JP4228155B2 - 空気清浄装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、室内に存在する悪臭ガスまたは汚染ガス等を除去する空気清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマ発生部としては、脱臭効率を考慮した特開平7−289621が提案されている。図15にその構成を示す。図において、1はオゾン・プラズマ処理装置、2は空気、3は送風ファン、4はメインダクト、5は前処理触媒、6は放電部、7は放電極、9は直通流、10は後処理触媒、11は循環流、12はリターンダクト、13は処理風量調整ダンパ、14は循環風量調整ダンパである。
【0003】
この構成により、プラズマにより発生した窒素ラジカル(オゾンを含む)がリターンダクト12を介して循環されるため、悪臭ガスとの接触時間が長くなり、効率の良い脱臭が可能になる。また、オゾンについては前処理触媒5、後処理触媒10で分解させることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のプラズマ発生部においては、オゾンの分解については、触媒か活性炭を用いることが一般的で、触媒の方が寿命的には有利であるが、触媒は表面活性が低下したり、過酸化物が形成されて、性能が低下することが考えられる。一方、放電極7の劣化については触れてないが、循環回路であると、オゾン濃度はかなり濃縮されると推測されるため、一般的な金属材料を用いた場合は腐食されやすい。
また、プラズマ発生部により発生したオゾンが高濃度になり、装置から漏れる可能性がある。また、金属の腐食やプラスチックを劣化させることが十分に考えられ、その対策としてより高価な材料を選択せざるを得なくなる。
【0005】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、ラジカル(オゾンを含む)の脱臭効果を発揮させながら、オゾン濃度を基準値以下に抑えるするために、活性炭や触媒による分解手段だけでなくオゾンの生成量を抑制しながら効率よく脱臭すると共にプラズマ電極の酸化腐食を防止する空気清浄装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる空気清浄装置は、空気取り入り口に設けられたフィルターと、プラズマ電極とこのプラズマ電極に対向して設けられる対向電極からなるプラズマ発生部と、このプラズマ発生部の後方に設けられた活性炭または触媒を使用した特殊フィルターと、送風ファンとを備えた空気清浄装置であって、
前記プラズマ発生部の電極に印加する電圧のオンオフを10分〜30分の等間隔で行う間欠運転とし、
運転開始から所定時間後に、前記電極に印加する電圧のオンとオフのそれぞれの時間を運転開始時の時間より短くし、かつ、運転開始時のオンとオフの時間による間欠運転とした場合より臭気濃度の減少が大きくなるような間欠運転とする間欠運転モードを備えたものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
プラズマ発生部を有する空気清浄装置は、一般に空気取り入り口に設けられたフィルター、プラズマ電極とこのプラズマ電極に対向して設けられる対向電極からなるプラズマ発生部、このプラズマ発生部の後方に設けられた活性炭や触媒を使用した特殊フィルター及び送風ファンから構成される。そして、プラズマ発生部においてはプラズマ電極で発生したプラズマ状態により反応性に富むラジカル(酸素ラジカル、水酸基ラジカル等)が生成され、このラジカルが臭気の分子を分解する。このときにオゾンも発生し臭気の分子を分解する。特殊フィルターは分解途中の臭気分子を吸着し、ラジカルやオゾンにより引き続き分解を行う。また、特殊フィルターはプラズマ発生装置で発生したオゾンを分解する役割も持つ。
【0014】
