JP4221833B2 - 乗員保護用シート - Google Patents

乗員保護用シート Download PDF

Info

Publication number
JP4221833B2
JP4221833B2 JP23966099A JP23966099A JP4221833B2 JP 4221833 B2 JP4221833 B2 JP 4221833B2 JP 23966099 A JP23966099 A JP 23966099A JP 23966099 A JP23966099 A JP 23966099A JP 4221833 B2 JP4221833 B2 JP 4221833B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
occupant
collision
seat back
waist
force
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP23966099A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2001063422A (ja
Inventor
義勝 木佐貫
茂 佐久間
一生 三木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP23966099A priority Critical patent/JP4221833B2/ja
Publication of JP2001063422A publication Critical patent/JP2001063422A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4221833B2 publication Critical patent/JP4221833B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Seats For Vehicles (AREA)
  • Chair Legs, Seat Parts, And Backrests (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、乗員保護用シートに係り、より詳しくは、後突時に乗員に作用するエネルギを吸収し、後突時の乗員のリバウンド現象を低減できる乗員保護用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、車両衝突時に乗員を保護するための乗員保護用シートとしては、特開平10−309968号公報及び特開平11−48841号公報などの開示がある。
【0003】
これらの開示例は、シートにより後突時に乗員に作用するエネルギを吸収し、後突時の乗員のリバウンド現象を低減しようとするものである。このため、特開平10−309968号公報ではシートバックフレームを最大変形位置で保持するための、リバウンド抑制素子が設けられている。一方、特開平11−48841号公報では、後突時のシートバックの後方移動を許容することにより、衝突エネルギを吸収しようとするものであり受圧部材と連結部材が配設されている。
【0004】
即ち、この様な従来技術においては、シートバックフレームの位置を可動可能とし、所定の最大変形位置で保持してエネルギを吸収することを目的としている。そして、シートバックフレームの変形によるエネルギ吸収により乗員のリバウンド現象を抑制しようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの従来装置を用いたとしても、後突時に生じる乗員のリバウンド現象による頸部を含む身体上部に作用する力を低減することは困難である。これは、シートバックフレームを最大変形(後傾)位置で保持したとしても、シートバックのクッション特性や身体上部と身体下部の移動タイミングの違いなどにより少なからずリバウンド現象が生じるためである。
【0006】
リバウンド現象時には、頸部を含む身体上部に作用する力の継続時間が腰部に作用する力に比べ大きく、従来技術で示されているように乗員の挙動を考慮せずにシートバックフレームの後傾のみで頸部を含む身体上部に継続作用する力を低減することは困難である。
【0007】
本発明は上記問題点を解消するために成されたものであり、後突時に頸部を含む身体上部へ継続して作用する力を低減できる乗員保護用シートを提供することを目的とする。
【0008】
次に、衝突時のシート上における乗員の挙動について述べる。
【0009】
図6は後突時の乗員の挙動を示した概略図であり、乗員100の脊柱100Aのうち太い実線で示すのが衝突直後、間隔が狭いハッチングを付した線で示すのが衝突中期、間隔が広いハッチングを付した線で示すのが衝突後期、を示している。
【0010】
図6に基づいて、乗員100の挙動を衝突直後、衝突中期及び衝突後期に分けて比較すると、衝突直後の乗員100の姿勢は前傾しており、頸部100Bとシート102のシートバック102Aとの間に隙間が生じている。衝突中期においては腰部100C及び背中100Dがシートバック102Aに沈み込み頸部100Bとヘッドレスト102Bとの隙間も減少している。衝突後期においては、腰部100Cは前方に大きく移動し、背中100Dがシートバック102Aから浮き上がる。しかし、衝突後期においては、頸部100Bがシートバック102Aの上部に密着する。この結果、後突時の乗員100は、衝突初期の姿勢が前傾していることから腰部100Cが頸部100Bに比べ早い時期からシートバック102Aからの力を受け、その後、頸部100Bが慣性の影響によりシートバック102A方向に移動することがわかる。
