JP4226704B2 - 非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子 - Google Patents

非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子 Download PDF

Info

Publication number
JP4226704B2
JP4226704B2 JP32881698A JP32881698A JP4226704B2 JP 4226704 B2 JP4226704 B2 JP 4226704B2 JP 32881698 A JP32881698 A JP 32881698A JP 32881698 A JP32881698 A JP 32881698A JP 4226704 B2 JP4226704 B2 JP 4226704B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
electrode
vinylidene fluoride
electrode mixture
fluoride polymer
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP32881698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000150320A (ja
Inventor
巧 葛尾
幸男 市川
愛作 永井
あづさ 栗原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kureha Corp
Original Assignee
Kureha Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kureha Corp filed Critical Kureha Corp
Priority to JP32881698A priority Critical patent/JP4226704B2/ja
Publication of JP2000150320A publication Critical patent/JP2000150320A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4226704B2 publication Critical patent/JP4226704B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/13Energy storage using capacitors

Landscapes

  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系電池あるいは電気二重層キャパシタ等の非水系電気化学素子、特に電気二重層キャパシタ、の電極を構成するために好適に使用されるフッ化ビニリデン重合体系の電極用バインダー溶液、ならびにこれから構成される電極合剤、電極および電気化学素子に関する。特に、これら素子の信頼性面での改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子あるいは電気機器の小型軽量化を含む発展にはめざましいものがある。これに伴い、これら機器の電源となる電池あるいは電気二重層キャパシタ等の電気化学素子の大容量化ならびに小型化の要請も強く、この面では、有機溶媒系の電解液を用いる非水系電気化学素子が著しく適している。特に、電気二重層キャパシタは、大容量かつ長寿命で、急速充填が可能、充放電が容易、二次電池に比べてサイクル特性に優れている、二次電池の中で最も信頼性の高いNi−Cd電池に比べて安価であるといった特徴を有するため、新たなエネルギーデバイスとして、多くの分野で機能的な応用が期待されるようになっている。さらに、電気二重層キャパシタは、電子機器のバックアップ電源などの小電力用から、電気自動車やハイブリッドカーの補助電源などの大電力分野への応用も検討されている。それに伴って、分極性電極に対しても大容量化などの高性能化が求められている。
【0003】
