JP4223781B2 - 軟弱地盤における地盤改良基礎工法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、軟弱地盤における地盤改良基礎工法に関し、特に、N値が50未満で支持力が良好でない軟弱な地盤において、基礎杭における杭の水平抵抗と鉛直支持力を増大させ、杭頭部を強化した軟弱地盤における地盤改良基礎工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、基礎杭の施工方法には、既製杭工法と場所打ち杭工法があり、このうち、場所打ち杭工法は、地盤を削孔した中にコンクリート等を打設して築造する工法である。
一方、既製杭工法には、支持地盤にPHC杭,PC杭又は鋼杭等の既製杭を打ち込むことにより地盤に貫入する打込み杭工法と、地盤に掘削した杭穴に既製杭を挿入し埋設する埋込み杭工法とがある。
【0003】
ところで、既製杭工法における杭の水平抵抗は、杭の水平投影面積部分に作用する土壌に依存するため、従来の杭では杭径分しか水平抵抗として有効に作用しない。
杭の水平抵抗を増大させるための対策としては、杭径を大きくしたり、杭本数を増やしたりするか、あるいは鋼管杭などコストの高い杭を使用することが一般的である。
また、既製杭工法や場所打ち杭工法で杭の鉛直支持力を得るためには、中間層及び支持層に杭を設置する必要があり、この鉛直支持力を増大させる対策としては、杭長を長くすることなどが一般的である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来の基礎杭施工法においては、軟弱な地盤に対しては、鉛直支持力を十分満足している杭径や杭長でも、水平抵抗を満足させるために杭径を増大させるか本数を増やす必要があり、鋼管杭等の杭自体のコストや施工コストの上昇が問題となっている。
【0005】
本発明は、上記従来の基礎杭施工法が有する問題点に鑑み、コストの上昇を最小限に抑えながら、杭の水平抵抗及び鉛直支持力を効果的に増大させることができる軟弱地盤における地盤改良基礎工法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の軟弱地盤における地盤改良基礎工法は、表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を地表面より深く建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置し、地表面まで充填固化材を充填することを特徴とする。
【0007】
また、同じ目的を達成するため、本発明の軟弱地盤における基礎杭施工法は、表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を地表面まで建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置することを特徴とする。
【0008】
これらの軟弱地盤における地盤改良基礎工法は、表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置することから、大径の枠体による支圧効果と枠体が杭を強固に拘束することにより杭の水平抵抗を増大させるとともに、杭頭に固定された蓋体により柱荷重を杭断面積よりも広い断面積で受け持つことができ、前記支圧効果と相俟って杭の鉛直支持力も増大させることができる。
その結果、杭径を大きくすることなく十分な鉛直支持力や水平抵抗を得ることができ、これにより、杭の本数を減らすとともに杭長を短して、コストの低減を図ることができる。
【0009】
そして、より具体的には、前記蓋体を枠体の周壁より半径外方向に張り出すように形成する。
【0010】
これにより、より広い面積で構造物荷重を支え、改良地盤に作用する単位面積あたりの荷重を少なくし、枠体の鉛直支持力を有効に利用することができる。
【0011】
また、枠体の周壁を上部又は下部が狭くなるテーパを付して形成する。
【0012】
これにより、枠体に構造物荷重が作用したときに、該枠体が鉛直方向にわずかに沈下して変位すると、枠体のテーパ面により枠体に接する改良地盤が微少な水平変位を起こして水平方向の応力が増し、枠体の周面支持力と水平抵抗を増大させることができる。
【0013】
なお、上記の場合において、枠体の周壁は、金属板で構成するほか、鉄筋籠で構成することもできる。
【0014】
また、既製杭の少なくとも枠体に挿入される部分に、節等の突起を設けることができる。
【0015】
これにより、既製杭を枠体に対し強固に固定することができる。
【0016】
また、前記枠体を円筒形状とすることができる。
