JP4227281B2 - 予約型のアクセス制御方式を用いた通信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信システムに関し、より特定的には、送信局と受信局とが伝送路を介してデータ通信可能に接続され、当該受信局が、当該送信局とのデータ通信に使用する帯域を、データ通信前に予約する通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、通信システムでは予約アクセス方法が採用される場合がある。以下、予約アクセス方法の一例として、「Splid−channel Reservation Multiple Access」(IEEE Trans. Commun., vol. COM−24, pp. 832−845 ,Aug. 1976)について、図16を参照して説明する。図16において、通信システムには、通信帯域を管理する主局121と、従局122および123とが収容される。以下、従局122および従局123が主局121にデータを送信する場合を例に採り上げる。
【0003】
従局122および123は、データを送信したい場合、まず最初に、予約用のチャネルを使って、リクエストパケット124および125を主局121に送信する。主局121は、リクエストパケット124および125を受信すると、データパケットの送信タイミングをスケジュールして、従局122および123に帯域を割り当てる。次に、主局121は、応答パケット126を作成して、応答用のチャネルに送信する。
【0004】
従局122および123は、この応答パケット126を受信および解析して、自身に割り当てられた帯域を知る。従局122および123は、自身に割り当てられた帯域を用いて、データを基に作成されたデータパケット127および128を主局121に送信する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上のSRMA(Splid−channel Reservation Multiple Access)では、データ通信の前には必ず帯域が予約される。つまり、帯域予約とデータパケットの通信とが繰り返される。
しかしながら、帯域予約では、リクエストパケット124および125と、応答パケット126の送受信が行われる。しかしながら、この2種類のパケットの送受信に必要な時間は、大きなオーバーヘッドとなり、かなりの帯域が消費されるという問題点があった。
【0006】
また、局122および123は、予約用のチャネルであれば、リクエストパケット124および125を自由に送出できる。したがって、リクエストパケット124および125は、同じタイミングで送出されると、通信衝突を起こす。
しかしながら、局121は、衝突したリクエストパケット124および125を正しく受信できないので、応答パケット126を生成し送信できない。したがって、局122および123は、リクエストパケットを再送信する必要があり、その結果、データの通信が遅れるという問題点があった。
【0007】
それ故に、本発明の目的は、帯域の予約に必要となる時間を削減して、帯域を効率的に利用できる通信システムを実現することである。
また、本発明の他の目的は、データが発生してから通信されるまでに必要な時間を短くできる通信システムを実現することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明は、送信局と受信局とが伝送路を介してデータ通信可能に接続され、当該受信局が、当該送信局とのデータ通信に使用する帯域を、データ通信前に予約する通信システムであって、
前記送信局は、送信すべきデータが発生すると、帯域の確保を要求するための予約要求パケットを前記受信局に送信し、
前記受信局は、
前記送信局からの予約要求パケットに応答して帯域を確保し、
確保された帯域を前記送信局に通知するための通信予約パケットを送信し、
前記送信局は、
発生したデータを基にデータパケットを生成し、
前記受信局からの通信予約パケットにより通知された帯域を用いて、生成したデータパケットを送信し、
前記受信局は、
前記送信局のために確保した帯域の有効期間を記憶し、
記憶された有効期間内には、前記送信局に対して通信予約パケットを自発的に繰り返し送信する。
【0009】
従来のSRMAでは、データ通信が行われる直前に必ず、予約要求パケットに相当するリクエストパケットと、通信予約パケットに相当する応答パケットの送受信(帯域予約)が行われる。
しかしながら、第1の発明では、受信局は、予約要求パケットを一度受信すると、有効期間内に限り、通信予約パケットを自発的かつ繰り返し送信する。つまり、送信局が予約要求パケットを一度送信するだけで、有効期間内に限り、自動的に帯域が当該送信局に割り当てられ続ける。以上のように、第1の発明では、予約要求パケットの送信回数が従来よりも少なくなり、オーバーヘッドを小さくできる。これによって、帯域を効率的に利用できる通信システムを実現できる。
【0010】
第2の発明は第1の発明に従属しており、前記送信局のために記憶された有効期間の初期値は予め定められており、
前記受信局はさらに、
所定のタイミングで、記憶された有効期間を短縮し、
前記送信局からのデータパケットを受信すると、記憶された有効期間を延長し、
予め定められた基準値と有効期間とが等しくなった時に、当該有効期間を削除し、
有効期間が記憶されている間に限り、前記送信局に通信予約パケットを自発的にかつ繰り返し送信する。
【0011】
第2の発明では、受信局は、所定のタイミングで有効期間を短縮させつつ、データパケットを受信すると有効期間を延長する。したがって、送信局が多くのデータパケットを送れば、有効期間が長くなり、当該データパケットの送信回数が少なければ、有効期間が短くなっていく。これによって、送信局側が送信したデータ量に応じて、有効期間の長さを変えることができるので、通信システムの帯域をさらに効率的に利用できる。
【0012】
第3の発明は、第2の発明に従属しており、前記送信局はさらに、自身を特定する識別子を予約要求パケットに設定し、
前記受信局はさらに、
前記送信局からの予約要求パケットに設定された識別子を、有効期間の初期値と共に記憶し、
有効期間が削除される時に、当該有効期間と共に記憶された識別子を削除する。
第3の発明では、受信局は、送信局の識別子と有効期間とを一組にして記憶するので、通信システム内に送信局が複数存在する場合であっても、各送信局を一意に特定できる。これによって、通信システムは多数の局を収容できる。
【0013】
第4の発明は第1の発明に従属しており、前記受信局はさらに、前記送信局が予約要求パケットを送信することを許可するための要求受付パケットを、予め定められたタイミングで送信し、
前記送信局はさらに、前記受信局からの要求受付パケットに応答して、予約要求パケットを送信する。
第4の発明では、受信局が要求受付パケットを予め定められたタイミングで送信するので、送信局は、予約要求パケットを送信するタイミングを確実に知ることができる。
【0014】
第5の発明は第4の発明に従属しており、前記受信局はさらに、前記送信局が予約要求パケットを送信できる確率値を、要求受付パケットに設定し、
前記送信局はさらに、前記受信局からの要求受付パケットに付加された確率値に基づいて、予約要求パケットを送信する。
第5の発明では、送信局は、確率値に従って予約要求パケットを送信する。つまり、この確率値が低ければ、送信局は、予約要求パケットを送信し難くなる。逆に、確率値が高ければ、送信局は、予約要求パケットを伝送路上に送出しやすくなる。これによって、送信局からの予約要求パケットが伝送路上で衝突し難くなるので、データパケットの通信に入るまでに要する時間を、従来のSRMAよりも短くできる。
【0015】
第6の発明は第5の発明に従属しており、前記受信局が前記伝送路上での通信衝突を検出した時、要求受付パケットには、相対的に低い確率値が設定される。
第6の発明では、伝送路上で通信衝突が検出されると、確率値が相対的に低くなる。そのため、送信局は、予約要求パケットを送信し難くなる。これによって、少なくとも通信衝突の検出以降、予約要求パケットが伝送路上で衝突し難くなる。
【0016】
第7の発明は第5の発明に従属しており、前記受信局が前記伝送路からの予約要求パケットを正しく受信した時、要求受付パケットには、相対的に高い確率値が設定される。
【0017】
第8の発明は第5の発明に従属しており、予め定められた時間の間、前記伝送路からの受信信号が無い時に、要求受付パケットには、相対的に高い確率値が設定される。
受信局が予約要求パケットを正しく受信した場合、または、受信局が予め定められた時間の間、受信信号が無い場合、伝送路は輻輳状態に陥っていない。そこで、第7または第8の発明では、かかる場合には確率値を相対的に高くする。これによって、送信局は、予約要求パケットを送信しやすくなる。
【0018】
第9の発明は第2の発明に従属しており、前記受信局はさらに、有効期間の値に基づいて、通信予約パケットを送信する時間間隔を変更する。
第10の発明は第1の発明に従属しており、前記受信局はさらに、前記送信局が必要とする通信速度に基づいて、通信予約パケットを送信する時間間隔を変更する。
第9または10の発明では、有効期間の値に基づいて、または、送信局側が必要とする通信速度に応じて、通信予約パケットを送信する時間間隔が変更される。これによって、送信局から受信局へのデータの通信速度は可変になるので、より柔軟性の高い通信システムを提供できる。
【0019】
第11の発明は第1の発明に従属しており、前記受信局はさらに、予め定められた時間の間、前記伝送路からの受信信号が無い時に、通信予約パケットを送信可能と判断する。
第12の発明は第1の発明に従属しており、前記受信局はさらに、前記伝送路からデータパケットを受信した時に、通信予約パケットを送信可能と判断する。
第13の発明は第1の発明に従属しており、前記送信局はさらに、前記伝送路からデータパケットを受信した時に、データパケットを送信可能と判断する。
以上の第11〜第13の発明に記載されたタイミングでは、伝送路は比較的空いている。したがって、送信局または受信局から送信されたデータパケットまたは通信予約パケットは伝送路上で衝突し難くなる。
【0020】
第14の発明は第1の発明に従属しており、前記送信局はさらに、前記伝送路からデータパケットまたは通信予約パケットを受信した時に、予約要求パケットを送信可能と判断する。
【0021】
第15の発明は第1の発明に従属しており、前記送信局はさらに、予め定められた時間の間、前記伝送路からの受信信号が無い時に、予約要求パケットを送信可能と判断する。
第16の発明は第1の発明に従属しており、前記送信局はさらに、
データパケットの送信時を起算点として時間の経過を測定し、
起算点からの経過時間が、有効期間に関連する基準値と等しくなると、予約要求パケットを送信可能と判断する。
【0022】
従来のSRMAでは、予約要求パケットに相当するリクエストパケットは、予約用のチャネルを通じて送信されていた。
しかしながら、以上の第14〜第16の発明では、送信局は、送信すべきデータを有し、かつそれぞれの発明で記載したタイミングであっても、予約要求パケットを送信可能と判断する。つまり、本通信システムによれば、送信局は、SRMAとは違い予約用のチャネルが設定された時間帯になるまで待たなくても良い。これによって、送信局において、送信データの発生から、予約要求パケットを送信するまで(またはデータ通信の開始まで)の時間を短くすることができる。
