JP4221250B2 - 眼調節機能測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼の調節機能状態を他覚的に測定する眼調節機能測定装置に関する。
【0002】
【従来技術】
眼科医院等においては、一般的に、眼屈折力を他覚的に測定する眼屈折力測定装置を使用し、これにより得られた他覚屈折力値を基にして自覚値検査を行い、遠用眼鏡等の処方度数を決定している。しかし、眼に調節緊張がある被検者においては、近くを見る場合に頭痛や肩こり等の眼精疲労を生じる傾向にある。このため、調節緊張を測定する方法及び装置が、下記非特許文献1及び特許文献1にて提案されている。これらの方法及び装置においては、調節緊張の程度と調節微動の高周波成分の出現頻度にはある種の相関があることに着目し、固視標(刺激視標)を遠方から0.5Dステップ毎に近方へ移動させ、8箇所の位置で視標が停止状態にあるときの屈折力データの経時変化について、所定の高周波成分の出現頻度を求めることにより、被検眼の調節機能を他覚的に測定している。また、調節緊張の測定結果は、固視標位置、調節反応量(屈折力値)及び調節微動の高周波成分出現頻度が一つのグラフで表現されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平2003−70740号公報
【0004】
【非特許文献1】
鈴木説子、他2名「調節微動の高周波成分による調節機能の評価」、視覚の科学、日本眼光学学会、2001年9月26日、第22巻、第3号、p.93−97
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の測定結果の表現方法ではその解読に熟練を必要とし、近視眼の過矯正又は遠視眼の低矯正の発見や、固視位置が近方になる従い屈折力が異常変化(乱視度数の増加、球面度数の逆行等)する調節異常の発見が容易でなかった。加えて、上記従来技術による測定では、1回の測定時間が長く(約3分掛かる)、被検者や検者の負担が大きい問題があった。
また、被検眼には遠方から近方に移動した固視標を一定時間固視させ続け、調節反応量を固視標の移動位置に追従させるが、被検眼に乱視がある場合には固視が不安定になり(すなわち、調節反応量が不安定になり)、これにより測定誤差が発生しやすくなる。特に、乱視度数が大きい程、この傾向が強い。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、近視眼の過矯正等の発見、あるいは調節異常の発見を容易に行え、適切な矯正用具の処方を促すことができる眼調節機能測定装置を提供することを技術課題とする。また、精度良く調節機能を測定できる眼調節機能測定装置を提供することを技術課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 被検眼の屈折力を他覚的に得る屈折力検出手段と、被検眼に固視標を呈示する固視標呈示手段であって、固視標の光学的な呈示距離を変化可能な固視標呈示光学系を持つ固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標呈示により被検眼の調節が除去された状態で前記屈折力検出手段により得られた屈折力を記憶する記憶手段と、固視標の光学的な呈示距離を順次変化させ、各呈示位置での所定時間内の屈折力変化を得て被検眼の調節機能を得る調節機能測定手段と、を備える眼調節機能測定装置において、前記固視標呈示光学系に配置された乱視矯正光学系を持つ乱視補正手段と、前記調節機能測定手段による測定時に、前記記憶手段に記憶された乱視度数及び乱視軸角度に基づいて前記乱視矯正光学系を駆動するか、または固視標の各呈示位置での初期段階で乱視度数及び乱視軸角度を得てこの乱視度数及び乱視軸角度に基づいて前記乱視矯正光学系を駆動する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) 被検眼の屈折力を他覚的に得る屈折力検出手段と、被検眼に固視標を呈示する固視標呈示手段であって、固視標の光学的な呈示距離を変化可能な固視標呈示光学系を持つ固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標呈示により被検眼の調節が除去された状態で前記屈折力検出手段により得られた屈折力を記憶する記憶手段と、固視標の光学的な呈示距離を順次変化させ、各呈示位置での所定時間内の屈折力変化を得て被検眼の調節機能を得る調節機能測定手段と、を備える眼調節機能測定装置において、前記調節機能測定手段により求められた調節機能状態の測定結果の調節反応量と各固視標の位置を縦軸と横軸にとり、各固視標位置での調節反応量をグラフにて表示すると共に、前記記憶手段に記憶された球面度数の屈折力を示すグラフィック状のラインであって、各固視標位置の前記グラフまで伸びたラインを表示する表示手段を、備えることを特徴とする。