【0017】
これにより、枠体の指向性をなくし、充填固化材の膨張圧を均一に枠体にかけ、水平耐力を均一にすることができる。
【0018】
また、前記枠体を断面多角形状とすることができる。
【0019】
これにより、枠体の形状を基礎スラブ(フーチング)の形状に適合させることができ、安定した支持力を得ることができる。
【0020】
また、枠体の周壁の外側に節等の突起を設けることができる。
【0021】
これにより、枠体周辺の改良地盤を拘束し、上記水平応力をさらに増大させ、枠体の周面支持力と水平抵抗を大きく増大させることができる。
【0022】
また、前記枠体の直径を、杭径の1.2〜3倍とすることができる。
【0023】
これにより、既製杭を枠体に対し強固に固定することができる。
【0024】
また、充填固化材には、膨張性及び固化性を有するスラグを用いることができる。
この膨張性及び固化性を有するスラグとしては、製鋼スラグ(転炉スラグ及び/又は電気炉スラグ(酸化スラグ及び/又は還元スラグ)をいい、ここでは、特に、エージング処理を行っていない製鋼スラグのほか、エージング処理を部分的に行うことにより膨張性を調整した製鋼スラグ等の膨張性を消失させていない製鋼スラグをいう。)、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物を用いることができる。
さらに、膨張性及び固化性を有するスラグは、単独で用いるほか、これに、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものを用いることができる。
【0025】
これにより、充填固化材である膨張性及び固化性を有するスラグが吸水し、膨張、固化することによって、杭を容易に、静的に、かつ確実に固定することができ、これによって、杭の支持力を高め、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。
また、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができる。
【0026】
また、充填固化材を、セメントミルク及び/又はソイルセメントとすることができる。
【0027】
これにより、強固な改良地盤を得ることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の軟弱地盤における地盤改良基礎工法の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0029】
図1〜図2に、軟弱地盤における地盤改良基礎工法の第1参考例を示す。
この軟弱地盤における地盤改良基礎工法は、表層G1を掘削した地盤の中間層G2に杭穴1を掘削し、該杭穴1に既製杭2を地表面GLより深く建て込むとともに、杭穴1から既製杭2の天端付近まで充填固化材3を充填して、該充填固化材3に既製杭2を内挿するように有蓋の枠体4を埋設するようにする。
そして、枠体4の蓋体41と既製杭2の杭頭21とを近接して(当てた状態に接触又は若干の充填固化材3の充填空間を形成して)配置し、さらに必要に応じて、両者を固定するようにし、地表面GLまで充填固化材3をさらに充填するようにする。
なお、既製杭2の上部には、上部構造物5の基礎スラブ(フーチング)51、基礎梁52及び柱53が構築されている。
そして、上部構造物5の基礎スラブ(フーチング)51及び基礎梁52を被覆するようにして、地表面GLまで充填固化材3を充填するようにする。
また、枠体4の蓋体41は、枠体4の周壁43を埋設した後に、周壁43に固定するようにしてもよく、また、枠体4は、充填固化材3の充填時に、ほぼ同時に埋設してもよい。
ここで、枠体4の蓋体41と既製杭2の杭頭21とを固定するようにした場合には、既製杭2を枠体4に対し強固に固定することができ、一方、枠体4の蓋体41と既製杭2の杭頭21とを近接して(当てた状態に接触して)配置するだけで固定しないようにした場合には、地震の際に、上部構造物5の水平方向の変位が直接既製杭2の杭頭21に伝達されず、さらに、枠体4内に充填された充填固化材3が割れることによって、外力が吸収され、これによって、既製杭2の杭頭21の破壊を防止することができる。
この場合、地盤の表層G1は数メートル程度の深さでマット状(布状)に掘削され、また、既製杭2はその天端が地表面GLより数メートル程度深くなるように埋設される。なお、図中、G3は支持地盤を示している。
【0030】
また、図3〜図4に、軟弱地盤における地盤改良基礎工法の第2参考例を示す。
