JP4223986B2 - ブラッグ回折格子形成用位相マスク及びそれを用いて製造した光ファイバ - Google Patents

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Description

本件発明は、光ファイバ等の光学素子に光照射してブラッグ回折格子を形成するための位相マスクに関し、特に、格子間隔が高精細に制御されたブラッグ回折格子を形成可能な位相マスク及びそれを用いて製造した光ファイバに関する。
光ファイバ等の光学素子に紫外線等の短波長光を照射することによって屈折率周期構造を形成し、ブラッグ回折格子を形成することが知られている。ブラッグ回折格子を形成した光ファイバ(ファイバグレーティング)は、その回折格子間隔と光ファイバコア部の屈折率の積を2倍した波長の光を反射させる性質を有しており、光通信用の波長多重分割器、高反射ミラー、分散補償器等に用いられる。特に分散補償器に用いる場合、ブラッグ回折格子の格子間隔が光の伝播方向に徐々に変化(チャープ)させた構造が取られ、そのようなブラッグ回折格子を形成した光ファイバはチャープド・ファイバ・グレーティングと称されている。
光ファイバ等へのブラッグ回折格子の形成には、グレーティングを持つ位相マスクを使って紫外線を照射する方法が良く用いられる。一般的な位相マスクは、石英基板等の透光性基板の表面に複数の溝部が周期配列された構造を有している。この位相マスクに紫外線を照射して生じる1次回折光を利用して、光ファイバのコア部に屈折率周期構造を形成することができる。
位相マスクの製造には、電子線やレーザ光を所定の描画データに用いて照射する電子線描画装置やレーザビーム描画装置を用いることができる。例えば、特開2001−242313号公報(特許文献1)やJ.Vac.Sci.Technol.B16(6), p.3237(1998)(非特許文献1)には、電子線描画装置を用いて長さ100mmの線形チャープド・ファイバ・グレーティングを形成するための位相マスクの製造方法が開示されている。これらの文献では、電子線描画装置のフィールドサイズキャリブレーションの縮尺を変えることにより溝部のピッチが異なる複数のパターン群を形成し、それらのパターン群を相互に並列させて描画パターンとしている。
特開2001−242313号公報 R.C.Tiberio, et.al., "Fabrication of electron beam generated, chirped, phase mask (1070.11-1070.66 nm) for fiber Bragg grating dispersion compensator", J.Vac.Sci.Technol, American Vacuum Society, 1998, B16(6),p.3237
チャープド・ファイバ・グレーティングを形成する位相マスクを作製しようとした場合、理想的には溝部のピッチが溝部1本毎に漸次線形に増加した位相マスクがあれば良い。ところが、チャープド・ファイバ・グレーティングの形成に必要とされる位相マスクの溝部ピッチ変化に比べて、一般的な描画装置における描画パターン位置決め分解能はかなり粗い。例えば、上記特許文献1で作製を試みているチャープド・ファイバ・グレーティングの場合、100mm長のブラッグ回折格子における格子間隔の変化は1.0722μmから1.0730μmであり、この格子間隔の変化を実現するためには位相マスクの溝部ピッチも同様に変化する必要がある。そのため必要となる位相マスクの溝部ピッチ変化は、100mmのパターン全長で1nm以下でしかない。これに対し、一般的なレーザビーム描画装置や電子線描画装置におけるレーザ光や電子線の描画パターン位置決め分解能は、150nm〜2nm程度しかない。このような描画装置を用いて位相マスクの溝部パターンを形成しても、描画装置の描画パターン位置決め分解能に制約されてしまい、パターンピッチの変化を離散的にしか実現できない。