(3) 被検眼の屈折力を他覚的に得る屈折力検出手段と、被検眼に固視標を呈示する固視標呈示手段であって、固視標の光学的な呈示距離を変化可能な固視標呈示光学系を持つ固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標呈示により被検眼の調節が除去された状態で前記屈折力検出手段により得られた屈折力を記憶する記憶手段と、固視標の光学的な呈示距離を順次変化させ、各呈示位置での所定時間内の屈折力変化を得て被検眼の調節機能を得る調節機能測定手段と、を備える眼調節機能測定装置において、前記調節機能測定手段による測定を行う調節緊張測定モードと , 調節異常のスクリーニングとして調節が除去された状態に対して所定量の調節負荷を与えたときの屈折力の測定を行う調節異常測定モードと , を選択するスイッチを持つ測定モード選択手段と、前記調節異常測定モードが選択されたときに、調節が除去された状態に対して所定の調節負荷を与える呈示距離に固視標を位置させて前記屈折力検出手段にて屈折力測定を行い、該測定にて得られた屈折力と前記記憶手段に記憶された屈折力とを比較し、球面度数、乱視度数及び乱視軸角度の少なくとも一つに所定量以上の変化がある場合に屈折異常が有ると判定する測定制御手段と、備えることを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る装置の外観略図である。1は基台、2は被検眼の顔を固定するための顔固定ユニットである。3は本体部、4は後述する光学系が収納された測定部であり、本体部3はジョイスティック5の操作により基台1の水平面上を前後左右に摺動し、また、ジョイスティック5の回転ノブ5aを回転操作することにより測定部4は本体部3に対して上下方向に移動する。ジョイスティック5の頂部には測定開始スイッチ6が設けられている。7は被検眼の前眼部像や各種情報を表示するTVモニタでる。8はスイッチ部であり、測定モード切換えスイッチ等が配置されている。
【0010】
図2は光学系の概略構成図である。11は赤外領域に波長を持つ2個の測定用光源であり、光軸を中心に回転可動に配置されている。12は集光レンズである。13は測定用指標(スポット開口)を有し、被検眼Eの眼底と共役な位置に配置されるべく移動可能な測定用ターゲット板である。14は投影レンズ、15a及び15bはビームスプリッタである。17は対物レンズ、31はビームスプリッタ、16はミラー、18、19はリレーレンズ、20は被検眼Eの角膜と共役な位置に配置されている帯状の角膜反射除去マスク、21はターゲット板13とともに移動する移動レンズ、22は結像レンズである。23は測定用受光素子であり、測定用受光素子23は測定用光源11及び角膜反射除去マスク20と同期して光軸を中心に回動する。
【0011】
30は固視標呈示光学系を表す。32は光軸上を移動可能な第1リレーレンズであり、その移動量は被検眼の球面屈折力と比例関係にある。37a,37bは、焦点距離が等しい正の円柱レンズであり、両者は互いに独立して光軸を中心に同一方向又は反対方向に回転可能であり、乱視矯正光学系を構成する。なお、2枚の円柱レンズにより乱視(柱面)成分を作り出すときは、その生成に伴って発生する球面成分を補正する。33は第2リレーレンズ、34は第2リレーレンズ33の焦点位置に配置されている固視標(刺激視標)、35は集光レンズ、36は照明ランプである。固視標34は、例えば、風景チャートや放射状のラインが描かれたバースト視標である。第1リレーレンズ32は光軸上を移動することによって固視標34の呈示位置(呈示距離)を光学的に変化させる。眼屈折力の測定時には、第1リレーレンズ32の移動により被検眼の調節除去の雲霧を行う。固視標34の呈示位置の変更は、固視標34、集光レンズ35、照明ランプ36をセットで光軸方向に移動する構成であっても良い。
【0012】
40は視軸方向からアライメント指標を投影する指標投影光学系を示す。41は赤外光の光を出射する点光源である。点光源41を出射した光束は、ビームスプリッタ42で反射した後、ビームスプリッタ31を介して、対物レンズ17により平行光束となり、ビームスプリッタ15aで反射し、測定光軸に沿って被検眼Eの正面から指標を投影する。
