JP4226341B2 - 糖化リン脂質の分析方法および分析試薬 - Google Patents

糖化リン脂質の分析方法および分析試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素法による糖化リン脂質の分析方法および分析用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
リン脂質の1種であるホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリンはグルコース、マンノース等の様々な糖と反応して不安定なシッフ塩基を介して安定なアマドリ型リン脂質、即ち糖化リン脂質になることが知られている。生体中では血糖の上昇に伴い各種の化合物が糖化され、各種の糖化物が生成する。現在、血中に存在する各種の糖化物の中で、ヘモグロビンやアルブミン等の糖化タンパク質を定量する糖尿病検査が実用化されている。これらの糖化タンパク質は過去の血糖値の平均を表すことから、血糖コントロールの指標として汎用されている。
【0003】
一方近年、糖尿病合併症の要因として、糖化タンパク質ではなく糖化脂質、特に糖化リン脂質が組織や細胞内のメイラード反応の進展に寄与していることが示唆されるようになった。糖化脂質、特に糖化リン脂質の測定は合併症への進展の危険因子の測定として、またメイラード反応阻害薬の治療効果の確認に有用ではないかと期待されている。
糖化リン脂質を分析する方法は、液体クロマトグラフィー−MASS(非特許文献1)、UVラベル液体クロマトグラフィー(非特許文献2)、等が知られているが、現状では大型の専用分析機器を必要とし、また分析操作が煩雑で結果を得るまで長時間を要すること等の欠点を有していた。また、これまで酵素を用いて測定する方法は知られていなかった。
【0004】
【非特許文献1】
Lipids 1995 Oct;30(10):885-91
【非特許文献2】
J. Lipid Res 2002 Mar;43(3):523-9
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、被検液中の糖化リン脂質を短時間で簡便に精度良く分析する酵素的分析方法、ならびに該方法に使用する糖化リン脂質分析用試薬を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するためになされたものであって、本発明者は多方面から鋭意検討した結果、リン脂質加水分解酵素であるホスフォリパーゼとケトアミンに作用する酵素を用いることにより簡便で精度よく糖化リン脂質を分析できる方法を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)被検液を、ホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素で処理することを特徴とする糖化リン脂質の分析方法、
2)ホスフォリパーゼがホスフォリパーゼDである方法、
3)ケトアミンに作用する酵素がケトアミンオキシダーゼである方法、
4)ホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素が微生物由来の酵素である方法、
5)ホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素を含有することを特徴とする糖化リン脂質分析用分析試薬、
6)ホスフォリパーゼがホスフォリパーゼDである分析試薬、
7)ケトアミンに作用する酵素がケトアミンオキシダーゼである分析試薬、
8)ホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素が微生物由来の酵素である分析試薬、
9)ケトアミンに作用する酵素を含有する第一試薬及びホスフォリパーゼを含有する第二試薬を少なくとも備えた糖化リン脂質分析用キット、
10)被検液に、9)の第一試薬を添加し、次いで第二試薬を添加することを特徴とする方法、
に関する。
【0007】
本発明によれば、被検液中の糖化リン脂質はホスフォリパーゼの作用により、低分子量のケトアミンを生成する。次いで、ケトアミンに作用する酵素が生成された該ケトアミンに作用する。その結果、生成された物質を定量するか、消費した補酵素や酸素を定量することにより、糖化リン脂質を精度よく分析することが出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい形態について更に詳しく説明する。