ラジカル(オゾンを含む)の脱臭効果は、時間に対する臭気濃度の変化で表され、例えば、図1はタバコ臭の成分として代表的なアセトアルデヒドの脱臭効果、図2はシックハウス症候群の原因の一つとされるホルムアルデヒドの脱臭効果を示したものである。
アセトアルデヒドの場合は図1に示すように、臭気濃度は約10分までの間に急激に減少し、約30分以降は殆ど減少しない。ホルムアルデヒドの場合は図12に示すように、臭気濃度は約3分までの間に急激に減少し、約5分以降は殆ど減少しない。
【0015】
この他の臭気、たとえば、アンモニア、トルエンについてもほぼ同様である。
このようにプラズマによる脱臭の特徴として初期段階における脱臭効果が大きい。一方、プラズマ発生部で発生するオゾンの濃度は0.1ppm以下に規定されており、また、オゾンを少なくすることが電極の酸化腐食を少なくし、長期間の脱臭効果をもたらす。
従って、オゾンの分解を活性炭や触媒による分解手段に頼るだけでなく、オゾンの生成量を抑制しながら運転して、他のラジカルの脱臭効果を効率的に発揮させながら、オゾン濃度を基準値以下に抑えるようにするのが望ましい。
従って、図1、図2に示したように、臭気濃度の減少が大きい初期段階を主に連続運転し、それ以降は間欠運転を行うことが考えられる。
【0016】
そこで、空気清浄装置を連続運転した場合と間欠運転した場合について比較実験を行った。
実験では、1m3 のチャンバーに空気清浄装置を設置し、プラズマ発生部の電極には電圧5.5kVを印加し、特殊フィルターは用いず、運転パターンは図3(a)に示す10分ON、10分OFFと図3(b)に示す30分ON、30分OFFの間欠運転を行い、一定濃度のアセトアルデヒドを注入してアセトアルデヒドの臭気濃度とオゾン発生量の変化を調べた。
【0017】
上記の実験結果を図4、5により説明する。図4は時間と臭気濃度の関係を示す図、図5は図4におけるオゾン発生量の変化を示す図である。太い点線は10分ON、10分OFF、太い一点鎖線は30分ON、30分OFF、細線は連続運転の場合である。図4に示すように連続、間欠運転の場合でも臭気濃度は0分から30分の間に急激に減少し、臭気濃度の減少の大きさは、約50分までは連続、30分ON、30分OFF、10分ON10分OFF運転の順であるが、約50分以降はいずれも大体同じとなる。
このときのオゾンの総発生量は図5に示すように連続の場合が最も多く、30分ON、30分OFF、10分ON10分OFF運転の順に少ない。
【0018】
次に、連続運転と10分ON10分OFF運転で各々オゾンの総発生量が同じになるように、空気清浄装置出口のオゾン濃度は10分ON、10分OFFの場合が連続運転の2倍となるようにプラズマ発生部の電極に印加する電圧を変えた。すなわち、連続の場合は5.5KV、10分ON10分OFF運転の場合は6.2KVに変えて実験を行い臭気濃度の変化を調べた。
【0019】
この結果を図6により説明する。図6は時間に対する臭気濃度及びオゾン濃度の関係を示す図である。図において太線は10分ON、10分OFF運転の臭気濃度、細線は連続運転の臭気濃度、太い点線は10分ON、10分OFF時のオゾン濃度、細い点線は連続運転のオゾン濃度である。
図から10分ON、10分OFFの間欠運転の方が連続運転より臭気濃度の減少が大きい。このときの最大オゾン濃度は0.1ppm以下であった。
【0020】
以上の結果から、脱臭効果は10分までが大きく、それ以降は指数関数的に減少し、30分以上では連続運転も間欠運転も脱臭効果に大きな差がないことがわかる。また、30分以上運転すると、ユーザーが特殊フィルターを入れ忘れ、更に、温度が低くなったり相対湿度が低いときにはオゾン濃度が基準値を越える可能性がある。
従って、空気清浄機装置のプラズマ発生部の運転は10分〜30分の間隔の間欠運転を行うのが望ましい。
なお、実験はアセトアルデヒドの臭気について示しているが、他の臭気でも同様であった。
【0021】
以上のように、10分〜30分の間隔の間欠運転をすることにより、ラジカルの脱臭効果を発揮させなが、オゾンの発生量を抑制して効率よく脱臭することができる。
【0022】
実施の形態2.