電気二重層キャパシタは、分極性電極と電解質界面に生じる電気二重層に蓄積される容量を利用するキャパシタである。電気二重層キャパシタに用いられる電解液は、有機溶媒系と水溶液系に大別されるが、有機溶媒系は耐電圧が高く容量を大きくできるので、高容量キャパシタとして有利である。分極性電極は比表面積や嵩密度が大きく、電気化学的に不活性であって、電気抵抗が低いことが要求される。電気二重層キャパシタ用の分極性電極構造体は、粉末活性炭材料、電気伝導性を付与する導電材、結合材としてのバインダーおよび金属集電体で構成される。電極構造体の作製方法としては、粉末活性炭材料、導電材、バインダーからなる混合物に溶剤を添加して混合スラリーとしたものを集電体に塗布または浸漬し乾燥して作製する方法(例えば、特開平10−64765号公報)や、粉末活性炭材料、導電材、溶剤に不溶のバインダーからなる混合物に溶剤を添加して混練り成形し、乾燥して得たシートを集電体表面に導電性接着剤等を介して接合した後にプレスおよび熱処理乾燥して作製する方法(例えば、特開平9−275041号公報)などがあり、作製工程のコストを考えると、特に前者の作製方法が好ましい。
【0004】
バインダーとして電気化学的安定性などの点からポリフッ化ビニリデンが注目され、特開平8−55761号公報には、ポリフッ化ビニリデンなどの含フッ素ポリマーとN−メチル2−ピロリドン、トルエン、エチルアセテート、ジメチルフタレート等の有機溶剤と、活性炭粉末と、必要に応じて導電性付与剤からなるスラリーを集電体上にコートし、その後乾燥して有機溶剤を除去して分極性電極を形成する工程を有する電気二重層キャパシタの製法が開示されている。
【0005】
同様な方法により、但し、活性炭粉末の代りに、主として黒鉛系あるいは非黒鉛系の炭素粉末を用いて、形成した電極は、非水系二次電池の負極としても広く用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにして形成された電極を含む電気化学素子、特に電気二重層キャパシタ、において使用の継続に伴い、素子容量が低下したり、あるいは素子ケースが膨張・変形する等の不都合がしばしば見出された。
【0007】
したがって、本発明の主要な目的は、フッ化ビニリデン系重合体バインダーを使用して形成した電極を含む非水系電気化学素子の継続使用下において、素子容量の低下、素子ケースの膨張・変形等の問題を低減し、信頼性ある素子を構成するために好適なフッ化ビニリデン重合体系の電極用バインダー溶液、ならびにこれから構成される電極合剤、電極および電気化学素子を提供することにある。
【0008】
本発明者らの研究によれば、上述の目的の達成のためには、従来のフッ化ビニリデン系重合体用溶媒には見られなかったレベルの電気化学的安定性を有する有機溶媒を使用して、フッ化ビニリデン系重合体バインダー溶液を形成し、これを用いて電極合剤および電極を形成することが極めて有効且つ実際的であることが見出された。
【0009】
すなわち、本発明の非水系電気化学素子電極用バインダー溶液は、フッ化ビニリデン系重合体と、該フッ化ビニリデン系重合体に対し溶解能を示し且つabinitio分子軌道法によるHOMO(最高被占分子軌道エネルギー)準位が−12eV以下でLUMO(最低空位分子軌道エネルギー)準位が+4.0eV以上有機溶媒であるジメチルカーボネートと、からなることを特徴とするものである。また本発明の、電極合剤は、上記バインダー溶液と、粉末炭素材料との混合物からなることを特徴とするものである。
【0010】
上記において、有機溶媒がフッ化ビニリデン系重合体に対して示すべき溶解能は、従来のフッ化ビニリデン系重合体用溶媒のそれに比べて低いものを許容する。またHOMO準位が低いことは耐酸化性が高いことを示し、LUMO準位が高いことは耐還元性が高いことを示し、上記HOMO準位とLUMO準位に関する本発明の要求は、本発明で使用する有機溶媒が、従来のフッ化ビニリデン系重合体用溶媒に比べて本質的に高い電気化学的安定性を有することを意味するものである。
【0011】
本発明者らが、上記目的で研究して、本発明に到達するに至った経緯について付言する。
【0012】