【0011】
以上のように後突後の乗員100の挙動は、シートバック102Aに対して腰部100Cの移動が先に生じ、頭部100Eや頸部100Bの移動が遅れて生じる。
【0012】
また、図7(A)は衝突時の頸部の回転角であり、図7(B)は衝突時の腰部の回転角を示す。図7(B)に示すように衝突後の腰部の回転角は一端大きく変化し、再び衝突直前に近い状態に戻るが、図7(A)に示すように頸部の回転角は一端大きく変化した後は元に戻ることはない。これは、衝突中期以降においては、図6の乗員挙動に示すように乗員100の頸部100Bを含む身体上部が回転中心となって腰部100Cなどの身体下部が回転運動を行なっているためと考えられる。また、シートバック102Aヘの作用力を図8(A)〜(C)に示す。
【0013】
図8(A)〜(C)は衝突直前のシートバック102Aヘの作用力を基準にした作用力の分布を示している。図中白色部は変化が無い部分である。図8(A)に示すように衝突直後は乗員の腰部の作用力F1の変化が大きく、図8(B)に示すように衝突中期、図8(C)に示すように衝突後期において、乗員の腰部の作用力F1の変化に遅れて頸部の作用力F2の変化が生じることがわかる。このような作用力F1、F2の変化は、図6の乗員挙動と一致するものである。
【0014】
また、図8(B)に示すように、衝突中期以降においてリバウンド現象が始まると乗員の腰部の作用力F1は小さくなるが、頸部の作用力F2は依然大きな状態となっている。また、図8(C)に示すように、衝突後期においても頸部への作用力F2は衝突開始時に比べて大きく、衝突後、頸部に継続した力が作用する。
【0015】
本発明は、このような頸部を含む身体上部へ継続して作用する力の低減を図ることを目的としている。このため、頸部を含む身体上部に力が継続して作用するのを避けて、力を分散させることが必要である点に着目した。即ち、頸部を含む身体上部に継続して力が作用し続けるのは、後突後のリバウンド現象時に腰部がシートバックから浮き上がり腰部とシートバックとの隙間が生じることが理由として考えられる。このような隙間が生じるとシートバックが乗員を十分に保持することができず、衝突によって乗員が受ける力が頸部を含む身体上部の局所に作用することになる。同一の力が身体に作用した場合、受圧面積を広くすることにより単位面積当りの受圧力を小さくすることができることから、シートバックは常に体に密着していることが望ましい。
【0016】
また、シートバックが衝突後の乗員を十分に保持できない理由として、従来、シートバックが一体構造となっていることがある。すなわち、シートバックは圧縮方向(シートバックが潰される方向)には変形可能であるが、伸張方向(シートバックの厚みが増す方向)に対しては初期形状以上に変形できない。よって、リバウンド時のように乗員がシートバック前方に大きく移動するような場合においては乗員を支持することはできない。
【0017】
このようなことから、従来、一体構造となっていたシートバックの構造を少なくとも2つ以上に分割し、さらにそれらの位置を衝突後のリバウンド現象を考慮し乗員の腰部の変位に追従させることにより、衝突後の乗員をシートバックによって常に保持できると考えた。
【0018】
図9(A)及び図10(A)は、前記考えの確認である。これらは、乗員100とシート102からなるモデルを用いて、乗員頭部100Eの加速度及び体上部100Fへの作用力を調べた。モデルは、シートバック102Aを従来のように一体構造としたものと、シートバック104Aを二分割構造としたものである。シートバック102、104は、それぞれ弾性要素と減衰要素により支持されており、弾性係数及びシートバックの傾斜角などは市販車のシートを参考に設定した。また、乗員100は体重70kgf相当とし、速度10km/h以下の低速での後突を想定した。図9(B)及び図10(B)に後突時の乗員挙動の時間履歴を示す。図9(B)に示す一体型シート102においては後突後、腰部100Cとシートバック102Aの間に大きな隙間106が生じているが、図10(B)に示す分割型シート104においては腰部100Cとシートバック104Aと間の隙間がほとんどなくシート104によってリバウンド時も乗員100が保持されていることがわかる。
【0019】
また、図11(A)、(B)に乗員の身体各部に作用する力の時間履歴を示す。各図に実線で示す分割型シート104と、一点鎖線で示す一体型シート102の頭部100Aの加速度を比較すると図11(B)に示される如く、分割型シート104が小さくなっている。さらに、身体上部100Fに作用する力についても、図11(A)に示される如く、分割型シート104が一体型シート102に比べ作用する力が小さく、力が作用する期間も短くなっている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の乗員保護用シートは、シートバックの内部に配設され、後突時にシートと乗員の相対運動により乗員がシートから受ける衝突力を検出するための衝突力検出手段と、
前記衝突力検出手段により検出した衝突力に応じて、乗員の腰部に対応する部位を乗員の腰部の変位に追従させる乗員保護手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0021】
