JP4218877B2 - 高周波発振型近接センサの設置方法および保護ブラケット - Google Patents

高周波発振型近接センサの設置方法および保護ブラケット Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波発振駆動するコイルのQの変化から被検出体(検出対象物)の近接を検出する高周波発振型近接センサの設置方法および保護ブラケットに係り、特に高周波発振型近接センサにおけるコイルのQの不本意な変化を抑えてその検出特性を維持する技術に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
被検出体の有無(接近)を非接触で検出する近接センサの一種に、高周波発振型近接センサがある。この種の高周波発振型近接センサは、例えば第6図にその概略構成を示すように発振回路2の一部に検出用コイル1を備えて構成される。そして上記検出用コイル1の近傍に導電性の被検出体S(例えば金属)が存在するとき、上記検出用コイル1のQが変化することを利用して、上記被検出体Sの存在または近接を検出するように構成される。ここでQは振動系の鋭さを表す量でありクオリティ・ファクタ(quality factor)とも呼ばれる。尚、コイルと発振回路とで形成される振動系のQを単に“コイルのQ”と表記することもある。
【0003】
具体的には検出用コイル1の近傍に被検出体Sが存在すると、検出用コイル1と被検出体Sとの電磁誘導作用により前記検出用コイル1の抵抗成分Rや自己インダクタンス成分Lが変化し(検出用コイル1のQが変化し)、この変化に伴って発振回路2の発振振幅や発振周波数が変化する。高周波発振型近接センサは、例えば上述した発振回路2の発振振幅を検波回路3にて検出し、この検波回路3の検出出力(前記高周波発振回路2の発振振幅)に応じて被検出体Sの存在または近接を検出する。そしてこの検出結果に応じて出力回路4の作動を制御し、例えばトランジスタ5を介してモニタ側の負荷RLを選択的に駆動したり、或いはLED(発光ダイオード)6を点灯駆動する等して、被検出体Sの存在または近接を通知(表示)するように構成される。尚、図中7は、発振回路2や検波回路3等に駆動電圧を供給する定電圧回路である(例えば特許文献1を参照)。
【0004】
ちなみにこの種の高周波発振型近接センサは、通常、図7に例示するように高周波発振駆動される検出用コイル1を、黄銅等からなる筒状のケーシング11の先端部に内蔵し、該ケーシング11にてその全体をシールドした構造を有する。尚、図7において12は検出用コイル1が巻回された断面E字形状をなすコアであり、13はコア12の開放端側を覆って前記検出用コイル1の前面に設けられた合成樹脂製の保護キャップである。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−374155号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところでこのような構造の高周波発振型近接センサを使用する場合には、該高周波発振型近接センサ10を外部からの衝撃から保護するべく、図7に示すように高周波発振型近接センサ10を、例えば鉄製の筒状体からなる保護ブラケット20に収納して用いることが多い。即ち、高周波発振型近接センサ10のケーシング11の構成材料は前述したように黄銅等からなり、一般的に鉄製の被検出物(検出対象物)に比較して柔らかい。この為、被検出体が高周波発振型近接センサ10のセンサ面である先端部に接触したり、或いは衝突すると、ケーシング11の先端部が変形したり、或いは次第に摩耗する等の不具合が生じ、所定の検出特性を維持することができなくなる虞がある。そこで保護ブラケット20を用いて高周波発振型近接センサ10を保護するようにしている。
【0007】
しかしながらこのような保護ブラケット20に高周波発振型近接センサ10を装着すると、保護ブラケット20の先端部に大きな渦電流損が発生することが否めない。尚、高周波発振型近接センサ10を、被検出体の搬送路をなす鉄製の壁面等に取り付けて使用する場合にも同様な不具合が発生する。すると保護ブラケット20や鉄製の壁面に生じた渦電流損に起因して検出用コイル1のQが低下し、高周波発振型近接センサ10を近接スイッチとして使用したときにスイッチがオン・オフする位置(オペーレーティング・ポイント;OP)が大きく変動すると言う不具合が発生する。ちなみに近接センサ10の先端からオペーレーティング・ポイントOPまでの距離は、検出距離と称される。具体的には検出用コイル1のQの低下に伴って、近接センサ10による検出距離が伸びると共に、高周波発振型近接センサ10における物体検出動作自体が不安定になると言う不具合が発生する。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、高周波発振型近接センサを保護ブラケットに収納して用いるような場合であっても、該高周波発振型近接センサにおけるコイルのQの低下を招来することがなく、その検出特性を十分に維持することのできる高周波発振型近接センサの設置方法および保護ブラケットを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明に係る高周波発振型近接センサの設置方法は、筒状のケーシングの先端部に内蔵したコイルを高周波発振駆動すると共に、上記コイルのQの変化から被検出体の近接を検出する高周波発振型近接センサを、その先端部を前記被検出体の検出対象領域に向けて、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部を前記被検出体の接触による損傷から保護する役割を担う所定のセンサ保持体に取り付けるに際して、
前記センサ保持体に予め開口されて前記高周波発振型近接センサの先端部が位置付けられる開口部の周縁部またはその近傍に、前記センサ保持体よりも渦電流損の小さい非磁性体の固体材料からなり該高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周囲を囲繞または対峙する環状部材を設けることを特徴としている。
【0010】
好ましくは前記センサ保持体は、高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部を前記被検出体の接触による損傷から保護する役割を担うものであって、前記環状部材は、前記センサ保持体の開口部の周縁内壁面に埋め込んで設けられ、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周縁に係合して該高周波発振型近接センサの取り付け位置を規制する役割を担うものである。
【0011】
ちなみに前記センサ保持体よりも渦電流損の小さい固体材料からなる環状部材は、例えば前記センサ保持体が鉄鋼製やステンレス鋼製のものである場合には、銅や黄銅、或いはアルミニウムやアモルファス等の金属材料であることが望ましい。より好ましくは環状部材としてセンサ保持体よりも渦電流損の小さい導電性の固体材料を用いることが望ましい。更には環状部材が非磁性体であることが望ましい。このような渦電流損の小さい環状部材を前記センサ保持体の開口部に設けて高周波発振型近接センサの先端部を囲繞するようにすれば、該高周波発振型近接センサの先端部近傍における渦電流損を小さく抑え、またコイルのQを高めることが可能となる。従って所定のセンサ保持体に高周波発振型近接センサを取り付けた場合であっても、該高周波発振型近接センサにおけるコイルのQの低下を効果的に防止することが可能となる。
【0012】
また本発明に係る高周波発振型近接センサの保護ブラケットは、筒状のケーシングの先端部にコイルを内蔵した構造を有し、上記コイルを高周波発振駆動すると共に、上記コイルのQの変化から被検出体の近接を検出する高周波発振型近接センサの周囲を覆って設けられるものであって、
特に前記高周波発振型近接センサのケーシングよりも固い材料からなり、その内部に前記高周波発振型近接センサを収納して、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部を前記被検出体の接触による損傷から保護する役割を担う筒状の本体部と、この本体部よりも渦電流損の小さい非磁性体の固体材料からなり、上記本体部の先端周縁部に設けられて前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周囲を囲繞する環状部材とを具備した構造としたことを特徴としている。
【0013】
好ましくは前記環状部材を、前記本体部の内壁面先端部に埋め込んで設け、この環状部材に前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周縁に係合して該高周波発振型近接センサの収納位置を規制する役割を持たせることが望ましい。この環状部材についても、例えば前記本体部が鉄製やステンレス鋼製のものである場合、銅や黄銅、或いはアルミニウムやアモルファス等の金属材料を用いることが望ましい。このような渦電流損の小さい環状部材を、その本体部の先端に設けた保護ブラケットによれば、高周波発振型近接センサの先端部近傍における渦電流損を小さく抑えることができる。この結果、高周波発振型近接センサにおけるコイルのQの低下を招来することなしに該高周波発振型近接センサを外部衝撃等から効果的に保護することが可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る高周波発振型近接センサの設置方法および保護ブラケットについて説明する。
