JP4221075B2 - シトクロムcおよびその遺伝子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シトクロムc活性を有するポリぺプチドをコードするDNAおよび該DNAがコードするポリぺプチドに関する。
【0002】
【従来の技術】
シトクロムcは、初発脱水素酵素と分子状酸素をH2Oに還元することによって基質の酸化を完了させる末端酸化酵素との間の電子伝達を媒介する、必須の成分の1つであることが知られている。この電子伝達反応はヘム鉄の酸化還元に基づいている。最近では、例えばヒドロジェノバクター・サーモフィリス(Hydrogenobacter thermophilus)のシトクロムc552を用いることによって(Kodamaら、米国特許第5459046号明細書)、シトクロムcの電子伝達反応を生物の材料または要素を模倣する新たな材料であるバイオチップとして使用しようとの試みがなされている。グルコノバクター(Gluconobacter)およびアセトバクター(Acetobacter)を含む酢酸菌は、極めて効率的な糖および糖アルコール酸化能を有し、酢、およびビタミンCの中間生成物として用いられるL-ソルボースを製造するために工業的に用いられている。シトクロムcは、酸化的発酵に際して、酸化を完了させるために重要な役割を果たす。シトクロムc蛋白質は、グルコノバクターなどの多くの生物体から精製され、特徴分析がなされており、例えば松下(Matsushita)らはグルコノバクター・サブオキシダンス(Gluconobacter suboxydans)からのCO結合性シトクロムc553(CO)(分子量48kDa)の精製を報告しているが(FEMS Microbiol. Lett.、10:267〜270、1981)、後にシトクロムc553(CO)はグルコノバクターのアルコール脱水素酵素の第2サブユニットと同一であることが判明した。アルコール脱水素酵素の第2サブユニットが欠損したグルコノバクターにおけるシトクロムc553(CO)の増幅は、J. Ferment. Bioeng.、74:209〜213、1992(Y. Takedaら)に開示されているように、比生産速度(g細胞・時間当たりのg産物)において生じるD-ソルビトールからのL-ソルボースの生産がやや向上した。シトクロムc553のほかに、シトクロムc551(AL)(分子量55KDa)およびシトクロムc551(CO)(分子量72kDa)もグルコノバクターから単離されている[Ameyamaら、Agri. Biol. Chem. 51:2943〜2950(1987)]。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電子受容体としての機能を有する蛋白質ファミリーに属する新規なシトクロムcを提供することである。より具体的には、本発明の新規なシトクロムcは、アルコールおよびアルデヒド脱水素酵素などの脱水素酵素の電子受容体として有用である。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意研究を行った結果、脱水素酵素から電子を受容するシトクロムcを生産することができる微生物から、新規なシトクロムcを単離することに成功した。より具体的には、グルコノバクター属に属する微生物から種々の精製手段を用いて、新規なシトクロムc活性を有するポリペプチドを精製した。また、精製したポリペプチドのアミノ酸配列の情報に基づいてプライマーを調製し、ポリメラーゼ連鎖反応により該ポリペプチドをコードするDNAを単離した。さらに、該DNAを含む発現ベクターを調製し、これを宿主細胞に導入して、得られた形質転換体内で該ポリペプチドを発現させることに成功し、本発明を完成した。
【0005】
すなわち、本発明は、電子受容体としての機能を有する蛋白質ファミリーに属する新規なシトクロムc活性を有するポリペプチドに関する。
【0006】
また、本発明は、該ポリペプチドの機能的誘導体をも含む。このような機能的誘導体は、当技術分野で周知または本明細書に記載されるアッセイによって測定されるシトクロムc活性を保持するように、本発明のアミノ酸配列に基づいて、この配列の1つまたはそれ以上のアミノ酸残基が付加、挿入、欠失および/または置換されたものと定義される。このような機能的誘導体は、当技術分野で周知のペプチドの化学合成、または当技術分野で周知であって例えばサムブルックら(分子クローニング(Molecular Cloning)、Cold Spring Harbour Laboratory Press、New York、USA、第2版、1989)に開示されている方法による、本明細書で開示されたDNAを基礎とする組換え技術によって作製することができる。このような分子の活性を概ね変化させない蛋白質およびペプチドにおけるアミノ酸の置換は当技術分野では知られており、例えばニューラス(H. Neurath)およびヒル(R. L. Hill)の「蛋白質(The Protein)」(Academic Press、New York、1979。特に14ページの図6を参照のこと)において記載されている。最も多く生じる置換は以下の通りである:Ala/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Tyr/Phe、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/Glu、Asp/Gly、およびこれらの逆も同様である。
【0007】
さらに本発明は、原核生物または真核生物の宿主細胞において発現される少なくともシトクロムc551の一次構造の一部および生物学的特性の1つを有するポリペプチドをコードするDNA、例えば配列表に開示されたもののほかにそれらの相補鎖またはこれらの配列を含むDNA配列を含むDNA、好ましくは標準的な条件下においてこのような配列またはそれらの断片とハイブリダイズするDNA、および遺伝的コードの縮退のために標準的な条件下ではこのような配列とハイブリダイズしないが、完全に同一なアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA、を含む。
【0008】
ハイブリダイゼーションのための「標準的な条件」とは、ここでは、例えばサムブルック(Sambrook)ら、「分子クローニング(Molecular Cloning)」第2版、Cold Spring Harbour Laboratory Press、1989、New Yorkに開示された、特定のハイブリダイゼーション信号を検出するために当業者が一般に用いる条件、または好ましくは当業者が周知の、例えばサムブルックら(前記)に記載されている、いわゆるストリンジェントなハイブリダイゼーション条件およびストリンジェントでない洗浄条件、より好ましくはいわゆる中程度にストリンジェントな条件、さらにより好ましくはいわゆるストリンジェントなハイブリダイゼーションおよびストリンジェントな洗浄条件を意味する。
【0009】
さらに本発明の別の目的は、シトクロムc活性を有し、上記のように定義されたDNAによってコードされるポリペプチド、またはシトクロムc活性を有し、以下の物理化学的特性をそれぞれ示すシトクロムc551 IおよびIIからなる群から選択されるグルコノバクター(Gluconobacter)属に属する微生物から得られるまたは得られたポリペプチドを提供することである:
(a)シトクロムc551 I:
(a)分子量:ゲル濾過では約19±1 kDa、SDS-PAGE分析では約18.0±1.0 kDa、
(b)吸収スペクトル:還元型は、それぞれα、βおよびγピークとして551nm、522nmおよび417nmで最大吸収を示す、
(c)ヘム含量:ヘム約1モル/蛋白質1モル、
(d)等電点:約3.95、および
(b)シトクロムc551 II:
(a)分子量:ゲル濾過では約19±1 kDa、SDS-PAGE分析では約16.8±1.0 kDa、
(b)吸収スペクトル:還元型はそれぞれα、βおよびγピークとして551nm、522nmおよび417nmで最大吸収を示す、
(c)ヘム含量:ヘム約1モル/蛋白質1モル、
(d)等電点:約3.75。
【0010】
さらに本発明の別の目的は、アルコール/アルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNA配列をさらに含む、上記のように特定したDNAを提供することである。このような構築物は、例えば実施例6に記載したようにして調製することができる。
【0011】