従って、車両が後突した場合には、衝突力検出手段により、シートと乗員の相対運動により乗員がシートから受ける衝突力を検出すると共に、衝突力検出手段により検出した衝突力に基づき乗員保護手段により、乗員の腰部に対応するシートバックの部位を乗員の腰部の変位に追従させる。この結果、後突時にシートと乗員の腰部とが離間するのを防止でき、シートと乗員の相対運動により乗員がシートから受ける衝突力を、腰部を含む身体の広い部位に分散することができる。このため、後突時に乗員の頸部を含む身体上部へ継続して作用する力を低減できる。
【0022】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の乗員保護用シートにおいて、前記衝突力検出手段は、後突時に乗員に押圧される受圧部材と、該受圧部材の受けた衝突力を変形量に変える変形量検出部材と、からなり、
前記乗員保持手段は、乗員の腰部を保持する保持プレートと、前記変形量に応じて前記保持プレートを乗員の腰部の変位に追従させる保持位置変更部材と、からなることを特徴とする。
【0023】
従って、車両が後突した場合には、受圧部材が乗員に押圧され、受圧部材の受けた衝突力を変形量検出部材が変形量に変えると共に、この変形量に応じて、乗員の腰部を保持する保持プレートが保持位置変更部材によって、乗員の腰部の変位に追従する。この結果、後突時にシートと乗員の腰部とが離間するのを防止でき、シートと乗員の相対運動により乗員がシートから受ける衝突力を、腰部を含む身体の広い部位に分散することができる。このため、後突時に乗員の頸部を含む身体上部へ継続して作用する力を低減できる。
【0024】
また、請求項3記載の発明は、請求項1記載の乗員保護用シートにおいて、前記衝突力検出手段は、後突時に乗員に押圧されると共に乗員の腰部を支持する下部シートバックと、該下部シートバックの受けた後突時の衝突力に応じて前記下部シートバックを揺動可能とする揺動制御部材と、からなり、
前記乗員保持手段は、前記下部シートバックと、前記下部シートバックを上部を回動中心にして前後方向へ回動し、乗員の腰部の変位に追従させるための保持位置変更部材と、からなることを特徴とする。
【0025】
従って、車両が後突した場合には、下部シートバックの受けた後突時の衝突力に応じて揺動制御部材が、下部シートバックを揺動可能とする。このため、保持位置変更部材により、下部シートバックは上部を回動中心にして前後方向へ回動し、乗員の腰部の変位に追従する。この結果、後突時にシートと乗員の腰部とが離間するのを防止でき、シートと乗員の相対運動により乗員がシートから受ける衝突力を、腰部を含む身体の広い部位に分散することができる。このため、後突時に乗員の頸部を含む身体上部へ継続して作用する力を低減できる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の乗員保護用シートの第1実施形態を図1及び図2に従って説明する。
【0027】
なお、図中矢印FRは車両前方方向を、矢印UPは車両上方方向を示す。
【0028】
図1に示される如く、本実施形態における乗員保護用シート10は、シートクッション12、シートバック14及びヘッドレスト16などからなる各シート構成部材と、シートバック14に内蔵された衝突力検出手段18と乗員保持手段20とから構成されている。また、衝突力検出手段18は、受圧部材22及び変形量検出部材24から構成されており、乗員保持手段20は、保持プレート26、弾性部材28を有する保持位置変更部材30から構成されている。
【0029】
衝突力検出手段18の受圧部材22は、衝突時にシートバック14に作用する力を検出するためのものであり、衝突直後においては、乗員34の背中34A、腰部34Bによるシートバック14への作用力が他の部位に先だって変化することから、このような変化が早期に生じる位置、例えば乗員34の背中34Aに対向する部位に配設する。
【0030】
また、衝突力検出手段18の変形量検出部材24は、上下方向に延設されており、上下方向中間部に設けた回転軸23を中心に回転可能となっており、受圧部材22で得られた作用力による変形量を、例えばリンク機構25によって変位に変換する。なお、シートバック14には、乗り心地を良くするため、ばねなどの弾性部材が内蔵されており、変形量検出部材24は衝突時にシートバック14が乗員34を押す力と弾性部材28の特性によって決まる変形量を検出するようになっている。
【0031】
なお、シートバック14が乗員34に及ぼす力は衝突速度に応じたものであり、衝突速度が高い時の衝突力は衝突速度が低い場合に比べ大きく、変形量検出部材24は衝突速度すなわち衝突力に応じた変形量を検出できるようになっている。更に乗員保持手段20の保持プレート26は、上部が回転軸27によってシートバックフレーム(図示上略)に回転可能に支持されており、変形量検出部材24で検出した衝突力に応じて乗員34を保持する際の保持位置を変更するようになっている。
【0032】
