JP4226170B2 - 小型車両用伝動装置 - Google Patents

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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16HGEARING
    • F16H45/00Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches
    • F16H2045/002Combinations of fluid gearings for conveying rotary motion with couplings or clutches comprising a clutch between prime mover and fluid gearing

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,自動二輪車,四輪バギーその他の小型車両に適用される伝動装置,特に,エンジンのクランク軸と,このクランク軸と平行に配置される,多段変速機の入力軸とを,エンジン側に連なるポンプ羽根車及び多段変速機側に連なるタービン羽根車を有する流体伝動手段を介して連結したものゝ改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
かゝる小型車両用伝動装置において,流体伝動手段をトルクコンバータで構成したものは,特開昭57−69163号公報に開示されているように,既に知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報記載の伝動装置では,エンジンのクランク軸と,多段変速機の入力軸とをトルクコンバータのみを介して連結して,発進時や変速時のトルクショックをトルクコンバータの滑り作用により吸収するようにしている。
【0004】
しかしながら,トルクコンバータや流体継手は,滑り機能を有するとは言え,エンジンから動力を入力される限り多少ともトルク伝達を行うので,従来のものでは,変速機をニュートラル位置からロー位置へ切換える発進時に,エンジンがアイドリング状態にあっても車両の駆動車輪に多少とも動力が伝達するクリープ現象が発生する。また走行中,変速機の切換摺動部には常に伝達トルクに起因する摩擦が作用するため,変速機の切換抵抗が大きく,大なる変速操作荷重を要する等の欠点がある。またトルクコンバータは,エンジンから減速駆動される多段変速機の入力軸に取付けられているため,トルクコンバータの負担する伝達トルクは比較的大きく,したがって容量が大きい大型のトルクコンバータの使用を余儀なくされ,これがエンジン及び変速機を含むパワーユニットのコンパクト化を困難にしている。
【0005】
本発明は,かゝる事情に鑑みてなされたもので,クリープ現象を解消すると共に,変速機の変速操作を軽快に行うことができ,しかも構成が簡単で組立性の良好な前記小型車両用伝動装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,エンジンのクランク軸と,このクランク軸と平行に配置される,多段変速機の入力軸とを,エンジン側に連なるポンプ羽根車及び多段変速機側に連なるタービン羽根車を有する流体伝動手段を介して連結した,小型車両用伝動装置において,エンジンのクランク軸上に,このクランク軸をベアリングを介して支持するクランクケースの一側壁側から外方に向かって1次減速装置,流体伝動手段及び変速クラッチと順次配置し,変速クラッチの入力部材をクランク軸に,変速クラッチの出力部材をポンプ羽根車に,タービン羽根車を1次減速装置の駆動ギヤに,1次減速装置の被動ギヤを変速機の入力軸にそれぞれ連結し,前記ベアリングと,クランク軸の先端部に螺着されるナットとで,入力部材,ポンプ羽根車及びタービン羽根車のクランク軸上での軸方向移動を拘束したことを第1の特徴とする。
【0007】
尚,前記流体伝動手段は,後述する本発明の第1及び第2実施例のトルクコンバータT,T′に対応し,変速クラッチの入力部材は,第1実施例のクラッチケーシング27及び第2実施例の駆動板71に対応し,変速クラッチの出力部材は,第1実施例の摩擦クラッチ板23及び第2実施例の出力部材84に対応する。
【0008】
上記第1の特徴によれば,エンジンのアイドリング時には,変速機のロー位置でも,変速クラッチをオフ状態に制御することにより,流体伝動手段の存在に関わりなく変速クラッチ以降への動力伝達を遮断して,クリープ現象を防ぐことができる。また変速操作時には,最初に変速クラッチをオフ状態に制御することにより,流体伝動手段の存在に関わりなく変速機を無負荷状態にして,トルクショックを伴うことなく変速を軽快に行うことができる。
【0009】
しかも,クランク軸は,これが減速装置を介して駆動する変速機の入力軸より高速で回転するものであるから,このクランク軸に取付けられる流体伝動手段及び変速クラッチが負担する伝達トルクは比較的小さく,それだけ流体伝動手段及び変速クラッチの各容量を小さくして,それらのコンパクト化が可能となり,流体伝動手段及び変速クラッチの併設によるも,パワーユニットのコンパクト化を図ることができる。
【0010】
また1次減速装置はクランクケースの側壁に最も近接して配置されるので,該装置の作動に伴いクランク軸及び変速機の入力軸に加わる曲げモーメントを最小とすることができる。また流体伝動手段は,変速クラッチより重量が大であるが,その変速クラッチよりはクランクケースの側壁に近接して配置されるので,それらの重量によりクランク軸に加わる曲げモーメントも最小にすることができる。その結果,流体伝動手段及び変速クラッチのコンパクト化と相俟って,クランク軸,変速機入力軸及びこれらを支持するベアリングの耐久性向上に寄与し得る。
【0011】