さらに本発明の別の目的は、上記のように定義したDNAを含む、原核生物または真核生物の宿主細胞における発現に適したベクター、およびこのようなベクターで形質転換された宿主細胞、より具体的にはそのゲノム中に上記のように定義したDNA配列が組み込まれた宿主細胞、さらに好ましくは真核生物、好ましくは哺乳動物もしくは植物細胞由来のこのような宿主細胞、または、原核生物由来の、特に大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パストゥリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンセニイ(Acetobacter hansenii)およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)、例えばグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM No.4025、のような細菌からなる群から選択される、このような宿主細胞を提供することである。
【0012】
さらに、本発明は、上記のように定義した宿主細胞を適当な培地で培養し、この培養物からのシトクロムc551を回収することを含む、シトクロムc551の製造方法を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明のシトクロムcは、L-ソルボースまたはD-ソルビトールからの2KGAの製造の改善に適用可能であり、さらに、インビボまたはインビトロにおけるアルコールおよびアルデヒドの脱水素酵素の存在下での対応する基質からのアルデヒド、カルボン酸およびケトンの製造にも適用可能である。
【0014】
化合物2KGAは、アスコルビン酸(ビタミンC)を製造するために重要な中間体であり、前者は周知のライヒスタイン(Reichstein)法に従って後者に変換することができる。L-ソルボースまたはD-ソルビトールからの発酵による2KGAの製造は周知である。グルコノバクター(Gluconobacter)菌株は、Agric. Biol. Chem.、54(5)、1211〜1218、1990(T. Hoshinoら)および欧州特許公報第606621号に開示されているソルボースおよびソルボソン脱水素酵素によって触媒される反応を介して2KGAを生産することが知られている。
【0015】
したがって、本発明のシトクロムcを用いてビタミンCを製造することも、本発明の目的である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明する前に、グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)から取得可能な、精製されたアイソフォームIおよびIIからなるシトクロムc551の物理化学的特性を以下に示す。
(1)分子量
精製段階のゲル濾過において、シトクロムc551 IおよびIIの見かけの分子量は約19+/-1kDaであった。また、SDS-PAGE分析では、シトクロムc551 IおよびIIの分子量はそれぞれ18.0+/-1.0および16.8+/-1.0kDaであった。したがって、シトクロムc551には近似した分子量を示す2種類があり、シトクロムc551 IおよびIIは両方とも単量体の蛋白質であった。
(2)吸収スペクトルおよびヘム含量
ジチオナイトナトリウムの添加によって完全に還元されたシトクロムc551 IおよびIIの吸収スペクトルを図1に示した。シトクロムc551 IおよびIIの吸収スペクトルは互いに区別不能であった。還元された各シトクロムにはα、βおよびγピークとして、それぞれ551nm、522nmおよび417nmに最大吸収が認められた。また、酸化型シトクロムにはγピークとして411nmに最大吸収が認められた。シトクロムc551 IおよびIIのヘム含量は、ドラブキン(Drabkin)のピリジンヘモクロム法(J. Biol.、146:605、1942)によってヘム単量体にして約1モル/蛋白質1モルと測定された。
(3)等電点
LKB社(ストックホルム, スウェーデン)の等電点電気泳動システムにより、シトクロムc551 IおよびIIの等電点(pI)は、それぞれ3.95および3.75と測定された。
(4)シトクロムc551 IおよびIIのペプチドマッピングによる比較
シトクロムc551 IおよびIIをV8プロテアーゼまたはサーモリシンによって同一条件下で消化し、逆相HPLC分析によってペプチド断片化パターンを比較した。シトクロムc551 IおよびIIのそれぞれ数個のわずかなペプチド断片のピークがさらに認められたことを除き、シトクロムc551 IおよびIIの主要なペプチド断片化パターン(約30のペプチド断片のピーク)は一致していた。この結果から、シトクロムc551 IおよびIIの間のアミノ酸配列相同性は高いことが示された。
(5)シトクロムc551 IIのアミノ酸配列
シトクロムc551 IおよびIIのN末端アミノ酸は未知の修飾によってブロックされていた。したがって、内部のアミノ酸配列をペプチド断片によって決定した。V8プロテアーゼおよびサーモリシンで消化したペプチド断片に加えて、シトクロムc551 II(ヘムが除去され、S-カルボキシメチル化されたもの)をリジルエンドペプチダーゼで消化して、さらにペプチド断片を作製した。続いて、得られたいくつかのペプチド断片を用いて内部のアミノ酸配列を決定した。
Figure 0004221075
本発明のシトクロムcは、適当な微生物を培養し、菌体を破壊して、破壊された菌体の無細胞抽出物から、好ましくは微生物の可溶性画分から単離および精製することによって調製することができる。
【0017】
本発明のシトクロムcの単離のために本発明において用いられる微生物は、好ましくはシトクロムcを生産する能力を持つグルコノバクター(Gluconobacter)属に属する。また、本発明において、上記の微生物の機能的等価物、継代培養物、突然変異体および変異体を用いることも可能である。好ましい菌株はグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)である。特定および好ましいグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)菌株は、Goettingen(ドイツ)のDeutsche Sammlung von MikroorganismenにDSM第4025号として1987年3月17日に寄託されている。さらに、この菌株の継代培養物も、ブダペスト条約の規定に基づき、寄託番号:グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)DSM No.4025 FERM BP-3812(寄託日:1992年3月30日)として通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されている。さらに、欧州特許第0278 477号明細書に本菌株の特徴が開示されている。
【0018】
この微生物は、適当な栄養分を添加した液体培地にて好気性条件下で培養することができる。培養はpH約4.0から9.0、好ましくは約6.0から8.0で実施することができる。培養期間はpH、温度および用いた栄養培地によって異なるが、通常は2〜6日で好ましい結果が得られる。好ましい培養温度は約13℃から36℃であり、好ましくは約18℃から33℃である。
【0019】
培地には通常、同化可能な炭素源、消化可能な窒素源、ならびに無機物質、ビタミン、微量元素および他の成長促進因子などの栄養分が含まれることが必要である。同化可能な炭素源としては、グリセリン、D-グルコース、D-マンニトール、D-フルクトース、D-アラビトール、L-ソルボース、D-ソルビトールなどを用いることができる。
【0020】
また、窒素源として、酵母エキス、肉エキス、ペプトン、カゼイン、コーンスチープリカー、アミノ酸、硝酸塩、アンモニウム塩などのさまざまな無機または有機物質を用いることができる。無機物質としては、硫酸マグネシウム、リン酸カリウム、塩化第一鉄および第二鉄、炭酸カルシウムなどを用いることができる。
【0021】
以下に、培養後における微生物からのシトクロムcの単離および精製、ならびに遺伝子/DNA配列のクローニングのための態様を説明する。
(1)細胞を発酵培養物から遠心処理または濾過によって回収する。
(2)細胞を緩衝液中に懸濁し、ホモジナイザー、超音波処理器またはリゾチーム処理などの手段によって破壊して、破壊された細胞の溶液を得る。
(3)破壊された細胞の無細胞抽出物、好ましくは微生物の可溶性画分から、硫酸アンモニア沈殿、透析、イオン交換クロマトグラフィー、ゲル濾過クロマトグラフィー、およびアフィニティクロマトグラフィーなどの通常の蛋白質精製法によってシトクロムcを単離および精製する。
