JP4222476B2 - 歪み測定用コンクリートポール、および歪み測定方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歪み測定用コンクリートポールと、この歪み測定用コンクリートポールを用いた歪み測定方法とに関する。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートポールは電気設備や電気通信設備の基盤設備であり、高圧電力線、低圧電力線、通信用電線、引留用支線などを支持する。このコンクリートポールは各種の電線を支持するので、コンクリートポールには不平衡荷重が負荷される。たとえば、図5に示すように、コンクリートポール101は高圧電力線201、低圧電力線202、通信用電線203を支持し、さらに、コンクリートポール101の端部が引留用支線204に接続されている。
【0003】
このように、各種の電線等の接続により不平衡荷重がコンクリートポール101に付加される。つまり、コンクリートポール101の一方の端部が地中にあるので、コンクリートポール101の地面との境界が固定され、また、他方の端部が引留用支線204に接続されているので、この端部も固定されている。この結果、コンクリートポール101には、低圧電力線202による張力F1と、通信用電線203による張力F2とが加わり、コンクリートポール101は不平衡荷重が付加された状態となる。
【0004】
各種電線により不平衡荷重が付加された場合、コンクリートポール101を梁と仮定すると、コンクリートポール101に次のような応力状態が発生している。たとえば、低圧電力線202を支持しているコンクリートポール101の部分(図5の破線円Mの部分)では、図6に示すように、圧縮応力F11、F12と引張応力F21、F22とにより、曲げ力F31が発生する。コンクリートポール101には図7に示すように、中空円筒状のコンクリート部分101Aに鉄筋101Bが埋め込まれているが、コンクリートポール101と仮定した梁110(図5)は湾曲する。これらの荷重が長期間付加され続けると、コンクリートポール101の折損や倒壊が発生する可能性がある。
【0005】
そこで、コンクリートポールの劣化予測の技術として、プレストレストコンクリートの電柱の鉄筋のインピーダンス特性で推定する技術(特開2002−345132号公報:以下、文献1という)や、電柱の湾曲度合を測定する技術として、電柱の画像処理で測定する技術(特開平6−94442号公報:以下、文献2という)がある。コンクリートポールにおいて、不平衡荷重状態が発生している場合、これらの技術により、外観等から柱体の湾曲が確認される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述した文献1、2の技術には次のような課題がある。文献1の技術では、電柱の鉄筋のインピーダンス特性で推定するので、電柱に加わる不平衡荷重状況を定量的に、つまり、負荷が加わっている部分やその部分で伸びや歪みの量を把握することができない。
【0007】
また、文献2の技術では、外観等より柱体の湾曲が確認される場合もあるが、外観だけでは判断が困難な場合がほとんどである。このため、コンクリートポールの折損や倒壊を点検作業時等に予知することは基本的に不可能である。
【0008】
本発明は、前記の課題を解決し、外観等で判断不可能なコンクリ−トポールに加わる不平衡荷重状況を定量的に把握し、建替等の判断基準を設けることを可能にする、歪み測定用コンクリートポール、および歪み測定方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、柱状の鉄筋部分1Aと、前記鉄筋部分1Aの長手方向に沿ってこの鉄筋部分1Aの内部中央部に設けられ、かつ両端からそれぞれ突出した光ファイバコード1Bとを有し、前記光ファイバコード1Bの両端に接続用コネクタ1C、1Dを取り付けてなる歪み測定用鉄筋1を複数本配筋した配筋構造体と、前記配筋構造体を内部に持つ柱状のコンクリート部分11Aとを備えていることを特徴とする。
請求項2の発明は、柱状の鉄筋部分1Aと、前記鉄筋部分1Aの長手方向に沿ってこの鉄筋部分1Aの内部中央部に設けられ、かつ両端からそれぞれ突出した光ファイバコード1Bとを有し、前記光ファイバコード1Bの両端に接続用コネクタ1C、1Dを取り付けてなる歪み測定用鉄筋1を複数本配筋した配筋構造体と、前記配筋構造体を内部に持つ柱状のコンクリート部分11Aとを備えてなる歪み測定用コンクリートポールの前記光ファイバコード1Bを前記接続用コネクタ1C、1Dを介し連結し、連結した光ファイバコード1Bの一端にパルス状のレーザ光を入射し、前記連結した光ファイバコード1B中で発生した散乱光を、この連結した光ファイバコード1Bの他端から受け、前記散乱光を受信するまでの時間と周波数分布とから、前記鉄筋に発生している歪みの位置と大きさとを調べることを特徴とする歪み測定用コンクリートポールの歪み測定方法である。
【0010】
本発明によれば、コンクリートポールの配筋に用いられる鉄筋に光ファイバコードを埋め込み、この光ファイバコードの歪み量を測定することにより、鉄筋やコンクリートポールの湾曲状況を定量的に把握する。
【0011】
【発明の実施の形態】
つぎに、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳しく説明する。本実施の形態による歪み測定用鉄筋(以下、鉄筋という)を図1に示す。図1の鉄筋1は、鉄筋部分1Aと光ファイバコード1Bとコネクタ1C、1Dとで構成されている。
【0012】
鉄筋部分1Aは柱状の鉄製である。光ファイバコード1Bは、光を伝送するためのものである。光ファイバコード1Bは、鉄筋部分1A内に、鉄筋部分1Aの長手方向に沿って、かつ、鉄筋部分1Aより長めに設けられている。光ファイバコード1Bは、鉄筋部分1Aの伸びおよび圧縮歪みを、この光ファイバコード1Bの伸びおよび圧縮歪みとして伝達する。
【0013】