この軟弱地盤における地盤改良基礎工法は、表層G1を掘削した地盤の中間層G2に杭穴1を掘削し、該杭穴1に既製杭2を地表面GLまで建て込むとともに、杭穴1から既製杭2の天端付近まで充填固化材3を充填して、該充填固化材3に既製杭2を内挿するように有蓋の枠体4を埋設し、該枠体4の蓋体41と既製杭2の杭頭21とを近接して(当てた状態に接触接触又は若干の充填固化材3の充填空間を形成して)配置するようにする。
なお、既製杭2の上部には、上部構造物5の基礎スラブ(フーチング)51、基礎梁52及び柱53が構築されている。
この場合、地盤の表層G1は数メートル程度の深さでマット状(布状)に掘削される。また、図中、G3は支持地盤を示している。
【0031】
これら各参考例の地盤改良基礎工法において、既製杭2は、本参考例では、ほぼ全長に亘って節が形成された節杭を用いている。この既製杭としては、鋼管杭やSC杭、複合杭、コンクリート杭等を用いることができる。
既製杭2は、少なくとも枠体4に挿入される部分に、節等の突起22を設けることが好ましく(このため、枠体4に挿入される既製杭2にのみ、節杭を用いるようにすることもできる。)、これにより、既製杭2を枠体4に対し強固に固定することができる。
【0032】
枠体4は、特に限定されるものではないが、杭径(節杭の場合は、節部径)の1.2〜3倍程度の直径を有し、長さがこの直径の1.5〜5倍の有蓋の鋼管からなり、その蓋体41の中心には、既製杭2の頭部が嵌合する貫通穴42が設けられている。
既製杭2は、杭頭21をこの貫通穴42に嵌合させた状態で、端板23が溶接(図2(a)、図4(a))やプレート24及びボルト・ナット(図2(a’)、図4(a’))等の適宜の手段により枠体4に固定される。
また、本参考例では、蓋体41には、貫通穴42が設けられているものを用いるようにしたが、これに限定されず、貫通穴42が設けられていないものを用いることもできる。
さらに、本参考例では、枠体4は円筒形状に形成されており、これにより、枠体4に指向性をなくし、充填固化材3の膨張圧を均一に枠体4にかけ、水平耐力を均一にしている。
【0033】
ところで、蓋体41は、図5(a)、(b)(本発明の実施例)に示すように、枠体4の周壁43より半径外方向に張り出すように形成することもでき、これにより、より広い面積で構造物荷重を支え、改良地盤に作用する単位面積あたりの荷重を少なくし、枠体4の鉛直支持力を有効に利用することができる。
また、図5(b)〜(c)、(e)(本発明の実施例)に示すように、枠体4の周壁43を上部又は下部が狭くなる数%の傾度のテーパを付して形成するとともに、図5(c)〜(d)に示すように、該周壁43の外側に節(リブ)等の突起44を設けることも可能である。
これにより、枠体4に構造物荷重が作用したときに、該枠体4が鉛直方向にわずかに沈下して変位すると、枠体4のテーパ面により枠体4に接する改良地盤が微少な水平変位を起こして水平方向の応力が増し、枠体4の周面支持力と水平抵抗を増大させることができ、また、枠体4周辺の改良地盤を拘束し、上記水平応力をさらに増大させ、枠体4の周面支持力と水平抵抗を大きく増大させることができる。
特に、テーパ状の枠体4にリング状、スパイラル状、コルゲート状などの突起44を軸方向に複数設けたものでは、互いに隣接する上下の突起44で、枠体4周辺の改良地盤を拘束させるため、上記の水平応力がさらに増加し、枠体4の周面支持力及び水平抵抗を大きく増大させることができる。
なお、周壁43の突起44は、前記した枠体4の形状に合わせて、角形や円形の突起等を単独又は組合せて採用することができる。
【0034】
一方、充填固化材3としては、膨張性及び固化性を有するスラグを用いることができる。
この膨張性及び固化性を有するスラグとしては、製鋼スラグ(転炉スラグ及び/又は電気炉スラグ(酸化スラグ及び/又は還元スラグ)をいい、ここでは、特に、エージング処理を行っていない製鋼スラグのほか、エージング処理を部分的に行うことにより膨張性を調整した製鋼スラグ等の膨張性を消失させていない製鋼スラグをいう。)、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物を用いることができる。
さらに、膨張性及び固化性を有するスラグは、単独で用いるほか、これに、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものを用いることができる。
【0035】
これにより、充填固化材3である膨張性及び固化性を有するスラグが吸水し、膨張、固化することによって、杭を容易に、静的に、かつ確実に固定することができ、これによって、杭の支持力を高め、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。