また、以上の第14〜第16の発明に記載されたタイミングでは、なんらかのパケットの送受が終了していることとみなせるので、伝送路が輻輳状態に陥っている可能性が低い。かかるタイミングで予約要求パケットを送出することにより、さらに効率的に帯域を利用でき、さらに、送出された予約要求パケットが伝送路上で衝突し難い、通信システムを提供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の一実施形態に係る通信システムCSの全体構成を示すブロック図である。通信システムCSには、複数の通信局1(図示は、通信局1a ,1b および1c )が無線伝送路2を介して通信可能に接続される。
また、各通信局1には、互いに重複しない識別子IDが予め付されており、これによって、当該各通信局1は、通信システムCS内で一意に特定される。本実施形態では、通信局1a 〜1c には、識別子IDとして「a」〜「c」が割り当てられるとする。
【0024】
上記構成の通信システムCSが起動すると、複数の通信局1の間でデータ通信が行われる。以下、データを送信する通信局1を送信局1T と称し、それを受信する通信局1を受信局1R と称する。通信システムCSでは、データ通信の前に、受信局1R が、送信局1T とのデータ通信に使用する帯域を予約する。以下、帯域予約に必要となる通信手順を予約フェイズと称し、データ通信の手順をデータ通信フェイズと称する。
【0025】
以下、受信局1R と送信局1T との間の通信手順の典型例を、図2および図3のシーケンスチャートを参照して説明する。以下では、通信局1a が受信局1R として動作し、通信局1b および1c がそれぞれ送信局1T として動作する例について説明する。
【0026】
受信局1R は、予約フェイズにおいて、通信システムCSに収容された通信局1(受信局1R を除く)にデータ通信の要求があるかないかを問い合わせるために、1つの要求受付パケット101を組み立てる。より具体的には、受信局1R は、図4(a)に示すように、送信確率値Pに、送信元の識別子SIDとしての自局1R の識別子ID、パケット種別T、ユニークワードUWおよびフレームチェックシーケンスFCSを付加して、要求受付パケット101を組み立てる。
【0027】
ユニークワードUWは、要求受付パケット101を受信する通信局1でフレーム同期を確立するため、または当該通信局1が、その後に続く各情報(パケット種別T等)の位置を特定するために必要となる情報である。
パケット種別Tは、通信局1において受信パケットが要求受付パケット101であることを識別するために必要となる情報である。
送信元の識別子SIDとしては、要求受付パケット101を組み立てた受信局1R のものが設定される。
【0028】
送信確率値Pについては後述するものとし、ここではその説明を省略する。
フレームチェックシーケンスFCSは、要求受付パケット101を受信する各通信局1が、当該要求受付パケット101にエラーが生じているか否かを検出するための符号、または当該要求受付パケット101のエラーを訂正するための符号である。
【0029】
受信局1R は、以上の要求受付パケット101を無線伝送路2に送出して、自局を除く全通信局1に、データ通信の要求の有無を問い合わせる(シーケンスSeq11 )。
【0030】
全通信局1の内、受信局1R に送信すべきデータを有するもの(つまり、送信局1T )は、無線伝送路2から要求受付パケット101を受信し分解する。その後、送信局1T は、受信局1R とのデータ通信、および当該データ通信のための帯域の予約を要求するために、予約要求パケット102を1つ組み立てる。より具体的には、送信局1T は、図4(b)に示すように、データ通信に必要となる通信速度Rに、受信先の識別子DID、送信元の識別子SID、パケット種別T、ユニークワードUWおよびフレームチェックシーケンスFCSを付加して、予約要求パケット102を組み立てる。
【0031】
ユニークワードUWは、予約要求パケット102を受信する通信局1(つまり、受信局1R )でフレーム同期を確立するため、または当該受信局1R が、その後に続く各情報(パケット種別T等)の位置を特定するために必要な情報である。
パケット種別Tは、予約要求パケット102であることを示す情報である。パケット種別Tにより、受信局1R は、受信パケットが予約要求パケット102であることを識別することが可能となる。
送信元の識別子SIDとしては、予約要求パケット102を組み立てた送信局1T の識別子IDが設定される。
受信先の識別子DIDとしては、予約要求パケット102を受信する受信局1R の識別子IDが設定される。
通信速度Rは、送信局1T が、データ通信時において必要となる通信速度(つまり帯域)を示す情報である。
フレームチェックシーケンスFCSは、予約要求パケット102を受信する各通信局1が、当該予約要求パケット102にエラーが生じているか否かを検出するための符号、または当該予約要求パケット102のエラーを訂正するための符号である。
【0032】
送信局1T の一つである通信局1b は、以上の予約要求パケット102を、無線伝送路2を介して受信局1R に送信して、データ通信およびそれに必要な帯域の予約を当該受信局1R に要求する(シーケンスSeq21 )。
【0033】
受信局1R は、要求受付パケット101の組み立て/送出を、M回(Mは変数であって、0以上の整数)繰り返して(シーケンスSeq11 〜1M )、いくつかの送信局1T から、データ通信の要求を収集する。本説明では、受信局1R は、M個の要求受付パケット101の組み立て/送出により通信局1b および1c からデータ通信の要求を受け取ったとする。
上記要求収集の後、受信局1R は、データ通信に必要となる帯域を、今回要求を送出した各送信局1T のために確保して、これから送出する通信予約パケット103の総数N(Nは変数であって、0以上の整数)を決定する。ここで、総数Nは、各送信局1T がデータ通信に必要とする帯域に関連して定められる。通信システムCSの起動直後においては、総数Nは、予約要求パケット102を送信した送信局1T が必要とするそれぞれの通信速度Rを保証できる値であることが好ましい。ただし、送信局1T はそれぞれ、自身が必要とする通信速度Rを自由に受信局1R に要求できるので、決定された総数Nは、すべての送信局1T が必要とする通信速度Rを保証できない場合もありうる。
【0034】
また、本願発明の1つの特徴は、受信局1R が送信局1T に帯域を確保すると、当該各送信局1T 毎に有効期間VPという情報を作成する点である。有効期間VPは、各送信局1T に割り当てられた帯域が有効である期間を示す値であり、その初期値はVP0 とする。本説明では、通信局1b および1c のために、初期値VP0bおよびVP0cを有する有効期間VPb およびVPc が作成されるとする(図2の矢印A参照)。
【0035】
受信局1R は、以上の予約フェイズが終了すると、データ通信フェイズに遷移して、確保した帯域を送信局1T に通知するために通信予約パケット103を1個組み立てる。より具体的には、受信局1R は、図4(c)に示すように、有効期間VPに、パケット種別T、ユニークワードUWおよびフレームチェックシーケンスFCSを付加して、通信予約パケット103を組み立てる。
ここで注意を要するのは、通信予約パケット103には、その長さをより短くする観点から、送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDが設定されない点である。このように送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDが通信予約パケット103に設定されなくとも、当該通信予約パケット103は唯一の送信局1T により受信される。かかる通信予約パケット103の組み立て方については図7のステップS63を参照して後述するので、ここではその説明を省略する。
【0036】
ユニークワードUWは、通信予約パケット103を受信する通信局1(つまり、送信局1T )が、その後に続く各情報(パケット種別T等)の位置を特定するため等に必要な情報である。
パケット種別Tは、通信予約パケット103を特定するための情報である。このパケット種別Tにより、送信局1T は、受信パケットが通信予約パケット103であることを識別することが可能となる。
通信予約パケット103には、有効期間VPが設定される。これによって、送信局1T は、受信局1R 側で更新される有効期間VPの値を得ることができ、当該有効期間VPが切れているか否かを判断すること等が可能となる。
フレームチェックシーケンスFCSは、通信予約パケット103を受信する各通信局1が、当該通信予約パケット103にエラーが生じているか否かを検出するための符号、または当該通信予約パケット103のエラーを訂正するための符号である。
【0037】
以上の通信予約パケット103は、受信局1R によって無線伝送路2に送出され、該当する1台の送信局1T によって受信され分解される(シーケンスSeq31 )。本説明では、今回の通信予約パケット103は、通信局1b に送信されるとする。
【0038】
送信局1T は、送信データを予め定められたサイズ毎に分割して、いくつかのデータブロックDBを生成する。送信局1T は、通信予約パケット103の受信に応答して、1つのデータブロックDBを受信局1R に送信するために、データパケット104を組み立てる。より具体的には、送信局1T は、図4(d)に示すように、1つのデータブロックDBに、パケット種別T、ユニークワードUWおよびフレームチェックシーケンスFCSを付加して、データパケット104を組み立てる。
【0039】
ユニークワードUWは、データパケット104を受信する通信局1(つまり、受信局1R )が、その後に続く各情報(パケット種別T等)の位置を特定するため等に必要な情報である。
パケット種別Tは、データパケット104であることを特定する情報であり、これによって、受信局1R は、受信パケットがデータパケット104であることを識別する。
フレームチェックシーケンスFCSは、データパケット104を受信する各通信局1が、当該データパケット104にエラーが生じているか否かを検出するための符号、または当該データパケット104のエラーを訂正するための符号である。
ここで注意を要するのは、データパケット104もまた、通信予約パケット103と同様に、送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDを含まない点である。このように送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDがデータパケット104に設定されなくとも、当該データパケット104は唯一の受信局1R により受信される。かかるデータパケット104の組み立て方については図11のステップS143を参照して後述するので、ここではその説明を省略する。
【0040】
以上のデータパケット104は、送信局1T により無線伝送路2に送出され、受信局1R により受信および分解される(シーケンスSeq41 )。本説明では、今回のデータパケット104は通信局1b により送出されるとする。
【0041】
受信局1R は、通信予約パケット103の送出をN回繰り返して(シーケンスSeq31 〜3N )、各送信局1T からデータパケット104を受け取り、分解する。受信局1R は、かかるデータパケット104の受信状況に応じて、当該データパケット104を送信した送信局1T の有効期間VPを更新する。より具体的には、データパケット104が送信されてこなかった場合、受信局1R は、これを送信するはずであった送信局1T の有効期間VPを短縮する。逆に、データパケット104が送信されてきた場合、受信局1R は、その送信元である送信局1T の有効期間VPを延長する。
【0042】
