JP4226075B2 - 質量選択後減速(post mass selection deceleration)型イオン注入装置 - Google Patents
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Description
本発明は、電子デバイスの製造において、半導体ウェハのような基板にイオンを注入するためのイオン注入装置に関し、特に、比較的低い注入エネルギでもって市場のウェハを処理することのできるイオン注入装置に関する。
従来技術の説明
イオン注入技術は、集積回路の製造において用いられるプロセスの1つとして普通に用いられ、所定領域における半導体材料の電気的な輸送特性(electrical transport properties)を、当該領域にドーピングして不純物原子を所定濃度にすることより修正している。この技術は、一般的に、予め選択したイオン種のビームを発生させ、このビームをターゲット基板へ指向させることを含む。イオン注入の深さは、特に基板におけるイオンのエネルギに依存する。単一ウェハ上のデバイスの密度が増加し、また、個々のデバイスの横寸法が減少して、超大規模集積回路(ULSI)が得られるにつれて、イオン注入装置が例えば2keV〜10keVの低エネルギイオンを用いて、浅い接合部を形成することができる能力がますます重要になる。同時に、商業用のイオン注入装置においては、個々のウェハをできるだけ短時間で処理できることも重要であり、そのためにはイオンビーム電流はできるだけ大きいことが必要とされる。残念ながら、イオンビームを低エネルギ且つ高電流で輸送することは、空間電荷効果により極めて困難であるので、低エネルギビームの要件は高電流ビームの要件とは相容れない傾向にある。
ビームの拡大とビーム電流の損失とを防ぐために知られた方法は、イオンビームを高エネルギで輸送し、ビームが基板に衝突する直前にビームを減速して所望の低エネルギ値にすることである。例えば、エス・エヌ・ホン(S.N. Hong)他の「アプライド・フィジックス・レター(Applied Physics Letters),53(18),1988年10月31日、1741〜1743頁、」には、従来技術のイオン注入装置が記載されており、注入装置内に減速レンズ系を組み込み、その中に固定ターゲット基板を保持することによって、注入深さのプロファイルを研究するように改造されている。減速レンズとビーム引き出し電源との間には減速電源が接続され、ターゲットに衝突する直前のイオンの最終エネルギが、減速電源により発生する減速電位でのみ決まるようになっている。イオンはイオンソースから35keVのエネルギで引き出し、分析磁石を通過させ、ビーム内を輸送されるイオンを質量に従って分析する。次に、質量分析されたビームを、X−Yスキャナに通して偏向させ、磁石と当該スキャナの間の経路(path)から、ターゲットに向けられた他の経路に沿うようにする。減速レンズとターゲットは34keVでバイアスされ、ビームを35keVから、固定された1keVの注入エネルギへ減速する。かくして、イオンを、イオンソースと注入チャンバの間の経路に沿って高速で輸送して、空間電荷効果によるビームの拡大とそれによる電流損失を最小にしている。次に、イオンのエネルギは、衝突前にターゲットの直前においてのみ低減し、その結果、ビームが低エネルギで移動する距離は極めて短くなり、このことも、ビームの拡大を最小に抑える。
イオンビームを比較的高エネルギで輸送し、次いでターゲットのごく近傍においてイオンビームを減速する方法における問題の1つとして、高エネルギビームの経路に沿って、一定割合のビームイオンが、残留ガス原子との電荷交換プロセスによって中性化され、ターゲットに向けられた場合、減速されずに減速レンズを通過することがある。これら高エネルギの中性粒子(neutrals)は、低エネルギイオンよりも深く基板に貫入し、浅い接合部の形成には特に望ましくない。これら高エネルギ中性粒子が注入深さに及ぼす影響は、2次イオン質量分析法(SIMS)によって測定するときの深さプロファイルにおいて、高エネルギテイルと見なすことができる。
エー・エイチ・アルバヤティ(A.H. Al-Bayati)他の「レビュー・オブ・サイエンティフィック・インスツルメンツ(Review of Scientific Instruments), 65(8),1994年8月、2680〜2692頁」には、材料研究用の低エネルギ2重イオンビーム質量分析装置が記載されている。この装置は、引き出し電極それぞれと一体となった一対のフリーマン源(Freeman source)と、イオンビームの質量分析を行うための分析磁石と、ビームを焦点に当てるための追加の磁石と、イオンビームの走査用及びゲート制御用の静電偏向装置と、イオンビームのエネルギを減じるための減速レンズを収容した超高真空(UHV)堆積チャンバと、レンズ内に取付けられたターゲットとを備えている。この装置は、基板への注入のみならず堆積も可能なように設計されており、イオン到着エネルギを5eV〜10keVまでで制御することができる。2重イオンソースは、質量分析磁石と共に、種々の材料層の交互堆積を可能にする。超高真空堆積チャンバは、堆積材料のその場オージェ電子分光及び反射高エネルギ電子回折分析のための装置を収容している。真空ロック(vacuum lock)とサンプル移送装置によって上記堆積チャンバに接続された第2UHVチャンバは、その場低エネルギ電子回折及び飛行時間型散乱及び反跳スペクトル分析用の装置を収容している。堆積チャンバは、堆積プロセス中のターゲット面の汚染防止のため、超高真空に保たれている。ビームが質量分析された後は、第2磁石が、ビームの焦点をターゲットの数センチメートル前に当て直す。イオンビームは10keVのエネルギで堆積チャンバに輸送され、そこでビームのエネルギは減速レンズによって所望の値にまで減じられる。このように、一定割合のイオンビームは、ビームがターゲットへ移動するときに、電荷交換プロセスによって10keVの中性粒子に変換される。実際にターゲットに到達する中性粒子の数は、第2磁石によって減らされるが、第2磁石が、第1磁石からのビーム軌道からビームをそらすので、第1磁石と第2磁石の間で発生した中性粒子はターゲットには到達しない。中性粒子の発生は、第2磁石とターゲットの間の直線経路に沿った中性粒子の発生が最小になるように、堆積チャンバを超高真空に保つことによって更に抑えられる。
減速レンズはカップ形状となるように構成されており、レンズの一部はビーム軸に平行になって、また、端部はターゲットが据え付けられているビーム軸に垂直になっている。実際には、減速レンズとターゲットは接地電位に維持され、フライトチューブ(flight tube)は接地に対して負にバイアスされている。減速レンズの入口部には追加の電極が配置され、減速フィールドがフライトチューブに沿って逆方向に延びるのを防ぐため、フライトチューブに対してわずかな負バイアスがかけられているが、そうしないと、電子が減速レンズ内へと加速され、ビーム中性化の損失と、それに付随したフライトチューブ内のビームの発散を招いてしまう。抑制電極の入口開口部及びカップ電極の直径は、いずれもビーム直径より実質的に大きい。
この装置で達成可能なターゲット上の最大イオン電流密度は約100μAcm-2であるが、実際に報告されている電流密度はこれより実質的に低くなっている。ターゲットチャンバがUHV状態、即ち10-4〜10-8Pa(10-6〜10-10mbar)に維持され、且つ、ソースが1Pa(10-2mbar)の圧力で作動するので、ビームラインに沿って差動排気ステージが必要とされ、その結果、ビームラインの長さが4m近くまで増加する。更に、半導体基板のより高い電流の注入に必要な表面電荷形成を中性化するための方策がない。
ディー・エフ・ダウニー(D.F. Downey)他の「ニュークリア・インスツルメンツ・アンド・メソッド・イン・フィジックス・リサーチ(Nuclear Instruments and Methods in Physics Reasearch),B74(1993年)、160〜169頁」には、イオンを低エネルギで注入するイオン注入装置の性能を特徴づける様々な方法が記載されている。上記引用文献のように、イオンビームは当初比較的高エネルギで輸送され、引き続いて所望の注入エネルギまで減速される。使用した特定の注入装置には、それぞれ、多電極加速管があり、イオンビームを段階的に減速するのに用いられて、減速電圧が、ビームのエネルギをターゲットの直前で必要な値へ減速するのでなく、加速管の全長にわたって分布されていた。イオンビームを加速管に沿って徐々に減速すると、管の収束効果が最小になり、それによってビーム電流が最適になるので、ビーム輸送が改善されることが報告されている。また、そのような配置構成が中性粒子の形成を最少にすることが報告されている。ある研究報告では、注入深さプロファイルをビーム引き出し電圧の関数として検討し、イオン注入エネルギが3keV〜10keVのときに、中性粒子が深さプロファイルに影響を及ぼす程度を測定している。引き出し電圧が高い場合には、中性のピークが直ちに観察されるが、これは、イオンビームを所要エネルギまで減速する前に、輸送すべきエネルギ値を決定するときの重要な因子に中性の汚染物がなることを示している。5keVのホウ素の注入の場合の最大達成可能ビーム電流は1mAの桁である。