また、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができる。
なお、スラグは、掘削土砂と混合して用いることもできる。
【0036】
また、充填固化材3を、セメントミルクやソイルセメントとすることも可能であり、これにより、強固な改良地盤を得ることができる。
いずれにしても、枠体4内に固結強度が地盤改良体と力学的に同質以上となるような充填固化材3を充填し、杭頭部を枠体4内に定着させる。
【0037】
さらに、図7に示すように、枠体4内に、複数本の既製杭2(図示の参考例においては、4本の既製杭2)を内挿するようにすることも可能である。
【0038】
ところで、枠体4の形状は、円筒形状のほか、図7や図8に示すように、断面4角形としたり、図9(b−1)、(b−2)に示すように、基礎スラブ(フーチング)51の形状に適合した断面多角形状とすることができ、これにより、安定した支持力を得ることができる。
そして、この場合も、枠体4の形状は、杭径(節杭の場合は、節部径)の1.2〜3倍程度の平面寸法(基礎スラブ(フーチング)51の平面積の0.3〜1.5倍、好ましくは、0.4〜1.0倍の平面積)を有し、長さがこの直径の1.5〜5倍の有蓋の鋼管(鋼筒)から構成することができる。
そして、枠体4の形状を図9(b−1)、(b−2)に示すように、基礎スラブ(フーチング)51の形状に適合した断面多角形状とする場合、当該断面多角形の形状は、枠体4の形状を円筒形状とした場合(図9(a−1)、(a−2))における枠体4の外接線と略同形状の平面形状に設定することが望ましい。
なお、図9(a−1)、(b−1)は、杭径d、杭間距離2d、枠体径1.2d、杭の中心から基礎スラブ(フーチング)の外縁までの距離dの場合の例を、図9(a−2)、(b−2)は、杭径d、杭間距離3d、枠体径2.5d、杭の中心から基礎スラブ(フーチング)の外縁までの距離1.25dの場合の例を、それぞれ示す。
【0039】
かくして、各実施例の軟弱地盤における地盤改良基礎工法は、表層G1を掘削した地盤の中間層G2に杭穴1を掘削し、該杭穴1に既製杭2を建て込むとともに、杭穴1から既製杭2の天端付近まで充填固化材3を充填して、該充填固化材3に既製杭2を内挿するように有蓋の枠体4を埋設し、該枠体4の蓋体41と既製杭2の杭頭21とを近接して配置することから、大径の枠体4による支圧効果と枠体4が杭2を強固に拘束することにより杭2の水平抵抗を増大させるとともに、杭頭21に固定された蓋体41により柱荷重を杭断面積よりも広い断面積で受け持つことができ、前記支圧効果と相俟って杭2の鉛直支持力も増大させることができる。
その結果、杭径を大きくすることなく十分な鉛直支持力や水平抵抗を得ることができ、これにより、杭2の本数を減らすとともに杭長を短して、コストの低減を図ることができる。
【0040】
以上、本発明の軟弱地盤における地盤改良基礎工法について、その実施例を説明したが、本発明は、上記実施例の記載に限定されるものではなく、例えば、枠体4の周壁43を、上記実施例のように金属板で構成するほか、図6で示す鉄筋籠や鉄筋コンクリート(ヒューム管)で構成するようにする等、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜に変更することが可能である。
【0041】
【発明の効果】
本第1及び第2発明の軟弱地盤における地盤改良基礎工法によれば、表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置することから、大径の枠体による支圧効果と枠体が杭を強固に拘束することにより杭の水平抵抗を増大させるとともに、杭頭に固定された蓋体により柱荷重を杭断面積よりも広い断面積で受け持つことができ、前記支圧効果と相俟って杭の鉛直支持力も増大させることができる。
その結果、杭径を大きくすることなく十分な鉛直支持力や水平抵抗を得ることができ、これにより、杭の本数を減らすとともに杭長を短して、コストの低減を図ることができる。
【0042】
そして、前記蓋体を枠体の周壁より半径外方向に張り出すように形成することにより、より広い面積で構造物荷重を支え、改良地盤に作用する単位面積あたりの荷重を少なくし、枠体の鉛直支持力を有効に利用することができる。
【0043】
また、枠体の周壁を上部又は下部が狭くなるテーパを付して形成することにより、枠体に構造物荷重が作用したときに、該枠体が鉛直方向にわずかに沈下して変位すると、枠体のテーパ面により枠体に接する改良地盤が微少な水平変位を起こして水平方向の応力が増し、枠体の周面支持力と水平抵抗を増大させることができる。
【0045】
