JP4228272B2 - ビーズクッション - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はビーズクッションに関し、更に詳しくは、編地のストレッチ性により、ソフトな風合いと適度な圧力分散性を兼ね備え、かつ編地の熱線遮蔽効果により、ひんやり感を感じられるビーズクッションに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、弾性繊維、特にポリウレタン繊維などを用いて作られた、ストレッチ性に優れた編地はクッションの側地などにも採用されている。ストレッチ性はクッション等の変形することを前提とした商品には特に好ましく採用されているが、近年、個人の好みが多様化することに応じて、これらの編地には、ストレッチ性だけでなく、更に有効な機能が必要とされてきている。
【0003】
その機能のひとつとして注目されているものとして、ひんやり感がある。編地はクッションの側地でも、内部の綿、ビーズ、マイクロビーズなどのクッション材を側地で覆い、内部からのクッション材の飛び出しを防いでいるが、人体や太陽光から発せられる近赤外線が内部クッション材に蓄積されるため、長時間使用し続けると生ぬるく感じてしまうことがあったり、夏場では太陽光にさらされる場所にあるものはその熱がなかなか抜けないといった問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はかかる事情を背景として鋭意検討した結果、達成されたものであり、編地のストレッチ性からもたらされるクッションの変形追随性により、非常に良好な風合いを示し、なおかつ編地の近赤外線の遮蔽によるひんやり感の感じられるビーズクッションを提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は以下の構成よりなる。
扁平度が3以上のポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートのいずれかのポリエステル繊維およびポリウレタン弾性繊維からなり、編地の表面及び/又は裏面にスパッタリング加工によりチタン金属膜が付着されてなるストレッチ性を有する下記特性(1)〜(5)を満たす編地を、側地として用いたビーズクッション。
(1)通気度≧30cc/sec・cm2
(2)近赤外線透過率≦20%
(3)縦方向及び横方向の伸長率≧50%
(4)伸長回復率≧80%
(5)近赤外反射率≧20%
【0006】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0007】
本発明に用いるポリエステル繊維とは、ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートのフィラメントを意味する。
【0008】
その中でも実使用における物性、加工性の良好さなどを考慮に入れると、特にポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントが望ましい。
【0009】
これらのストレッチ性を得る目的で、本発明のビーズクッションに用いられる編地には伸長回復性からポリウレタン繊維を含有することが好ましい。ポリウレタン繊維とはポリマー骨格にウレタン結合を含み、ストレッチ性に富む編地を提供し得るものであって、ポリマー骨格としてはポリエーテル系、ポリエステル系のいずれであっても良い。
【0010】
また編地とは、ポリエステル繊維およびポリウレタン弾性繊維を用いて作られた編物であり、経編、横編み、丸編み等を意味し、本発明のビーズクッションは該編地を側地に用いたものである。
【0011】
これらの編地の通気度は30cc/sec・cm2以上である。通気度がこの値に達しないと、空気対流による、熱の拡散性が損なわれるため、熱がこもりやすくなり、編地の断熱による効果が阻害されてしまう。好ましくは40cc/sec・cm2以上である。但し、あまりにも通気度が高すぎると、近赤外線透過率が高くなり、また、布帛強力が低くなるため、200cc/sec・cm2以下であることが好ましい。
【0012】
本発明のビーズクッションに用いられる編地の近赤外線透過率は20%以下であることが好ましい。近赤外線透過率が20%より高くなると、外部からの近赤外線による熱により、編地で覆われた内側が暖まり、低温を保持することができなくなる。より好ましくは10%以下であり、一層好ましくは7%以下である。
【0013】
