19が「オン」操作されたときに「オフ」操作されるフラグであり、燃料組成の変化についての判定が実行された後に「オン」操作されるフラグである。すなわち、このCフラグが「オフ」されていることをもって、IGスイッチ19が「オン」操作された後において、燃料組成についての判定が未だ実行されていないと判断することができる。
【0095】
従って、このCフラグが「オン」されていると判断される場合には(ステップS501:NO)、上記判定が既に完了しているとして、以下の処理を実行することなく(ステップS502〜S506の処理をジャンプして)、この組成変化判定処理は一旦終了される。
【0096】
また、上記空燃比フィードバック制御が開始された後の経過時間が所定時間Tb未満であると判断される場合には(ステップS502:NO)、燃料補給に伴う前記空燃比学習値KGの変化が未だ収束していない可能性があるとして、上記判定が実行されない。すなわち、この場合には、ステップS503〜S506の処理をジャンプして、この組成変化判定処理は一旦終了される。
【0097】
一方、上記Cフラグが「オフ」されており、且つ空燃比フィードバック制御が開始されてから所定時間Tb以上経過していると判断される場合には(ステップS501及びS502:YES)、上記判定を実行する環境下になったとして、以下の処理(ステップS503〜S506)を通じて、同判定が実行される。
【0098】
すなわち、先ず前記判定実行フラグが「オン」されているか否かが判断される(ステップS503)。そして、この判定実行フラグが「オン」されていると判断される場合には(ステップS503:YES)、次に前記関係式(3)から、燃料補給に伴う空燃比学習値KGの変化量が前記所定値βよりも大きいか否かが判断される(ステップS504)。
【0099】
そして、所定値βよりも大きいと判断される場合には(ステップS504:YES)、燃料補給に伴って燃料組成が変化したとして、組成変化フラグが「オン」操作される(ステップS505)。なお、この組成変化フラグは、後述する燃料噴射量を算出する処理において前記補正項Kaを更新するに先立って参照される(図9のステップS603)フラグであり、同補正項Kaが更新された後に「オフ」操作される(同ステップS605)フラグである。
【0100】
一方、上記判定実行フラグが「オフ」されていると判断される場合には(ステップS503:NO)、燃料補給がなされておらず燃料組成は変化していないとして、同変化の判定及び組成変化フラグの操作が行われない(ステップS504及びS505の処理をジャンプする)。
【0101】
他方、燃料補給に伴う空燃比学習値KGの変化量が所定値β以下であると判断される場合には(ステップS504:NO)、燃料組成が変化していない、若しくはさほど変化していないとして、組成変化フラグの操作が行われない(ステップS505の処理をジャンプする)。
【0102】
このように燃料組成の変化の判定や組成変化フラグの操作が適宜実行された後、上記Cフラグが「オン」操作され(ステップS506)、この組成変化判定処理は一旦終了される。
【0103】
次に、図9を参照して本実施の形態にかかる燃料噴射量を算出する処理について説明する。
なお、図9は、燃料噴射量を算出する処理の具体的な処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理についても、先の図5に示される一連の処理と同様に、所定時間毎の割り込み処理として、前記電子制御装置30により実行される。
【0104】
同図9に示されるように、この処理では先ず、吸入空気量GA、機関回転速度NE、機関冷却水温THW等、現在の機関運転状態を示す各パラメータが読み込まれる(ステップS601)。そしてその後、これら各パラメータに基づいて基本燃料噴射量Tbseが算出される(ステップS602)。
【0105】
その後、上記組成変化フラグが「オン」されているか否かが判断される(ステップS603)。そして、組成変化フラグが「オン」されていると判断される場合には(ステップS603:YES)、燃料組成が変化したとして、その変化分(=KG−KGi)を補償すべく、前述した態様で上記補正項Kaが更新される(ステップS604)。また、これに併せて、上記組成変化フラグが「オフ」操作される(ステップS605)。
【0106】