さらに一個のナットにより,入力部材,ポンプ羽根車,タービン羽根車及び駆動ギヤをクランク軸に取付けることができ,構成の簡素化と組立性の向上を同時に図ることができる。
【0012】
しかもポンプ羽根車及びタービン羽根車間に発生するスラスト荷重を前記ベアリング及びナットを介してクランク軸に負担させることになり,クランクケースの荷重負担を軽減して,その耐久性の向上に寄与することができる。
【0013】
また本発明は,第1の特徴に加えて,クランク軸が,前記ベアリング側に位置する大径軸部と,この大径軸部の先端に段部を介して連なる小径軸部とを備え,前記段部と,小径軸部の先端に螺着されるナットとで前記入力部材を小径軸部上に挟持,固定し,前記ベアリング及び入力部材によりポンプ羽根車及びタービン羽根車の軸方向移動を拘束したことを第2の特徴とする。
【0014】
この第2の特徴によれば,クランク軸の段部とナットにより入力部材をクランク軸に強固に固定することができる。しかもこの入力部材及び前記ベアリングがポンプ羽根車及びタービン羽根車の軸方向移動を拘束するので,それら羽根車のための専用の保持部材は不要となり,構成の簡素化を図ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に示す本発明の実施例に基づいて以下に説明する。
【0016】
図1は本発明の第1実施例を示す自動二輪車用パワーユニットの縦断平面図,図2は上記パワーユニットの伝動装置の拡大縦断面図,図3は本発明の第2実施例を示す,図2に対応した断面図である。
【0017】
先ず,図1及び図2に示す本発明の第1実施例の説明から始める。図1において,自動二輪車用パワーユニットPは,エンジンE及び多段変速機Mを一体化して構成される。そのエンジンEは,従来普通のように,クランクケース1に左右一対のボールベアリング3,3′を介して支承されるクランク軸2と,シリンダブロック5のシリンダボア5aに摺動自在に嵌装されてコンロッド6を介してクランク軸2に連接されるピストン7とを備えると共に,クランク軸2を自動二輪車の左右方向へ向けて配置される。
【0018】
クランクケース1にはミッションケース8が一体に連設されており,このミッションケース8の左右両側壁により多段変速機Mの,クランク軸2と平行に配置された入力軸10及び出力軸11がそれぞれボールベアリング12,12′;13,13′を介して支承され,これら入力軸10及び出力軸11にわたり,図1で左側から第1速ギヤ列G1,第2速ギヤ列G2,第3速ギヤ列G3及び第4速ギヤ列G4が順次配設される。そして第2速ギヤ列G2の被動ギヤG2b,及び第3速ギヤ列G3の駆動ギヤG3aがシフトギヤを兼ねており,両シフトギヤG2b,G3aが共に中立位置にあるときは,変速機Mはニュートラル状態にあり,シフトギヤG2bが図1で左動又は右動すると第1速ギヤ列G1又は第3速ギヤ列G3が確立し,シフトギヤG3aが左動又は右動すると,第2速ギヤ列G2又は第4速ギヤ列G4が確立するようになっている。上記シフトギヤG2b,G3aは,図示しない公知のペダル式その他のマニュアル式チェンジ装置により作動される。
【0019】
前記クランクケース1の右外側方において,クランク軸2と変速機Mの入力軸10とは,クランクケース1及びミッションケース8外で互いに直列関係に接続される変速クラッチCc,トルクコンバータT及び1次減速装置14を介して相互に連結される。その際,特に,変速クラッチCc,トルクコンバータT及び1次減速装置14の駆動ギヤ14aはクランク軸2上に,クランクケース1の右側壁側から外方に向かって駆動ギヤ14a,トルクコンバータT及び変速クラッチCcの順で取付けられる。そしてこれらを覆う右サイドカバー15aがクランクケース1及びミッションケース8の右端面に接合される。
【0020】
またクランク軸2の左端には,発電機16のロータ17が固着され,それのステータ18は,発電機16を覆ってクランクケース1の左端面に接合される左サイドカバー15bに取付けられる。
【0021】
変速機Mの出力軸11の左端には,ミッションケース8外で,自動二輪車の後輪(図示せず)を駆動するチェーン式の最終減速装置19が連結される。
【0022】
図2において,クランク軸2の,クランクケース1の右外側方に突出する部分は,ベアリング3′側の大径軸部2aと,この大径軸部2aの先端に環状段部2cを介して連なる小径軸部2bとからなっている。
【0023】
変速クラッチCcは,一端に端壁20aを,また中心部にボス20bを有する円筒状のクラッチケーシング20と,このクラッチケーシング20内にあって上記ボス20bの外周に摺動自在にスプライン嵌合される加圧板21と,クラッチケーシング20の開放端部に油密に固着される受圧板22と,上記加圧板21及び受圧板22の間に介裝される環状の摩擦クラッチ板23とを備える。クラッチケーシング20のボス20bは,クランク軸2の前記小径軸部2bにスプライン嵌合すると共に,その前端面を座板65を挟んでクランク軸2の前記環状段部2cに当接させるように配置される。そして前記小径軸部2bの先端に螺着されるナット80で上記ボス20bの後端面が緊締される。こうしてクラッチケーシング20は,環状段部2cとナット80とでクランク軸2上に挟持,固定される。
【0024】
また摩擦クラッチ板23の内周部には,後述するポンプ羽根車50の伝動板24がスプライン係合される。
【0025】
加圧板21は,クラッチケーシング20の端壁20a及び周壁との間に油圧室25を画成する。この油圧室25は,クラッチケーシング20のボス20bに設けられる入口弁26を介してクランク軸2の前記第1流入孔43aに接続されると共に,端壁20aの外周部に設けられる出口弁28を介してクラッチケーシング20外に開放されるようになっている。
【0026】