脱臭を行う場合、臭気発生源が問題であり、一時的な臭気発生であれば、実施の形態1の間欠運転でよいが、悪臭発生源からの悪臭が連続発生する場合にはプラズマ発生部も連続運転でないと、対応できなくなる。このときの運転パターンは、悪臭を早く除去したいという要求から脱臭スピードが必要であり、プラズマ発生部の運転をできるだけ長くする。しかし、ある程度除去できれば、運転時間を短くし、停止間隔を多くして、オゾン発生量を抑えるようにすることが考えられる。本実施の形態は臭気が連続的に発生する場合について、間欠運転の間隔を変えて連続運転した場合と脱臭効果の比較を行ったものである。
【0023】
実験では、1m3 のチャンバーに空気清浄装置を設置し、プラズマ発生部の電極には電圧5.5kVを印加し、運転パターンは図7に示すように30分ON30分OFFを行った後に、10分ON、10分OFFの間欠運転を行った場合についてアセトアルデヒドの臭気濃度とオゾン発生量の変化を調べた。
【0024】
上記の実験結果を図8により説明する。図8は時間と臭気濃度の関係を示す図である。図において太線は30分ON、30分OFF運転時の臭気濃度、細線は10分ON、10分OFF運転時の臭気濃度、太い点線は30分ON、30分OFF運転時のオゾン濃度、細い線の点線は10分ON、10分OFF運転時のオゾン濃度である。
図に示すように初期の臭気濃度の減少(脱臭効果)は、30分ON、30分OFF運転の方が10分ON、10分OFF運転より大きいが、その後は、10分ON、10分OFF運転時の方が臭気濃度の減少が大きい。
オゾンの総発生量は30分ON、30分OFF運転の方が10分ON、10分OFF運転より大きいが、いずれも0.1ppm以下であった。
【0025】
以上のように、運転時間を初期を長くし、その後は短い間隔の間欠運転として、ラジカルの脱臭効果を発揮させながら、オゾンの発生量を抑制して効率よく脱臭することができる。
【0026】
なお、実験はアセトアルデヒドの臭気について示しているが、他の臭気でも同様であった。
また、図9に示すように、間欠運転の間隔を初期は長く、その後は段階的に短くしてもよい。
【0027】
実施の形態3.
空気清浄装置では、部屋の大きさ、部屋の空気の汚れ具合、清浄スピード等の要求に合わせて、風量をたとえば弱、中、強、急速の4段階等に変えられる。
そして、弱運転ですむような.あまり汚れてない部屋、狭い部屋等の場合には、短い間欠運転とし、早く臭気を取りたいとか部屋が大きい等の場合は、長い間欠運転とすることが考えられる。
本実施の形態は、風量を弱風運転と急速運転について脱臭効果の比較を行ったものである。
【0028】
実験では、1m3 のチャンバーに空気清浄装置を設置し、プラズマ発生部の電極には電圧5.5kVを印加し、風量を弱風の場合は0.5m3 /分、急速運転の場合は4m3 /分とした。そして、運転パターンはいずれも10分ON、10分OFFとした場合についてアセトアルデヒドの臭気濃度の変化を調べた。
【0029】
上記の実験結果を図10により説明する。図において太線は急速運転、細線は弱運転を示す。
図に示すように急速運転の場合は初期の臭気濃度が高い場合の脱臭効果が大きく、弱運転は臭気濃度が低くなってからの効果が大きい。また、弱風運転の場合は短い間隔の間欠運転でよく、強風運転の場合は、長い間隔の間欠運転でよいと推測される。
従って、風量に応じた間欠運転の望まし運転パターンは、例えば図11に示すようなものとなる。
図11(a)は風量が急速モードの場合であり、30分ON、30分OFFの間欠運転であり、図11(b)は風量が弱モードの場合であり、10分ON、10分OFFの間欠運転である。
【0030】
以上のように、風量に応じた間欠運転として、ラジカルの脱臭効果を発揮させながら、オゾンの発生量を抑制して効率よく脱臭することができる。
【0031】
実施の形態4.
本実施の形態はオゾンセンサを空気清浄装置に備え、オゾン濃度が0.1ppmを超えた場合に、間欠運転の間隔を変えるもので、例えば、図12に示すように30分ON、30分OFFで運転していた場合、オゾン濃度が0.1ppmを越えたときに10分間隔の運転を行う。
このようにして、ラジカルの脱臭効果を発揮させながら、オゾンの発生量を抑制して効率よく脱臭することができる。
【0032】
実施の形態5.