例えば、通信局1b は、シーケンスSeq31 で送信された通信予約パケット103に応答して、データパケット104を受信局1R に送信している(シーケンスSeq41 )。かかる場合、受信局1R は、通信局1b の有効期間VPb を延長する(図2の矢印B参照)。
また、シーケンスSeq32 では、通信予約パケット103が通信局1c に送信されたとする。しかし、受信局1R は、何らかの理由で、通信局1c からのデータパケット104を受信できなかったとする。かかる場合、受信局1R は、通信局1c の有効期間VPc を短縮する(図2の矢印C参照)。
【0043】
以上のよりデータ通信フェイズが終了する。ここで、図2に示すように、本通信システムCSでは、予約フェイズおよびデータ通信フェイズの組み合わせを、単位パケットフレームPFと称することとする。この最初の単位パケットフレームPFに続く、受信局1R と送信局1T との通信手順は図3に示される。
【0044】
図3において、受信局1R は、最初のデータ通信フェイズが終了すると、予約フェイズに遷移して、これから送出する要求受付パケット101の個数Mを決定する。その後、受信局1R は、1つの要求受付パケット101を組み立てて無線伝送路2に送出するという動作を繰り返して(シーケンスSeq51 〜Seq5M )、再度、送信局1T が有するデータ通信の要求を収集する。その後、受信局1R は、データ通信に必要となる帯域を、今回予約要求パケット102を送信した送信局1T 、および現在有効期間VPが設定されている送信局1T のために確保して、これから送出する通信予約パケット103の総数Nを決定する。今回の総数Nは、通信システムCSの起動直後の場合と異なり、今回予約要求パケット102を送信した送信局1T 、および現在有効期間VPが設定されている送信局1T のそれぞれが必要とする通信速度Rを保証できる値であることが好ましい。
【0045】
また、受信局1R は、今回の予約フェイズで新たに要求を送出した各送信局1T のために有効期間VPという情報を作成する(図3の矢印D参照)
以降、上述と同様に、受信局1R および送信局1T の間では、通信予約パケット103およびデータパケット104にやりとりにより、データ通信が行われる。通信システムCS内では、以上の予約フェイズおよびデータ通信フェーズからなる単位パケットフレームPFが繰り返される。
【0046】
上述したように有効期間VPは延長または短縮されるので、ある送信局1T からデータパケット104が何回か送信されてこなければ、当該送信局1T の有効期間VPはやがて切れることとなる(つまり、予め定められた基準値VPREF と等しくなる)。受信局1R は、有効期間VPが基準値VPREF と等しくなると、当該有効期間VPが割り当てられた送信局1T のために確保した帯域を解放し、次回のデータ通信フェイズにおいて、当該送信局1T のための通信予約パケット103を組み立てない(図3の矢印E参照)。言い換えれば、受信局1R は、有効期間VPが基準値VREF と等しくなるまでは、通信予約パケット103を自発的に組み立てて、送信局1T に送信する。
【0047】
図3の例では、通信局1c は、受信局1R から通信予約パケット103を受信しても(シーケンスSeq62 参照)、データパケット104を送信しない。そのため、通信局1c の有効期間VPが基準値VPREF と等しくなり(矢印D参照)、その結果、受信局1R は、それ以降、通信局1c に通信予約パケット103を送信しない(例えば、3回目の単位パケットフレームPF参照)。
【0048】
以上、本通信システムCSにおける通信手順の典型例を説明したが、当該通信を実現するための典型的な構成として、各通信局1は、図1に示すように、通信制御部11と、カウンタ12と、記憶部13と、送信部14と、受信部15とを備える。なお、図1には、図示の都合上、通信局1a および1b の内部構成のみが示されている。
ここで、以下の説明では、受信局1R および送信局1T の構成を明確に区別するために、受信局1R の構成には、「R」という小さな添え字を参照番号の右側に付す。例えば、受信局1R の通信制御部11は、通信制御部11R と表記する。一方、送信局1T の構成には、「T」という小さな添え字を参照番号の右側に付す。例えば、送信局1T の記憶部13は、記憶部13T と表記する。
【0049】
まず、図5を参照して受信局1R の処理を詳細に説明する。通信制御部11R は、送信確率値P(Pは0≦P≦1を満たす数)を初期値P0 に設定する(ステップS1)。初期値P0 は、通信システムCSの設計要件に基づいて定められる。送信確率値Pに関しては、図9のステップS134およびS135を参照して後述するので、ここではその説明を省略する。
次に、通信制御部11R は、これから送信する要求受付パケット101の個数Mを初期値M0 に設定する(ステップS2)。初期値M0 は、通信システムCSの設計要件に基づいて定められる。
【0050】
次に、通信制御部11R は予約フェイズの処理を行う(ステップS3)。図6は、ステップS3の詳細な処理手順を示すフローチャートである。図6において、通信制御部11R は要求受付パケット101を1つ組み立てる。この時、通信制御部11R は、現在の送信確率値Pに、送信元の識別子SID(つまり、自局1R の識別子ID)と、パケット種別T、ユニークワードUW、フレームチェックシーケンスFCSを付加する。要求受付パケット101(図4(a)参照)は、送信部14R を通じて無線伝送路2に送出される(ステップS31)。
【0051】
次に、通信制御部11R は、受信部15R を通じて無線伝送路2上から信号(パケット101〜104のいずれか)を受信したか否かを判断する(ステップS32)。通信制御部11R は、受信信号がある場合には、当該受信信号に含まれるユニークワードUWを検出できるか否かにより、現在無線伝送路2上で通信衝突が起こっているか否かを判断する(ステップS33)。一方、通信制御部11R は、受信信号がない場合には、後述するステップS38に進む。
【0052】
通信制御部11R は、ステップS33でユニークワードUWを検出した場合、現在無線伝送路2では通信衝突が起こっていないと判断して、ステップS34に進み、受信パケットの分解を行う。一方、通信制御部11R は、ユニークワードUWが壊れている等の理由で、これを検出できない場合、現在無線伝送路2で通信衝突が起こっていると判断して、後述するステップS37に進む。
【0053】
ステップS34(パケットの分解処理)において、通信制御部11R は、受信信号が自局宛の予約要求パケット102か否かを判断する。より具体的には、通信制御部11R は、検出したユニークワードUWを基に、パケット種別Tを取り出す。パケット種別Tが予約要求パケット102(図4(b)参照)を示す場合、通信制御部11R は、受信先の識別子DIDを取り出して、自局1R のものか否かを判断する。
【0054】
通信制御部11R は、自局宛の予約要求パケット102を受信した場合、そこから通信速度Rおよび送信元の識別子SIDを取り出す。また、通信制御部11R は、その初期値がVP0 の有効期間VPを生成する。通信制御部11R は、通信速度Rと、識別子SIDと、有効期間VPとを一組にして、図11(a)に示すように記憶部13R に登録して(ステップS35)、ステップS36に進む。
【0055】
ところで、本通信システムCSでは、他の通信局1同士がデータ通信を行っている場合があるので、ステップS34において、通信制御部11R は、他の通信局1の識別子IDを取り出す場合がある。さらに、ステップS34で自局の識別子IDが取り出されたとしても、パケット種別Tが予約要求パケット102を示していない場合もある。かかる場合、通信制御部11R は、受信信号を破棄して、直接ステップS36に進む。
【0056】
ステップS34が実行される場合には、パケット101〜104のいずれかが通信制御部11R により正常に受信されている。したがって、現在、無線伝送路2は、通信衝突が相対的に起こりにくい状況にあるとみなすことができる。そこで、通信制御部11R は、現在の送信確率値Pに、予め定められた値ΔP1 (ΔP1 は0<ΔP1 <1を満たす数)だけ加算する(ステップS36)。これによって、次回に組み立てられる要求受付パケット101には、今回のものよりも大きな送信確率値Pが設定される。
【0057】
再度ステップS33を参照する。通信制御部11R がユニークワードUWを検出できない場合、現在、無線伝送路2では通信衝突が起こりやすい状況にある。かかる場合、通信制御部11R は、現在の送信確率値Pに、予め定められた値ΔP2 (ΔP2 はΔP2 <1を満たす数。ΔP1 =ΔP2 でもよい)だけ減算する(ステップS37)。これによって、次回の要求受付パケット101には、今回のものよりも小さな送信確率値Pが設定される。
【0058】
再度ステップS32を参照する。通信制御部11R は、無線伝送路2上から受信信号を検出できなかった場合、要求受付パケット101の送出から所定時間TPRE1が経過したか否かを判断する(ステップS38)。
時間TPRE1は、自局宛の予約要求パケット102が受信局1R に到着しているとみなせる時間である。より具体的には、時間TPRE1は、要求受付パケット101が受信局1R から送信局1T へと転送されるのに必要な時間と、送信局1T が要求受付パケット101の受信後予約要求パケット102を無線伝送路2に送出するまでに必要な時間と、予約要求パケット102が送信局1T から受信局1R へと転送されるのに必要な時間との総和に、必要な時間余裕を加えた時間である。
【0059】
通信制御部11R は、時間TPRE1が経過していない場合、自局宛の予約要求パケット102が送られてくる可能性があるので、ステップS32に戻って、無線伝送路2上から信号を受信することを待機する。
一方、所定時間TPRE1が経過している場合、通信制御部11R は、自局宛の予約要求パケット102が送られてくる可能性がないと判断して、ステップS36に進む。さらに、無線伝送路2上では時間TPRE1の間、信号がなかったこととなるので、当該無線伝送路2は通信衝突が起こりにくい状況にある。そのため、通信制御部11R は、現在の送信確率値Pに、予め定められた値ΔP1 (ΔP1 はΔP1 ≦1を満たす数)だけ加算する(ステップS36)。
【0060】
通信制御部11R は、上述のステップS36またはS37を行うと、図5の予約フェイズ(ステップS3)から抜けて、要求受付パケット101をM個送信したか否かを判断する(ステップS4)。最初の予約フェイズのステップS4では、要求受付パケット101をM0 個送信したか否かが判断される。
通信制御部11R は、要求受付パケット101をM個送信していない場合、再度、ステップS3の予約フェイズを行って、新しい要求受付パケット101を無線伝送路2に送出する。一方、通信制御部11R は、それをM個送信した場合、ステップS5に進む。
【0061】
ステップS5に進んだ時点で、通信制御部11R は、いくつかの送信局1T からの予約要求パケット102を受信しており、図11(b)に示すように、各送信局1T 毎に、通信速度R、識別子IDおよび有効期間VPの組み合わせを記憶部13R に登録している。通信制御部11R は、現在登録された送信局1T 毎に、これから送信する通信予約パケット103の送信頻度TFを決定する(ステップS5)。送信頻度TFは、より具体的には、単位パケットフレームPFの区間内に、1つの送信局1T に向けて通信予約パケット103をいくつ送信するかを示す値である。したがって、各送信局1T 毎に決定した送信頻度TFの総和が、図2に示す総数Nとなる。各送信局1T 毎の送信頻度TFもまた、図11(c)に示すように記憶部13R に登録される。
【0062】