図2に示される如く、保持位置変更部材30は、変形量検出部材24の下部に固定された複数のロック用の爪36、保持プレート26側に軸38によって回動可能に支持された複数のロック用の爪40、及び弾性部材28とからなっている。弾性部材28はシートバック14に配設された弾性部材固定部42と保持プレート26とを連結すており、定常時は、所定の長さだけ圧縮した状態で保持プレート26を爪36と爪40との係合によって所定の位置に固定している。また、衝突により変形量検出部材24が、図2に実線で示す位置から図2に二点鎖線で示す位置へ回転すると爪36と爪40との係合が下方より順次外れ、保持プレート26が弾性部材28により乗員側に回動するようになっている。その後、保持プレート26は、外れた爪36と爪40の数に応じた弾性部材28で保持されることになる。外れた爪36と爪40の数は、変形量検出部材24の回転角、すなわち衝突力に応じた数であることから保持プレート26の保持位置が衝突力に応じて変更されることになる。なお、保持プレート26を保持するための弾性部材28の荷重−変形特性は固定である必要はなく、個々に変更することも可能である。また、保持プレート26内にも乗り心地を考え、図示しないクッションばねを内蔵することから弾性部材の荷重−変形特性はこれらの影響も考慮して決める必要がある。
【0033】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0034】
車両が後突した場合、乗員34は慣性の影響によりシートバック14に押し付けられる。乗員34がシートバック14に押し付けられる力は衝突速度に対応したものであり概ね衝突速度が高いほど大きくなる。シートバック14には乗り心地を考え、クッション、ばねなどの弾性部材28が内蔵されていることから、乗員34は、これらの弾性部材の荷重−変形特性に応じた量だけシートバック14に沈み込み、この沈み込み量は後突時は通常の運転使用時に比べ大きい。
【0035】
一方、受圧部材22は通常運転使用時より乗員34のシートバック14ヘの沈み込み量が大きくなった時にこれを検出する。すなわち、受圧部材22は通常運転使用時では作用しない位置に取り付けられている。受圧部材22で検出した衝突力は、衝突力検出手段18のリンク機構25により変形量に変換される。変形量検出部材24は変換された変形量に応じた量だけ回転軸23を中心に回転する。
【0036】
変形量検出部材24の回転により、変形量検出部材24に固定されたロック用の爪36と保持プレート38に軸支されたロック用の爪40との係合が外れ保持プレート26が乗員側に弾性部材28によって回動される。ロック用の爪36と爪40との係合が外れるタイミングはリバウンド現象時に保持プレート26により乗員が保持されるように決める。保持プレート26は、リバウンド現象時の乗員34の腰部34Bび背中34Aを保持し、衝突時に作用する力の一部を分担受圧する。なお、保持プレート38に軸支されたロック用の爪40は、爪36との係合が外れた後は自重により下方に回動し、後方への移動によって保持プレート26が再び初動位置に戻った際に再び爪36と爪40とが係合されることはない。
【0037】
以上の一連の作用により、後突時の乗員34の頸部34C近傍に作用する力を背中34A及び腰部34Bでも負担するようにできる。これにより、後突時に頸部34Cを含む身体上部に作用する力が軽減されるという優れた効果が得られる。
【0038】
次に、本発明の乗員保護用シートの第2実施形態を図3〜図5に従って説明する。
【0039】
なお、第1実施形態と同一部材については同一符号を付してその説明を省略する。
【0040】
図3に示される如く、シート50のシートバック50Aはヘッドレスト52、シートバックサイドフレーム54、上部シートバック56、衝突力検出手段及び乗員保持手段を構成する下部シートバック58及びシートクッション60等から構成されている。下部シートバック58は揺動制御部材及び保持位置変更部材を構成する回動レール部62と、保持位置変更部材を構成する回動支持ピン64によってシートバックサイドフレーム54に対して回動可能に支持されている。
【0041】
図4に示される如く、下部シートバック58はシートバックフレーム66とも保持位置変更部材を構成する弾性部材68、減衰部材70によって支持されている。回動レール部62は、レール本体74、下部シートバック58に一方の端部76Aが取り付けられたトーションバー76、押し付けばね78及び可動ボール80等から構成されている。なお、トーションバー76の他方の端部76Bの内部に、押し付けばね78と可動ボール80が挿入されており、可動ボール80は押し付けばね78の付勢力によって、レール本体74の上部に形成された通常時レール82の前後方向中央部に形成された凹部82Aに保持されている。
【0042】
図5に示される如く、レール本体74はシートバックサイドフレーム54に固定ねじ72で固定されており、レール本体74における通常時レール82の下方には、下方へ膨らんだ円弧状の回動レール86が形成されている。通常時レール82と可動レール86は、平板状のレール本体74に溝を彫り込んだ構造となっており、可動ボール80が滑らかに移動可能なように溝の表面が仕上げられている。なお、通常時レール82の前端部は、傾斜レール88によって、回動レール86の前後方向略中央部に連結されており、通常時レール82の後端部は、傾斜レール90によって、回動レール86の後端部に連結されている。
【0043】
従って、車両が後突した場合、乗員の腰部が弾性部材68と減衰部材70を押し付けながら、下部シートバック58をシート後方に押圧し、その押圧力が所定値を越えると、通常時レール82の凹部82Aに押し付け保持されていた可動ボール80が、凹部82Aから出て通常時レール82から傾斜レール88を通って回動レール86内(図5に二点鎖線で示す位置から、例えば、図5に一点鎖線で示す位置)へ移動するようになっている。この時、可動ボール80はトーションバー76の付勢力によって、傾斜レール88を通って回動レール86に移動する。
【0044】