本発明の目的は、低エネルギ及び商業規模で半導体ウェハの処理を可能にするビーム電流密度のイオンを注入できる改良型のイオン注入装置を提供することである。
本発明の一態様によれば、基板へイオンを注入するためのイオン注入装置が提供されており、この装置には、イオンのビームを生成するイオンビーム発生器と、ビームを輸送エネルギで輸送するためのフライトチューブと、フライトチューブ内にあり、フライトチューブからのイオンのビームの中で送出のための所望の質量のイオンを選択する質量選択装置と、所望の質量のビームイオンで注入される基板を保持するための基板ホルダと、基板ホルダの前側に配置され、注入中に基板上に蓄積する表面電荷を中性化するために、ビームイオンと極性が反対の低エネルギ荷電核種を供給する中性化装置と、フライトチューブと基板ホルダとの間に減速電位を印加するために接続され、イオンビームを所望の注入エネルギまで減速する減速電位発生器と、フライトチューブと中性化装置との間に配置され、且つ、ほぼ基板の電位になるように接続される第1開口部付プレート電極、ほぼフライトチューブの電位になるように接続される第2開口部付プレート電極、及び、第1開口部付プレート電極と第2開口部付プレート電極との間に近接して配置されるフィールド電極を備える減速レンズアセンブリと、フィールド電極にバイアスを印加して、第1電極と第2電極のそれぞれに対し同一の極性を有するように接続されるバイアス電位供給源とが備えられており、ビームイオンが第1電極を通過する場合に両電極及びバイアスが収束電界を提供するようにしている。
このような配置構成では、3つのエレメントからなる減速レンズアセンブリが、基板ホルダの前には中性化装置と質量選択装置の間に配置されている。従って、中性化装置に入るビームイオンは既に意図する注入エネルギまで減速されている。結果として、基板の前方の中性化領域の電界は無視できるほど弱くすることができるので、必要な低エネルギ荷電核種が存在可能となる。減速レンズアセンブリは、それらが第1電極を通過するときに、収束効果を与えるように取り付けられて、空間電荷効果のもとで低エネルギビームが散逸(blow up)する傾向が打ち消され、驚くほど大きいターゲット上のビーム電流が達成できるようになっていることが重要である。
好適な実施の態様においては、フィールド電極と第1電極とをビームが通過するときに、ビームの方向に直角な少なくとも1つの方向でビームの幅を画成するために有効なビーム画成開口部を含み、フィールド電極が、フィールド電極をビームが通過するときに、1つ方向のビームの幅よりも1つの方向で大きい開口部を有し、第1電極が、第1電極をビームが通過するときに、1つの方向のビームの幅よりも、1つの方向で十分に大きい開口部を有し、ビームイオンが、イオンに偏向を与えビームの外側へ向かせる傾向がある、第1電極の開口部の周縁部の半径方向の高い電界成分を回避している。
第1電極の開口部をビーム断面積より比較的大きくすることによって、ターゲット上のビーム電流をより大きくして得ることができることが見出された。
好適には、ビームの方向に直角な少なくとも1つの方向に対しては、第1電極のビームの開口部が、フィールド電極のビームの開口部より小さくなっている。
このような配置構成は、第1電極と基板の間の領域へフィールド電極から入り込む電界の深さを浅くするのに役立つ。更に、フィールド電極と第1電極の間に形成される電界によって作り出される収束効果が高められ、その結果、ターゲット上のビーム電流を依然として高レベルに維持しつつフィールド電極へ印加する電位を下げることができる。
多くの実施の態様においては、イオンビーム発生器が、陽イオンのビームを生成し、バイアス電位供給源が、第1電極と第2電極の双方に対し、負のバイアスをフィールド電極に印加している。このようにして、フィールド電極は電子抑制電極としても有効となり、減速電界によってフライトチューブから電子が引き出されることが防止されるようになる。しかしながら、バイアス電位源は、単に電子抑制のために必要である電位フィールド電極に与えるというよりむしろ、フライトチューブの電位に比べて実質的により負である電位をフィールド電極に与えるように構成されていることに注目すべきである。フィールド電極に印加されるこのように強い負電位は、ビームイオンが第1電極を通過する際に、必要な収束効果レベルをもたらすために必要とされる。
フィールド電極へ印加される電位によって発生する電界領域へイオンビームが入ると、ビーム内の電荷中性化電子は消失し、ビームは空間電荷効果によって発散する傾向があることが理解されるであろう。フィールド電極と第1電極の間の電界によって発生する収束効果は、この効果を相殺し、イオンが完全に減速されて第1電極を越えて第1電極と基板の間の電界のない領域に入るまで、ビームを制御し続ける。
好適には、バイアス電位供給源が、フライトチューブに対してフィールド電極が少なくとも5kVの負電位となるようにバイアスを供給するため、取り付けられている。フライトチューブとフィールド電極の間のこの比較的高い電位差は、所望の収束効果を得るため、フィールド電極を第1電極に対して更に大きい電位差に維持する必要性の結果である。
好適な実施の態様においては、フィールド電極がビーム方向に軸を有する円筒の形状であり、円筒の最小横断寸法の少なくとも10%の長さを有している。この構造では、収束効果が高まる一方、フィールド電極の開口部を、フィールド電極を通り抜けて拡大されたビームの幅よりも十分大きくすることができる。
上記のように、イオン注入装置は第1電極と基板の間に中性化装置を含んでいてもよい。通常、中性化装置は、陽イオンのビームに対し、基板の直前において低エネルギ電子をビームへ導入することによって作動する。このことは、ターゲット基板が注入中にチャージアップするのを防止し、同時に、減速後にはビーム電位を比較的低く維持するのに役立つ。従って、ターゲット基板自体が減速電界から分離されるだけでなく、基板の前における中性化が達成されるが、これは、従来技術の装置では不可能なことである。
このイオン注入装置は、基板ホルダの下流側に配置され、イオン電流を検知するための検知手段を更に備えることができる。ターゲット領域からイオンビーム検知器を除去しても、従来技術の低エネルギイオン注入装置において可能なよりも正確な、ビーム電流の測定が可能になるが、なぜならば、検知器がプロセスチャンバ内の圧力変動による誤差の影響を受けないからである。更に、上記の減速装置を用いると、ビーム電流と2次電子収集のため基板の前に配置された減速レンズ、ウェハ基板及びファラデーケージ(Faraday cage)を必要とする従来技術の装置に比べて、はるかに簡単な電流検知器とすることができる。
好ましい構成において、このイオン注入装置は、ビームイオンを質量に従って空間的に分解するための磁石と、基板ホルダを収容し、出口ポートを有するプロセスチャンバと、出口ポートに接続された、プロセスチャンバを真空排気するための第1真空ポンプと、プロセスチャンバと磁石との間にある質量選択チャンバと、質量選択チャンバを真空排気するために接続された第2真空ポンプと、ビームが質量選択チャンバを通ってプロセスチャンバへ至るための開口部と、質量選択チャンバとプロセスチャンバとの間にあって、両チャンバのうちのいずれか一方若しくは両方の排気を改善する少なくとも1つの追加開口部とを含んでいる。
基本的には、上記の構成は、質量選択スリット自体を収容している質量選択チャンバの部分の真空排気を改善することができ、すなわち、この部分は、ターゲット基板への視線に一致し、フライトチューブ内において質量選択チャンバを通るビームラインの部分である。この領域における残留ガス圧力を減らして、ビームイオンと残留ガス原子の間の電子交換衝突のリスクを減らすことが重要であり、結果として、輸送エネルギになっているビームに中性粒子が生じるようになる。輸送エネルギになっている上記中性粒子は、もちろん、それに続く減速電界の影響を受けず、この高めのエネルギをもってターゲットに衝突する。この配置構成は、真空ポートがフライトチューブの長さに沿って分布され、それぞれが独立の真空ポンプに接続されているのが典型的である従来技術の構成とは著しく異なる。これら真空ポートはフライトチューブの等電位面を混乱させて、イオンビームを攪乱する電界線を形成する傾向があり、その結果ビームイオンがビーム経路からそれ、ビーム電流が失われる。かかる問題を軽減するため、真空ポートをメッシュで覆うこと、及び/又は、フライトチューブの直径を大きくすることができる。一方では、この配置構成において、磁石と減速レンズアセンブリの間の経路長さを比較的短く抑えることができており、質量選択チャンバ内に収容できる真空ポートのサイズが制限され、そして、このチャンバの真空排気速度が制限される。この構成には2つの利点がある。即ち、チャンバを長くせずに、質量分解チャンバを低圧に真空排気することができ、同時に、従来技術の構成における追加のフライトチューブポンプを全部廃止することができることである。この態様では、基本的に、プロセスチャンバを真空排気するために用いられる真空ポンプが、質量選択チャンバをも真空排気することができ、その結果、都合のよいことには、分析磁石と減速アセンブリの間の経路長さを可能な限り短くすることができ、同時に、質量選択チャンバ内の残留圧力を低下させることができる。これら2つの因子は、エネルギ汚染を低減し、イオン注入装置の単純化、小型化及びコスト低減を可能にする。