ボス20bには,クランク軸2と平行に延びる複数個の弁孔29と,各弁孔29を経て前記第1流入孔43aから油圧室25に至る複数本の通孔30とが穿設されており,各弁孔29に,スプール弁からなる入口弁26が摺動可能に嵌合される。そして,これら入口弁26が図2で右動位置(同図上側の入口弁26参照)を占めると通孔30を開通し,左動位置(同図下側の入口弁26参照)を占めると通孔30を閉鎖するようになっている。尚,ボス20bの通孔30とクランク軸2の第1流入孔43aとの連通を確実にするために,クランク軸2及びボス20bの互いに嵌合するスプライン部の一部の歯を切除することが効果的である。
【0027】
またクラッチケーシング20の端壁20aの外周部には,その周方向等間隔置きに複数個の出口孔32が穿設され,これら出口孔32を油圧室25側で開閉し得る,リード弁からなる出口弁28の一端が端壁20aにかしめ結合される。
【0028】
端壁20aには,さらに,各出口孔32に連通するガイドカラー33が固着されており,各ガイドカラー33に開弁棒31が摺動可能に嵌合される。この開弁棒31は,ガイドカラー33内でのオイルの流れを可能にする軸方向溝を外周面に有しており,図2で右動位置(同図上側の開弁棒31参照)を占めると出口弁28の自己の弾性力による出口孔32に対する閉鎖を許容し,左動位置(同図下側の開弁棒31参照)を占めると出口弁28を油圧室25内方へ撓ませて出口孔32を開放するようになっている。
【0029】
上記入口弁26及開弁棒31の外端には,共通の弁作動板34が連結される。この弁作動板34は,クラッチケーシング20のボス20bに図2で左右方向摺動可能に支承されるもので,その右動位置を規定するストッパ環35がボス20bに係止され,このストッパ環35に向けて弁作動板34を付勢する戻しばね36がクラッチケーシング20及び弁作動板34間に縮設される。
【0030】
弁作動板34には,ボス20bを同心上で囲繞するレリーズベアリング37を介して押圧環38が装着され,この押圧環38の外端面に変速クラッチ操作カム軸39に固設されたアーム39aが係合し,変速クラッチ操作カム軸39を往復回動することにより,戻しばね36と協働して,弁作動板34を入口弁26及び開弁棒31と共に左右動させ得るようになっている。
【0031】
変速クラッチ操作カム軸39には,これをエンジンEのアイドリング時や変速機Mの変速操作時に回動させる電動式又は電磁式のクラッチアクチュエータ(図示せず)が連結される。
【0032】
而して,エンジンEの通常運転状態では,弁作動板34が戻しばね36の付勢力により後退位置,即ち図2で右動位置(同図上側の弁作動板34参照)に保持されて,入口弁26を開弁すると共に,出口弁28の閉弁を許容する。したがって,オイルポンプ44から圧送されたオイルが上流供給油路27aから第1流入孔43a及び通孔30を経てクラッチケーシング20内の油圧室25に供給されて該室25を満たすことになる。
【0033】
クラッチケーシング20はクランク軸2と共に回転しているから,クラッチケーシング20の油圧室25のオイルは遠心力を受けて油圧を発生し,その油圧をもって加圧板21が摩擦クラッチ板23を受圧板22に対して押圧することにより,加圧板21,受圧板22及び摩擦クラッチ板23の三者は摩擦係合される。即ち変速クラッチCcはオン状態となって,クランク軸2の出力トルクを摩擦クラッチ板23からトルクコンバータTに伝達する。
【0034】
一方,エンジンEのアイドリング時又は変速機Mの変速操作時には,クラッチアクチュエータにより変速クラッチ操作カム軸39を回動し,弁作動板34を図2で左動位置(同図下側の弁作動板34参照)へ移動し,これにより入口弁26を閉弁すると共に出口弁28を開弁する。その結果,上流供給油路27aから油圧室25へのオイル供給が遮断されると共に,油圧室25のオイルが出口孔32からクラッチケーシング20外に排出されて油圧室25の油圧を低下させ,加圧板21の摩擦クラッチ板23に対する押圧力が激減するため,加圧板21,受圧板22及び摩擦クラッチ板23の三者の摩擦係合は解かれる。即ち変速クラッチCcはオフ状態となり,クランク軸2からトルクコンバータTへのトルク伝達を遮断する。クラッチケーシング20外に排出されたオイルは油溜め46に還流する。
【0035】
その状態から,発進のためにエンジンEの回転が加速され,又は変速操作が完了すると,クラッチアクチュエータは直ちに非作動状態に戻り,弁作動板34を戻しばね36の付勢力で右動位置まで一気に後退させ,再び入口弁26を開弁すると共に,出口弁28を閉弁させるので,前述の作用から明らかなように変速クラッチCcは,半クラッチ状態を経ずにオフ状態からオン状態に復帰することになる。即ち,変速クラッチCcは半クラッチ領域を持たないオン・オフ型であり,そのトルク容量は,トルクコンバータTのそれより大きく設定される。
【0036】
同じく図2において,トルクコンバータTは,ポンプ羽根車50,タービン羽根車51及びステータ羽根車52から構成される。そのポンプ羽根車50は,前記受圧板22に隣接して配置されると共に,そのボス50aがニードルベアリング53を介してクランク軸2の前記大径軸部2aに支承される。このポンプ羽根車50の外側面には,前記摩擦クラッチ板23の内周にスプライン係合する伝動板24が固着されている。したがって,摩擦クラッチ板23の伝動トルクは,この伝動板24を介してポンプ羽根車50に伝達される。
【0037】
またクランク軸2の大径軸部2aには,ポンプ羽根車50のボス50aと,クランク軸2を支持する前記ボールベアリング3′との間に配置されるステータ軸60の右端部がニードルベアリング54を介して支承され,このステータ軸60にステータ羽根車52のボス52aが凹凸係合により連結される。ステータ軸60の左端部にはステータアーム板56が固着されており,このステータアーム板56が中間部に有する円筒部56aの外周面がボールベアリング57を介してクランクケース1に支承される。またステータアーム板56の外周部はフリーホイール58を介してクランクケース1に支持される。
