JP4219594B6 - プラズマディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ装置及びその駆動方法に関し、特に簡単な回路変更で表示輝度を向上させたプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面ディスプレイとしてプラズマディスプレイ装置(PDP装置)が実用化されており、高輝度の薄型ディスプレイとして期待されている。PDP装置には各種の方式があるが、3電極面放電AC型PDP装置が一般的であり、ここでもこれを例として説明する。
【0003】
ディスプレイには、1つのフィールドですべての表示ラインを表示するノンインターレース方式と、奇数番目の表示ラインを表示する奇数フィールドと偶数番目の表示ラインを表示する偶数フィールドを交互に表示するインターレース方式がある。通常のテレビジョン放送はインターレース方式で行われ、コンピュータ用のディスプレイなどはノンインターレース方式で表示を行うのが一般的である。ノンインターレース方式は、表示ラインを連続して表示するのでプログレッシブ方式と呼ばれるので、ここでもこの語を使用する。
【0004】
図1は、インターレース方式の表示ラインを示す図であり、(A)は奇数フィールドを、(B)は偶数フィールドを示す。奇数フィールドでは奇数番目の表示ラインが表示され、偶数フィールドでは偶数番目の表示ラインが表示される。
【0005】
近年、各種の方式のプラズマディスプレイ装置が提案されている。その中でも特に特許第2801893号に開示されたALIS(Alternate Lighting of Surfaces)が注目されている。ALIS方式は、従来方式と同じ表示電極数で表示ライン数が2倍になるので高精細のPDP装置を低コストで実現できるという特徴がある。
【0006】
図2は、特許第2801893号に開示されたALIS方式のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。図示のように、ALIS方式のPDP装置は、サスティン電極を構成する第1電極(X電極)X1,X2,…及び第2電極(Y電極)Y1,Y2,…と、アドレス電極A1,A2…とが設けられたパネル1と、制御回路21と、アドレスドライバ22と、走査ドライバ23と、奇数Yサスティン回路24と、偶数Yサスティン回路25と、奇数Xサスティン回路26と、偶数Xサスティン回路27と、電源回路29とを備える。
【0007】
図3は、ALIS方式のPDP装置のアドレス期間における走査順の例を示す図である。図3(A)の例は、奇数フィールドにおいては、1番目、3番目、5番目…の表示ラインの順に点灯画素を選択する書き込み(アドレス処理)を行い、偶数フィールドにおいては、2番目、4番目、6番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行う。図3(B)の例は、奇数フィールドにおいては、1番目、5番目、9番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行った後、3番目、7番目、11番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行い、奇数フィールドのアドレス処理が終了する。偶数フィールドにおいては、2番目、6番目、10番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行った後、4番目、8番目、12番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行い、偶数フィールドのアドレス処理が終了する。図3(A)の例に比べて図3(B)の例の方がアドレス期間におけるX電極とY電極に印加するパルス数を低減でき、消費電量を低減できるという利点がある。
【0008】
図4は、ALIS方式のPDP装置の駆動波形の例を示す図であり、アドレス期間において図3(B)の走査順でアドレス処理を行う場合の例である。図4の(A)に示すように、奇数フィールドの各サブフィールドでは、リセット期間において、X電極に正の電圧を印加し、Y電極に0Vを印加した状態でアドレス電極に高電圧を印加してそれまでの状態にかかわらず全画素でリセット放電を発生させ、全画素を同じ状態にする。アドレス期間の前半では、奇数番目のX電極には正の小電圧を印加し、偶数番目のX電極には0Vを印加し、偶数番目のY電極には負の小電圧を印加した状態で、奇数番目のY電極に順次走査パルスを印加する。これに同期してアドレス電極に点灯画素を選択するアドレスパルスを印加する。これにより点灯画素ではアドレス放電が発生して壁電荷が蓄積される。アドレス期間の後半では、奇数番目のX電極には0Vを印加し、偶数番目のX電極には正の小電圧を印加し、奇数番目のY電極には負の小電圧を印加した状態で、偶数番目のY電極に順次走査パルスを印加し、それに同期してアドレス電極に点灯画素を選択するアドレスパルスを印加する。これにより点灯画素に壁電荷が蓄積される。サスティン期間では、奇数番目のY電極と偶数番目のX電極の組と、偶数番目のY電極と奇数番目のX電極の組に交互にサスティンパルスを印加して、アドレス処理で選択した点灯画素でサスティン放電を発生させ、表示を行う。サスティンパルス数、すなわちサスティン期間の長さでサブフィールドの表示輝度が決定される。以上のようにして、奇数番目の表示ラインの表示が行われる。
【0009】
図4の(B)に示すように、偶数フィールドの各サブフィールドでは、奇数番目と偶数番目のX電極とY電極で印加される電圧が逆になるが、図4の(A)と類似の動作が行われ、偶数番目の表示ラインの表示が行われる。以上のようにして、特許第2001893号に開示されたALIS方式のPDP装置は、インターレース方式で駆動される。
【0010】
ALIS方式のPDP装置の各要素の構成及び動作については、特許第2001893号に開示されているので、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0011】
PDP装置がブラウン管TVに劣る点の一つに、ピーク輝度が低いことがある。特開平10−133621号公報は、このような問題を解決する方法として、インターレース信号の1ラインのデータを2ライン同時にアドレス処理して2ライン同時に同じ表示データを表示する駆動方法、すなわちインターレース信号であっても全表示ラインを同時に表示することにより輝度を向上する方法を開示している。しかし、この方法はずれて表示されるべき奇数フィールドと偶数フィールドの2つの表示ラインが同じ位置に表示されるため表示に違和感を生じるという問題がある。
【0012】
また、特開2000−347616号は、一部のサブフィールドのアドレス期間において隣接するnラインに同時に同じデータを書き込む(アドレス処理する)ことによりアドレス期間を短縮し、サスティン期間を短縮された時間だけ増加さ画素ことにより輝度を向上する同時アドレス技術を開示している。図5は、特開2000−347616号に開示された同時アドレス技術を説明する図である。1フィールドは複数のサブフィールドから構成され、ここでは4個のサブフィールドSF1−SF4で構成されているとする。図5の(A)に示すように、各サブフィールドは、リセット期間Rと、アドレス期間Aと、サスティン期間Sとで構成され、すべてのサブフィールドのリセット期間Rとアドレス期間Aの長さは等しく、サスティン期間Sの長さはサブフィールド毎に異なる。輝度に寄与するのはサスティン期間Sであるが、図示のように、実際の構成ではリセット期間Rとアドレス期間Aの長さの占める割合が大きく、サスティン期間Sの占める割合は小さい。
【0013】
1つのサブフィールドのアドレス期間Aにおいて、隣接するn本の表示ラインに同時に走査パルスを印加してn本の表示ラインに同一表示データをアドレス処理すると、そのサブフィールドのアドレス期間を1/nにでき、アドレス期間の(n−1)/nだけ時間が短縮できる。そこで、この短縮された時間を各サブフィールドのサスティン期間に割り当てることにより輝度を向上させる。アドレス期間を短縮されたサブフィールドは連続するn本の表示ラインに同じ表示データが表示されるため粗い表示になる。そこで、アドレス期間を短縮させるサブフィールドは輝度の低いサブフィールドとし、輝度の高いサブフィールドは従来と同様にすべての表示ラインに独立に表示データをアドレス処理する。図5の(B)は、もっとも輝度の低いSF4において、2ライン同時に同じデータをアドレス処理することによりアドレス期間を1/2にし、各サブフィールドのサスティン期間を増加させた時のサブフィールドの構成を示している。なお、アドレス処理が同時に行われるn本の表示ラインに対して、できるだけ画像情報を保持するために、垂直方向のn個の画素間で演算を行うことも開示されている。同時アドレス技術は、同時にアドレス処理するn本の表示ラインのデータを同じにするため、表示データが圧縮されることになるので、そのためのデータ変換をデータ圧縮と呼ぶ。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−347616号は、上記の同時アドレス技術をALIS方式のPDP装置に適用した例を開示している。しかし、ALIS方式のPDP装置に同時アドレス技術を適用すると以下のような表示上の問題を生じる。図6と図7は、この問題を説明する図であり、同時に2本の表示ラインを同時アドレス処理するためにデータ圧縮される画素の組み合わせを示す。図3の(A)のような走査順でアドレス処理を行う場合に、データ圧縮される画素は、図6の(A)に示すように、1ラインおきになる。また、図3の(B)のような走査順でアドレス処理を行う場合に、データ圧縮される画素は、図6の(B)に示すように、3ライン離れたラインになる。図7は、エッジ画像において、(A)はデータ圧縮を行わない場合を示し、(B)は1ラインおきにデータ圧縮した場合を示す。図示のように、エッジの内側に濃度の逆転が生じ不規則なぼけが生じることがわかる。図3の(B)のような走査順で4ライン毎にアドレス処理を行う場合には、この影響はより大きくなる。このような現象は、ALIS方式に限らず、インターレース方式であれば発生する。
【0015】
本発明は、インターレース方式、特にALIS方式のPDP装置において、同時アドレス技術を適用して輝度を向上させた場合も、エッジ部分の画質が劣化しないPDP装置の実現を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のプラズマディスプレイ装置は、インターレース信号を一旦プログレッシブ信号に変換した後、n本毎のインターレース信号に変換して表示を行い、所定のサブフィールドでは隣接するn本に対してデータ圧縮してアドレス期間の長さを短縮する。短縮された期間は、他のサブフィールドも含めてサスティン期間を延長して輝度を向上するのに使用される。
【0017】
図8は、n=2とした場合の本発明の表示ラインを示し、(A)は奇数フィールドを、(B)は偶数フィールドを示す。図示のように、2ラインずつのインターレース表示が行われる。同時アドレス技術及びデータ圧縮は、隣接する2ラインに適用される。図9と図10は、同時アドレス技術を適用した場合の表示画像を示す図であり、(A)は原画像を、(B)は本発明を適用した画像を、(C)はALIS方式で図3の(B)に示す走査順で同時アドレス技術を行った場合の画像を示す。同時アドレス技術を適用しても画質の劣化が少ないことが分かる。
【0018】
上記のような2ライン毎のインターレース信号への変換は、例えば、表示率が20%以下であるといった所定の条件を満たした場合のみ行い、それ以外の場合は通常の入力画像信号通りのインターレース表示を行う。
【0019】
本発明を適用するALIS方式のプラズマディスプレイ装置は、隣接する表示ラインが同時に表示できることが必要であり、特願2000−304404に記載された、交互に隣接して配置された第1の電極と第2の電極、及びそれらに直交する方向に伸びる第3の電極を有し、すべての第1の電極と第2の電極の間で表示ラインが形成され、第1の電極と第2の電極の上に各表示ラインを区切る隔壁を設けたプラズマディスプレイパネルを使用する。
【0020】
更に、ALIS方式のプラズマディスプレイ装置で隣接する表示ラインで同時に表示を行うため、第1の電極(X電極)に印加する電圧を、それに適した電圧に変換する補償回路を設けることが望ましい。補償回路は、例えば、奇数第1電極駆動回路の間の配線長と、偶数番目の第1の電極と偶数第1電極駆動回路の間の配線長を、ほぼ等しくする配線回路である。また、補償回路は、サスティン期間中に、第1の電極に印加する電圧を第2の電極に印加する電圧より大きくする回路である。
【0021】
【発明の実施の形態】
図11は、本発明の第1実施例のALIS方式のPDP装置のブロック構成図である。図2の従来例のALIS方式のPDP装置と異なる点は、プラズマディスプレイパネル10が特願2000−304404に記載された隣接する表示ラインが同時に表示できる形式のものである点と、通常の1ライン毎のインターレース信号をn(ここではn=2)ライン毎のインターレース信号に変換して表示するために以下のような回路が付加されている点である。出力選択回路41は、インターレース入力画像信号を、同時アドレス技術を適用する時にはI−P変換回路42に入力し、適用しない時には入力選択回路45に入力するように選択する。I−P変換回路42は、インターレース入力画像信号を表示ラインの連続したプログレッシブ信号に変換する。データ圧縮回路43は、プログレッシブ信号の所定のサブフィールド(SF)の隣接する2ラインが同じデータになるようにデータを圧縮する。P−I変換回路44は、圧縮されたプログレッシブ信号を2ライン毎のインターレース信号に変換する。入力選択回路は、同時アドレス技術を適用する時にはP−I変換回路44の出力を選択し、適用しない時には出力選択回路41の出力する元のインターレース入力画像信号を選択し、アドレスドライバ22に供給する。平均輝度検出回路46は、インターレース入力画像信号の表示データを調べて各フィールドの平均輝度を検出し、平均輝度を示す検出信号をデータ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aに送る。データ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aは、図2の従来例の制御回路に相当し、平均輝度検出回路46からの検出信号に応じて、例えば、平均輝度が20%以下の時に圧縮したデータを同時アドレス処理し、平均輝度が20%以上の時には従来例と同様の駆動を行う。更に、奇数Xサスティン回路26と偶数Xサスティン回路27とX電極を接続する途中に駆動補償回路30が設けられている。以下、従来例と異なる部分について順次説明する。
【0022】
図12は、特願2000−304404に記載された隣接する表示ラインが同時に表示できる形式のプラズマディスプレイパネル10のセル構造を示す斜視図である。図12に示すように、一方の透明な基板11には第1の電極(X電極)と第2の電極(Y電極)に相当する電極が隣接して形成されている。この電極は同じ構造を有し、透明電極12上に不透明な金属電極13が形成されている。その上に更に誘電体層14と保護層15が形成されている。他方の基板19上には、アドレス電極A、誘電体層17及び格子状の隔壁16が形成されている。隔壁16は、一方がアドレス電極Aの中間に、他方が金属電極13上に位置するよう形成される。参照番号18R,18G,18Bは3色の蛍光体である。2枚の基板11と19は位置合わせして貼り合わされ、間に放電用ガスが充填される。
【0023】
図13は、上記のプラズマディスプレイパネル10の平面図であり、隔壁16で区切られる部分が各画素の放電エリアである。各画素では、透明電極12が隣接し、その間で放電が行われる。図示のように、透明電極12と金属電極13は、ALIS方式と同様に隣接する表示ラインで共通に使用される。ここではこれ以上の詳しい説明は省略するが、このPDPを使用すれば隣接する2ラインを同時に表示することが可能である。
【0024】
図14は、駆動補償回路30の構成例を示す図である。この駆動補償回路30は、奇数サスティン回路26からの配線を一旦回路30の中央部まで引き伸ばしてから各奇数X電極に配線し、同様に偶数サスティン回路27からの配線を一旦回路30の中央部まで引き伸ばしてから各偶数X電極に配線する。これにより、隣接する奇数X電極と偶数X電極は、それぞれの奇数サスティン回路26と偶数サスティン回路27までの配線長がほぼ等しくなり、サスティン放電中に印加されるパルス電圧をほぼ等しくできる。
【0025】
図15は、X電極に印加するサスティンパルスの電圧Vsを2倍の2Vsに変換する回路である。ゲートG1をオン、ゲートG2をオフにすると、電源からの電圧Vsにより出力電圧はVsとなり、容量は電圧Vsに充電される。この状態でゲートG1をオフ、ゲートG2をオンにすると、出力電圧は電源Vsと容量の出力の合計となり、2Vsとなる。なおここではサスティンパルスの電圧を2倍にする例を示したが、出力電圧は一方の画素の面放電による電圧降下より大きな電圧を元のサスティンパルスの電圧Vsに加えた電圧以上であればよい。
【0026】
なお、ここでは説明しないが、特願2000−391389に開示された、渦電流によって各配線に生じた電圧降下のばらつきを低減する電圧変動バランスユニットを用いてもよい。
【0027】
図16は、データ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aに関係する処理を示すフローチャートである。ステップ101では、平均輝度検出回路46がインターレース入力画像信号を調べて平均輝度を検出し、検出信号をデータ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aに送る。平均輝度は、全画素を最高輝度で点灯する時の輝度を100%とし、全画素の輝度を加算して画素数で除した値である。
【0028】
ステップ102で、データ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aは、例えば平均輝度が20%以上の時にはステップ107に進み、全SFで図4の駆動信号の印加電圧波形を設定し、ステップ108で通常のサスティンパルス数を各SFに配分し、ステップ109でそれをサスティン回路へ出力して表示を行う。すなわち、平均輝度が20%以上の時にはデータ圧縮は行わず、インターレース入力画像信号を従来の駆動方法で表示する。
【0029】
平均輝度が20%以下の時には、ステップ103に進み、検出信号が示す平均輝度に応じて、圧縮するSFと総サスティンパルス数をROMなどの記憶手段から読み出す。圧縮対象のSFは平均輝度に応じてあらかじめ決められており、例えば、平均輝度が15〜20%では最低輝度のSF4のみを圧縮し、平均輝度が10〜15%ではSF4とSF3を圧縮し、平均輝度が5〜10%ではSF4,SF3,SF2を圧縮する。
【0030】
ステップ104では、圧縮SF用の印加電圧波形を設定し、ステップ105では非圧縮SF用の印加電圧波形を設定する。ステップ106では、データ圧縮により短縮されるアドレス時間をサスティン期間として利用する場合の総サスティンパルス数を算出して、各SFに所定の比率で配分する。ステップ109でこのようにして算出した制御信号をサスティン回路へ出力して、変換された2ライン毎のインターレース信号の表示を行う。
【0031】
上記のように、本実施例では、平均輝度が20%以上の時にはデータ圧縮は行わず、インターレース入力画像信号を従来の駆動方法で表示する。平均輝度が20%以下の時には、変換された2ライン毎のインターレース信号を、一部のSFはデータ圧縮を行わず、一部のSFはデータ圧縮を行って表示する。
【0032】
図17は、2ライン毎のインターレース信号を、データ圧縮を行わず表示する非圧縮SFでの走査順を示す図であり、(A)は奇数フィールドでの走査順を、(B)は偶数フィールドでの走査順を示す。また、図18は、非圧縮SFでの印加電圧波形を示し、(A)は奇数フィールドでの印加電圧波形を、(B)は偶数フィールドでの印加電圧波形を示す。奇数フィールドでは、リセット動作の後、アドレス期間の前半で、奇数X電極の正の小スキャン電圧を印加し、偶数X電極と偶数Y電極に0Vを印加し、奇数Y電極に負の小電力を印加した状態で、奇数Y電極に順に走査パルスを印加するのに同期してアドレス電極にデータ電圧を印加する。これにより、奇数Y電極と奇数X電極の間の表示ラインへのアドレス処理が行われる。アドレス期間の後半で、偶数奇数X電極の正の大スキャン電圧を印加し、奇数X電極と偶数Y電極に0Vを印加し、奇数Y電極に負の小電力を印加した状態で、奇数Y電極に順に走査パルスを印加するのに同期してアドレス電極にデータ電圧を印加する。これにより、奇数Y電極と偶数X電極の間の表示ラインへのアドレス処理が行われる。
【0033】
サスティン期間では、奇数Y電極と、X電極及び偶数Y電極の組に交互にサスティンパルスを印加する。この時、X電極に印加するサスティンパルスは、図15の駆動補償回路30によりY電極に印加されるサスティンパルスの2倍の電圧を有する。これにより、奇数Y電極の両側のX電極でアドレス処理により壁電荷が蓄積した画素ではサスティン放電が発生して発光する。
【0034】
偶数フィールドでの印加電圧波形は、奇数Y電極と偶数Y電極が入れ替わった以外は奇数フィールドでの印加電圧波形と同じである。
【0035】
図19は、2ライン毎のインターレース信号を、データ圧縮を行って表示する圧縮SFでの走査順を示す図であり、(A)は奇数フィールドでの走査順を、(B)は偶数フィールドでの走査順を示す。また、図20は、圧縮SFでの印加電圧波形を示し、(A)は奇数フィールドでの印加電圧波形を、(B)は偶数フィールドでの印加電圧波形を示す。奇数フィールドでは、リセット動作の後、アドレス期間で、X電極の正の小スキャン電圧を印加し、偶数Y電極に0Vを印加し、奇数Y電極に負の小電力を印加した状態で、奇数Y電極に順に走査パルスを印加するのに同期してアドレス電極にデータ電圧を印加する。これにより、奇数Y電極と奇数X電極の間と奇数Y電極と偶数X電極の間の2本の表示ラインへのアドレス処理が同時に行われる。
【0036】
サスティン期間では、奇数Y電極と、X電極及び偶数Y電極の組に交互にサスティンパルスを印加する。この時、非圧縮SFの場合と同様に、X電極に印加するサスティンパルスは、Y電極に印加されるサスティンパルスの2倍の電圧を有する。これにより、奇数Y電極の両側のX電極でアドレス処理により壁電荷が蓄積した画素ではサスティンが発生して発光する。
【0037】
偶数フィールドでの印加電圧波形は、奇数Y電極と偶数Y電極が入れ替わった以外は奇数フィールドでの印加電圧波形と同じである。
【0038】
次にデータ圧縮処理について説明する。特開2000−347616は、データ圧縮処理について開示しており、第1実施例でも同様のデータ圧縮の方法を使用する。従って、特開2000−347616に開示されている図に類似した図を使用して簡単に説明する。
【0039】
圧縮SFのデータを同一にする場合、もっとも簡単方法は、一方のラインのデータを他方のラインでもそのまま使用し、他方のラインのデータは使用しない方法である。図21は、そのような処理を行うデータ圧縮回路43の構成を示す図である。圧縮する時には、ラインメモリ51で1ライン分遅延させた前のラインのデータP2と次のラインのデータP1のいずれかを処理回路52で選択して同一のデータO1とO2を出力し、一方はラインメモリ53で遅延させ、スイッチ54で順に選択することにより2ラインの同じデータが出力される。圧縮しない時には、処理回路52はP2をO2とし、P1をO1として出力する。
【0040】
しかし、圧縮するSFが輝度が最下位の1個のSFであれば図21の回路でも特に問題は生じないが、1個のフィールドが4個のSFで構成され、そのうちの3個のSFでデータ圧縮する場合には、実際の表示輝度と圧縮した時の表示輝度が大きく異なる場合が生じる。例えば、一方の画素はSF1がオンでSF2−SF4がオフである輝度レベル8であり、他方の画素はSF1がオフでSF2−4がオンである輝度レベル7である場合、2つの画素の輝度差は1である。これを上記の方法で圧縮すると、一方の画素はSF1がオンでSF2−SF4がオフである輝度レベル8のままであり、他方の画素はSF1がオフでSF2−4も一方の画素に合わせてオフである輝度レベル0になり差が大きくなる。非圧縮のSFも含めて圧縮を行うことが望ましい。
【0041】
図22は、2ラインの対応する画素データの平均と出力O1とO2の平均が一致するようにした上で所定のSFのデータを一致させる原理を示す図である。また、図23はこの処理を行うデータ圧縮回路52のハードウエア構成を示す図である。図22に示すように、2ラインの対応する画素データP1とP2の平均f0と差分f1を算出し、f1を下位nビットが「0」になるように変換し、量子化差分値f1’とする。そして、出力データO1=f0+f1’、O2=f0−f1’を算出する。これらの処理については特開2000−347616に開示されているので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0042】
更に、特開2000−347616は、所定のサブフィールドのアドレス期間を圧縮することにより生じた空き時間の利用について開示しており、本発明でもこの方法が適用できる。以下、この方法について簡単に説明する。図24は、空き時間を各サブフィールドのサスティン期間に分配する方法を説明する図である。図24の(A)は、表示率が20%以上である圧縮無しのフィールドを示す図であり、フィールドは4個のサブフィールドSF1−SF4から構成され、各サブフィールドはリセット期間とアドレス期間とサスティン期間を有し、SF1−SF4のリセット期間とアドレス期間は同じ長さであり、サスティン期間はSF4がもっとも短く、SF3,SF2,SF1の順に大きくなる。なお、図5の構成とはサブフィールドの配列順が逆であるが、特に違いはない。
【0043】
圧縮有りのフィールドではSF1とSF2でデータ圧縮(同時アドレス処理)を行うことにより、図24の(B)に示すように、SF4とSF3のアドレス期間を半分に短縮する。これにより空き時間を生じる。この空き時間を、図24の(C)に示すように、SF1−SF4の輝度比(サスティン期間の長さ比)に従って、SF1−SF4のサスティン期間に分配して各サブフィールドのサスティン期間の長さを増加させる。
【0044】