また、均一な格子間隔のブラッグ回折格子を形成するための位相マスクを作製する場合にも、同様の問題が生じ得る。即ち、所望の格子間隔を持つブラッグ回折格子を形成する場合に、必要となる位相マスクの溝部ピッチが描画パターン位置決め分解能によって割り切れない値であった場合、位相マスクの溝部の位置は理想的な位置からずれることになる。
このような位相マスクを用いてブラッグ回折格子を形成しても反射特性を理想的な状態にすることができず,サブピークがでる、あるいは設計とは異なる位置にピークがでるなどの問題が生じる。
そこで本件発明は、描画装置の描画パターン位置決め分解能を越える高精細の格子間隔を持ったブラッグ回折格子を形成するための位相マスクを提供することを目的とする。
この目的を達成するために、本件発明に係る位相マスクは、透光性基板の主面に互いに平行な溝部が周期的に配列されてなるブラッグ回折格子形成用の位相マスクであって、 前記透光性基板の溝部形成面を正面から見て、前記溝部の長手方向におけるパターンエッジの少なくとも1本が、凹及び/又は凸を形成するよう屈曲した屈曲パターンを繰返した形状を有し、前記屈曲パターンの長さが、前記位相マスクによって形成するブラッグ回折格子の反射波長以下であることを特徴とする。ここで透光性基板の「溝部形成面」とは、通常は板状である透光性基板の2枚の主面のうち、溝部を形成した方の主面を指す。また、「正面から見る」とは、その面の法線方向から見ることを指す。

位相マスクにおける溝部のパターンエッジが、基板上面から見て凹及び/又は凸を形成する屈曲パターンを繰り返すことにより、その屈曲パターン内の凹凸の数に応じて、位相マスクを用いた光転写により形成される格子間隔を擬似的に微調整することが可能となる。従って、位相マスクの製造に用いる描画装置の描画パターン位置決め分解能を越えて、反射特性が高精度に制御されたブラッグ回折格子の形成が可能となる。
以下、本件発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
実施の形態1
本実施の形態では、チャープド・ファイバ・グレーティングの形成に用いる位相マスクを例に説明する。
図8は、ブラッグ回折格子を形成した光ファイバの一例を示す模式図である。光ファイバ2には、クラッド部6の内部に屈折率の大きなコア部4が形成されており、コア部4中に局所的に屈折率の異なる部分が周期的に存在してブラッグ回折格子8を構成している。ブラッグ回折格子8は、その回折格子間隔とコア部4の屈折率の積を2倍した波長λBの光を反射させる性質を有している。即ち、光ファイバ2に入射した波長λinの光のうち、波長λBの成分は反射し、波長λin−λBの成分を透過する。分散補償器等に用いられるチャープド・ファイバ・グレーティングの場合、図9に示すようにコア部4に形成されるブラッグ回折格子9の格子間隔が光の進行方向に従って順次広がるよう形成されている。
光ファイバ2へのブラッグ回折格子9の形成は、図10に示すように位相マスク12を用いた光転写により行うことができる。位相マスク12は、転写光源に対して光透過性を示す石英ガラス等の透光性基板の上に周期的に断面が略矩形の凹状溝部を形成したものである。位相マスク12に紫外レーザ(例えば、KrFエキシマレーザ等)を照射すると、周期的な凹状溝部により回折光が生じ、その1次回折光によって光ファイバ2のコア部4中に局所的に屈折率が変調された部分4aが生じ、ブラッグ回折格子が形成される。転写光は、対象となる光学材料に屈折率変化を生ぜしめるだけのエネルギーをもった光である必要があり、波長300nm以下、より好ましくは波長250nm以下、さらに好ましくは波長200nm以下の紫外光とすることが望ましく、特にレーザ光であることが望ましい。