【0013】
45は観察光学系を示す。図示無き照明光源により照明された被検眼前眼部像及び指標投影光学系40により投影されたアライメント指標像はビームスプリッタ15bで反射された後、対物レンズ46、ミラー47を介してCCDカメラ48に撮像される。また、観察光学系45は被検眼Eに投影されたアライメント指標を検出するアライメント指標検出光学系を兼ねることもできる。
【0014】
図3は装置の制御系の概略構成図である。CCDカメラ48からの映像信号は、画像処理部51に入力され、TVモニタ7に出力される。50は制御部であり、受光素子23、スイッチ部8、測定用光源11、測定用光源11及び受光素子23を駆動するモータ56、測定用ターゲット板13及びレンズ21を移動するモータ57、第1リレーレンズ32を移動するモータ58、ターゲット板13の移動位置を検出するポテンショメータ60、円柱レンズ37aを回転するモータ61a、円柱レンズ37bを回転するモータ61b、メモリ62等が接続されている。制御部50はこれらの各構成部を制御すると共に、受光素子23やポテンショメータ60からの検出信号を基に眼屈折力を演算し、また、後述する調節状態を解析する機能を有する。制御部50には、調節状態の測定結果等を表示するカラーモニタ72、マウスやキーボード等の入力手段73が接続されている。制御部50はカラーモニタ72の表示を制御する。なお、モニタ7にカラーモニタ72の表示機能を持たせても良い。また、調節状態の解析機能、モニタ72及び入力手段73は、パーソナルコンピュータを使用することも可能である。
【0015】
以上のような構成を備える装置について、以下にその動作を説明する。
<他覚遠用屈折力測定>
まず、通常の他覚遠用屈折力の測定について説明する。被検眼を、顔固定ユニット2を使用して所定の位置に固定した後、モニタ7に表示される前眼部像を観察しながら、指標投影光学系40によるアライメント指標像とレチクル像とが所定の関係になるように、ジョイスティック5及び回転ノブ5aを操作してアライメントを行う。アライメントが完了したら測定開始スイッチ6を押して測定を行う。なお、測定の実行については、CCDカメラ48により検出されるアライメント指標像が所定の許容範囲にあるか否かを制御部50が判断し、測定開始のトリガ信号を制御部50が自動的に発して行う構成(オートショット)とすることもできる。
【0016】
測定用光源11を出射した測定光は、集光レンズ12、ターゲット板13、投影レンズ14、ビームスプリッタ15a及び15bを経て被検眼Eの角膜近傍に集光した後、眼底に到達する。正常眼の場合、眼底で反射したターゲット像はビームスプリッタ15aで反射し、対物レンズ17、ビームスプリッタ31を通過後、ミラー16でもう一度反射され、リレーレンズ18,19及びレンズ21を通過し、結像レンズ22によって受光素子23上で結像する。被検眼に屈折異常がある場合は、受光素子23で受光した眼底反射光の受信信号に基づき、モータ57を駆動して移動レンズ21とともにターゲット板13を被検眼Eの眼底と共役な位置にくるように移動させる。
【0017】
次に、モータ58の駆動により第1リレーレンズ32を移動して固視標34と被検眼Eの眼底とを共役な位置においた後、被検眼の調節を除去すべく、さらに適当なディオプタ分だけ雲霧が掛かるように第1リレーレンズ32を移動させる。被検眼Eに雲霧の掛かった状態で、測定用光源11、角膜反射除去マスク20、及び受光素子23を光軸回りに180度回転させる。回転中、受光素子23からの信号によりターゲット板13及び移動レンズ21が移動し、その移動量をポテンショメータ60が検出して各経線方向の屈折力を求める。制御部50は、この屈折力に所定の処理を施すことによって被検眼のS(球面屈度数)、C(乱視度数)、A(乱視軸角度)の他覚屈折力値を得る。雲霧状態での他覚屈折力値S,C,Aはメモリ62に記憶される。
【0018】
<調節異常の測定>
次に、上記のような屈折力測定機能を利用して調節異常を測定する場合について説明する。スイッチ8部により調節異常測定モードが選択されている場合、上記と同じように通常の遠用屈折力を測定する。その後、制御部50は第1リレーレンズ32の移動により固視標34を、雲霧状態(すなわち調節を除去した無調節状態)での遠用測定で得られたS値の位置から−3.0D(ディオプタ)分だけ近方位置に呈示する。例えば、遠用測定でのS値が−2.0D(被検眼からの距離にすると、50cmの位置に相当する)であれば、ここから−3.0D分だけ近づけた−5.0Dの位置(被検眼から20cmの位置)に固視標34を移動する。この近方位置に置かれた固視標34を被検眼Eに固視させることにより、被検眼Eは調節負荷させた調節状態となる。