なお、回動レール86に移動した可動ボール80は回動レール86に沿って前後方向へ移動可能となっており、これによって、下部シートバック58は可動支持ピン64を回転中心として前後方向へ回動可能となる。また、通常時、下部シートバック58は上部シートバック56と各シート面58A、56Aが互いに一致するように弾性部材68と減衰部材70を圧縮した状態で取り付けられているが、可動ボール80が回動レール86に位置したことにより、下部シートバック58のシート面58Aは通常時よりシート前方方向に移動するようになっている。また、弾性部材68を圧縮した際の反発力は、可動ボール80と通常時レール82に設けられた凹部82Aとによる摩擦力によって釣り合っている。
【0045】
次に、本実施形態の作用について説明する。
【0046】
車両が後突した場合、乗員34は慣性の影響によりシートバック50Aに押し付けられる。乗員34がシートバック50Aに押し付けられる力は衝突速度に対応したものであり概ね衝突速度が高いほど大きくなる。シートバック50Aには乗り心地を考え、クッション、ばねなどの弾性部材が内蔵されていることから、乗員34は、これらの弾性部材の荷重−変形特性に応じた量だけシートバック50Aに沈み込み、この沈み込み量は後突時は通常の運転使用時に比べ大きい。
【0047】
一方、下部シートバック58は通常運転使用時より乗員34の下部シートバック58ヘの沈み込み量が大きくなった時にこれを検出する。すなわち、乗員34の腰部34Bが弾性部材68と減衰部材70を押し付けながら、下部シートバック58をシート後方に押圧し、その押圧力が所定値を越えると、通常時レール82の凹部82Aに押し付け保持されていた可動ボール80が、凹部82Aから出て通常時レール82から傾斜レール88を通って回動レール86内へ移動する。また、回動レール86に移動した可動ボール80は回動レール86に沿って前後方向へ移動可能となる。この結果、下部シートバック58は、リバウンド現象時の乗員34の腰部34Bに追従し、これを保持することで、衝突時に作用する力の一部を分担受圧する。
【0048】
なお、上記下部シートバック58のシート面58Aの移動は、後突により乗員34がシート後方に移動した際に行われ、リバウンド現象により乗員34がシート前方に移動する際も下部シートバック58が乗員34の腰部34Bを保持するように回動する。これにより、後突時の乗員34はシート50によって常時保持される。
【0049】
以上の一連の作用により、後突時の乗員34の頸部34C近傍に作用する力を背中34A及び腰部34Bでも負担するようにできる。これにより、後突時に頸部34Cを含む身体上部に作用する力が軽減されるという優れた効果が得られる。
【0050】
なお、トーションバー76に外部から付勢力を加えことで、回動レール86内の可動ボール80を、回動レール86から傾斜レール90を通って通常時レール82内に戻すことができる。
【0051】
なお、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。
【0052】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、後突時に頸部を含む身体上部へ継続して作用する力を低減できるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の乗員保護用シートの要部を示す概略側面図である。
【図2】本発明の第1実施形態の乗員保護用シートにおける乗員保護手段を示す拡大側面図である。
【図3】本発明の第2実施形態の乗員保護用シートの要部を示す概略側面図である。
【図4】図3の4−4線に沿った拡大断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態の乗員保護用シートにおける要部を示す拡大側面図である。
【図6】後突時の乗員の挙動を示した概略図である。
【図7】(A)は衝突時の頸部の回転角であり、(B)は衝突時の腰部の回転角である。
【図8】(A)は衝突直前のシートバックヘの作用力を基準にした衝突直後の作用力の分布を示しており、(B)は衝突直前のシートバックヘの作用力を基準にした衝突中期の作用力の分布を示しており、(C)は衝突直前のシートバックヘの作用力を基準にした衝突後期の作用力の分布を示している。
【図9】(A)は一体型シートバックモデルを示しており、(B)は一体型シートバックモデルにおける後突時の乗員挙動の時間履歴を示している。
【図10】(A)は二分割シートバックモデルを示しており、(B)は二分割シートバックモデルにおける後突時の乗員挙動の時間履歴を示している。
【図11】(A)は一体型シートバックモデルと二分割シートバックモデルにおける体上部への作用力を示しており、(B)は一体型シートバックモデルと二分割シートバックモデルにおける頭部加速度の時間履歴を示している。
【符号の説明】
10 乗員保護用シート
14 シートバック
18 衝突力検出手段
20 乗員保持手段
22 受圧部材
24 変形量検出部材
25 リンク機構
26 保持プレート
28 弾性部材
30 保持位置変更部材
34 乗員
36 ロック用の爪
38 軸
40 ロック用の爪
42 弾性部材
50 乗員保護用シート
50A シートバック
54 シートバックサイドフレーム
56 上部シートバック
58 下部シートバック(衝突力検出手段、乗員保持手段)
62 回動レール部(揺動制御部材、保持位置変更部材)
64 回動支持ピン
66 シートバックサイドフレーム
68 弾性部材
70 減衰部材
74 レール本体
76 トーションバー
78 押し付けばね
80 可動ボール
82 通常時レール
86 回動レール