図1(a)及び(b)は、位相マスク12の形状を模式的に示す断面図及び平面図である。透光性基板の一つの主面に周期的な溝部12aが形成されている。図1に示す例では、幅が溝部とほぼ同一の凸条12bが溝部12aの間に設けられたバイナリ位相型回折格子状の構造となっている。一般に溝部12aの深さD(=凸条12bの高さ)は、0次回折光を低く抑えるために転写光をπラジアン変調するように選択されている。即ち、転写光の波長をλt、透光性基板の屈折率をn、露光大気の屈折率をnとすると、溝部12aの深さDは次式となるように設定されるのが一般的である。
D=(n−na)λ
溝部12aと凸条12bの合計幅が溝部12aのパターンピッチPに相当する。本実施の形態では、チャープド・ファイバ・グレーティングを形成するために溝部12aのパターンピッチがパターンが進むに従って僅かずつ増加する構成とする。即ち、i番目の溝部12a(i)のピッチをPiとすると、理想的にはP<P<・・<Pの順でピッチが徐々に大きくなるようにする。尚、溝部12aのパターンピッチの変化はある程度離散的でも良いが、可能な限り連続的な変化であることが好ましい。チャープド・ファイバ・グレーティングを形成するために必要となる溝部12aのピッチ増加分はごく僅かであり、近赤外域に使用されるチャープド・ファイバ・グレーティングの場合100mm程度のパターン全長で1nm以下のピッチ増加分であることが多い。
位相マスク12は、後述するように、電子線描画装置やレーザビーム描画装置を用いて電子線やレーザ光によって所定のラインアンドスペースパターンを描画することによって製造できる。しかしながら、電子線描画装置やレーザビーム描画装置における電子線やレーザ光の描画パターン位置決め分解能は一般に10〜150nm程度であり、かなり高精細の描画装置でも2〜5nm程度しかない。従って、通常の位相マスクの製造方法では理想的なチャープドパターンとすることが困難である。
そこで本実施の形態においては、図2に示すように、位相マスク12のi番目の溝部12a(i)の長手方向におけるパターンエッジ18が凹10や凸11を形成するよう屈曲した屈曲パターン19を複数回繰り返すようにする。この屈曲パターン19の長さが光ファイバへ転写を行う際の転写光波長よりも短ければ、位相マスク12によって転写される光学像は溝部12aの長手方向で平均化されて略均一となり、その光学像の位置が屈曲パターン内の凹凸の数に応じて微調整される。従って、描画装置の描画パターン位置決め分解能の制約を越えて、ブラッグ回折格子の格子間隔をより高精細に制御できるようになる。
溝部12aのパターンエッジに形成する屈曲パターン19の形状は、以下のようにして決めることができる。まず、i番目の溝部12a(i)の理想的なパターンエッジの位置を計算によって算出する。この算出は理想的なピッチとパターン数の乗算によって容易に行うことができる。この理想的な溝部12a(i)の位置が図3(b)に破線で示すような位置であったとする。描画装置の描画パターン位置決め分解能は理想的なピッチ変化に比べてかなり大きいため、実際に溝部12a(i)を描画できる位置は左側のパターンエッジについては鎖線g及びgm+1で示す位置になり、右側のパターンエッジについては鎖線g及びgn+1で示す位置となる。ここで鎖線gとgm+1の間隔(又は鎖線gとgn+1の間隔)は描画装置における最小の描画パターン位置決め分解能に相当する。このため通常であれば実際に描画できる溝部12a(i)の位置は、図3(a)又は図3(c)に実線で示す位置となってしまう。
このような溝部が形成された場合の光ファイバへの転写時の露光強度と転写光学像の位置関係を図5に示す。図5は、図3に示した溝部12a(i)の右側パターンエッジにおける様子を示している。位相マスクのパターンエッジ部分では露光強度がなだらかな曲線になるため、パターン解像レベル23に相当する位置が実際に形成される回折格子の位置となる。理想的には符号22で示すような位置に転写光学像を形成したいが、描画装置の描画パターン位置決め分解能に制約される結果、符号20又は21で示す位置にしか転写光学像は形成できない。このままでは、ブラッグ回折格子のピッチ変化は離散的となり、製作したファイバーの反射特性においてサブピークが出たり、設計とは異なる場所にピークができるなどの問題が生じる。