本発明に用いるホスフォリパーゼは糖化リン脂質を加水分解できる酵素であればよい。また、酵素は目的とする活性が発現すれば精製物であっても非精製物であっても良い。リン脂質を加水分解する酵素としてホスフォリパーゼA、B、C、Dが知られておりこれらの酵素は動植物、微生物に幅広く存在している。糖化リン脂質を測定するためにこれらのいずれかの酵素を使用できるが、試薬原料としてはホスフォリパーゼCあるいはホスフォリパーゼDが好ましく、特にホスフォリパーゼDが好ましい。本酵素はキャベツ、ピーナッツ、人参等の植物組織や放線菌等の微生物に存在していることが知られ、そのいずれの酵素を使用することができるが、酵素自身の安定性、酵素の安定供給の面から微生物由来の酵素が好ましい。中でも放線菌の1種であるストレプトマイセス・クロモフスクス由来のホスフォリパーゼDが反応性、安定性に優れており特に好ましい。本ホスフォリパーゼDは糖化ホスファチジルエタノールアミン以外のホスファチジルコリン(レシチン)、リゾレシチン、ホスファチジルセリン等のリン脂質に幅広く作用する性質を有するが糖化リン脂質を分析する上では全く問題は生じない。この酵素の試薬中での濃度は0.05から100U/ml、好ましくは0.5から50U/mlである。なお酵素の活性は基質ホスファチジルコリンを37℃において1分間に1μmol分解する活性を1U(単位)とした。
【0009】
本発明に於ける『ケトアミン』とは、下記の一般式(1)
−(CO)−CHR−NH−
(Rは、水素原子か水酸基を示す)
で表されるケトアミン構造を有する化合物で、具体的には、アマドリ化合物またはアマドリ化合物の分解物である。ケトアミン構造を有するアマドリ化合物の分解物とは、例えば糖化エタノールアミン、糖化セリン等が挙げられる。
【0010】
本明細書に於ける『ケトアミンに作用する酵素』とは、ケトアミン構造を特異的に認識して作用する酵素を意味する。すなわち、本発明に使用しうるケトアミンに作用する酵素とは、ケトアミン構造を特異的に認識して作用する酵素であればいかなる酵素を用いても良い。該酵素の中で、糖化エタノールアミンに作用する酵素が好ましく、糖化エタノールアミン及び糖化セリンに作用する酵素が特に好ましい。また、酵素は目的とする活性が発現すれば精製物であっても非精製物であっても良い。上記の酵素としては、例えばオキシダーゼ、キナーゼ、デヒドロゲナーゼ等が挙げられる。中でもオキシダーゼは良く知られており、産業用に製造されていることから安価に入手することが可能であり好ましい。
【0011】
ケトアミンに作用するオキシダーゼとしてはケトアミンに良好に作用し、公知の方法により測定することが出来る物質を生成するか、公知の方法により量の変化を測定することが出来る補酵素や酸素を消費する酵素であれば良い。
尚、これらの酵素はほとんどが低分子のケトアミンに作用する酵素であり、高分子の糖化リン脂質への作用はきわめて低い。よって、リパーゼ、好ましくはホスフォリパーゼ、最も好ましくはホスフォリパーゼC若しくはDにより、高分子の糖化リン脂質を低分子に分解後、ケトアミンに作用する酵素を作用させると良い。
【0012】
ケトアミンに作用する酵素の例としては、ギベレラ(Gibberella)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、カンジダ(Candida)属、ペニシリウム(Penicillium)属、フサリウム(Fusarium)属、アクレモニウム(Acremonium)属又はデバリオマイゼス(Debaryomyces)属由来のケトアミンオキシダーゼ等が挙げられるが、酵素の安定性、酵素の安定供給の面からフサリウム由来の酵素が特に好ましい。その試薬中での濃度は0.01から300U/ml、好ましくは0.1から100U/mlである。ケトアミンに作用する酵素の活性は糖化Zリジン(αカルボベンズオキシ−ε−D−デオキシフルクトシル−L−リジン;ハシバらの方法に基づき合成、精製した。Hashiba H,J.Agric.Food Chem.24:70,1976)を37℃において1分間に1μmolを分解する活性を1U(単位)とした。
本発明において測定対象となる糖化リン脂質としては、リン脂質の糖化物であればいかなるリン脂質を対象として良いが、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン等の糖化物等が好ましい。
【0013】
本発明における糖化リン脂質の定量方法としては、ホスフォリパーゼの作用により生成したケトアミンから、公知のケトアミンに作用する酵素の作用により生成する物質または消費された補酵素や酸素の量を公知の方法で測定すればよい。例えばケトアミンに作用するオキシダーゼを用いる場合には、本発明の糖化リン脂質分析用組成物に被検液0.001〜0.5mlを加え、37℃の温度にて反応させ、レートアッセイを行う場合には、反応開始後一定時間後の2点間の数分ないし数十分間、例えば3分後と4分後の1分間、または3分後と8分後の5分間における変化した、溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を直接または間接的に測定すれば良く、エンドポイントアッセイの場合には反応開始後一定時間後の変化した溶存酸素、過酸化水素若しくはその他生成物の量を測定すれば良い。この場合既知濃度の糖化リン脂質を用いて測定した場合の吸光度等の変化と比較すれば被検液中の糖化リン脂質の量を求めることができる。