プラズマ発生部のオゾンの発生量は温度と湿度により変化する。図13はオゾン発生部における温度、湿度に対するオゾン濃度特性図であり、図に示すように、温度が高く湿度が高いほどプラズマ発生部のオゾン発生量が減少し、オゾンの自己分解速度も大きくなる。そして、温度が20℃から40℃になった場合は大体オゾン濃度が約1/2に減少する。従って、温度や湿度が高いときは間欠運転の運転時間を長くし、停止している時間を短くすることが可能となる。
【0033】
本実施の形態は温湿度に応じて間欠運転のモードを変えるものであり、温度センサ及び湿度センサを備え、検知した温度や湿度が高いときは間欠運転の運転時間を長くし停止している時間を短くするものである。
プラズマ発生部の温度が20℃から40℃になった場合に、大体オゾン濃度が約1/2に減少することは、プラズマ発生量も大体1/2に減少すると推測されるので、その分だけ運転時間を長くしないと減少する前と同じ脱臭効果が得られない。
従って、温湿度が高い場合は、例えば図14(a)に示すように、30分ON、15分OFFとし温湿度が低い場合は、図14(b)に示すように、15分ON、30分OFFの間欠運転とするのが望ましい。
【0034】
以上のように、温湿度に応じた間欠運転として、ラジカルの脱臭効果を発揮させながら、オゾンの発生量を抑制して効率よく脱臭することができる。
【0035】
【発明の効果】
この発明は、空気取り入り口に設けられたフィルターと、プラズマ電極とこのプラズマ電極に対向して設けられる対向電極からなるプラズマ発生部と、このプラズマ発生部の後方に設けられた活性炭または触媒を使用した特殊フィルターと、送風ファンとを備えた空気清浄装置であって、前記プラズマ発生部の電極に印加する電圧のオンオフを10分〜30分の等間隔で行う間欠運転とし、運転開始から所定時間後に、前記電極に印加する電圧のオンとオフのそれぞれの時間を運転開始時の時間より短くし、かつ、運転開始時のオンとオフの時間による間欠運転とした場合より臭気濃度の減少が大きくなるような間欠運転とする間欠運転モードを備えたものである。その結果、ラジカルの脱臭効果を発揮させながら、オゾンの生成量を抑制し効率よく脱臭することができ、また、電極の寿命を長くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 アセトアルデヒドの時間に対する臭気濃度変化を示す図である。
【図2】 ホルムアルデヒドの時間に対する臭気濃度変化を示す図である。
【図3】 この発明の実施の形態1の間欠運転モードを示す図である。
【図4】 この発明の実施の形態1における臭気濃度変化を示す図である。
【図5】 この発明の実施の形態1におけるオゾン濃度変化を示す図である。
【図6】 この発明の実施の形態1における臭気濃度とオゾン濃度変化を示す図である。
【図7】 この発明の実施の形態2の間欠運転モードを示す図である。
【図8】 この発明の実施の形態2における臭気濃度とオゾン濃度変化を示す図である。
【図9】 この発明の実施の形態2の間欠運転モードを示す図である。
【図10】 この発明の実施の形態3における臭気濃度変化を示す図である。
【図11】 この発明の実施の形態3の間欠運転モードを示す図である。
【図12】 この発明の実施の形態4の間欠運転モードと室内オゾン濃度変化を示す図である。
【図13】 この発明の実施の形態5に関する温度・湿度に対するオゾン濃度の変化を示す図である。
【図14】 この発明の実施の形態5の間欠運転モードを示す図である。
【図15】 従来のプラズマ発生部の構成図である。

Claims (2)

  1. 空気取り入り口に設けられたフィルターと、プラズマ電極とこのプラズマ電極に対向して設けられる対向電極からなるプラズマ発生部と、このプラズマ発生部の後方に設けられた活性炭または触媒を使用した特殊フィルターと、送風ファンとを備えた空気清浄装置であって、
    前記プラズマ発生部の電極に印加する電圧のオンオフを10分〜30分の等間隔で行う間欠運転とし、
    運転開始から所定時間後に、前記電極に印加する電圧のオンとオフのそれぞれの時間を運転開始時の時間より短くし、かつ、運転開始時のオンとオフの時間による間欠運転とした場合より臭気濃度の減少が大きくなるような間欠運転とする間欠運転モードを備えたことを特徴とする空気清浄装置。
  2. 前記所定時間後に、前記送風ファンの風量を運転開始時の風量より少なくする弱風運転モードを備えたことを特徴とする請求項1記載の空気清浄装置。
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