そこで次に、図4(b)に示すように、溝パターン12a(i)を長手方向に複数の単位部分に分割し、各単位部分の左側及び右側パターンエッジを幅方向に移動させて描画パターン位置決め分解能から描画可能な位置にする。各単位部分の左側のパターンエッジは、鎖線g又はgm+1のいずれかに一致させるように移動し、各単位部分の右側のパターンエッジは、鎖線g又はgn+1のいずれかに一致させるように移動する。このとき、ある数の単位部分を1周期として(ここでは4つの単位部分で1周期)、1周期内で各単位部分を移動させる先を一定の比率で振り分け、パターンエッジの平均位置が理想的なパターンエッジの位置(=図3(b)の位置)となるようにする。尚、これは描画データ中のラインアンドスペースパターンをパターン長手方向に所定周期で分割し、その各周期内をさらに複数の単位部分に分割した上で、各周期内において所定の単位部分のパターンエッジを幅方向(長手方向に垂直な方向)にずらすことによって実現できる。
各単位部分の振り分けは次のようにして行う。図3に示す例では、図3(b)に示す理想的な溝部12a(i)の左側パターンエッジは、鎖線gまでの距離と鎖線gm+1までの距離の比が約1:3の位置にある。そこで図4(b)に示すように、各周期内において1/4の単位部分については左側パターンエッジが鎖線g上にくるようにし、3/4の単位部分については左側パターンエッジが鎖線gm+1上にくるようにする。より具体的には、1周期内に含まれる4つの単位部分の左側パターンエッジl(1)〜l(4)について、そのうちの3つの単位部分のパターンエッジ(図の例では、l(1)、l(3)、l(4))は鎖線g上にあるようにし、1つの単位部分のパターンエッジ(図の例ではl(2))は鎖線gm+1上にあるようにする。また、右側パターンエッジについても同様である。この操作をi=1からnまで繰り返し行い、n本の溝パターン12a全てについてパターンエッジの形状を決める。尚、計算上の理想的な位置が描画パターン位置決め分解能から描画可能な位置にあるパターンエッジについては上記操作が不要であり、計算通りの直線のままで良い。
このような操作を行えば、結果的にn本の溝パターン12aの個々のパターンエッジが、描画パターン位置決め分解能から許容される描画位置との関係に応じて、凹及び/又は凸を形成する屈曲パターンを繰り返す形状になり、そのパターンエッジの平均位置が理想的なパターンエッジの位置にほぼ一致するようになる。しかも、全てのパターンエッジは描画装置の描画パターン位置決め分解能からみて正しく描画できる位置にあるため、描画装置の描画パターン位置決め分解能の制約を受けずにデータ通りのパターンが描画できる。
ここで本実施の形態では、繰り返す屈曲パターンの周期長さ(図の例では4つの単位部分の幅Wの合計)を、位相マスク12を用いて転写する際の転写光の波長以下とする。例えば紫外光を用いて転写を行う場合、屈曲パターンの周期長さを250nm以下、より好ましくは200nm以下とすることが望ましい。また、前述の通り、転写光の波長をλt、透光性基板の屈折率をn、露光大気の屈折率をnとすると、溝部12aの深さDをD=(n−na)λによって決めるのが一般的であるから、屈曲パターンの周期長さを溝部深さの1/(n−n)以下とすれば、屈曲パターン周期長さは転写光の波長よりも小さくなる。一般的な透光性基板の屈折率は約1.5であり、露光大気の屈折率は約1であるから、屈曲パターンの周期長さを溝部深さの2倍以下とすれば良い。より好ましくは、屈曲パターン周期長さを溝部深さ以下とする。このような屈曲パターンを形成したマスクを用いて光転写を行えば、そのパターンの光強度分布は、光の回折の影響により、もはや一部の単位部分だけが幅方向に移動していることはなく、長手方向に平均化されて全体として高精細に幅方向に移動することになる。即ち、描画装置の描画パターン位置決め分解能を越えて理想的な位置(図5の符号22で示す位置)に転写光学像を形成することが可能になる。このような状態で光ファイバに光転写を行いブラッグ回折格子を形成した場合、そのピッチ変化を極めて高精細にすることができる。このためファイバの反射特性は、サブピークのない、設計値どおりのピークを有するものになる。