【0014】
本発明の糖化リン脂質分析用組成物を含む分析用試薬としては、ホスフォリパーゼ、ケトアミンに作用する酵素を含んでいれば良いが、さらにケトアミンに作用する酵素の作用により生成する物質または消費された補酵素や酸素の量を公知の方法で測定するための試薬をあらかじめ含んでいても良い。以下一例として、ケトアミンに作用する酵素としてケトアミンオキシダーゼを用い、ケトアミンに作用する酵素の作用により生成する物質として過酸化水素を測定する場合について述べるが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
過酸化水素を測定するための試薬としては、例えば、トリンダー型試薬の色原体及びカップラー試薬の組み合わせが挙げられる。ケトアミンオキシダーゼ反応で生成される過酸化水素はトリンダー試薬の色原体とカップラー試薬との酸化的縮合により色素を生成する。この色素の吸光度を分光学的に測定することができる(WO02061119国際特許公開)。
【0015】
トリンダー型試薬の色原体としては、トルイジン誘導体、アニリン誘導体又はフェノール誘導体等が挙げられるが、トルイジン誘導体が好ましい。トルイジン誘導体としては、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)及びN−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン(TOPS)等が挙げられるが、TOOSが好ましい。アニリン誘導体としては、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(DAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン(MAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン(MAOS)、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニシジン(ADPS)、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン(ALPS)、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(DAPS)、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン(HDAPS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニシジン(ADOS)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン(ALOS)、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン(HDAOS)、N−スルホプロピル−アニリン(HALPS)等が挙げられる。また、フェノール誘導体としては、2,4−ジクロロフェノール等が挙げられる。上記トリンダー型試薬の色原体は全て同人化学研究所社から入手可能である。
【0016】
カップラー試薬としては、4−アミノアンチピリン若しくは3−メチル−2−ベンゾチアゾリノンヒドラゾン(MBTH)等が挙げられるが、4−アミノアンチピリンが好ましい。
また、過酸化水素はパーオキシダーゼ存在下、ロイコ型試薬を用いて発色することができる。ロイコ型試薬の具体例としては、o−ジアニシジン、o−トリジン、3,3−ジアミノベンジジン、3,3,5,5−テトラメチルベンジジン;以上同人化学研究所社製、N−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−4,4−ビス(ジメチルアミノ)ビフェニルアミン(DA64)、10−(カルボキシメチルアミノカルボニル)−3,7−ビス(ジメチルアミノ)フェノチアジン(DA67);以上和光純薬社製等が挙げられる。
【0017】
また、酸化によって蛍光を発する化合物、触媒として化学発光する化合物及びカタラーゼも過酸化水素を定量するための試薬として有用である。
酸化によって蛍光を発する化合物としては、例えばホモバニリン酸、4−ヒドロキシフェニル酢酸、チラミン、パラクレゾール、ジアセチルフルオレスシン誘導体が挙げられ、蛍光法を用いて定量することが出来る。
化学発光する触媒としては、ルミノール、ルシゲニン、イソルミノール、ピロガロール等が挙げられ、化学発光法を用いて定量することが出来る。