上記したような、非水系電気化学素子における、素子容量の低下、素子ケースの膨張・変形などの不都合の発生原因は、電極形成後には本来ならば電極から除去されるべき溶媒の一部が電極中に残存し、素子の継続使用中においてこの残存溶媒が電気化学的に分解することに起因している。特に、上記問題は、比表面積が大きく細孔構造に富む活性炭粉末を使用する、電気二重層キャパシタにおいてより顕在化し得る(事実、活性炭粉末と有機溶媒との組合せにもよるが10重量パーセント程度は残存し得る)。これらのことは、少なくとも上記問題に当面した関連技術者の一部による推測の範囲内であったと解される。しかしながら、少なくともフッ化ビニリデン重合体系バインダー溶液に関する限り、上記問題点の解決法の開発は、電極形成後の効率的除去を意図して、比較的揮発性でフッ化ビニリデン系重合体に対する良溶解能を有する有機溶媒を選択使用する方向にあったと解される。これに対し、本発明では、当該フッ化ビニリデン系重合体に対する溶解能をある程度犠牲にしても、電気化学的安定性の良好な有機溶媒を選択使用することにより、上記問題点を解決するものである。従って、本発明においては、形成される電極から電極バインダー溶液を構成する有機溶媒の完全除去を意図せず、ある程度電極中に溶媒が残存する状態における問題の発生を防止するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
上述したように、本発明の非水系電極用バインダー溶液を構成する有機溶媒は、ab initio法分子軌道計算によるHOMO準位が−12eV以下で且つLUMO準位が+4.0eV以上であり、電気化学的安定性に優れることが特徴である。特定の化合物のHOMO(最高被占分子軌道エネルギー)準位が高いことは電子を奪われて酸化され易いことを意味し、LUMO(最低空位分子軌道エネルギー)準位が低いことは電子を受け取って還元され易いことを意味する。本発明で使用する有機溶媒は、上記したように低いHOMO準位と高いLUMO準位を有するために非水系電気化学素子の電極中にある程度残存しても問題とならない程度の電気化学的安定性を有し、電極合剤として塗布後の乾燥条件が緩和されるため、電極製造コストの削減の効果も得られる。
【0014】
溶媒のHOMO準位とLUMO準位は、分子軌道計算(ab initio法)により市販のプログラムを用いて計算できる。(因に、本明細書の記載値は、Carnegie Office Park Building 6,Pittsburgh,PA15106 U.S.A.(アメリカ合衆国)のGaussian,Inc.から発行された市販汎用プログラム「Gaussian 94」を用い基底関数系3−21G(*)により本発明者らが計算した値に基づいている。)HOMO準位が−12eV以下且つLUMO準位が+4.0eV以上である有機溶媒の具体例としては、アセトニトリル(HOMO−12.62eV、LUMO+5.97eV)、エチレン−カーボネート(HOMO−12.46eV、LUMO+5.87eV)、ジメチルカーボネート(HOMO−12.21eV、LUMO+6.10eV)、ジエチルカーボネート(HOMO−12.08eV、LUMO+6.22eV)、エチルメチルカーボネート(HOMO−12.14eV、LUMO+6.16eV)、プロピレンカーボネート(HOMO−12.34eV、LUMO+5.88eV)、プロピオニトリル(HOMO−12.42eV、LUMO+5.76eV)、ブチレンカーボネート(HOMO−12.31eV、LUMO+5.87eV)などを挙げることが出来るが、本発明では、フッ化ビニリデン系重合体に対する良好な溶解能(後記表1参照)および電極合剤層への低残留性 ( 後記表2参照 ) をも示すジメチルカーボネート(HOMO−12.21eV、LUMO+6.10eV)、を用いる。有機溶媒はLUMO準位が4.5eV以上であることがより好ましい。
【0015】
参考までに、従来電極バインダー溶液を形成するためにフッ化ビニリデン系重合体用溶媒として慣用されている溶媒は、例えばN−メチルピロリドン(HOMO−10.18eV、LUMO+5.81eV)、N,N−ジメチルホルムアミド(−9.85eV、+5.80eV)、アセトン(−10.93eV、+4.53eV)、N,N−ジメチルアセトアミド(−9.66eV、+5.67eV)、トルエン(−8.88eV、+2.87eV)、フタル酸ジメチル(−9.70eV、+1.74eV)、1,4−ジオキサン(−10.36eV、+7.39eV)、テトラハイドロフラン(−10.79eV、+6.93eV)、トリメチルホスフェート(−11.60eV、+6.84eV)、酢酸エチル(−11.73eV、+5.26eV)などであって、いずれも主として、HOMO準位が−12eV以下の要件を満たさないため、耐酸化性が不足して、本発明の目的には適さない。
【0016】