また、本実施の形態によれば描画パターンの位置ゆらぎによるピッチばらつきを解消するという副次的な効果も期待できる。即ち、電子線描画装置やレーザビーム描画装置では、描画パターン位置決め分解能からみて正しく描画可能なパターンであっても、描画装置の持つ性能によって描画パターン位置が多少はばらつく。従って、高精細ピッチの溝パターンを形成しようとした場合、描画の最小描画パターン位置決め分解能による制約以外にも、描画パターンの位置ゆらぎによるピッチばらつきが生じ得る。しかしながら、本実施の形態によれば、従来は直線であったパターンエッジ内に屈曲パターンが周期的に形成されているため、1本のパターンエッジの描画中に位置決め動作が何度も行われることになる。位置ゆらぎは位置決め動作のたびに発生するから、1本のパターンエッジの描画中に異なった複数の位置ゆらぎが発生することになり、パターンエッジ全体としては位置ゆらぎが相殺される。従って、描画パターンの位置ゆらぎによるピッチばらつきを抑制するという副次的効果が得られる。
尚、1つの屈曲パターン内に含まれる単位部分の数は多い方が、より精度の高いパターン制御が可能となる。即ち、1つの屈曲パターンに含まれる単位部分の数がm個であれば、パターンエッジの平均位置を描画装置の最小描画パターン位置決め分解能の1/mの精度で擬似的に制御できるようになる。1つの屈曲パターン内に含まれる単位部分の数は、単位部分の幅Wに(屈曲パターンの形成する凹や凸の溝パターン長手方向における幅に相当)よって決まる。例えば、屈曲パターン周期長さが200nmであり、単位部分の幅Wが50nmであれば、1つの屈曲パターン内には4つの単位部分が含まれる。従って、単位部分の幅Wは、屈曲パターン周期長さに対して小さなことが好ましく、屈曲パターン周期長さの1/4以下であることが望ましい。屈曲パターン周期長さが溝部深さの2倍以下であれば、単位部分の幅(屈曲パターンにより形成される凹凸の溝パターン長手方向における幅)が溝部深さの1/2以下であることが好ましいことになる。また、単位部分の幅Wは、描画装置の描画パターン位置決め分解能で正しく描画できるものであることが必要であり、最小描画パターン位置決め分解能の整数倍であることが好ましい。
また、図2に示すように、屈曲パターン19によって形成される凹部10の溝パターンピッチ方向における幅dや、凸部11の溝パターンピッチ方向における幅hは、各単位部分の相互のずらし量に相当することになる。従って、屈曲パターン19によって形成される凹部10の溝パターンピッチ方向における幅dや凸部11の溝パターンピッチ方向における幅hは、描画装置の最小描画パターン位置決め分解能の整数倍であることが好ましい。また、凹部10や凸部11の溝パターンピッチ方向における幅があまり大きすぎると転写時の光学像の平均化が難しくなる。したがって、凹部10や凸部11の溝パターンピッチ方向における幅は、転写光の波長以下であることが好ましく、例えば、紫外光を転写光に用いる場合には250nm以下であることが望ましい。
尚、本実施の形態では、同一の屈曲パターン19が繰り返す場合について説明したが、屈曲パターン19内の単位部分の左右振り分け比率が同一であれば(即ち、パターンエッジの平均位置が同一であれば)、異なる形状の屈曲パターン19が繰り返しても良い。
次に、本実施の形態に係る位相マスクの製造プロセスについて説明する。本実施の形態に係る位相マスク12の製造プロセスは、描画に用いる描画データを上述の屈曲パターンを含むものにする他は一般的な製造プロセスでよい。