質量選択チャンバとプロセスチャンバとの間には、複数の追加開口部を含み、追加開口部の断面積とチャンバ間のビームの開口部の断面積との合計断面積の、質量選択チャンバにより囲まれる容積に対する比が、出口ポートの断面積の、プロセスチャンバにより囲まれる容積に対する比よりも大きいことが好ましい。このような構成では、質量選択チャンバ容積をプロセスチャンバと同じ速度で真空排気することができ、その結果、質量選択チャンバの真空排気速度が第1チャンバの真空排気速度によってのみ制限される。開口部は、任意の適当な断面の形状・寸法を有してもよいが、重要なことは、イオンビームから特定の距離に関して開口部における等電位面の不連続性により、イオンビームが攪乱されてビーム電流が損失しないように、各開口部の寸法を適切にすることである。
バイアス電位供給源が、第1電極に対してフィールド電極を少なくとも15kVだけバイアスを印加することが好ましい。ビームイオンが第1電極を通過する際の所要の収束効果が、このレベルのバイアスによって得られることが見出されている。
開口部付プレート電極は、ビーム方向を横切って延びるプレートを備え、ビーム用の開口部を有し、開口部の軸方向(ビーム方向)の寸法は開口部の最小横断寸法に比して無視できる。
【図面の簡単な説明】
次に、図面を参照して実施形態を説明するが、
図1は、本発明の一実施形態に従ったイオン注入装置の平面図を示し、
図2は、本発明の好適な実施形態に従ったイオン注入装置の平面図を示し、
図3は、図2に示した実施形態の減速レンズアセンブリとレンズ遮蔽装置の組立分解斜視図を示し、
図4は、図2及び図3に示したフィールド電極の正面図を示し、
図5は、図2及び図3に示した第1開口部付プレート電極の正面図を示している。
好適な実施形態の説明
図1を参照すると、イオン注入装置1には、イオンのビームを発生させるためのイオンビーム発生器3と、当該イオンビーム発生器に隣接し、ビームイオンを質量に応じて空間的に分解するための磁石5と、分析磁石5に隣接して配設され、ターゲット基板へ注入すべきイオンの核種を選択すると共に、磁石により空間的に分解されたビーム内の他のイオンを排除するためのイオンセレクタ7と、イオンセレクタ7に隣接して配設され、注入前のイオンビームの最終エネルギを制御するための電極アセンブリ9と、電極アセンブリ9から間隔をあけて配置され、ビームイオンを注入すべきターゲット基板12を支持するためのサポート又はホルダ11と、電極アセンブリ9と基板サポート11の間に配設され、基板表面に近接したイオンビームに電子を導入してビーム及びウェハ面を中性化するための電子発生器13とが備えられている。基板サポート11の下流側にはイオンビームコレクタ14が配置され、ビームストッパ及び線量測定(dosimetry measurements)用イオン電流検知器として作用している。
より詳細に述べると、イオンビーム発生器3は、出口開口部19が前面に形成されたアークチャンバ17を含むイオンソース15を備える。一対の引き出し電極21,23が出口開口部19と間隔をあけて配置され、アークチャンバからイオンを引き出してイオンビーム25を形成することに備えている。アークチャンバの出口開口部19に近い方の引き出し電極21は、ビーム発生器の前方の電子がアークチャンバへ流れるのを防止する抑制電極として作用する。質量分析磁石5の2つの磁極(1つのみ図示)の間には、フライトチューブ27が配置され、ビーム発生器3からのイオンビームを受け、イオンビームが磁石5の磁極間を通過する際、イオンビームの輸送エネルギを制御する。この輸送エネルギは、フライトチューブ27とイオンソース15の間の電位差によって決まる。特定の実施形態において、分析磁石の磁界強度と磁石を通過するイオンビームのエネルギは、適当な質量を持ったイオンが約90°偏向するように選ばれる。従ってフライトチューブ27は、分析磁石出口部31が磁石入口部29とほぼ直交するように構成されている。イオンセレクタ7は、一連の個別のエレメント35,39,41及び43からなり、これらはビームライン45に沿って間隔をあけて配置されて一連の開口部を画成し、これらは組合せによって、ターゲット基板へ注入すべき正確な質量のイオンを選ぶ一方、分析磁石5を通過する空間的に分解された他のイオンを排除する。特定の実施形態において、イオンセレクタ7は、磁石から出る不要イオン核種のほとんどを排除するプレート電極35と、選ばれたイオン核種のみを通す可変幅質量分解スリットを協同して画成する一対のエレメント39,41と、イオンビームの高さを画成するエレメント43とを備えている。しかし、質量分解エレメントの数及びそれらの構成は、変更することができる。
イオンセレクタアセンブリは、フライトチューブ27の一部を形成し且つ磁石と電極アセンブリ9の間に配置されているチャンバ47内に収容されている。質量分解チャンバ47を含むフライトチューブ27には、イオンビーム発生器から電極アセンブリ9へビームを輸送する手段が設けられている。質量分解チャンバ壁部49は、ビームライン方向に延在してほぼ円筒形の包絡面(envelop)を画成する部分51と、円筒形部分51に隣接してビームラインに直角に配置され、ビームを通過させる開口部55を画成するプレート電極を構成する横断部分53とからなり、開口部55はイオンセレクタ7の最終エレメント43に隣接している。横断部分53は、以下で詳細に述べるように、イオンセレクタの下流側から発せられる電界からイオンセレクタ7を遮蔽する電磁遮蔽体を提供する。
特定の実施形態において、真空ポート57は、チャンバ47を真空吸引するための真空ポンプ59に接続された分析磁石5の近傍にあるチャンバ壁部49に形成されているが、他の実施形態においてはこの真空ポートを省略してもよい。
質量分解チャンバ47の出口部55と電極アセンブリ9の間に、遮蔽アセンブリ52が配置され、電極アセンブリ9からの電界が出口部55を通って質量分解チャンバ47へ入り込むのを防いでいる。この遮蔽アセンブリ52は、円筒形電極54と電界画成電極56を備えている。円筒形電極54は、質量分解チャンバ47の出口部55と同軸に配置され、一端部58が質量分解チャンバ壁部49の横断部分(即ち前端部)53に隣接配置され且つ接続されている。円筒形電極54は、質量分解チャンバ47の前方へ延在しており、また、円筒形電極54の他端部の近傍で内側へ延びるようにラジアルフランジ60を形成し、追加の遮蔽を提供すると共に出口部62を画成することができる。
電界画成電極56は、用いても用いなくてもよいが、中央に開口部64を有する円盤を備えている。電界画成電極56は、円筒形電極54の内部に取付け支持され、且つ、円筒形電極54の両端のほぼ中央に配置され(この位置は変えてもよい)ビームライン45を横断する。開口部64は、長方形又は正方形であることが好ましく、実施形態によっては、電極アセンブリ9へ向かって外側に、わずかにテーパを付けてもよい。このような場合において、開口部は正方形で、その一辺が約60mmである。円筒形電極54と電界画成電極56は、それぞれ、グラファイト又は他の適当な材料で作ることができる。
イオンビームの注入エネルギを制御するための電極アセンブリ9は、遮蔽アセンブリ52を越えた直後のところに突き出して配置され、フィールド電極又はリング電極61と開口部付プレート電極65からなる。フィールド電極61は、ほぼ円形の対称形で遮蔽アセンブリ52の出口部64とほぼ同軸に且つ隣接して開口部63を画成している。この開口部付プレート電極65は、ビームライン45をほぼ横断するように配設されて、フィールド電極開口部63に隣接して配設され、イオンビームが通過することができる追加開口部67が画成される。これらフィールド電極及びプレート電極の直径は、この場合、それぞれ90mmと80mmとなる。これらフィールド電極及びプレート電極は、グラファイト又は他の適当な材料で作ることができる。
本実施形態では、電子インジェクタ13が、低エネルギ電子をターゲットの近傍のイオンビームに導入するためのプラズマフラッド装置(plasma flood system)を備えている。このプラズマフラッド装置には、イオンビームがプレート電極開口部67からターゲット基板12へ達することができるガイド管又は閉じ込め管69が備えられ、両者がプラズマフラッド装置からの電子をイオンビームの近傍で保持し、プレート電極開口部とウェハとの間においてイオンビームの一部を漂遊電界(stray electric field)から遮蔽する。開口部付プレート電極70は、閉じ込め管の内部をフィールド電極61からの電界から更に遮蔽するため、減速アセンブリに隣接して開じ込め管の上流端部に配置される。
フィールド電極61とプレート電極65に形成された開口部63及び67は、それぞれ、これら開口部におけるビーム断面積より大きく、イオンビームが電極61及び65に当たることなく直進できるようになっている。イオンの質量、及び、これら開口部63,67のそれぞれと分析磁石5との間の距離が定められている場合、ビームの断面積は、イオンビーム発生器や磁石光学系(magnet optics)、磁石の分解能や質量分解スリットの幅等の因子に依存しており、これら各因子を用いて、減速装置とターゲット基板におけるビーム断面積を制御することができる。