図25と図26は、データ圧縮の例を示す図である。図25の(A)は、圧縮無しのフィールドを示し、図25の(B),(C)及び図26の(A),(B)は圧縮した時のサブフィールド構成を示す。図25の(B)は、SF4のアドレス期間を半分にして、空き時間をSF1−SF4に分配した例を示す。図25の(C)は、SF4とSF3のアドレス期間を半分にして、空き時間をSF1−SF4に分配した例を示す。図26の(A)は、SF3とSF2のアドレス期間を半分にして、空き時間をSF1−SF4に分配した例を示す。図26の(B)は、SF4とSF3のアドレス期間を半分にして、空き時間を利用してSF4と同じ構成のサブフィールドSF5を新たに設けた例を示す。この場合は、表現できる階調数を増加できる。
【0045】
図27は、図25の(B),(C)及び図26の(A)に示したような構成にした場合の輝度向上の効果を説明する図であり、アドレス期間とサスティン期間の変化を示す図である。参照符号Aは図25の(A)のデータ圧縮無しの場合に対応し、SF1−SF4は同じアドレス期間の長さである。Bは図25の(B)の場合に対応し、SF4のアドレス期間が半分になり、その分サスティン期間の長さが増加している。Cは図25の(C)の場合に対応し、SF4とSF3のアドレス期間が半分になり、その分サスティン期間の長さが増加している。DはSF4−SF2のアドレス期間が半分になり、その分サスティン期間の長さが増加している。このように、アドレス期間を短縮するサブフィールドの個数が増加するに従って、増加するサスティン期間の長さも長くなる。
【0046】
図28は、参照符号AとBは図27と同様にサスティン期間の長さを長くするが、CではSF4とSF3のアドレス期間を半分にし、生じた空き時間の一部を利用して5番目のサブフィールドSF5を新たに設け、残りの空き時間はサスティン期間の長さを増加させるのに使用する。DではSF4−SF2のアドレス期間を半分にし、生じた空き時間の一部を利用して5番目と6番目のサブフィールドSF5,SF6を新たに設け、残りの空き時間はサスティン期間の長さを増加させるのに使用する。このように、図28ではサスティン期間の長さを増加し、更にデータ圧縮するサブフィールド数を増加させた時には階調数を増加する。
【0047】
図29は、本発明の第2実施例のPDP装置の構成を示す図である。図11と比較して明らかなように、第2実施例のPDP装置は、パネル温度検出回路47が設けられている点が第1実施例と異なる。本発明を適用して輝度を向上した場合、プラズマディスプレイパネル10の温度が局部的に上昇してパネル表面が破損する可能性がある。これを防止するため、第2実施例のPDP装置では、パネル温度検出回路47がプラズマディスプレイパネル10の表面温度を監視し、パネル表面の温度が一定以上上昇したことを検出した時には、検出信号をデータ圧縮制御/駆動信号制御回路21Bに通知する。データ圧縮制御/駆動信号制御回路21Bは、検出信号を受信したら、出力選択回路4が出力Aを選択し、入力選択回路45が入力Aを選択するように制御する信号を出力する。そして、全フィールドのサブフィールドに対して図4に示した駆動波形で駆動するように制御する。すなわち、本発明を適用せずに従来通りの駆動を行う。
【0048】
図30は、本発明の第3実施例のPDP装置の構成を示す図である。図29と比較して明らかなように、第3実施例のPDP装置は、動き検出回路48が設けられている点が第2実施例と異なる。本発明を適用して輝度を向上する場合、データ圧縮された画像は、図8に示すように所定のサブフィールドが隣接2ライン毎のインターレース表示される。このため、動きの激しい画像では表示がギクシャクする可能性がある。これを回避するため、第3実施例のPDP装置では、動き検出回路48が動きのある画像であるか監視し、一定以上の激しい動きを検出したら検出信号をデータ圧縮制御/駆動信号制御回路21Cに通知する。データ圧縮制御/駆動信号制御回路21Cは、検出信号を受信したら、出力選択回路4が出力Aを選択し、入力選択回路45が入力Aを選択するように制御する信号を出力する。そして、全フィールドのサブフィールドに対して図4に示した駆動波形で駆動するように制御する。すなわち、本発明を適用せずに従来通りの駆動を行う。
【0049】
以上、ALIS方式のPDP装置を例として本発明の実施利を説明したが、本発明は通常のPDP装置にも適用可能である。また、各種の変形例が可能であり、例えば、2ライン毎のインターレース表示でなくn本毎のインターレース表示も可能であり、データ圧縮する場合には、すべてのサブフィールドを複数ライン毎のインターレース表示にしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インターレース表示方式のプラズマディスプレイ装置のピーク輝度を向上させることができ、更に階調表示も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インターレース方式の表示ラインを示す図である。
【図2】従来のALIS方式のプラズマディスプレイ装置(PDP装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図3】ALIS方式のPDP装置の走査順を示す図である。
【図4】ALIS方式のPDP装置の駆動波形の例を示す図である。
【図5】同時アドレス技術を説明する図である。
【図6】ALIS方式でデータ圧縮する画素を示す図である。
【図7】ALIS方式でデータ圧縮した画像の例を示す図である。
【図8】本発明における圧縮時の表示ラインを示す図である。
【図9】本発明による画像を示す図である。
【図10】本発明による画像を示す図である。
【図11】本発明の第1実施例のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】第1実施例のプラズマディスプレイパネルのセル構造を示すブロック図である。
【図13】第1実施例のプラズマディスプレイパネルの隔壁パターンを示す平面図である。
【図14】駆動補償回路の構成例を示す図である。
【図15】駆動補償回路の別の構成例を示す図である。
【図16】第1実施例の駆動制御処理を示すフローチャートである。
【図17】第1実施例の非圧縮サブフィールドにおける走査順を示す図である。
【図18】第1実施例の非圧縮サブフィールドにおける駆動波形を示す図である。
【図19】第1実施例の圧縮サブフィールドにおける走査順を示す図である。
【図20】第1実施例の圧縮サブフィールドにおける駆動波形を示す図である。
【図21】第1実施例のデータ圧縮処理回路例の構成を示すブロック図である。
【図22】第1実施例におけるデータ圧縮処理の別の例を説明する図である。
【図23】第1実施例の別のデータ圧縮処理回路別の例のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図24】第1実施例における空き時間のサスティン期間への分配を説明する図である。
【図25】第1実施例における空き時間のサスティン期間への分配例を示す図である。
【図26】第1実施例における空き時間のサスティン期間への分配例を示す図である。
【図27】第1実施例におけるデータ圧縮による輝度向上を説明する図である。
【図28】第1実施例におけるデータ圧縮による輝度向上及び階調表現の向上を説明する図である。
【図29】本発明の第2実施例のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第3実施例のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…プラズマディスプレイパネル
21A,21B,1C…データ圧縮制御・駆動信号制御回路
22…アドレスドライバ
23…スキャン回路
24…奇数Yサスティン回路
25…偶数Yサスティン回路
26…奇数Xサスティン回路
27…偶数Xサスティン回路
30…駆動補償回路
42…I−P変換回路
43…データ圧縮回路
44…P−I変換回路
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマディスプレイ装置及びその駆動方法に関し、特に簡単な回路変更で表示輝度を向上させたプラズマディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
平面ディスプレイとしてプラズマディスプレイ装置(PDP装置)が実用化されており、高輝度の薄型ディスプレイとして期待されている。PDP装置には各種の方式があるが、3電極面放電AC型PDP装置が一般的であり、ここでもこれを例として説明する。
【0003】
ディスプレイには、1つのフィールドですべての表示ラインを表示するノンインターレース方式と、奇数番目の表示ラインを表示する奇数フィールドと偶数番目の表示ラインを表示する偶数フィールドを交互に表示するインターレース方式がある。通常のテレビジョン放送はインターレース方式で行われ、コンピュータ用のディスプレイなどはノンインターレース方式で表示を行うのが一般的である。ノンインターレース方式は、表示ラインを連続して表示するのでプログレッシブ方式と呼ばれるので、ここでもこの語を使用する。
【0004】
図1は、インターレース方式の表示ラインを示す図であり、(A)は奇数フィールドを、(B)は偶数フィールドを示す。奇数フィールドでは奇数番目の表示ラインが表示され、偶数フィールドでは偶数番目の表示ラインが表示される。
【0005】
近年、各種の方式のプラズマディスプレイ装置が提案されている。その中でも特に特許第2801893号に開示されたALIS(Alternate Lighting of Surfaces)が注目されている。ALIS方式は、従来方式と同じ表示電極数で表示ライン数が2倍になるので高精細のPDP装置を低コストで実現できるという特徴がある。
【0006】
図2は、特許第2801893号に開示されたALIS方式のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。図示のように、ALIS方式のPDP装置は、サスティン電極を構成する第1電極(X電極)X1,X2,…及び第2電極(Y電極)Y1,Y2,…と、アドレス電極A1,A2…とが設けられたパネル1と、制御回路21と、アドレスドライバ22と、走査ドライバ23と、奇数Yサスティン回路24と、偶数Yサスティン回路25と、奇数Xサスティン回路26と、偶数Xサスティン回路27と、電源回路29とを備える。
【0007】
図3は、ALIS方式のPDP装置のアドレス期間における走査順の例を示す図である。図3(A)の例は、奇数フィールドにおいては、1番目、3番目、5番目…の表示ラインの順に点灯画素を選択する書き込み(アドレス処理)を行い、偶数フィールドにおいては、2番目、4番目、6番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行う。図3(B)の例は、奇数フィールドにおいては、1番目、5番目、9番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行った後、3番目、7番目、11番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行い、奇数フィールドのアドレス処理が終了する。偶数フィールドにおいては、2番目、6番目、10番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行った後、4番目、8番目、12番目…の表示ラインの順にアドレス処理を行い、偶数フィールドのアドレス処理が終了する。図3(A)の例に比べて図3(B)の例の方がアドレス期間におけるX電極とY電極に印加するパルス数を低減でき、消費電量を低減できるという利点がある。
【0008】
図4は、ALIS方式のPDP装置の駆動波形の例を示す図であり、アドレス期間において図3(B)の走査順でアドレス処理を行う場合の例である。図4の(A)に示すように、奇数フィールドの各サブフィールドでは、リセット期間において、X電極に正の電圧を印加し、Y電極に0Vを印加した状態でアドレス電極に高電圧を印加してそれまでの状態にかかわらず全画素でリセット放電を発生させ、全画素を同じ状態にする。アドレス期間の前半では、奇数番目のX電極には正の小電圧を印加し、偶数番目のX電極には0Vを印加し、偶数番目のY電極には負の小電圧を印加した状態で、奇数番目のY電極に順次走査パルスを印加する。これに同期してアドレス電極に点灯画素を選択するアドレスパルスを印加する。これにより点灯画素ではアドレス放電が発生して壁電荷が蓄積される。アドレス期間の後半では、奇数番目のX電極には0Vを印加し、偶数番目のX電極には正の小電圧を印加し、奇数番目のY電極には負の小電圧を印加した状態で、偶数番目のY電極に順次走査パルスを印加し、それに同期してアドレス電極に点灯画素を選択するアドレスパルスを印加する。これにより点灯画素に壁電荷が蓄積される。サスティン期間では、奇数番目のY電極と偶数番目のX電極の組と、偶数番目のY電極と奇数番目のX電極の組に交互にサスティンパルスを印加して、アドレス処理で選択した点灯画素でサスティン放電を発生させ、表示を行う。サスティンパルス数、すなわちサスティン期間の長さでサブフィールドの表示輝度が決定される。以上のようにして、奇数番目の表示ラインの表示が行われる。
【0009】
図4の(B)に示すように、偶数フィールドの各サブフィールドでは、奇数番目と偶数番目のX電極とY電極で印加される電圧が逆になるが、図4の(A)と類似の動作が行われ、偶数番目の表示ラインの表示が行われる。以上のようにして、特許第2001893号に開示されたALIS方式のPDP装置は、インターレース方式で駆動される。
【0010】
ALIS方式のPDP装置の各要素の構成及び動作については、特許第2001893号に開示されているので、ここではこれ以上の説明は省略する。
【0011】
PDP装置がブラウン管TVに劣る点の一つに、ピーク輝度が低いことがある。特開平10−133621号公報は、このような問題を解決する方法として、インターレース信号の1ラインのデータを2ライン同時にアドレス処理して2ライン同時に同じ表示データを表示する駆動方法、すなわちインターレース信号であっても全表示ラインを同時に表示することにより輝度を向上する方法を開示している。しかし、この方法はずれて表示されるべき奇数フィールドと偶数フィールドの2つの表示ラインが同じ位置に表示されるため表示に違和感を生じるという問題がある。
【0012】
また、特開2000−347616号は、一部のサブフィールドのアドレス期間において隣接するnラインに同時に同じデータを書き込む(アドレス処理する)ことによりアドレス期間を短縮し、サスティン期間を短縮された時間だけ増加さ画素ことにより輝度を向上する同時アドレス技術を開示している。図5は、特開2000−347616号に開示された同時アドレス技術を説明する図である。1フィールドは複数のサブフィールドから構成され、ここでは4個のサブフィールドSF1−SF4で構成されているとする。図5の(A)に示すように、各サブフィールドは、リセット期間Rと、アドレス期間Aと、サスティン期間Sとで構成され、すべてのサブフィールドのリセット期間Rとアドレス期間Aの長さは等しく、サスティン期間Sの長さはサブフィールド毎に異なる。輝度に寄与するのはサスティン期間Sであるが、図示のように、実際の構成ではリセット期間Rとアドレス期間Aの長さの占める割合が大きく、サスティン期間Sの占める割合は小さい。
【0013】
1つのサブフィールドのアドレス期間Aにおいて、隣接するn本の表示ラインに同時に走査パルスを印加してn本の表示ラインに同一表示データをアドレス処理すると、そのサブフィールドのアドレス期間を1/nにでき、アドレス期間の(n−1)/nだけ時間が短縮できる。そこで、この短縮された時間を各サブフィールドのサスティン期間に割り当てることにより輝度を向上させる。アドレス期間を短縮されたサブフィールドは連続するn本の表示ラインに同じ表示データが表示されるため粗い表示になる。そこで、アドレス期間を短縮させるサブフィールドは輝度の低いサブフィールドとし、輝度の高いサブフィールドは従来と同様にすべての表示ラインに独立に表示データをアドレス処理する。図5の(B)は、もっとも輝度の低いSF4において、2ライン同時に同じデータをアドレス処理することによりアドレス期間を1/2にし、各サブフィールドのサスティン期間を増加させた時のサブフィールドの構成を示している。なお、アドレス処理が同時に行われるn本の表示ラインに対して、できるだけ画像情報を保持するために、垂直方向のn個の画素間で演算を行うことも開示されている。同時アドレス技術は、同時にアドレス処理するn本の表示ラインのデータを同じにするため、表示データが圧縮されることになるので、そのためのデータ変換をデータ圧縮と呼ぶ。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
特開2000−347616号は、上記の同時アドレス技術をALIS方式のPDP装置に適用した例を開示している。しかし、ALIS方式のPDP装置に同時アドレス技術を適用すると以下のような表示上の問題を生じる。図6と図7は、この問題を説明する図であり、同時に2本の表示ラインを同時アドレス処理するためにデータ圧縮される画素の組み合わせを示す。図3の(A)のような走査順でアドレス処理を行う場合に、データ圧縮される画素は、図6の(A)に示すように、1ラインおきになる。また、図3の(B)のような走査順でアドレス処理を行う場合に、データ圧縮される画素は、図6の(B)に示すように、3ライン離れたラインになる。図7は、エッジ画像において、(A)はデータ圧縮を行わない場合を示し、(B)は1ラインおきにデータ圧縮した場合を示す。図示のように、エッジの内側に濃度の逆転が生じ不規則なぼけが生じることがわかる。図3の(B)のような走査順で4ライン毎にアドレス処理を行う場合には、この影響はより大きくなる。このような現象は、ALIS方式に限らず、インターレース方式であれば発生する。
【0015】
本発明は、インターレース方式、特にALIS方式のPDP装置において、同時アドレス技術を適用して輝度を向上させた場合も、エッジ部分の画質が劣化しないPDP装置の実現を目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、本発明のプラズマディスプレイ装置は、インターレース信号を一旦プログレッシブ信号に変換した後、n本毎のインターレース信号に変換して表示を行い、所定のサブフィールドでは隣接するn本に対してデータ圧縮してアドレス期間の長さを短縮する。短縮された期間は、他のサブフィールドも含めてサスティン期間を延長して輝度を向上するのに使用される。
【0017】
図8は、n=2とした場合の本発明の表示ラインを示し、(A)は奇数フィールドを、(B)は偶数フィールドを示す。図示のように、2ラインずつのインターレース表示が行われる。同時アドレス技術及びデータ圧縮は、隣接する2ラインに適用される。図9と図10は、同時アドレス技術を適用した場合の表示画像を示す図であり、(A)は原画像を、(B)は本発明を適用した画像を、(C)はALIS方式で図3の(B)に示す走査順で同時アドレス技術を行った場合の画像を示す。同時アドレス技術を適用しても画質の劣化が少ないことが分かる。
【0018】
上記のような2ライン毎のインターレース信号への変換は、例えば、表示率が20%以下であるといった所定の条件を満たした場合のみ行い、それ以外の場合は通常の入力画像信号通りのインターレース表示を行う。
【0019】
本発明を適用するALIS方式のプラズマディスプレイ装置は、隣接する表示ラインが同時に表示できることが必要であり、特願2000−304404に記載された、交互に隣接して配置された第1の電極と第2の電極、及びそれらに直交する方向に伸びる第3の電極を有し、すべての第1の電極と第2の電極の間で表示ラインが形成され、第1の電極と第2の電極の上に各表示ラインを区切る隔壁を設けたプラズマディスプレイパネルを使用する。
【0020】
更に、ALIS方式のプラズマディスプレイ装置で隣接する表示ラインで同時に表示を行うため、第1の電極(X電極)に印加する電圧を、それに適した電圧に変換する補償回路を設けることが望ましい。補償回路は、例えば、奇数第1電極駆動回路の間の配線長と、偶数番目の第1の電極と偶数第1電極駆動回路の間の配線長を、ほぼ等しくする配線回路である。また、補償回路は、サスティン期間中に、第1の電極に印加する電圧を第2の電極に印加する電圧より大きくする回路である。
【0021】
【発明の実施の形態】
図11は、本発明の第1実施例のALIS方式のPDP装置のブロック構成図である。図2の従来例のALIS方式のPDP装置と異なる点は、プラズマディスプレイパネル10が特願2000−304404に記載された隣接する表示ラインが同時に表示できる形式のものである点と、通常の1ライン毎のインターレース信号をn(ここではn=2)ライン毎のインターレース信号に変換して表示するために以下のような回路が付加されている点である。出力選択回路41は、インターレース入力画像信号を、同時アドレス技術を適用する時にはI−P変換回路42に入力し、適用しない時には入力選択回路45に入力するように選択する。I−P変換回路42は、インターレース入力画像信号を表示ラインの連続したプログレッシブ信号に変換する。データ圧縮回路43は、プログレッシブ信号の所定のサブフィールド(SF)の隣接する2ラインが同じデータになるようにデータを圧縮する。P−I変換回路44は、圧縮されたプログレッシブ信号を2ライン毎のインターレース信号に変換する。入力選択回路は、同時アドレス技術を適用する時にはP−I変換回路44の出力を選択し、適用しない時には出力選択回路41の出力する元のインターレース入力画像信号を選択し、アドレスドライバ22に供給する。平均輝度検出回路46は、インターレース入力画像信号の表示データを調べて各フィールドの平均輝度を検出し、平均輝度を示す検出信号をデータ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aに送る。データ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aは、図2の従来例の制御回路に相当し、平均輝度検出回路46からの検出信号に応じて、例えば、平均輝度が20%以下の時に圧縮したデータを同時アドレス処理し、平均輝度が20%以上の時には従来例と同様の駆動を行う。更に、奇数Xサスティン回路26と偶数Xサスティン回路27とX電極を接続する途中に駆動補償回路30が設けられている。以下、従来例と異なる部分について順次説明する。
【0022】
図12は、特願2000−304404に記載された隣接する表示ラインが同時に表示できる形式のプラズマディスプレイパネル10のセル構造を示す斜視図である。図12に示すように、一方の透明な基板11には第1の電極(X電極)と第2の電極(Y電極)に相当する電極が隣接して形成されている。この電極は同じ構造を有し、透明電極12上に不透明な金属電極13が形成されている。その上に更に誘電体層14と保護層15が形成されている。他方の基板19上には、アドレス電極A、誘電体層17及び格子状の隔壁16が形成されている。隔壁16は、一方がアドレス電極Aの中間に、他方が金属電極13上に位置するよう形成される。参照番号18R,18G,18Bは3色の蛍光体である。2枚の基板11と19は位置合わせして貼り合わされ、間に放電用ガスが充填される。
【0023】
図13は、上記のプラズマディスプレイパネル10の平面図であり、隔壁16で区切られる部分が各画素の放電エリアである。各画素では、透明電極12が隣接し、その間で放電が行われる。図示のように、透明電極12と金属電極13は、ALIS方式と同様に隣接する表示ラインで共通に使用される。ここではこれ以上の詳しい説明は省略するが、このPDPを使用すれば隣接する2ラインを同時に表示することが可能である。
【0024】
図14は、駆動補償回路30の構成例を示す図である。この駆動補償回路30は、奇数サスティン回路26からの配線を一旦回路30の中央部まで引き伸ばしてから各奇数X電極に配線し、同様に偶数サスティン回路27からの配線を一旦回路30の中央部まで引き伸ばしてから各偶数X電極に配線する。これにより、隣接する奇数X電極と偶数X電極は、それぞれの奇数サスティン回路26と偶数サスティン回路27までの配線長がほぼ等しくなり、サスティン放電中に印加されるパルス電圧をほぼ等しくできる。
【0025】
図15は、X電極に印加するサスティンパルスの電圧Vsを2倍の2Vsに変換する回路である。ゲートG1をオン、ゲートG2をオフにすると、電源からの電圧Vsにより出力電圧はVsとなり、容量は電圧Vsに充電される。この状態でゲートG1をオフ、ゲートG2をオンにすると、出力電圧は電源Vsと容量の出力の合計となり、2Vsとなる。なおここではサスティンパルスの電圧を2倍にする例を示したが、出力電圧は一方の画素の面放電による電圧降下より大きな電圧を元のサスティンパルスの電圧Vsに加えた電圧以上であればよい。
【0026】
なお、ここでは説明しないが、特願2000−391389に開示された、渦電流によって各配線に生じた電圧降下のばらつきを低減する電圧変動バランスユニットを用いてもよい。
【0027】
図16は、データ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aに関係する処理を示すフローチャートである。ステップ101では、平均輝度検出回路46がインターレース入力画像信号を調べて平均輝度を検出し、検出信号をデータ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aに送る。平均輝度は、全画素を最高輝度で点灯する時の輝度を100%とし、全画素の輝度を加算して画素数で除した値である。
【0028】
ステップ102で、データ圧縮制御・駆動信号制御回路21Aは、例えば平均輝度が20%以上の時にはステップ107に進み、全SFで図4の駆動信号の印加電圧波形を設定し、ステップ108で通常のサスティンパルス数を各SFに配分し、ステップ109でそれをサスティン回路へ出力して表示を行う。すなわち、平均輝度が20%以上の時にはデータ圧縮は行わず、インターレース入力画像信号を従来の駆動方法で表示する。
【0029】
平均輝度が20%以下の時には、ステップ103に進み、検出信号が示す平均輝度に応じて、圧縮するSFと総サスティンパルス数をROMなどの記憶手段から読み出す。圧縮対象のSFは平均輝度に応じてあらかじめ決められており、例えば、平均輝度が15〜20%では最低輝度のSF4のみを圧縮し、平均輝度が10〜15%ではSF4とSF3を圧縮し、平均輝度が5〜10%ではSF4,SF3,SF2を圧縮する。
【0030】
ステップ104では、圧縮SF用の印加電圧波形を設定し、ステップ105では非圧縮SF用の印加電圧波形を設定する。ステップ106では、データ圧縮により短縮されるアドレス時間をサスティン期間として利用する場合の総サスティンパルス数を算出して、各SFに所定の比率で配分する。ステップ109でこのようにして算出した制御信号をサスティン回路へ出力して、変換された2ライン毎のインターレース信号の表示を行う。
【0031】
上記のように、本実施例では、平均輝度が20%以上の時にはデータ圧縮は行わず、インターレース入力画像信号を従来の駆動方法で表示する。平均輝度が20%以下の時には、変換された2ライン毎のインターレース信号を、一部のSFはデータ圧縮を行わず、一部のSFはデータ圧縮を行って表示する。
【0032】
図17は、2ライン毎のインターレース信号を、データ圧縮を行わず表示する非圧縮SFでの走査順を示す図であり、(A)は奇数フィールドでの走査順を、(B)は偶数フィールドでの走査順を示す。また、図18は、非圧縮SFでの印加電圧波形を示し、(A)は奇数フィールドでの印加電圧波形を、(B)は偶数フィールドでの印加電圧波形を示す。奇数フィールドでは、リセット動作の後、アドレス期間の前半で、奇数X電極の正の小スキャン電圧を印加し、偶数X電極と偶数Y電極に0Vを印加し、奇数Y電極に負の小電力を印加した状態で、奇数Y電極に順に走査パルスを印加するのに同期してアドレス電極にデータ電圧を印加する。これにより、奇数Y電極と奇数X電極の間の表示ラインへのアドレス処理が行われる。アドレス期間の後半で、偶数奇数X電極の正の大スキャン電圧を印加し、奇数X電極と偶数Y電極に0Vを印加し、奇数Y電極に負の小電力を印加した状態で、奇数Y電極に順に走査パルスを印加するのに同期してアドレス電極にデータ電圧を印加する。これにより、奇数Y電極と偶数X電極の間の表示ラインへのアドレス処理が行われる。
【0033】
サスティン期間では、奇数Y電極と、X電極及び偶数Y電極の組に交互にサスティンパルスを印加する。この時、X電極に印加するサスティンパルスは、図15の駆動補償回路30によりY電極に印加されるサスティンパルスの2倍の電圧を有する。これにより、奇数Y電極の両側のX電極でアドレス処理により壁電荷が蓄積した画素ではサスティン放電が発生して発光する。
【0034】
偶数フィールドでの印加電圧波形は、奇数Y電極と偶数Y電極が入れ替わった以外は奇数フィールドでの印加電圧波形と同じである。
【0035】
図19は、2ライン毎のインターレース信号を、データ圧縮を行って表示する圧縮SFでの走査順を示す図であり、(A)は奇数フィールドでの走査順を、(B)は偶数フィールドでの走査順を示す。また、図20は、圧縮SFでの印加電圧波形を示し、(A)は奇数フィールドでの印加電圧波形を、(B)は偶数フィールドでの印加電圧波形を示す。奇数フィールドでは、リセット動作の後、アドレス期間で、X電極の正の小スキャン電圧を印加し、偶数Y電極に0Vを印加し、奇数Y電極に負の小電力を印加した状態で、奇数Y電極に順に走査パルスを印加するのに同期してアドレス電極にデータ電圧を印加する。これにより、奇数Y電極と奇数X電極の間と奇数Y電極と偶数X電極の間の2本の表示ラインへのアドレス処理が同時に行われる。
【0036】
サスティン期間では、奇数Y電極と、X電極及び偶数Y電極の組に交互にサスティンパルスを印加する。この時、非圧縮SFの場合と同様に、X電極に印加するサスティンパルスは、Y電極に印加されるサスティンパルスの2倍の電圧を有する。これにより、奇数Y電極の両側のX電極でアドレス処理により壁電荷が蓄積した画素ではサスティンが発生して発光する。
【0037】
偶数フィールドでの印加電圧波形は、奇数Y電極と偶数Y電極が入れ替わった以外は奇数フィールドでの印加電圧波形と同じである。
【0038】
次にデータ圧縮処理について説明する。特開2000−347616は、データ圧縮処理について開示しており、第1実施例でも同様のデータ圧縮の方法を使用する。従って、特開2000−347616に開示されている図に類似した図を使用して簡単に説明する。
【0039】
圧縮SFのデータを同一にする場合、もっとも簡単方法は、一方のラインのデータを他方のラインでもそのまま使用し、他方のラインのデータは使用しない方法である。図21は、そのような処理を行うデータ圧縮回路43の構成を示す図である。圧縮する時には、ラインメモリ51で1ライン分遅延させた前のラインのデータP2と次のラインのデータP1のいずれかを処理回路52で選択して同一のデータO1とO2を出力し、一方はラインメモリ53で遅延させ、スイッチ54で順に選択することにより2ラインの同じデータが出力される。圧縮しない時には、処理回路52はP2をO2とし、P1をO1として出力する。
【0040】
しかし、圧縮するSFが輝度が最下位の1個のSFであれば図21の回路でも特に問題は生じないが、1個のフィールドが4個のSFで構成され、そのうちの3個のSFでデータ圧縮する場合には、実際の表示輝度と圧縮した時の表示輝度が大きく異なる場合が生じる。例えば、一方の画素はSF1がオンでSF2−SF4がオフである輝度レベル8であり、他方の画素はSF1がオフでSF2−4がオンである輝度レベル7である場合、2つの画素の輝度差は1である。これを上記の方法で圧縮すると、一方の画素はSF1がオンでSF2−SF4がオフである輝度レベル8のままであり、他方の画素はSF1がオフでSF2−4も一方の画素に合わせてオフである輝度レベル0になり差が大きくなる。非圧縮のSFも含めて圧縮を行うことが望ましい。
【0041】
図22は、2ラインの対応する画素データの平均と出力O1とO2の平均が一致するようにした上で所定のSFのデータを一致させる原理を示す図である。また、図23はこの処理を行うデータ圧縮回路52のハードウエア構成を示す図である。図22に示すように、2ラインの対応する画素データP1とP2の平均f0と差分f1を算出し、f1を下位nビットが「0」になるように変換し、量子化差分値f1’とする。そして、出力データO1=f0+f1’、O2=f0−f1’を算出する。これらの処理については特開2000−347616に開示されているので、これ以上の詳しい説明は省略する。
【0042】
更に、特開2000−347616は、所定のサブフィールドのアドレス期間を圧縮することにより生じた空き時間の利用について開示しており、本発明でもこの方法が適用できる。以下、この方法について簡単に説明する。図24は、空き時間を各サブフィールドのサスティン期間に分配する方法を説明する図である。図24の(A)は、表示率が20%以上である圧縮無しのフィールドを示す図であり、フィールドは4個のサブフィールドSF1−SF4から構成され、各サブフィールドはリセット期間とアドレス期間とサスティン期間を有し、SF1−SF4のリセット期間とアドレス期間は同じ長さであり、サスティン期間はSF4がもっとも短く、SF3,SF2,SF1の順に大きくなる。なお、図5の構成とはサブフィールドの配列順が逆であるが、特に違いはない。
【0043】
圧縮有りのフィールドではSF1とSF2でデータ圧縮(同時アドレス処理)を行うことにより、図24の(B)に示すように、SF4とSF3のアドレス期間を半分に短縮する。これにより空き時間を生じる。この空き時間を、図24の(C)に示すように、SF1−SF4の輝度比(サスティン期間の長さ比)に従って、SF1−SF4のサスティン期間に分配して各サブフィールドのサスティン期間の長さを増加させる。
【0044】
図25と図26は、データ圧縮の例を示す図である。図25の(A)は、圧縮無しのフィールドを示し、図25の(B),(C)及び図26の(A),(B)は圧縮した時のサブフィールド構成を示す。図25の(B)は、SF4のアドレス期間を半分にして、空き時間をSF1−SF4に分配した例を示す。図25の(C)は、SF4とSF3のアドレス期間を半分にして、空き時間をSF1−SF4に分配した例を示す。図26の(A)は、SF3とSF2のアドレス期間を半分にして、空き時間をSF1−SF4に分配した例を示す。図26の(B)は、SF4とSF3のアドレス期間を半分にして、空き時間を利用してSF4と同じ構成のサブフィールドSF5を新たに設けた例を示す。この場合は、表現できる階調数を増加できる。
【0045】
図27は、図25の(B),(C)及び図26の(A)に示したような構成にした場合の輝度向上の効果を説明する図であり、アドレス期間とサスティン期間の変化を示す図である。参照符号Aは図25の(A)のデータ圧縮無しの場合に対応し、SF1−SF4は同じアドレス期間の長さである。Bは図25の(B)の場合に対応し、SF4のアドレス期間が半分になり、その分サスティン期間の長さが増加している。Cは図25の(C)の場合に対応し、SF4とSF3のアドレス期間が半分になり、その分サスティン期間の長さが増加している。DはSF4−SF2のアドレス期間が半分になり、その分サスティン期間の長さが増加している。このように、アドレス期間を短縮するサブフィールドの個数が増加するに従って、増加するサスティン期間の長さも長くなる。
【0046】
図28は、参照符号AとBは図27と同様にサスティン期間の長さを長くするが、CではSF4とSF3のアドレス期間を半分にし、生じた空き時間の一部を利用して5番目のサブフィールドSF5を新たに設け、残りの空き時間はサスティン期間の長さを増加させるのに使用する。DではSF4−SF2のアドレス期間を半分にし、生じた空き時間の一部を利用して5番目と6番目のサブフィールドSF5,SF6を新たに設け、残りの空き時間はサスティン期間の長さを増加させるのに使用する。このように、図28ではサスティン期間の長さを増加し、更にデータ圧縮するサブフィールド数を増加させた時には階調数を増加する。
【0047】
図29は、本発明の第2実施例のPDP装置の構成を示す図である。図11と比較して明らかなように、第2実施例のPDP装置は、パネル温度検出回路47が設けられている点が第1実施例と異なる。本発明を適用して輝度を向上した場合、プラズマディスプレイパネル10の温度が局部的に上昇してパネル表面が破損する可能性がある。これを防止するため、第2実施例のPDP装置では、パネル温度検出回路47がプラズマディスプレイパネル10の表面温度を監視し、パネル表面の温度が一定以上上昇したことを検出した時には、検出信号をデータ圧縮制御/駆動信号制御回路21Bに通知する。データ圧縮制御/駆動信号制御回路21Bは、検出信号を受信したら、出力選択回路4が出力Aを選択し、入力選択回路45が入力Aを選択するように制御する信号を出力する。そして、全フィールドのサブフィールドに対して図4に示した駆動波形で駆動するように制御する。すなわち、本発明を適用せずに従来通りの駆動を行う。
【0048】
図30は、本発明の第3実施例のPDP装置の構成を示す図である。図29と比較して明らかなように、第3実施例のPDP装置は、動き検出回路48が設けられている点が第2実施例と異なる。本発明を適用して輝度を向上する場合、データ圧縮された画像は、図8に示すように所定のサブフィールドが隣接2ライン毎のインターレース表示される。このため、動きの激しい画像では表示がギクシャクする可能性がある。これを回避するため、第3実施例のPDP装置では、動き検出回路48が動きのある画像であるか監視し、一定以上の激しい動きを検出したら検出信号をデータ圧縮制御/駆動信号制御回路21Cに通知する。データ圧縮制御/駆動信号制御回路21Cは、検出信号を受信したら、出力選択回路4が出力Aを選択し、入力選択回路45が入力Aを選択するように制御する信号を出力する。そして、全フィールドのサブフィールドに対して図4に示した駆動波形で駆動するように制御する。すなわち、本発明を適用せずに従来通りの駆動を行う。
【0049】
以上、ALIS方式のPDP装置を例として本発明の実施利を説明したが、本発明は通常のPDP装置にも適用可能である。また、各種の変形例が可能であり、例えば、2ライン毎のインターレース表示でなくn本毎のインターレース表示も可能であり、データ圧縮する場合には、すべてのサブフィールドを複数ライン毎のインターレース表示にしてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、インターレース表示方式のプラズマディスプレイ装置のピーク輝度を向上させることができ、更に階調表示も向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】インターレース方式の表示ラインを示す図である。
【図2】従来のALIS方式のプラズマディスプレイ装置(PDP装置)の概略構成を示すブロック図である。
【図3】ALIS方式のPDP装置の走査順を示す図である。
【図4】ALIS方式のPDP装置の駆動波形の例を示す図である。
【図5】同時アドレス技術を説明する図である。
【図6】ALIS方式でデータ圧縮する画素を示す図である。
【図7】ALIS方式でデータ圧縮した画像の例を示す図である。
【図8】本発明における圧縮時の表示ラインを示す図である。
【図9】本発明による画像を示す図である。
【図10】本発明による画像を示す図である。
【図11】本発明の第1実施例のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。
【図12】第1実施例のプラズマディスプレイパネルのセル構造を示すブロック図である。
【図13】第1実施例のプラズマディスプレイパネルの隔壁パターンを示す平面図である。
【図14】駆動補償回路の構成例を示す図である。
【図15】駆動補償回路の別の構成例を示す図である。
【図16】第1実施例の駆動制御処理を示すフローチャートである。
【図17】第1実施例の非圧縮サブフィールドにおける走査順を示す図である。
【図18】第1実施例の非圧縮サブフィールドにおける駆動波形を示す図である。
【図19】第1実施例の圧縮サブフィールドにおける走査順を示す図である。
【図20】第1実施例の圧縮サブフィールドにおける駆動波形を示す図である。
【図21】第1実施例のデータ圧縮処理回路例の構成を示すブロック図である。
【図22】第1実施例におけるデータ圧縮処理の別の例を説明する図である。
【図23】第1実施例の別のデータ圧縮処理回路別の例のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図24】第1実施例における空き時間のサスティン期間への分配を説明する図である。
【図25】第1実施例における空き時間のサスティン期間への分配例を示す図である。
【図26】第1実施例における空き時間のサスティン期間への分配例を示す図である。
【図27】第1実施例におけるデータ圧縮による輝度向上を説明する図である。
【図28】第1実施例におけるデータ圧縮による輝度向上及び階調表現の向上を説明する図である。
【図29】本発明の第2実施例のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。
【図30】本発明の第3実施例のPDP装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
10…プラズマディスプレイパネル
21A,21B,1C…データ圧縮制御・駆動信号制御回路
22…アドレスドライバ
23…スキャン回路
24…奇数Yサスティン回路
25…偶数Yサスティン回路
26…奇数Xサスティン回路
27…偶数Xサスティン回路
30…駆動補償回路
42…I−P変換回路
43…データ圧縮回路
44…P−I変換回路
Claims (2)
- 複数の表示電極対が、表示ライン毎に面放電のための電極対を構成し、隣接する2表示ラインの表示に1本の電極を共用するように配列され、前記電極対と交差して表示セルを構成するように複数のアドレス電極が配列され、各表示セルを分離する格子状の隔壁を備えるプラズマディスプレイ装置であって、
入力画像信号の平均輝度を検出する平均輝度検出回路と、
奇数フィールドと偶数フィールドから構成される1表示ライン飛び越しのインターレース入力画像信号をプログレッシブ画像信号に変換した後、該プログレッシブ画像信号を、隣接する2表示ライン毎にグループ分けし、所定のサブフィールドにおける各グループにおいて2表示ラインの表示データが同一になるように変換して圧縮データを生成するデータ圧縮回路と、
前記圧縮データを前記グループ毎に交互に第1フィールドと第2フィールドに並び換えて2表示ライン飛び越しのインターレースを行う表示画像信号を生成するP−I変換回路と、
アドレス期間において、前記表示画像信号に応じて点灯画素を選択し、前記平均輝度検出回路の検出結果に応じて、前記所定のサブフィールドにおいては各グループの表示ラインを2表示ライン同時に選択し、前記所定のサブフィールド以外のサブフィールドにおいては1表示ライン毎に選択し、選択した画素が放電するように駆動する、アドレス駆動回路を含む駆動回路とを備えることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。 - 請求項1に記載のプラズマディスプレイ装置であって、
前記平均輝度検出回路の検出結果が所定値以下の場合には、前記入力画像信号は前記データ圧縮回路及び前記P−I変換回路を介して前記アドレス駆動回路に供給されると共に、前記駆動回路において前記所定のサブフィールドで2表示ライン同時に表示ラインが選択され、
前記検出結果が所定値より大きい場合には、前記入力画像信号は前記データ圧縮回路及び前記P−I変換回路を介することなく前記アドレス駆動回路に供給され、前記駆動回路において全てのサブフィールドで1表示ライン毎に表示ラインが選択されることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
Priority Applications (1)
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JP2002015524A JP4219594B6 (ja) | 2002-01-24 | プラズマディスプレイ装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002015524A JP4219594B6 (ja) | 2002-01-24 | プラズマディスプレイ装置 |
Publications (3)
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