例えば、まず図7(a)に示すように、透光性基板12上に金属膜14を成膜した位相マスクブランクを準備し、さらにレジスト16を塗布して、電子線描画装置やレーザビーム描画装置により電子線やレーザなどのエネルギビームを照射する。透光性基板12は、転写光に対して光透過性を示す基板であれば良く、例えば石英ガラスを用いることができる。また、金属膜14は、透光性基板12をエッチングする際のエッチングマスクとなり得る材料であれば良く、クロム(Cr)やモリブデン(Mo)などを用いることができる。レジスト16としては、照射するエネルギビームにより変質してパターニング可能となる材料を適宜選択すればよい。
ここで電子線やレーザビームを照射する際に用いる描画データは、前述の操作によってパターンエッジに屈曲パターンを形成したラインアンドスペースパターンとする。また、描画装置における位置のゆらぎの問題を一層改善するために多重露光を行っても良い。描画装置としては、ベクトル走査が可能で描画パターン位置決め分解能が高いものを用いることが好ましく、電子線描画装置やレーザビーム描画装置の他に原子間力顕微鏡(AFM)を描画装置として利用しても良い。
次に、図7(b)に示すように、レジスト16を現像してレジスト鋳型パターン16を形成する。そして図7(c)に示すように、先に形成したレジスト鋳型パターン16を元に、金属膜14をウエットエッチングまたはドライエッチングすることにより、金属パターン14を形成する。次いで、図7(d)に示すように、金属パターン14をマスクとして、CFガス等を用いて透光性基板12のエッチングを行い溝パターン12aを形成する。最後に、図7(e)に示すように、レジスト16と金属膜14を剥離して位相マスク12が完成する。
こうして完成した位相マスク12を用いて光転写を行うことによりチャープド・ファイバ・グレーティングを作製することができる。例えば、図10に示すように、高圧水素充填して感光性を高めた石英光ファイバに対して、上記方法で得られた位相マスク12を通じて紫外線レーザを照射し、石英光ファイバのコア部に屈折率の変調をもたらす。
こうして光ファイバ上に光転写を行うと,位相マスク12の溝パターンは光転写で用いる紫外光源の波長以下の周期でパターン分割し、各周期内の一部を幅方向に移動させて屈曲パターンとしているために、光の回折の影響により光学像は長手方向に分割された周期の中で平均化されて均一となる。このため転写で形成される格子パターンの光学像の位置や幅が位相マスク12上の溝パターンの重心位置の変化に応じて高精細に変わることになり、ピッチを近似的に連続的に変化させたとみなせるまでに高精細にできる。即ち、図6に示すように、パターン位置によってピッチが連続的に変化する理想状態に対して(図6(a))、通常の描画方法ではピッチが離散的にしか変化し得なかったところ(図6(b))、本実施の形態によればピッチ変化の段階が非常に細かくなるため理想状態により近づく(図6(c))。このようにして形成されたチャープド・ファイバ・グレーティングは、従来のマスクを用いて形成されたものより、サブピークが少ないという優れた特性を有するものとなる。
また、本実施の形態ではチャープド・ファイバ・グレーティングを製造する場合を例に説明したが、本件発明は、チャープドではない通常のファイバグレーティングにも上記と同様にして適用することができる。その場合にもピッチを高精細に制御できるために、最終的にチャネル数を大幅に増やした機能を有する機器を製造することができる。
実施の形態2
本実施の形態では、位相マスクの凹溝パターンエッジに形成する屈曲パターンの周期長さ(図2の例では4つの単位部分の幅Wの合計)を、光ファイバに形成するブラッグ回折格子の反射波長以下とする。ここで「ブラッグ回折格子の反射波長」とは、光ファイバ内における波長を指す。例えば、光ファイバに形成したブラッグ回折格子の反射波長が1.55μmであり、コア部屈折率が約1.5であれば、屈曲パターンの周期長さ(=パターンエッジを分割する周期の長さ)を1.55/1.5≒1.0μm以下とする。その他の点は、実施の形態1と同様である。