一方、上記組成変化フラグが「オフ」されていると判断される場合には(ステップS603:NO)、燃料組成が変化していない、あるいは補正項Kaの更新が既に完了したとして、補正項Kaの更新や組成変化フラグの操作は行われない(ステップS604及び605の処理をジャンプする)。
【0107】
このように、補正項Kaの更新や組成変化フラグの操作が適宜実行された後、補正項Kaに基づいて基本燃料噴射量Tbseが前記関係式(3)のように補正される(ステップS606)。更には、この補正された基本燃料噴射量Tbseを用いて前記関係式(1)から最終燃料噴射量Tinjが算出された後(ステップS607)、本処理は一旦終了される。
【0108】
以下、上述した燃料組成判定処理がどのように行われるのかを、図10に示すタイミングチャートを参照しつつ説明する。
なお、図10は、内燃機関10の停止中に燃料補給がなされ、これに伴い燃料組成が大きく変化する場合における上記燃料組成判定処理の処理態様の一例を示している。
【0109】
また、図10は、こうした燃料組成判定処理の一例において、以下に記載する各項目についてそれぞれ示している。すなわち、同図において、(a)はIGスイッチ19の操作状態についての推移を、(b)はタンク遮断弁27の作動状態についての推移を、(c)は空燃比学習値KGの推移をそれぞれ示している。また、(d)は高圧配管22内の燃料圧力Pの推移を、(e)は判定実行フラグの操作状態についての推移を、(f)は補正項Kaの推移をそれぞれ示している。
【0110】
更に、同図の例にあって、時刻t1では、以下の各条件が満たされている。
・同図(a)に示されるIGスイッチ19が「オフ」操作されている。
・同図(b)に示されるタンク遮断弁27が閉弁されている。
【0111】
また、この時刻t1においては、同図(e)に示されるように判定実行フラグが「オフ」に設定されている。
さて、そうした時刻t1において、同図(a)に示されるように、IGスイッチ19がオン操作されると、このときの高圧配管22内の燃料圧力Pが開弁前圧力Piとして、またこのときの空燃比学習値KGが開弁前学習値KGiとしてそれぞれ記憶される。
【0112】
そして、その後の時刻t2において、同図(b)に示されるように、タンク遮断弁27が開弁される。
その後の時刻t3において、IGスイッチ19が「オン」操作されてから所定時間Taが経過すると、タンク遮断弁27の開弁に伴う高圧配管22内の燃料圧力Pの変化が十分に収束したとして、燃料の補給が行われたことが判定される。本例では、それら燃料補給がなされたことが、同図(d)に示すように、このときの燃料圧力P(開弁後圧力Ps)が上記開弁前圧力Piよりも所定値αを超えて大きくなったことをもって((Ps−Pi)>α)判定される。
【0113】
また、この判定がなされたことをもって、同図(e)に示されるように、判定実行フラグが「オン」操作される。そして、これをもって、その後における燃料組成の変化についての判定の実行が許可される。すなわち、本実施の形態の装置では、燃料補給が行われたことを条件として、燃料組成の変化の判定が行われる。
【0114】
その後、内燃機関10が始動され、更にはその後の時刻t4において、空燃比フィードバック制御が開始される。そしてその後において、同図(c)に示されるように、燃料組成の変化に伴う前記要求空燃比と実空燃比との乖離を補償すべく、空燃比学習値KGが変化するようになる。
【0115】
その後の時刻t5において、空燃比フィードバック制御の実行が開始されてから所定時間Tbが経過すると、燃料組成が変化したか否かの判定が行われる。そして、本例では、同図(c)に示されるように、このときの空燃比学習値KG、すなわち燃料組成の変化に伴う変化が収束した後の学習値KGと、燃料補給前の学習値(補給前学習値KGi)との差が所定値βよりも大きい(|KG−KGi|>β)ことをもって、燃料組成が変化した旨の判定がなされる。
【0116】
また、この判定がなされたことをもって、燃料噴射量算出処理では、同図(f)に示されるように、補正項Kaが、燃料組成の変化に伴う空燃比学習値KGの変化分を補償すべく、その変化量(=KG−KGi)に応じたかたちで更新される。
【0117】
そして、この補正項Kaは、上記空燃比学習値KGやフィードバック補正係数FAF等に基づいて制御目標となる最終燃料噴射量Tinjを算出するに先立って、その基本燃料噴射量Tbseに反映される。