【0022】
本発明によって提供されるシトクロムcは、アルコールおよびアルデヒドからアルデヒド、カルボン酸およびケトンを生産するための、特にL-ソルボースまたはD-ソルビトールからL-ソルボソンを介して2-KGAを産生するための脱水素酵素に属する酵素の電子受容体として有用である。
【0023】
簡潔に示せば、本発明において用いられる、シトクロムcの遺伝子、DNA、組換え発現ベクター、および組換え生物体、すなわち形質転換宿主細胞、は下記の工程によって得ることができる。
(1)脱水素酵素から電子を受容するシトクロムcを提供することができる微生物から染色体DNAを単離し、大腸菌においてその染色体DNAの遺伝子ライブラリーを構築する工程。
(2)コロニー、プラークまたはサザンハイブリダイゼーション、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)クローニング、ウエスタンブロット分析などにより、染色体DNAからシトクロムc遺伝子をクローニングする工程。
(3)上記のシトクロムc遺伝子を含むDNA分子を選択するために通常の方法によって、シトクロムc遺伝子の塩基配列を決定し、シトクロムc遺伝子を効率的に発現させることができる組換え発現ベクターを構築する工程。
(4)形質転換、形質導入、接合伝達(transconjugation)および電気穿孔による、シトクロムc遺伝子を有する組換え生物体を構築する工程。
【0024】
本発明の上記の形態において用いられる材料および技術を以下に詳細に例示する。
【0025】
全染色体DNAは当技術分野で周知の手順によって精製することができる。全染色体DNAからシトクロムcをコードする遺伝子を、以下の方法によってプラスミドまたはファージベクターのいずれかにクローニングする。
【0026】
(i)SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動後のゲルから全蛋白質またはペプチダーゼ処理によって得られたペプチド断片を単離して、それらをアプライドバイオシステムズ社製自動気相シークエンサー470A(パーキンエルマー社、米国コネチカット州ノーウォーク)などの蛋白質シーケンサーに付し、精製されたシトクロムcの部分的アミノ酸配列を決定し、上記のようにして得られたアミノ酸配列に基づいて、アプライドバイオシステムズ社製自動DNAシークエンサー381A(パーキンエルマー社)などのDNA合成装置によってオリゴヌクレオチドプローブを合成し、そのオリゴヌクレオチドプローブを用いてサザン、コロニーまたはプラークハイブリダイゼーションにより、目的の遺伝子を有する菌株の遺伝子ライブラリーから目的の遺伝子を有するクローンを単離する方法、(ii)抗シトクロムc抗体を用いて免疫学的方法により、遺伝子ライブラリーからシトクロムcを発現しているクローンを選択する方法、または(iii)上記のように決定されたアミノ酸配列に従って合成された2種類のオリゴヌクレオチドを用いるPCR法によって、全染色体DNAからDNAを増幅し、上記のようにして得られたPCR産物をプローブとして用いるサザン、コロニーまたはプラークハイブリダイゼーションによって、大腸菌内に構築された遺伝子ライブラリーから全シトクロムc遺伝子を有するクローンを単離する方法。上記の本シトクロムcに対して反応する抗体は、Methods in Enzymology、第73巻、p.46、1981に記載された方法などによって、精製されたシトクロムc蛋白質またはそのペプチド断片を用いて調製することができる。
【0027】
シトクロムc遺伝子の塩基配列は、M13ファージを用いるジデオキシチェーンターミネーション法(dideoxy chain termination method)(Sanger. F.ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA、74:5463〜5467、1977)などの公知の方法によって決定することができる。
【0028】
シトクロムc遺伝子または一般にシトクロムc活性をコードするDNAを効率的に発現させるためには、種々のプロモーター、例えば上記のシトクロムc遺伝子の上流に存在する本来のプロモーター、Tn5のカナマイシン耐性遺伝子(Berg, D.E.およびC.M.Berg、1983、Bio/Technology 1:417〜435)およびpBR322のアンピシリン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子のプロモーター、大腸菌のβガラクトシダーゼ(lac)、trp-、tac-、trc-プロモーター、λファージのプロモーター、ならびに大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パストゥリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンセニイ(Acetobacter hansenii)およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)などの細菌を含む微生物ならびに哺乳動物細胞および植物細胞からなる宿主内で機能しうる任意のプロモーターを用いることができる。
【0029】
上記の目的のために、コーディングシークエンスを導入される宿主細胞内で作用しうるシャイン・ダルガルノ(SD)配列(例えばAGGAGGなど、宿主細胞内で作用しうる天然および合成配列を含む)および転写終結因子(宿主細胞内で作用しうる任意の天然または合成配列を含む逆方向反復)などのその他の調節要素が上記のプロモーターとともに用いられる。
【0030】
ペリプラズムポリペプチドである、シトクロムc蛋白質の発現のためには、通常15〜50アミノ酸残基を含み、全体として疎水性であるシグナルペプチドが必要不可欠でる。シグナルペプチドをコードするDNAは、所望の宿主細胞内で作用しうる任意の天然および合成配列から選択することができる。
【0031】
2本鎖DNAのクローニングには、広範な種々の宿主/クローニングベクターの組み合わせを用いることができる。クローニングベクターは一般に、複製開始点、調節配列、マルチクローニング部位を含むクローニング部位、およびアンピシリン、テトラサイクリン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、スペクチノマイシンなどに対する耐性遺伝子を含む抗生物質耐性遺伝子のような選択マーカーを含むプラスミドまたはファージである。
【0032】
大腸菌内での目的遺伝子の発現のために適したベクターは、pBR322またはpUC18およびpBluescript IIを含むその誘導体、pACYC177およびpACYC184(J. Bacteriol.、134:1141〜1156、1978)ならびにその誘導体などの大腸菌内で通常用いられる任意のベクター、ならびにRK2およびRSF1010などの広宿主域プラスミドに由来するベクターから選択される。G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号を含むグルコノバクター(Gluconobacter)およびP. プチダ(putida)における目的遺伝子の発現のために好ましいベクターは、大腸菌などの好ましいクローニング生物体においてと同様、グルコノバクター(Gluconobacter)および/またはP. プチダ(putida)において複製可能なあらゆるベクターから選択される。好ましいベクターは、pVK102およびその誘導物のようなコスミドベクター、RSF1010およびその誘導物、ならびにGluconobacter内で機能しうる複製開始点および大腸菌内で機能しうる別の開始点を有するベクターから選択される、広宿主域ベクターである。ベクターのコピー数および安定性は、クローニングされる遺伝子の安定的および効率的な発現のため、ならびにクローニングされる遺伝子を有する宿主細胞の効率的な培養のためにも慎重に考慮する必要がある。また、Tn5などの転移因子を含むDNAを、好ましい宿主内、特に染色体に目的遺伝子を導入するためのベクターとして用いることもできる。好ましい宿主から単離される任意のDNAおよび目的遺伝子を一緒に含むDNAも、所望のDNAを好ましい宿主内、特に染色体に導入するために有用である。このようなDNAは、形質転換、形質導入、接合伝達または電気穿孔によって好ましい宿主に導入することができる。
【0033】