【0038】
ポンプ羽根車50に対向するタービン羽根車51は中心部にタービン軸59が一体的に連結されており,このタービン軸59の右端部はニードルベアリング61を介してステータ軸60に支承され,その左端部はステータアーム板56の円筒部56a内周面にボールベアリング62を介して支承される。このタービン軸59とクランク軸2の大径軸部2aとの間には,ステータ軸60の横孔63を貫通して一方向クラッチ64が設けられる。この一方向クラッチ64は,タービン軸59に逆負荷が加えられたときオン状態となって,タービン軸59及びクランク軸2間を直結するようになっている。
【0039】
ポンプ羽根車50のボス50aは,その外端面がクランク軸2の環状段部2cに固着された前記座板65に回転可能に支承されるように配置される。またステータアーム板56とクランク軸2を支承する前記ベアリング3′のインナレースとの対向端面間に座板65が介裝され,そのインナレースが座板65,ステータアーム板56及びベアリング62を介してタービン軸59の外端面を回転可能に支承する。こうしてポンプ羽根車50,タービン羽根車51及びステータ羽根車52は,ベアリング3′のインナレース及びクラッチケーシング20によって軸方向に保持される。
【0040】
ポンプ羽根車50のボス50a,タービン軸59及びステータ羽根車52のボス52aの各間の間隙がトルクコンバータTの流体入口47iとされ,またタービン軸59のタービン羽根車51外側へ延びる部分にトルクコンバータTの流体出口47oが設けられ,その流体入口47iはクランク軸2の前記第2流入孔43bと連通し,流体出口47oは,ステータ軸60の横孔63を介してクランク軸2の前記流出孔45に連通する。したがって,オイルポンプ44からクランク軸2の上流供給油路27aに供給されたオイルが第2流入孔43bに入ると,流体入口47iからポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間の油室に入り,その油室及び後述するロックアップクラッチLcの油圧室76を満たした後,流体出口47oから流出孔45を経てクランク軸2の下流供給油路27bへと流れるようになっている。
【0041】
タービン軸59には,1次減速装置14の駆動ギヤ14aが一体に形成され,これに噛合する被動ギヤ14bが変速機Mの入力軸10にスプライン結合される。こうして構成される1次減速装置14は,クランクケース1とトルクコンバータTとの間に配置される。
【0042】
而して,クランク軸2の出力トルクがオン状態の変速クラッチCcを介してポンプ羽根車50に伝達されると,そのトルクは,トルクコンバータT内を満たしたオイルの作用によりタービン羽根車51に流体的に伝達される。このとき,両羽根車50,51間でトルクの増幅作用が生じていれば,それに伴う反力はステータ羽根車52に負担され,ステータ羽根車52は,フリーホイール58のロック作用によりクランクケース1に固定的に支持される。またトルクの増幅作用が生じていなければ,ステータ羽根車52は,フリーホイール58の空転作用により空転が可能となるから,ポンプ羽根車50,タービン羽根車51及びステータ羽根車52の三者は,共に同方向へ回転する。
【0043】
ポンプ羽根車50からタービン羽根車51に伝達されたトルクは1次減速装置14を介して変速機Mの入力軸10に伝達され,そして確立を選択された変速ギヤ列G1〜G4,出力軸11及び最終減速装置19を順次経て図示しない後輪へと伝達され,それを駆動する。
【0044】
走行中のエンジンブレーキ時には,タービン軸59に逆負荷トルクが加わることにより,一方向クラッチ64がオン状態となるから,タービン軸59及びクランク軸2相互が直結され,逆負荷トルクがトルクコンバータTを経由することなくクランク軸2に伝達されることになり,良好なエンジンブレーキ効果を得ることができる。
【0045】
ポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間には,それらを直結状態にし得るロックアップクラッチLcが設けられる。このロックアップクラッチLcは,ポンプ羽根車50の外周部に連設されてタービン羽根車51を囲繞する円筒状のポンプ延長部50bと,タービン軸59に回転自在に支承されると共に,ポンプ延長部50bの開放端に油密に結合される受圧板70と,タービン軸59に摺動可能に支承されて,受圧板70の内面に対向配置される加圧板71と,これら加圧板71及び受圧板70間に介裝される環状の摩擦クラッチ板72と,受圧板70及び加圧板71間に介裝されて加圧板71を受圧板70と反対方向へ付勢する皿型の戻しばね73とを備え,その摩擦クラッチ板72は,タービン羽根車51の外側面に固着された伝動板79に外周部がスプライン係合される。また受圧板70及び加圧板71は,両者一体になって回転しながら軸方向に相対摺動し得るように,相対向面に互いに係合するドグ74及び凹部75が形成される。
【0046】
ポンプ延長部50bの内部は受圧板70により油圧室76に画成され,この油圧室76は,ポンプ羽根車50及びタービン羽根車51の対向間隙を通してそれらの内部と連通していて,オイルが満たされる。
【0047】
受圧板70には,摩擦クラッチ板72の内周側を受圧板70外へ開放する逃がし孔77と,受圧板70の内周面を軸方向に延びる空気抜き溝78とが設けられる。
【0048】
而して,ポンプ羽根車50の回転数が所定値未満のときは,ポンプ延長部50b内の油圧室76を満たすオイルの遠心力が小さいことから,油圧室76の油圧は上がらず,加圧板71は戻しばね73の付勢力により後退位置に戻っていて,摩擦クラッチ板72を解放しているので,ロックアップクラッチLcはオフ状態となっている。
【0049】
この間,油圧室76のオイルは,受圧板70の逃がし孔77から外部に流出するが,その量は極めて少なくから,その後の油圧室76の昇圧に支障を来すものではない。