本発明のバインダー溶液を構成する有機溶媒としては、上記したジメチルカーボネートを単独で用いるほか、他の有機溶媒と混合して用いることもできるが、その場合、他の有機溶媒としては、上記HOMO準位およびLUMO準位の要件を満たすものが好ましい。但し、例えば使用するフッ化ビニリデン系重合体に対する溶解能を調製するために、必要に応じて、全体の10重量パーセント程度までの慣用溶媒を混合することは差し支えない。
【0017】
本発明のバインダー溶液に使用する有機溶媒は、フッ化ビニリデン系重合体が網目・膜状化して、粉末電極材料、特に粉末炭素材料を保持して安定な電極構造を与えるために必要な塗布適性を与えるために、使用されるフッ化ビニリデン系重合体に対して溶解能を示すことが必要である。前述したように従来のフッ化ビニリデン系重合体用溶媒のそれに比べて低いもので足り、一つの基準としては、塗布時の加温下(実質的に60℃以上、特には80℃)において、使用されるフッ化ビニリデン系重合体に対し1重量パーセント以上の溶解度を示すものであることが好ましい。必要な溶解能は室温で示されるものであってもよいが形成された電極に残存した際に、室温あるいは60℃までの加温下において、電極の導電基体からの剥離を起したり、形状保持性を損なう程度の過剰溶解性を示すものは好ましくない。この意味で、本発明で好ましく用いられる有機溶媒は、使用されるフッ化ビニリデン系重合体に対し、加温下では溶解能を示すが室温では実質的な溶解能を示さないという意味での潜在溶媒であることが好ましい。より具体的には本明細書中で用いる「潜在溶媒」とは室温から60℃まではフッ化ビニリデン系重合体の溶解量が1wt%未満であるが、60℃以上では1wt%以上である溶媒と定義される。フッ化ビニリデン系重合体の潜在溶媒の具体例としては、例えば、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、などを挙げることが出来るが、上記に限定されるものではない。また、潜在溶媒は2成分以上の混合溶媒であってもよい。
【0018】
有機溶媒とともにバインダー溶液を構成するフッ化ビニリデン系重合体としては、フッ化ビニリデンの単独重合体または、フッ化ビニリデン50重量パーセント以上とこれと共重合可能な単量体50重量パーセント未満との共重合体が用いられるが、選択した溶媒が潜在溶媒となるためには、フッ化ビニリデン共重合体が特に好ましい。
【0019】
フッ化ビニリデン単量体と共重合可能な単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、等の炭化水素系単量体、フッ化ビニル、3フッ化エチレン、3フッ化塩化エチレン、4フッ化エチレン、6フッ化プロピレン、フルオロアルキルビニルエーテル、等の含フッ素単量体、マレイン酸モノメチル、シトラコン酸モノメチル、等のカルボキシル基含有単量体、またはアリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエステル、等のエポキシ基含有ビニル単量体、が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。なかでも6フッ化プロピレンや3フッ化塩化エチレンを含むフッ化ビニリデン共重合体が好ましく用いられる。
【0020】
バインダーとしてのフッ化ビニリデン系重合体のインヘレント粘度は、特に制限はなく目的に応じて選択することができるが、インヘレント粘度が0.5dl/gから5.0dl/gであることが電極の密着性、機械強度などの点からより好ましい。ここでいうインヘレント粘度とはポリマーの分子量の目安として用いられるもので、樹脂4gを1リットルのN,N−ジメチルホルムアミドに溶解させた溶液の30℃における対数粘度をいう。
【0021】
フッ化ビニリデン系重合体は、それ自体電気化学的に安定であることが知られており、そのHOMO準位およびLUMO準位の計算値は重合体の組成によっても異なるが、例えばα型、β型、γ型などがランダムに存在するフッ化ビニリデンの単独重合体ではHOMO準位が−13.2eV、LUMO準位が+5.3eVとなる。フッ素含有モノマーと共重合した場合には、HOMO準位がわずかに上昇し、LUMO準位がわずかに低下する傾向を有する場合が多いが、いずれにしても本発明で使用する溶媒と同様にHOMO準位が−12.5eV以下でLUMO準位が+4.0eV以上の範囲にあり、例えばHOMO準位が−14.7eVでLUMO準位が+3.2eVであるポリテトラフルオロエチレンに比べて顕著に良好な耐還元性を示す。
【0022】
