JP4217929B2 - オゾン処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワーク表面に形成された有機物層を灰化(アッシング)により除去するオゾン処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置や半導体等の製造工程においては、基板を清浄な状態に保つため、ウエハやガラス板等の基板表面に存在するレジスト等の有機化合物皮膜を分解・除去する、灰化(アッシング)と呼ばれる処理が適宜行われる。
【0003】
アッシング処理をオゾンの作用を利用して行う場合、オゾンの外気への漏出防止のため処理装置内を負圧に保ったダウンストリーム型の処理装置を用いることが多い。かかる装置において短時間にムラなく効率的に処理を行うためには、処理室内のオゾンガスが十分な濃度絶対値を有していると同時に、良好に分布していることが求められる。
【0004】
このようなオゾン処理装置において、オゾンガスはステージ上方に配した供給パイプのスリット状の噴出孔から噴出したり、処理室内の酸素に紫外線を照射することにより供給する。処理室内のオゾン濃度はオゾン発生装置の出力制御等により、オゾン分布は噴出孔の形状や配置の適正化等により、調整する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述のようなオゾン処理装置において、オゾン処理濃度を高くして処理速度を向上させるためには、ワークを噴出孔や紫外線ランプに近付けて処理することが好ましいが、噴出孔近傍では開孔の影響による濃度ムラが、紫外線ランプ近傍ではランプの形状等に起因する強度ムラが生じるため、あまり近付けることができない。一方で、ワークと噴出孔等との間隔が大きくなるに伴い、処理室内のオゾンの流れによる影響を受け易くなる。
【0006】
処理室内のオゾンは、排気等によって発生する気流や気体の質量差に従い、下方へ流下する傾向にある。処理ステージが完全な平面状の従来装置では、ステージ周縁部でオゾンが流下するため、ステージ中央部と比較して周縁部のオゾン濃度が低くなり、分布が極めて悪いという問題点を有していた。
【0007】
さらに、同様の理由により、特にステージ周縁部でオゾン濃度がなかなか高くならないためにオゾン処理装置の出力等をより大きくする必要があり、非効率的であった。
【0008】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明のオゾン処理装置は、上述のような課題を解決するため以下の構成を有する。
【0009】
すなわち、処理室内のワークを載置する処理ステージ上の前記ワークを囲む位置に、囲壁を設けたことを特徴とするオゾン処理装置である。
【0010】
処理室内のオゾンガスは、ワークに接触した後、本来、上述のようにステージの周縁部から流下する傾向を呈するが、周縁部に囲壁を設けることにより、オゾンガスの流下をせき止め、ワーク処理面における平均オゾン濃度を向上させることができる。
【0011】
また、この囲壁の高さを場所によって調整することにより、せき止める割合を任意に変化させ、オゾン濃度分布の向上を図ることができる。
【0012】
【発明の効果】
本発明によれば、オゾン処理装置におけるオゾン処理濃度の向上とオゾン濃度分布の向上を、安価に実現することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をLCDディスプレイ用ガラス基板のアッシング装置に適用した一実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
【0014】
本実施形態のオゾン処理装置を、図1から図3に示す。処理室1内には、昇降柱2によって上下方向に移動可能に支持された矩形板状の処理ステージ3が設けられ、この上に矩形状のガラス基板であるワーク4が載置される。処理ステージ3には、反応促進のためのヒーター5が内蔵されている。また、処理室1は、オゾンの漏出防止のため、バルブを備えた下方に延出する排気管8によって負圧に保たれている。
【0015】
処理ステージ3の上方には、図示しない噴出孔を備えた複数のオゾン供給パイプ7が前記処理ステージ3の一辺方向と並行に延びて等間隔に並んで配置され、さらにその上方にオゾン供給パイプ7群と直交する方向に延びる複数本の紫外線ランプ9が設けられている。
【0016】
前記各オゾン供給パイプ7の両端部は、一端を閉じた角パイプ状の連結管11に連結されていて相互に連通状態となっており、この連結管11は処理室1内の上部に設けられた一対のガイドレール10Aとスライド可能に係合するリニアガイド10Bに取り付けられている。従って、オゾン供給パイプ7群はそのガイドレール10の延長方向(オゾン供給パイプ7の延長方向と直交する方向)に沿って移動可能であり、上記リニアガイド10Bはガイドレール10の両端側に設けたモータ12によってベルト13を介して往復駆動されるようになっている。そして、各連結管11は蛇腹管14及び連通管15を介してオゾン発生装置16に連ねられ、オゾン発生装置16で生成したオゾンを往復動する連結管11に供給して、オゾン供給パイプ7の噴出孔から処理室1内に吐出させるようにしている。
【0017】
さて、本願発明によるオゾン処理装置においては、前述した処理ステージ3周縁部のワーク4を囲む位置に囲壁6が設けられている。囲壁6は、例えば図4(A)に示すように、処理ステージ3の周縁部に沿って矩形状に立設してあり、オゾン供給パイプ7の長手方向の両側に対応する側壁部には、そのほぼ中央を緩やかな円弧状を描いて切除して側壁部の高さを僅かに低くすることにより、オゾン流下許容部17が形成されている。
【0018】
次に、上記構成の作用を説明する。オゾン処理に際し、ワーク4を載置した処理ステージ3は、図1中に破線で示した位置まで押し上げられ、供給パイプ7の下面に設けられた噴出孔から噴出されるオゾン及び紫外線ランプ9の照射により発生するオゾンによって、ワーク4のアッシングが行われる。従来装置においては、処理室1内のオゾンは図1に矢印で示したように処理ステージ3の周縁部から流下して排気管8へ移動するが、実施形態のオゾン処理装置においては、処理ステージ3周縁部の囲壁6によって、ステージ3からのオゾンの流下が妨げられて囲壁6内部に滞留する傾向となる。その結果、オゾン濃度は、流下が防止される周縁部だけでなく、囲壁6によって囲まれる領域の全体にわたって向上すると共に、その領域内での濃度が均一化される。これにより、ワーク4のアッシングの処理速度が高まり、かつ均一処理が可能となる。
【0019】
特に本実施形態では、紫外線ランプ9の点灯時にオゾ供給パイプ群7を往復運動させているから、下方のオゾン供給パイプ7によって生ずる紫外線の影が静止することでオゾン濃度が不均一になることを防止することができ、処理ムラを最小限に抑えることができる。
【0020】
また、本実施形態では、矩形状の囲壁6の隅部間に囲壁を低くしたオゾン流下許容部17を設けているから、オゾン供給パイプ群7の長手方向両側においてオゾン濃度が高くなるという傾向を抑えて、よりオゾン濃度の均一化を図ることができる。
【0021】
本実施形態のオゾン処理装置において、ワーク上のオゾン処理濃度(ppm)を測定したところ、図6及び表1に示すような結果が得られた。測定は550mm×650mmの大きさのワーク4について行い(図6(B))、測定点は、ワーク4のエッジから10mm内側四辺形(530mm×630mm)の4頂点と、各頂点を結んだ中点および中心点の9点とした。
【0022】
また、比較のために囲壁を設けない従来の処理ステージに同一ワーク4を載置して、同様に測定した(図6(A))。
【0023】
【表1】
Figure 0004217929
尚、濃度分布は式1に従って算出した値である。
【式1】
Figure 0004217929
【0024】
囲壁6を設けた本実施形態の処理ステージ3と囲壁6を設けない従来の処理ステージとの比較から、囲壁6の付設により濃度が著しく向上し、濃度分布も平均化することが確認された。
【0025】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施の形態に限定されるものではなく、例えば、下記するような実施の形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、その他にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)例えば図7に示すように囲壁6を全周にわたり同一高さで構成した場合、前述実施形態の処理ステージ3と同一条件でワーク表面のオゾン処理濃度(ppm)を測定すると、図8(B)に示すようになったが、囲壁6がない従来の処理ステージを使用した場合(図8(A))と比較しても、オゾン濃度の絶対値及び均一性が高まることが確認される。尚、(1)式にて計算したオゾンの濃度分布は±22.3%で、従来値の±35.8%よりも向上した。
(2)上記実施形態では、ステージ3の上面に囲壁6を立設する構成としたが、ステージの上面を、ワークを収容できる広さだけ陥没させることにより、ワークを取り囲む囲壁を形成するようにしてもよい。また、囲壁は一定の角度で傾斜していても良く、或いは囲壁6を矩形状に限らず多角形や曲線を含む形状としても良い。
(3)囲壁のオゾン流下許容部は、隅部の中央に形成するに限らず、オゾン供給パイプの配置や紫外線ランプの配置等を考慮してオゾン濃度が均一化される所要位置に形成すればよい。
(4)上記実施形態ではオゾン発生装置16から処理室1内にオゾンを供給すると共に同処理室1内に紫外線ランプ9を配置する構成としたが、オゾン発生装置16と紫外線ランプ9の双方を必須とするものではない。例えば紫外線ランプ9を省略してオゾン発生装置16のみからオゾンを処理室1内に供給してもよく、逆にオゾン発生装置16を省略して紫外線ランプからの紫外線の照射によってのみ処理室1内にオゾンを生成させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すオゾン処理装置の縦断面図である。
【図2】同オゾン処理装置の内部構造を示す斜視図である。
【図3】同オゾン処理装置の内部を示す概略的平面図である。
【図4】同オゾン処理装置の処理ステージを示す斜視図である。
【図5】処理ステージとオゾン供給パイプとの相対的関係を示す斜視図である。
【図6】ワーク表面のオゾン濃度分布を示す測定結果である。
【図7】異なる実施形態の処理ステージを示す斜視図である。
【図8】図7の処理ステージを使用した場合のオゾン濃度分布を示す測定結果である。
【符号の説明】
1…処理室
2…昇降柱
3…処理ステージ
4…ワーク
5…ヒーター
6…囲壁
7…オゾン供給パイプ
8…排気管
9…紫外線ランプ
10A…ガイドレール
10B…リニアガイド
11…連結管
12…モーター
13…ベルト
14…蛇腹管
15…連通管
16…オゾン発生装置
17…オゾン流下許容部

Claims (4)

  1. 処理室内に設けた処理ステージ上にワークを載置し、処理室内のオゾンによってワークの処理を行うものにおいて、前記処理ステージ上の前記ワークの周囲を囲む位置に、オゾンが前記ワーク表面上から流下することを防止する囲壁を設け、前記囲壁には、その一部の高さを囲壁の他の部分よりも低くすることで前記囲壁によりせき止められたオゾンを流下させるオゾン流下許容部を設けたことを特徴とするオゾン処理装置。
  2. 前記囲壁は矩形状をなし、その隅部間に位置して高さを低くしたオゾン流下許容部を設けたことを特徴とする請求項1記載のオゾン処理装置。
  3. 処理ステージの上方に複数のオゾン供給パイプが一方向に並んで設けられており、前記オゾン流下許容部は、前記囲壁のうち前記オゾン供給パイプの長手方向の両側に対応する側壁部のほぼ中央に形成されていることを特徴とする請求項2記載のオゾン処理装置。
  4. 処理ステージの上方に複数のオゾン供給パイプが一方向に並んで設けられると共に、そのパイプ群の上方に紫外線ランプが設けられ、前記オゾン供給パイプはその長手方向と直交する方向に往復移動されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のオゾン処理装置。
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