【0050】
ポンプ羽根車50の回転数が所定値以上になると,それに応じて油圧室76のオイルの遠心力が増大して油圧室76を昇圧させるので,その高油圧をもって加圧板71は受圧板70に向かって前進して,受圧板70との間で摩擦クラッチ板72を挟圧し,ロックアップクラッチLcはオン状態となる。オン状態となったロックアップクラッチLcは,ポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間を直結状態にするので,両羽根車50,51間の滑り損失を無くし,伝動効率を高めることができる。
【0051】
その際,摩擦クラッチ板72の内周側では,オイルが逃がし孔77から流出することにより昇圧が起こらないので,加圧板71の両面間に大なる圧力差が生じ,摩擦クラッチ板72に対する挟圧が効果的に行われる。
【0052】
かくして,ポンプ羽根車50に連なるポンプ延長部50b内の油圧室76の遠心油圧の利用により,遠心重錘を用いることなく,ロックアップクラッチLcをポンプ回転数依存型とすることができる。したがって,特別な制御手段も不要であり,しかも使用するオイルはトルクコンバータの作動オイルであるから,専用のオイルポンプも不要であり,構成簡素なロックアップクラッチLcを安価に提供することができる。
【0053】
ところで,エンジンEの運転中,オイルポンプ44から吐出されたオイルは,先ず上流供給油路27aに入り,第1流入孔43aを経て変速クラッチCcの油圧室25に入り,その作動と冷却に寄与し,また第2流入孔43bを経てポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間の油室及びロックアップクラッチLcの油圧室76に流入して,トルクコンバータT及びロックアップクラッチLcの作動と冷却に寄与する。そして,油圧室76から流出孔45を経て下流供給油路27bへと移ったオイルは,クランクピン外周のニードルベアリング49に供給され,その潤滑に寄与し,その潤滑を終えたオイルは,クランク軸2の回転に伴い周囲に飛散してピストン7等の潤滑に供される。上記オイルポンプ44は,元来,エンジンEに潤滑用オイルを供給するものであるが,そのオイルを変速クラッチCcやトルクコンバータT,ロックアップクラッチLcのための作動オイルに利用するようにしたので,作動オイル供給のための専用オイルポンプを設ける必要がなく,構成の簡素化を図ることができる。
【0054】
またクランク軸2に設けられた上流供給油路27a及び下流供給油路27bは,オリフィス48を介して直接的にも連通しているから,オイルポンプ44から上流供給油路27aに送られたオイルの一部は,トルクコンバータT等を経由せず,オリフィス48を通して下流供給油路27bへ直接移るので,オリフィス48の選定によりトルクコンバータT及びエンジンEへのオイルの分配割合を自由に設定することができる。
【0055】
また変速クラッチCcのクラッチケーシング20は,クランク軸2の大径軸部2a及び小径軸部2b間の環状段部2cと,小径軸部2bに螺着されたナット80とでクランク軸2上に挟持,固定されるので,一個のナット80によりクラッチケーシング20をクランク軸2に強固に固着することができる。しかもそのクラッチケーシング20がクランク軸2を支承するベアリング3′のインナレースと協働して,ポンプ羽根車50,タービン羽根車51及びステータ羽根車52の軸方向位置を保持するので,上記羽根車50,51,52のための専用の保持部材は不要となり,構成の簡素化と組立性の向上を図ることができ,のみならずポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間に発生するスラスト荷重をベアリング3′及びナット80を介してクランク軸2に負担させて,クランクケース1の荷重負担を軽減し,その耐久性の向上に寄与することができる。
【0056】
次に,図3に示す本発明の第2実施例について説明する。
【0057】
変速クラッチCc′は,クランク軸2の小径軸部2bにスプライン結合される駆動板81と,この駆動板81の外側面に一体に突設された支持筒82に摺動可能に支承される有底円筒状のクラッチケーシング83とを備える。駆動板81は,クラッチケーシング83の端壁に隣接して配置されると共に,その外周がクラッチケーシング83の内周にスプライン結合される。クラッチケーシング83内にはクラッチインナ84が同軸状に配置され,クラッチケーシング83の円筒部内周に摺動可能にスプライン係合した複数枚の環状の駆動摩擦板85と,クラッチインナ84の外周に摺動可能に係合した複数枚の環状の被動摩擦板86とが交互に積層配置される。その際,これら摩擦板85,86群の内,外側に2枚の駆動摩擦板85,85が配置され,その外側の駆動摩擦板85の外側面に対面する受圧環87がクラッチケーシング83の円筒部内周に係止される。
【0058】
両側の駆動摩擦板85,85間に,これらを離間方向に付勢する離間ばね88が縮設される。また内側の被動摩擦板86には,クラッチインナ84の外周に突設されたフランジ84aが対置される。
【0059】
駆動板81には,複数個の遠心重錘89がピボット90により揺動自在に取付けられ,各遠心重錘89の押圧腕部89aが内側の駆動摩擦板85を押圧し得るように配置される。また駆動板81の支持筒82には,クラッチケーシング83の外方(図3では右方)への摺動限を規定するストッパ91が設けられ,このストッパ91に向けてクラッチケーシング83を付勢するクラッチばね92が駆動板81及びクラッチケーシング83間に装着される。
【0060】
クラッチインナ84は,公知の逆負荷伝達用ねじ機構93を介して環状の出力部材94が連結され,この出力部材94は,トルクコンバータT′のポンプ羽根車50のボス50a外周にスプライン結合される。
【0061】