図1は本発明に係る保護ブラケット30と、この保護ブラケット30に装着して用いられる高周波発振型近接センサ10との関係を示す図である。尚、高周波発振型近接センサ10については、図7に示したものと同一部分には同一符号を付して示してある。
【0015】
この保護ブラケット30が特徴とするところは、高周波発振型近接センサ10をその内部に収納して該高周波発振型近接センサ10を保護する、例えば鉄製の筒状体からなる本体部31の先端に、この本体部31よりも渦電流損の小さい材料、例えば黄銅製の閉じた円環状をなす環状部材32を設けた点にある。上記渦電流損は、交番磁束と交わった導体に渦電流が流れることによって失われる電力であって、磁束密度とその周波数の積の二乗に比例する。
【0016】
この渦電流損は、導体が鉄などの強磁性体である場合には磁束密度が大きくなるため、銅などの非磁性体に比べて大きくなる傾向がある。ちなみに銅、アルミ、黄銅、ステンレス、および鉄の各渦電流損は、これらの金属板を、例えば直径18mm、厚さ1mmのものとし、350kHzにて駆動されるコイルのコア先端より7mmの距離においたとき、銅を基準として[1:1.2:2:8:10]であった。
【0017】
この実施形態においては、特に上記環状部材32は、薄型のリング体32aの先端部の内側に、高周波発振型近接センサ10の先端部の外径に等しい内径のフランジ32aを突出形成した形状を有する。そしてこの環状部材32は、本体部31の先端内周壁に設けられた大径の段差部31aの内側に嵌め込まれて該本体部31と接合一体化されている。ちなみに環状部材32は、高周波発振型近接センサ10の先端周囲に少なくとも1ターンのコイルを形成して電気的に閉じた構造のものであれば良い。具体的には環状部材32は、2ターン以上の閉じたコイルを形成したものや、その両端間に抵抗やコンデンサを接続したコイルに相当するものであっても良い。
【0018】
このようにして本体部31の先端部に接合一体化された環状部材32は、保護ブラケット30内に装着される高周波発振型近接センサ10の検出用コイル1からの漏れ磁束に起因する保護ブラケット30での渦電流損の発生を抑え、これによって上記検出用コイル1のQの低下を防止する役割を担う。同時に上記環状部材32は、前記フランジ32aを前記高周波発振型近接センサ10の先端部に係合させて、該高周波発振型近接センサ10の装着位置を規制する役割も担っている。
【0019】
ちなみに高周波発振型近接センサ10の外装体であるケーシング11の外周面には、その先端部を避けてねじ部11aが刻設されている。前述したフランジ32aは、その内側面を上記ねじ部11aの端部に係合させることで、該高周波発振型近接センサ10の先端部(センサ面)を保護ブラケット30の先端部に、特に前記主体部31の端面と同一面に位置付ける役割を果たしている。
【0020】
このような環状部材32を備えた保護ブラケット30によれば、外部からの衝撃等から高周波発振型近接センサ10を保護すると言う基本的な機能を備えることのみならず、高周波発振型近接センサ10の検出用コイル1のQの不本意な低下を抑制し、高周波発振型近接センサ10が有する検出特性を安定に維持すると言う効果を奏する。
【0021】
図2は上記環状部材32による効果を確かめるべく、鉄製の被検出体(検出対象物)Sとの距離SDに対する高周波発振型近接センサ10単体での検出用コイル1のQの変化(特性A)と、本発明に係る保護ブラケット30に高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化(特性B)とを対比して示したものである。尚、図2においては、図7に示した環状部材32を備えていない従来の鉄製の保護ブラケット20に高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化(特性C)と、本発明に係る保護ブラケット30から環状部材32を取り除いた本体部31だけからなる保護ブラケットに高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化(特性D)とを比較対照として示してある。ここで用いた近接スイッチ本体の寸法は直径18mm、長さ45mmである。また検出部のコイルコアは直径13.6mm、長さ7.5mmであり、このコアに介挿されるコイルは、内径7mm、外径10.4mm、高さ3.4mm、巻き数50ターンのものである。但し、これらの特性は、検出用コイル1の発振駆動周波数fを350kHzとした場合の実験例を示している。
【0022】
この図2に示されるように本発明に係る保護ブラケット30を用いれば、高周波発振型近接センサ10が本来的に有する特性Aに示される検出用コイル1のQを、特性Bに示すように若干高めることができる。ちなみに従来の保護ブラケット20を用いた場合には、特性Cに示すように検出用コイル1のQが大きく低下する。具体的にはQの値が[106]となる物体検出距離を7.00mmとして設定した高周波発振型近接センサ10に対して、この高周波発振型近接センサ10を従来の保護ブラケット20に組み込んだ場合には、検出用コイル1のQの低下に伴ってその検出距離が7.85mmと大きく延びる。これに対して本発明に係る保護ブラケット30を用いた場合には、検出用コイル1のQが若干高くなり、その検出距離が6.85mmと若干短くなるに過ぎない。
【0023】
従って高周波発振型近接センサ10の製品仕様としての検出特性を±10%の誤差範囲内で保証するものとすれば、従来の保護ブラケット20を用いた場合には、その検出距離が7.00mmから7.85mmへと+12%も変化し、その保証範囲を外れることになる。この点、本発明に係る保護ブラケット30を用いた場合には、その検出距離が7.00mmから6.85mmへと−2%程度変化するだけであり、その動作特性を効果的に保証することが可能となる。
【0024】
尚、本発明に係る保護ブラケット30から環状部材32を取り除いた本体部31だけからなる保護ブラケットを用いた場合には、高周波発振型近接センサ10の先端と保護ブラケットとの間に隙間が形成されるので、本発明に係る保護ブラケット30を用いた場合と同様に、その動作特性を保証することができる。しかしながら環状部材32を取り除いた場合には、Qの値が全体的に低下し、検出状態と非検出状態との差(マージン)が小さくなる点が好ましくない。また高周波発振型近接センサ10の使用に伴って、保護ブラケットの本体部31の先端と高周波発振型近接センサ10の先端との間の隙間に次第に異物が入り込んだり、高周波発振型近接センサ10の先端部を確実に保護することができない等の不具合が生じる。従って環状部材32を備えた本発明に係る保護ブラケット30の方が、実用的には断然優れていると言える。
【0025】
尚、図3(a)は検出用コイル1の発振駆動周波数fを100kHzとした場合における上記検出用コイル1のQの変化を示したものであり、また図3(b)は検出用コイル1の発振駆動周波数fを1MHzとした場合における検出用コイル1のQの変化を示したものである。但し、特性Aは高周波発振型近接センサ10単体での検出用コイル1のQの変化、特性Bは本発明に係る保護ブラケット30に高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化、特性Cは従来の鉄製の保護ブラケット20に高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化、そして特性Dは本発明に係る保護ブラケット30から環状部材32を取り除いた本体部31だけからなる保護ブラケットに高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化をそれぞれ示している。これらの図3(a)(b)にそれぞれ示されるように検出用コイル1の発振駆動周波数を変更した場合においても、同様な効果があることが認められた。
【0026】
また図4は被検出体Sと高周波発振型近接センサ10との距離SDを一定に保ち、検出用コイル1の発振駆動周波数fを変化させたときの検出用コイル1のQの変化を示したものである。この図4においても、特性Aは高周波発振型近接センサ10単体での検出用コイル1のQの変化、特性Bは本発明に係る保護ブラケット30に高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化、そして特性Cは従来の鉄製の保護ブラケット20に高周波発振型近接センサ10を装着した場合の検出用コイル1のQの変化をそれぞれ示している。この図4に示されるように、検出用コイル1のQは[Q=ωL/R]として発振駆動周波数fの影響を受けて変化するものの、高周波発振型近接センサ10単体でのQから殆ど変化しないことが確認できた。
【0027】
また図2〜4にそれぞれ示されるように、発振駆動周波数が100〜1000kHzの範囲において、本発明に係る環状部材32付きの保護ブラケット30を使用した場合には、近接センサ単体のときよりもコイルのQの値がやや大きくなる方向に変化する。ちなみに両者のQの値に変化が生じないのが最良ではあるが、Qが大きくなる方向への変化は、Qが小さくなる方向への変化よりもむしろ好ましい。特にQの値が大きくなれば、検出状態と非検出状態との差(マージン)が大きくなるので、近接センサとしての動作はより安定し、好都合である。
【0028】
尚、環状部材32としては、磁場の浸透深さの短いもの、換言すれば磁場の遮蔽効果のあるもの(非磁性体)を用いることが好ましい。磁場の浸透深さについて考察した場合には、環状部材32を黄銅で形成した場合には、少なくとも0.07mm以上の厚みを有するものであれば良く、アモルファスで形成した場合には0.01mm以上の厚みを持たせれば良い。従って実用的には環状部材32の厚みを1mm程度とすれば十分なる効果が期待できる。
【0029】
尚、ここで言う環状部材32の厚みは、該環状部材32の外半径と内半径との差を指す。またこの実施形態においては、環状部材32の軸方向の長さは0.8mm以上あれば十分である。この環状部材32の軸方向の設置位置については、コア12の前面を基準として前方(被検出体側)へ5mm、後方へ1mm程度の範囲に環状部材32の少なくとも一部分が入っていれば良い。このような寸法条件については、高周波発振形近接センサ10の寸法・材質・構造等の各種要因によって異なるので、実験により最適な値を求めることが望ましい。
この環状部材32の軸方向の設置位置については、コア12の前面を基準としてに環状部材32の少なくとも一部分が入っていれば良い。
【0030】
かくしてこのような環状部材32を備えた保護ブラケット30によれば、高周波発振型近接センサ10が本来的に持つ検出特性を損なうこと無しに該高周波発振型近接センサ10を外部からの衝撃等に対して効果的に保護することが可能となるので、その実用的利点は多大である。特に保護ブラケット30の主体部31に対して、その先端部に渦電流損の小さい環状部材32を組み込むだけの簡単な構造にて検出用コイル1のQの低下を防止することができるので、保護ブラケット30を安価に製作することができる等の優れた効果が奏せられる。
【0031】
尚、ここでは高周波発振型近接センサ10を収納して該高周波発振型近接センサ10を外部からの衝撃等に対して保護する保護ブラケット30について説明した。しかし高周波発振型近接センサ10を所定の壁面等のセンサ保持体に取り付ける場合にも本発明を同様に適用することができる。即ち、図5に示すように、例えば被検出体の搬送路をなす鉄板や鉄骨部材等により構成された壁面41に高周波発振型近接センサ10を取り付ける場合には、通常、壁面41にセンサ取り付け用の貫通孔(センサ取付孔)42を開口し、壁面41の裏側から上記貫通孔42に高周波発振型近接センサ10を嵌め込んで固定する。これらの寸法や位置関係も前述した実施形態と同様である。この場合、前述した鉄製のブラケットの場合と同様に壁面41における貫通孔42の開口縁部に渦電流損が発生し易くなる。
【0032】
そこでこのような場合には、図5に示すように貫通孔42の開口縁部に壁面41よりも渦電流損の小さい黄銅等からなる前述した環状部材32を嵌め込み、この環状部材32に高周波発振型近接センサ10の先端部を嵌合させて壁面41への取り付けを行うようにすれば良い。このようにして高周波発振型近接センサ10を壁面41に取り付ければ、前述した保護ブラケット30と同様に高周波発振型近接センサ10における検出用コイル1のQの低下を防止することができるので、高周波発振型近接センサ10が有する検出特性を安定に維持することが可能となる。
【0033】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。ここでは鉄製のブラケットの本体部31の先端に黄銅の環状部材32を取り付ける例について説明したが、ステンレス鋼製のブラケットに取り付ける場合にも同様に適用できる。また環状部材32としては、ブラケットの本体部31や壁面41よりも渦電流損の小さいものであれば良く、例えば銅やアルミニウム、更にはアモルファスのようなものであっても良い。また環状部材32の形状や厚み・長さ等についても高周波発振型近接センサ10の仕様に応じて設定すれば十分である。
【0034】
また検出用コイルの発振駆動周波数を10kHz程度と低くした特殊な高周波発振型近接センサ10においては鉄製のブラケットに収納した際、逆に検出用コイル1のQが高くなると言う現象が見られる。このような場合には、環状部材32としてブラケットよりも渦電流損の大きいものを用い、これによって検出距離の減少を抑えることも有効である。
【0035】
更には壁面41に高周波発振型近接センサ10を取り付ける場合には、図5に示したように貫通孔42の開口縁部に環状部材32を埋め込むことに代えて該環状部材32を壁面41の前面部に取り付け、高周波発振型近接センサ10の先端部に同軸に対峙させるようにしても良い。また鉄製のブラケットの本体部31の先端内周面に、例えば銅を70〜100μm程度の厚みでメッキし、この銅メッキ層を環状部材32として用いることも可能である。更には所定厚みの銅テープを鉄製のブラケットの本体部31の先端内周面に、その全周に亘って貼付し、この銅テープを環状部材32として用いることも可能である。但し、この場合には、銅テープの両端間を半田付けする等して電気的に接続するようにすれば良い。その他、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、高周波発振型近接センサが収納される保護ブラケットの先端部、または高周波発振型近接センサが取り付けられる金属製のハウジングのセンサ取付孔の開口縁部に、渦電流損の小さい環状部材を取り付けるので、高周波発振型近接センサにおける検出用コイルのQの低下を防止し、該高周波発振型近接センサが有する検出特性を安定に維持することができると言う実用上多大なる効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る高周波発振型近接センサの保護ブラケットを示す概略構成図。
【図2】本発明に係る保護ブラケットの効果を説明するための物体検出距離に対するコイルのQの変化を示す図。
【図3】本発明に係る保護ブラケットの効果を説明するための、検出用コイルの発振駆動周波数を変えたときの物体検出距離に対するコイルのQの変化を示す図。
【図4】本発明に係る保護ブラケットの効果を説明するための、発振駆動周波数の変化に対するコイルのQの変化を示す図。
【図5】本発明の別の実施形態を説明するための図。
【図6】高周波発振型近接センサの概略的な構成例を示す図。
【図7】従来の一般的な保護ブラケットの構成を示す図。
【符号の説明】
1 検出用コイル
10 高周波発振型近接センサ
30 保護ブラケット
31 筒状の本体部
32 環状部材
41 壁面(ハウジング)
42 貫通孔(センサ取付孔)

Claims (4)

  1. 筒状のケーシングの先端部にコイルを内蔵した構造を有し、上記コイルを高周波発振駆動すると共に、上記コイルのQの変化から被検出体の近接を検出する高周波発振型近接センサを、その先端部を前記被検出体の検出対象領域に向けて、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部を前記被検出体の接触による損傷から保護する役割を担う所定のセンサ保持体に設置するに際して、
    前記センサ保持体に予め開口されて前記高周波発振型近接センサの先端部が位置付けられる開口部の周縁部またはその近傍に、前記センサ保持体よりも渦電流損の小さい非磁性体の固体材料からなり該高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周囲を囲繞または対峙する環状部材を設けることを特徴とする高周波発振型近接センサの設置方法。
  2. 前記環状部材は、前記センサ保持体の開口部の周縁内壁面に埋め込んで設けられ、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周縁に係合して該高周波発振型近接センサの取り付け位置を規制する役割を担うものである請求項1に記載の高周波発振型近接センサの設置方法。
  3. 筒状のケーシングの先端部にコイルを内蔵した構造を有し、上記コイルを高周波発振駆動すると共に、上記コイルのQの変化から被検出体の近接を検出する高周波発振型近接センサの周囲を覆って設けられる保護ブラケットであって、
    前記高周波発振型近接センサのケーシングよりも固い材料からなり、その内部に前記高周波発振型近接センサを収納して、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部を前記被検出体の接触による損傷から保護する役割を担う筒状の本体部と、
    この本体部よりも渦電流損の小さい非磁性体の固体材料からなり、上記本体部の先端周縁部に設けられて前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周囲を囲繞する環状部材と
    を具備したことを特徴とする高周波発振型近接センサの保護ブラケット。
  4. 前記環状部材は、前記本体部の内壁面先端部に埋め込んで設けられ、前記高周波発振型近接センサにおける前記ケーシングの先端部周縁に係合して該高周波発振型近接センサの収納位置を規制する役割を担うものである請求項3に記載の高周波発振型近接センサの保護ブラケット。
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