本実施形態においては、イオン注入装置が、イオンソースをバイアスするためのイオンソース電圧源71と、抑制電極21をバイアスするための抑制電極電圧源73と、フライトチューブ27をバイアスするためのフライトチューブ電圧源75と、質量分解チャンバ47と、遮蔽アセンブリ52と、その他の引き出し電極23と、電極アセンブリ9のフィールド電極61をバイアスするためのフィールド電極電圧源77と、電子閉じ込め電極69をバイアスするためのプラズマフラッド電圧源79と、開口部付プレート電極70とを備えている。本実施形態では、減速レンズの開口部付プレート電極65、ターゲット基板ホルダ11及び基板12は、他の電極のために簡便な基準電位として役立つ接地電位に維持されており、そうすることによってターゲット基板の取扱いが容易になる。
低エネルギにおいてイオンを注入するためのイオン注入装置の作動方法を、例示目的のみのための特定例を参照して、以下説明する。
イオン注入エネルギは、基板12とイオンソース15の電位差によって定まる。基板は接地電位に維持されるので、イオンソース電圧源71は大地に対して所要のイオン注入エネルギに対応する値だけ正にバイアスされる。例えば、2keVの注入の場合、イオンソース電圧源は+2kVにバイアスされる。分析磁石5と質量分解チャンバ47を通るイオンビームの輸送エネルギは、イオンビームの引き出しエネルギとも呼ばれ、イオンソース15とフライトチューブの間の電位差によって定まり、これはフライトチューブ電圧源75によって制御される。従って、例えば、フライトチューブを通ってイオンビームを10keVのエネルギで輸送するためには、フライトチューブはイオンソースに対して−10kVに、即ち大地に対して−8kVにバイアスされる。イオンビームは分析磁石を通して実質的に一定のエネルギをもって輸送され、イオンビーム内の種々のイオン核種は、それらの質量に応じて空間的に磁石によって分解される。次に、空間的に分解されたビームは質量分解チャンバへ送られ、そこでビームはまず分析磁石5に最も近いプレート電極によって画成される予画成開口部を通過する。プレート電極35は、一手段として、空間的に分解されたビームを得るための第1段フィルタとして作用し、注入に必要でない空間的に分解されたイオン核種の一部を阻止する。分析磁石5と間隔をあけて配置されると共に相互に軸方向に変位する第2エレメント及び第3エレメント39並びに41が、可変幅質量分解スリット42を画成しており、その位置はビームラインの横方向に変化して、注入すべきイオン核種をフィルタを通ったビームから選ぶことができる。
一例として、ホウ素を注入するとき、空間的に分解されて分析磁石から出るビームは、BF3,BF2,BF,B及びFのイオンを含む可能性があり、また、分子とホウ素イオンはホウ素の同位元素B10及びB11を含むものである。従って、ホウ素11を注入する場合には、予画成エレメント35と質量分解エレメント39及び41とは、B11以外の全てのイオン核種を普通除外する。
ビームが質量分解チャンバ47を横切る際、ビームのエネルギは、この例の場合10keVで、一定に維持される。この10keVの質量分解されたビーム46は、質量分解チャンバ47の出口開口部55と遮蔽アセンブリ52を通り、電極アセンブリ9に達する。
質量分解チャンバ47の電位より低い電位がフィールド電極61に印加される。フィールド電極61に印加される電位の大きさは、接地されたプレート電極65の最終開口部67の領域内で静電収束電界を生じさせるのに十分になっている。本発明者等は、最終レンズ開口部67とターゲット基板の間のビーム内にビームイオンを保持するためには、プレート電極65の電位に対して−5kV〜−30kVの電位、好ましくは−25kVの電位が十分な量であることを見出した。
フライトチューブと質量分解チャンバが−8kVにあるとき、フィールド電極61はフライトチューブの電位より低い電位にバイアスされ、質量分解領域内の電子がプレート電極65へ引きつけられるのを防止する。引きつけられると、この領域における空間電荷中性化を損ない、ビームの発散と電流損失を招く。
この例において、質量分解されたビーム46がフィールド電極61に近づくと、ビームは、10keVの輸送(引き出し)エネルギを超えて短時間で加速され、実質的にイオンソース15とフィールド電極61の電位差によって定まるエネルギに達する。ビームはフィールド電極開口部63を通過し、それから、フィールド電極開口部63と最終レンズ開口部67の間のギャップにおいて実質的に所要の注入エネルギまで減速される。同時に、正味の収束力(net focusing force)が、質量分解チャンバ出口部55とフィールド電極61の間の領域、フィールド電極61と減速レンズのプレート電極65の間の領域、及び、それらを越えた直後の領域のイオンビームに加えられる。
それから、イオンビームは最終レンズ開口部67とターゲット基板の間の領域に入る。この領域においてイオンビームは、実質的に所要の注入エネルギで基板へ輸送される。このとき低速になるビームの発散は、プラズマフラッド装置13により低エネルギ電子を浴びせかけることによって、最小限に抑えている。また、プラズマフラッド装置はイオン注入中のターゲット基板の表面荷電も最小限に抑え、同時にイオンビームの電位も下げ、これもまたビームが基板に到達する前の発散の程度を最少にする。
本発明の減速装置は従来技術の装置に比べて著しく進歩している。第1に、本減速装置ではイオンビームを減速後に中性化することができるが、このことは従来技術の装置では不可能である。ビーム内へ電子を導入する何らかの装置を用いることで、ターゲットにおいてイオンビームの空間電荷中性化をすることが困難なのは、減速電界中においてイオンが減速される際、減速電界により電子が加速されてビームイオンから遠ざかり、その結果電子インジェクタが実質的に効果を失うからである。安定プラズマに内包されている低エネルギ電子によって、イオンビームが中性化されるプラズマフラッド装置の場合は、減速レンズ内に存在する強い電界が、そのようなプラズマの形成を阻止する。本構成においては、プラズマフラッド装置は減速装置の下流側に配置され、減速装置から遮蔽されるので、プラズマフラッド装置は強い減速電界に暴露されない。これによって、所要の低エネルギプラズマを形成するための臨界条件を確立し且つ維持することができる。
第2に、イオンビームが強い減速電界中を通過する際、空間電荷中性化の損失が不可避である。従って、従来技術の配置構成においては、減速レンズはターゲットにできるだけ近接して配置され、ビームが空間電荷中性化を伴わずに最短距離だけ移動するようになっている。他方、本配置構成では、減速装置はターゲット基板から退いた上流側の、中性化装置と質量分解チャンバの間にあって、減速中、イオンビームの空間電荷中性化が著しく激減する領域において、ビームの発散に抗するため、イオンビームに収束力を加えるように構成されている。減速電極65の最終レンズ開口部67を最終開口部におけるビーム断面積より少なくとも15%大きくし、且つ、フィールド電極61とプレート電極65の間には十分に高い電位差を、これら電極間の領域においてイオンビームを減速する方向に印加すると、驚くべきことに、ターゲット基板において高い電流密度が達成されることが見出された。例えば、2keVと10keVの低エネルギビームについては、それぞれ、ターゲット上で70と250μAcm-2のイオン電流密度が、また、200eVと500eVの超低エネルギ(1keV未満)については、それぞれ、5.0と20.0μAcm-2のイオン電流密度がターゲット上で得られた。
また、フィールド電極61の開口部63は、ビーム断面積より大きくなっており、ビーム電流の全ての輸送が可能である。本実施形態では、開口部の寸法はビームラインに沿ってほぼ一定であり、ビームライン方向の開口部の奥行きは比較的小さい。
また、電界画成電極56の開口部64と質量分解チャンバの開口部55の寸法は、ビーム断面積より大きく作られ、質量分解スリット42とビーム高さ画成開口部44によって伝達される全てのビーム電流が、減速区域に入るようになっている。従って、ビーム高さ画成開口部44を越えたところでは、ビームが基板に向かって通過する全ての開口部は、各開口部においてビーム断面より大きく、その結果、ビーム高さ画成開口部43からの全てのビーム電流が基板へ伝達される。このことは、ビームラインに沿った開口部の寸法が、例えばターゲットにおけるビームの幅と形状を制限し、開口部を通過するガス流に対してインピーダンスを与え、その結果、開口部全体にわたって差圧が維持できるように、即ち、より低い電位を電極に印加できるように、開口部の内面がイオンビームにできるだけ接近できるようになっている従来技術の構成と大きく異なるものである。
我々は、特定の開口部において、開口部面積に対するビーム断面積の比を「充填率」(filling factor)と定義する。収束電極61とレンズプレート電極65の充填率は、ドーパントイオンの全ての核種に関して約85%未満であることが好ましい。約85%未満の充填率であれば、ビームラインに沿ってより高いビーム電流密度が輸送可能であることが見出されている。ビームと種々のビームライン電極間に適切なギャップを設けると、空間電荷効果によるビームの発散を小さくすることができると考えられる。その理由としては、ビームラインを横切る電極により発生する電界が、イオンビームの周辺部において輸送されるイオンや電子に与える攪乱を、電極開口部の内面がイオンビームに近接している場合より少なくするからである。従って、質量分解スリットの下流側の電極の開口部の寸法を、ビーム断面積より全て確実に大きくすることによって、ビームの発散を防止し、ビーム電流密度を高めることができる。更に、開口部をビーム断面積より大きくすることによって、ビームイオンが電極に当たるのを防ぐことができ、それによって、そうしなければ電極の表面からスパッタされるグラファイト、金属又はその他の材料によるビームの汚染を実質的に減らすことができる。