次に、通信制御部11R はデータ通信フェイズの処理を行う(ステップS6)。図7は、ステップS6の詳細な処理の手順を示すフローチャートである。
図7において、まず、通信制御部11R は、記憶部13R (図11参照)から一つの識別子IDを選択する(ステップS61)。これによって、通信制御部11R は、今回のパケットの送信先を選択する。
【0063】
次に、通信制御部11R は、選択した送信局1T に送信すべきデータがあるかないかを判断する(ステップS62)。ステップS62での判断は、通信制御部11R が上位層のアプリケーション等から、ステップS61で選択した送信局1T に送信すべきデータを受け取っているか否かにより行われる。
通信制御部11R は、選択した送信局1T への送信データがなければ、ステップS63に進み、それがあれば、後述するステップS610に進む。
【0064】
通信制御部11R は、ステップS63において、ステップS61で選択した識別子IDと、それと同じ組の有効期間VPを、記憶部13R から取り出す。送信局1T の識別子IDは、これから送信する通信予約パケット103の受信先の識別子DIDとして使用される。さらに、通信制御部11R は、自局1R の識別子ID、および通信予約パケット103を示すパケット種別Tを得る。受信局1R の識別子IDは、これから送信する通信予約パケット103の送信元の識別子SIDとして使用される。
【0065】
通信制御部11R は、パケット種別T、送信元の識別子SID、受信先の識別子DIDおよび有効期間VPを基に、第1のCRC(Cyclic Redundancy Check)値を生成する。第1のCRC値は、パケット種別T、送信元の識別子SID、受信先の識別子DIDおよび有効期間VPの内容の関数として、予め定められた生成多項式から計算される。第1のCRC値は、今回組み立てる通信予約パケット103に設定すべきフレームチェックシーケンスFCSとして使用される。
【0066】
通信制御部11R は、有効期間VPに、パケット種別Tと、ユニークワードUWと、今回生成したフレームチェックシーケンスFCSを付加して、通信予約パケット103(図4(c)参照)を組み立てる。ここで注意を要するのは、上述したように、通信予約パケット103には送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDが設定されない点である。通信予約パケット103は、送信部14R を通じて無線伝送路2に送出され(ステップS63)、送信局1T により受信される。
【0067】
次に、通信制御部11R は、受信部15R を通じて、無線伝送路2上から自局宛てのデータパケット104(図4(d)参照)を受信したか否かを判断する(ステップS64)。ステップS64での受信動作は、図10のステップS143を参照して後で説明するので、ここではその説明を省略する。
【0068】
通信制御部11R は、自局宛てのデータパケット104を受信した場合には、今回選択した識別子IDと同じ組の有効期間VPを延長する(ステップS65)。本実施形態では、ステップS65の一例として、通信制御部11R は、現在の有効期間VPの値から、予め定められた値ΔVP1(ΔVP1 は任意の数)だけデクリメントして、有効期間VPを延長する。
その後、通信制御部11R は、図5のデータ通信フェイズ(ステップS6)から抜けて、ステップS7に進む。
【0069】
一方、通信制御部11R は、ステップS64において、自局宛てのデータパケット104を受信できなかった場合には、通信予約パケット103を送出後、所定時間TPRE2が経過したか否かを判断する(ステップS66)。
【0070】
時間TPRE2は、通信予約パケット103の受信先からのデータパケット104が受信局1R に到着しているとみなせる時間である。より具体的には、時間TPRE2は、通信予約パケット103が受信局1R から送信局1T へと転送されるのに必要な時間と、送信局1T が通信予約パケット103の受信後データパケット104を無線伝送路2に送出するまでに必要な時間と、データパケット104が送信局1T から受信局1R へと転送されるのに必要な時間との総和に、必要な時間余裕を加えた時間である。
【0071】
通信制御部11R は、所定時間TPRE2が経過していない場合には、ステップS64に戻って、データパケット104が到着することを待機する。
一方、所定時間TPRE2が経過している場合、通信制御部11R は、通信予約パケット103の受信先がデータパケット104を送信しなかったとみなすことができるので、今回選択した識別子IDと同じ組の有効期間VPを短縮する(ステップS67)。本実施形態では、ステップS67の一例として、通信制御部11R は、現在の有効期間VPの値から、予め定められた値ΔVP2 (ΔVP2 は任意の数)だけインクリメントして、有効期間VPを短縮する。
【0072】
次に、通信制御部11Rは、今回短縮した有効期間VPと、予め定められた基準値VPREF とを比較する(ステップS68)。本実施形態では、有効期間VPは、値ΔVP1 のデクリメントにより延長され、値ΔVP2 のインクリメントにより短縮される。かかる場合には、基準値VPREF は、VP0 <VPREF を満たす必要がある。
通信制御部11R は、有効期間VPが基準値VPREF 以上でない場合、今回選択した送信局1T の帯域を確保し続けるために、図5のデータ通信フェイズ(ステップS6)から抜けて、ステップS7に進む。
一方、有効期間VPが基準値VPREF 以上の場合、通信制御部11R は、今回選択した送信局1T の帯域を解放するために、当該送信局1T の識別子IDならびにそれと同じ組の通信速度R、有効期間VPおよび送信頻度TFを記憶部13R から削除する(ステップS69)。その後、通信制御部11R は、ステップS6から抜けて、ステップS7に進む。
【0073】
ここで、再度、ステップS62を参照する。受信局1R では、送信局1T からデータを受信している最中に、当該送信局1T に送信すべきデータが発生する場合がある。そのため、通信制御部11R は、ステップS62において送信局1T への送信データがある場合には、当該送信データをいくつかのデータブロックDBに分割して、ステップS610に進む。
【0074】
次に、通信制御部11R は、データパケット104のパケット種別Tと、自局1R の識別子IDと、送信局1T の識別子IDと、1つのデータブロックDBを得る。ここで、自局1R の識別子IDおよび送信局1T の識別子IDは、今回組み立てるデータパケット104の送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDとして使用される。
通信制御部11R は、パケット種別T、送信元の識別子SID、受信先の識別子DIDおよび有効期間VPを基に、今回組み立てるデータパケット104のフレームチェックシーケンスFCSの第1のCRC値を生成する。第1のCRC値は、パケット種別T、送信元の識別子SID、受信先の識別子DIDおよび有効期間VPの内容の関数を、上述した生成多項式に代入して計算される。
【0075】
その後、通信制御部11R は、データパケット104を組み立てる。ここで注意を要するのは、通信制御部11R は、1つのデータブロックDBに、パケット種別T、ユニークワードUWおよびフレームチェックシーケンスFCSを付加して、図4(d)に示すようなフレーム構成のデータパケット104を組み立てる。ただし、データパケット104の長さを短くする観点から、データパケット104には受信先の識別子DIDおよび送信元の識別子SIDは設定されない。
通信制御部11R は、組み立てたデータパケット104を送信部14R を介して無線伝送路2に送出し(ステップS610)、上述のステップS64に進む。
【0076】
通信制御部11R は、ステップS6から抜けると、通信予約パケット103をN個送信したか否かを判断する(ステップS7)。
通信制御部11R は、それをN個送信していない場合、ステップS6を再度実行して、新しい通信予約パケット103を無線伝送路2に送出する。
一方、通信制御部11R は、それをN個送信したい場合、ステップS8に進む。
【0077】
ステップS8に進んだ時点で、単位パケットフレームPF(図2または図3参照)が構成される。通信制御部11R は、次回の単位パケットフレームPFで送信する要求受付パケット101の個数Mを決定する(ステップS8)。個数Mは、どのような方法で決定されても良いが、現在使用されていない帯域の量に基づいて決定されることが好ましい。つまり、現在使用されていない帯域が多ければ多いほど、個数Mはより大きな値に選ばれることが好ましい。
【0078】
次回の個数Mが決定されると、通信制御部11R は、ステップS3に戻って、上述した処理手順に従って、予約フェイズおよびデータ通信フェイズを行って、送信局1T からのデータを受信する。
【0079】
次に、図8のフローチャートを参照して、送信局1T の処理を詳細に説明する。図8において、通信制御部11T は、上位層のアプリケーションまたはインタフェイスから、ある通信局1(つまり、受信局1R )に送信すべきデータと、当該データを受信局1R に送信するために必要な通信速度Rと、当該受信局1R の識別子IDが送られてくると(ステップS11)、ステップS12に進む。
【0080】
次に、通信制御部11T は、カウンタ12T の値Cを初期値C0 に設定する(ステップS12)。カウンタ12Tの値Cは、受信局1R 側で管理される有効期間VPとほぼ同じ値を示す。
また、ステップS11の直後では、受信局1R は、送信局1T のために帯域を確保していない。したがって、現時点では、送信局1T の有効期間VPは、基準値VPREF に達していて切れている状態であるとみなせる。そのため、初期値C0 は有効期間VPの基準値VPREF 以上であることが好ましい。より好ましくは、初期値C0 は、基準値VPREF と同じ値である。
【0081】
次に、通信制御部11T は、予約フェイズの処理を行う(ステップS13)。図9は、ステップS13の詳細な処理の手順を示すフローチャートである。図9において、通信制御部11T は、現在のカウンタ12T の値Cと、予め内部に保持する基準値CREF とを比較する(ステップS131)。基準値CREF は、受信局1R 側のVPREF と同じ値であることが好ましい。
通信制御部11T は、現在の値Cが基準値CREF 以上でない場合、自局1T の帯域の有効期間VPが生きていると判断して、以降の処理(ステップS132〜S137)をスキップして、ステップS14のデータ通信フェイズに進む。
【0082】
一方、通信制御部11T は、現在の値Cが基準値CREF 以上の場合、受信局1R への送信データが発生した直後か、自局1T に一度割り当てられた帯域が当該受信局1R により解放されたとみなして、無信号区間TPNSの検出を開始する(ステップS132)。無信号区間TPNSは、通信システムCSの設計要件に基づいて選ばれるが、より具体的には、ある要求受付パケット101を受信してから、次の要求受付パケット101が送信局1T へと転送されるのに必要な時間と、必要な時間余裕との和である。
【0083】
次に、通信制御部11T は、受信局1R の要求受付パケット101(図4(a)参照)を、無線伝送路2および受信部15T を通じて受信したか否かを判断する(ステップS133)。
以下、ステップS133での受信動作を説明する。まず、通信制御部11T は、無線伝送路2から信号を受信すると、当該受信信号に含まれるユニークワードUWを検出する。その後、通信制御部11T は、ユニークワードUWの後に続くパケット種別Tを取り出す。パケット種別Tが要求受付パケット101であることを示す場合に、通信制御部11T は、送信元の識別子SIDを取り出す。通信制御部11T は、送信元の識別子SIDが、ステップS11で得た受信局1R の識別子IDと一致する場合、受信局1R の要求受付パケット101を受信したと判断して、ステップS134に進む。一方、受信局1R の要求受付パケット101でないと判断した場合、伝送信号を破棄した後、後述するステップS137に進む。