コネクタ1C、1Dは、光ファイバコード1Bの両端に取り付けられている。コネクタ1Cは、コネクタ1Dと互いに接続が可能である。コネクタ1Cとコネクタ1Dとの接続によって、光をコネクタ1Cからコネクタ1Dに、またはその逆方向に伝送することができる。
【0014】
前記の構成の鉄筋1は歪み測定用コンクリートポール(以下、コンクリートポールという)に用いられる。たとえば、図2に示すコンクリートポール11は、コンクリート部分11Aと図1の鉄筋1とで構成されている。図3に示すように、コンクリートポール11には、鉄筋1を環状に配列した配筋構造体が形成されている。コンクリート部分11Aは、コンクリートを中空円筒状に形成したものであり、先に述べた配筋構造体を内部に持つ。
【0015】
本実施の形態による鉄筋1とコンクリートポール11とは前記の構成である。つぎに、鉄筋1を内部に持つコンクリートポール11の歪み測定方法について説明する。
【0016】
図4に示すように、作業者は、コンクリートポール11内の隣接する鉄筋1のコネクタ1Cとコネクタ1Dを接続して、光ファイバコード1Bを連結する。この後、作業者は、各光ファイバコード1Bの接続を行った鉄筋1を配筋したコンクリートポール11を建設する。
【0017】
コンクリートポール11の建設後、定期的な点検を行う際に、作業者は歪み計測装置21を用意する。歪み計測装置21は、光ファイバに発生した歪みを計測するものである。このために、歪み計測装置21は、パルス状のレーザ光を光ファイバに入射し、光ファイバの歪みの部分で発生した散乱光を受信する。そして、歪み計測装置21は、散乱光を受信するまでの時間から計測位置を求め、散乱光の強さの周波数分布を解析することにより、計測位置での歪みの大きさを求める。
【0018】
作業者は、歪み計測装置21のコネクタ1C、1Dを、コンクリートポール11の計測部、つまり、コンクリートポール11内の連結された光ファイバコード1Bの一端のコネクタ1Cと他端のコネクタ1Dとに接続する。光ファイバコード1B入り鉄筋1をコネクタ接続することにより、一連となっている光ファイバコード1Bの一端に光パルスを入射し、光ファイバコード1B中で発生した散乱光を受信するまでの時間から計測位置を求め、また、その強さの周波数分布を解析することから、そこでの歪みの大きさを求める。
【0019】
こうして、本実施の形態によれば、前述の図5で説明した不平衡荷重状態時における引張り側の伸び歪み量および計測位置を測定でき、コンクリートポール11の湾曲状態を定量的に検知することが可能となる。そして、この歪み量等の記録を定期的な点検を通じて収集・保存し、この記録を分析することで、コンクリートポール11の折損・倒壊を事前に検知し建替等の判断を行う。
【0020】
以上、本発明の実施の形態を詳述してきたが、具体的な構成および方法は本実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、本発明に含まれる。たとえば、本実施の形態による歪み測定方法では、コンクリートポールについて述べたが、前述した鉄筋1を配列して他の構造物に用いた場合でも、同じようにして鉄筋1の歪み測定を行うことができる。
【0021】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明では、鉄筋またはこの鉄筋による配筋構造を用いたコンクリートポールが、光ファイバコードを内部に備えるので、鉄筋またはコンクリートポールに負荷される荷重を、この光ファイバコードの歪みとして定量的に把握することを可能にする。この結果、設備の安定性、効率的な保守作業に貢献することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による鉄筋の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】図1の鉄筋を用いたコンクリートポールの断面を示す断面図である。
【図3】図2のI−I断面を示す断面図である。
【図4】本実施の形態によるコンクリートポールを用いた歪み測定を説明するための説明図である。
【図5】コンクリートポールによる各種電線等の支持の様子を説明する説明図である。
【図6】図5の破線円部分のコンクリートポールの応力状態を説明する説明図である。
【図7】コンクリートポールの断面を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鉄筋
1A 鉄筋部分
1B 光ファイバコード
1C、1D コネクタ
11 コンクリートポール
11A コンクリート部分
21 歪み計測装置
Claims (2)
- 柱状の鉄筋部分(1A)と、前記鉄筋部分(1A)の長手方向に沿ってこの鉄筋部分(1A)の内部中央部に設けられ、かつ両端からそれぞれ突出した光ファイバコード(1B)とを有し、
前記光ファイバコード(1B)の両端に接続用コネクタ(1C、1D)を取り付けてなる歪み測定用鉄筋(1)を複数本配筋した配筋構造体と、
前記配筋構造体を内部に持つ柱状のコンクリート部分(11A)とを備えていることを特徴とする歪み測定用コンクリートポール。 - 柱状の鉄筋部分(1A)と、前記鉄筋部分(1A)の長手方向に沿ってこの鉄筋部分(1A)の内部中央部に設けられ、かつ両端からそれぞれ突出した光ファイバコード(1B)とを有し、
前記光ファイバコード(1B)の両端に接続用コネクタ(1C、1D)を取り付けてなる歪み測定用鉄筋(1)を複数本配筋した配筋構造体と、
前記配筋構造体を内部に持つ柱状のコンクリート部分(11A)とを備えてなる歪み測定用コンクリートポールの前記光ファイバコード(1B)を前記接続用コネクタ(1C、1D)を介し連結し、
連結した光ファイバコード(1B)の一端にパルス状のレーザ光を入射し、
前記連結した光ファイバコード(1B)中で発生した散乱光を、この連結した光ファイバコード(1B)の他端から受け、
前記散乱光を受信するまでの時間と周波数分布とから、前記鉄筋に発生している歪みの位置と大きさとを調べることを特徴とする歪み測定用コンクリートポールの歪み測定方法。
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