輸送エネルギより高いエネルギに達する、減速された低エネルギイオンビームのエネルギ汚染に関する問題の可能性があること、及び、ビームイオンがフィールド電極とレンズプレート電極の間の領域において減速される前にフィールド電極によって一時的に加速されることからそのような汚染がビームイオンの中性化に起因することが見出された。
図2は、イオンビームの高エネルギ汚染をほぼ取り除く低エネルギイオン注入用輸送装置の好ましい実施形態の平面図を示すものである。図2においては、イオンビーム発生装置、質量分析磁石の大部分及びイオン注入装置のビームストップは、明確にするために省略しているが、これらは上記で図1に示したものと同じである。図2を参照すると、本装置には、イオンセレクタ7を収容する質量分解チャンバ47を含み、磁石5により質量分析されたビームから所望の注入イオンを選ぶためのフライトチューブ27と、質量分解チャンバ47の下流側にあり、イオンビームを減速するための減速レンズアセンブリ9と、減速レンズアセンブリの下流側に隣接しているビーム中性化装置と、ビーム中性化装置13の下流側に隣接しているターゲットホルダ11とが備えられている。
イオンセレクタ7には、磁石からの不所望のイオン核種のほとんどを排除するプレート電極35と、可変幅質量分解スリット42を協同して画成し、選ばれたイオン核種のみを通過させる一対のエレメント39,41とが備えられている。質量分解チャンバ壁部49は、ビームライン方向に延在し、ほぼ円筒形の包絡面を形成する部分51と、ビームラインを横切って延在するプレート電極を構成する前端部分53とを備えている。前端部分53は、質量分解スリット画成部材39と41に隣接し、イオンビームが通過することができる開口部55を画成する。
図2〜図5を参照すると、減速レンズアセンブリは、ビーム中性化装置13に隣接配置され、注入エネルギを制御するための第1開口部付プレート電極65、第1開口部付プレート電極65の上流側に配置された第2開口部付プレート電極60、及び、第1開口部付プレート電極65と第2開口部付プレート電極60の間に隣接配置され、第1開口部付プレート電極65を通過するビームイオンに収束電界を与えるフィールド電極61を備えている。第2開口部付プレート電極60の上流側には、追加の開口部付プレート電極56が配置され、イオンセレクタ7の下流側において発生する電界から、特にフィールド電極61において発生する電界から、イオンセレクタ7の遮蔽を更に行うようにしている。特定の実施形態では、追加遮蔽電極56は、第2開口部付電極60から後方へ延在する絶縁体(stand-offs)66に取付けられている。
遮蔽シリンダ54がフライトチューブ27に取付けられ、軸方向にフィールド電極61に向かって延在する。第2開口部付プレート電極60は遮蔽シリンダ54の前端部に取付けられ、遮蔽シリンダ54は追加遮蔽電極56を取り囲んでいる。本実施形態では、遮蔽シリンダ54、第2開口部付プレート電極60及び追加遮蔽電極56は全て、フライトチューブ27に電気的に接続されている。
減速レンズアセンブリに戻ると、フィールド電極61と第1開口部付プレート電極65の両方に形成されたビーム開口部は長方形で、いずれの場合でも、開口部の幅wfとwdは高さhfとhdより小さくなっている。第1開口部付プレート電極65に形成された開口部は、幅及び高さについて、フィールド電極61のそれよりも小さくなって、フィールド電極61から発する電界からの、ビーム中性化装置13の遮蔽効果を高めるようにしている。ある実施形態では、フィールド電極のビーム開口部63の寸法が、約86mmx100mmになっており、第1開口部付プレート電極のビーム開口部67の寸法は、約60mmx86mmになっている。
フィールド電極と第1開口部付プレート電極65との間の開口幅減少比は、フィールド電極と第1開口部付プレート電極との間の開口高さ減少比より大きい。本実施形態では、イオンビームが質量分解スリットを通過する際、ビームの断面形状はエンピツ状であり、その結果、ビームは空間電荷効果によって垂直方向よりも水平方向に高速に拡大する傾向がある。開口部の幅を大きく減少させると、イオンビームの幅全体にわたる横方向の収束力が強まり、この方向における高い拡大率を抑える作用がある。第1開口部付プレート電極65とフィールド電極61のビーム開口部の構造では、減速レンズの収束能力が高まり、ビームを十分に収束するのに必要な、第1電極と第2電極に対するフィールド電極の電位を下げることができ、それによって、フィールド電極開口部の通過の際、イオンビームが輸送エネルギを超えて獲得するエネルギを短時間で低下させることができる。このことがひいては、残留ガス原子との電荷交換によってこの領域において形成される高速中性粒子のエネルギを低下させる。
図2を参照すると、第1開口部付プレート電極65と第2開口部付プレート電極60は、フィールド電極61のビーム開口部の最少横断寸法「wf」(この場合、幅)より短い距離「a」だけビーム方向に間隔をあけて配置されている。これは、好ましい減速レンズアセンブリのもう1つの重要な特徴である。第1開口部付プレート電極65と第2開口部付プレート電極60の間の距離が短いと、フィールド電極61によってイオンが加速される際、イオンのエネルギが輸送エネルギを超える時間を確実に最少に抑えることができる。従って、これら高エネルギにおいてビームイオンが残留ガス原子との電荷交換衝突を経験する確率が低下し、それに付随して、この領域において形成される高エネルギ中性粒子の数が減少する。
フィールド電極61はほぼ円筒形で、ビーム方向の軸方向長さは、ビーム開口部の最小横断寸法(この場合、開口部の幅)の少なくとも10%である。特定の実施形態では、軸方向長さは開口幅の約23%になっている。この構造は、フィールド電極61の開口部を、フィールド電極を通過する際に拡大されるビーム幅より大きく保ちつつ、収束効果を高める。
円筒形のフランジ89が、軸方向に第1開口部付プレート電極65からフィールド電極61に向かって延びている。円筒形フランジ89と第1開口部付プレート電極65は、イオンビームとフィールド電極61の周りにシールドを形成し、フィールド電極61と第1開口部付プレート電極65の間に印加される電位差によって発生する電界を閉じ込め、そのことによってターゲット基板12の近傍の荷電粒子が上流のフィールド電極61へ流れないように、また同時にプロセスチャンバ81内に存在する漂遊電界からイオンビームを遮蔽する。遮蔽がないと、イオンビーム内の電荷バランスが崩れ、ビーム電流の損失が生じる。
フィールド電極61はフランジ89の内側にあるので、フランジはフィールド電極61の外周を取り囲んでいる。本実施形態では、フィールド電極61は円筒形遮蔽フランジ89内に、フィールド電極61の周辺部をめぐって配置された複数の絶縁体68を介して取付け支持されている。フィールド電極と第1開口部付プレート電極のアセンブリは、複数の絶縁体72を介してプロセスチャンバ壁部85上に取付けられている。本実施形態では、円筒形遮蔽フランジ89は、フィールド電極61の背面を最小距離だけ越えたところに延在し、その結果、フィールド電極と第2開口部付プレート電極の間のギャップ95は容易に接近可能なものとなり、プロセスチャンバ81内の周囲の空間と直接連通する。この開放的構成(open geometry)では、フィールド電極61と第2開口部付プレート電極60の間の領域の真空排気を容易にし、この領域における残留ガス圧を下げ、高エネルギ汚染を生じるかもしれない高速中性粒子の発生を最少に抑えることができる。
プロセスチャンバ81の真空排気を行うため、プロセスチャンバ81の壁部に真空ポート83が設けられている。真空ポートの開口部は、イオン注入中にターゲットからスパッタされる粒子を集めるため、比較的大きくなっており、また、ターゲット基板の領域においてビームラインと平行に延在している。減速レンズアセンブリは、特に、フィールド電極61と第2開口部付プレート電極60の間の領域において、プロセスチャンバ81の真空出口ポート83の直前に配置されており、その結果、レンズの内部をより効率的に真空排気することができ、このことは、高速中性粒子の発生の抑制及びイオンビームの高エネルギ汚染の抑制に更に役立つ。
従って、図2に示した減速レンズは、レンズ内のスペースのより効率的な真空吸引を可能にし、レンズ内の残留ガス圧を最少にし、この領域における注入エネルギ、特にフライトチューブ輸送エネルギを超える中性粒子の発生を最少にするように配置・構成されている。
本実施形態では、ビーム中性化装置13は、ターゲット基板表面の近傍において電子を注入するプラズマ源14を有するプラズマフラッド装置を備えている。プラズマフラッド装置には、ターゲットホルダ11の直前に位置してイオンビームを取り囲む電子閉じ込め管69が含まれている。減速レンズアセンブリから発する電界からプラズマフラッド装置を遮蔽するための遮蔽電極70が、閉じ込め管69の上流端部に取付けられ、第1開口部付プレート電極65に隣接配置されている。この構成では、レンズアセンブリ9をターゲット基板12にできるだけ近く配置し、しかも中性化装置13を両者の間に配置することが可能となる。追加遮蔽電極70は、第1開口部付プレート電極65のビーム開口部67とほぼ同じ寸法のビーム開口部74を有し、無関係な電界が中性化領域に実質的に入り込むことを防止している。追加遮蔽電極70は、第1開口部付プレート電極65を電子閉じ込め管69の上流端にごく近く配置し、電子閉じ込め管69自体を比較的短くし、しかも、注入対象の基板12を十分に中性化することを可能にする。