Claims (3)

  1. シートバックの内部に配設され、後突時にシートと乗員の相対運動により乗員がシートから受ける衝突力を検出するための衝突力検出手段と、
    前記衝突力検出手段により検出した衝突力に応じて、乗員の腰部に対応する部位を乗員の腰部の変位に追従させる乗員保護手段と、
    を備えたことを特徴とする乗員保護用シート。
  2. 前記衝突力検出手段は、後突時に乗員に押圧される受圧部材と、該受圧部材の受けた衝突力を変形量に変える変形量検出部材と、からなり、
    前記乗員保持手段は、乗員の腰部を保持する保持プレートと、前記変形量に応じて前記保持プレートを乗員の腰部の変位に追従させる保持位置変更部材と、からなることを特徴とする請求項1記載の乗員保護用シート。
  3. 前記衝突力検出手段は、後突時に乗員に押圧されると共に乗員の腰部を支持する下部シートバックと、該下部シートバックの受けた後突時の衝突力に応じて前記下部シートバックを揺動可能とする揺動制御部材と、からなり、
    前記乗員保持手段は、前記下部シートバックと、前記下部シートバックを上部を回動中心にして前後方向へ回動し、乗員の腰部の変位に追従させるための保持位置変更部材と、からなることを特徴とする請求項1記載の乗員保護用シート。
JP23966099A 1999-08-26 1999-08-26 乗員保護用シート Expired - Fee Related JP4221833B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23966099A JP4221833B2 (ja) 1999-08-26 1999-08-26 乗員保護用シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP23966099A JP4221833B2 (ja) 1999-08-26 1999-08-26 乗員保護用シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2001063422A JP2001063422A (ja) 2001-03-13
JP4221833B2 true JP4221833B2 (ja) 2009-02-12