【0019】
また、遠用測定の測定結果に乱視がある場合、制御部50は円柱レンズ37a及び37bをモータ61a,61bで回転させ、測定結果のC値を補正する乱視度数を作り出すと共にA値に応じてその軸角度を変える。被検眼の乱視状態を補正することにより、軸角度によらず被検眼の調節状態が安定する。この調節状態で、上記と同様に被検眼の屈折力を測定し、得られたS,C,Aの他覚値をメモリ62に記憶する。
【0020】
制御部50は、先に記憶した無調節状態でのS,C,Aと調節状態でのS,C,Aとを比較し、次の条件(1)〜(3)の何れかであった場合に、近方視時に調節異常が発生する可能性があると判定する。
【0021】
(1) 無調節状態でのS値に−3.0D分を加えたS値と調節状態でのS値とを比較し、調節状態でのS値が0.75D以上ずれている場合、または、調節状態でのS値が無調節状態でのS値より+側にずれている場合。
(2) 無調節状態でのC値に対して、調節状態でのC値が0.5D以上変化している場合。
(3) 無調節状態でのA値に対して、調節状態でのA値が10°以上変化している場合(但し、C値≧0.5Dが条件)。
【0022】
上記の条件(1)〜(3)であった場合には、制御部50はその結果をモニタ7に表示する。併せて、被検眼の調節努力を極力低減する矯正用具の処方を推奨するメッセージを表示する。例えば、無調節状態での測定結果がS=−2.0D、C=0D、A=0であり、近方視での測定結果がS=−5.0D、C=−1.5D、A=90°であった場合、上記の条件(2),(3)に当たるので、近用処方として加入度=作業距離に相当するジオプトリーとすることを推奨する。
【0023】
上記のように近方視になるに従って屈折力が大きく変化する被検眼の調節異常を、容易に発見できる。従って、調節異常眼のスクリーニングとしてこの測定モードを使用することができる。また、後述の調節緊張測定のように測定時間が掛からないため、医師及び被検者の負担が軽減される。
【0024】
<調節緊張測定>
人の眼は、静止した視標を固視しているときに、自覚的には静止屈折状態にあると認識されているが、経時的に他覚的な屈折力値の観察を行うと、調節微動と呼ばれる正弦波様の揺れが認められる。調節微動の高周波成分は水晶体屈折力の振動に起因し、毛様体筋の活動状態を示すと考えられる。毛様体筋に掛かる負荷が大きくなると、調節微動の高周波成分の出現頻度も増加する。調節微動高周波成分の出現頻度を調べることにより、被検眼の調節緊張の程度を類推することができる。以下、この調節緊張測定について説明する。
【0025】
まず、スイッチ8部により調節緊張測定モードが選択されると、上記と同じように、通常の遠用屈折力測定が実行され、測定結果がメモリ62に記憶される。遠用測定が終了したら、無調節状態での遠用測定で得られたS値の位置(被検眼の遠点位置と見なすことができる)より+0.5D分だけ遠方位置に固視標34が移動され、所定時間T(例えば、20秒)における屈折値データの経時変化がサンプリングされる。その後、0.5Dステップずつ固視標34が近方に順次移動されると共に、各位置においてそれぞれ所定時間Tにおける屈折値データの経時変化が同じようにサンプリングされる。固視標34の移動は合計8箇所の位置まで繰り返される。すなわち、遠点位置に相当する遠用測定でのS値を基準に+0.5D〜−3.0D間を0.5Dステップで8回測定される。ここで、初めに実行された遠用測定の測定結果に乱視がある場合には、円柱レンズ37a及び37bがモータ61a,61bで回転され、測定結果のC値及びA値を補正する乱視度数が作り出される。被検眼の乱視状態が矯正されることにより、被検眼は軸角度によらず固視標34を安定して見ることができ、乱視による測定結果への影響が軽減される。結果的に調節緊張の測定精度を向上することができる。
【0026】
0.5Dステップずつ固視標34を移動し、それぞれサンプリングされた屈折値データの経時変化は、各固視標位置に対応付けられてメモリ62に記憶される。なお、本装置による測定光学系では、各固視標位置での屈折値データの経時変化は、測定用光源11及び受光素子23等を一定の経線方向(例えば、0°)に置いてサンプリングすることにより、0.1秒以下の短い時間で順次検出できる。また、乱視状態の補正については、固視標34を各位置に移動した初めの段階で測定用光源11及び受光素子23等を光軸回りに180度回転してS,C,Aをそれぞれ測定し(測定結果はメモリ62に記憶される)、その結果を基にそれぞれの固視標34の位置での被検眼の乱視状態を補正するようにしても良い。