本発明の編地はストレッチ性を有しており、この特性により快適なフィット性を得ることが出来る、編物のストレッチ方向は縦方向、横方向の2方向である。伸長率としては、縦方向、横方向の2方向に各々50%以上の伸長率とすることで一層効果が明確になる。2方向に各々80%、100%以上の伸長率とすることは極めて好ましい態様と言える。但し、あまりにも伸長率が大き過ぎると製編自体が困難となるため、400%以下としておくことが好ましい。また、使用時の着用性や見栄え(ワライ)などの問題が起こらないためには伸長回復率が80%以上であることが望ましく、より好ましくは85%以上であり、一層好ましくは90%以上である。
【0014】
本発明のビーズクッションに用いる編地の近赤外線反射率は20%以上であり、近赤外線反射率が20%より低くなると、外部からの近赤外線が編地に吸収され、編地自体の温度が上昇し、編地と接している内部材温度が上昇してしまう。より好ましくは25%以上であり、一層好ましくは30%以上である。近赤外線反射率は100%に近いほど好ましい。
【0015】
本発明のビーズクッションに用いる編地を構成するポリエステル繊維の断面形状が扁平度3以上であることが好ましい。扁平度3以上の扁平断面であることで、近赤外線の反射率を向上しやすくなるばかりでなく、編地のソフト性が向上する。扁平度は繊維断面の長軸方向の長さを短軸方向の長さで除して求めることができる。扁平度のより好ましい範囲は4以上であり、一層好ましくは5以上である。
【0016】
ポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートのいずれかのポリエステル繊維とポリウレタン弾性繊維により作られた当該編地の表面及び/または裏面にチタン金属膜を付着することにより、この効果はより一層良くなる。チタン金属膜の付着方法としては、通気性やストレッチ性、風合いを考慮に入れ、スパッタリングで加工する。
【0017】
金属膜としては、耐食性や皮膚刺激性等を考慮に入れ、チタンとする。また、風合いから金属膜を含んだ編地の厚みとして、1.00mm以下、さらには0.9mm以下であることが好ましい。
【0018】
扁平断面繊維を用いることにより、近赤外線反射率は著しく向上して、非常に望ましい。丸断面からなる編み地は、表面凹凸が残っているため、扁平断面繊維に比べると近赤外線反射率は低い。また、いずれもスパッタリング加工をかけることにより、近赤外線を効果的に遮断し、近赤外線透過率を著しく下げることが出来る。
【0019】
また、当該編地に含まれる無機(酸化)物量は2重量%以下であることが好ましい。当無機(酸化)物は、近赤外線の放射効果があるため、保温製品に用いる繊維で多く使われるが、多く入れすぎると、原糸としての強力を損ねる場合がある。また、同様に無機(酸化)物量が多くなると、光や紫外線を受けると近赤外線を放射することから、編地そのものの温度が高くなる場合がある。よりこのましくは1%以下であり、一層好ましくは、0.5%以下である。当該編地に含まれる無機(酸化)物量はゼロ%であっても構わない。
【0020】
本発明のビーズクッションは前記のような編地を側地として用いることにより得られる。側地は編地を縫製されてなるもので、該側地の内部に発泡スチロール製などのビーズやマイクロビーズなどを詰め込んで得られるものである。本発明のビーズクッションは側地を形成する編地のストレッチ性によって、ソフトな風合いと適度な圧力分散性を兼ね備えることによる良好なクッション性や近赤外線遮断効果によって、ひんやり感を有するものである。
【0021】
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明がこれら実施例によって限定されるものではない。
【0022】
本発明の編地の評価については、以下の方法で測定したものである。
通気度:JIS L1018 フラジール法
近赤外線透過率:分光光度計(島津 UV-3100)により、720nm〜2000nmの波長域の透過率を測定した。
近赤外線反射率:分光光度計(島津 UV-3100)により、720nm〜2000nmの波長域の反射率を測定した。
伸長率・伸長回復率:JIS L1096 B−1法(定荷重法)
伸長回復率は30秒後の値を測定した。
【0023】
(実施例1)