【0118】
これにより、同図(c)に示されるように、その後における空燃比フィードバック制御の実行に伴って、上記補正項Kaにより補正された分を相殺するように空燃比学習値KGが徐々に変化するようになる。そして、ひいては空燃比学習値KGが、燃料補給前における同空燃比学習値KGに復帰されるようになる。すなわち、燃料組成の変化に伴う空燃比学習値KGの変化、ひいては要求空燃比の変化が補償されるようになる。
【0119】
以上説明したように、本実施の形態によれば、以下に記載する効果が得られるようになる。
(1)燃料タンク21への燃料補給前後における高圧配管22内の燃料圧力Pの推移、及び同燃料タンク21への燃料補給前後における空燃比学習値KGの推移に基づいて、燃料組成の変化を判定するようにした。これにより、燃料タンク21への燃料補給に際してその補給に応じたかたちで上記燃料圧力Pが推移したことを確認することによって、その後に発生した機関制御量の変化を燃料組成の変化によるものと特定でき、空燃比学習値KGに基づく燃料組成の変化についての判定を実行することができるようになる。従って、内燃機関10に供給される燃料の組成変化を的確に判断して、それら燃料組成の変化に応じた機関制御を行うことができるようになる。
【0120】
(2)また、上記判定に際し、上記燃料圧力Pの推移として、タンク遮断弁27の開弁前の高圧配管22内の燃料圧力(開弁前圧力Pi)と同タンク遮断弁27の開弁後における該燃料圧力(開弁後圧力Ps)との差を計測するようにした。このため、この差に基づいて、タンク遮断弁27が閉弁されてから開弁されるまでの期間、換言すれば、内燃機関10が停止されている期間において燃料タンク21内の燃料圧力が大きく上昇したことを判断することができるようになる。従って、これをもって燃料タンク21内に燃料が補給されたことを判定することができるようになる。
【0121】
(3)また、上記開弁後圧力Psとして、IGスイッチ19が「オン」操作されてから所定時間Taが経過した後における高圧配管22内の燃料圧力Pを用いるようにした。これにより、タンク遮断弁27が開弁された直後において急激に変化している高圧配管22内の燃料圧力Pを用いて燃料補給の判定がなされることを防止することができるようになる。換言すれば、その変化が安定した後における燃料圧力Pを燃料補給の有無の判定に用いることができるようになり、その判定精度の向上を図ることができるようになる。
【0122】
(4)上記空燃比学習値KGの推移として、燃料補給前後における同学習値KGの差を計測するようにした。これにより、燃料組成の変化に応じて大きくなる変化量であって、所定の空燃比「理論空燃比×KG」と実空燃比との乖離が好適に反映される上記差が所定値βよりも大きくなっていることをもって、燃料組成の変化を的確に判定することができるようになる。しかも、これに併せて、燃料組成の変化度合いについてもこれを精度よく推定することができるようになる。
【0123】
(5)また、上記判定に際して、燃料補給後の空燃比学習値KGとして、空燃比フィードバック制御が開始されてから所定時間Tbが経過した後の空燃比学習値KGを用いるようにした。これにより、上記判定を、燃料組成の変化に伴う空燃比学習値KGの変化が収束するのを待って実行することができるようになり、その判定精度を好適に向上させることができるようになる。
【0124】
(6)燃料組成が変化したと判定されたときには、最終燃料噴射量Tinjの算出に先立って、基本燃料噴射量Tbseを燃料組成の変化量に応じたかたちで補正するようにした。これにより、その後における空燃比フィードバック制御の実行に伴って、空燃比学習値KGが、上記補正項Kaにより補正された分を相殺するように徐々に変化するようになり、ひいては燃料補給前における同空燃比学習値KGに復帰されるようになる。従って、燃料組成の変化に伴う空燃比学習値KGの変化が補償されるようになり、ひいては空燃比フィードバック制御の制御精度の低下についての好適な抑制を図ることができるようになる。
【0125】
(7)製造メーカー間においてその組成が異なるおそれの高い天然ガス燃料が燃料として用いられる燃料供給システム20にあって、その燃料組成の変化を好適に判定することができるようになる。
【0126】