クラッチケーシング83は,その外側面に突出したボス83aを有しており,このボス83aに,レリーズベアリング95を介してレリーズカム96が取付けられる。このレリーズカム96には,右サイドカバー15aに調節ボルト97を介して取付けられる固定カム98が対置され,この固定カム98に付設されたボール99が,レリーズカム96の凹部96aに係合される。
【0062】
またレリーズカム96は,変速に先立って作動されるクラッチアーム(図示せず)によって回動されるようになっている。
【0063】
而して,エンジンEのアイドリング時には,クランク軸2と共に回転する駆動板81の回転数が低く,遠心重錘89の重錘部の遠心力が小さいので,押圧腕部89aの駆動摩擦板85に対する押圧力も小さい。このため,両側の駆動摩擦板85,85は,離間ばね88の付勢力で離間していて,被動摩擦板86を解放しており,変速クラッチCc′はオフ状態となっている。したがってオフ状態の変速クラッチCc′は,クランク軸2からトルクコンバータT′への動力伝達を遮断するので,車輪ブレーキを作動せずとも,トルクコンバータT′のクリープ現象による車両の微速前進を防ぐことができる。
【0064】
エンジンEの回転数が所定値以上に上昇すると,それに伴い遠心重錘89の重錘部の遠心力が増大して,その押圧腕部89aが駆動及び被動摩擦板85,86群を受圧環87に対して強く押圧して,駆動及び被動摩擦板85,86間を摩擦係合させるので,変速クラッチCc′は自動的にオン状態となり,クランク軸2の動力をクラッチインナ84から出力部材94を介してトルクコンバータT′へと伝達する。
【0065】
遠心重錘89の駆動及び被動摩擦板85,86群に対する押圧力がクラッチばね92のセット荷重を超えると,クラッチケーシング83がクラッチばね92を撓ませながら図3で左方へ変位する。しかもその後,遠心重錘89は,クラッチケーシング83に設けられたストッパリング102に受け止められ,それ以上の外方揺動を阻止されるようになっており,駆動及び被動摩擦板85,86相互の圧接力は,クラッチばね92の荷重以上には増加しない。
【0066】
変速機Mの切換の際,それに先立って,図示しないクラッチレバーによりレリーズカム96を回動すると,該レリーズカム96は,その凹部96aから固定カム98のボール99を押し出し,そのときの反力によりレリーズベアリング95を介してクラッチケーシング83を,図3に鎖線で示すように,左方へクラッチばね92の荷重に抗して押動し,受圧環87を駆動及び被動摩擦板85,86群から離間させる。一方,遠心重錘89は,前述のようにストッパリング102により外方揺動を阻止され,押圧腕部89aが駆動及び被動摩擦板85,86群に対するそれまでの押圧位置で止まることになるから,各駆動及び被動摩擦板85,86間が確実に離間し,変速クラッチCc′はオフ状態となる。
【0067】
この状態では,クランク軸2の駆動トルクに影響されることなく,変速機Mの切換えを軽快に行うことができる。
【0068】
変速機Mの切換え後,クラッチアームによりレリーズカム96を当初の位置に戻せば,変速クラッチCc′はクラッチばね92の付勢力と,持続される遠心重錘89の遠心力との協働によりオン状態に復帰し,クランク軸2の駆動トルクをトルクコンバータT′に伝達する。
【0069】
トルクコンバータT′においては,前記出力部材94とスプライン結合されたポンプ羽根車50のボス50aがクランク軸2の小径軸部2bにボールベアリング120を介して支承され,タービン羽根車51に連なるタービン軸59は,ニードルベアリング121及びボールベアリング122を介してステータ軸60及びステータ羽根車52のボス52a上に支承される。ステータ羽根車52のボス52aは,ボールベアリング123又はニードルベアリングを介してクランク軸2の大径軸部2aに支承されると共に,ステータ軸60にスプライン結合される。
【0070】
ポンプ羽根車50に連なるポンプ延長部50bには,タービン羽根車51の外側を覆うトルクコンバータサイドカバー124が油密に結合され,このトルクコンバータサイドカバー124とタービン軸59との間に,タービン軸59からトルクコンバータサイドカバー124への逆負荷トルクのみを伝達する一方向クラッチ64が介裝される。したがって,エンジンブレーキ時,出力軸11に加わる逆負荷トルクが変速機M及び1次減速装置14を経てタービン軸59に伝達されると,上記一方向クラッチ64が接続状態となって,その逆負荷トルクをポンプ延長部50bからポンプ羽根車50,出力部材94へと伝達される。
【0071】
ステータ軸60の外端部はボールベアリング131を介してクランク軸2の大径軸部2aに支承され,このステータ軸60の外端部とクランクケース1との間にフリーホイール57が介裝される。このフリーホイール57は,ステータ軸60の外端部にその外径より大径に形成されたカップ状のアウタレース125と,このアウタレース125内でクランク軸2の大径軸部2aに軸受ブッシュ126を介して相対回転自在に支承されるインナレース127と,これら両レース125,127間に介裝されるスプラグ128とから構成される。インナレース127は,これを固定すべく一端に突設した固定アーム127aを隣接するクランクケース1外壁に形成された係止溝129に係合させている。スプラグ128は,アウタレース125がポンプ羽根車50の回転方向と反対方向へ回転しようとすると,該アウタレース125をインナレース127にロックするが,該アウタレース125がポンプ羽根車50の回転方向と同方向に回転することは許容するようになっている。
【0072】
上記固定アーム127aの半径方向内側において,オイルポンプ駆動ギヤ130がクランク軸2の大径軸部2aにキー結合され,このギヤ130によってオイルポンプ44が駆動されるようになっている。
【0073】