有用な宿主は、真核生物または原核生物由来であり、微生物、哺乳動物細胞および植物細胞を含む。好ましい微生物としては、大腸菌、P. プチダ(putida)、A. キシリナム(xylinum)、A. パストゥリアヌス(pasteurianus)、A.アセチ(aceti)、A. ハンセニイ(hansenii)およびG. オキシダンス(oxydans)などの細菌、および組換えシトクロムcを生産することができるいかなるグラム陰性菌も挙げられる。上記の微生物の機能的等価物、継代培養物、突然変異体および変異体を本発明において用いることも可能である。好ましい菌株は、大腸菌K12およびその誘導物、P. プチダ(putida)またはG. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号である。
【0034】
本発明のシトクロムcをコードするDNAは、発現ベクターを作製するための当技術分野で周知の方法によって、宿主細胞内で作用しうるプロモーターならびにリボソーム結合部位および上記の転写終結因子などの調節領域を含む適切なベクター中に連結される。
【0035】
発現ベクターを有する宿主細胞を作製するためには、形質転換、形質導入、接合交配(一般的および分子的細菌学のための方法(Methods for general and molecular bacteriology)第14および15章、Philipp Gerhardtら編、American Society for Microbiology、1994)および電気穿孔を含むさまざまなDNA導入法を用いることができる。形質転換された宿主細胞を作製する方法は分子生物学の分野で周知の方法から選択される。大腸菌、シュードモナスおよびアセトバクターに関しては通常の形質転換系を用いることができる。また、大腸菌の形質導入系を用いることもできる。接合交配系は、グラム陽性菌および大腸菌、P. プチダ(putida)およびG. オキシダンス(oxydans)を含むグラム陰性菌に広く用いることができる。好ましい接合交配法は、基本的に発明者によって国際公開第89/06688号パンフレットに開示されている。接合は、液体培地中または固体表面上で行うことができる。シトクロムc産生のために好ましい受容菌は、大腸菌、P. プチダ(putida)およびG. オキシダンス(oxydans)から選択される。2KGA生産のために好ましい受容菌は、適切な組換え発現ベクターによって活性型AADHを生産する能力を持つ大腸菌、P. プチダ(putida)およびG. オキシダンス(oxydans)から選択される。2KGA産生のために好ましい受容菌はG. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号である。接合交配のための受容菌に対して、通常は選択的マーカーが添加される。例えば、ナリジクス酸またはリファンピシンに対する耐性が通常選択される。
【0036】
したがって、本発明の好ましい実施態様は以下のとおりである。
(1)原核生物または真核生物の宿主細胞において発現される少なくともシトクロムc551の一次構造の一部および生物学的特性の1つを有するポリペプチドをコードするDNA配列を含むDNAであって、該DNAが、
(a)配列番号:1またはその相補鎖によって同定されるDNA、
(b)(a)で定義されたDNAまたはその断片とハイブリダイズするDNA、および
(c)遺伝的コードの縮退がなければ、(a)または(b)で定義されたDNAとハイブリダイズし、同一のアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードするDNA配列、
の中から選択される本発明のDNAは、さらに、アルコール/アルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含む。
(2)配列番号:2によって特定されるシトクロムc551ポリペプチド、または1個以上のアミノ酸残基の付加、挿入、削除および/または置換を含む機能的誘導体であって、シトクロムcとしての機能を有するポリペプチドをコードする本発明のDNAは、さらに、アルコール/アルデヒド脱水素酵素活性を有するポリペプチドをコードするDNAを含む。。
(3)本発明のDNAを含むベクターによって形質転換された宿主細胞において、該DNAは宿主細胞のゲノムに組み込まれていてもよい。
(4)前記宿主細胞は、真核生物起源、好ましくは哺乳動物細胞または植物細胞であってよい。
(5)また、前記宿主細胞は、原核生物起源、好ましくは細菌であってよい。
(6)前記宿主において細菌は、大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacter xylinum)、アセトバクター・パストゥリアヌス(Acetobacter pasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacter aceti)、アセトバクター・ハンセニイ(Acetobacter hansenii)およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)からなる群から選択することができる。
(7)グルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacter oxydans)の好適な菌株としては、DSM第4025号として寄託されている菌株が挙げられる。
【0037】
本発明のシトクロムc551は、下記に例示するように、電子伝達の全体的効率を改善するために、AADHをコードするDNA配列を用いて構築されたAADH-シトクロムc551複合体などの蛋白質-蛋白質複合体の材料として用いることもできる。
【0038】
【実施例】
実施例 1 シトクロム c551 I および II の調製
別に特記しない限り、すべての操作は4℃で実施した。
(1)G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号の培養
8%L-ソルボース(別滅菌)、0.05%グリセリン、0.25%MgSO4・7H2O、1.75%コーンスチープリカー、5.0%パン酵母、0.5%CaCO3および0.5%尿素(別滅菌)を含むpH7.0の種培地を試験管に分注した(各5ml)。試験管内の種培地に、5.0%D-マンニトール、0.25%MgSO4・7H2O、1.75%コーンスチープリカー、5%パン酵母(オリエンタル酵母)、0.5%CaCO3、0.5%尿素(別滅菌)および2.0%寒天を含むpH7.0(滅菌前)のNS2寒天培地上で4日間27℃で増殖させたG. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号を1白金耳接種し、30℃で24時間振盪培養した。得られた種培養を、容量500mlの三角フラスコに入れた上記と同一の種培地100mlに移し、280rpmで回転させながら30℃で24時間培養した。上記のようにして調製した種培養の各25mlを、容量2000mlの三角フラスコに入れた10%L-ソルボース(別滅菌)、0.05%グリセリン、1.6%尿素(別滅菌)、0.25%MgSO4・7H2O、6.25%パン酵母、1.5%CaCO3(製造等級、ナカライテスク)および3%コーンスチープリカーを含むpH7.5(滅菌前)の生産培地500mlに移し、180rpmで回転させながら30℃で35〜40時間培養した。培養後、パン酵母細胞およびCaCO3などの固形物を2回の低速遠心処理(500×g、15分間)によって除去した。続いて、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号の菌体を10,000×g、15分間の遠心処理によって回収した。菌体を、25mM Tris-HCl、0.9%NaCl、0.09%KCl、10mM CaCl2、5mM MgCl2、5%ショ糖および1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)、pH8.0中に再懸濁し、細胞懸濁液に500×g、15分間の遠心処理を施して固形物を除去し、続いて10,000×g、15分間の遠心処理によって菌体を回収し、使用時まで-20℃で保存した。
(2)可溶性画分の調製
培養物10リットルから得た菌体(湿重量40g)を、60mlの25mM Tris、5mM CaCl2、pH8.0に懸濁し、フレンチプレス(1500 kg/cm2)による通過処理を2回行うことによって破壊した。溶液にDNaseおよびMgCl2を最終濃度がそれぞれ0.01mg/mlおよび1mMとなるように添加し、6000×g、10分間の遠心処理によって細胞片を除去した。上記のようにして調製した無細胞抽出物(総蛋白8,800mg)から、100,000×g、90分間の超遠心処理によってシトクロムを含む可溶性画分を分離し、25mM Tris、5mM CaCl2、pH8.0に対して透析した。