さらに、充填固化材に、膨張性及び固化性を有するスラグを用いることにより、充填固化材である膨張性及び固化性を有するスラグが吸水し、膨張、固化することによって、杭を容易に、静的に、かつ確実に固定することができ、これによって、杭の支持力を高め、一層強固なスラグ層地盤を得ることができる。また、産業廃棄物である製鋼スラグ等の有効利用を図ることができる。
この膨張性及び固化性を有するスラグとしては、製鋼スラグ、ゴミ焼却スラグ、汚泥スラグの1種若しくは2種以上の混合物を用いることができ、さらに、膨張性及び固化性を有するスラグは、単独で用いるほか、これに、膨張性を消失した製鋼スラグ、高炉スラグ、フェロアロイスラグ、水砕スラグ、銅製錬スラグ、赤泥、フライアッシュ、ゴミ焼却灰、ガラス破砕物、廃石膏、コンクリート廃材等の産業廃棄物、石膏、生石灰、セメント、砕石、土砂、粘土等の建築用材料、人工材料、鉱物の1種若しくは2種以上を混合した、膨張性及び固化性を有するスラグの膨張性及び固化性を利用できるものを用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 軟弱地盤における地盤改良基礎工法の第1参考例を示す断面図である。
【図2】 同参考例の軟弱地盤における地盤改良基礎工法を示し、(a)及び(a’)は図1のX−X線断面図、(b)は同A−A線断面図、(c)は同B−B線断面図である。
【図3】 軟弱地盤における地盤改良基礎工法の第2参考例を示す断面図である。
【図4】 同参考例の軟弱地盤における地盤改良基礎工法を示し、(a)及び(a’)は平面図、(b)は図3のA−A線断面図、(c)は同B−B線断面図である。
【図5】 枠体の例を示す断面図である。
【図6】 枠体の例を示す斜視図である。
【図7】 軟弱地盤における地盤改良基礎工法の第3参考例を示し、(a)は正面断面図、(b)は(a)のA−A線断面図である。
【図8】 杭、枠体及び基礎スラブ(フーチング)の関係を示す説明図で、(a−1)〜(a−4)は、縦断面図、(b−1)〜(b−4)は、それに対応する横断面図である。
【図9】 杭、枠体及び基礎スラブ(フーチング)の関係を示す説明図で、(a−1)〜(a−2)は、枠体の形状を円筒形状とした場合の横断面図、(b−1)〜(b−2)は、枠体の形状を断面多角形状とした場合の横断面図である。
【符号の説明】
1 杭穴
2 既製杭
21 杭頭
22 突起
23 端板
24 プレート
3 充填固化材
4 枠体
41 蓋体
42 貫通穴
43 周壁
44 突起
5 上部構造物
GL 地表面
G1 表層
G2 中間層
G3 支持地盤
Claims (5)
- 表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を地表面より深く建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置し、地表面まで充填固化材を充填する地盤改良基礎工法であって、前記蓋体を枠体の周壁より半径外方向に張り出すように形成することを特徴とする軟弱地盤における地盤改良基礎工法。
- 表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を地表面より深く建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置し、地表面まで充填固化材を充填する地盤改良基礎工法であって、枠体の周壁を上部又は下部が狭くなるテーパを付して形成することを特徴とする軟弱地盤における地盤改良基礎工法。
- 表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を地表面まで建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置する地盤改良基礎工法であって、前記蓋体を枠体の周壁より半径外方向に張り出すように形成することを特徴とする軟弱地盤における地盤改良基礎工法。
- 表層を掘削した地盤の中間層に杭穴を掘削し、該杭穴に既製杭を地表面まで建て込むとともに、杭穴から既製杭の天端付近まで充填固化材を充填して、該充填固化材に既製杭を内挿するように有蓋の枠体を埋設し、該枠体の蓋体と既製杭の杭頭とを近接して配置する地盤改良基礎工法であって、枠体の周壁を上部又は下部が狭くなるテーパを付して形成することを特徴とする軟弱地盤における地盤改良基礎工法。
- 充填固化材に膨張性及び固化性を有するスラグを用いることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の軟弱地盤における地盤改良基礎工法。
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