さらには、カタラーゼ等を用いてアルコールからアルデヒドを生成せしめて、生じたアルデヒドを定量する方法が挙げられ、具体的にはハンチ反応を用いる方法や、MBTHとの縮合反応により発色させる方法、若しくはアルデヒドデヒドロゲナーゼを用いる方法等が挙げられる。
【0018】
また過酸化水素を、電極を用いて測定する場合、電極には、過酸化水素との間で電子を授受する事の出来る材料である限り特に制限されないが、例えば白金、金若しくは銀等が挙げられる。電極測定方法としてはアンペロメトリー、ポテンショメトリー、クーロメトリー等の公知の方法を用いることが出来る。さらにオキシダーゼまたは基質と電極との間の反応に電子伝達体を介在させ、得られる酸化、還元電流或いはその電気量を測定しても良い。電子伝達体としては電子伝達機能を有する任意の物質が使用可能であり、例えばフェロセン誘導体、キノン誘導体等の物質が挙げられる。またオキシダーゼ反応により生成する過酸化水素と電極の間に電子伝達体を介在させ得られる酸化、還元電流またはその電気量を測定しても良い。
【0019】
本発明の分析用試薬には必要に応じて添加物を添加しても良く、添加物としては界面活性剤、緩衝液、防腐剤、酵素の安定化剤等が挙げられる。界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレンひまし油、ポリオキシエチレンステロール類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンラノリン類、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸・リン酸塩類、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、Nアシルアミノ酸塩類、アルキルエーテルカルボン酸塩類、アルキルリン酸塩、Nアシルタウリン酸塩、スルホン酸塩、アルキル硫酸、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、レシチン誘導体、ポリエチレングリコール類、ポリエチレングリコールラウリルエーテル、ポリエチレングリコールイソオクチルフェニルエーテル、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール等が挙げられ、その濃度は、0.01〜10%、好適には0.05〜5%である。緩衝液としては、例えばトリス−塩酸緩衝液、グリシン−NaOH緩衝液、燐酸緩衝液、グッドの緩衝液等が挙げられ、その濃度は、10mM〜2M、好適には20mM〜1Mである。防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウムが挙げられ、その濃度は、0.01〜10%、好適には0.05〜1%である。ケトアミンオキシダーゼの安定化剤としてはソルビトールに代表される各種糖類、グルタミン酸に代表される各種アミノ酸等が挙げられる。これらは0.1〜10%、好適には0.5〜5%の範囲で添加すればいい。ホスフォリパーゼの安定化剤としては、ホスフォリパーゼが安定に試薬中で存在する添加剤であれば何れのものでも良いが、例えば、カルシウム、マグネシウムを含む塩類が挙げられ、その濃度は、0.01mM〜1M、好適には0.1mM〜500mMである。また、金属塩類、例えば塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マンガン、塩化コバルト、塩化亜鉛、塩化カルシウム等も好ましい添加剤として挙げられる。その濃度は、1mM〜5M、好適には10mM〜1Mである。
【0020】
本発明の分析用試薬は、必要な試薬を全て含んだ一組成物として使用することが出来るが、分析用試薬の保存安定性を保つために2つの試薬、即ち、第一試薬、第二試薬に分割して使用することが好ましい。
第一試薬としては、ケトアミンに作用する酵素を含有する試薬が好ましく、例えば、ケトアミンオキシダーゼ、及びトリンダー型試薬の色原体を含有する試薬が挙げられる。第二試薬としてはホスフォリパーゼを含有する試薬が好ましく、例えばホスフォリパーゼ及びカップラーを含有する試薬が挙げられる。
第一試薬と第二試薬をあらかじめ混合してから被検液を加えてもよいし、第一試薬に被検液を加えてから第二試薬を加えてもよい。また、逆に第二試薬に被検液を加えてから第一試薬を加えてもよい。要するに、被検液に両試薬を加える順序は如何なる順序でもよい。
【0021】
ところで、血清等の生体成分中には糖化アミノ酸がまれに存在することがあるため正誤差を生じる危険性が考えられるが、第一試薬と第二試薬の組成物を適切に選択し、適切な順序で作用させることで正誤差の危険性を回避することが出来、分析の精度を著しく向上させることが出来る。こうした観点からは、ケトアミンオキシダーゼ及びトリンダー型試薬の色原体を含有する試薬、即ち、第一試薬にパーオキシダーゼあるいはカタラーゼを含有させておき、まず、第一試薬に被検液を加え、例えば5〜50℃にて0.1〜60分間加熱する。この段階で、糖化アミノ酸は消去される。その後、ホスフォリパーゼ及びカップラー試薬を含有する第二試薬を加えて分析すればよい。
