JP4223630B2 - 低硫黄軽油の製造方法 - Google Patents

低硫黄軽油の製造方法 Download PDF

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硫黄分0.5〜2.5wt%、沸点150〜400℃の原料油軽油を、複数の水素化処理触媒の存在下で水素化処理する低硫黄軽油の製造方法に関し、例えば、硫黄分0.05wt%以下の深度脱硫軽油の製造方法として利用することができる。
【0002】
【背景技術】
都市部で大気環境汚染が深刻化するなか、ディーゼル機関等に用いられる軽油は、該軽油中の硫黄含有量を極力少なくすることが要望され、具体的には、硫黄含有量が500ppmから100ppm、さらには50ppm以下の軽油が切望されている。
このため、従来より、水素化処理触媒を用いて軽油を水素化処理する際、反応温度を上げて処理することにより、硫黄分の少ない軽油を得る低硫黄軽油の製造方法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の低硫黄軽油の製造方法では、反応温度が高すぎるため、脱硫して得られる低硫黄軽油の色相が悪化し、製品軽油の品質が確保できないという問題がある。また、反応温度を上げて水素化処理を行うと、処理に際して用いられる水素化処理触媒の寿命が短くなってしまうので、水素化処理工程における水素化処理触媒の交換回数が増加し、低硫黄軽油を効率的に生産できないという問題がある。
すなわち、上述した従来の低硫黄軽油の製造方法では、品質の高い低硫黄軽油を効率よく生産することが困難であるという問題がある。
【0004】
本発明の目的は、品質の高い低硫黄軽油を効率よく生産することのできる低硫黄軽油の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明に係る低硫黄軽油の製造方法は、硫黄分0.5〜2.5wt%、沸点150〜400℃の原料油軽油を、複数の水素化処理触媒の存在下で水素化処理する低硫黄軽油の製造方法であって、前記原料油軽油を第1水素化処理触媒の存在下で水素と接触させ、前記原料油軽油中の易脱硫性成分を脱硫する第1水素化処理工程と、この第1水素化処理工程で処理された生成油を、ゼオライト系触媒の存在下で水素と接触させ、前記原料油軽油中の難脱硫性成分を異性化する第2水素化処理工程と、この第2水素化処理工程で処理された生成油を、第3水素化処理触媒の存在下で水素と接触させ、異性化された前記難脱硫性成分を脱硫する第3水素化処理工程とを備え、前記ゼオライト系触媒は、当該ゼオライト系触媒と前記第1および第3水素化処理触媒とを加えた触媒全量に対して、体積比で5〜60%であることを特徴とする。
【0006】
ここで、上述した硫黄分0.5〜2.5wt%、沸点150〜400℃の原料油軽油としては、原油を常圧蒸留して得られる直留軽油LGO、原油を常圧蒸留して得られる残渣油をさらに減圧蒸留して得られる減圧蒸留軽油VGO、接触分解によって得られる接触分解軽油LCO、熱分解によって得られる熱分解軽油CGO、減圧脱硫装置から得られるVHLGO、直接脱硫装置から得られる軽油DSGO、さらには、これらの混合物を原料油軽油として採用することができる。要するに、原料油軽油としては、原油を精製して種々の石油製品を得る石油精製システム内で中間留分として生成される種々の軽油を採用することができる。
【0007】
また、第1水素化処理触媒および第3水素化処理触媒としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ボリア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、アルミナ−ジルコニア等の非晶質多孔性無機酸化物に、活性金属を担持させた触媒を採用することができる。活性金属としては、周期律表第VI族の金属および第VIII族の金属の少なくとも1つを採用することができ、例えば、コバルト(Co)、モリブデン(Mo)、ニッケル(Ni)、タングステン(W)、クロム(Cr)等を採用することができる。
【0008】
具体的には、第1水素化処理触媒としては、アルミナからなる非晶質多孔性無機酸化物にコバルトおよびニッケルを担持させたCoMo/アルミナ触媒を採用するのが好ましく、第3水素化処理触媒としては、アルミナからなる非晶質多孔性無機酸化物にニッケルおよびモリブデンを担持させたNiMo/アルミナ触媒を採用するのが好ましい。
さらに、ゼオライト系触媒としては、アルミナ、シリカ、およびシリカ−アルミナのいずれかまたはこれらの組み合わせにゼオライトを混合し、この混合体に活性金属を担持させたもの、または活性金属を担持させないものを採用することができる。
【0009】
本発明に係る低硫黄軽油の製造方法の構成は、以下のような知見に基づいて導かれるものである。
すなわち、硫黄分100ppm以下、あるいは50ppm以下のいわゆる超深度脱硫を軽油について行う場合、軽油中に含まれる難脱硫性硫黄アルキルジベンゾチオフェン類の脱硫が問題となり、これらをいかに効率よく反応させていくかがポイントとなる。例えば、難脱硫性硫黄アルキルジベンゾチオフェンとして4,6−ジメチルジベンゾチオフェンを考えた場合、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンは、以下のような構造を有する。
【0010】
【化1】
Figure 0004223630
【0011】
このようなアルキルジベンゾチオフェンのうち、特に置換位置4、あるいは置換位置6にアルキル基を有するものは、アルキルの立体障害によって硫黄原子と触媒活性点の接触が妨げられてしまうので、通常の水素化処理を行っても脱硫されず、結果として深度脱硫反応は進まない。
【0012】
そこで、本発明では、アルキルジベンゾチオフェン類のうち、上述した立体障害のあるアルキルジベンゾチオフェン類に着目し、アルキル基の位置を立体障害(接触障害)の小さい位置に移動させることで、4,6−ジメチルジベンゾチオフェンのようなアルキルジベンゾチオフェンの脱硫反応性を改善することとした。例えば、前記構造の4,6−ジメチルジベンゾチオフェンのメチル基(Me−)を以下の構造式のような位置に移動させることにより、脱硫反応性を改善する。
【0013】
【化2】
Figure 0004223630
【0014】
具体的には、ゼオライト触媒が有する固体酸性質を利用することにより、アルキル基(メチル基)を転移、脱離させることができる(第2水素化処理工程)。
しかしながら、ゼオライト触媒は、異性化処理する原料油軽油中に多環芳香族分、塩基性窒素が多量に含まれた状態では、触媒の劣化が起きやすいという問題がある。また、ゼオライト触媒の酸機能が強すぎると、原料油軽油の分解反応が発生し、不要なガス、ナフサ等を生成し、これに伴い水素消費を招くので、難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化処理を十分に行えないという問題がある。さらに、ゼオライト触媒自身の脱硫活性は従来型触媒(例えばアルミナ酸化物系触媒)より弱いため、前記と同様に異性化処理を十分に行えないという問題がある。
【0015】
そこで、ゼオライト系触媒による原料油軽油の処理では、専ら難脱硫性アルキルジベンゾチオフェン類の異性化を行うこととし(第2水素化処理工程)、他の易脱硫性成分は事前に脱硫してしまい(第1水素化処理工程)、異性化された難脱硫性アルキルジベンゾチオフェン類は、異性化後に水素化処理することにより(第3水素化処理工程)、硫黄分100ppm以下の超深度脱硫を可能とした。
【0016】
すなわち、本発明に係る低硫黄軽油の製造方法によれば、第1水素化処理工程で、ゼオライト系触媒のための前処理として多環芳香族分の水素化や脱窒素を行い、第2水素化処理工程で難脱硫性硫黄分(難脱硫性アルキルジベンゾチオフェン類)の異性化処理を行い、第3水素化処理工程で異性化されて比較的に易脱硫性となった硫黄分(アルキルジベンゾチオフェン)の脱硫および芳香族分の水素化処理を行うことにより、硫黄分の極めて少ない低硫黄軽油を得ることができる。
また、上述したゼオライト系触媒は、当該ゼオライト系触媒と第1および第3水素化処理触媒とを加えた触媒全量に対して、体積比で5〜60%であるのが好ましく、ゼオライト系触媒の量が触媒全量に対して5vol%以下であると、難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化処理が十分に行われないので、超深度脱硫を達成することができない
【0017】
また、原料油軽油中に偏在する芳香族分は第1水素化処理工程で水素化されるので、芳香族分が偏在することのない高品質の低硫黄軽油を得ることができる。
さらに、第1〜第3水素化処理工程で処理する対象を決めて段階的に軽油の水素化処理を行っているので、反応温度を必要以上に上げる必要がなく、色相の良好な低硫黄軽油を得ることができるうえ、反応温度が高くならないので、触媒の寿命を延ばして交換回数を低減することができ、効率的に低硫黄軽油を生産することができる。
【0018】
以上において、上述したゼオライト系触媒としては、ゼオライト系触媒全量に対して、40〜99wt%の非晶質無機酸化物と、1〜60wt%のゼオライトとを含む担体に、周期律表第VI族の金属、および第VIII族の金属のうち少なくとも1種の金属を酸化物換算で0〜25wt%担持させたゼオライト系触媒を採用するのが好ましい。
【0019】
すなわち、ゼオライト系触媒中のゼオライトが1wt%以下であると、酸量が低く難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化が進まないので、超深度脱硫を達成することができない。一方、ゼオライトが60wt%以上であると、酸量が多くなりすぎてゼオライトの脱硫機能が低下し過ぎてしまい、超深度脱硫を達成することができない。従って、ゼオライト系触媒中のゼオライトの量をこのような範囲に設定することで、難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化処理を十分に行うことができ、かつゼオライトの脱硫機能が低下することもない。
【0020】
また、上述したゼオライト系触媒に用いられるゼオライトとしては、シリカ/アルミナ比(SiO2/Al23)が2以上、さらには、5以上のゼオライトを採用するのが好ましく、シリカライトも好適に使用し得る。具体的には、ゼオライトとしては、Y型ゼオライト、β型ゼオライト、X型ゼオライト、L型ゼオライト、モルデナイト、ペンタシル型ゼオライト、A型ゼオライト、ZSM−5、シリカライト等を採用することができる。
【0021】
すなわち、ゼオライトのシリカ/アルミナ比が小さいと、酸量は多いが酸強度は低くなるため、難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化を十分に行うことができない。
【0022】
さらに、上述したゼオライトに活性金属を担持させる場合、ゼオライトに周期律表第VI族の金属、第VIII族の金属のうち少なくとも1種以上の金属を担持させることができ、例えば、コバルト、モリブデン、ニッケル等の活性金属を担持させることができる。
【0023】
そして、具体的に好適なゼオライト系触媒としては、Y型ゼオライトやY型ゼオライトをスチーミング処理した超安定Y型ゼオライト(USY)とアルミナやシリカ−アルミナを混合した触媒(Y型ゼオライト〜アルミナ、Y型ゼオライト〜シリカ−アルミナ、USY〜アルミナ、USY〜シリカ−アルミナ)、またこれらを担体としてコバルト、モリブデン、ニッケルを担持した触媒(例えば、CoMo/Y型ゼオライト、Ni/Y型ゼオライト、CoMo/USY、Ni/USYなど)、ZSM−5やシリカライトとアルミナやシリカ−アルミナを混合した触媒(ZSM−5〜アルミナ、ZSM−5〜シリカアルミナ、シリカライト〜アルミナ、シリカライト〜シリカ−アルミナ)、またこれらを担体としてコバルト、モリブデン、ニッケルを担持した触媒(例えば、CoMo/ZSM−5〜アルミナ、CoMo/ZSM−5〜シリカ−アルミナ、Ni/シリカライト〜アルミナ、Ni/シリカライト〜シリカ−アルミナ)を採用することができる。
【0025】
また、ゼオライト系触媒の量が触媒全量に対して60vol%以上であると、原料油軽油の分解反応が発生し、これに伴い水素消費を招くので、前記と同様に難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化処理が行われないことにより、超深度脱硫を達成することができない。さらには、ゼオライト系触媒の量が多すぎると、その分、前処理における第1水素化処理触媒、および後処理における第3水素化処理触媒の量が相対的に減少するので、十分な前処理、後処理を行うことができず、超深度脱硫を達成することができない。
このようにゼオライト系触媒の構成、体積比等を具体的に限定することにより、原料油軽油の重質分中の硫黄化合物を効率よく水素化処理することができるので、硫黄分の極めて少ない軽油を一層効率よく生産することができる。
【0026】
さらに、上述した第1〜第3水素化処理工程は、内部に各水素化処理触媒を配置する反応塔を備えた個別の水素化処理装置で行うこともでき、反応塔内に第1水素化処理触媒、ゼオライト系触媒、および第3水素化処理触媒を積層配置した1つの水素化処理装置で行うこともできる。
第1〜第3水素化処理工程を個別の水素化処理装置で行うことにより、第1〜第3水素化処理工程を最適な条件で実施することができるので、より高品質の低硫黄軽油を生産することができる。また、1つの水素化処理装置で第1〜第3水素化処理工程を行うことにより、第1〜第3水素化処理工程の制御を一括して行うことができ、高品質の低硫黄軽油をより効率的に生産することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の一形態を図面に基づいて説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る水素化処理装置10が示され、この水素化処理装置10は、反応塔10Aと、この反応塔10Aの内部に積層配置される第1水素化処理触媒10B、ゼオライト系触媒10C、および第3水素化処理触媒10Dとを含んで構成される。
この水素化処理装置10には、常圧蒸留装置(図示略)の軽油留分として留出する直留軽油LGOが原料油軽油として供給され、直留軽油LGOがこの水素化処理装置10で水素化処理されることにより、硫黄分の極めて少ない脱硫軽油DGOを得ることができる。直留軽油LGOの水素化処理に際しては、水素化処理装置10の反応塔10Aの内部に設置される第1水素化処理触媒10Bにより第1水素化処理工程が実施され、ゼオライト系触媒10Cにより第2水素化処理工程が実施され、第3水素化処理触媒10Dにより第3水素化処理工程が実施される。
【0028】
尚、本実施形態の場合、硫黄分0.5〜2.5wt%、全芳香族分10〜50vol%、沸点150〜400℃の直留軽油LGOが採用されているが、これに限らず、上記硫黄分、芳香族分、沸点範囲のものであれば、減圧蒸留軽油VGO、接触分解軽油LCO、熱分解軽油CGO、減圧脱硫装置から得られる軽油VHLGO、直接脱硫装置から得られるDSGO、さらにはこれらの混合軽油等種々の軽油を原料油軽油として採用することができる。
前記水素化処理装置10における第1〜第3水素化処理工程は同一の条件下で行われ、具体的には、表1に示されるような条件で行われる。
【0029】
【表1】
Figure 0004223630
【0030】
また、前記第1水素化処理触媒10Bとしては、アルミナ、チタニア、ボリア、ジルコニア、シリカ−アルミナ、アルミナ−ジルコニア等の非晶質多孔性無機酸化物に活性金属を担持させたものが使用される。さらに、担持する活性金属としては、周期律表第VI族、第VIII族から選ばれる種々の金属が採用され、例えば、コバルト、モリブデン、ニッケル、タングステン、クロム等が採用される。尚、本実施形態の場合、これらのうち最も好適な第1水素化処理触媒10BとしてCoMo/アルミナからなる触媒が採用されている。
【0031】
前記ゼオライト系触媒10Cとしては、アルミナ、シリカ、およびシリカ−アルミナのいずれかまたはこれらの組み合わせからなる無機酸化物にゼオライトを混合し、この混合体に活性金属を担持させたもの、または活性金属を担持させないものが採用される。尚、無機酸化物およびゼオライトは、無機酸化物40〜99wt%、ゼオライト1〜60wt%の割合で混合される。
【0032】
また、上述したゼオライトとしては、シリカ/アルミナ比が2以上、好ましくは5以上のゼオライトが採用され、例えば、Y型ゼオライト、β型ゼオライト、X型ゼオライト、L型ゼオライト、モルデナイト、ペンタシル型ゼオライト、A型ゼオライト、ZSM−5、シリカライト等が採用される。
【0033】
さらに、これらのゼオライトに担持される活性金属としては、前記第1水素化処理触媒10Bと同様に、周期律表第VI族、VIII族から選ばれる種々の金属が採用され、例えば、コバルト、モリブデン、ニッケル、タングステン、クロム等が採用される。尚、本実施形態の場合、これらのうち好適なゼオライト系触媒10CとしてNi/Y型ゼオライト〜シリカ−アルミナ、ZSM−5〜シリカ−アルミナ、またはシリカライト〜シリカ−アルミナからなる触媒が採用されている。
【0034】
そして、前記第3水素化処理触媒10Dとしては、上述した第1水素化処理触媒10Bと同様の構成の触媒を採用できるが、本実施形態の場合、好適な第3水素化処理触媒10Dとして、NiMo/アルミナからなる触媒が採用されている。
また、水素化処理装置10における各触媒10B、10C、10Dの充填比率は、触媒10B、10C、10Dの全量に対してゼオライト系触媒10Cを5〜60vol%の範囲で調整可能であるが、本実施形態の場合、好適な充填比率として、触媒10B、10C、10Dの全量に対してゼオライト系触媒10Cは、15〜40vol%に設定されている。
【0035】
このような水素化処理装置10では、反応塔10Aに直留軽油LGOを供給すると、まず第1水素化処理触媒10Bによって直留軽油LGOに含まれる多環芳香族(二環芳香族分、三環芳香族分)の水素化が行われるとともに、脱硫脱窒素反応が行われる。
【0036】
次に、第1水素化処理触媒で処理された生成油は、ゼオライト系触媒10Cによって難脱硫性硫黄分、例えば、4,6−ジメチルジベンゾチオフェン等は、比較的に易脱硫性のジメチルジベンゾチオフェンに異性化処理される。
そして、ゼオライト系触媒10Cで処理された生成油は、第3水素化処理触媒10Dによって水素化処理され、比較的易脱硫性のジメチルベンゾチオフェンの脱硫処理が行われるとともに、芳香族分の水素化処理がおこなわれ、脱硫軽油DGOとされる。
【0037】
以上のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
すなわち、第1水素化処理触媒10Bで前処理を行い、ゼオライト系触媒10Cで難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化処理を行い、異性化処理されたアルキルジベンゾチオフェンの脱硫を第3水素化処理触媒により行っているので、直留軽油LGO中に含まれる難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンを効率よく除去することができ、硫黄分の極めて少ない脱硫軽油DGOを得ることができる。
また、直留軽油LGO中に偏在する芳香族分は第2水素化処理工程で水素化されるので、芳香族分が偏在することのない高品質の脱硫軽油DGOを得ることができる。
【0038】
さらに、直留軽油LGOの水素化処理を第1〜第3水素化処理工程で処理する対象を決めて段階的に行っているので、反応温度を必要以上に上げる必要がなく、色相の良好な脱硫軽油DGOを得ることができるうえ、反応温度が高くならないので、触媒10B、10C、10Dの寿命を延ばして交換回数を低減することができ、効率的に脱硫軽油DGOを生産することができる。
【0039】
そして、ゼオライト系触媒10C中のゼオライトの量を1〜60wt%としているので、ゼオライト系触媒10Cにより直留軽油LGO中の難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化を適切に処理することができるとともに、ゼオライト系触媒10Cの脱硫機能が低下することもない。
【0040】
また、ゼオライト系触媒10Cのゼオライトとしてシリカ/アルミナ比が2以上、好ましくは5以上のものを採用しているので、ゼオライトの酸強度が高く、難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化を適切に行うことができる。
【0041】
さらに、ゼオライト系触媒10Cの量が触媒10B、10C、10D全量に対して5〜60vol%に設定されているので、ゼオライト過多による直留軽油LGOの分解反応が発生することもなく、かつ難脱硫性アルキルジベンゾチオフェンの異性化を十分に行うことができる。
【0042】
そして、水素化処理装置10の反応塔10Aの内部に触媒10B、10C、10Dを積層配置することにより、第1〜第3水素化処理工程を連続的に行っているので、第1〜第3水素化処理工程の制御を一括して行うことができ、高品質の脱硫軽油DGOを効率的に生産することができる。
【0043】
尚、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、以下に示すような変形をも含むものである。
前記実施形態では、1つの水素化処理装置10の反応塔10Aの内部に、第1水素化処理触媒10B、ゼオライト系触媒10C、および第3水素化処理触媒10Dを積層配置することにより、一括して第1〜第3水素化処理工程を実施していたが、これに限られない。すなわち、第1〜第3水素化処理工程に応じて、個別に水素化処理装置を設け、原料油軽油の水素化処理を行ってもよく、さらには、第1水素化処理工程を実施する水素化処理装置と、第2および第3水素化処理工程を実施する水素化処理装置とを用いて、原料油軽油の水素化処理を行ってもよい。
【0044】
また、前記実施形態では、第1水素化処理触媒10BとしてCoMo/アルミナからなる触媒を、ゼオライト系触媒10CとしてNi/Y型ゼオライト〜シリカ−アルミナ、ZSM−5〜シリカ−アルミナ、またはシリカライト〜シリカ−アルミナからなる触媒を、第3水素化処理触媒10DとしてNiMo/アルミナからなる触媒を採用していたが、これに限られない。すなわち、第1水素化処理触媒、ゼオライト系触媒、および第3水素化処理触媒は、上述した採用可能な非晶質無機酸化物担体、および活性金属を適宜組み合わせて構成することができ、各触媒も、硫黄分の極めて少ない低硫黄軽油を効率よく生産するために、適宜組み合わせればよい。
その他、本発明の実施の際の具体的な構造および形状等は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造等としてもよい。
【0045】
【実施例】
(実施例1)
図1に示される水素化処理装置10を用いて、直留軽油LGOを原料油軽油として水素化処理を行って脱硫軽油DGOを得た。直留軽油LGOは常圧蒸留装置の抽出留分として得られる常圧蒸留軽油であり、その性状は、沸点180〜380℃、硫黄分1.4wt%、多環芳香族分12.0wt%である(多環芳香族:主として二環芳香族および三環芳香族)。
【0046】
また、第1水素化処理触媒10B、ゼオライト系触媒10C、第3水素化処理触媒10Dの成分および充填比率は、表2に示される通りである。
【0047】
【表2】
Figure 0004223630
【0048】
さらに、水素化処理装置10の反応塔10Aの内部における反応条件は、表3に示される通りである。
【0049】
【表3】
Figure 0004223630
【0050】
(実施例2)
第1水素化処理触媒10B、ゼオライト系触媒10C、第3水素化処理触媒10Dの成分および充填比率を表4に示すものとした点を除き、実施例1と同様の手順で脱硫軽油DGOを得た。
【0051】
【表4】
Figure 0004223630
【0052】
(実施例3)
第1水素化処理触媒10B、ゼオライト系触媒10C、第3水素化処理触媒10Dの成分および充填比率を表5に示すものとした点を除き、実施例1と同様の手順で脱硫軽油DGOを得た。
【0053】
【表5】
Figure 0004223630
【0054】
(比較例1)
実施例1で用いた原料油軽油である直留軽油LGOを、図2に示される水素化処理装置20で水素化処理を行って脱硫軽油DGOを得た。尚、水素化処理装置20は、反応塔20Aと、この反応塔20Aの内部に積層配置される第1水素化処理触媒20Bおよび第2水素化処理触媒20Cとを含んで構成される。第1水素化処理触媒20Bおよび第2水素化処理触媒20Cの成分、充填比率は、表6に示される通りであり、水素化処理装置20における反応条件は実施例1における表3と同様である。
【0055】
【表6】
Figure 0004223630
【0056】
実施例1〜実施例3、および比較例1で得られた脱硫軽油DGOの成分分析を行ったところ、表7に示されるような結果となった。実施例1〜実施例3で得られる脱硫軽油DGOは、それぞれ0.006wt%、0.004wt%、0.004wt%と硫黄分が大幅に低減されていることが判る。また、実施例1〜実施例3では、偏在する芳香族分である多環芳香族分も、比較例1と比較して大幅に低減され、さらに色相(ASTM)も0.5未満と極めて高品質の脱硫軽油DGOが得られることが判る。
【0057】
【表7】
Figure 0004223630
【0058】
【発明の効果】
前述のような本発明の低硫黄軽油の製造方法によれば、第2水素化処理工程においてゼオライト系触媒を用いているので、原料油軽油の重質分中に含まれる難脱硫性の硫黄化合物を水素化処理することができ、硫黄分の極めて少ない低硫黄軽油を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る水素化処理装置の構造を表すブロック図である。
【図2】比較例における従来の水素化処理装置の構造を表すブロック図である。
【符号の説明】
10B 第1水素化処理触媒
10C ゼオライト系触媒
10D 第3水素化処理触媒
LGO 直留軽油(原料油軽油)

Claims (4)

  1. 硫黄分0.5〜2.5wt%、沸点150〜400℃の原料油軽油を、複数の水素化処理触媒の存在下で水素化処理する低硫黄軽油の製造方法であって、
    前記原料油軽油を第1水素化処理触媒の存在下で水素と接触させ、前記原料油軽油中の易脱硫性成分を脱硫する第1水素化処理工程と、
    この第1水素化処理工程で処理された生成油を、ゼオライト系触媒の存在下で水素と接触させ、前記原料油軽油中の難脱硫性成分を異性化する第2水素化処理工程と、
    この第2水素化処理工程で処理された生成油を、第3水素化処理触媒の存在下で水素と接触させ、異性化された前記難脱硫性成分を脱硫する第3水素化処理工程とを備え、
    前記ゼオライト系触媒は、当該ゼオライト系触媒と前記第1および第3水素化処理触媒とを加えた触媒全量に対して、体積比で5〜60%であることを特徴とする低硫黄軽油の製造方法。
  2. 請求項1に記載の低硫黄軽油の製造方法において、
    前記第1水素化処理工程で処理された生成油の硫黄分を0.2wt%以下にすることを特徴とする低硫黄軽油の製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の低硫黄軽油の製造方法において、
    前記ゼオライト系触媒は、当該ゼオライト系触媒全量に対して、40〜99wt%の非晶質無機酸化物と、1〜60wt%のゼオライトとを含む担体に、周期律表第VI族の金属、および第VIII族の金属のうち少なくとも1種の金属を、酸化物換算で0〜25wt%担持させたものであることを特徴とする低硫黄軽油の製造方法。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の低硫黄軽油の製造方法において、
    前記ゼオライト系触媒に含まれるゼオライトは、シリカ/アルミナ比が2以上であることを特徴とする低硫黄軽油の製造方法。
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