(3)DEAE-トヨパール650Mカラムクロマトグラフィー
この可溶性画分を、25mM Tris、5mM CaCl2、pH8.0によって平衡化したDEAE-トヨパール650M(東ソー;2.5ID.×45cm)のカラムにかけた。同緩衝液400mlでカラムを洗浄した後、0〜0.5M NaClの直線濃度勾配を有する緩衝液2000mlによって溶出させた。NaCl濃度0.13Mの近傍で認められる、412nmと480nmの吸収の差においてピークを示す濃赤色のバンドを主要なシトクロム画分として回収した。
(4)ブチル-トヨパール650Sカラムクロマトグラフィー
上記の主要なシトクロム画分を、同容量の25mM Tris、80%飽和(NH4)2SO4、pH8.0をゆっくりと攪拌しながら添加して希釈し、10,000×g、15分間の遠心処理によって不溶物を除去した後に、25mM Tris、40%飽和(NH4)2SO4、pH8.0によって平衡化したブチル-トヨパール650S(東ソー; 2.5ID.×20cm)のカラムにかけた。同緩衝液200mlでカラムを洗浄した後、40〜0%飽和(NH4)2SO4の直線濃度勾配を有する緩衝液1000mlによって溶出させた。20%飽和(NH4)2SO4の濃度の近傍で溶出されるシトクロムのバンドを回収し、窒素ガス下でPM-10限外濾過器を用いて2.5mlに濃縮した。
(5)セファクリルS-100HRゲル濾過
上記のシトクロム画分を、25mMリン酸ナトリウム、0.2M NaCl、pH7.2によって平衡化したセファクリルS-100HR(ファーマシアバイオテク、Uppsala、スウェーデン;2.5ID.×90cm)のカラムに載せた。同緩衝液によってカラムを展開し、約19kDaの分子量を示すシトクロムcのバンドを回収した。
(6)ヒドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフィー
上記の主要シトクロム画分を、0.2mMリン酸ナトリウム/pH6.8に対して十分に透析した後に、0.2Mリン酸ナトリウム(pH6.8)によって平衡化したヒドロキシルアパタイトのカラム:HCA-100S(3.3×20cm;三井東圧化学)にかけた。同緩衝液200mlでカラムを洗浄後、直線濃度勾配を有する0.2〜18mMリン酸ナトリウム2000ml(pH6.8)によって溶出させた。勾配処理の間にシトクロムは2つの赤色バンドに分かれて溶出された。このため、早い方のピークおよび遅い方のピークをそれぞれシトクロムc551 IおよびIIと命名した。それぞれのシトクロムを25mM MOPS、0.2M NaCl/pH7.5に対して透析し、窒素ガス下でPM-10限外濾過器(ミリポア、米国マサチューセッツ州ベッドフォード)を用いて2.0mlに濃縮し、-80℃で保存した。最終的に、総細胞蛋白質8800mgからシトクロムc551 Iが37.4mg、シトクロムc551 IIが42.6mg得られた。
(7)シトクロムc551 IおよびIIの純度
ヒドロキシルアパタイトカラムクロマトグラフィー(最終精製段階)では、各シトクロムは280/410nm間で一定の吸収比を有する単一のピークとして溶出された。SDS-および未変性PAGE分析では、各シトクロムは染色すると単一の蛋白質バンド、染色しない場合には1つの可視性の赤色バンドを示した。シトクロムc551 IおよびIIの分子量は、SDS-PAGE分析ではそれぞれ18.0+/-1.0および16.8+/-1.0kDaと測定された。
(8)精製されたシトクロムc551 IおよびIIのG. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号のAADHからの電子受容能
以下に定義および精製される蛋白質を含む2-KGA生産系を再構築した。本システムは、12μM AADH(欧州特許第606621号明細書においてA. AsakuraおよびT. Hoshinoによって記載された方法によってG. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号から精製されたもの)、14.4μMシトクロムc551 IおよびII(1:1混合物)、250μMウマ心臓タイプVIシトクロムc(シグマ社、米国ミズーリ州セントルイスから購入)、12.5 単位/ml aa3型ウシ心臓シトクロムcオキシダーゼ(シグマ社から購入)ならびに50mg/ml L-ソルボース、5mg/mlウシ血清アルブミン(フラクションV、シグマ社から購入)および0.2M NaClを含む50mM MOPS緩衝液、pH7.5からなる。この2-KGA生産系では、ウマ心臓タイプVIシトクロムcおよびaa3型ウシ心臓シトクロムcオキシダーゼが、細菌のシトクロムc、すなわちシトクロムc551 IおよびIIの再酸化を酸素還元を伴って触媒した。好気性インキュベーションによる25℃、15時間の反応の後には約8mMの2-KGAが蓄積した。しかし、シトクロムc551 IおよびIIの非存在下では、2-KGAの蓄積量は0.2mM未満であった。このシトクロムc551 IおよびII依存性2-KGA生産は、シトクロムc551 IおよびIIがAADHの2-KGA生産触媒系において有効な電子受容体であることを示している。
実施例 2 シトクロム c551 遺伝子のクローニング
(1)PCR法による部分的シトクロムc551遺伝子の増幅
精製されたシトクロムc551蛋白質のアミノ酸配列に従い、アプライド・バイオシステムズ社製381A DNA合成装置(米国)を用いて合成された、図2に示したプライマーc1、c5、c6およびそれらのアンチセンス配列(c1R、c5R、c6R)を用いてPCRを実施した。PCR反応は、ジーンアンプ(GeneAmp)(登録商標)DNA増幅試薬キット(宝酒造)をパーキンエルマーシータスインスツルメンツ(Perkin-Elmer Cetus Instruments)社製サーマルサイクラー(Thermal Cycler)とともに製造者の推奨に従って用いることによって実施した。反応は、1)94℃での1分間の変性段階、2)48℃または40℃での2分間のアニーリング段階、および3)72℃での3分間の合成段階、の30回のサイクルで行った。この反応混合物(50μl)は、緩衝液中に、200μMのdNTP、6.4μMの各プライマー(32縮退)、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号の染色体DNA 250ng、およびTaqポリメラーゼ2.5単位を含む。このPCR産物を32Pによって標識する際には、反応混合物に200μMのdCTPの代わりに0.74MBeqの[a-32P]dCTPおよび40μMのdCTPを添加した。プライマーc5およびc1Rを用いるPCRでは50bpのDNAが生じたが、その他のプライマーの組み合わせでは全くDNAのバンドが生じないか、多数のDNAバンドが生じた。
(2)PCRで増幅された50bp DNA断片のクローニングおよび塩基配列決定
PCRによって増幅された50bpのDNA断片をpUC18のSmaI部位にクローニングし、ジデオキシチェーンターミネーション法(Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 74:5463〜5467、1977)によって塩基配列を決定した。決定されたこの50bp断片の塩基配列は、
Figure 0004221075
(配列表の配列番号:6)であった。
【0039】
この塩基配列の第1フレームから演繹されるアミノ酸配列(IleAsnAsnLysTyrAlaAspLysProLeuLeuAspTyrPheAsnTyrThr)は、プライマーの調製のために用いたアミノ酸配列(IleAsnAsnLysTyrAla、AspTyrPheAsnTyrThr)を含む。
(3)50塩基オリゴヌクレオチドをプローブとして用いての、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号の染色体DNAのサザンブロット分析
EcoRIなどの種々の制限酵素によって消化したG. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号の染色体DNAを用いて調製したサザンブロットを、上記の50塩基に関する配列情報に基づいてDNA合成装置で合成して32Pによって標識した50塩基長オリゴヌクレオチドによるプローブ処理を行った。このプローブは2.5kbのEcoRI断片のみとハイブリダイズした。この結果は、シトクロムc551が染色体DNA上の1つの遺伝子のみから産生されることを示す。