【0027】
メモリ62に屈折値データの経時変化が記憶されたら、制御部50により調節緊張の解析が行われる。以下、この解析について説明する。まず、被検眼の瞬きがあると、屈折値データに大幅に異なる値があるので、これを除去する。瞬きによるデータの欠損、乱れは3次スプライン関数にて補正する。次に、高速フーリエ変換(FFT)を用いて周波数分析を行い、パワースペクトルを求める。パワースペクトルの算出は、時間T内の各区間を対象とする。各区間は、時間T内で1秒ずつずらして設定し、各区間内の時間はそれぞれ8秒間とする。算出されたパワースペクトルを常用対数に変換して解析する。このパワースペクトルから高周波数成分1.0〜2.3Hzの区間の平均パワースペクトル(単位dB)を求め、調節微動の高周波成分の出現頻度(HFC)として評価する。
【0028】
図4は調節緊張測定の測定結果の表示例である。測定結果は、刺激視標位置、調節反応量及び調節微動高周波成分の出現頻度(HFC)の3要素を、カラーコードマップを用いた3次元グラフとしてグラフィック表示している。グラフは縦軸に調節反応量(屈折力D)を、横軸に刺激視標位置を取り、調節微動高周波成分の出現頻度(HFC)は7段階に色分けしている。例えば、調節微動高周波成分の出現頻度が50未満は緑色で、70以上のときは赤色で表示し、その間を緑色から黄色を経由して赤に至るグラデーションで表示している。調節緊張の少ない被検眼は遠方視における調節微動高周波成分の出現頻度が低く、カラーコードマップでは緑色を呈する。これに対して、調節緊張が多い被検眼は、調節微動高周波成分の出現頻度が全体的に高くなり、遠方視標に対しても赤色を呈し、遠方視においても毛様体筋が緊張状態にあることが示唆される。
【0029】
このようなカラーマップを用いて測定結果を表示することにより、被検眼の毛様体筋の活動状況、すなわち調節緊張を客観的に観察することができ、調節異常の診断や治療方針の決定に有益な情報を提供することが可能になる。
【0030】
また、図4の測定結果の3次元グラフ表示においては、無調節状態での遠用測定で得られたS値を示すグラフィック状のラインFSを、各刺激視標位置における調節反応量と関係付けてグラフ上に表示し、遠用測定のS値に対して各固視標位置における調節反応量が+側にあることを視覚的に容易に理解できるようにしている。調節反応量が遠用測定のS値より+側にあるときは、被検眼の遠点もその位置にある可能性がある。これに気が付かずに、遠用測定のS値を基に眼鏡等の矯正レンズを処方してしまうと、マイナス側に矯正してしまう危険性がある。つまり、近視眼の場合には過矯正してしまい。遠視眼の場合には低矯正してしまう。調節緊張の測定結果を示すグラフにラインFSが同時に表示されていることにより、被検眼の遠点が遠用測定のS値より+側にあることが視覚的に容易に分かるようになる。すなわち、各視標位置において調節反応量を示す棒グラフがラインFSより下に現われるときは、被検眼の遠点が遠用測定のS値より+側にあることを示している。これにより、近視眼の過矯正や遠視眼の低矯正の発見が容易となり、その診断を容易に行えるようになる。また、この場合には、遠用測定でのS値より弱め(+側)の屈折度数を持つ矯正レンズを処方するように促すメッセージをモニタ72に表示する。なお、遠用測定のS値に対して各固視標位置における調節反応量が+側にあることを示す表示としては、ラインFSの代わりに、遠用測定のS値に対して調節反応量が+側になっている部分のみを他と区別できるように色分けしたグラフ表示にしても良い。
【0031】
以上説明した実施形態は種々の変容が可能であり、技術思想を同一にする範囲において、本発明に含まれるものである。例えば、調節異常の測定、調節緊張測定においては、測定時間を短縮するために被検眼に雲霧を掛けた状態(無調節状態)で得られた屈折力を利用したが、これは次のようにしても良い。すなわち、固視標を30cmに相当する近方位置から遠方に徐々に移動しながら被検眼の屈折力を監視し、被検眼が明視できる最も遠くに固視標を位置させた状態(被検眼の屈折力変化が追従しなくなった状態=遠点位置)で得られた屈折力を調節が除去された無調節状態での屈折力とする。乱視屈折力を補正する場合も同様である。
【0032】