常法に従って製造された44デシテックスのポリエーテル系ポリウレタン糸および、41デシテックス/36フィラメントの扁平度5の扁平断面のポリエステル(酸化チタン添加率0.4%)を用いて、36ゲージのトリコット編み機を使用し、ハーフ組織の2WAYトリコットを作成した。次いで、プリウェッターープリセット(190℃×40秒)ー染色(液流染色110℃×20分)−仕上げセット(170℃×40分)の条件で加工し、さらにスパッタリング加工により編地表面に金属チタンを約400Åの厚さで付着し、編地を得た。この編地の性量は、110コース/インチ、60ウェール/インチ、厚みは0.670mmであった。さらにこの編み地を用いてクッション側地を縫製し、内部に発泡スチロールビーズを詰め込み、ビーズクッションを作成した。このビーズクッションは編地のストレッチ性により、ソフトな風合いと適度な圧力分散性を兼ね備え、かつ編地の熱線遮蔽効果により、ひんやり感を感じられる物であった。
【0024】
(実施例2)
常法に従って製造された44デシテックスのポリエーテル系ポリウレタン糸および、56デシテックス/36フィラメントの扁平度5の扁平断面のポリエステル(酸化チタン添加率0.4%)を用いて、32ゲージのトリコット編み機を使用し、ハーフ組織の2WAYトリコットを作成した。次いで、プリウェッターープリセット(190℃×40秒)ー染色(液流染色110℃×20分)−仕上げセット(170℃×40分)の条件で加工し、さらにスパッタリング加工により編地表面に金属チタンを約400Åの厚さで付着し、編地を得た。この編地の性量は、104コース/インチ、56ウェール/インチ、厚みは0.690mmであった。さらにこの編地を用いてクッション側地を縫製し、内部に発泡スチロールビーズを詰め込み、ビーズクッションを作成した。このビーズクッションは編地のストレッチ性により、ソフトな風合いと適度な圧力分散性を兼ね備え、かつ編地の熱線遮蔽効果により、ひんやり感を感じられる物であった。
【0025】
(比較例1)
ポリウレタン弾性繊維を用いずにポリエステル繊維のみでトリコットを作成した以外は実施例1と同様にした。この編地の性量は、56コース/インチ、51ウェール/インチ、厚みは0.430mmであった。さらにこの編地を用いてクッション側地を縫製し、内部に発泡スチロールビーズを詰め込み、ビーズクッションを作成した。このビーズクッションは編地のストレッチ性が無いために風合いが硬く十分な圧力分散性を得られなかった。また、使用によりすぐにビーズの温度が上がり、使用快適性が損なわれた。
【0026】
(比較例2)
実施例1のポリウレタン弾性糸とポリエステルフィラメントを組合せて(38インチ径・28ゲージ)を使用してベア天竺の編地を編成した以外は実施例1に従い行ない経密度100コース/インチ、緯密度54ウェール/インチ、厚み0.510mmの編地を得た。さらにこの編み地を用いてクッション側地を縫製し、内部に発泡スチロールビーズを詰め込み、ビーズクッションを作成した。このビーズクッションは編地のストレッチ性により、ソフトな風合いと適度な圧力分散性はあるが、使用時にビーズのモレが発生した。また、使用によりすぐにビーズの温度が上がり、使用快適性が損なわれた。
【0027】
上記実施例および比較例でビーズクッションの側地として用いた編地の評価結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【発明の効果】
本発明によって、その編地のストレッチ性からもたらされるクッションの変形追随性により、非常に良好な風合いを示し、なおかつ編地の近赤外線の遮断によるひんやり感の感じられるビーズクッションの提供が可能となった。
Claims (1)
- 扁平度が3以上のポリエチレンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレートのいずれかのポリエステル繊維およびポリウレタン弾性繊維からなり、編地の表面及び/又は裏面にスパッタリング加工によりチタン金属膜が付着されてなるストレッチ性を有する下記特性(1)〜(5)を満たす編地を、側地として用いたビーズクッション。
(1)通気度≧30cc/sec・cm2
(2)近赤外線透過率≦20%
(3)縦方向及び横方向の伸長率≧50%
(4)伸長回復率≧80%
(5)近赤外反射率≧20%
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CN113652857B (zh) * | 2021-07-07 | 2023-05-09 | 广东欣丰科技有限公司 | 一种具有凉感功能的面料及其制备方法和应用 |
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- 2002-09-04 JP JP2002259223A patent/JP4228272B2/ja not_active Expired - Fee Related
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