逆負荷トルクが出力部材94に伝達されると,変速クラッチCc′では,ねじ機構93の作動によりクラッチインナ84が図3で左方へ押動され,そのフランジ84aが,内側の駆動摩擦板85を残して駆動及び被動摩擦板85,86群を受圧環87に対して押圧するので,変速クラッチCc′はオン状態となる。したがって,上記逆負荷トルクはクランク軸2に伝達され,良好なエンジンブレーキ効果が得られる。
【0074】
クランク軸2の小径軸部2bには,環状段部2c側から大径軸部2aより大径の環状スペーサ103,前記ボールベアリング120のインナレース,変速クラッチCc′の駆動板81が順次配置され,これらは環状段部2cと,小径軸部2bの先端に螺着されるナット80とで小径軸部2b上で挟持,固定される。したがって,ボールベアリング120に支承されるポンプ羽根車50のボス50aは,スペーサ103と駆動板81とで軸方向に保持されることになる。またクランク軸2の大径軸部2a上では,クランク軸2の支承するベアリング3′側からポンプ駆動ギヤ130,軸受ブッシュ126,ボールベアリング131,ステータ軸60,ボールベアリング123が順次配置されると共に,これらの軸方向移動が前記ベアリング3′のインナレースと前記スペーサ103とで拘束される。さらにステータ軸60上では,タービン軸59及びステータ羽根車52のボス52aが順次配置されると共に,これらの軸方向移動がボールベアリング123とフリーホイール57のアウタレース125とで拘束される。結局,トルクコンバータT′の各羽根車50,51,52は,変速クラッチCc′の出力部材94とベアリング3′のインナレースとで軸方向移動が拘束される。
【0075】
したがって,一個のナット80により変速クラッチCc′の駆動板81をクランク軸2に強固に固着することができる。しかもその駆動板81がクランク軸2を支承するベアリング3′のインナレースと協働して,ポンプ羽根車50,タービン羽根車51及びステータ羽根車52の軸方向位置を保持するので,上記羽根車50,51,52のための専用の保持部材は不要となり,構成の簡素化と組立性の向上を図ることができ,のみならずポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間に発生するスラスト荷重をベアリング3′及びナット80を介してクランク軸2に負担させて,クランクケース1の荷重負担を軽減し,その耐久性の向上に寄与することができる。
【0076】
クランク軸2には,上流供給油路27a及び下流供給油路27b間を仕切る隔壁110が設けられ,また上流供給油路27aには,これを更に上流側と下流側とに二分する仕切り栓111が圧入される。
【0077】
前記変速クラッチCc′において,支持筒82内には,その開放面を蓋体100で閉塞して油室101が画成され,この油室101は通孔112を介してクラッチインナ84の内周側に連通される。また油室101は,クランク軸2に穿設された流入孔113及び流出孔114を介して上流供給油路27aの上流側及び下流側に連通される。
【0078】
また前記トルクコンバータT′において,ステータ羽根車52のボス52aの右側に第1小油室116,左側に第2小油室117がそれぞれ設けられ,第1小油室116は,ポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間の油室に連通すると共に,クランク軸2に穿設された流入孔118を介して上流供給油路27aの下流側に連通し,第2小油室117は,タービン根車51及びステータ羽根車52間の油室に連通すると共に,クランク軸2に穿設された流出孔119を介して下流供給油路27bに連通する。
【0079】
さらに第1及び第2小油室116,117は,ボス52aを支承する前記ベアリング123の各部間隙と,ボス52aに設けた通孔115とを介して互いに連通する。
【0080】
而して,エンジンEにより駆動されるオイルポンプ44からオイルが油路27を通して上流供給油路27aに供給されると,そのオイルは流入孔113から油室101に入り,そこから通孔112と流出孔114とに分流し,通孔112を通過したオイルは変速クラッチCc′の摩擦部や摺動部に供給されて,その冷却や潤滑に供される。
【0081】
一方,流出孔114を通過したオイルは,上流供給油路27aの下流側を通り,流入孔118から第1小油室116を経てポンプ羽根車50及びタービン羽根車51間の油室を満たし,それから第2小油室117及び流出孔119を経て下流供給油路27bへと流れていき,エンジンE各部の潤滑に供される。
【0082】
またクランク軸2内の上流供給油路27a及び下流供給油路27bは,流入孔118及び流出孔119間で隔壁110により直接的な連通が断たれるので,オイルポンプ44から上流供給油路27aに供給されたオイルは,流入孔118及び流出孔119を通してトルクコンバータT′内を通過することを強制されることになり,オイルポンプ44が比較的小容量であっても,トルクコンバータT′の作動オイルの不足を極力防ぐことができ,小型車両用として有効である。
【0083】
その他の構成は,前記第1実施例と略同様であり,図3中,第1実施例との対応部分には同一の参照符号を付して,その説明を省略する。
【0084】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく,その要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更が可能である。例えば,トルクコンバータT,T′は,トルク増幅機能を持たない流体継手に置き換えることもできる。
【0085】
【発明の効果】