また、図2には、ビームが分析磁石5から減速レンズアセンブリを介してターゲット基板に至るときに、ビーム幅のプロファイルがビームラインに沿っていかに変化するかの一例が示されている。磁気光学(magnet optics)では、質量分解エレメント39,41によって画成される質量分解スリット42において、イオンビームが狭く収束される。イオンビームが質量分解スリット42と、質量分解チャンバ47のビーム開口部55,58と、追加遮蔽電極56とを通過するにつれ、ビーム幅は徐々に拡大する。ビームが第2開口部付プレート電極60のビーム開口部62に近づくと、フィールド電極61と第2開口部付プレート電極60の間の電界は、まず収束力をイオンビームに及ぼして拡大率が下がり、次にビームがフィールド電極61に近づいて輸送エネルギを超えて短時間加速されると、非収束力をイオンビームに及ぼす。しかし、イオンビームの速度が低く、従って第2開口部付プレート電極60のビーム開口部により近い領域において、より長い時間収束力を受けるので、フィールド電極61と第2開口部付プレート電極60の間の電界において、正味は収束力が及ぼされる。
イオンビームがフィールド電極61を通過してフィールド電極61と第1開口部付プレート電極65の間のギャップに入ると、ビームは所望の注入エネルギまで減速され、ビーム幅が狭められて第1開口部付プレート電極65のビーム開口部67を通る。
最後に、遮蔽プレート電極70のビーム開口部74を通って、イオンビームは電子閉じ込め管69に入り、ビーム幅が無視できるほどしか発散しないでターゲットに達する。
本発明のイオン注入装置の他の重要な態様は、質量分析磁石と減速装置の間の経路が、従来技術のイオン注入装置のそれよりはるかに短くできることである。上述したように、このことは、イオン注入装置をよりコンパクトにできるのみならず、低エネルギイオンビームのエネルギ汚染を生じる高速中性粒子の発生を低減することができる。ターゲットへ衝突する可能性のある高速中性粒子が、ターゲットへの直視線(direct line of sight)を有する減速電極の上流側の任意の場所において発生することは基本的である。減速レンズの第1開口部付プレート電極とターゲットの間の領域において発生する中性粒子は、注入エネルギ以下のエネルギを有し、従って、高エネルギ汚染が発生することはなくなる。高速中性粒子の形成の可能性があるクリティカルパス(critical path)を短くするため、磁石と減速レンズアセンブリの間に質量分解アセンブリのみを含めることによって、分析磁石の下流側のフライトチューブをできるだけ短くしている。独特なこの減速レンズアセンブリは、第1開口部付プレート電極と質量分解アセンブリの端部の間の距離を、その極めて単純な構造によって可能な限り短くすることを可能にする。図1と図2に示した実施形態においては、イオンビームの最終エネルギを制御する第1開口部付プレート電極65は、質量分解チャンバ47の出口開口部55にできるだけ近づけて配置されている。減速装置には、1つしかない追加の電極、即ち、第1開口部付プレート電極65と質量分解チャンバ47の端部53の間に配置されたフィールド電極61が備えられ、減速領域において及びレンズアセンブリの最終開口部67を通るビームの形状が制御され、ターゲット基板へのビーム電流の伝達がほぼ100%達成されるようになるが、この場合、フィールド電極61と最終開口部67の両開口部がいずれもビーム断面積より大きいことが条件となる。
フィールド電極61と質量分解チャンバ47の端部53の間には、有限のギャップが含まれ、その中にビームラインに沿って延在する何らかの遮蔽手段が組み込まれることが、収束電極61から質量分解チャンバ出口部を介して入り込む電界を低減するために必要であることが見出された。基本的には、ビームが出口部55の縁部によって切り取られることなく、出口部55の寸法を単に小さくするだけでは、十分な遮蔽を提供することは不可能である。ビームの切り取りを伴わずに電界の十分な遮蔽を得る唯一の方法は、フィールド電極61と質量分解チャンバの端部の間のビームラインの有限長さに沿って延びるシールドをイオンビームの周りに含めることである。図1と図2に示した実施形態では、遮蔽手段は、効果的にフライトチューブの延長部となる中空円筒電極54と、追加の開口部付プレート電極56とを備えている。質量分解チャンバ出口部55が一定の寸法の場合、遮蔽長さはできるだけ短いことが好ましい。円筒形シールドのみによって提供される遮蔽長さは、フィールド電極61と質量分解チャンバの前端部53の間に、追加の開口部付プレート電極56を配置することによってかなり短くなりうることが見出された。遮蔽長さを短くすることは、減速レンズの第1開口部付プレート電極と磁石の間の全ビーム経路長さの短縮に寄与するのみならず、イオンが瞬間的に引き出しエネルギを超えるまで加速される経路距離も最少になり、それによってこのクリティカル領域におけるエネルギ汚染が軽減される。
減速レンズの第1開口部付プレート電極と磁石の間のイオンビーム経路長さを短くする他の利点としては、第1開口部付プレート電極において、空間電荷拡大によるビーム幅が経路が長い場合よりも小さくなっていることである。換言すれば、経路長さが短かくなるにつれ、許容できるビーム拡大も大きくなる。このような特徴は、注入エネルギと輸送エネルギとの差を小さくするように、イオンビームをより低いエネルギで輸送可能にする際に、著しい利点をもたらす。かくして、イオン注入装置は、第1開口部付プレート電極の上流側で発生する中性粒子が注入エネルギよりわずかに高いエネルギを有するように制御し、それゆえ、注入イオンよりもわずかに深くターゲット基板内へ入り込むように制御することができる。更に、イオンビーム発生器とターゲット基板の間のビーム経路長さを短くすることにより、中性化相互作用の回数が減り、その結果、中性化によって失われるイオン電流が減少する。図1及び図2に示した実施形態では、磁石からプロセスチャンバの端部までのイオン注入装置の長さが約2mであり、磁石出口部31からターゲット基板12までの長さが約90cmであり、磁石出口部31から第1開口部付プレート電極65までの距離が約65cmである。また、基板においてイオンビームのエネルギ汚染を起こす可能性のある高エネルギ中性粒子は、分析磁石5の出口部31の上流側の領域においても形成されるおそれがある。都合のよいことには、ターゲットへの直視線を有する当該領域の長さは、分析磁石の磁界を強くし、イオンビームを曲げて曲率が高くなった円弧(tighter arc)を描くことによって、短くすることができる。分析磁石とターゲット基板の間の減速装置を含むコンパクトなビームラインの配置によって、磁石円弧半径をかなり小さくすることができるが、図1及び図2に示される本実施形態では、半径が23cmになっている。都合の良いことに、これによって、イオンビーム発生器から基板までのビーム経路の全長の短縮が可能であり、それによって基板におけるビーム断面寸法を更なる小さくすることができ、また、イオンビーム発生器からターゲットに至るビーム電流を低減することができる。
また、このイオン注入装置は、最終注入エネルギが、ビームが分析磁石を通って輸送されるエネルギよりも高くなるように使用してもよい(加速モードと称される)。この場合、図1又は図2を参照すると、イオンビームは所定のエネルギで質量分析磁石5と質量分解チャンバ47を通って輸送され、次に電極アセンブリ9を用いて最終注入エネルギへと加速される。例えば、注入エネルギが80keVの場合、イオンソース電位は、ともに接地レベルである第1開口部付プレート電極65とターゲット基板11に対して、80keVに設定する。第2開口部付プレート電極60までを含む引き出し電極23、フライトチューブ、遮蔽装置は全て、フライトチューブに沿ったイオンビームの輸送エネルギを決定するイオンソース電位に対して相対的な電位に設定する。例えば、引き出しエネルギが30keVの場合は、フライトチューブの大地に対する電位を+50keVに設定する。注入エネルギが引き出しエネルギより低い場合(減速モードと称される)は、レンズアセンブリの最終開口部67の領域に弱い収束電界を作り、イオンビームを当該領域に集中させるために、フィールド電極61も同じく第1開口部付プレート電極65より低い電位にバイアスする。例えば、フィールド電極61は第1開口部付プレート電極に対して−25keVにバイアスすればよい。イオンビームが質量分解チャンバ出口部55を通過すると、ビームはまず円筒形電極61と質量分解チャンバ47の端部53の間の電界によって、注入エネルギより高いエネルギまで加速され、次に、円筒形電極61と第1開口部付プレート電極65の間の領域において80keVの最終注入エネルギまで減速される。イオン注入装置を、円筒形電極61と第1開口部付プレート電極65の間の電位差を大きく変えることなく、加速及び減速モードでそれぞれ運転することにより、高エネルギと低エネルギのビームを基板へ問題なく輸送できることが見出された。かくして、都合のよいことに、両電極間の電位差をいったん設定すれば、電位差をそれ以上調節することは不要となり、高エネルギ注入と低エネルギ注入の間の切替えが簡単になる。