(4)完全長シトクロムc551遺伝子を含む2.5kbのEcoRI断片のクローニング
G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号の染色体DNAをEcoRIによって完全に消化し、得られた断片をアガロースゲル電気泳動にかけた。長さが2.5kb付近(2〜3.5kb)のDNA断片を切り取ってゲルから溶出させた。回収したDNA断片をEcoRIで消化したpUC18ベクターと連結させ、大腸菌JM109を形質転換させた。約1000種の形質転換株が得られ、32Pで標識した50塩基長のオリゴヌクレオチドをプローブとして用いるコロニーハイブリダイゼーションによってこれらをスクリーニングした。その結果、強いシグナルを示す1つのコロニーが得られた。このコロニーからプラスミドDNAを抽出し、EcoRIによって消化したところ、2.5kbのEcoRI断片が強いシグナルを示した。このプラスミドをpGOC201と命名した。この2.5kbのEcoRI断片もベクターpVK100(Knauf, V.C.ら、Plasmid 8:45〜54、1982)にクローニングし、それぞれ反対方向に2.5kbのEcoRI断片を有するプラスミドpGOC101およびpGOC101Rを作製した。
(5)完全長シトクロムc551遺伝子の塩基配列決定
ジデオキシチェーンターミネーション法によってシトクロムc551遺伝子の塩基配列を決定した。1.7kbのEcoRI-SmaI断片の塩基配列を決定したところ、断片中に1つのオープンリーディングフレーム(配列表の配列番号:1に示した配列中に存在する507bpのORF)が認められた。このORFは、シトクロムc551の消化物に由来するペプチド断片のアミノ酸配列に一致する3つの配列(配列表の配列番号:3〜5)を含む、168アミノ酸からなる蛋白質(配列表の配列番号:2)をコードしていた。また、このORFは典型的なシグナル配列も含んでいた。このシグナル配列はおそらくALA残基の後方で切断されて、25残基からなるMetLysAsnLysThrThrLeuGlyGlyAlaLeuAlaLeuAlaAlaLeuLeuAlaGlyThrThrGlyAlaLeuAlaおよび143残基からなる成熟配列が生じると思われる。この配列から算出された成熟シトクロムc551の分子量は14,836であった。この値は、SDS-PAGEによって推定されたシトクロムc551 IおよびIIの見かけの分子量(18,000および16,800)よりも幾分小さかった。成熟型蛋白質の中央部(残基51から55まで)には、ヘム結合性コンセンサス配列CysXaaXaaCysHisの1つとしてCysAlaSerCysHisが認められた。
(6)PCR法によるシトクロムc551遺伝子のサブクローニング
上記のORF(507bp)の117bpの5'隣接配列および120bpの3'隣接配列を含む744bpの断片を、EcoRI部位をタグ付加したプライマーを用いるPCRによって増幅した。増幅された断片をベクターpVK100にクローニングすることによって、それぞれ反対方向に744bpの断片を有するプラスミドpGOC102およびpGOC102Rを作製した。この744bp断片のpMMB22(Bagdasarian, M.ら、Gene 26:273〜282、1983)へのクローニングによって、プラスミドpGOC402を作製した。
実施例 3 大腸菌、 P. プチダ( putida )および G. オキシダンス( oxydans DSM 4025 号におけるシトクロム c551 遺伝子の発現
(1)大腸菌におけるシトクロムc551遺伝子の発現
pGOC402またはpMMB22を有する大腸菌JM109の無細胞抽出物を、ウエスタンブロット分析にかけた。大腸菌菌体は50μg/mlのアンピシリンを加えたLB中で一晩増殖させ、続いてその1%を新鮮培地5mlに接種した。4時間培養した後、培養物にイソプロピル-β-D-チオガラクトピラノシド(IPTG)を最終濃度1mMとなるように添加するか、または添加せずに、それぞれをさらに1時間培養した。細胞を回収し、水に懸濁させた。蛋白質濃度を決定した後、その細胞懸濁液を濃度が2mg蛋白質/mlとなるように、62.5mM Tris-HCl(pH6.5)、10%グリセリン、2%SDSおよび5% β-メルカプトエタノールを含むレムリ(Laemmli)緩衝液で希釈し、3分間煮沸した。無細胞抽出物30μgをSDS-ポリアクリルアミドゲル(15%)電気泳動にかけた。ゲル上に得られた蛋白質バンドを、半乾燥式エレクトロブロッティング装置(Trans-blot SD,バイオラッド、米国カリフォルニア州ハーキュリーズ)を25Vで1時間、20%メタノールを含む2.5mM Tris-19.2mMグリシン緩衝液、pH8.6中で、ニトロセルロースフィルターにブロットした。シトクロムc551蛋白質を、抗シトクロムc551抗血清、ヤギ抗ウサギIgG-西洋ワサビペルオキシダーゼ複合体、過酸化水素、および発色剤で、製造者(コニカ)の推奨に従って処理することによって可視化した。IPTG誘導または非誘導下で調製したpGOC402を有する細胞は、2つの陽性バンド(無細胞抽出物30μg中にそれぞれ合計で約30ngまたは10ngのシトクロムc551)を示したが、pMMB22を有する細胞はそれらを発現しなかった。これらのバンドのRf値は精製されたシトクロムc551 IおよびIIのそれと一致しており、このことからシトクロムc551 IおよびIIが1つの遺伝子から発現され、翻訳後または転写後に修飾されることが示された。
(2)P. プチダ(putida)におけるシトクロムc551の発現
まず、三親(triparental)接合交配法によって、pGOC402およびpMMB22をナリジクス酸耐性(Nalr)のP. プチダ(putida)ATCC 21812に以下のようにして導入した。NalrのP. プチダ(putida)ATCC 21812の菌体を、2.5%マンニトール、0.5%酵母エキス(Difco Laboratories, 米国ミシガン州デトロイト)および0.3%バクトトリプトン(Difco)を含むMB培地5ml中にて30℃で培養した。供与菌株である、pGOC402(ストレプトマイシン耐性:Smr)またはpMMB22(Smr)を有する大腸菌JM109、およびヘルパー菌株である、pRK2013(Kmr, Figurski, D.H., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 76:1648〜1652、1979)を有する大腸菌HB101を、適切な抗生物質を含むLB培地中にて37℃で一晩増殖させた。これらの培養物(各2ml)を別々に遠心処理し、細胞ペレットを別々にMB培地2ml中に懸濁した。細胞懸濁液の各100μlを混合し、混合された細胞懸濁液50μlを、5%フルクトース、1%酵母エキス(Difco)、1%ポリペプトン(和光純薬工業株式会社)および1.8%寒天からなるFB寒天培地の表面に配置したニトロセルロースフィルター上に滴下した。このプレートを27℃で一晩インキュベートした。得られた細胞を50μg/mlナリジクス酸および50μg/mlストレプトマイシンを含むMB寒天培地(MNS寒天平板培地)上に播いた。このようにして得られた接合体(transconjugant)をMNS寒天平板培地にすじ状に接種して精製し、大腸菌およびプラスミドを含まないP. プチダ(putida)の細胞を除去した。
【0040】
50μg/mlストレプトマイシンを含み、10mM IPTGを添加、または添加していないMB培地中で一晩増殖させた細胞から、pGOC402またはpMMB22を有するP. プチダ(putida)の接合体の無細胞抽出物を調製し、実施例3-1に記載したようにウエスタンブロットを行った。IPTG誘導下または非誘導下で調製したpGOC402を有する細胞は、2つの陽性バンド(無細胞抽出物20μg中にそれぞれ合計で約30ngまたは10ngのシトクロムc551)を示したが、pMMB22を有する細胞はそれらを発現しなかった。
(3)GOS2RおよびGORS6-35におけるシトクロムc551の発現