以上のように本発明の第1の特徴によれば,エンジンのクランク軸と,このクランク軸と平行に配置される,多段変速機の入力軸とを,エンジン側に連なるポンプ羽根車及び多段変速機側に連なるタービン羽根車を有する流体伝動手段を介して連結した,小型車両用伝動装置において,エンジンのクランク軸上に,このクランク軸をベアリングを介して支持するクランクケースの一側壁側から外方に向かって1次減速装置,流体伝動手段及び変速クラッチと順次配置し,変速クラッチの入力部材をクランク軸に,変速クラッチの出力部材をポンプ羽根車に,タービン羽根車を1次減速装置の駆動ギヤに,1次減速装置の被動ギヤを変速機の入力軸にそれぞれ連結し,前記ベアリングと,クランク軸の先端部に螺着されるナットとで,入力部材,ポンプ羽根車及びタービン羽根車のクランク軸上での軸方向移動を拘束したので,エンジンのアイドリング時には,変速機のロー位置でも,変速クラッチをオフ状態に制御することにより,流体伝動手段の存在に関わりなく変速クラッチ以降への動力伝達を遮断して,クリープ現象を防ぐことができ,また変速操作時には,最初に変速クラッチをオフ状態に制御することにより,流体伝動手段の存在に関わりなく変速機を無負荷状態にして,トルクショックを伴うことなく変速を軽快に行うことができる。しかも,クランク軸は,これが減速装置を介して駆動する変速機の入力軸より高速で回転するものであるから,このクランク軸に取付けられる流体伝動手段及び変速クラッチが負担する伝達トルクは比較的小さく,それだけ流体伝動手段及び変速クラッチの各容量を小さくして,それらのコンパクト化が可能となり,流体伝動手段及び変速クラッチの併設によるも,パワーユニットのコンパクト化を図ることができる。
【0086】
また1次減速装置はクランクケースの側壁に最も近接して配置されるので,該装置の作動に伴いクランク軸及び変速機の入力軸に加わる曲げモーメントを最小とすることができる。また流体伝動手段は,変速クラッチより重量が大であるが,その変速クラッチよりはクランクケースの側壁に近接して配置されるので,それらの重量によりクランク軸に加わる曲げモーメントも最小にすることができ,流体伝動手段及び変速クラッチのコンパクト化と相俟って,クランク軸,変速機入力軸及びこれらを支持するベアリングの耐久性向上に寄与し得る。
【0087】
さらに一個のナットにより,入力部材,ポンプ羽根車,タービン羽根車及び駆動ギヤをクランク軸に取付けることができ,構成の簡素化と組立性の向上を同時に図ることができ,しかもポンプ羽根車及びタービン羽根車間に発生するスラスト荷重を前記ベアリング及びナットを介してクランク軸に負担させることになり,クランクケースの荷重負担を軽減して,その耐久性の向上に寄与することができる。
【0088】
また本発明の第2の特徴によれば,クランク軸が,前記ベアリング側に位置する大径軸部と,この大径軸部の先端に段部を介して連なる小径軸部とを備え,前記段部と,小径軸部の先端に螺着されるナットとで前記入力部材を小径軸部上に挟持,固定し,前記ベアリング及び入力部材によりポンプ羽根車及びタービン羽根車の軸方向移動を拘束したので,クランク軸の段部とナットにより入力部材をクランク軸に強固に固定することができ,しかも専用の保持部材を用いることなくポンプ羽根車及びタービン羽根車の軸方向移動を拘束することができ,構成の簡素化に寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す自動二輪車用パワーユニットの縦断平面図。
【図2】上記パワーユニットの伝動装置の拡大縦断面図。
【図3】本発明の第2実施例を示す,図2に対応した断面図。
【符号の説明】
Cc,Cc′・・・変速クラッチ
E・・・・・・エンジン
M・・・・・・多段変速機
T,T′・・・流体伝動手段(トルクコンバータ)
1・・・・・・クランクケース
2・・・・・・クランク軸
2a・・・・・大径軸部
2b・・・・・小径軸部
2c・・・・・段部
10・・・・・変速機の入力軸
20・・・・・変速クラッチの入力部材(クラッチケーシング)
23・・・・・変速クラッチの出力部材(摩擦クラッチ板)
50・・・・・ポンプ羽根車
51・・・・・タービン羽根車
80・・・・・ナット
81・・・・・変速クラッチの入力部材(駆動板)
94・・・・・変速クラッチの出力部材

Claims (2)

  1. エンジン(E)のクランク軸(2)と,このクランク軸(2)と平行に配置される,多段変速機(M)の入力軸(10)とを,エンジン(E)側に連なるポンプ羽根車(50)及び多段変速機(M)側に連なるタービン羽根車(51)を有する流体伝動手段(T,T′)を介して連結した,小型車両用伝動装置において,
    エンジン(E)のクランク軸(2)上に,このクランク軸(2)をベアリング(3′)を介して支持するクランクケース(1)の一側壁側から外方に向かって1次減速装置(14),流体伝動手段(T,T′)及び変速クラッチ(Cc,Cc′)と順次配置し,変速クラッチ(Cc,Cc′)の入力部材(20,81)をクランク軸(2)に,変速クラッチ(Cc,Cc′)の出力部材(23,94)をポンプ羽根車(50)に,タービン羽根車(51)を1次減速装置(14)の駆動ギヤ(14a)に,1次減速装置(14)の被動ギヤ(14b)を変速機(M)の入力軸(10)にそれぞれ連結し,前記ベアリング(3′)と,クランク軸(2)の先端部に螺着されるナット(80)とで,入力部材(20,81),ポンプ羽根車(50)及びタービン羽根車(51)のクランク軸(2)上での軸方向移動を拘束したことを特徴とする,小型車両用伝動装置。
  2. 請求項1記載の小型車両用伝動装置において,
    クランク軸(2)が,前記ベアリング(3′)側に位置する大径軸部(2a)と,この大径軸部(2a)の先端に段部(2c)を介して連なる小径軸部(2b)とを備え,前記段部(2c)と,小径軸部(2b)の先端に螺着されるナット(80)とで前記入力部材(20,81)を小径軸部(2b)上に挟持,固定し,前記ベアリング(3′)及び入力部材(20,81)によりポンプ羽根車(50)及びタービン羽根車(51)の軸方向移動を拘束したことを特徴とする,小型車両用伝動装置。
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