JP4218694B2 - インク組成物、インクカートリッジ、これらを用いた記録方法 - Google Patents
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Description
インクとしては、例えば、着色剤である顔料や染料を、界面活性剤や樹脂微粒子と共に使用した組成物として利用することで、印刷品質や印刷物の保存性を向上させる提案がなされている。
しかしながら、このような界面活性剤の利用は、その特性から高い起泡性と低い消泡性をインクにもたらすため、界面活性剤を含有するインク組成物は、吐出安定性や目詰まり回復性等の信頼性に欠けるという問題があった(特許文献1参照)。そこで、界面活性剤を含有するインク組成物の起泡を抑制し、消泡性を向上させる技術が求められている。
また、この知見の下でさらに検討を重ねた結果、(β)上記消泡剤として特定の化合物を用い、インク組成物中における各々の配合割合の最適化を図り、十分な吐出安定性を確保することを見出した。
(1)下記式(1)の一般式で表されるベタイン系界面活性剤と、下記式(4)の一般式で表されるジアセチレンテトラオールとを含有することを特徴とするインク組成物。
[化1]
(R)p−N−[L−(COOM)q]r 式(1)
(上記式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミンもしくは含窒素へテロ環基、4級アンモニウムイオン基を表し、式(1)中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3もしくは4である。p+rが4である場合はNは4級アミンを構成する窒素原子となる。pが2以上の時はRは同じでも異なっていてもよい。qが2以上の時はCOOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上の時はL−(COOM)qは同じでも異なっていてもよい。)
(上記式(4)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、−O−R4−はそれぞれ独立にオキシエチル、オキシプロピル、オキシブチルのいずれかを表し、R5は2価の連結基を表し、k、l、m、nはそれぞれ1〜100の整数を表す。)
(2)式(1)で表されるベタイン系界面活性剤が、下記式(2)の一般式で表される化合物であることを特徴とする上記(1)に記載のインク組成物。
(式(2)中、R1〜R3は、炭素数が1〜20のアルキル基を表し、Xは、2価の連結基を表す。)
(3)式(1)又は式(2)で表されるベタイン系界面活性剤が、下記式(3)で表される化合物であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のインク組成物。
(4)前記消泡剤の含有量が、0.1〜1.0重量%であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のインク組成物。
(5)前記ベタイン系界面活性剤に対する、前記消泡剤の含有割合が、重量比で、1:0.1〜1:1.7であることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載のインク組成物。
(6)インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において用いられることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載のインク組成物。
(7)インクジェット記録方法が、圧電素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法であることを特徴とする(6)に記載のインク組成物。
(8)上記(1)〜(7)のいずれかに記載のインク組成物を充填したインクカートリッジ。
(9)インクジェット記録方法であって、インク組成物として上記(1)〜(5)のいずれかに記載のインク組成物を使用すること、または上記(8)のインクカートリッジを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
(R)p−N−[L−(COOM)q]r 式(1)
(上記式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミンもしくは含窒素へテロ環基、4級アンモニウムイオン基を表し、式(1)中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3もしくは4である。p+rが4である場合Nは4級アミンを構成する窒素原子となる。pが2以上の時Rは同じでも異なっていてもよい。qが2以上の時COOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上の時はL−(COOM)qは同じでも異なっていてもよい。)
[ベタイン系界面活性剤]
本発明におけるベタイン系界面活性剤としては、上記式(1)の化合物並びにその塩から選ばれる一種以上からなるベタイン系界面活性剤が用いられる。
本発明で使用できる消泡剤としては、シリコーン系消泡剤、ジアセチレンテトラオール、アセチレンジオール系消泡剤、破泡性ポリマー系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記ジアセチレンテトラオール系消泡剤としては、エアープロダクツジャパン社製のサーフィノールMD20が好ましい。
上記アセチレンジオール系消泡剤としては、日信化学社製のオルフィンSPC等が挙げられる。
上記破泡性ポリマー系消泡剤としては、ビックケミー・ジャパン社製のBYK−012、コグニス ジャパン社製のStarFactant20等が挙げられる。
さらにインクジェットプリンタ用インク組成物に用いた場合の、インク滴の飛翔安定性から、ジアセチレンテトラオール系消泡剤が最も好ましい。なお、前記インク滴の飛翔安定性は、インク滴の飛翔開始時もしくは飛翔中にインク滴が安定して飛翔できる速度の範囲で評価される。
本発明における着色剤としては、通常のインクジェット記録方法において用いられ得るものであれば、水溶性染料でも顔料でも用いることができる。
前記染料としては、特にその種類を限定することなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、塩基性染料が使用できる。例えば、C.I.アシッドイエロー17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー9,45,249、C.I.アシッドブラック1,2,24,94、C.I.フードブラック1,2、C.I.ダイレクトイエロー1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック19、38、51、71、154、168、171、195、C.I.リアクティブレッド14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック3、4、35等を用いることができる。
前記顔料としては、特に制限されることがなく、有機顔料でも、カーボンブラック等の無機顔料でもよい。
前記有機顔料としては、キナクリドン系顔料、キナクリドンキノン系顔料、ジオキサジン系顔料、フタロシアニン系顔料、アントラピリミジン系顔料、アンサンスロン系顔料、インダンスロン系顔料、フラバンスロン系顔料、ペリレン系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、アントラキノン系顔料、チオインジゴ系顔料、ベンツイミダゾロン系顔料、イソインドリノン系顔料、アゾメチン系顔料またはアゾ系顔料等が挙げられる。
なお、本発明における静的表面張力は、JIS K 3362に準拠する方法により、市販のウィルヘルミ式表面張力計を用いて測定した値である。
尚、この粘度は、市販の粘度計等により測定することができる。
ノニオン系界面活性剤のさらなる具体例として、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系、ジメチルポリシロキサン等のシリコン系界面活性剤、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等の含フッ素系界面活性剤等が挙げられる。
なお、これらのノニオン系界面活性剤は、適当な静的表面張力のインク組成物を得るという観点から、インク組成物中に0.1〜5重量%含まれることが好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤の更なる具体例としては、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オールなどが挙げられるが、市販品で入手も可能で、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール104、82、465、485、TGや日信化学社製のオルフィンSTG、オルフィンE1010等が挙げられる。
本発明で使用される浸透促進剤としては、特に限定されないが、中でもグリコールエーテル類が好ましい。
グリコールエーテル類の具体例としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−tert−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いてもよい。中でも、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましい。
なお、これらの浸透促進剤は、インク組成物の適正な物性値(粘度等)の確保、印刷品質、信頼性の確保という観点で、インク組成物 に対して、0.25〜10重量%の範囲の量添加することが好ましい。
この水としては、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水または超純水などを用いることができる。特に紫外線照射または過酸化水素添加等により滅菌処理した水を用いることが、カビやバクテリアの発生を防止してインク組成物の長期保存を可能にする点で好ましい。
本発明においてインクジェット記録方法とは、インク組成物を微細なノズルより液滴として吐出して、その液滴を記録媒体に付着させる方法を意味する。具体例を以下に説明する。
この記録物は、本発明のインク組成物を用いることにより、印字品質が良好で、優れた印字安定性を示し、美麗な発色状態を呈し、しかもこの美麗な発色状態を長期間に亘って維持することができる。
例1〜46のインク組成物を、表1〜2に示す配合割合で各成分を混合して溶解させ、孔径1μmのPTFE(ポリテトラフルオロエチレン製)フィルターにて加圧濾過を行って、各インク組成物を調製した。
なお、表1〜2中に示すインク組成物の各成分はインク組成物全量に対する各成分の重量%を示し、残量は水である。
静的表面張力の測定は、いわゆるウィルヘルミ・プレート法を利用して行った。測定に用いた白金プレートは接触長28mmとし、サンプル液に浸漬したこの白金プレートを引き出す時の抵抗を測定した。表4〜6に記載した測定結果は、純水の測定値を基準値72mN/mとして算出したものである。なお、詳細な条件はJIS K 3362に準拠する条件で行った。
各インク組成物をインクジェットプリンタ用インクカートリッジに充填し、ピエゾ素子の歪率を変化させることにより、インク滴の飛翔速度を変化させ、インク滴の飛翔開始時もしくは飛翔中にインク滴が分離して3滴以上の多滴にならないインク滴の最高飛翔速度を最高案定飛翔速度とし、同様に3滴以上の多滴にならないインク滴の最低飛翔速度を最低安定飛翔速度として記録し、前記最高安定飛翔速度と最低安定飛翔速度との差を安定範囲とした。
結果を表3〜表5に示す。
Claims (9)
- 下記式(1)の一般式で表されるベタイン系界面活性剤と、下記式(4)の一般式で表されるジアセチレンテトラオールとを含有することを特徴とするインク組成物。
[化1]
(R)p−N−[L−(COOM)q]r 式(1)
(上記式(1)中、Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表す。Lは2価以上の連結基を表す。Mは水素原子、アルカリ金属原子、アンモニウム基、プロトン化された有機アミンもしくは含窒素へテロ環基、4級アンモニウムイオン基を表し、式(1)中のN原子からなるアンモニウムイオンの対イオンとなる場合は、カチオンとして存在しない基を表す。qは1以上の整数を表し、rは1以上4以下の整数を表す。pは0以上4以下の整数を表し、p+rは3もしくは4である。p+rが4である場合はNは4級アミンを構成する窒素原子となる。pが2以上の時はRは同じでも異なっていてもよい。qが2以上の時はCOOMは同じでも異なっていてもよい。rが2以上の時はL−(COOM)qは同じでも異なっていてもよい。)
(上記式(4)中、R1およびR2はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキル基を表し、R3はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、−O−R4−はそれぞれ独立にオキシエチル、オキシプロピル、オキシブチルのいずれかを表し、R5は2価の連結基を表し、k、l、m、nはそれぞれ1〜100の整数を表す。) - 式(1)で表されるベタイン系界面活性剤が、下記式(2)の一般式で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
(式(2)中、R1〜R3は、炭素数が1〜20のアルキル基を表し、Xは、2価の連結基を表す。) - 式(1)又は式(2)で表されるベタイン系界面活性剤が、下記式(3)で表される化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインク組成物。
- 前記消泡剤の含有量が、0.1〜1.0重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記ベタイン系界面活性剤に対する、前記消泡剤の含有割合が、重量比で、1:0.1〜1:1.7であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法において用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インクジェット記録方法が、圧電素子の機械的変形によりインク滴を形成するインクジェットヘッドを用いた記録方法であることを特徴とする請求項6に記載のインク組成物。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物を充填したインクカートリッジ。
- インクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物を使用すること、または請求項8のインクカートリッジを使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
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