本発明のバインダー溶液は、上記したフッ化ビニリデン系重合体を必要に応じて適度(例えば40℃以上)に加温した上記有機溶媒中に溶解することにより得られる。この際、バインダー溶液中のフッ化ビニリデン系重合体濃度は、通常1〜15重量パーセント程度であり、撹拌羽やホモジナイザーを有する溶解槽で、フッ化ビニリデン系重合体と有機溶媒を混合して溶解させる方法が好んで用いられる。
【0023】
本発明の電極合剤は、必要に応じて40℃以上の加温下に保持された上記で得られたバインダー溶液と、粉末炭素材料とを混合することによりスラリー状態で得られる。もっとも、操作的には、一旦バインダー溶液を調製することなく、フッ化ビニリデン系重合体、有機溶媒および粉末炭素材を一挙に混合することによっても、電極合剤は形成可能である。
【0024】
好ましい実施形態としての電気二重層キャパシタの分極性電極形成用の電極合剤の場合、粉末炭素材料としては、比表面積が500〜3000m2 /gのものを好適に用いることができ、具体例としては、やしがら系活性炭、フェノール系活性炭、石油コークス系・ピッチ系活性炭、ポリ塩化ビニリデン系活性炭、ポリアセン等が挙げられる。
【0025】
分極性電極作製用の電極合剤は、上記の溶剤とフッ化ビニリデン系重合体と粉末炭素材料から構成される。電気伝導性を付与するために導電材を添加することが通常であり、導電材の具体例としては、カーボンブラック、天然黒鉛、人造黒鉛、酸化チタンや酸化ルテニウム等の金属酸化物や金属ファイバーが使用できる。中でもカーボンブラックの一種であるケッチェンブラックやアセチレンブラックは好ましく用いられる。電極合剤構成成分の割合は目的に応じて選択することができる。
【0026】
上記のようにして調製された合剤スラリーは集電体への良好な塗布性を有する。塗布の方法は公知の方法でよく、中でもドクターブレード法が好ましく用いられる。合剤が塗布された集電体は20〜300℃での乾燥と必要に応じてプレス工程を経て、電気二重層キャパシタ用の分極性電極構造体として提供される。
【0027】
本発明の電気二重層キャパシタとしては、図1に示す構造のものを例示することができる。すなわち、図1は、単セルの電気二重層キャパシタの一例の断面図である。この電気二重層キャパシタは、2つの分極性電極1、2によりセパレーター3を挟み、これらをさらにステンレススチール製キャップ4と、電解液5を入れたステンレス製缶6との間に、パッキング7を介して封入したものである。その結果、電解液5はセパレーター3に含浸され一対の分極1および2間に配置されることとなる。電解液の溶媒としてはプロピレンカーボネートが一般的であり、電解質としては第4級ホスホニウム塩、第4級アンモニウム塩が一般的であり、例えば、(C2 5 4 NBF4 のプロピレンカーボネート溶液などの有機電解液を使用することができる。電解液中の電解質の濃度は5〜95重量%の範囲で適宜選択することができる。
【0028】
なお、上記においては、本発明の電気化学素子の好ましい態様としての電気二重層キャパシタならびにこれに含まれる分極性電極およびその形成用電極合剤について主として述べた。しかしながら、本発明の電極合剤は、粉末炭素材料として活性炭粉末の代りに、比較的比表面積の低い、黒鉛系あるいは非黒鉛系炭素材料を用いることにより、リチウムイオン電池等の非水系二次電池の負極用合剤としても用いられるものであり、更に、本発明の電極用バインダー溶液は、リチウム複合金属酸化物粉末等の正極材料を混合することにより非水系二次電池の正極用合剤の形成のためにも用いられる。
【0029】
【実施例】
以下、本発明を参考試験、実施例および比較例により更に具体的に説明する。
<溶解性テスト>
HOMO準位が−12eV以下かつLUMO準位が+4.0eV以上である溶媒としてアセトニトリル、ジメチルカーボネートを用い、フッ化ビニリデン系重合体として重合体A(フッ化ビニリデン/6フッ化プロピレン=86/14重合比の共重合体、インヘレント粘度1.5dl/g)、重合体B(フッ化ビニリデン/6フッ化プロピレン=93/7重量比の共重合体、インヘレント粘度1.5dl/g)、重合体C(フッ化ビニリデンの単独重合体、インヘレント粘度1.5dl/g)を用い、25℃、60℃、80℃での溶解性を調べた。溶解性は、溶解した場合の溶液の1重量パーセントに相当する重合体を、各温度でそれぞれの溶媒に添加し、1時間撹拌した後に、目視で、不溶物が確認されなければ○(可溶、溶解能あり)、不溶物が確認されれば×(難溶/不溶、溶解能なし)、と判定した。結果を次表1にまとめて示す。