また、上述した調節異常の測定時に被検眼に与える調節負荷の値(−3.0D)や屈折異常の有無を判定するときのS,C,Aの各値、あるいは、調節緊張測定時の固視標34の移動ステップ及び移動箇所の数、調節微動高周波成分の出現頻度(HFC)を分類する値等は、全て単に例示に過ぎず、これらはスイッチ部8により変更可能である。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、近視眼の過矯正等の発見、あるいは調節異常の発見を容易に行え、適切な矯正用具の処方を促すことできる。また、精度良く調節機能を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る装置の外観略図である。
【図2】光学系の概略構成図である。
【図3】装置の制御系の概略構成図である。
【図4】調節緊張測定の測定結果の表示例を示す図である。
【符号の説明】
7 TVモニタ
8 スイッチ部
11 測定用光源
23 測定用受光素子
30 固視標呈示光学系
34 固視標
37a,37b 円柱レンズ
50 制御部
72 カラーモニタ
Claims (3)
- 被検眼の屈折力を他覚的に得る屈折力検出手段と、被検眼に固視標を呈示する固視標呈示手段であって、固視標の光学的な呈示距離を変化可能な固視標呈示光学系を持つ固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標呈示により被検眼の調節が除去された状態で前記屈折力検出手段により得られた屈折力を記憶する記憶手段と、固視標の光学的な呈示距離を順次変化させ、各呈示位置での所定時間内の屈折力変化を得て被検眼の調節機能を得る調節機能測定手段と、を備える眼調節機能測定装置において、前記固視標呈示光学系に配置された乱視矯正光学系を持つ乱視補正手段と、前記調節機能測定手段による測定時に、前記記憶手段に記憶された乱視度数及び乱視軸角度に基づいて前記乱視矯正光学系を駆動するか、または固視標の各呈示位置での初期段階で乱視度数及び乱視軸角度を得てこの乱視度数及び乱視軸角度に基づいて前記乱視矯正光学系を駆動する制御手段と、を備えることを特徴とする眼調節機能測定装置。
- 被検眼の屈折力を他覚的に得る屈折力検出手段と、被検眼に固視標を呈示する固視標呈示手段であって、固視標の光学的な呈示距離を変化可能な固視標呈示光学系を持つ固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標呈示により被検眼の調節が除去された状態で前記屈折力検出手段により得られた屈折力を記憶する記憶手段と、固視標の光学的な呈示距離を順次変化させ、各呈示位置での所定時間内の屈折力変化を得て被検眼の調節機能を得る調節機能測定手段と、を備える眼調節機能測定装置において、前記調節機能測定手段により求められた調節機能状態の測定結果の調節反応量と各固視標の位置を縦軸と横軸にとり、各固視標位置での調節反応量をグラフにて表示すると共に、前記記憶手段に記憶された球面度数の屈折力を示すグラフィック状のラインであって、各固視標位置の前記グラフまで伸びたラインを表示する表示手段を、備えることを特徴とする眼調節機能測定装置。
- 被検眼の屈折力を他覚的に得る屈折力検出手段と、被検眼に固視標を呈示する固視標呈示手段であって、固視標の光学的な呈示距離を変化可能な固視標呈示光学系を持つ固視標呈示手段と、該固視標呈示手段の固視標呈示により被検眼の調節が除去された状態で前記屈折力検出手段により得られた屈折力を記憶する記憶手段と、固視標の光学的な呈示距離を順次変化させ、各呈示位置での所定時間内の屈折力変化を得て被検眼の調節機能を得る調節機能測定手段と、を備える眼調節機能測定装置において、前記調節機能測定手段による測定を行う調節緊張測定モードと , 調節異常のスクリーニングとして調節が除去された状態に対して所定量の調節負荷を与えたときの屈折力の測定を行う調節異常測定モードと , を選択するスイッチを持つ測定モード選択手段と、前記調節異常測定モードが選択されたときに、調節が除去された状態に対して所定の調節負荷を与える呈示距離に固視標を位置させて前記屈折力検出手段にて屈折力測定を行い、該測定にて得られた屈折力と前記記憶手段に記憶された屈折力とを比較し、球面度数、乱視度数及び乱視軸角度の少なくとも一つに所定量以上の変化がある場合に屈折異常が有ると判定する測定制御手段と、備えることを特徴とする眼調節機能測定装置。
Priority Applications (1)
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