うまい具合にイオンのビームを輸送するには、ビームが通過するガスの圧力が、ビームの中性化を充たす数の電子を供給するのに十分高くなっていなくてはならない。電子は、イオンビームが残留ガス原子と相互作用するときに発生し、陽イオンの静電電荷によって形成された電位ウェルに捕捉される。大抵の市販イオン注入装置では、使用するガス圧力は10-3〜10-2Paの間(10-5〜10-4mbarの間)とするのが一般的である。しかし、この減速電極の構成では、減速領域内の残留ガス圧力をより低圧に真空排気することができるが、第1開口部付プレート電極とフィールド電極の両方に形成される開口部を、ビーム断面積よりも実質的に大きすることができるからである。従って、減速領域内のガスを開口部を介して高速で真空排気し、その結果、当該領域内のガス圧力をより低くすることができる。更に、フィールド電極は、イオンビームを減速して遠隔のターゲットまで送るために、第1開口部付プレート電極に加えて必要とされる唯一の他の電極であるので、当該電極は、電極アセンブリは極めて単純で、効果的に真空排気することのできる開放的な構造体として容易に構成することができる。減速区域内の残留ガス圧力を減じる利点としては、ビームイオンと残留ガス原子間の相互作用の数を減らして、イオン電流の損失を少なくすると共に、生成される中性粒子をより少なくし、その結果、イオンビームのエネルギ汚染が少なくなることである。ビームの発散を著しく増加させることなく、残留ガス圧力を、約1桁又はそれ以上、即ち、少なくとも10-6mbarまで、減圧できることが分かった。しかし、圧力を少なくとも1桁減らすことは、エネルギ汚染を少なくとも1桁減らすことに相当する結果に帰着する。都合のよいことには、減速装置の収束作用は、この領域においていかなるビームの発散が拡大しても、補償する傾向にあり、その結果、ガス圧力を減圧できる。
再び図2を参照すると、減速レンズアセンブリ9、プラズマフラッド装置13、ターゲット基板支持体11は全て、質量分解チャンバ47近傍に位置するプロセスチャンバ81内に格納されているが、このプロセスチャンバ81は、質量分解チャンバの前端部分53に形成された開口部55を介して、質量分解チャンバと連通している。質量分解チャンバ47の前端壁部53と第2開口部付プレート電極60との間の遮蔽シリンダ52は、プロセスチャンバ81内の漂遊電界からイオンビームを遮蔽し、この部分のビームラインを効果的に排除できるように穿孔されている。真空出口ポート83は、プロセスチャンバ81の壁部85に形成され、(図1に示される)真空ポンプ86に連結される。真空ポンプは、毎秒約10,000リットルの排気速度で真空排気可能なクライオポンプ(cryogenic pump)であることが望ましい。質量分解チャンバ壁部49は、プロセスチャンバ81の壁部の一部を形成する電気的絶縁部材87によって、プロセスチャンバ壁部から電気的に絶縁される。
質量分解チャンバ47は、イオンビームのエネルギ汚染物質の原因となるおそれのある高速中性粒子を発生する第1開口部付プレート電極65と分析磁石5との間に、クリティカルパス長さの一部を構成する。イオンビームの空間電荷中性化をもたらすには、質量分解チャンバ内に有限の残留ガス圧力を必要とするけれども、圧力を減らして、この領域で発生する高速中性粒子の数を減少させることを可能にする実質的圧力範囲がある。クリティカルパス長さをできる限り短くする際の重要な利点は、ビームの発散率が高くなっても許容できるので、空間電荷中性化が良好であることはそれほど重要ではなくなるということである。本発明の一態様では、質量分解チャンバ内を減圧して短かくされたクリティカルパス長さだけ生成される、許容された発散率の高いビームが利用される。質量分解チャンバ47の壁部49には、真空出口ポート57が形成され、(図1に示される)真空ポンプ59に連結されるが、出口ポート57の寸法及びそれによるスループットは、できる限り短かくするのが理想的な質量分解チャンバの長さにより制限される。質量分解チャンバは、端部53に形成された出口開口部55を介してプロセスチャンバ81に連通して、少なくともある程度までは、質量分解チャンバが、プロセスチャンバ81を経由しこの開口部を介して排気することができるが、当該開口部の寸法は、フィールド電極61で生ずる電界が質量分解チャンバ47内への著しく貫入することが決してできないように制限される。質量分解チャンバ47内の圧力を、それ以前には可能であった圧力未満に実質的に減圧できるようにするために、追加の開口部103が、質量分解チャンバ47とプロセスチャンバ81との間の隔壁部51内に複数形成されて、プロセスチャンバ真空ポート83を介しプロセスチャンバ真空ポンプ86によって、質量分解チャンバを排気することのできる追加の出口部を提供する。本実施形態では、これら開口部は、一般的にはビームラインの方向へ延びる質量分解チャンバ壁部の部分に形成されるが、他の実施形態では、これら追加の開口部が、ビームラインを横断して延びるものを含めて、壁部の他の部分に形成されていてもよい。開口部の寸法と間隔を注意深く選定して、隔壁部(dividing wall)51によって与えられるイオンビームの遮蔽を維持し、その結果、ビーム電流損失の原因となり得る、隔壁部での等電位面の不連続性により、イオンビームが妨害されないようにする。開口部が延長スロットとして形成される実施形態もあり、また、その形状は、正方形、長方形、円形、斜方形等任意の適当な形状でよい。
減速レンズアセンブリの比較的大きい開口部と、質量分解チャンバとプロセスチャンバとの間に形成された追加の開口部とを組み合わせることにより、分析磁石と減速電極65との間のクリティカルビームパス(critical beam path)を、それ以前に可能であった圧力よりももっと低い圧力にまで真空排気することができ、しかも、都合のよいことに、このことは、真空ポンプを追加することなく、また、真空ポートを大きくするように質量分解チャンバの長さを増すことなく達成される。実際には、質量分解チャンバ47とプロセスチャンバ81との間の追加の出口開口部により、他の質量分解チャンバ真空ポンプを必要とせず、注入装置を簡素化し、しかも、コストを抑えるようなスループットがもたらされるであろう。更に、ビームパス長が短いので、排気すべき全容積が実質的に減少する。
本発明の実施形態には、ウェハ支持アセンブリが含まれ、放射状に複数延在するスポークを介して、回転可能なハブ部により支持され且つその周りに配置された複数の個々の支持プレートを備えているものがある。図2には、スポーク109に接続される上述の支持プレート107の1つが示されており、支持プレート107が、例えば半導体ウェハ12のようなターゲット基板を支持している。ウェハ支持アセンブリは、ビームラインに対して横断する方向に移動させることができるので、ウェハ全体をビームで走査することができる。
このような配置構成についての更に顕著な利点としては、減速装置の収束作用を用いて、単一ウェハの処理時間を短縮させ、イオン注入装置のウェハスループットを高めることができるということである。イオンビームが低エネルギの場合、即ち、基本的には10keV未満の場合には、ターゲット基板でのビーム幅を、例えば20keVの高エネルギビームのビーム幅未満にまで縮小することができるが、何故ならば、比較的幅の広いビームを用いて、過剰な帯電やターゲットウェハの加熱のようなエネルギ密度の問題を避ける必要性が、もはやないからである。減速装置の収束作用を用いて、ターゲット上のビーム幅を小さくして、回転ウェハ支持アセンブリを走査しなければならない距離が減少し、ウェハがイオンビームにより均一にドープされることができるようになる。このことにより、ウェハの所定のバッチにかかる処理時間を短縮することができるので、注入機のスループットを増やすことができる。
イオン注入装置の他の実施形態では、プロセスチャンバ内のいずれの開口部付プレート及びフィールド電極又は遮蔽電極には、任意の密閉容積を真空排気して低圧力を達成するための追加の出口部を提供するために形成された少なくとも一つの追加の開口部があってもよい。電極は、上記開口部の配列を有していてもよく、また、網目部を備えてもよい。また、質量分解チャンバとプロセスチャンバとの間の隔壁部にも網目部が備えられ、質量分解チャンバ内で低い圧力を達成できるようにしてもよい。重要なことは、網目部をイオンビームを適切に遮蔽する寸法で作るべきことである。
他の実施形態では、第1開口部付プレート又は電極と、収束電極又はフィールド電極が、任意の適切な形状と構成を有し、また、それぞれが、一以上の独立した電極を備えていてもよい。例えば、減速電極は、円筒形又は環状の電極を含んでもよい。別の実施形態では、減速電極及びプラズマフラッドガイドチューブを、単一電極で構成してもよく、或いは、互いに電気的に接続してもよい。別の実施形態では、減速電極を、ターゲット基板の電位とは異なる電位にバイアスすることができるように配置してもよい。
別の実施形態では、収束電極又はフィールド電極は、フライトチューブの延長部を備えてもよく、ほぼフライトチューブ電位になっていてもよい。本実施形態では、フライトチューブと、第1開口部付プレート電極又は減速電極との間の電位差は、減速区域内のイオンビームに収束力を与えるのに十分な電位差であるべきである。減速電極の上流部で且つフライトチューブ内にあり、フライトチューブ電位より低い電位でバイアスされる追加の電極は、電子が減速電極へ失われるのを妨ぐために設けるべきである。
上記実施形態に対する変形例は、当業者にとっては明らかなものである。