【0030】
【表1】
Figure 0004226704
【0031】
上表1の結果は、ジメチルカーボネートは、フッ化ビニリデン系重合体に対し必要な溶解能を示し、本発明の目的に適しているが、アセトニトリルは不適であることを示している。
【0032】
(実施例1)
活性炭粉末(比表面積1200cm2 /g)の80重量部、カーボンブラック(電気化学工業株式会社製「デンカブラック」)の12重量部、上記フッ化ビニリデン系重合体Aの8重量部、ジメチルカーボネートの331重量部、を内容量5リットルの三軸遊星方式分散・混合・混練機(特殊機化工業製「T.K.ハイビスディスパーミックス」)に投入し、30℃にて20分間混合し、電極合剤スラリーを得た。
【0033】
この電極合剤をアルミ箔の片面上にドクターブレード法で塗布し加熱乾燥(130℃、30分)してシート状電極材料を得た。得られたシート状材料を直径17mmの円盤状に打ち抜き、プレス(102MPa、1分)した後、直径15mmの円盤状に打ち抜き、計3枚の円盤板電極材を得た。そのうち、2枚を図1に示すように分極性電極1及び2とし、残り1枚を残留溶媒試験用試料とした。この分極性電極1、2をガラス繊維製不織布のセパレーター3を挟みステンレス製キャップ4及びステンレス製缶5からなる容器中に収納した。次に、ステンレス容器中に所定の電解液6((C2 5 4 NBF4 のプロピレンカーボネート溶液:1mol/l)を入れ分極性電極1、2及びセパレーター3に十分に含浸させたのちポリプロピレン製パッキング7を介してキャップ及び缶5の端部をかしめ一体化した。
【0034】
このようにして作製した図1に示すような構成の電気2重層キャパシタの信頼性を、下記のようにして60℃の恒温槽中での加速試験をすることにより評価した(60℃の200時間は20℃の4ケ月余りに相当すると考えられる)。すなわち、該キャパシタを、60℃の恒温槽中に保持し、電流密度1.6mA/cm2 で2.5Vまで充電し、3時間充電状態を保持した後に、同電流密度で0Vまで放電しそのエネルギー量を求め、この値を初期エネルギー容量とした。その後、直ちに同条件で再充電し、充電状態で200時間保持後に、同条件で放電し放電容量を測定した。容量は、電極中の活性炭単位重量当りエネルギー容量(mWh/g)として算出した。上記試験後の電極を取り出し目視観察したが、形状変化は観察されなかった。
【0035】
別途、上記で得られた円盤状電極材の一枚を、熱天秤(Mettler社製「TGA」)に載せ、窒素気流中で20℃/分で600℃まで昇温した。途中、約50℃〜約350℃で見られる減少重量分を、残留溶媒量として、アルミ箔を除いた電極合剤に対する重量割合(重量パーセント)で算出した。
【0036】
結果を以下の比較例のそれとともに後記表2にまとめて記す。
【0039】
(比較例)
活性炭粉末(比表面積1200m2 /g)80重量部、カーボンブラック(「デンカブラック」)12重量部、フッ化ビニリデン系重合体B8重量部およびN−メチルピロリドン331重量部、を80℃にて混合し、電極合剤スラリーを得た。以後、この電極合剤スラリーを用いるほかは、実施例1と同様にして、電極および電気二重層キャパシタを作製し、評価した。
【0040】
【表2】
Figure 0004226704
【0041】
HOMO準位とLUMO準位に関する本発明の要件を満たすジメチルカーボネートを溶媒として用いて得られた電極合剤スラリーから形成した実施例1の電極は、従来のフッ化ビニリデン系重合体の慣用溶媒ではあるがHOMO準位が高く酸化され易いN−メチルピロリドンを用いて得られた比較例の電極に比べ、電気二重層キャパシタに用いた際の容量劣化が小さく、信頼性が高いことがわかる。
【0042】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、従来のフッ化ビニリデン系重合体用溶媒とは異なる種類の電気化学的安定性に優れるジメチルカーボネートを溶媒として用いて非水系電気化学素子用電極合剤を形成することにより、電極中に溶剤が残存した場合にも性能が安定で劣化が少なく、信頼性の高い電気化学素子、特に電気二重層キャパシタ、が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気二重層キャパシタの一実施例の構造の断面図。
【符号の説明】
1、2 分極性電極
3 セパレータ
4 キャップ
5 缶
6 電解液
7 パッキング