【0084】
ステップS134において、通信制御部11T は、乱数RN(乱数RNは、0<RN≦1を満たす数)を発生する。さらに、通信制御部11T は、今回受信した要求受付パケット101から送信確率値Pを取り出す(ステップS134)。
次に、通信制御部11T は、ステップS134で得た乱数RNと送信確率値Pとを比較して、当該乱数RNが所定の条件を満たすか否かを判断する(ステップS135)。通信制御部11T は、所定の条件を満たす場合には、予約要求パケット102の送信を許可されたとして、ステップS136に進み、そうでない場合には、ステップS132に戻って、無信号区間TPNSの検出を開始した後、新しい要求受付パケット101が送信されてくることを待機する。
【0085】
以下、ステップS135での判断動作の一例を説明する。送信確率値Pは、送信局1T が受信した要求受付パケット101に応答して予約要求パケット102を送信できる確率である。例えば、送信確率値Pとしての0.3は、送信局1T が30%の確率で予約要求パケット102の送信を許可されることを意味する。また、乱数RNは、0.1、0.2、…1のいずれかの数をとるとする。かかる場合、通信制御部11T は、発生した乱数RNと送信確率値Pとを比較して、RN≦Pを満たすか否かを判断する。RN≦Pを満たす場合、通信制御部11T は、予約要求パケット102の送出が許可されたとして、ステップS136に進む。一方、RN≦Pを満たさない場合、通信制御部11T は、ステップS132に戻る。
【0086】
ステップS136において、通信制御部11T は、ステップS11で得た通信速度Rに、受信先の識別子DIDとしてステップS11等で得られる受信局1R の識別子ID、送信元の識別子SIDとしての自身の識別子ID、予約要求パケット102を示すパケット種別Tと、ユニークワードUWと、フレームチェックシーケンスFCSとを付加して、予約要求パケット102(図4(b)参照)を組み立てて、送信部14T を介して無線伝送路2に送出する(ステップS136)。その後、通信制御部11T は、図8の予約フェイズ(ステップS13)から抜けて、ステップS14に進む。
なお、無線伝送路2に送出された予約要求パケット102は、受信局1R によって受信される。この受信に応答して、受信局1R は、図6のステップS35で説明した処理を行う。
【0087】
ここで、再度ステップS133を参照する。通信制御部11T は、要求受付パケット101を受信できなかった場合、無線伝送路2上で無信号区間TPNSを検出したか否かを判断する(ステップS137)。
【0088】
通信制御部11T は、無信号区間TPNSを検出した場合には、現在予約要求パケット102を送信可能なタイミングであるとみなして、ステップS136に進む。そして、通信制御部11T は、上述と同様にして予約要求パケット102を組み立てて、受信局1R に送信する(ステップS136)。その後、通信制御部11T は、図8の予約フェイズ(ステップS13)から抜けて、ステップS14に進む。
一方、通信制御部11T は、ステップS137で無信号区間TPNSを検出できなかった場合、現在予約要求パケット102を送信不可能であるとみなす。この場合、通信制御部11T は、ステップS132に戻って、無信号区間TPNSの検出を開始した後、新しい要求受付パケット101の受信を待機する。
【0089】
通信制御部11T は、予約フェイズ(図8のステップS13)を抜けると、データ通信フェイズの処理を行う(ステップS14)。図10は、ステップS14の詳細な処理の手順を示すフローチャートである。図10において、通信制御部11T は、無線伝送路2および受信部15T を通じて、受信局1R から自局1T に向けて送信された通信予約パケット103(図4(c)参照)を受信したか否かを判断する(ステップS141)。
【0090】
以下、ステップS141における受信動作は、本発明に特有のものであるため、図12(a)を参照して説明する。通信制御部11T は、無線伝送路2上の信号を検出すると、当該伝送信号に含まれるユニークワードUWを検出する。その後、通信制御部11T は、ユニークワードUWの後に続くパケット種別Tを取り出す(矢印Aを参照)。
【0091】
パケット種別Tが通信予約パケット103であることを示す場合に、通信制御部11T は、受信した通信予約パケット103から有効期間VPを取り出す(矢印Bを参照)。さらに、通信制御部11T は、予め保持する自局1T の識別子ID、およびステップS11等で得られる受信局1R の識別子IDを取り出す(矢印CおよびD参照)。通信制御部11T は、パケット種別T、受信局1R の識別子ID、自局1T の識別子IDおよび有効期間VPを、上述の生成多項式に代入して、判定用の第2のCRC値を生成する(矢印E参照)。
【0092】
通信予約パケット103のフレームチェックシーケンスFCS、つまり第1のCRC値は、ステップS63で述べたように、パケット種別T、送信元の識別子SID(つまり受信局1R の識別子ID)、受信先の識別子DID(つまり送信局1T の識別子ID)および有効期間VPから生成される。したがって、送信局1T が通信予約パケット103の正しい受信先であるならば、上述の第2のCRC値と、通信予約パケット103内の第1のCRC値とは一致する。両者が一致する場合、通信制御部11T は、今回受信した通信予約パケット103が自局宛てであると判定する。
【0093】
通信制御部11T は、ステップS141で自局宛の通信予約パケット103を受信できなかった場合、後述するステップS145に進むが、自局宛ての通信予約パケット103を受信した場合、カウンタ12T の値Cを、有効期間VPが示す値に更新して、カウンタ12T の値Cを、受信局1R で管理される有効期間VPの値と一致させる(ステップS142)。このようにして、カウンタ12T の値Cと、有効期間VPとの間で同期がとられる。
【0094】
次に、通信制御部11T は、データパケット104のパケット種別Tと、自局1T の識別子IDと、受信局1R の識別子IDと、1つのデータブロックDBを得る。ここで、自局1T の識別子IDおよび受信局1R の識別子IDは、今回組み立てるデータパケット104の送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDとして使用される。
通信制御部11R は、パケット種別T、送信元の識別子SID、受信先の識別子DIDおよび有効期間VPを基に、今回組み立てるデータパケット104のフレームチェックシーケンスFCSとして設定する第1のCRC値を生成する。第1のCRC値は、パケット種別T、送信元の識別子SID、受信先の識別子DIDおよび有効期間VPの内容の関数を、上述の生成多項式に代入して計算される。
【0095】
その後、通信制御部11T は、データパケット104を組み立てる。ここで注意を要するのは、通信制御部11T は、1つのデータブロックDBに、パケット種別T、ユニークワードUWおよびフレームチェックシーケンスFCSを付加して、図4(d)に示すようなフレーム構成のデータパケット104を組み立てる。ただし、データパケット104の長さを短くする観点から、そこには送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDは設定されない。
通信制御部11T は、組み立てたデータパケット104を送信部14T を介して無線伝送路2に送出する(ステップS143)。受信局1R は、データパケット104が到着すると、図7のステップS64の処理を行って、当該データパケット104を分解する。
【0096】
ここで、受信局1R におけるステップS64について、図12(b)を参照して説明する。通信制御部11R は、無線伝送路2上の伝送信号に含まれるユニークワードUWを検出した後、その後に続くパケット種別Tを取り出す(矢印Aを参照)。
【0097】
パケット種別Tにより受信パケットがデータパケット104であると判定されると、通信制御部11R は、ここからデータブロックDBを取り出す(矢印Bを参照)。さらに、通信制御部11R は、ステップS35等で得られる送信局1T の識別子ID、および予め保持する自局の識別子IDを取り出す(矢印CおよびD参照)。通信制御部11R は、パケット種別T、送信局1T の識別子ID、自局の識別子IDおよびデータブロックDBを、上述の生成多項式に代入して、判定用の第2のCRC値を生成する(矢印E参照)。
【0098】
データパケット104のフレームチェックシーケンスFCS、つまり第1のCRC値は、ステップS143で述べたように、パケット種別T、送信元の識別子SID(つまり送信局1T の識別子ID)、受信先の識別子DID(つまり受信局1R の識別子ID)およびデータブロックDBから生成される。したがって、受信局1R がデータパケット104の正しい受信先であるならば、作成した第2のCRC値と、データパケット104内の第1のCRC値とは一致する。両者が一致する場合、通信制御部11R は、今回受信したデータパケット104が自局宛であると判定して、図6のステップS63に進む。一方、通信制御部11R は、そうでない場合、ステップS64に進む。
【0099】
再度、図10を参照する。送信局1T は今回のステップS143でデータパケット104を送信したので、受信局1R 側では自局1T の有効期間VPが延長される。そのため、ステップS143の次に、通信制御部11T は、現在のカウンタ12T の値Cを更新する(ステップS144)。本実施形態では、受信局1R は、(VP−ΔVP)により有効期間VPは延長するので、通信制御部11T は、現在のカウンタ12T の値Cから、予め定められた値ΔCだけデクリメントする。ここで、送信局1T と受信局1R との間で有効期間VPを同期させるために、値ΔCは、値ΔVPと同値であることが好ましい。
【0100】
次に、通信制御部11T は、カウンタ12T の現在の値Cが基準値CREF 以上であるか否かを判定する(ステップS145)。
通信制御部11T は、値Cが基準値CREF 以上でなければ、自身の有効期間VPが生きていると判断し、データ通信フェイズの処理を続けるためにステップS141に戻る。
一方、通信制御部11T は、ステップS145で値Cが基準値CREF 以上であれば、データ通信フェイズの処理を続けても無意味であるため、図10のデータ通信フェイズ(ステップS14)から抜けて、図8のステップS15に進む。
【0101】
図10のステップS141を再度参照する。通信制御部11T は、ステップS141で受信信号が自局宛の通信予約パケット103でないと判定した時点で、ステップS146に進む。次に、通信制御部11T は、自局宛のデータパケット104(これはステップS610で送信される)を受信したか否かを判断する(ステップS146)。ステップS146における受信動作は、図7のステップS64と同様(図11(b)参照)であるため、その説明を省略する。
【0102】
通信制御部11T は、ステップS146でデータパケット104を受信した場合、上述したステップS143およびS144を行った後、図10のデータ通信フェイズ(ステップS14)から抜けて、図8のステップS15に進む。
一方、通信制御部11T は、データパケット104を受信できなかった場合、ステップS136で予約要求パケット102を送出から所定時間TPRE3が経過したか否かを判断する(ステップS147)。
【0103】
時間TPRE3とは、受信局1R からの通信予約パケット103が送信局1T に到着しているとみなせる時間である。より具体的には、時間TPRE3は、予約要求パケット102が送信局1T から受信局1R へと転送されるのに必要な時間と、受信局1R が予約要求パケット102を受信してから通信予約パケット103を無線伝送路2に送出するまでに必要な時間と、通信予約パケット103が受信局1R から送信局1T へと転送されるのに必要な時間との総和に、必要な時間余裕を加えた時間である。
【0104】
通信制御部11T は、所定時間TPRE3が経過していない場合、ステップS141に戻って、自局宛の通信予約パケット103が到着することを待機する。
一方、所定時間TPRE3が経過している場合、通信制御部11T は、受信局1R から届くはずの通信予約パケット103が到着しなかったとみなすことができる。かかる場合、受信局1R 側で自局1T の有効期間VPが短縮されると想定できるので、通信制御部11T は、ステップS148に進み、現在のカウンタ12T の値Cを更新する(ステップS148)。本実施形態では、受信局1R は(VP+ΔVP)より有効期間VPを短縮するので、通信制御部11T は、現在のカウンタ12T の値Cから値ΔCだけインクリメントする。
以上のステップS148が終了すると、通信制御部11T は、図10のデータ通信フェイズ(ステップS14)から抜けて、図8のステップS15に進む。
【0105】
ステップS15において、通信制御部11T は、受信局1R に送信すべきデータブロックDBが残っているか否かを判断する(ステップS15)。通信制御部11T は、データブロックDBが残っている場合には、ステップS13に戻って、図9の処理を再度実行するが、そうでない場合には、ステップS11に戻って、新しい送信データ等が送られてくることを待機する。
【0106】
以上が受信局1R および送信局1T での具体的な処理の手順である。以上の処理により、図13および図14のシーケンスチャートに示すような通信が受信局1R および送信局1T の間で行われる。以下の説明においては、通信局1a が受信局1R として動作し、通信局1b が送信局1T として動作するとする。
【0107】
まず、通信局1a は、図5のステップS1およびS2を行う。以下の説明の便宜のため、送信確率値Pの初期値P0 は「0.3」とし、送信個数Mの初期値M0 は「2」とする。次に、通信局1a は、要求受付パケット101(図4(a)参照)を1つ組み立る(図6;ステップS31)。今回の要求受付パケット101は、送信元の識別子SIDとしての識別子ID「a」、および送信確率値Pとしての「0.3」を含んでおり、無線伝送路2に送出される(シーケンスSeq111 )。その後、通信局1a は、通信局1(通信局1a を除く)から自局宛の予約要求パケット102が送信されてくることを待機する。
【0108】
シーケンスSeq111 の時点で、通信局1b は、図8のステップS11およびS12を行っており、上位層のアプリケーションから受信局1R の識別子ID「a」を得、カウンタ12b の初期値C0 を「3」に設定しているとする。
通信局1b は、ステップS12の後、図9のステップS131およびS132を行う。ここで、基準値CREF は「5」とする。
【0109】
その後、通信局1b は、シーケンスSeq111 で送出された要求受付パケット101を受信し(ステップS133)、乱数RNを発生する(ステップS134)。今回発生した乱数RNは「0.4」とすると、通信局11b は、受信した要求受付パケット101内の送信確率値Pが「0.3」であるから、「RN≦P」を満たさないとして(ステップS135,図13の矢印A参照)、ステップS132に戻り、新しい要求受付パケット101を待機する。
【0110】
以上のように、通信局1b は予約要求パケット102を送信しない。他の通信局1もまた、シーケンスSeq111 で送出された要求受付パケット101に応答しなかったとすると、通信局1a は、ステップS32およびS38からなるループを繰り返し実行して、所定時間TPRE1が経過した後、ステップS36を行う。この時、通信局1a は、無線伝送路2が輻輳状態にないと判断して、送信確率値Pを「0.4」に上げたとする(ステップS36)。
【0111】
その後、通信局1a は、要求受付パケット101の現在の送信個数が「1」であり、送信個数Mが「2」であることから、図5のステップS4を行った後、ステップS3に戻る。
次に、通信局1a は、要求受付パケット101を1つ組み立てる(図6のステップS31)。今回の要求受付パケット101は、送信確率値Pとして「0.4」を含んでおり、無線伝送路2に送出される(シーケンスSeq112 )、その後、通信局1a は、自局宛の予約要求パケット102が送信されてくることを待機する。
【0112】
今、シーケンスSeq111 からSeq112 の間、通信局1b は、ステップS132、S133およびS137からなるループを繰り返し実行する。現時点では、通信局1b は、シーケンスSeq111 で送出された要求受付パケット101を受信してから無信号区間TPNSを検出する前に、シーケンス112 で送出された要求受付パケット101を受信するので、ステップS134に進み、乱数RNを発生する。今回の乱数RNは「0.2」とする。かかる場合、通信局11b は、今回の送信確率値Pが「0.4」であるから、ステップS135で「RN≦P」を満たすと判断する(図13の矢印B参照)。
【0113】
その後、通信局1b は、ステップS136を行って、予約要求パケット102(図4(b)参照)を1つ組み立てて、通信局1a に送信して(シーケンスSeq121 )、当該通信局1a から通信予約パケット103が送信されてくることを待機する。
通信局1a は、ステップS32およびS38からなるループを繰り返し行うが、所定時間TPRE1が経過する前に、シーケンスSeq121 で送信された予約要求パケット102を受信することとなるので、ステップS32からS33に抜ける。現時点で通信衝突が起こっていないとすると、通信局1a は、ステップS34において、受信パケットの分解処理を行って、自局宛の予約要求パケット102を受信したと判断する。その後、通信局1a は、受信した予約要求パケット102から、通信速度R、送信元の識別子SIDとしての「b」、および有効期間VPb の初期値VP0 を一組にして記憶部13a に登録する。ここで、初期値VP0 は「3」とする。
【0114】
その後、通信局1a は、送信確率値Pを上げ(ステップS36)、現在「2」個の要求受付パケット101を送出済みであることから、ステップS4を行った後、ステップS5に進む。本説明では、この時点で、通信局1a は、通信局1b からの予約要求パケット102のみを受け取っているので、当該通信局1b に対する送信頻度TFb を決定する。送信頻度TFb は「2」とする(図13の矢印C参照)。
【0115】
次に、通信局1a は、登録された識別子IDとしての「b」を選択し、有効期間VPb として「3」を含む通信予約パケット103を組み立てる(図7のステップS61〜S63)。今回の通信予約パケット103には、有効期間VPb として「3」が設定される。また、フレームチェックシーケンスFCSとしては、前述の第1のCRC値が設定される。通信局1a は、今回組み立てた通信予約パケット103を無線伝送路2を通じて通信局1b に送信し(シーケンスSeq131 )、その後、自局宛のデータパケット104が送信されてくることを待機する。
【0116】
通信局1b は、シーケンスSeq121 で予約要求パケット102を送出した後、図10のデータ通信フェイズを実行する。シーケンスSeq121 〜Seq131 の間、無線伝送路2上には信号が伝送されていないとすると、通信局1b は、シーケンスSeq131 の直後に実行するステップS141で、当該シーケンスSeq131 で送信された通信予約パケット103を受信する。この時、通信局1b は、上述したように、第2のCRC値を生成して、今回の受信パケットが自局宛の通信予約パケット103であると判定する。
【0117】
その後、通信局1b は、カウンタ12b の値Cを通信予約パケット103内の有効期間VPb の値と一致させ(ステップS142)、その後、データパケット104(図4(d))を1つ組み立てる(ステップS143)。ここで、フレームチェックシーケンスFCSとしては、第1のCRC値が設定される。通信局1b は、組み立てたデータパケット104を無線伝送路2を通じて通信局1a に送信する(シーケンスSeq141 )。
次に、通信局1b は、カウンタ12b の値CをΔCだけデクリメントする(ステップS144)。本説明では値ΔCは「1」とすると、現時点では、値Cは「2」となる。次に、通信局1b は、カウンタ12b の現在の値Cが基準値CREF 以上か否かを判断する(ステップS145)。基準値CREF は「3」であるから、通信局1b は、ステップS141に戻って、新しい通信予約パケット103が送信されてくることを待機する。
【0118】
通信局1a は、シーケンスSeq131 で通信予約パケット103を送出した後、シーケンスSeq131 からSeq141 の間、通信局1a は、図7のステップS64およびS66からなるループを繰り返し実行すると仮定する。この間、無線伝送路2上には信号が伝送されていないとすると、通信局1a は、シーケンスSeq141 の直後に実行するステップS64で、当該シーケンスSeq141 で送信された自局宛のデータパケット104を受信する。この時、通信局1a は、上述したように、第2のCRC値を生成して、今回の受信パケットが自局宛のデータパケット104であると判定し、そこからデータブロックDBを取り出して保持する。
【0119】
その後、通信局1a は、ステップS65を行って、記憶部13a に登録された通信局1b の有効期間VPを値ΔVPだけデクリメントして、当該有効期間VPを延長する。本説明では、値ΔVPは、値ΔCと同じ値「1」とする。その結果、通信局1b の有効期間VPb は、現在「2」となる(図13の矢印D参照)。
【0120】
その後、通信局1a は、ステップS6のデータ通信フェイズから一旦抜けて、ステップS7に進む。通信局1a は、通信予約パケット103を必要な個数送信していないので、ステップS6に戻って、データ通信フェイズの処理(図7参照)を再度行う。
【0121】
次に、通信局1a は、登録された識別子IDとしての「b」を選択した後、前述と同様にして、有効期間VPb として「2」を含む通信予約パケット103を組み立てる(ステップS61〜S63)。通信局1a は、今回組み立てた通信予約パケット103を無線伝送路2を通じて通信局1b に送信し(シーケンスSeq132 )、その後、自局宛のデータパケット104が送信されてくることを待機する(ステップS64およびS66)。
【0122】
通信局1b は、シーケンスSeq141 でデータパケット104を送出した後、図9の予約フェイズに移る。現時点では、カウンタ12b の値Cが「2」であり、基準値CREF が「3」であることから、通信局1b は、無処理で予約フェイズから抜けて、図10のデータ通信フェイズに移る。今、シーケンスSeq141 からSeq132 の間、無線伝送路2上に信号が伝送されていないとすると、通信局1b は、ステップS141、S146およびS147からなるループを繰り返し実行する。通信局1b は、シーケンスSeq132 の直後に実行するステップS141で、当該シーケンスSeq132 で送信された通信予約パケット103を受信する。
【0123】
その後、通信局1b は、ステップS142を行った後、データパケット104を1つ組み立てて、無線伝送路2を通じて通信局1a に送信する(ステップS143,シーケンスSeq142 )。
次に、通信局1b は、カウンタ12b の値CをΔCだけデクリメントして(ステップS144)、「1」に更新する。その後、現時点では送信データが残っていると仮定すると、通信局1b は、図8のステップS15を行った後、ステップS13の予約フェイズに戻る。
【0124】
シーケンスSeq132 からSeq142 の間、無線伝送路2上を信号が伝送されていないとすると、通信局1a はステップS64およびS66からなるループを繰り返し実行する。通信局1a は、シーケンスSeq142 の直後のステップS64で、当該シーケンスSeq142 で送信されたデータパケット104を受信して、そこからデータブロックDBを取り出して保持する。
【0125】
その後、通信局1a は、登録された通信局1b の有効期間VPを値ΔVPだけデクリメントして(ステップS65)、「1」に更新する。
その後、通信局1a は、ステップS6のデータ通信フェイズから抜けて、ステップS7に進む。通信局1a は、通信予約パケット103を必要な個数送信したので、ステップS8を行って、次回の送信個数Mを決定する。本説明では、今回、送信個数Mは「1」と決定されたとする。
以上のシーケンスSeq11〜14が、最初の単位パケットフレームPF1 を構成する。
【0126】
その後、通信局1a は、ステップS3の予約フェイズ、つまり図6のステップS31に戻って、要求受付パケット101を1つ組み立て、無線伝送路2上に送出する(シーケンスSeq151 )。今回の要求受付パケット101には、送信確率値Pとして「0.5」が設定される。その後、通信局1a は、自局とのデータ通信の要求を有する通信局1からの予約要求パケット102を待機する。
【0127】
今、説明の便宜のため、シーケンスSeq151 で送信された要求受付パケット101に応答して、複数の通信局1(但し、通信局1b を除く)が予約要求パケット102を同時に送信し、無線伝送路2上で通信衝突が生じたとする(シーケンスSeq161 )。
ここで、通信局1b は、シーケンスSeq151 の時点で、ステップS13〜S15からなるループを繰り返し実行しているが、予約フェイズのステップS131から直接データ通信フェイズに抜けるので、要求受付パケット101を受信しない点である。
【0128】
以下、図14のフローチャートを参照して、通信局1a および1b の間における通信手順を説明する。
通信局1a は、シーケンスSeq151 の後、ステップS32〜S38で構成されるループを繰り返すが、所定時間TPRE1が経過する前に、通信衝突を起こしている複数個の予約要求パケット102を受信するので、ステップS33からステップS37に抜ける。通信局1a は、送信確率値Pを下げて(ステップS37)、「0.4」に更新する。その後、通信局1a は、図5のステップS4に戻り、送出済みの要求受付パケット101の個数が「1」であり、現在の個数Mが「1」であることから、ステップS5に進む。今回の予約フェイズでは、通信局1a は、新しい通信局1からの予約要求パケット102を受け取れなかったので、今回のステップS5では、当該通信局1b に対する送信頻度TFb が再度「2」と決定されるとする(図14の矢印F参照)。
【0129】
次に、通信局1a は、図7のステップS61〜S63を実行して、登録された識別子IDとしての「b」を選択した後、通信予約パケット103を組み立てて、通信局1b に送信する(シーケンスSeq171 )。今回の通信予約パケット103には、有効期間VPとして「1」が設定される。その後、通信局1a は、自局宛のデータパケット104が送信されてくることを待機する。
【0130】
通信局1b は、シーケンスSeq142 でデータパケット104を送信した後、通信局1a からの通信予約パケット103を待機しており、シーケンスSeq171 の直後に実行するステップS141で、当該通信予約パケット103を受信する。
【0131】
次に、通信局1b は、ステップS142でカウンタ12b の値Cを、有効期間VPの値「1」に更新した後に、ステップS143において、データパケット104を1つ組み立てて、無線伝送路2を通じて通信局1a に送信する(シーケンスSeq181 )。
次に、通信局1b は、ステップS144を行って、カウンタ12b の値CをΔCだけデクリメントして「0」に更新する(図14の矢印G参照)。その後、通信局1b は、現時点では送信データ(データブロック)が残っていないとして(ステップS15)、図8のステップS11に戻る。
【0132】
通信局1a がシーケンスSeq171 で通信予約パケット103を送出した後、シーケンスSeq181 の間、無線伝送路2上には信号が伝送されていないとする。かかる場合、通信局1a は、シーケンスSeq181 の直後に実行するステップS64で、当該シーケンスSeq181 で送信されたデータパケット104を受信して、そこからデータブロックDBを取り出して保持する。これによって、通信局1a の通信制御部11a は、通信局1b の送信データをすべて受け取ったこととなるので、当該送信データを上位層のアプリケーション等に送信する。
【0133】
その後、通信局1a は、記憶部13a に登録された通信局1b の有効期間VPb を値ΔVPだけデクリメントして、「0」に更新する(ステップS65)。
次に、通信局1a は、図5のステップS7に進んで、通信予約パケット103を必要な個数送信していないことから、ステップS6に戻って、データ通信フェイズの処理を再度行う。
次に、通信局1a は、登録された識別子IDとしての「b」を選択した後、前述と同様にして、今回は有効期間VPb として「0」が設定された通信予約パケット103を組み立てる(ステップS61〜S63)。通信局1a は、今回組み立てた通信予約パケット103を無線伝送路2を通じて通信局1b に送信し(シーケンスSeq172 )、その後、当該通信局1b からのデータパケット104を待機する。
【0134】
通信局1b は、すべてのデータを通信局1a に送信済みであるから、現時点では、新しい送信データが発生することを待機している(図8のステップS11)。そのため、通信局1b は、シーケンスSeq172 で送信された通信予約パケット103を無視する。その結果、通信局1a は、シーケンスSeq172 の後、ステップS64およびS66からなるループを繰り返し実行するが、やがて、ステップS66からS67に抜ける。
次に、通信局1a は、記憶部13a に登録された有効期間VPb を値ΔVPだけインクリメントして、「1」に更新する(図14の矢印H参照,ステップS67)。
【0135】
次に、通信局1a は、有効期間VPb が基準値VPREF 以上か否かを判断する(ステップS68)。本説明では、基準値VPREF は「4」に予め設定されていると仮定すると、通信局1a は、有効期間VPb が「1」であることから、図5のデータ通信フェイズから抜けてステップS7に遷移する。
通信局1a は、通信予約パケット103を必要な個数送信済みであるから、ステップS8を行って、次回の送信個数Mを決定する。本説明では、今回、送信個数Mは「1」と決定されたとする。
以上のシーケンスSeq15〜18が、2回目の単位パケットフレームPF2 を構成する。
【0136】
通信局1a は、3回目の単位パケットフレームPF3 以降においても、単位パケットフレームPF2 と同様に動作して、通信局1b に向けて通信予約パケット103を送信する。しかしながら、シーケンスSeq181 以降、通信局1b は、新しい送信データが発生することを待機しており、自局宛の通信予約パケット103が送信されてきたとしても、これを無視する。
そのため、通信局1a は、通信局1b に向けて通信予約パケット103を送信する度に、ステップS67を実行して、有効期間VPを短縮する(図14の矢印I参照)。そのため、やがて、通信局1b の有効期間VPは基準値VPREF と等しくなる。通信局1a は、ステップS68において、通信局1b の有効期間VPが基準値VPREF 以上になったと判断すると、ステップS69において、通信局1b のために登録した1組の通信速度Rb 、識別子ID、有効期間VPb および送信頻度TFb を記憶部13a から削除する。これによって、通信局1a は、通信局1b のために確保した帯域を解放する(図14の矢印J参照)
【0137】
通信局1a は、通信局1b のために登録した1組の情報を削除した以降は、当該通信局1b から新しい予約要求パケット102を受信しない限り、当該通信局1b 向けの通信予約パケット103を送信しない。
【0138】
以上説明したように、受信局1R としての通信局1a は、予約要求パケット102の受信により、送信局1T としての通信局1b のために帯域を確保する。さらに、通信局1a は、確保した帯域を管理するために、通信局1b の識別子ID「b」、通信速度Rb 、有効期間VPb および送信頻度TFb を1組して記憶部13a に登録する。ここで、有効期間VPb は、通信局1T のデータパケット104の送信状況に応じて延長または短縮される。かかる有効期間VPが切れるまでの間、通信局1a は、通信局1b 向けの通信予約パケット103を送信頻度TFb に基づいて自発的に送信して、帯域を確保し続ける。
【0139】
そのため、図13および図14に示すように、通信局1b は、予約要求パケット102を一度通信局1a に送信した後、有効期間VPb の範囲内であれば、自局宛の通信予約パケット103に応答して、データパケット104をいち早く送信することができる。その結果、本通信システムCSでは、従来技術で説明したSRMAと比較して、帯域予約のための予約要求パケット102を送信する回数が大きく減る。これによって、本通信システムCSでは、帯域予約のためのオーバーヘッドが削減されるので、無線伝送路2の帯域を効率的に利用することができる。
【0140】
また、受信局1R は、無線伝送路2上で通信衝突が起こっているとみなせる場合には、要求受付パケット101内の送信確率値Pを相対的に小さくするので、送信局1T がたとえ受信局1R への送信データを有していたとしても、予約要求パケット102を送信できる確率は小さくなる。つまり、送信局1T が予約要求パケット102を送信できない場合がある。このように、受信局1R は、送信確率値Pにより、無線伝送路2のトラフィックを制御して、無線伝送路2が輻輳状態に陥りにくくしている。
【0141】
また、送信局1T からデータパケット104が送信される回数が少なければ、受信局1R 側で管理される有効期間VPがすぐに切れ、当該送信局1T に割り当てた帯域が解放されるので、無線伝送路2の帯域を効率的に利用することができる。
【0142】
また、本通信システムCSでは、データ通信フェイズに入るまでに、送信局1T および受信局1R は、データ通信の相手方の識別子IDを得ることができる。さらに、送信局1T は、通信予約パケット103が自局宛であるか否かを、第1および第2のCRC値に基づいて判断する(図12参照)。一方、受信局1R は、データパケット104が自局宛であるか否かを第1および第2のCRC値に基づいて判断する。そのため、通信予約パケット103およびデータパケット104のそれぞれは、送信元の識別子SIDおよび受信先の識別子DIDを含む必要がなくなる。これによって、通信予約パケット103およびデータパケット104の長さを抑えることができ、無線伝送路2の帯域をさらに効率的に利用できる。
【0143】
なお、本通信システムCS1では、通信局1間は無線伝送路2により接続されていたが、これに限らず、有線の伝送路で通信可能に接続されてもよい。
【0144】
また、図6のステップS38で所定時間TPRE1が経過した場合、受信局1R は直接ステップS36に進んでいた。しかし、受信局1R は、所定時間TPRE1の経過により、無線伝送路2には伝送信号がないと判断できる。受信局1R は、かかる判断時点で帯域を確保している通信局1のいずれかに、通信予約パケット103を送信しても良い。
【0145】
また、図10のステップS141およびS146において、送信局1T は、自局宛の通信予約パケット103およびデータパケット104を受信していない場合、ステップS146およびS147に直接進んでいた。しかし、送信局1T は、ステップS141およびS146において、他局宛の通信予約パケット103およびデータパケット104を受信する場合がある。かかる通信予約パケット103およびデータパケット104の受信後には無線伝送路2が輻輳状態にある可能性が低いので、送信局1T は、ある通信局1への送信データがある場合に、当該通信局1に向けて予約要求パケット102を送信しても良い。
【0146】
また、本実施形態では、受信局1R は、図7のステップS65において送信局1T からデータパケット104が送信されてくると、有効期間VPを延長していた。しかし、これに限らず、受信局1R は、送信局1T からデータパケットが送信されてくると、次回、相対的に大きなサイズのデータパケット104を送信可能な通信予約パケット103を送信局1T に送信しても良い。
【0147】
また、通信システムCSでは、受信局1R が、データパケット104の受信および帯域の管理を行っていた。しかし、通信システムCSの1つの通信局1が、無線伝送路2の帯域を統括的に管理し、それ以外の2つの通信局1同士がデータ通信を行うようにしても良い。
【0148】
以上の図13および図14の通信手順では、送信局1T が受信局1R にデータを送信する場合について説明した。しかしながら、通信システムCS内では、送信局1T が受信局1R にデータを送信している最中に、受信局1R 側で送信局1T への送信データが発生する場合がある。かかる場合、送信局1T と受信局1R との間では、図15に示すような通信手順により、双方向のデータ通信が行われる。以下の説明では、図13および図14の場合と同様に、通信局1a が受信局1R として動作し、通信局1b が送信局1T として動作するとする。
【0149】
通信局1a は、図13のシーケンスSeq111 およびSeq112 と同様にして、要求受付パケット101を送信し(図15;シーケンスSeq211 )、その応答である通信局1b からの予約要求パケット102を受信する(シーケンスSeq221 )。通信局1a は、予約要求パケット102を分解した後、通信局1b のための帯域を確保する。以降、通信局1a は、図13のシーケンス131 および132 と同様に通信予約パケット103を通信局1b に送信し(図15;シーケンス231 および232 )、当該通信局1b は、シーケンス141 および142 と同様に当該各通信予約パケット103に応答して、データパケット104を組み立てて、通信局1a に送信する(シーケンスSeq241 およびSeq242 )。
【0150】
通信局1a は、シーケンスSeq242 で送信されたデータパケット104を受信すると、通信局1b の有効期間VPb を延長し(図7;ステップS65)、その後、通信予約パケット103を必要な数だけ送信していない場合には、図5のステップS6(つまり、図7のステップS61)に進む。通信局1a は、通信局1b の識別子IDを再度選択したとすると(ステップS61)、当該通信局1b に送信するデータがあるか否かを判断する(ステップS62)。ここで、通信局1b へ送信するデータがある場合、通信局1a は、データパケット104を組み立てて、通信局1b に送信する(シーケンス233 )。
その後、通信局1a は、通信局1b からのデータパケット104を待機する。
【0151】
さて、通信局1b は、シーケンスSeq242 でデータパケット104を通信局1a に送信した後、自局宛の通信予約パケット103を再度待機している(図10のステップS141およびS147)。通信局1b は、シーケンス233 の後、無線伝送路2上のパケットを検出し、当該パケットを受信および分解して、受信したものが通信予約パケット103であるか否かを判断する(ステップS141)。かかる分解の途中に、通信局1b は、受信パケットに設定されたパケット種別Tが通信予約パケット103を示していないので、ステップS146に進む。
【0152】
次に、通信局1b は、パケット種別Tにより、今回受信したものがデータパケット104と判断し、さらに分解処理を進めて、そこからデータブロックDBを取り出す(ステップS146)。その後、通信局1b は、ステップS143以降の処理を行う。その結果、通信局1b は、通信局1a からのデータパケット104の受信に応答して、当該通信局1a へのデータパケット104を組み立てて送信する(ステップS143,シーケンスSeq243 )。以降、通信局1a および1b の間では、データパケット104のやりとりが行われる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る通信システムCSの全体構成を示すブロック図である。
【図2】図1の通信システムCSで行われる通信手順の概略を示すシーケンスチャートの前半部分である。
【図3】図1の通信システムCSで行われる通信手順の概略を示すシーケンスチャートの後半部分である。
【図4】図1の通信システムCSでやりとりされる各パケットのフレームフォーマットを示す図である。
【図5】受信局1R が実行する処理の手順を示すメインフローチャートである。
【図6】受信局1R 側での予約フェイズの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図7】受信局1R 側でのデータ通信フェイズの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図8】送信局1T が実行する処理の手順を示すメインフローチャートである。
【図9】送信局1T 側での予約フェイズの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図10】送信局1T 側でのデータ通信フェイズの詳細な処理手順を示すフローチャートである。
【図11】受信局1R の記憶部13R に登録される各情報を示す図である。
【図12】通信予約パケット103およびデータパケット104の分解処理を説明するための図である。
【図13】送信局1T から受信局1R へとデータを送信する場合の通信手順の一例を示すシーケンスチャートの前半部分である。
【図14】送信局1T から受信局1R へとデータを送信する場合の通信手順の一例を示すシーケンスチャートの後半部分である。
【図15】送信局1T から受信局1R へと、および受信局1R から送信局1T へとデータを送信する場合の通信手順を示すシーケンスチャートである。
【図16】SRMAが採用された通信システムを説明するための図である。
【符号の説明】
1…通信局
2…無線伝送路

Claims (16)

  1. 送信局と受信局とが伝送路を介してデータ通信可能に接続され、当該受信局が、当該送信局とのデータ通信に使用する帯域を、データ通信前に予約する通信システムであって、
    前記送信局は、送信すべきデータが発生すると、帯域の確保を要求するための予約要求パケットを前記受信局に送信し、
    前記受信局は、
    前記送信局からの予約要求パケットに応答して帯域を確保し、
    確保された帯域を前記送信局に通知するための通信予約パケットを送信し、
    前記送信局は、
    発生したデータを基にデータパケットを生成し、
    前記受信局からの通信予約パケットにより通知された帯域を用いて、生成したデータパケットを送信し、
    前記受信局は、
    前記送信局のために確保した帯域の有効期間を記憶し、
    記憶された有効期間内には、前記送信局に対して通信予約パケットを自発的に繰り返し送信する、通信システム。
  2. 前記送信局のために記憶された有効期間の初期値は予め定められており、
    前記受信局はさらに、
    所定のタイミングで、記憶された有効期間を短縮し、
    前記送信局からのデータパケットを受信すると、記憶された有効期間を延長し、
    予め定められた基準値と有効期間とが等しくなった時に、当該有効期間を削除し、
    有効期間が記憶されている間に限り、前記送信局に通信予約パケットを自発的にかつ繰り返し送信する、請求項1に記載の通信システム。
  3. 前記送信局はさらに、自身を特定する識別子を予約要求パケットに設定し、
    前記受信局はさらに、
    前記送信局からの予約要求パケットに設定された識別子を、有効期間の初期値と共に記憶し、
    有効期間が削除される時に、当該有効期間と共に記憶された識別子を削除する、請求項2に記載の通信システム。
  4. 前記受信局はさらに、前記送信局が予約要求パケットを送信することを許可するための要求受付パケットを、予め定められたタイミングで送信し、
    前記送信局はさらに、前記受信局からの要求受付パケットに応答して、予約要求パケットを送信する、請求項1に記載の通信システム。
  5. 前記受信局はさらに、前記送信局が予約要求パケットを送信できる確率値を、要求受付パケットに設定し、
    前記送信局はさらに、前記受信局からの要求受付パケットに付加された確率値に基づいて、予約要求パケットを送信する、請求項4に記載の通信システム。
  6. 前記受信局が前記伝送路上での通信衝突を検出した時、要求受付パケットには、相対的に低い確率値が設定される、請求項5に記載の通信システム。
  7. 前記受信局が前記伝送路からの予約要求パケットを正しく受信した時、要求受付パケットには、相対的に高い確率値が設定される、請求項5に記載の通信システム。
  8. 予め定められた時間の間、前記伝送路からの受信信号が無い時に、要求受付パケットには、相対的に高い確率値が設定される、請求項5に記載の通信システム。
  9. 前記受信局はさらに、有効期間の値に基づいて、通信予約パケットを送信する時間間隔を変更する、請求項2に記載の通信システム。
  10. 前記受信局はさらに、前記送信局が必要とする通信速度に基づいて、通信予約パケットを送信する時間間隔を変更する、請求項1に記載の通信システム。
  11. 前記受信局はさらに、予め定められた時間の間、前記伝送路からの受信信号が無い時に、通信予約パケットを送信可能と判断する、請求項1に記載の通信システム。
  12. 前記受信局はさらに、前記伝送路からデータパケットを受信した時に、通信予約パケットを送信可能と判断する、請求項1に記載の通信システム。
  13. 前記送信局はさらに、前記伝送路からデータパケットを受信した時に、データパケットを送信可能と判断する、請求項1に記載の通信システム。
  14. 前記送信局はさらに、前記伝送路からデータパケットまたは通信予約パケットを受信した時に、予約要求パケットを送信可能と判断する、請求項1に記載の通信システム。
  15. 前記送信局はさらに、予め定められた時間の間、前記伝送路からの受信信号が無い時に、予約要求パケットを送信可能と判断する、請求項1に記載の通信システム。
  16. 前記送信局はさらに、
    データパケットの送信時を起算点として時間の経過を測定し、
    起算点からの経過時間が、有効期間に関連する基準値と等しくなると、予約要求パケットを送信可能と判断する、請求項1に記載の通信システム。
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