さらに、本試薬は液状、凍結乾燥品、液状試薬の凍結品等の形態で供給することが出来る。
【0022】
【製剤例】
以下に製剤例を具体的に説明するが、以下の例によって限定されるものではない。
[製剤例1]
試薬Aは下記最終濃度になるように各成分を混合して調製した。
50mM トリス−塩酸緩衝液(和光純薬社製)(pH8.0)
6U/ml ケトアミンオキシダーゼ(旭化成社製)
10U/ml パーオキシダーゼ(シグマ社製)
0.1% トリトンX100(和光純薬社製)
0.1% TOOS(和光純薬社製)
【0023】
[製剤例2]
試薬Bは下記最終濃度になるように各成分を混合して調整した。
50mM トリス−塩酸緩衝液(pH8.0)
7U/ml ホスフォリパーゼD(旭化成社製:T-07)
20mM 塩化カルシウム(和光純薬社製)
0.1% 4−アミノアンチピリン(和光純薬社製)
0.1% トリトンX100
【0024】
【実施例】
以下に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
[実施例1]
製剤例1および2記載の試薬A及びBを各500μlを混合し、0.1から1mMの糖化ホスファチジルエタノールアミン溶液20μlを添加し、37℃で5分間反応後、550nmの吸光度を測定した。そのときの結果を図1に示した。
図1から分かるようにホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素を用いて糖化ホスファチジルエタノールアミンを測定することが可能であった。また糖化ホスファチジルエタノールアミンの替わりに糖化ホスファチジルセリンを用いても同様の結果が得られた。
【0025】
[実施例2]
製剤例1記載の試薬A500μlに、0〜100μMの糖化アミノ酸(糖化Zリジン)を含む0.5mM糖化ホスファチジルエタノールアミン溶液20μlを添加し、37℃で5分間糖化アミノ酸の消去反応を行い、続いて製剤例2記載の試薬B500μlを添加し37℃で5分間反応後、550nmの吸光度を測定した。そのときの結果を図2に示した。
図2から分かるように糖化Zリジンの濃度によらず、一定の糖化ホスファチジルエタノールアミンの測定値が得られることから、最初から被検液中に存在する低分子のケトアミン(この場合は糖化アミノ酸)を消去して、正確に糖化ホスファチジルエタノールアミンのみを測定することが可能であった。また糖化ホスファチジルエタノールアミンの替わりに糖化ホスファチジルセリンを用いても同様の結果が得られた。
【0026】
【発明の効果】
本発明により、ホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素で処理することにより、糖化リン脂質濃度を分析する方法が提供される。
また、本発明により、ホスフォリパーゼ及びケトアミンに作用する酵素を含有する糖化リン脂質分析用の分析試薬及びキットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に基づく糖化リン脂質測定の検量線である。
【図2】本発明の実施例2に基づく糖化リン脂質測定における、最初から被検液中に存在する糖化アミノ酸の影響試験結果である。

Claims (6)

  1. 被検液を、ホスフォリパーゼDで処理し次いでケトアミンオキシダーゼで処理し、生成された過酸化水素又は消費した酸素を定量することを特徴とする糖化ホスファチジルエタノールアミンもしくは糖化ホスファチジルセリンの分析方法。
  2. ホスフォリパーゼD及びケトアミンオキシダーゼ、が微生物由来の酵素である請求項1記載の方法。
  3. ホスフォリパーゼD、ケトアミンオキシダーゼ、及び、生成された過酸化水素又は消費した酸素を定量する試薬を含有することを特徴とする糖化ホスファチジルエタノールアミンもしくは糖化ホスファチジルセリン分析用分析試薬。
  4. ホスフォリパーゼD及びケトアミンオキシダーゼが微生物由来の酵素である請求項に記載の分析試薬。
  5. ケトアミンオキシダーゼを含有する第一試薬及びホスフォ
    リパーゼDを含有する第二試薬を少なくとも備え、生成された過酸化水素又は消費した酸素を定量する試薬を含有する糖化ホスファチジルエタノールアミンもしくは糖化ホスファチジルセリン分析用キット。
  6. 被検液に、請求項記載の第一試薬を添加し、次いで第二試薬を添加することを特徴とする請求項1もしくは2記載の方法。
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