Claims (8)

  1. フッ化ビニリデン系重合体と、該フッ化ビニリデン系重合体に対し溶解能を示し且つab initio法分子軌道計算によるHOMO準位が−12eV以下でLUMO準位が+4.0eV以上有機溶媒であるジメチルカーボネートと、からなる非水系電気化学素子電極用バインダー溶液。
  2. 請求項1に記載のバインダー溶液と、粉末炭素材料との混合物からなる電極合剤。
  3. 前記有機溶媒が前記フッ化ビニリデン系重合体の潜在溶媒である請求項2に記載の電極合剤。
  4. 前記フッ化ビニリデン系重合体が、フッ化ビニリデンの単独重合体またはフッ化ビニリデン系重合体50重量パーセント以上とフッ化ビニリデンと共重合可能な単量体50重量パーセント未満との共重合体である請求項2または3に記載の電極合剤。
  5. 前記フッ化ビニリデン系重合体のインヘレント粘度が0.5dl/g〜5.0dl/gである請求項2〜4のいずれかに記載の電極合剤。
  6. 請求項2〜5のいずれかに記載の電極合剤を集電体上に塗布することにより得られる電極。
  7. 一対の電極間に有機電解液を配置してなり、該一対の電極の少なくとも一方が請求項6に記載の電極からなる非水系電気化学素子。
  8. 前記粉末炭素材料として活性炭粉末を使用して形成した分極性電極を有し、電気二重層キャパシタとして機能する請求項6に記載の非水系 電気化学素子。
JP32881698A 1998-11-05 1998-11-05 非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子 Expired - Fee Related JP4226704B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32881698A JP4226704B2 (ja) 1998-11-05 1998-11-05 非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP32881698A JP4226704B2 (ja) 1998-11-05 1998-11-05 非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000150320A JP2000150320A (ja) 2000-05-30
JP4226704B2 true JP4226704B2 (ja) 2009-02-18