このような屈曲パターンを位相マスクの凹溝パターンエッジに形成した場合、光ファイバへの光転写時には屈曲パターンが平均化されず、転写される回折格子の光学像にも屈曲パターンが反映される。しかしながら、回折格子に反映された屈曲パターンは光ファイバ中を進行する光の波長以下であるため屈曲パターンとして認識されず、回折格子の各格子が屈曲パターンの重心によって決まる位置にあるとして認識されるようになる。従って、結果的に格子間隔が高精細に制御するのと同様の効果をえることができる。
尚、ブラッグ回折格子の光ファイバ中での反射波長は、その回折格子の格子ピッチとほぼ等しくなる。従って、位相マスクの凹溝パターンエッジに形成する屈曲パターンの長さ(=パターンエッジを分割する周期の長さ)を、光ファイバに形成するブラッグ回折格子の格子ピッチ、即ち位相マスクの凹溝のパターンピッチ以下とすれば、上記の効果を得ることができる。例えば、光通信で用いられる光ファイバに形成するブラッグ回折格子の格子ピッチは、0.8μmから1.6μm程度であるため、その場合には屈曲パターンの周期長さを0.8μmから1.6μm以下とすれば良い。
図1(a)及び(b)は、位相マスクの一例を示す断面図及び上面図である。 図2は、本件発明における凹溝パターンの一例を示す模式図である。 図3(a)乃至(c)は、理想的な凹溝パターンエッジの位置((b))と描画装置の描画パターン位置決め分解能から許容されるパターンエッジの位置((a)及び(c))の関係を示す模式図である。 図4(a)乃至(c)は、本件発明における凹溝パターン形状((b))と描画装置の描画パターン位置決め分解能から許容されるパターンエッジの位置((a)及び(c))の関係を示す模式図である。 図5は、露光強度と転写光学像の位置の関係を示すグラフである。 図6(a)乃至(c)は、パターン位置とブラッグ回折格子のピッチ(=格子間隔)の関係を示すグラフである。 図7(a)乃至(e)は、位相マスクの製造プロセスを示す模式断面図である。 図8は、ブラッグ回折格子付光ファイバ(ファイバグレーティング)を示す模式図である。 図9は、チャープド・ファイバ・グレーティングを示す模式図である。 図10は、位相マスクの光転写によりブラッグ回折格子を形成する方法を示す模式図である。
符号の説明
2 光ファイバ、 4 コア部、 6 クラッド部、 8 ブラッグ回折格子、 12 位相マスク、 12a 凹溝、 14 金属膜、 16 レジスト、 19 屈曲パターン。

Claims (4)

  1. 透光性基板の主面に互いに平行な溝部が周期的に配列されてなるブラッグ回折格子形成用の位相マスクであって、
    前記透光性基板の溝部形成面を正面から見て、前記溝部の長手方向におけるパターンエッジの少なくとも1本が、凹及び/又は凸を形成するよう屈曲した屈曲パターンを繰返した形状を有し、前記屈曲パターンの長さが、前記位相マスクによって形成するブラッグ回折格子の反射波長以下であることを特徴とする位相マスク。
  2. 前記屈曲パターンの長さが、前記位相マスクに用いる転写光の波長以下であることを特徴とする請求項1に記載の位相マスク。
  3. ラインアンドスペースパターンを含む描画データに基づいてエネルギービームを照射することにより透光性基板の表面に周期配列された溝部を形成する工程と、
    前記溝部が形成された透光性基板をマスクとして光ファイバに転写光を照射することにより、前記光ファイバにブラッグ回折格子を形成するブラッグ回折格子付光ファイバの製造方法であって、
    前記ラインアンドスペースパターンは、パターン長手方向に所定周期で分割され、その各周期中において前記溝部の左右のパターンエッジに相当するパターンエッジの一部を幅方向にずらしたものであり、前記所定周期が、前記ブラッグ回折格子の反射波長以下であることを特徴とするブラッグ回折格子付光ファイバの製造方法。
  4. 前記所定周期が、前記転写光の波長以下であることを特徴とする請求項3に記載のブラッグ回折格子付光ファイバの製造方法。
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