pVK100中にシトクロムc551遺伝子をそれぞれ別の方向に含むプラスミド(pGOC101およびpGOC101R)を、三親接合交配法によって、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号のリファンピシン耐性誘導株であるGOS2R(T. Hoshinoら、欧州特許出願第9611500.8号明細書)に導入した。GOS2R細胞を、3%トリプチケースダイズブロス(ベクトン・ディッキンソン、米国メリーランド州コッキスビル)および0.3%酵母エキス(Difco Laboratories、米国ミシガン州デトロイト)を含み、100μg/mlリファンピシンを添加したT培地10ml中にて30℃で培養した。供与菌株である、pGOC101(Tcr)、pGOC101R(Tcr)またはpVK102(Kmr)を有する大腸菌HB101、およびヘルパー菌株である、pRK2013(Kmr)を有する大腸菌HB101を、適切な抗生物質を含むLB培地中にて37℃で一晩増殖させた。得られたこれらの培養物(GOS2R培養物10mlおよび大腸菌培養物2ml)を別々に遠心処理し、細胞ペレットを別々にT培地2ml中に懸濁した。細胞懸濁液の各100μlを混合し、混合された細胞懸濁液50μlを、実施例1-(1)に記載したNS2寒天培地の表面上に配置したニトロセルロースフィルター上に滴下した。このプレートを27℃で一晩インキュベートした。得られた細胞を、100μg/mlリファンピシンおよび3μg/mlテトラサイクリンを含むT寒天培地(TRT寒天平板培地)上に播いた。このようにして得られた接合体をTRT寒天平板培地上にすじ状に接種して精製し、大腸菌およびプラスミドを含まないGOS2Rを除去した。NS2寒天平板培地上で増殖させた接合体を、実施例3-(1)のようにウエスタンブロット分析にかけた。図3は、pGOC101またはpGOC101Rを有するGOS2Rが、pVK102を有するGOS2Rよりもより多くの免疫学的に陽性な蛋白質を産生したことを示している。増幅比は約2倍であると思われた。
【0041】
プラスミドpGOC101およびpGOC102を、上記の三親接合交配法によって、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号のリファンピシン耐性誘導株であるGORS6-35(L-ソルボースから2KGAの高産生株、T. Hoshinoら、欧州特許出願第9611500.8号明細書)に導入した。プラスミドpGOC101は低率(1受容菌当たり<10-8の接合体)でしか導入されなかったが、プラスミドpGOC102はより高率に導入された(1受容菌当たり約10-4接合体)。pGOC101を有する典型的な接合体の1つであるGORS6-35(pGOC101)-1は、表1に示すように、その増殖性およびプラスミド安定性(50%)が極めて低く、このことから、シトクロムc551遺伝子の存在または発現はこの宿主の増殖に対して抑制効果を有し、この結果として増殖中にプラスミドを含まない細胞が増幅されたことが示唆された。もう1つの接合体であるGORS6-35(pGOC101)-2は、30μg/mlテトラサイクリンを含むNS寒天培地上への移行を複数回行った後に、良好な増殖性および極めて高いプラスミド安定性(>99%)を示すように変化した。増殖性におけるこの自然変化は、シトクロムc551の過剰発現によるストレスに対する宿主の適応に起因するものと考えられた。これとは対照的に、pGOC102を有する接合体は良好な増殖性および高いプラスミド安定性(88%)を示した。
【0042】
10%L-ソルボースを含む生産培地中で増殖した菌株におけるシトクロムc551の含量を、還元条件と酸化条件との差のスペクトルによって定量的に測定した。シトクロムc551の定量分析は島津製UV-2200分光光度計を用いて以下の通りに実施した。GORS6-35の誘導菌株を、実施例1に記載したパン酵母細胞を含む生産培地中にて4日間培養した。CaCO3およびパン酵母細胞を1,000rpm、10分間の遠心処理を2回行うことで除去し、8,000rpm、10分間の遠心処理によって細胞を回収した。回収した細胞を、5mM MgCl2を含む50mM Tris-HCl(pH7.5)で洗浄し、同緩衝液5ml中に再懸濁させた。この細胞懸濁液をフレンチプレッシャー細胞破砕器(French pressure cell disruptor)(1500kg/cm2)に2回通過させた後、5,000rpm、10分間の遠心処理によって細胞片を除去した。得られた粗抽出物に45,000rpm、1時間の超遠心処理を行った。この上清を、還元条件と酸化条件との差のスペクトルによるシトクロムc551含量の決定に用いた。シトクロムを酸化するためには、2mMフェリシアン化カリウムを含む100mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)によって試料を処理し、還元のためには、フェリシアン化物の代わりに0.1%水素化ホウ素ナトリウムによってそれを処理した。上清におけるシトクロムc551(C)の濃度は以下の式によって得られる:
C=E((A551−A541)red−(A551−A541)ox)
E=(モル吸光係数)=19.1mM-1cm-1
GORS6-35(pGOC101)-1、GORS6-35(pGOC101)-2、GORS6-35(pGOC102)またはGORS6-35(pVK102)におけるシトクロムc551の発現レベルを表1に示した。GORS6-35(pGOC101)-2およびGORS6-35(pGOC102)のシトクロムc551の発現量は、GORS6-35(pVK102)のそれぞれ1.6倍および1.3倍であった。
【0043】
【表1】
Figure 0004221075
*含量はシトクロムc551 IおよびIIの両方を含む。
【0044】
pGOC102を有するGORS6-35におけるシトクロムc551の含量の増加から、シトクロムc551遺伝子の本来のプロモーターはおそらくその構造遺伝子の117bp上流以内に存在すると思われた。
実施例 4 シトクロム c551 増幅 GORS6-35 における L- ソルボースからの 2KGA の産生
B. メガテリウム(megaterium)DSM第4026号(欧州特許第0278477号明細書)を、SCM寒天傾斜培地(表2)からSCM150mlに接種した。同じSCM種培地に対して、30μg/mlテトラサイクリンを含むNS2寒天培地で培養したGORS6-35(pGOC101)-2もしくはGORS6-35(pVK102)細胞、またはNS2寒天培地で培養したGORS6-35もしくはG. oxydans DSM第4025号を接種した。培養液のpHが6.5と6.0との間となるまで30℃で種培養を続けた。これには通常15〜24時間を要した。種培養液の一部(7.5ml)を、容量500mlの三角フラスコに入れた生産培地(表3)50mlに接種した。これらの主発酵は、回転振盪器によって180rpmで回転させながら30℃で5日間実施した。表4に示すように、GORS6-35(pGOC101)-2を用いた混合発酵では、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号、GORS6-35およびGORS6-35(pVK102)の場合よりも良好な2KGA生産性が得られ、11%L-ソルボースからの2KGA産生はより迅速であり、14%L-ソルボースからはより迅速な産生およびより高い収率が得られた。この組換え菌株は11%L-ソルボースから3日間で105.1g/lの2KGAを産生し、14%L-ソルボースからは4日間および5日間でそれぞれ130.8g/lおよび133.3g/lを産生したが、一方、対照ベクターであるGORS6-35(pVK100)は11%L-ソルボースから3日間で96.3g/lの2KGAを産生し、14%の場合には4日間および5日間でそれぞれ99.9g/lおよび112.6g/lを産生した。
【0045】
【表2】
Figure 0004221075
Figure 0004221075
*:CaCO3はpH調整後に添加した。
500mlの三角フラスコ中培地150ml。
SCM寒天傾斜培地の場合には、SCM培地に寒天2%を添加した
【0046】
【表3】
Figure 0004221075
Figure 0004221075
*:L-ソルボースおよび尿素は別々にオートクレーブ処理にかけた。
**:CaCO3はpH調整後に添加した。
500mlの三角フラスコ中培地100ml。
【0047】
【表4】
Figure 0004221075
実施例 5 シトクロム c551 遺伝子および G. オキシダンス( oxydans DSM 4025 号の AADH 遺伝子を有する P. プチダ( putida )の接合体による 2KGA の産生