Family

ID=18214424

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP32881698A Expired - Fee Related JP4226704B2 (ja) 1998-11-05 1998-11-05 非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4226704B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3873844B2 (ja) * 2002-08-06 2007-01-31 松下電器産業株式会社 電気二重層コンデンサ用電解液の評価方法
US7247177B2 (en) 2003-09-11 2007-07-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Production method for electric double-layer capacitor
JP4415673B2 (ja) 2003-12-26 2010-02-17 Tdk株式会社 キャパシタ用電極の製造方法
KR100788565B1 (ko) * 2004-06-21 2007-12-26 삼성에스디아이 주식회사 리튬이온 이차전지용 전해액 및 이를 포함하는 리튬이온이차전지
JP4527605B2 (ja) * 2004-06-21 2010-08-18 三星エスディアイ株式会社 リチウムイオン二次電池用電解液及びこれを含むリチウムイオン二次電池
NO333181B1 (no) * 2010-10-28 2013-03-25 Miljobil Grenland As Fremgangsmate for fremstilling av slurry til produksjon av batterifilm
US11355744B2 (en) 2010-10-28 2022-06-07 Electrovaya Inc. Lithium ion battery electrode with uniformly dispersed electrode binder and conductive additive
FR3002369B1 (fr) * 2013-02-19 2015-10-30 Commissariat Energie Atomique Cellule electrochimique pour batterie lithium-ion comprenant une electrode negative a base de silicium et un electrolyte specifique
AU2018297344B2 (en) 2017-07-07 2021-10-21 Ppg Industries Ohio, Inc. Electrode binder slurry composition for lithium ion electrical storage devices
TWI688146B (zh) 2017-07-07 2020-03-11 美商片片堅俄亥俄州工業公司 用於鋰離子蓄電裝置之電極漿料組合物
US11799086B2 (en) 2017-07-07 2023-10-24 Ppg Industries Ohio, Inc. Electrode binder slurry composition for lithium ion electrical storage devices
EP3806190B1 (en) 2018-05-31 2022-08-24 Kureha Corporation Resin composition for nonaqueous electrolyte secondary battery, separator for nonaqueous electrolyte secondary battery using same, resin composition for electrode mixture layer, electrode for nonaqueous electrolyte secondary battery, and nonaqueous electrolyte secondary battery
CN117625088A (zh) * 2022-08-30 2024-03-01 宁德时代新能源科技股份有限公司 粘结剂、制备方法、正极浆料、二次电池及用电装置
CN117624441A (zh) * 2022-08-30 2024-03-01 宁德时代新能源科技股份有限公司 粘结剂、制备方法、正极浆料、二次电池及用电装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000150320A (ja) 2000-05-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6538835B2 (ja) カルシウム系二次電池用電解質、及びこれを含むカルシウム系二次電池
JP4226704B2 (ja) 非水系電気化学素子電極用バインダー溶液、電極合剤、電極および電気化学素子
JP5041090B2 (ja) 電極用バインダー組成物
US7303974B2 (en) Method for producing electrochemical capacitor electrode
US20070025062A1 (en) Method for producing electrochemical capacitor electrode
JPH10294131A (ja) ポリマー電解質を有するリチウム電池
JP5637858B2 (ja) 電気二重層キャパシタ
US20120107689A1 (en) Binder composition for electrode
US6327136B1 (en) Electrode-forming composition, activated carbon electrode and electric double layer capacitor
JP2008227481A (ja) 導電性スラリー、電極スラリー、それらを用いた電気二重層キャパシタ用電極
KR20140051325A (ko) 집전체, 전극 구조체, 비수전해질 전지 및 축전 부품
KR20170068492A (ko) 바인더 및 그 이용과, 전극의 제조방법
KR102008807B1 (ko) 축전 디바이스용 집전체, 그 제조 방법, 및 그 제조에 사용하는 도포 시공액
JPH1186875A (ja) 非水系二次電池用正極体
US20070026623A1 (en) Method for producing electrochemical capacitor electrode
JP2011119290A (ja) 電気化学素子用電極の製造方法
JP2009099524A (ja) 電極材料とその製造方法、電気化学素子用電極及び電気化学素子
JP4318337B2 (ja) 非水系電気化学素子用電極およびその製造方法
JPH11329448A (ja) 非水系二次電池用正極集電体及び該集電体を有する非水系二次電池
JP2003100348A (ja) 複合ポリマー電解質およびそれを用いた電気化学デバイス
Rustamaji et al. Design, Fabrication, and Testing of Supercapacitor Based on Nanocarbon Composite Material
KR101932966B1 (ko) 초고용량 커패시터 및 그 제조방법
KR20220070027A (ko) 바이어싱 전극을 갖는 슈퍼커패시터
JP2010157534A (ja) 電気化学素子用電極、および電気化学素子
JP5206443B2 (ja) 電気化学素子用電極、および電気化学素子

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051004

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080410

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080422

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080620

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081125

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081127

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111205

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121205

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131205

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees