JP4222826B2 - 鉄道車両 - Google Patents

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  • Platform Screen Doors And Railroad Systems (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両に関する。
【0002】
【従来の技術】
通勤型電車と称されるような鉄道車両においては、車両定員を容易に確保する等の目的により、先端部を切り落としたような先頭部形状が一般的に用いられている(例えば、非特許文献1参照。)。
【0003】
【非特許文献1】
株式会社交友社発行 「鉄道ファン 1998年5月号」 平成10年5月1日発行 22〜32頁
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような先端部を切り落としたような先頭部形状を用いた場合、当該先頭部形状を有する鉄道車両により構成された列車がプラットホームを通過する際に、プラットホーム上にて発生する列車風(列車の走行に伴って発生する空気の流れ)が強くなるという問題点を有していることが判明した。
【0005】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、プラットホーム上において発生する列車風を低減することが可能な鉄道車両を提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、調査研究の結果、先端部を切り落としたような先頭部形状を有する鉄道車両における上述の問題点は、車両側面の境界層剥離の形成が原因あることという事実を新たに見出した。また、本発明者等は、車体前面左右の角部における曲率半径(いわゆる角アール)を大きくすることにより、車両側面における剥離発生を抑制することが可能であるという事実も新たに見出した。
【0007】
かかる事実を踏まえ、本発明に係る鉄道車両は、外妻面を有する鉄道車両であって、外妻面の両側部及び上端部にわたって設けられ、気流の剥離を小さくする剥離抑制部材を備えており、剥離抑制部材における外妻面の上端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で外妻面側から屋根面側に抜ける気流を形成するように、外妻面との間に所定の間隙を有していることを特徴としている。
【0008】
本発明に係る鉄道車両では、上記剥離抑制部材により、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。特に、車両の先頭部分の角部で剥離した気流が車両先頭部分の側方において大きな渦を形成するのを効率よく抑制することができる。また、前方から来る空気の流れは、外妻面側から剥離抑制部材と車体との間の上記所定の間隙を抜けて屋根面側にスムーズに導かれることとなり、車両側方に向かおうとする空気流の発生を適切に抑制することができる。これらの結果、プラットホーム上において発生する列車風を低減することができる。
【0009】
また、剥離抑制部材における外妻面の両側部に位置する部分は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、剥離抑制部材における外妻面の上端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲していることが好ましい。このように構成した場合、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制し得る構成の剥離抑制部材を簡易且つ適切に実現することができる。
【0010】
また、剥離抑制部材における外妻面の上端部に位置する部分の車体幅方向中央部が、外妻面との間に所定の間隙を有していることが好ましい。このように構成した場合、剥離抑制部材と車体との間を通って屋根面側に抜けた空気が、再び車両側方に流れ込んでしまうのを抑えることができ、車両走行時の車体側方における空気流の発生をより一層効果的に抑制することができる。
【0011】
本発明に係る鉄道車両は、外妻面を有する鉄道車両であって、外妻面の両側部及び下端部にわたって設けられ、気流の剥離を小さくする剥離抑制部材を備えており、剥離抑制部材における外妻面の下端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で外妻面側から床面側に抜ける気流を形成するように、外妻面との間に所定の間隙を有していることを特徴としている。
【0012】
本発明に係る鉄道車両では、上記剥離抑制部材により、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。特に、車両の先頭部分の角部で剥離した気流が車両先頭部分の側方において大きな渦を形成するのを効率よく抑制することができる。また、前方から来る空気の流れは、外妻面側から剥離抑制部材と車体との間の上記所定の間隙を抜けて床面側にスムーズに導かれることとなり、車両側方に向かおうとする空気流の発生を適切に抑制することができる。これらの結果、プラットホーム上において発生する列車風を低減することができる。
【0013】
また、剥離抑制部材における外妻面の両側部に位置する部分は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、剥離抑制部材における外妻面の下端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲していることが好ましい。このように構成した場合、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制し得る構成の剥離抑制部材を簡易且つ適切に実現することができる。
【0014】
本発明に係る鉄道車両は、外妻面を有する鉄道車両であって、外妻面の上端部、両側部及び下端部にわたって設けられ、気流の剥離を小さくする剥離抑制部材を備えており、剥離抑制部材における外妻面の上端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で外妻面側から屋根面側に抜ける気流を形成するように、外妻面との間に所定の間隙を有し、剥離抑制部材における外妻面の下端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で外妻面側から床面側に抜ける気流を形成するように、外妻面との間に所定の間隙を有していることを特徴としている。
【0015】
本発明に係る鉄道車両では、上記剥離抑制部材により、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。特に、車両の先頭部分の角部で剥離した気流が車両先頭部分の側方において大きな渦を形成するのを効率よく抑制することができる。また、前方から来る空気の流れは、外妻面側から剥離抑制部材と車体との間の上記所定の間隙を抜けて屋根面側及び床面側にスムーズに導かれることとなり、車両側方に向かおうとする空気流の発生を適切に抑制することができる。これらの結果、プラットホーム上において発生する列車風を低減することができる。
【0016】
また、剥離抑制部材における外妻面の両側部に位置する部分は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、剥離抑制部材における外妻面の上端部及び下端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲していることが好ましい。このように構成した場合、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制し得る構成の剥離抑制部材を簡易且つ適切に実現することができる。
【0017】
また、剥離抑制部材における外妻面の上端部に位置する部分の車体幅方向中央部が、外妻面との間に所定の間隙を有していることが好ましい。このように構成した場合、剥離抑制部材と車体との間を通って屋根面側に抜けた空気が、再び車両側方に流れ込んでしまうのを抑えることができ、車両走行時の車体側方における空気流の発生をより一層効果的に抑制することができる。
【0018】
また、剥離抑制部材の前側端部は、外妻面側に折り曲げられて形成されていることが好ましい。このように構成した場合、剥離抑制部材の外妻面側に折り曲げられた部分によって当該剥離抑制部材の裏面側が隠されることとなり、デザイン性を高めることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態に係る鉄道車両について図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0020】
図1〜図8に基づいて、本実施形態に係る鉄道車両について説明する。図1は、本実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図であり、図2は同じく側面図、図3は同じく正面図、図4は同じく平面図である。また、図5〜図9は、本実施形態に係る鉄道車両に含まれる剥離抑制部材の断面図であり、図10及び図11は、運転席から車両前方を見たときの図である。
【0021】
この鉄道車両1は、複数の車両を連結したものであり、各車両は基本的には略直方体形状をなしている。たとえば、先頭車両10は、先頭端面であるほぼ平面形状の外妻面11と、同様にほぼ平面の側面13と、屋根面15と、車台上の床面17とを有している。この先頭車両10の外妻面11側の端部には運転席(図示せず)が設けられており、外妻面11には前面窓19、開戸方式の前面扉(貫通扉)20等が設けられている。側面13には、乗務員乗降用のドア21の後方に側窓23と乗客乗降用のドア25が複数設けられている。
【0022】
外妻面11の上端部(屋根面15との境界近傍)、両側部(側面13との境界近傍)及び下端部(床面17との境界近傍)には、当該上端部、両側部及び下端部にわたって、剥離抑制部材30が装着されて、設けられている。この剥離抑制部材30は、金属(例えば、アルミニウム、ステンレス鋼等)製や繊維強化プラスチック(FRP)製等の板状の部材からなる。剥離抑制部材30は、外妻面11の両側部に位置する一対の部分31、外妻面11の上端部に位置する部分33、及び、外妻面11の下端部に位置する部分35を含んでおり、これらの部分31,33,35が一体に形成された矩形枠状に構成されている。
【0023】
剥離抑制部材30における外妻面11の両側部に位置する部分31は、図5にも示されるように、車体上方から見て車体中心側に向けて所定の曲率半径にて湾曲している。この外妻面11の両側部に位置する部分31は、後側端部31aが隅柱41に複数箇所においてボルト止めされると共に、湾曲部31bが複数箇所においてブラケット42を介して隅柱41に固定されることにより、外妻面11に対して取り付けられている。なお、外妻面11にステップ(昇降用足掛)が設けられる場合、当該ステップとの干渉を避けるための切り欠き部を外妻面11の両側部に位置する部分31にステップの位置に対応して形成してもよい。
【0024】
剥離抑制部材30における外妻面11の上端部に位置する部分33は、図6及び図7にも示されるように、車体側方から見て車体中心側に向けて所定の曲率半径にて湾曲している。この外妻面11の上端部に位置する部分33は、その両側部において、後側端部33aが屋根面15あるいは妻けた等に複数箇所においてボルト止めされると共に湾曲部33bが複数箇所においてブラケット44を介して外妻面11あるいは妻けた等に固定されることにより(図7参照)、また、車両幅方向中央部において、湾曲部33bが複数箇所においてブラケット45,46を介して屋根面15、外妻面11あるいは妻けた等に固定されることにより(図6参照)、外妻面11に対して取り付けられている。
【0025】
外妻面11の上端部に位置する部分33は、図6に示されるように、その車両幅方向中央部が上方に膨出して形成されており、外妻面11及び屋根面15との間に所定の間隙を有している。このため、車両走行時には、外妻面11の上端部に位置する部分33の車両幅方向中央部と車体との間で、外妻面11側から屋根面15側に抜ける気流S1が形成されることとなる。
【0026】
剥離抑制部材30における外妻面11の下端部に位置する部分35は、図8及び図9にも示されるように、車体側方から見て車体中心側に向けて所定の曲率半径にて湾曲している。この外妻面11の下端部に位置する部分35は、複数箇所においてブラケット47を介して端ばり48に固定されることにより、外妻面11に対して取り付けられている。
【0027】
外妻面11の下端部に位置する部分35は、外妻面11との間に所定の間隙を有している。このため、車両走行時には、外妻面11の下端部に位置する部分35と車体との間で、外妻面11側から床面17側に抜ける気流S2が形成されることとなる。
【0028】
剥離抑制部材30における外妻面11の両側部に位置する部分31及び外妻面11の上端部に位置する部分33は、その前側端部31c,33cが外妻面11側に折り曲げられて形成されている。
【0029】
以上のように、本実施形態の鉄道車両1においては、外妻面11の上端部、両側部及び下端部にわたって剥離抑制部材30が設けられているので、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制することができる。特に、車両の先頭部分の角部(外妻面11と側面13との境界)で剥離した気流が車両先頭部分の側方において大きな渦を形成するのを効率よく抑制することができる。
【0030】
また、外妻面11の上端部に位置する部分33の車両幅方向中央部が上方に膨出して形成されて、外妻面11及び屋根面15との間に所定の間隙を有しているので、前方から来る空気の流れは、外妻面11側から剥離抑制部材30と車体との間の上記所定の間隙を抜けて屋根面15側にスムーズに導かれることとなり、車両側方に向かおうとする空気流の発生を適切に抑制することができる。更に、外妻面11の下端部に位置する部分35も、外妻面11との間に所定の間隙を有しているので、前方から来る空気の流れは、外妻面11側から剥離抑制部材30と車体との間の上記所定の間隙を抜けて床面17側にスムーズに導かれることとなり、車両側方に向かおうとする空気流の発生を適切に抑制することができる。
【0031】
これらの結果、本実施形態の鉄道車両1によれば、プラットホーム上において発生する列車風を低減することができる。
【0032】
また、本実施形態の鉄道車両1においては、剥離抑制部材30における外妻面11の両側部に位置する部分31は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲しており、外妻面11の上端部及び下端部に位置する部分33,35は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲している。これにより、車両の先頭部分からの剥離の発生を効果的に抑制し得る構成の剥離抑制部材30を簡易且つ適切に実現することができる。
【0033】
また、本実施形態の鉄道車両1においては、剥離抑制部材30における外妻面11の上端部に位置する部分33の車体幅方向中央部が、外妻面11との間に上記所定の間隙を有している。これにより、剥離抑制部材30と車体との間を通って屋根面15側に抜けた空気が、再び車両側方(側面13側)に流れ込んでしまうのを抑えることができ、車両走行時の車体側方における空気流の発生をより一層効果的に抑制することができる。
【0034】
また、本実施形態の鉄道車両1においては、剥離抑制部材30における外妻面11の両側部に位置する部分31の前側端部31c及び外妻面11の上端部に位置する部分33の前側端部33cが、外妻面11側に折り曲げられて形成されている。これにより、それぞれの部分31,33の外妻面側に折り曲げられた部分によって剥離抑制部材30の裏面側が隠されることとなり、デザイン性を高めることができる。
【0035】
また、剥離抑制部材30は外妻面11の上端部、両側部及び下端部にわたって設けられるので、図10及び図11に示されるように、乗務員の視界を大きく妨げるようなことはない。
【0036】
なお、剥離抑制部材30における各部分31(31b),33(33b),35の曲率半径は、当該剥離抑制部材30を装着する鉄道車両の走行速度(駅通過速度)、通過する駅構内の構造等を考慮して、適宜設定することができる。
【0037】
本発明者等は、剥離抑制部材によるプラットホーム上において発生する列車風の低減効果を確認するための解析を行ったので、以下、その解析結果について説明する。
【0038】
図12及び図13は、比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルMを示す図である。車体モデル51は、先頭車両1両をモデル化した。側構体、屋根、屋根上のクーラーは設計図面通りとし、床下については台車を近似形状でモデル化した。車体モデル寸法は、全長19500mm、路盤上面からの屋根上面高さ3760mm、モデル化した台車と路盤間距離303mm、プラットホームと車体間距離165mmに設定した。
【0039】
試験においては、解析条件として、車体モデル51を固定し、周辺のインフラ部(構内掲示板及び壁55、天井57、路盤59、プラットホーム60等)及び構内の空気を通過速度で動かす条件を採用した。なお、プラットホーム60の車両に面した端部の下方には、空間が形成されている。インフラ部の全長を35mに設定し、車体モデル51の前方に所定の空間を設定している。また、列車通過速度を88km/h(≒24.444m/s)に設定した。なお、図12においては、天井57の一部の図示を省略している。
【0040】
以上のことから、図12及び図13に示された解析モデルMに対して、以下を付与した。
▲1▼車体モデル51は全く動かない壁として定義した。
▲2▼インフラ部には、88km/hの速度を定義した。
▲3▼解析モデルMの入口(図13紙面表面側)から出口(図13紙面裏面側)へ向けて、88km/hの空気の流れを定義した。
【0041】
プラットホーム60上で乗客が列車から受ける風(列車風)の方向は一定ではなく前後(y)・左右(x)・上下(z)の3方向成分からなる。したがって、風速Vmagnitudeは、この3方向の速度成分を考慮した、下記(1)式で定義される値とした。
magnitude=(Vx2+Vz2+(Vy−24.444)21/2 … (1)
【0042】
(1)式の第3項(Vy−24.444)2において、速度のY成分から24.444を差し引いているのは、プラットホーム60上の乗客を基準とした相対速度を得るためである。解析モデルMでは、車体モデル51を固定しインフラ部を88km/h(≒24.444m/s)で移動させているため、プラットホーム60上に立つ乗客も88km/h(≒24.444m/s)で移動する条件となっている。したがって、乗客が受ける風を評価するためには解析から得られる速度から乗客の計算上の移動速度を減算する必要がある。インフラ部を移動させる方向は前後(y)方向だけであり、左右(x)・上下(z)の2方向には解析上も速度を与えていないため、Vmagnitudeの算出にはそのままの速度成分を用いている。
【0043】
以下、図14〜図17に基づいて、比較試験結果について説明する。図14〜図16は、風速分布を示したグラフ(線図)であり、横軸が解析モデルMの出口端からの距離を、縦軸はその位置における風速を示している。図14は、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置におけるプラットホーム60上面からの高さ170cm(プラットホーム60に立つ乗客の頭部付近を想定)での風速分布を示している。また、図15は、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置におけるプラットホーム60上面からの高さ110cm(プラットホーム60に立つ乗客の胴部付近を想定)での風速分布を示している。また、図16は、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置におけるプラットホーム60上面からの高さ50cm(プラットホーム60に立つ乗客の膝付近を想定)での風速分布を示している。なお、プラットホーム60の車両に面した端部から1m離れた位置には、通常、点字ブロックが敷設される。図17は、図14〜図16のグラフにおける風速変化の最初のピーク値(m/s)を、上記評価位置毎に示す図表である。
【0044】
図14〜図17に示された試験結果において、実施例1は、上述した本実施形態に係る鉄道車両を車体モデル51に設定したものである。比較例1は、上述した本実施形態に係る鉄道車両から剥離抑制部材30を除いたもの(先端部を切り落としたような先頭部形状)を車体モデル51に設定したものである。
【0045】
図14〜図17から分かるように、実施例1は、プラットホーム60上面からの高さ170cm、110cm、50cmのすべてにわたって、比較例1に対して風速のピーク値と、その前後の変化(動)量が低減されている。これは、実施例1において、車体先頭部からの剥離の発生が抑制されたためであると考えられる。以上の比較試験結果から、剥離抑制部材を設けて車両走行時の車体側方における空気流の発生を抑制することでプラットホーム60上において発生する列車風を低減する本発明の効果を確認することができた。
【0046】
本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。本実施形態においては、剥離抑制部材30が外妻面11の上端部、両側部及び下端部にわたって設けられる構成としたが、これに限られるものではない。例えば、剥離抑制部材30が外妻面11の上端部及び両側部にわたって設けられる構成(外妻面11の両側部に位置する部分31及び外妻面11の上端部に位置する部分33からなる構成)、あるいは、剥離抑制部材30が外妻面11の下端部及び両側部にわたって設けられる構成(外妻面11の両側部に位置する部分31及び外妻面11の下端部に位置する部分35からなる構成)であってもよい。また、剥離抑制部材30は、図18に示されるように、下端部に位置する部分35が外妻面11の前面窓19の近傍部分まで覆った構成(但し、前面扉20の部分を除く)としてもよい。
【0047】
また、剥離抑制部材30の形状、寸法、材質等は適宜変更可能である。剥離抑制部材30の外妻面11への取り付けもボルト止め以外に溶接等により行なうようにしてもよい。
【0048】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明によれば、プラットホーム上において発生する列車風を低減することが可能な鉄道車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る鉄道車両を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る鉄道車両を示す側面図である。
【図3】本実施形態に係る鉄道車両を示す正面図である。
【図4】本実施形態に係る鉄道車両を示す平面図である。
【図5】本実施形態に係る鉄道車両に含まれる剥離抑制部材の断面図である。
【図6】本実施形態に係る鉄道車両に含まれる剥離抑制部材の断面図である。
【図7】本実施形態に係る鉄道車両に含まれる剥離抑制部材の断面図である。
【図8】本実施形態に係る鉄道車両に含まれる剥離抑制部材の断面図である。
【図9】本実施形態に係る鉄道車両に含まれる剥離抑制部材の断面図である。
【図10】本実施形態に係る鉄道車両において、運転席から車両前方を見たときの図である。
【図11】本実施形態に係る鉄道車両において、運転席から車両前方を見たときの図である。
【図12】比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルMを示す図である。
【図13】比較試験(シミュレーション解析試験)に用いた解析モデルMを示す図である。
【図14】比較試験により得られた風速分布を示す線図である。
【図15】比較試験により得られた風速分布を示す線図である。
【図16】比較試験により得られた風速分布を示す線図である。
【図17】図14〜図16の線図における風速変化の最初のピーク値を評価位置毎に示す図表である。
【図18】本実施形態に係る鉄道車両の変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
1…鉄道車両、10…先頭車両、11…外妻面、13…側面、15…屋根面、17…床面、30…剥離抑制部材、31…外妻面の両側部に位置する部分、31c…前側端部、33…外妻面の上端部に位置する部分、33c…前側端部、35…外妻面の下端部に位置する部分、51…車体モデル、55…構内掲示板及び壁、57…天井、59…路盤、60…プラットホーム、M…解析モデル。

Claims (5)

  1. 外妻面を有する鉄道車両であって、
    前記外妻面の両側部及び上端部にわたって設けられ、気流の剥離を小さくする剥離抑制部材を備えており、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記上端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で前記外妻面側から屋根面側に抜ける気流を形成するように、前記外妻面との間に所定の間隙を有し
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記両側部に位置する部分は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲すると共に、その前側端部が、前記外妻面に向けて折り曲げられて形成されており、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記上端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲すると共に、その前側端部が、前記外妻面に向けて折り曲げられて形成されていることを特徴とする鉄道車両。
  2. 前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記上端部に位置する前記部分の車体幅方向中央部が、前記外妻面との間に前記所定の間隙を有していることを特徴とする請求項1に記載の鉄道車両。
  3. 外妻面を有する鉄道車両であって、
    前記外妻面の両側部及び下端部にわたって設けられ、気流の剥離を小さくする剥離抑制部材を備えており、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記下端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で前記外妻面側から床面側に抜ける気流を形成するように、前記外妻面との間に所定の間隙を有し
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記両側部に位置する部分は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲すると共に、その前側端部が、前記外妻面に向けて折り曲げられて形成されており、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記下端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲していることを特徴とする鉄道車両。
  4. 外妻面を有する鉄道車両であって、
    前記外妻面の上端部、両側部及び下端部にわたって設けられ、気流の剥離を小さくする剥離抑制部材を備えており、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記上端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で前記外妻面側から屋根面側に抜ける気流を形成するように、前記外妻面との間に所定の間隙を有し、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記下端部に位置する部分は、当該部分と車体との間で前記外妻面側から床面側に抜ける気流を形成するように、前記外妻面との間に所定の間隙を有し
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記両側部に位置する部分は、車体上方から見て車体中心側に向けて湾曲すると共に、その前側端部が、前記外妻面に向けて折り曲げられて形成され、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記上端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲すると共に、その前側端部が、前記外妻面に向けて折り曲げられて形成されており、
    前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記下端部に位置する部分は、車体側方から見て車体中心側に向けて湾曲していることを特徴とする鉄道車両。
  5. 前記剥離抑制部材における前記外妻面の前記上端部に位置する前記部分の車体幅方向中央部が、前記外妻面との間に前記所定の間隙を有していることを特徴とする請求項に記載の鉄道車両。
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