Nalr P. プチダ(putida)ATCC 21812の4種類の接合体、すなわちpSSA102R(G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号からクローニングされた、L-ソルボースを2KGAに変換するAADHをコードする遺伝子である酵素A遺伝子を含む2.7kbのDNA断片を有するベクターpVK100;T. Hoshinoら、欧州特許出願第9611500.8号)およびpGOC402を有するP. プチダ(putida)、pVK102およびpGOC402を有するP. プチダ(putida)、pSSA102RおよびpMMB22を有するP. プチダ(putida)、ならびにpVK102およびpMMB22を有するP. プチダ(putida)を、実施例3-(2)のように三親接合交配によって作製した。10μg/mlテトラサイクリンおよび50μg/mlストレプトマイシンを含むMB寒天培地上で維持したこれらの4種類の接合体の細胞を、10μg/mlテトラサイクリン、50μg/mlストレプトマイシンおよび10mM IPTGを添加したMB培地10mlに接種し、30℃で18時間インキュベートした。得られた細胞を遠心処理し、0.9%NaClで洗浄した。20 OD600単位の細胞、4%L-ソルボース、0.3%NaCl、1%CaCO3、1μg/mlピロロキノリンキノン(PQQ)からなる休止細胞反応混合物を30℃で振盪しながら48時間インキュベートした。pSSA102RおよびpGOC402を有するP. プチダ(putida)によって産生された2KGAの量は36.4g/lであり、一方、他の3種の菌株では0.5g/lを下回った。シトクロムc551の発現により、G. オキシダンス(oxydans)DSM第4025号のAADHからP. プチダ(putida)の電子伝達系への生理的連関が提供された。
実施例 6 AADH- シトクロム c551 複合体
AADH-シトクロムc551複合体をコードする遺伝子を有するプラスミドを図4に示すように構築した。ここでは、酵素A/B3および酵素Bの遺伝子(T. Hoshinoら、欧州特許出願第9611500.8号)をAADH遺伝子として用いた。AADHとシトクロムc551との間のリンカーは、A. アセチ(aceti)のADH(Inoueら、J. Bacteriol. 171:3115〜3122、1989)を模して作製した。このプラスミドをNalr P. プチダ(putida)ATCC 21812に導入し、得られた接合体を、AADHまたはシトクロムc551に対して調製した抗体を用いるウエスタンブロット分析に供した。分析の結果、作製された複合体は1分子中にAADHおよびシトクロムポリペプチドの両方を含むことが示された。酵素A/B3-シトクロムc551複合体の遺伝子、および酵素B-シトクロムc551複合体の遺伝子を有する接合体を、実施例5のように休止細胞反応に用いた。その結果、40時間で、前者の接合体は40g/lのL-ソルボースから7.8g/lの2KGAを産生し、後者は40g/lのD-ソルビトールから9.0g/lのL-ソルボースを産生した。
【0048】
【発明の効果】
本発明により、電子受容体としての機能を有する蛋白質ファミリーに属する新規なシトクロムcおよびその遺伝子が提供された。本発明の新規なシトクロムcは、アルコ−ルおよびアルデヒド脱水素酵素などの脱水素酵素の電子受容体として有用である。
【0049】
【配列表】
Figure 0004221075
Figure 0004221075
Figure 0004221075
Figure 0004221075

【図面の簡単な説明】
【図1】 シトクロムc551 IおよびIIの吸収スペクトルを示す図である。試料の蛋白質濃度はいずれも0.4mg/mlであった。実線および破線はそれぞれ還元型および酸化型のスペクトルである。
【図2】 天然型シトクロムc551 IIから単離されたペプチドおよび合成されたオリゴヌクレオチドの配列を示す図である。図中、Aは、それぞれ天然型シトクロムc551 IIのペプチド配列を示す。下線を施した配列c1、c5およびc6はオリゴヌクレオチドの調製のために用いた。後にペプチドIIIはペプチドIの頭部にある配列であることが判明した。図中、Bはプローブおよびプライマーとして合成したオリゴヌクレオチドを示す。
【図3】 シトクロムc551遺伝子を含むプラスミドを有するGOS2Rのウエスタンブロット分析の結果を示す図である。各レーンにおいて、無細胞抽出物5μgを用いた。レーン1はGOS2R (pGOC101R)、レーン2はGOS2R (pGOC101)、レーン3はGOS2R (pVK102)、およびレーンCは精製シトクロムc551 IおよびII(各50ng)を示す。
【図4】 C末端にシトクロムc様配列を有するアセトバクター・アセチ(A.aceti)のアルコール脱水素酵素(ADH)を模して作製したアルコール/アルデヒド脱水素酵素(AADH)-シトクロムc551接合蛋白質の発現に用いたプラスミドの調製を示す図である。図中、*1において、ADHの脱水素酵素ドメインとシトクロムドメインとの間の配列(成熟型ADHのアミノ酸582から595までに対応するPALNNRGFLPVKPP)を、AADHドメインとシトクロムc551ドメインとを連結させるためのリンカーとして用いた。また、*2において、3つの部分(AADH、リンカーおよびシトクロムc551)を連結させるために制限部位NheIおよびBamHIを導入した。

Claims (9)

  1. 原核生物または真核生物の宿主細胞における発現において、シトクロムc551のアルコール脱水素酵素またはアルデヒド脱水素酵素の電子受容体としての生物学的特性を少なくとも有するポリペプチドをコードするDNAを含むDNAであって、該DNAが、
    (a)配列番号:1で表されるDNAまたはその相補鎖、
    (b)配列番号:1で表されるDNAの相補鎖とハイブリダイズするDNA、および
    (c)配列番号:2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするDNA、
    の中から選択されるDNA。
  2. アルコール脱水素酵素またはアルデヒド脱水素酵素の電子受容体としてのシトクロムc活性を有し、請求項1に記載のDNAによってコードされるポリペプチド。
  3. それぞれ以下の物理化学的特性を示すシトクロムc551I及びIIからなる群から選択され、グルコノバクター属に属する微生物から得られるまたは得られた、アルコール脱水素酵素またはアルデヒド脱水素酵素の電子受容体としてのシトクロムc活性を有するポリペプチド:
    (a)シトクロムc551I:
    (a)分子量:ゲル濾過では約19.0±1kDa、SDS−PAGE分析では約18.0±1.0kDa、
    (b)吸収スペクトル:還元型はそれぞれα、βおよびγピークとして551nm、522nmおよび417nmで最大吸収を示す、
    (c)ヘム含量:ヘム約1モル/蛋白質1モル、
    (d)等電点:約3.95、および
    (b)シトクロムc551II:
    (a)分子量:ゲル濾過では約19.0±1kDa、SDS−PAGE分析では約16.8±1.0kDa、
    (b)吸収スペクトル:還元型はそれぞれα、βおよびγピークとして551nm、522nmおよび417nmで最大吸収を示す、
    (c)ヘム含量:ヘム約1モル/蛋白質1モル、
    (d)等電点:約3.95。
  4. 請求項1に記載のDNAを含む原核生物または真核生物宿主細胞における発現に適したベクター。
  5. 請求項4に記載のベクターによって形質転換された、または請求項1に記載のDNAがそのゲノムに組み込まれた、宿主細胞。
  6. 大腸菌、シュードモナス・プチダ(Pseudomonasputida)、アセトバクター・キシリナム(Acetobacterxylinum)、アセトバクター・パストゥリアヌス(Acetobacterpasteurianus)、アセトバクター・アセチ(Acetobacteraceti)、アセトバクター・ハンセニイ(Acetobacterhansenii)、およびグルコノバクター・オキシダンス(Gluconobacteroxydans)等の細菌からなる群より選択される、請求項5に記載の宿主細胞。
  7. グルコノバクター・オキシダンスDSMNo.4025である、請求項6に記載の宿主細胞。
  8. 請求項5〜7のいずれか一項記載の宿主細胞を適当な培地で培養し、その培養物からシトクロムc551を回収することを含む、シトクロムc551の製造方法。
  9. ビタミンCを製造するための、請求項2、または3に記載のシトクロムc551の使用。
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