なお、上記実施の形態は、以下のように変更して実施してもよい。
・上記実施の形態では、タンク遮断弁27の閉弁状態から開弁状態への移行に伴う高圧配管22内の燃料圧力Pの変化量が所定値αよりも大きいことをもって、燃料補給がなされたことを判定するようにした。これに対して、機関始動時における燃料タンク21内の燃料圧力が直前の機関停止時における同燃料圧力よりも所定値以上大きくなったことをもってこの判定を行うようにしてもよい。要は、燃料補給前後の燃料供給経路内の燃料圧力に基づく判定にあっては、同圧力が燃料補給に際してその補給に応じたかたちで推移したことを好適に判定することができればよい。なお、燃料補給がなされたことを判定する条件としては他に、次の条件(イ)や(ロ)等も考えられる。(イ)燃料充填管25の充填口26に燃料補給に際して開かれる蓋が設けられている構成にあって、その蓋が開けられたこと。(ロ)通常設けられる弁体であって、外部から燃料タンク21内への燃料の流入を許容するとともに同燃料タンク21内から外部への燃料の漏洩を防止する弁体が開弁されたこと。
【0127】
・上記実施の形態では、高圧配管22内の燃料圧力Pの推移を監視するための値として、タンク遮断弁27の開弁前の高圧配管22内の燃料圧力(開弁前圧力Pi)と同タンク遮断弁27の開弁後における該燃料圧力(開弁後圧力Ps)との差を計測するようにした。これに限らず、燃料供給経路内の燃料圧力が燃料補給に際してその補給に応じたかたちで推移したことを好適に判定することができるのであれば、上記計測する値は適宜変更可能である。
【0128】
・上記実施の形態では、空燃比学習値KGの推移を監視するための値として、燃料補給前後における同学習値KGの差を計測するようにしたが、これに限られない。燃料組成の変化を好適に判定することができるのであれば、上記計測する値は適宜変更可能である。
【0129】
・上記実施の形態では、燃料補給前後における空燃比学習値KGの推移に基づいて、燃料組成の変化についての判定を行うようにした。これに代えて、燃料補給前後におけるフィードバック補正係数FAFの推移等に基づいて上記判定を行うことも可能である。要は、燃料組成の変化が好適に反映される機関制御量であれば、上記判定に適宜用いることができる。
【0130】
・上記実施の形態では、燃料組成が変化した旨の判定がなされたときに、その変化量に応じて基本燃料噴射量Tbseを補正するようにした。これに代えて、若しくはこれに併せて、レギュレータ28の制御量を補正するようにしてもよい。こうした構成によれば、燃料組成の変化量に応じたかたちで低圧配管23(デリバリパイプ24)内の燃料圧力(燃料噴射圧)を補正することが可能になり、ひいては燃料噴射弁14から噴射される燃料量を補正することが可能になる。従って、こうした構成によっても、燃料組成の変化に起因する実空燃比と要求空燃比との乖離を好適に補償することはできる。
【0131】
・また、上記燃料組成の変化量に応じて機関点火時期を補正することも可能である。こうした構成によれば、燃料組成の変化に伴って混合気の着火性が変化する場合であれ、その着火性に応じたかたちで機関点火時期を補正することができるようになる。
【0132】
・上記実施の形態では、製造元によっては組成の異なることがある天然ガス燃料が燃料として用いられる内燃機関10に本発明を適用するようにした。本発明は、こうした天然ガス燃料と同様に、その組成が異なるおそれのある石油ガス燃料や液化石油ガス燃料等を燃料として用いる機関システムにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる内燃機関の空燃比制御装置の一実施の形態についてその概略構成を示すブロック図。
【図2】空燃比フィードバック制御処理の処理手順を示すフローチャート。
【図3】フィードバック補正係数FAFの推移の一例を示すグラフ。
【図4】空燃比学習処理の処理手順を示すフローチャート。
【図5】燃料組成判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図6】記憶処理の処理手順を示すフローチャート。
【図7】燃料補給判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図8】組成変化判定処理の処理手順を示すフローチャート。
【図9】燃料噴射量算出処理の処理手順を示すフローチャート。
【図10】燃料組成判定処理の処理態様の一例を示すタイミングチャート。
【符号の説明】
10…内燃機関、11…気筒、12…吸気通路、13…排気通路、14…燃料噴射弁、15…燃焼室、16…スロットルバルブ、17…点火プラグ、18…イグナイタ、19…イグニッション(IG)スイッチ、20…燃料供給システム、21…燃料タンク、22…高圧配管、23…低圧配管、24…デリバリパイプ、25…燃料充填管、26…充填口、27…タンク遮断弁、28…レギュレータ、30…電子制御装置、31…エアフローメータ、32…回転速度センサ、33…水温センサ、34…酸素センサ、35…圧力センサ。
Claims (8)
- 燃料タンクから内燃機関に供給されるガス燃料の組成の変化を判断し、それらガス燃料の組成の変化に応じた機関制御を実行する内燃機関の制御装置において、
前記燃料タンクへの燃料補給前後において燃料供給経路内の圧力が推移したことを条件に、同燃料タンクへの燃料補給前後における機関制御量の推移に基づいて前記燃料の組成の変化を判定する組成変化判定手段を備える
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関は、前記燃料タンクへの燃料補給時に、該燃料タンクとそれ以降の前記燃料供給経路との間を遮断する遮断弁を備えて構成され、前記組成変化判定手段は、前記燃料タンクへの燃料補給前後において前記燃料供給経路内の圧力が推移したことを、前記遮断弁の閉弁時の圧力とその後の機関始動に伴う前記遮断弁の開弁後の圧力との差に基づいて判断する
請求項1に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記組成変化判定手段は、前記遮断弁の閉弁時における前記燃料供給経路内の圧力を検出して記憶保持するとともに、前記遮断弁の開弁後の圧力として前記機関始動から所定時間経過後の前記燃料供給経路内の圧力を検出し、該検出した圧力と前記記憶保持している圧力との差を前記燃料タンクへの燃料補給前後における前記燃料供給経路内の圧力の差として計測する
請求項2に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記燃料タンクへの燃料補給前後における前記機関制御量の推移が、当該機関の空燃比フィードバック制御における燃料噴射量のフィードバック補正値の学習値の推移であり、前記組成変化判定手段は、それら学習値の推移を、前記燃料タンクへの燃料補給前後における同学習値の差として計測する
請求項1〜3のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 前記組成変化判定手段は、前記燃料タンクへの燃料補給前における前記学習値を記憶保持するとともに、同燃料タンクへの燃料補給後、機関始動に伴って前記空燃比フィードバック制御が開始されてから所定時間経過後の同学習値を抽出し、該抽出した学習値と前記記憶保持している学習値との差を前記燃料タンクへの燃料補給前後における同学習値の差として計測する
請求項4に記載の内燃機関の制御装置。 - 前記組成変化判定手段は、前記燃料タンクへの燃料補給前後における燃料供給経路内の圧力推移が所定推移以上となっていることを条件に前記燃料タンクへの燃料補給前後における機関制御量の推移を計測し、該計測した機関制御量の推移が所定推移以上となっていることを条件に前記燃料の組成が変化している旨を判定する
請求項1〜5のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。 - 請求項1〜6のいずれかに記載の内燃機関の制御装置において、
当該制御装置は、空燃比フィードバック制御に基づいて前記内燃機関への燃料噴射量をフィードバック制御するものであり、前記組成変化判定手段により前記燃料の組成の変化が判定されるとき、前記フィードバック制御する燃料噴射量の基本噴射量を変更する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。 - 前記内燃機関が、前記ガス燃料として天然ガス燃料を使用する天然ガス機関である
請求項1〜7のいずれかに記載の内燃機関の制御装置。
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