本明細書で説明した更なる特徴は、英国特許出願第9522883.9号に基づき優先権主張し、且つ、本明細書と同日に提出された本出願人の同時係属中の出願に請求されている。
Claims (11)
- イオンのビームを生成するイオンビーム発生器と、
前記ビームを輸送エネルギで輸送するためのフライトチューブと、
前記フライトチューブ内にあり、前記フライトチューブからの前記イオンのビームの中で送出のための所望の質量のイオンを選択する質量選択装置と、
前記所望の質量のビームイオンで注入される基板を保持するための基板ホルダと、
前記基板ホルダの前側に配置され、注入中に前記基板上に蓄積する表面電荷を中性化するために、前記ビームイオンと極性が反対の低エネルギ荷電核種を供給する中性化装置と、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に減速電位を印加するために接続され、イオンビームを所望の注入エネルギまで減速する減速電位発生器と、
前記フライトチューブと前記中性化装置との間に配置され、且つ、ほぼ前記基板の電位になるように接続される第1開口部付プレート電極、ほぼ前記フライトチューブの電位になるように接続される第2開口部付プレート電極、及び、前記第1開口部付プレート電極と前記第2開口部付プレート電極との間に近接して配置されるフィールド電極を備える減速レンズアセンブリと、
前記フィールド電極にバイアスを印加して、前記第1電極と前記第2電極のそれぞれに対し同一の極性を有するように接続されるバイアス電位供給源と、
を備えており、
ビームイオンが前記第1電極を通過する場合、前記第1及び第2電極及び前記バイアスが収束電界を提供するようになっており、
前記ビームの方向に直角な少なくとも1つの方向に対しては、前記1電極の前記ビームの開口部が、前記フィールド電極の前記ビームの開口部より小さくなっていることを特徴とする、基板中へイオンを注入するためのイオン注入装置。 - 前記フィールド電極と前記第1電極とを前記ビームが通過するときに、ビームの方向に直角な少なくとも1つの方向で前記ビームの幅を画成するために有効なビーム画成開口部を含み、
前記フィールド電極が、前記フィールド電極を前記ビームが通過するときに、前記1つ方向のビームの幅よりも前記1つの方向で大きい開口部を有し、
前記第1電極が、前記第1電極を前記ビームが通過するときに、前記1つの方向のビームの幅よりも、前記1つの方向で十分に大きい開口部を有し、
ビームイオンが、イオンに偏向を与えビームの外側へ向かせる傾向がある、前記第1電極の開口部の周縁部の半径方向の高い電界成分を回避する、ことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入装置。 - 前記イオンビーム発生器が、陽イオンのビームを生成し、
前記バイアス電位供給源が、前記第1電極と第2電極の双方に対し、負のバイアスを前記フィールド電極に印加する、
ことを特徴とする請求項1〜2のいずれかに1項に記載のイオン注入装置。 - 前記バイアス電位供給源が、前記フライトチューブに対して前記フィールド電極が少なくとも5kVの負電位となるようにバイアスを供給するため、取り付けられていることを特徴とする請求項3に記載のイオン注入装置。
- 前記フィールド電極がビーム方向に軸を有する円筒の形状であり、
前記円筒の最小横断寸法の少なくとも10%の長さを有していることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のイオン注入装置。 - 前記ビームイオンを質量に従って空間的に分解するための磁石と、
前記基板ホルダを収容し、出口ポートを有するプロセスチャンバと、
前記出口ポートに接続された、前記プロセスチャンバを真空排気するための第1真空ポンプと、
前記プロセスチャンバと前記磁石との間にある質量選択チャンバと、
前記質量選択チャンバを真空排気するために接続された第2真空ポンプと、
前記ビームが前記質量選択チャンバを通って前記プロセスチャンバへ至るための開口部と、
前記質量選択チャンバと前記プロセスチャンバとの間にあって、前記両チャンバのうちのいずれか一方若しくは両方の排気を改善する少なくとも1つの追加開口部と、
を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のイオン注入装置。 - 前記質量選択チャンバと前記プロセスチャンバとの間には、複数の前記追加開口部を含み、
前記追加開口部の断面積と前記チャンバ間のビームの開口部の断面積との合計断面積の、前記質量選択チャンバにより囲まれる容積に対する比が、前記出口ポートの断面積の、前記プロセスチャンバにより囲まれる容積に対する比よりも大きいことを特徴とする請求項6に記載のイオン注入装置。 - 前記バイアス電位供給源が、前記第1電極に対して前記フィールド電極を少なくとも15kVだけバイアスを印加することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のイオン注入装置。
- イオンのビームを生成するイオンビーム発生器と、
前記ビームを輸送エネルギで輸送するためのフライトチューブと、
ビームイオンで注入される基板を保持するための基板ホルダと、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に減速電位を印加するために接続され、イオンビームを所望の注入エネルギまで減速する減速電位発生器と、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に配置され、且つ、ほぼ前記基板の電位になるように接続される第1開口部付プレート電極、及び、前記第1開口部付プレート電極の上流側に近接して配置されるフィールド電極を備える減速レンズアセンブリと、
前記第1電極に対して、前記フィールド電極にバイアスを印加するために接続され、ビームイオンが前記第1電極を通過する場合、両前記電極が収束電界を提供するように設けられるようになったバイアス電位供給源と、
前記フィールド電極と前記イオンビーム発生器との間に配置され、前記フィールド電極と前記第1電極とを前記ビームが通過するときに、ビームの方向に直角な少なくとも1つの方向で前記ビームの幅を画成するために有効なビーム画成開口部と、
を備えており、
前記フィールド電極が、前記フィールド電極を前記ビームが通過するときに、前記1つ方向のビームの幅よりも前記1つの方向で大きい開口部を有し、
前記第1電極が、前記第1電極を前記ビームが通過するときに、前記1つの方向のビームの幅よりも、前記1つの方向で十分に大きい開口部を有し、
ビームイオンが、イオンに偏向を与えビームの外側へ向かせる傾向がある、前記第1電極の開口部の周縁部の半径方向の高い電界成分を回避する、
ことを特徴とする、
基板中へイオンを注入するためのイオン注入装置。 - イオンのビームを生成するイオンビーム発生器と、
前記ビームを輸送エネルギで輸送するためのフライトチューブと、
ビームイオンで注入される基板を保持するための基板ホルダと、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に減速電位を印加するために接続され、イオンビームを所望の注入エネルギまで減速する減速電位発生器と、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に配置され、且つ、ビームが通る開口部を画成すると共に、ほぼ前記基板の電位になるように接続される第1電極、及び、前記第1開口部付プレート電極の上流側に近接して配置されると共に、ビームが通る開口部を画成するフィールド電極を備える減速レンズアセンブリと、
前記第1電極に対して、前記フィールド電極にバイアスを印加するために接続され、ビームイオンが前記第1電極を通過する場合、両前記電極が収束電界を提供するように設けられるようになったバイアス電位供給源と、
を備えており、
前記ビームの方向に直角な少なくとも1つの方向に対しては、前記第1電極の前記ビームの開口部が、前記フィールド電極の前記ビームの開口部より小さくなっていることを特徴とする、基板中へイオンを注入するためのイオン注入装置。 - イオンのビームを生成するイオンビーム発生器と、
前記ビームを輸送エネルギで輸送するためのフライトチューブと、
ビームイオンで注入される基板を保持するための基板ホルダと、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に減速電位を印加するために接続され、イオンビームを所望の注入エネルギまで減速する減速電位発生器と、
前記フライトチューブと前記基板ホルダとの間に配置され、且つ、ほぼ前記基板の電位になるように接続される第1電極、及び、前記第1開口部付プレート電極の上流側に近接して配置されるフィールド電極を備える減速レンズアセンブリと、
前記第1電極に対して、前記フィールド電極にバイアスを印加するために接続され、ビームイオンが前記第1電極を通過する場合、両前記電極が収束電界を提供するように設けられるようになったバイアス電位供給源と、
を備えており、
前記フィールド電極がビーム方向に軸を有する円筒の形状であり、
前記円筒の最小横断寸法の少なくとも10%の長さを有していることを特徴とする基板中へイオンを注入するためのイオン注入装置。
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