Family

ID=17048015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP23966099A Expired - Fee Related JP4221833B2 (ja) 1999-08-26 1999-08-26 乗員保護用シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4221833B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5164587B2 (ja) * 2008-01-25 2013-03-21 本田技研工業株式会社 車両のシートベルト装置
JP2017137023A (ja) * 2016-02-05 2017-08-10 三菱自動車工業株式会社 車両用シートの沈込み制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2001063422A (ja) 2001-03-13

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100232765B1 (ko) 차량 시트
KR100596294B1 (ko) 차량용 시트
JP4026856B2 (ja) シートの背部支持機構
JP4850476B2 (ja) 車両用シート
US6478373B1 (en) Automotive seat—seat back with integrated protective device and process to prevent injuries caused by accident
EP0923460B1 (en) Improvements in or relating to a safety seat
EP1203692A2 (en) Vehicle seat back assembly
JP5394036B2 (ja) 車両用シート
EP1368210B1 (en) Safety headrest for a motor vehicle
JPH07291005A (ja) 自動車用シート
JP5153794B2 (ja) バックレスト支持機構
KR100461147B1 (ko) 목 상해 방지용 자동차 시트
JP4221833B2 (ja) 乗員保護用シート
JP2002502336A (ja) シートおよびこのシートを備えた車両
GB2316862A (en) Vehicle seat headrest
JPH10181403A (ja) 自動車用シート
JP4037331B2 (ja) 車両用シート
Viano Seat properties affecting neck responses in rear crashes: a reason why whiplash has increased
JP3384976B2 (ja) 自動車用シート
JP2001163097A (ja) 車両用シート
WO2000053452A1 (en) Improvements in or relating to a vehicle seat
Viano Influence of seat properties on occupant dynamics in severe rear crashes
JP4744236B2 (ja) 自動車用シート
EP1163124B1 (en) A device for counteracting the occurrence of whiplash injuries
CN115009127B (zh) 一种零重力座椅的正面碰撞约束系统及车辆

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060322

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080723

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080729

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20081028

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081110

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111128

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees