JP4221687B2 - 電気治療装置およびその電気エネルギー出力方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体に電気的な刺激パルスを加える電気的治療装置およびその電気エネルギー供給方法に関し、特に、心臓疾患における心臓の細動を除去するのに有効な電気的治療装置およびその電気エネルギー供給方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
心臓疾患の患者において、心臓に発生する異常な細動は、患者を死に至らしめる主要な要因である。この細動を除去するために、患者の心臓に電気的な刺激パルス(除細動パルスと云う)によるショックを与え、細動を除去する電気的治療装置(除細動器と云う)が一般的に用いられている。
【0003】
そして、上述の除細動器はその使用形態で大別すると、体内式(移植型)と体外式(外部接続型)がある。従来、体外式に用いられている波形は、減衰正弦曲線(damped sinusoidal )または切り取り指数関数曲線(truncated exponential )の単相波形が用いられている。一方、体内式では切り取り指数関数曲線の二相波形が多く用いられている。
【0004】
体内式の除細動器は個々の患者に合わせて使用し、同じ機器が他の患者に使用されることはないため、電極間のインピーダンスは患者固有の値でほぼ一定であるから、その患者のインピーダンスにとって除細動効率が最適になるよう波形を調整することができる。一方体外式除細動器では、体内式に比べ高電流出力が必要であり、またインピーダンスが様々な不特定の患者に使用されるため、最初の電気的除細動で蘇生できない場合は、エネルギー値を上げて再度除細動を試みるといった方法がとられてきた。
また、波形として単相型、二相型があるが、近年、両者のうち二相型は、単相型に比べて出力する電気エネルギーが少なくて済み、エネルギー効率が良く、患者へのダメージが少ないという利点が知られている。
【0005】
以下、従来の二相型除細動器の出力回路について図面を用いて説明する。
図10は、従来の二相型除細動器の出力回路を説明するための図であり、図11は、その波形図である。
図10の(a)は、4個のスイッチにより位相を反転する機構を設けた例であり、電気エネルギーを蓄積するコンデンサ201と、スイッチ202、203、204、205と、出力電極206a、206bを有するものである。これは、米国特許第4,850,357号(特公平4-45193号)に開示されている技術である。
【0006】
この二相型除細動器において、一相目の(正相)波形の電気パルスを出力する場合には、スイッチ202、205を導通状態にさせ、スイッチ203、204を遮断状態にさせることにより、出力電極206aにコンデンサ201の正極、出力電極206bにコンデンサ201の負極の電圧がかかり、これらの電極から生体(患者)207(生体のインピーダンス207a)に対して、正相切り取り型指数関数的波形の電気パルスが加えられる。
そして、決められた電圧または時間となったとき、スイッチ202、205を遮断状態にさせる。
【0007】
次に、二相目の(負相)波形の電気パルスを出力する場合には、スイッチ203、204を導通状態にさせることにより、出力電極206aにコンデンサ201の負極、出力電極206bにコンデンサ201の正極の電圧がかかり、これらの電極から生体(患者)207に対して、負相切り取り型指数関数的波形の電気パルスが加えられる。
そして、決められた電圧または時間となったとき、スイッチ203、204を遮断状態にさせる。
これにより、上記従来の二相型除細動器の出力回路から、図11の(a)に示すような切り取り型指数関数的な二相波形が得られる。
【0008】
また、図10の(b)は、2個のコンデンサにより位相を反転する機構を設けた例であり、電気エネルギーを蓄積するコンデンサ211、212と、スイッチ213、214と、出力電極215a、215bを有するものである。これは、米国特許第5,871,505号に開示されている技術である。
【0009】
この二相型除細動器において、一相目の(正相)波形の電気パルスを出力する場合には、スイッチ213を導通状態にさせ、スイッチ214を遮断状態にさせることにより、出力電極215aにコンデンサ211の正極、出力電極215bにコンデンサ211の負極の電圧がかかり、これらの電極から生体(患者)216(生体のインピーダンス216a)に対して、一相目の(正相)切り取り型指数関数的波形の電気パルスが加えられる。
そして、決められた電圧または時間となったとき、スイッチ213を遮断状態にさせる。
【0010】
次に、二相目の(負相)波形の電気パルスを出力する場合には、スイッチ214を導通状態にさせ、スイッチ213を遮断状態にさせることにより、出力電極215aにコンデンサ212の負極、出力電極215bにコンデンサ212の正極の電圧がかかり、これらの電極から生体(患者)216に対して、二相目の(負相)波形の電気パルスが加えられる。
これにより、上記従来の二相型除細動器の出力回路から、図11の(b)に示すような二相波形が得られる。
【0011】
米国特許第5,591,209号に開示された公知例は、体内式除細動器に対するものであり、一相目はエネルギー蓄積部(high voltage storage capacitor)に蓄積されたエネルギーを心臓に対して通電し、二相目はバッテリ等の低い電圧の電源(battery source)から直接エネルギーを通電する方法を示している。
【0012】
米国特許第5,350,403号(特開平6-47100号公報)に開示された出力エネルギーの小さい体内式除細動器の技術においては、充電コンデンサと電極の間に制御装置を設け回路を導通または遮断することにより、所定の電流経過特性を有する電気パルスを生体に印加している。
【0013】
米国特許第5,607,454号(特表平9-500309号)は、切り取り指数関数曲線を用いている。この方式をとるものの多くは、患者のインピーダンスにより一相目と二相目の波形の幅を変化させている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
単相型除細動器に比べて、従来の二相型除細動器は、例えば、図10の(a)の場合、スイッチが4個必要であり、また、図10の(b)の場合、電気エネルギー蓄積部(コンデンサ)が2個必要であり、単相型除細動器に比べて、素子数が多くなる。
【0015】
一般に、除細動器ではバッテリなどの低電圧の電源から、昇圧して高電圧を発生させるため、電気エネルギー蓄積部(コンデンサ)、スイッチ(半導体スイッチを複数段重ねて構成される)は、例え1個増えただけでも、装置が大型化、重量化するので、救急医療現場における可搬性が損なわれるなどの問題点が生じ、さらに、装置全体の価格も高くなってしまう。
【0016】
米国特許第5,607,454号(特表平9-500309号)にあるような従来の切り取り型指数関数的波形の出力方式では患者のインピーダンスがコンデンサ電圧の減衰に直接影響を及ぼし一義的に経時的な減衰率が決まってくるもであり、波形を形成する制御としては時間的にいつ波形出力を終えるか(TRUNCATED)程度しか動作することができない。
【0017】
しかも、体外式の除細動器では電気的な刺激パルスを生体の外部から与えるため、動作時の出力電極間にかかるインピーダンスは患者によっても異なり(個体差)、またその患者の身体的・生理的な特徴の違いにより大きな相違が生じる。
【0018】
また、次に挙げる文献1、2において、電気的な刺激パルスを与える時間は、ある所定の時間内でなければ効果的な除細動は行えないことが示唆されている。
文献1:Koning G, Schneider H, Hoelin AJ, et al. "Amplitude-duration relation for direct ventricular defibrillation with rectangular pulses." Medical & Biological Engineering 1975年;5月号:pp388-395
文献2:"Ventricular Defibrillation Using Biphasic Waveforms : The Importance of PhasicDuration "JACC 1989 Jan, 13:1 207-14
【0019】
したがって、この有効期間内に十分な電気エネルギーが供給できない場合、この期間を過ぎて電気パルスを与え続けても、除細動の効果が上がらないという問題が生じてくる。
このため、患者のインピーダンスが高い場合には、従来の切り取り型指数関数的波形の出力のみでは、電気エネルギーの患者への供給に時間がかかるため、除細動パルスをかけるのに有効な期間内に充分なエネルギーを供給しえず、やむを得ず除細動パルスの出力を終えてしまう仕様とならざるを得ないという問題があった。
【0020】
また、前述の米国特許第5,591,209号に開示された技術では、エネルギー蓄積部に蓄えられたエネルギーは一相目の波形のみに使用することとなる。従って、エネルギー蓄積部に蓄えられたエネルギーの一部は除細動に使用されないこととなる。
すなわち、このような波形の場合には、約40%の電圧が残存した状態で1相目を終了しているので、エネルギー蓄積部に蓄えられたエネルギーの全量の約16%は除細動に使用されていない計算となる。
【0021】
体外式除細動器においては通常、低電圧電源と生体(患者)を通る回路とを、電気的に絶縁することで安全性を確保する(例えば、二相目出力時に患者を絶縁する何らかの手段をとる)必要があるが、上記公知例には示されていない。
また、上記公知例の技術を、仮に、体外式除細動器に適用すると、エネルギー蓄積部にエネルギーを蓄えるための絶縁トランスとは別に二相目を出力するためにトランスなどによる絶縁回路が余分に必要となり、小型化という観点から体外式に適用するには好ましくない。
【0022】
さらに、二相目の電力源を直接的に電源装置(battery source)から取り出す方式であるため、生体(患者)に通電するパルスの瞬時最大電力が、この電源装置の最大電力で制限されることとなる。
このような方式を体外式除細動器に適用する場合には、体内式除細動器に比べて遙かに大きな瞬時電力を要求されるために、電源の容量を大きく設計しなければ有効な除細動パルスを出力できないこととなる。一般的に生体(患者)の抵抗値は25Ωから125Ωの範囲に個体差が広がっている。
例えば、二相目において300Vの電圧を生体(患者)に供給するためには、以下、数1に示される通りの電源容量Pが必要とされる
【0023】
【数1】
【0024】
上記のように、3600(Watt)という、非常に大きな電源容量が必要とされるため、電源容量という観点からも体外式の除細動には適用が困難であった。
また、二相目は電力制御を行うことはしていないので、有効時間内に必要なエネルギーが供給できるとは限らない。
【0025】
また前述の、米国特許第5,350,403号(特開平6-47100号公報)に開示された技術は、充電用のコンデンサと、電極との間に、回路を導通または遮断が可能な制御装置を設けて、制御する場合に得られる出力波形の最大電圧値は、制御装置により回路を連続して導通させた場合に得られるコンデンサ電圧を超える事ができない。
これは、出力を抑制する方向にのみ制御装置が動作するように構成されているためである。
【0026】
また、除細動を行う際、生体(患者)の抵抗が大きい場合には、充電用のコンデンサに蓄えられた電圧よりも高い電圧を患者に供給する事が望ましい場合がある。従来の技術においては、二相性除細動を行うためには追加的に2個の充電コンデンサを用意したり、4つのスイッチ(Hブリッジと称する)を用いて出力電圧の極性の切替をおこなう必要がある。
【0027】
本発明は、前記従来の技術の問題点に鑑みなされたものであって、上記問題点を解決し、心臓疾患における心臓の細動を除去するのに有効な電気的治療装置およびその電気エネルギー供給方法を提供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1記載の電気的治療装置は、
刺激パルスを発生するための電気エネルギーを蓄積する電気エネルギー蓄積部と、刺激パルスを生体に伝達するための出力電極と、刺激パルスの波形形状が少なくとも第一相波形と電圧の極性が反転した第二相波形とになるように制御して前記電気エネルギーを前記出力電極に出力する制御手段とを有する電気的治療装置であって、
前記電気エネルギー蓄積部と、前記出力電極を構成する第一の出力電極と、第二の出力電極との間に生体を介在して閉回路を形成可能な第1のスイッチ手段および第2のスイッチ手段と、
前記第二相波形の刺激パルスを発生させるための磁気エネルギーを蓄積するインダクタと、
前記第1のスイッチ手段を介して前記電気エネルギー蓄積部と前記インダクタとを閉回路に形成可能な第3のスイッチ手段とを備え、
前記第3のスイッチ手段を開き、前記第1のスイッチ手段および前記第2のスイッチ手段を閉じることにより、前記第一の出力電極および第二の出力電極間に前記第一相波形の電気エネルギーを出力し、
前記第2のスイッチ手段を開き、前記第3のスイッチ手段を閉じ、前記第1のスイッチ手段の開閉を繰り返すことにより、前記第一の出力電極および第二の出力電極間に前記第二相波形の電気エネルギーを出力するものであって、
前記第1のスイッチ手段を閉じることによって前記電気エネルギー蓄積部に蓄積されている電気エネルギーを前記インダクタに磁気エネルギーとして蓄積し、前記第1のスイッチ手段を開くことによって前記磁気エネルギーを電気エネルギーとして前記第一の出力電極および第二の出力電極間に出力し、
前記電気エネルギーの第二相波形の形状を前記電気エネルギー蓄積部の電圧に関わりなく設定可能に構成されている。
【0029】
請求項2記載の電気的治療装置は、請求項1に記載の電気的治療装置において、前記電気エネルギーの第二相波形で、前記電気エネルギー蓄積部の電圧に関わりなく任意の時間幅で必要な電気エネルギーを出力できるように構成されている。
【0030】
請求項3〜7に記載の電気的治療装置は、前記第二相波形の出力期間中、生体のインピーダンスの値によらず、出力電極から出力する電気エネルギーの電力が一定になるように制御する制御手段を有する(請求項3)。
さらに、
・前記制御手段は、電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて低下する電圧に関する値が、所定時間と、前記電圧に関する値との関数に相当して変化するように出力制御する(請求項4)。
・前記電圧に関する値は、電圧値、電圧微分値または電圧二回微分値である(請求項5)。
・前記制御手段は、電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて変化する電流に関する値が、所定時間と、前記電流に関する値との関数に相当して変化するように出力制御する(請求項6)。
・前記電流に関する値は、電流値、電流微分値または電流二回微分値である(請求項7)。
以上のように、電気エネルギー供給量に応じて変化するエネルギー蓄積部に関する電気的パラメータを制御することにより、供給エネルギーを制御可能にするものである。
【0031】
請求項8記載の電気的治療装置は、請求項2に記載の電気的治療装置において、生体パラメータを測定する生体パラメータ測定手段と、前記出力電極間に生じる電圧または前記出力電極に流れる電流を測定する出力電極パラメータ測定手段とを備え、前記生体パラメータ測定手段により前記第二相波形を出力する前に測定された生体パラメータと、前記出力電極パラメータ測定手段により前記第二相波形出力中に測定される前記出力電極間の電圧に関する値または前記出力電極に流れる電流に関する値とに基づいて、前記第二相波形の電気エネルギーの電力が生体のインピーダンスの値によらず一定になるように制御する制御手段を有する。
【0036】
請求項9記載の電気的治療装置は、請求項1または2に記載の電気的治療装置において、
電気エネルギー供給量に応じて変化する前記電気エネルギー蓄積部に関する電気的パラメータが予め設定された基準曲線に従って変化するように、前記第1のスイッチ手段をパルス幅変調制御により、連続的に切替動作をさせて、前記刺激パルスの波形を制御する。
【0037】
請求項10記載の電気的治療装置は、請求項1または2に記載の電気的治療装置において、
前記出力電極間の電圧に関する値または前記出力電極に流れる電流に関する値が、基準電圧に一致するように、前記第1のスイッチ手段をパルス幅変調制御により、連続的に切替動作をさせて、前記刺激パルスの波形を制御する。
【0038】
請求項11記載の電気的治療装置は、請求項1または2に記載の電気的治療装置において、
前記電気エネルギー蓄積部はコンデンサであって、前記制御手段は、前記インダクタ部に蓄積されたエネルギーを 前記出力電極に供給する際、その出力電圧の絶対値が前記コンデンサに蓄積された電圧の絶対値よりも高く制御可能である。
【0039】
請求項12記載の電気的治療装置は、請求項11に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、生体のインピーダンスの値に関わりなく、前記出力電極から出力する前記第二相波形の電気エネルギーの電力が一定になるように刺激パルスの波形形状を制御する。
【0040】
請求項13記載の電気的治療装置は、請求項11または12に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、刺激パルスの波形形状を所定の形状に形成するために基準曲線を保持する。
【0041】
請求項14記載の電気的治療装置は、請求項13に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、前記電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて低下する電圧に関する値と前記基準曲線との誤差に基づいて、前記第1のスイッチ手段の切替動作の制御を行う。
【0042】
請求項15記載の電気的治療装置は、請求項13に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、前記電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて変化する電流に関する値と前記基準曲線との誤差に基づいて、前記第1のスイッチ手段の切替動作の制御を行う。
【0043】
請求項16記載の電気的治療装置は、請求項1〜15のいずれか1項に記載の電気的治療装置において、前記電気エネルギー蓄積部を充電するための充電回路を有する。
【0044】
請求項17記載の電気的治療装置は、請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気的治療装置において、生体の外部から前記刺激パルスを与える体外式である。
【0045】
請求項18記載の電気的治療装置のエネルギー出力方法は、請求項1または2に記載の電気的治療装置において、電気エネルギー蓄積部に蓄積した電気エネルギーを、第一相波形と第二相波形とを用いて出力するときに、まず前記第一相波形で必要な電気エネルギーを消費し、次に残ったエネルギーから前記第二相波形で必要な電気エネルギーを一定時間内に出力する。
【0046】
請求項19に記載の電気的治療装置の電気エネルギー出力方法であって、前記電気エネルギー蓄積部に蓄積した電気エネルギーを、前記第一相波形 と前記第二相波形とを交互に複数回繰り返し出力して、多相性出力波形とする。
【0060】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の電気的治療装置の実施の各形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の実施の各形態では、第一相波形を正相、第二相波形を負相として説明を行うが、第一相波形を負相、第二相波形を正相としても良い。
【0061】
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係る第1の実施形態による電気的治療装置を示すブロック構成図である。
図1に示すように、この電気的治療装置100は、以下のように構成されている。
コンデンサ等を用いた電気エネルギー蓄積部104の正極がスイッチ101(第1のスイッチ手段)を通して、インダクタ105と接続され、さらに、このインダクタ105の反対側の端子より、スイッチ103(第3のスイッチ手段)を通して、電気エネルギー蓄積部104の負極に接続されている。また、インダクタ105の反対側の端子は、スイッチ102(第2のスイッチ手段)を通して、インダクタ110を介して、生体(患者)113(生体のインピーダンス113a)に電気的な刺激パルスを加えるための一方の出力電極112aに接続されている。
さらに、他方の出力電極112bは、電気エネルギー蓄積部104の負極に接続されている。
【0062】
また、スイッチ101とインダクタ110の間には、逆流防止のためのダイオード108、ダイオード109、がインダクタ110側をアノード、スイッチ101側をカソードとして直列に接続され、この2つのダイオード間、すなわち、ダイオード109のカソードと、インダクタ105とスイッチ102の間に、波形を平滑化するためのコンデンサ106及び抵抗107を挿入されている。
また、出力電極112a、112b間には、保護抵抗111が挿入されている。
【0063】
そして、電気エネルギー蓄積部104への充電は、充電回路115によって行われる。
なお、電気エネルギー蓄積部104の両極と充電回路115間には、それぞれ、逆流防止のためのダイオード117、ダイオード118が挿入されている。
また、電圧監視回路114が、電気エネルギー蓄積部104の両極に接続され、電気エネルギー蓄積部104に蓄積される電圧を監視しており、検出した電圧を伝達する電圧信号122が、マイクロプロセッサ116に対して接続されている。
【0064】
また、スイッチ101、102、103の開閉動作の制御は、それぞれスイッチ101のドライブ回路119、スイッチ102のドライブ回路120、スイッチ103のドライブ回路121により行われるように接続されており、これらドライブ回路119、120、121はマイクロプロセッサ116からの制御信号124、125、126により制御されている。また、マイクロプロセッサ116は、充電回路115の制御を制御信号123により行っている。
【0065】
なお好ましくは、スイッチ101(第1のスイッチ手段)、スイッチ102(第2のスイッチ手段)、スイッチ103(第3のスイッチ手段)は絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)からなる半導体スイッチで構成される。
【0066】
以下、第1の実施形態による電気的治療装置の電気的な刺激パルスの出力制御方法に関して説明する。
まず、電気エネルギー蓄積部104への電気エネルギーの充電動作について説明する(ステップ1−1〜ステップ1−7)。
【0067】
ステップ1−1: 充電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力される。
ステップ1−2: マイクロプロセッサ116は、スイッチ101、102、103が連続遮断状態になるように、各スイッチのドライブ回路119、120、121に対して制御信号124、125、126を出力する。
ステップ1−3: スイッチ101、102、103が連続遮断状態になる。
ステップ1−4: マイクロプロセッサ116は充電回路115に対して充電開始の制御信号123を出力する。
ステップ1−5: 充電回路115は電気エネルギー蓄積部104へのエネルギー充電を開始する。
ステップ1−6: マイクロプロセッサ116は電圧監視回路114からの電圧信号122を受信し、電圧監視回路114によって監視された電気エネルギー蓄積部104の電圧があらかじめ設定された電圧にまで上昇したとき、マイクロプロセッサ116は充電回路115に対して充電停止の制御信号123を出力する。
ステップ1−7: 充電回路115は電気エネルギー蓄積部104へのエネルギー充電を停止する。
【0068】
次に、電気エネルギー蓄積部104から生体(患者)113に電気的な刺激パルスを加えるための出力電極112a、112bへの電気エネルギーの出力動作について、正相波形出力時の動作を図2を用いて説明する(ステップ1−8〜ステップ1−14)。図2は、正相波形出力時の電流経路を説明する図である。
【0069】
ステップ1−8: 操作者による放電開始ボタン(図示しない)の押圧に基づ
いて、放電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力さ
れる。
ステップ1−9: スイッチ101、およびスイッチ102が連続導通状態、
スイッチ103が連続遮断状態になるように、マイクロプ
ロセッサ116が各スイッチドライブ回路119、120
、121に対して制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ1−10:スイッチ101、スイッチ102が連続導通状態、スイッ
チ103が連続遮断状態になる。
ステップ1−11:生体(患者)113には正の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ1−12:あらかじめ決められたプロトコルに従って、例えば電気エ
ネルギー蓄積部104の電圧が初期電圧から所定割合(例
えば37%)まで減衰した時点で、マイクロプロセッサ
116はスイッチ101、およびスイッチ102が連続遮
断状態、スイッチ103が連続導通状態になるように、各
スイッチドライブ回路119、120、121に対して制
御信号124、125、126を出力する。
ステップ1−13:スイッチ101、およびスイッチ102が連続遮断状態、
スイッチ103が連続導通状態になる。
ステップ1−14:生体(患者)113への電気エネルギー出力(正相波形出
力)が終了する。
【0070】
次に、電気エネルギー蓄積部104から生体(患者)113に電気的な刺激パルスを加えるための出力電極112a、112bへの電気エネルギーの出力動作について、負相波形出力時の動作を図3(a)、図4及び図3(b)を用いて説明する(ステップ1−15〜ステップ1−20)。
図3(a)は、負相波形出力時にスイッチ101が導通状態(1回目)の場合の電流経路を説明する図、図4は、負相波形出力時にスイッチ101が遮断状態の場合の電流経路を説明する図、図3(b)は、負相波形出力時にスイッチ101が導通状態(2回目以降)の場合の電流経路を説明する図である。
【0071】
図3(a)に示すように、負相波形出力時にスイッチ101(第1のスイッチ手段)が導通状態(1回目)の場合は、矢印の電流経路151に沿って電流が流れる。そして、生体を含まず装置内でインダクタ105とコンデンサ104とが閉回路を形成する。
このとき、電流経路151に電流が流れることにより、電気エネルギー蓄積部104の電気エネルギーが、インダクタ105に磁気エネルギーとして蓄積される。
この段階では生体(患者)113へ、電気エネルギーの出力はされない。
【0072】
図4に示すように、負相波形出力時にスイッチ101(第1のスイッチ手段)が遮断状態の場合は、矢印の電流経路153に沿って電流が流れる。
このとき、ダイオード108、および109が順バイアスにより導通状態となり、インダクタ105に蓄積された磁気エネルギーが、電気エネルギーとして取り出され、電流経路153に沿って電流が流れる。
よって、生体(患者)113へ、電気エネルギーの出力がされる状態となる。
また、同時にコンデンサ106にも電流が流れ込むことでコンデンサ106に電気エネルギーが蓄積される。
【0073】
図3(b)に示すように、負相波形出力時にスイッチ101(第1のスイッチ手段)が導通状態(2回目以降)の場合は、矢印の電流経路151、152に沿って電流が流れる。
このとき、ダイオード108は逆バイアスされて遮断状態となり、ダイオード109は順バイアスによって導通状態を保つ。
従って、コンデンサ106に蓄積されていた電気エネルギーが取り出され、電流経路152に沿って電流が流れる。
よって、生体(患者)113へ、電気エネルギーの出力がされる状態が維持される。
また同時に、電流経路151に電流が流れることで、電気エネルギー蓄積部104の電気エネルギーが、インダクタ105に磁気エネルギーとして蓄積される。
【0074】
ステップ1−15:マイクロプロセッサ116は、予め設定された後述する基準曲線を
用いて意図した出力波形が出力できるように、スイッチ1
01の導通/遮断を制御する制御信号をスイッチ101の
ドライブ回路119に出力する。
ステップ1−16:スイッチ101が導通/遮断を繰り返すスイッチング動作
を行う。
ステップ1−17:生体(患者)113には負の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ1−18:あらかじめ決められたプロトコルに従って、マイクロプロ
セッサ116はスイッチ101が連続遮断状態になるよう
にスイッチ101のドライブ回路119に制御信号124
を出力する。
ステップ1−19:スイッチ101が連続遮断状態になる。
ステップ1−20:生体(患者)113へのエネルギー出力(負相波形出力)
が終了する。
ここでのステップで、スイッチ101の導通/遮断を繰り返すスイッチング動作により、回路の電流経路状態は、図3(a)、図4、図3(b)と続き、以降図4、図3(b)の状態を繰り返すことになる。
【0075】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係る電気的治療装置を示すブロック構成図である。
図5に示すように、この電気的治療装置130は、以下のように構成されている。前述した図1の各部と共通する部分には同一の符号を付して示し、その説明を省略する。
第2の実施形態による電気的治療装置は、前述の第1の実施形態による電気的治療装置に、以下の構成を加えたものである。
電気エネルギー蓄積部104の正極とスイッチ101の間に、電流監視回路131を挿入し、さらに、この電流監視回路131とスイッチ101の間と、インダクタ105とスイッチ102の間を接続するように、抵抗132が挿入されている。
【0076】
また、マイクロプロセッサ116は、少なくとも、基準曲線のデータが予め記憶されたROM141、このROMデータをアナログデータに変換するディジタル/アナログ変換回路140を有している。
さらに、ゲイン切り替え回路133、誤差増幅器142を内蔵するパルス幅変調回路143を有しており、このパルス幅変調回路143は、ディジタル/アナログ変換回路140からの電圧信号138(基準曲線の電圧)と、ゲイン切り替え回路133からの電圧信号137とが入力されるように接続されている。
また、ゲイン切り替え回路133は、マイクロプロセッサ116からの制御信号136と、電流監視回路131からの信号135と、電圧監視回路114からの信号134が入力するように接続されている。
【0077】
本実施の形態に係る電気的治療装置の電気エネルギー供給方法につ いて、以下詳細に説明する。本方法は、電気エネルギー蓄積部104から取り出すエネルギー量に応じて低下する電圧が、あらかじめ決められた時間と電圧の関数に従って低減するように、出力制御する電気エネルギー供給方法である(ステップ2−1〜ステップ2−15)。
【0078】
ステップ2−1: 電気エネルギー蓄積部104への充電が完了する。このと
き、スイッチ101、102、103は遮断状態にある。
ステップ2−2: 操作者による放電開始ボタン(図示しない)の押圧に基づ
いて、放電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力さ
れる。
ステップ2−3: マイクロプロセッサ116は、このときの電気エネルギー
蓄積部104の電圧から、1相目(正相)の放電終止電圧
(V1t)と、2相目(負相)の放電終止電圧(V2t)
を計算する。
ステップ2−4: マイクロプロセッサ116は、算出されたV1tの値に従
って、ゲイン切り換え回路133にゲイン切り換えの制御
信号136を出力する。
ステップ2−5: スイッチ101、およびスイッチ102が連続導通状態、
スイッチ103が連続遮断状態になるように、マイクロプ
ロセッサ116が各スイッチドライブ回路119、120
、121に対して制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ2−6: スイッチ101、スイッチ102が連続導通状態、スイッ
チ103が連続遮断状態になる。
ステップ2−7: 生体(患者)には正の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ2−8: 電気エネルギー蓄積部104の電圧がV1tまで減少し
たとき、マイクロプロセッサ116は、スイッチ101、
スイッチ102が連続遮断状態、スイッチ103が連続導
通状態になるように、各スイッチのドライブ回路119、
120、121に制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ2−9: スイッチ101、スイッチ102が連続遮断状態、スイッ
チ103が連続導通状態になる。
ステップ2−10:マイクロプロセッサ116は、あらかじめROM141に
記憶されている放電電圧基準曲線の電圧信号138を出力
する。
ステップ2−11:パルス幅変調回路143の誤差増幅器142は、基準曲線
の電圧信号138と電気エネルギー蓄積部104の電圧信
号137を比較し、電気エネルギー蓄積部104の電圧が
基準曲線と等しくなるようにスイッチ101のオン(導通)
時間の割合をコントロールする信号139を、スイッチ1
01のドライブ回路119に出力する。
ステップ2−12:スイッチ101が、ステップ2−11で決定されるオン
(導通)時間の割合でスイッチング動作を行う。
ステップ2−13:生体(患者)113には負の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ2−14:電気エネルギー蓄積部104の電圧が、2相目(負相)
終止電圧V2tまで低下したとき、マイクロプロセッサ1
16は、スイッチ101が連続遮断状態になるように、ス
イッチ101のドライブ回路119に制御信号124を出
力する。
ステップ2−15:生体(患者)113へのエネルギー出力が終了する。
【0079】
(第3の実施形態)本実施の形態に係る電気的治療装置は、その構成は図5に示した前述の第2の実施形態と同一であり、その電気エネルギー供給方法のみが異なるものであり、以下その方法を詳細に説明する。この電気エネルギー供給方 法は、電気エネルギー蓄積部104から取り出すエネルギー量に応じて増加する電流が、あらかじめ決められた時間と電流の関数に従って増加するように、出 力制御する方法である(ステップ3−1〜ステップ3−15)。
【0080】
ステップ3−1: 電気エネルギー蓄積部104への充電が完了する。このと
き、スイッチ101、102、103は遮断状態にある。
ステップ3−2: 操作者による放電開始ボタン(図示しない)の押圧に基づ
いて、放電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力さ
れる。
ステップ3−3: マイクロプロセッサ116は、このときの電気エネルギー
蓄積部104の電圧から、1相目(正相)の放電終止電
圧V1tと、2相目(負相)の放電終止電圧V2tを計算
する。
ステップ3−4: マイクロプロセッサ116は、算出されたV1tの値に従
って、ゲイン切り換え回路133にゲイン切り換えの制御
信号136を出力する。
ステップ3−5: スイッチ101、およびスイッチ102が連続導通状態、
スイッチ103が連続遮断状態になるように、マイクロプ
ロセッサが各スイッチドライブ回路119、120、12
1に対して制御信号124、125、126を出力する。
ステップ3−6: スイッチ101、スイッチ102が連続導通状態、スイッ
チ103が連続遮断状態になる。
ステップ3−7: 生体(患者)113には正の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ3−8: 電気エネルギー蓄積部104の電圧がV1tまで減少し
たとき、マイクロプロセッサ116は、スイッチ101、
スイッチ102が連続遮断状態、スイッチ103が連続導
通状態になるように、各スイッチドライブ回路119、1
20、121に制御信号124、125、126を出力す
る。
ステップ3−9: スイッチ101、スイッチ102が連続遮断状態、スイッ
チ103が連続導通状態になる。
ステップ3−10:マイクロプロセッサ116は、あらかじめROM141に
記憶されている放電電流基準曲線の電圧を出力する。
ステップ3−11:パルス幅変調回路143の誤差増幅器142は、基準
曲線の電圧と電気エネルギー蓄積部104の電圧を比較
し、電気エネルギー蓄積部104の電圧が基準曲線と等
しくなるようにスイッチ101のオン(導通)時間の割合
をコントロールする信号139を、スイッチ101のドラ
イブ回路119に出力する。
ステップ3−12:スイッチ101が、ステップ3−11で決定されるオン
(導通)時間の割合でスイッチング動作を行う。
ステップ3−13:生体(患者)113には負の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ3−14:電気エネルギー蓄積部104の電圧が、2相目(負相)
終止電圧V2tまで低下したとき、マイクロプロセッサ1
16は、スイッチ101が連続遮断状態になるように、ス
イッチ101のドライブ回路119に制御信号を出力す
る。
ステップ3−15:生体(患者)113へのエネルギー出力が終了する。
【0081】
上記第1〜3の実施の形態における電気的治療装置の出力波形の例を図6の(a)〜(d)に図示する。
【0082】
(第4〜6の実施形態の共通の構成)
図7は、本発明の第4〜6の実施形態に係る電気的治療装置150を示すブロック構成図である。図7に示すように、この電気的治療装置150は、前述の第2の実施形態による電気的治療装置に、負荷電圧監視回路161、負荷電流監視回路162、さらに、パルス幅変調回路143内の基準電圧発生回路164を加えたものである。
前述した図1または図5の各部と共通する部分には同一の符号を付して示し、その説明を省略する。
【0083】
また、図8は、電圧および電流の好ましい基準曲線の例、図9は、生体(患者)のインピーダンスと出力電圧波形の関係の一例を示す図である。
図8に示すように、基準曲線としては、電圧値Vcap、電圧微分値d/dt(Vcap)、電圧二回微分値d/dt(d/dtVcap)、電流値Icap、電流微分値d/dt(Icap)、電流二回微分値d/dt(d/dtIcap)を使用することが好ましい。
【0084】
図9において、Rpは生体(患者)のインピーダンスであり、標準のインピーダンスrと、小さいインピーダンス(1/2)×rと、大きいインピーダンス(5/2)×rの場合の出力電圧波形(第一相および第二相)を示す。
図9に示すように、生体(患者)のインピーダンスが大きいほど、第一相の切り取り型指数関数波形の期間が長くなっている。
また、電圧値Vcapの基準曲線に基づいて第二相波形の電力制御を行えば、生体(患者)のインピーダンスによらず、所定時間内に必要なエネルギーを供給することができる。つまり、図に示すように、出力される出力電圧の振幅は生体(患者)のインピーダンスが大きいほど高くなるため、出力電力波形はRpによらず一定となる。
【0085】
(第4の実施形態)
本実施の形態に係る電気的治療装置は、生体パラメータを測定する生体パラメータ測定手段と、出力電極間に生じる電圧または出力電極に流れる電流を測定する出力電極パラメータ測定手段(負荷電圧監視回路161、負荷電流監視回路162)とを有している。
そして、この生体パラメータ測定手段により、第二相波形を出力する前に測定された生体パラメータと、出力電極パラメータ測定手段と、により第二相波形出力中に測定される出力電極間の電圧に関する値、または、前記出力電極に流れる電流に関する値に基づいて、電気エネルギーの電力が生体パラメータの値によらず一定になるように制御する制御手段を有するものである。
【0086】
つまり、本実施形態は、第二相(負相)出力前に測定された生体(患者)インピーダンスと第二相(負相)出力中の生体(患者)電圧(または電流)を用いるものである。
そして、生体パラメータ測定手段として、第一相出力中の電圧監視回路114からの出力信号122の変化から生体(患者)インピーダンスを算出する場合である。
【0087】
以下、図7〜図9を用いて、本実施の形態に係る電気的治療装置による生体パラメータ測定方法と、生体(患者)への電気エネルギー供給方法を詳細に説明する。
【0088】
ステップ4−1: 電気エネルギー蓄積部104への充電が完了する。このと
き、スイッチ101、102、103は遮断状態にある。
ステップ4−2: 操作者による放電開始ボタン(図示しない)の押圧に基づ
いて、放電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力さ
れる。
ステップ4−3: マイクロプロセッサ116は、このときの電気エネルギー
蓄積部104の電圧から、一相目(正相)の放電終止電圧
V1tと、二相目(負相)の放電終止電圧V2t
を計算する。
ステップ4−5: スイッチ101、およびスイッチ102が連続導通状態、
スイッチ103が連続遮断状態になるように、マイクロプ
ロセッサ116が各スイッチドライブ回路119、120
、121に対して制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ4−6: スイッチ101、スイッチ102が連続導通状態、スイッ
チ103が連続遮断状態になる。
ステップ4−7: 生体(患者)113には正の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
マイクロプロセッサ116は第一相波形出力中の電圧監視
回路114からの出力信号122を入力し、その時間変化
の割合から生体(患者)113のインピーダンスを算出す
る(生体パラメータの測定に相当)。
ステップ4−8: 電気エネルギー蓄積部104の電圧がV1tまで減少し
たとき、マイクロプロセッサ116は、スイッチ101、
スイッチ102が連続遮断状態、スイッチ103が連続導
通状態になるように、各スイッチのドライブ回路119、
120、121に制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ4−9: スイッチ101、スイッチ102が連続遮断状態、スイッ
チ103が連続導通状態になる。
マイクロプロセッサ116は、算出された生体(患者)の
インピーダンスと、電圧監視回路114によって監視され
、出力される第一相(正相)の出力開始時の電気エネルギ
ー蓄積部104の電圧とによって決定されるゲイン切り換
え信号136を、ゲイン切り換え回路133に出力する。
ステップ4−11:パルス幅変調回路143の誤差増幅器142は、ゲイン切
り換えされた生体(患者)の負荷電圧監視回路161の出
力信号173(出力電極間の電圧に関する値に相当)また
はゲイン切り換えされた生体(患者)の負荷電流監視回路
162の出力信号174(出力電極に流れる電流に関する
値に相当)によるゲイン切り換え回路133の出力信号1
37と、基準電圧発生回路164からの一定の出力電圧と
を比較することにより、ゲイン切り換え回路133の出力
信号137が、基準電圧発生回路164からの一定の出力
電圧と等しくなるようにスイッチ101のオン(導通)時間
の割合をコントロールする信号139を、スイッチ101
のドライブ回路119に出力する。
ステップ4−12:スイッチ101が、ステップ4−11で決定されるオン
(導通)時間の割合でスイッチング動作を行う。
ステップ4−13:生体(患者)113には負の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ4−14:電気エネルギー蓄積部104の電圧が、二相目(負相)放
電終止電圧V2tまで低下したとき、マイクロプロセッサ
116は、スイッチ101が連続遮断状態になるように、
スイッチ101のドライブ回路119に制御信号124を
出力する。
ステップ4−15:生体(患者)113へのエネルギー出力が終了する。
【0089】
本実施形態において、基準電圧発生回路164からの一定の出力電圧は、生体(患者)113のインピーダンスや、生体(患者)113に供給するエネルギーの大小によらず常に一定である。
【0090】
(第5の実施形態)
本実施の形態に係る電気的治療装置は、生体パラメータを測定する生体パラメータ測定手段と、出力電極間に生じる電圧または出力電極に流れる電流を測定する出力電極パラメータ測定手段(負荷電圧監視回路161、負荷電流監視回路162)とを有するものである。
そして、本実施形態の制御手段は、生体パラメータ測定手段により第二相波形を出力する前に測定された生体パラメータと、出力電極パラメータ測定手段と、により第二相波形出力中に測定される出力電極間の電圧に関する値または出力電極に流れる電流に関する値に基づいて、電気エネルギーの電力が生体パラメータの値によらず一定になるように制御する。
【0091】
つまり、この制御手段は、第二相(負相)出力前に測定された生体(患者)のインピーダンスと第二相(負相)出力中の生体(患者)の電圧(または電流)を用いる制御方法であり、生体パラメータ測定手段は、高周波微弱電流を用いて生体(患者)のインピーダンスを算出する場合である。
【0092】
以下、図7〜図9を用いて、本実施の形態に係る電気的治療装置による生体パラメータ測定方法と、生体(患者)への電気エネルギー供給方法を詳細に説明する。
【0093】
ステップ5−1: 電気エネルギー蓄積部104への充電が完了する。このと
き、スイッチ101、102、103は遮断状態にある。
高周波微弱電流回路163が電極112a、112bを介
して、生体(患者)113に高周波微弱電流を供給し、か
つ供給した高周波微弱電流に対する生体(患者)113
からのフィードバック信号を検出、加工し、加工された信
号175をマイクロプロセッサ116に出力する。
ステップ5−2: 操作者による放電開始ボタン(図示しない)の押圧に基づ
いて、放電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力さ
れる。マイクロプロセッサ116は、高周波微弱電流回路
163からの出力信号175から、生体(患者)のインピ
ーダンスを算出する(生体パラメータ測定手段に相当)。
ステップ5−3: マイクロプロセッサ116は、このときの電気エネルギー
蓄積部104の電圧から、一相目(正相)の放電終止電圧
V1tと、二相目(負相)の放電終止電圧V2tを計算
する。
ステップ5−5: スイッチ101、およびスイッチ102が連続導通状態、
スイッチ103が連続遮断状態になるように、マイクロプ
ロセッサ116が各スイッチドライブ回路119、120
、121に対して制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ5−6: スイッチ101、スイッチ102が連続導通状態、スイッ
チ103が連続遮断状態になる。
ステップ5−7: 生体(患者)113には正の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ5−8: 電気エネルギー蓄積部104の電圧がV1tまで減少し
たとき、マイクロプロセッサ116は、スイッチ101、
スイッチ102が連続遮断状態、スイッチ103が連続導
通状態になるように、各スイッチのドライブ回路119、
120、121に制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ5−9: スイッチ101、スイッチ102が連続遮断状態、スイッ
チ103が連続導通状態になる。
マイクロプロセッサ116は、算出された生体(患者)1
13のインピーダンスと、電圧監視回路114によって監
視され、出力される第一相の出力開始時の電気エネルギー
蓄積部104の電圧によって決定されるゲイン切り換え信
号136を、ゲイン切り換え回路133に出力する。
ステップ5−11:パルス幅変調回路143の誤差増幅器142は、ゲイン切
り換えされた生体(患者)の負荷電圧監視回路161の出
力信号173(出力電極間の電圧に関する値に相当)また
はゲイン切り換えされた生体(患者)の負荷電流監視回路
162の出力信号174(出力電極に流れる電流に関する
値に相当)によるゲイン切り換え回路133の出力信号1
37と、基準電圧発生回路164からの一定の出力電圧と
を比較することにより、ゲイン切り換え回路133の出力
信号137が、基準電圧発生回路164からの一定の出力
電圧と等しくなるようにスイッチ101のオン(導通)時間
の割合をコントロールする信号139を、スイッチ101
のドライブ回路119に出力する。
ステップ5−12:スイッチ101が、ステップ5−11で決定されるオン
(導通)時間の割合でスイッチング動作を行う。
ステップ5−13:生体(患者)113には負の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ5−14:電気エネルギー蓄積部104の電圧が、二相目(負相)放
電終止電圧V2tまで低下したとき、マイクロプロセッサ
116は、スイッチ101が連続遮断状態になるように、
スイッチ101のドライブ回路119に制御信号124を
出力する。
ステップ5−15:生体(患者)113へのエネルギー出力が終了する。
【0094】
(第6の実施形態)
本実施の形態に係る電気的治療装置は、生体パラメータを測定する生体パラメータ測定手段と、出力電極間に生じる電圧または出力電極に流れる電流を測定する出力電極パラメータ測定手段(負荷電圧監視回路161、負荷電流監視回路162)とを有するものである。
そして、本実施の形態の制御手段は、生体パラメータ測定手段により第二相波形を出力する前に測定された生体パラメータと、出力電極パラメータ測定手段とにより、第二相波形出力中に測定される出力電極間の電圧に関する値、または、出力電極に流れる電流に関する値に基づいて、スイッチの切替動作の制御を行うものである。
【0095】
つまり、その制御方法は、第二相(負相)出力前に測定された生体(患者)インピーダンスと第二相(負相)出力中の生体(患者)電圧(または電流)を用いる制御方法であり、生体パラメータ測定手段は、生体(患者)電圧および生体(患者)電流を用いて生体(患者)インピーダンスを算出する場合である。
以下、図7〜図9を用いて、本実施の形態に係る電気的治療装置による生体パラメータ測定方法と、生体(患者)への電気エネルギー供給方法を詳細に説明する。
【0096】
ステップ6−1: 電気エネルギー蓄積部104への充電が完了する。このと
き、スイッチ101、102、103は遮断状態にある。
ステップ6−2: 操作者による放電開始ボタン(図示しない)の押圧に基づ
いて、放電開始命令がマイクロプロセッサ116に入力さ
れる。
ステップ6−3: マイクロプロセッサ116は、このときの電気エネルギー
蓄積部104の電圧から、一相目(正相)の放電終止電
圧(V1t)と、二相目(負相)の放電終止電圧(V2t
)を計算する。
ステップ6−5: スイッチ101、およびスイッチ102が連続導通状態、
スイッチ103が連続遮断状態になるように、マイクロプ
ロセッサ116が各スイッチドライブ回路119、120
、121に対して制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ6−6: スイッチ101、スイッチ102が連続導通状態、スイッ
チ103が連続遮断状態になる。
ステップ6−7: 生体(患者)113には正の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
マイクロプロセッサ116は第一相出力中の生体(患者)
の負荷電圧監視回路161からの出力信号171と生体
(患者)の負荷電流監視回路162からの出力信号172を
入力し、これらの信号を用いて生体(患者)113のイン
ピーダンスを算出する(生体パラメータの測定に相当)。
ステップ6−8: 電気エネルギー蓄積部104の電圧がV1tまで減少し
たとき、マイクロプロセッサ116は、スイッチ101、
スイッチ102が連続遮断状態、スイッチ103が連続導
通状態になるように、各スイッチのドライブ回路119、
120、121に制御信号124、125、126を出力
する。
ステップ6−9: スイッチ101、スイッチ102が連続遮断状態、スイッ
チ103が連続導通状態になる。
マイクロプロセッサ116は、算出された生体(患者)の
インピーダンスと、電圧監視回路114によって監視され
、出力される第一相の出力開始時の電気エネルギー蓄積部
104の電圧とによって決定されるゲイン切り換え信号
136を、ゲイン切り換え回路133に出力する。
ステップ6−10:パルス幅変調回路143の誤差増幅器142は、ゲイン切
り換えされた生体(患者)の負荷電圧監視回路161の出
力信号173(出力電極間の電圧に関する値に相当)また
はゲイン切り換えされた生体(患者)の負荷電流監視回路
164(出力電極に流れる電流に関する値に相当)による
ゲイン切り換え回路133の出力信号137と、基準電圧
発生回路164からの一定の出力電圧とを比較することに
より、ゲイン切り換え回路133の出力信号137が、基
準電圧発生回路164からの一定の出力電圧と等しくなる
ようにスイッチ101のオン(導通)時間の割合をコントロ
ールする信号139を、スイッチ101のドライブ回路1
19に出力する。
ステップ6−11:スイッチ101が、ステップ2−11で決定されるオン
(導通)時間の割合でスイッチング動作を行う。
ステップ6−12:生体(患者)113には負の極性で電気エネルギーが供給され、
電気エネルギー蓄積部104の電圧が減少する。
ステップ6−13:電気エネルギー蓄積部104の電圧が、二相目(負相)放電
終止電圧V2tまで低下したとき、マイクロプロセッサ1
16は、スイッチ101が連続遮断状態になるように、ス
イッチ101のドライブ回路119に制御信号124を出
力する。
ステップ6−14:生体(患者)113へのエネルギー出力が終了する。
【0097】
本実施形態においては、他の実施形態で使う基準曲線と同じものは使用しない。代わりに、生体(患者)のインピーダンスや供給するエネルギーによらない基準電圧を用いる。
また、生体(患者)のインピーダンスと供給するエネルギーによって、基準電圧の比較対象(生体(患者)の電圧または生体(患者)の電流)のゲインを設定する。
【0098】
なお、上記第1〜6の実施形態いずれも、電気エネルギー蓄積部104に蓄積した電気エネルギーを、生体(患者)113に対して第一相(正相)波形と第二相(負相)波形とを用いて電気エネルギーを供給するときに、まず第一相(正相)波形で必要な電気エネルギーを消費し、次に残ったエネルギーから第二相(負相)波形で必要な電気エネルギーを一定時間内に出力するようにすることができ、さらに、電気エネルギー蓄積部に蓄積した電気エネルギーを、生体(患者)113に対して第一相(正相)波形と第二相(負相)波形とを、交互に複数回繰り返して加える多相波形も容易に実現できる(図6の(d)の波形)ものである。
【0099】
また、上述した実施形態では、第一相では切り取り型指数関数波形、第二相では、基準曲線に基づく電力制御波形を出力したものであるが、このかわり第一相で先に電力制御波形を、第二相で切り取り型指数関数波形を出力させても良い。
多相波形を出力する場合、第三相以降を切り取り型指数関数的波形を出力するか電力制御波形を出力するか適宜選択させることもできる。
【0100】
また、上記各実施形態で述べた生体(患者)に対して与える刺激パルスは、心臓疾患における心臓の細動を除去するのに適したものであるが、高電圧の電気的な刺激パルスを必要とする他の治療においても、本発明の電気的治療装置は応用できるものである。
【0101】
【発明の効果】
以上詳述したとおり、請求項1記載の電気的治療装置によれば、刺激パルスを発生するための電気エネルギー蓄積部と、刺激パルスを生体に伝達するための出力電極とを有しており、前記出力電極に出力される電圧の極性を反転するように構成され、前記出力電極から少なくとも電気エネルギーの第一相波形と第二相波形とを出力し、該電気エネルギーの第二相波形の形状を制御可能に構成されたことで、二相目(負相)開始時の電気エネルギー蓄積部の電圧(V1t)によらず、二相目(負相)の出力波形を自由に設定できる。すなわち、二相目(負相)出力電圧(V1tよりも高い電圧も出力可能)、出力電流、出力電力が自由に設定できるものであり、さらに、任意の時間内に必要とされる電気エネルギーを供給することが可能な電気的治療装置が提供できる。
【0102】
請求項2記載の電気的治療装置によれば、刺激パルスを発生するための電気エネルギー蓄積部と、刺激パルスを生体に伝達するための出力電極とを有しており、前記出力電極に出力される電圧の極性を反転するように構成され、前記出力電極から少なくとも電気エネルギーの第一相波形と第二相波形とを出力し、出力する該電気エネルギーの第二相波形で、必要な電気エネルギーを一定時間内に出力するように構成されたことで、患者のインピーダンスによらず除細動に最適な時間内に一定の電気エネルギーの第二相(負相)波形を生体(患者)に対して供給することができ、除細動の成功率が高い電気的治療装置が提供できる。
【0103】
請求項3〜7に記載の電気的治療装置によれば、電気エネルギー供給量に応じて変化するエネルギー蓄積部に関する電気的パラメータを制御することにより、供給エネルギーを制御可能できる。
【0104】
請求項8に記載の電気的治療装置によれば、第二相波形出力前の生体パラメータと第二相波形出力中の出力電極における電気的パラメータに基づいて、出力エネルギーの電力を制御することを可能にできる。
【0111】
また、本発明の電気的治療装置によれば、エネルギー供給量に応じて変化するエネルギー蓄積部に関する電気的パラメータを制御することにより供給エネルギーを制御可能にするものである。
【0112】
また、本発明の電気的治療装置によれば、第二相波形出力前の生体パラメータと、第二相波形出力中の出力電極とにおける電気的パラメータに基づいて、出力エネルギーの電力を制御することを可能ならしめるものである。
【0113】
請求項9記載の電気的治療装置によれば、電気回路内のスイッチをパルス幅変調方式により連続的に切り替え動作させることにより、必要なエネルギーを供給するように電力制御を可能にするものである。
【0114】
また、本発明の電気的治療装置によれば、保持する基準曲線に基づいて制御することにより所定の形状の刺激パルスを供給可能にならしめるものである。
【0115】
また、本発明の電気的治療装置によれば、エネルギー供給量に応じて変化するエネルギー蓄積部に関する電気的パラメータを基準曲線に基づいて制御することにより供給エネルギーを制御可能にするものである。
【0116】
また、本発明の電気的治療装置によれば、生体インピーダンスが低くとも高くともその値にかかわらず、電力が一定になるように制御することで、有効なエネルギー量を有する刺激パルスを供給することができる。
【0117】
また、本発明の電気的治療装置によれば、第二相波形前の生体パラメータと第二相波形出力中の出力電極における電気的パラメータに基づいて、出力エネルギーの電力を制御することを可能ならしめるものである。
【0118】
また、本発明の電気的治療装置によれば、生体のインピーダンスが低くとも高くともその値にかかわらず、電力が一定になるように制御することで、有効なエネルギー量を有する刺激パルスを供給することができる。
【0119】
本発明の電気的治療装置によれば、電気エネルギーがインダクタに付与されるように構成されているので、刺激パルスの波形形状を高い自由度をもって制御可能になる。
【0120】
本発明の電気的治療装置によれば、電気エネルギー蓄積部に蓄積されたエネルギーのうち所定のエネルギー量をインダクタに供給可能になる。
【0121】
請求項11に記載の電気的治療装置によれば、エネルギーをインダクタに付与させて制御することで、インピーダンスの高い生体(患者)であっても必要に応じて、電気エネルギー蓄積部であるコンデンサの電圧値よりも高くしつつエネルギーを供給可能になる。
【0122】
本発明の電気的治療装置によれば、スイッチング制御を行うことにより、コンデンサに蓄積されたエネルギをインダクタに一旦付与したうえで出力電極に供給できるようになる。
【0123】
また、本発明の電気的治療装置によれば、スイッチング制御をパルス幅変調制御することにより電力を制御可能になる。
【0124】
請求項12に記載の電気的治療装置によれば、生体のインピーダンスが低くとも高くともその値にかかわらず、電力が一定になるように制御することで、有効なエネルギー量を有する刺激パルスを供給することができる。
【0125】
請求項13に記載の電気的治療装置によれば、保持する基準曲線に基づいて制御することにより所定の形状の刺激パルスを供給可能になる。
【0126】
請求項14,15に記載の電気的治療装置によれば、エネルギー供給量に応じて変化するエネルギー蓄積部に関する電気的パラメータを基準曲線に基づいて制御することにより供給エネルギーを制御可能になる。
【0127】
請求項16に記載の電気的治療装置によれば、充電回路を有することにより、エネルギーが使用により消費された場合、再度装置が利用できるようにするものである。
【0128】
本発明の電気的治療装置によれば、二相の電気的な刺激パルス波形を自在に出すことができ、従来の問題点を解決し、心臓疾患における心臓の細動を除去するのに有効な電気的治療装置を提供できる。
【0129】
請求項17に記載の電気的治療装置によれば、生体(患者)の外部から前記刺激パルスを与える体外式であることで、同じ装置を異なる生体(患者)に対して利用することができる。
【0130】
請求項18に記載の電気的治療装置の電気エネルギー供給方法によれば、前記電気エネルギー蓄積部に蓄積した電気エネルギーを、生体(患者)に対して第一相波 形と第二相波形とを用いて前記電気エネルギーを供給するときに、まず第一相波形で必要な電気エネルギーを消費し、次に残ったエネルギーから第二相波形で必 要な電気エネルギーを一定時間内に出力するようにすることで、患者のインピーダンスによらず除細動に最適な時間内に一定の電気エネルギーの第二相波形を患 者に対して供給することができる。
【0131】
請求項19に記載の電気的治療装置の電気エネルギー供給方法によれば、前記電気エネルギー蓄積部に蓄 積した電気エネルギーを、生体に対して第一相波形と第二相波形とを、交互に複数回繰り返して加える(多相性出力波形)ときに、第二相波形の形状を生体(患 者)のインピーダンスによらず、自由に形成することで、より効果的な除細動を行える可能性がある。
【0132】
本発明に示す電気的治療装置では、通電完了時点に於いてエネルギー蓄積部に蓄えられたエネルギーの98%以上を出力することができ、エネルギーの利用効率が非常に高く装置の小型軽量化に有利である。
また、エネルギー蓄積部に蓄えられたエネルギーを使用するので、二相目の出力の為に個別に電気的な絶縁を行ってエネルギーを伝達する必要がない。
さらに、電源としての瞬時最大電力はエネルギー蓄積部に使用するコンデンサの内部抵抗によって決まるので、大きな電力の電源を用意する必要がなく、小型軽量の実現が可能である。
【0133】
本発明の電気的治療装置は、第二相波形を出力するために、一旦エネルギーを蓄積する手段として、インダクタ105を用いており(磁気エネルギーとして蓄積する)、充電用のコンデンサ(エネルギー蓄積部104)の電圧より高い電圧であっても、低い電圧であっても出力することが可能である。
この本発明の特徴は、特に体外式除細動器に有効である。これは、体外式除細動器を適用する生体(患者)の抵抗が、個々の患者の身体的特徴の差により、大きなばらつきがあるためである。
【0134】
本発明の電気的治療装置は、二相性波形を1つのコンデンサで出力可能であり、追加的な回路要素(Hブリッジのスイッチ)も不要であるので、小型かつ軽量化が可能である。さらに、電力制御によって第二相目の電圧を生体(患者)の抵抗の個体差を考慮した最適な値に設定可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態に係る電気的治療装置を示すブロック構成図である。
【図2】 正相波形出力時の電流経路を説明する図である。
【図3】 負相波形出力時に第1のスイッチ手段が導通状態の場合の電流経路を説明する図である。
【図4】 負相波形出力時に第1のスイッチ手段が遮断状態の場合の電流経路を説明する図である。
【図5】 本発明の第2及び第3の実施形態に係る電気的治療装置を示すブロック構成図である。
【図6】 本発明の第1〜3の実施形態に係る電気的治療装置の出力波形を説明するための図である。
【図7】 本発明の第4〜6の実施形態に係る電気的治療装置を示すブロック構成図である。
【図8】 本発明の第4〜6の実施形態に係る電圧および電流の好ましい基準曲線の例を示す図である。
【図9】 本発明の第4〜6の実施形態に係る生体(患者)のインピーダンスと出力電圧波形の関係の一例を示す図である。
【図10】 従来の二相型除細動器の出力回路を説明するための図である。
【図11】 従来の二相型除細動器の出力波形を説明するための図である。
Claims (19)
- 刺激パルスを発生するための電気エネルギーを蓄積する電気エネルギー蓄積部と、刺激パルスを生体に伝達するための出力電極と、刺激パルスの波形形状が少なくとも第一相波形と電圧の極性が反転した第二相波形とになるように制御して前記電気エネルギーを前記出力電極に出力する制御手段とを有する電気的治療装置であって、
前記電気エネルギー蓄積部と、前記出力電極を構成する第一の出力電極と、第二の出力電極との間に生体を介在して閉回路を形成可能な第1のスイッチ手段および第2のスイッチ手段と、
前記第二相波形の刺激パルスを発生させるための磁気エネルギーを蓄積するインダクタと、
前記第1のスイッチ手段を介して前記電気エネルギー蓄積部と前記インダクタとを閉回路に形成可能な第3のスイッチ手段とを備え、
前記第3のスイッチ手段を開き、前記第1のスイッチ手段および前記第2のスイッチ手段を閉じることにより、前記第一の出力電極および第二の出力電極間に前記第一相波形の電気エネルギーを出力し、
前記第2のスイッチ手段を開き、前記第3のスイッチ手段を閉じ、前記第1のスイッチ手段の開閉を繰り返すことにより、前記第一の出力電極および第二の出力電極間に前記第二相波形の電気エネルギーを出力するものであって、
前記第1のスイッチ手段を閉じることによって前記電気エネルギー蓄積部に蓄積されている電気エネルギーを前記インダクタに磁気エネルギーとして蓄積し、前記第1のスイッチ手段を開くことによって前記磁気エネルギーを電気エネルギーとして前記第一の出力電極および第二の出力電極間に出力し、
前記電気エネルギーの第二相波形の形状を前記電気エネルギー蓄積部の電圧に関わりなく設定可能に構成されたことを特徴とする電気的治療装置。 - 請求項1に記載の電気的治療装置において、前記電気エネルギーの第二相波形で、前記電気エネルギー蓄積部の電圧に関わりなく任意の時間幅で必要な電気エネルギーを出力できるように構成されたことを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項2に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、前記第二相波形の出力期間中、生体のインピーダンスの値によらず、出力電極から出力する電気エネルギーの電力が一定になるように制御することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項3に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて低下する電圧に関する値が、予め設定された、時間と前記電圧に関する値との関数に従って変化するように出力制御することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項4に記載の電気的治療装置において、前記電圧に関する値は、電圧値、電圧微分値または電圧二回微分値であることを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項3に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて変化する電流に関する値が、予め設定された、時間と前記電流に関する値との関数に従って変化するように出力制御することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項6に記載の電気的治療装置において、前記電流に関する値は、電流値、電流微分値または電流二回微分値であることを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項2に記載の電気的治療装置において、生体パラメータを測定する生体パラメータ測定手段と、前記出力電極間に生じる電圧または前記出力電極に流れる電流を測定する出力電極パラメータ測定手段とを備え、前記生体パラメータ測定手段により前記第二相波形を出力する前に測定された生体パラメータと、前記出力電極パラメータ測定手段により前記第二相波形出力中に測定される前記出力電極間の電圧に関する値または前記出力電極に流れる電流に関する値とに基づいて、前記第二相波形の電気エネルギーの電力が生体のインピーダンスの値によらず一定になるように制御する制御手段を有することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項1または2に記載の電気的治療装置において、電気エネルギー供給量に応じて変化する前記電気エネルギー蓄積部に関する電気的パラメータが予め設定された基準曲線に従って変化するように、前記第1のスイッチ手段をパルス幅変調制御により、連続的に切替動作をさせて、前記刺激パルスの波形を制御することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項1または2に記載の電気的治療装置において、前記出力電極間の電圧に関する値または前記出力電極に流れる電流に関する値が、基準電圧に一致するように、
前記第1のスイッチ手段をパルス幅変調制御により、連続的に切替動作をさせて、前記刺激パルスの波形を制御することを特徴とする電気的治療装置。 - 請求項1または2に記載の電気的治療装置において、前記電気エネルギー蓄積部はコンデンサであって、前記制御手段は、前記インダクタ部に蓄積されたエネルギーを 前記出力電極に供給する際、その出力電圧の絶対値が前記コンデンサに蓄積された電圧の絶対値よりも高く制御可能であることを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項11に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、生体のインピーダンスの値に関わりなく、前記出力電極から出力する前記第二相波形の電気エネルギーの電力が一定になるように刺激パルスの波形形状を制御することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項11または12に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、刺激パルスの波形形状を所定の形状に形成するために基準曲線を保持することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項13に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、前記電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて低下する電圧に関する値と前記基準曲線との誤差に基づいて、前記第1のスイッチ手段の切替動作の制御を行うことを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項13に記載の電気的治療装置において、前記制御手段は、前記電気エネルギー蓄積部から供給されるエネルギー量に応じて変化する電流に関する値と前記基準曲線との誤差に基づいて、前記第1のスイッチ手段の切替動作の制御を行うことを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項1〜15のいずれか1項に記載の電気的治療装置において、前記電気エネルギー蓄積部を充電するための充電回路を有することを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項1〜16のいずれか1項に記載の電気的治療装置において、生体の外部から前記刺激パルスを与える体外式であることを特徴とする電気的治療装置。
- 請求項1または2に記載の電気的治療装置において、電気エネルギー蓄積部に蓄積した電気エネルギーを、第一相波形と第二相波形とを用いて出力するときに、まず前記第一相波形で必要な電気エネルギーを消費し、次に残ったエネルギーから前記第二相波形で必要な電気エネルギーを一定時間内に出力するようにすることを特徴とする電気的治療装置の電気エネルギー出力方法。
- 請求項18に記載の電気的治療装置の電気エネルギー出力方法であって、前記電気エネルギー蓄積部に蓄積した電気エネルギーを、前記第一相波形 と前記第二相波形とを交互に複数回繰り返し出力して、多相性出力波形とすることを特徴とする電気的治療装置の電気エネルギー出力方法。
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