JP4216752B2 - 展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法 - Google Patents

展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法 Download PDF

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本発明は、Al−Cu系乃至Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させるための、時間の短い熱処理方法に関する。
展伸材用のアルミニウム(Al)合金として、純アルミニウムに銅(Cu)を数質量%含有させたAl−Cu系のアルミニウム合金や、純アルミニウムに亜鉛(Zn)を数質量%含有させるとともにマグネシウム(Mg)を含有させたAl−Zn−Mg系のアルミニウム合金が知られており、鍛造用の合金として用いられている。これら展伸材用アルミニウム合金は、鍛造、あるいは、押出、引抜等の塑性加工をされることにより、組織が押し潰され、機械的性質の優れた合金になり得るものである。
Al−Cu系の展伸材用アルミニウム合金の代表的なものはA2014やA2017(ジュラルミンと呼ばれる)であり、Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金の代表的なものはA7075(超々ジュラルミンと呼ばれる)である。これらの合金は、時効析出硬化性を有する熱処理型アルミニウム合金に分類され(日本工業規格H4040)、その中でも、特に高強度な合金として位置づけられるものである。比較的加工性がよいA2014やA2017は、ギヤチェンジペダルやブラケット等の二輪車用部品、四輪車用部品、自転車用部品、家電製品用部品等として用いられ、一方、アルミニウム合金の中で最も高い強度を有するA7075は、二輪車用部品、四輪車用部品、航空宇宙産業用部品、スポーツ用品等として好適とされる。
これら熱処理型の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの高強度化は、合金中のアルミニウムと他元素との中間相の析出によって図られ、その析出のための熱処理は溶体化処理及び時効処理からなる。溶体化処理は、凝固時に晶出した非平衡相を固溶化させ、冷却時に析出した析出相を再固溶させて、高温で組成が均一な固溶体を得る熱処理である。溶体化処理に引き続く時効処理は、中間析出相の微細化と均一化を図り、中間析出相による析出硬化を起こさせるものであり、これらの熱処理によりアルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質の向上が図られている。例えば、鍛造して得られるワークピース(成形品)に対し熱処理が施され、A2014、A2017ではCuAl2(θ相)やCuMgAl2(ζ相)の中間相の析出により、A7075ではMgZn2(η相)の中間相の析出により、それぞれ硬化し機械的性質が高められる。
従来、このような展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの溶体化処理及び時効処理は、空気を熱媒体としたトンネル炉等の雰囲気炉を用いて、図2に示すような熱処理スケジュールで行われていた。溶体化処理工程では、保持温度T1(溶体化処理温度)が、Al−Cu系の展伸材用アルミニウム合金の場合には500℃前後、Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金では470℃前後に設定され、溶体化処理時間C10として4〜8時間を要していた。又、水冷した後の時効処理工程では、保持温度T2(時効処理温度)はAl−Cu系の展伸材用アルミニウム合金では170℃前後、Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金では120℃前後に設定され、時効処理時間C20として数時間〜数十時間を要していた(図2参照)。そのため総熱処理時間C0が短くても10時間以上かかり大変長く、生産性が低いという問題があった。尚、Al−Cu系の展伸材用アルミニウム合金、Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金合金の熱処理に関する先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。
特開平9−287046号公報
本発明は、上記した問題点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させることが出来、且つ、ワークピースが熱処理装置内に拘束される総熱処理時間が短く、高い生産性が実現された展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法を提供することにある。検討が重ねられた結果、以下に示す手段により、上記目的を達成出来ることが見出された。
即ち、本発明によれば、銅を1.5〜6.8質量%含有するAl−Cu系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法であって、溶体化処理工程と時効処理工程とを有し、溶体化処理工程における保持温度が展伸材用アルミニウム合金の融点温度に対して−10℃乃至+5℃の範囲であり、時効処理工程が常温の自然時効で行われる展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法が提供される。
又、本発明によれば、亜鉛を4.0〜7.5質量%、マグネシウムを0.5〜4.0質量%含有するAl−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法であって、溶体化処理工程と時効処理工程とを有し、溶体化処理工程における保持温度が展伸材用アルミニウム合金の融点温度に対して−10℃乃至+5℃の範囲であり、時効処理工程が常温の自然時効で行われる展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法が提供される。
尚、本明細書において、特に限定しない限り、単に本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法というときには、Al−Cu系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法と、Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法との、両方を指すものとする。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法においては、溶体化処理工程に要する時間が、昇温時間及び保持時間を含み、60分以内であることが好ましい。より好ましくは30分以内、更に好ましくは15分以内である。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法においては、溶体化処理工程における昇温に要する時間が、10分以内の急速昇温であることが好ましい。より好ましくは7分以内、更に好ましくは5分以内である。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法においては、溶体化処理工程が、展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースを流動層中に存在させることにより行われることが好ましい。
そして、上記流動層は、熱風の直接吹込みにより形成されていることが好ましい。
又、本発明によれば、上記展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法による熱処理が施された車両用部品が提供される。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法は、熱処理の対象がAl−Cu系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの場合もAl−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの場合も、溶体化処理工程における保持温度が、熱処理しようとするワークピースを構成する展伸材用アルミニウム合金の融点温度より−10℃乃至+5℃の温度であるため、極短時間でアルミニウム中の銅、亜鉛、マグネシウムの固溶を促進し、固溶体を得ることが可能である。又、時効処理工程が自然時効によって行われても、用途によっては必要な硬度が得られる。溶体化処理工程に要する時間は、好ましくは、昇温時間及び保持時間を含んで60分以内であり、しかも、上記の通り、時効処理工程が常温の自然時効で行われるため、ワークピースが実質的に熱処理装置内に拘束される時間としては、冷却時間を含めても65分足らずである。自然時効を行うに際しては、ワークピースを熱処理装置外に持ち出すことが可能であり、例えば製品の在庫管理を兼ねて時効処理を行うことが出来るからである。従来の雰囲気炉を用いた熱処理では、熱処理装置内に拘束される総熱処理時間として10時間以上を要していたから、本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法によれば、総熱処理時間は概ね1/10以下の時間に短縮され、格段に生産性の向上が図れる。
以下、本発明の実施の形態について、適宜、図面を参酌しながら説明するが、本発明はこれらに限定されて解釈されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。例えば、図面は、好適な本発明の実施の形態を表すものであるが、本発明は図面に表される態様や図面に示される情報により制限されない。本発明を実施し又は検証する上では、本明細書中に記述されたものと同様の手段若しくは均等な手段が適用され得るが、好適な手段は以下に記述される手段である。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法(単に本発明に係る熱処理方法ともいう)が対象とするAl−Cu系の展伸材用アルミニウム合金は、銅を1.5〜6.8質量%含有する合金であり、日本工業規格(JIS)に基づく展伸材用アルミニウム合金であるA2014合金、A2017合金、A2024合金が該当する。又、本発明に係る熱処理方法が対象とするAl−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金は、亜鉛を4.0〜7.5質量%、マグネシウムを0.5〜4.0質量%含有する合金であり、日本工業規格に基づく展伸材用アルミニウム合金であるA7075合金、A7050合金、A7475合金、A7N01合金が該当する。但し、本発明に係る熱処理方法が対象とする展伸材用アルミニウム合金は、組成によって規定されており、例示した(A7075、A2014等)ものではない展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法も、条件を満たす限り、本発明に含まれる。
本発明に係る熱処理方法が対象とする展伸材用アルミニウム合金は、熱処理によりMgZn2、CuAl2、CuMgAl2等の中間相を析出させ得る熱処理型(析出硬化型)合金であり、本発明に係る熱処理方法が施されることにより、引張強さ、0.2%耐力、及び伸びという機械的性質が所定値以上と優れ、しかも3つの機械的性質をバランスよく有する展伸材用アルミニウム合金となり、二輪車用部品、四輪車用部品、自転車用部品等の車両用部品、あるいは、家電製品用部品、スポーツ用品、航空宇宙産業用部品等として、極めて有効に用いることが出来る。
本発明に係る熱処理方法は、先ず、通常の製法で製造されたアルミニウム合金のワークピース(鍛造品)に対して、高温の溶体化処理を施した後、急冷し、次いで、常温にて時効処理を行う。鍛造品に対してこれらの処理を施すことにより、車両用部品等の所望の用途に適用し得るように、アルミニウム合金の機械的性質を向上させることが出来る。
図1は、本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法の熱処理スケジュールを示すパターン図である。溶体化処理工程では、ワークピースを昇温時間C11が10分以内になるように保持温度T1(溶体化処理温度)まで急速昇温し、且つ、ワークピースを保持温度T1において保持時間C12が50分以内になるようにして(昇温時間C11+保持時間C12≦60分)行うことが重要である。より詳細には、保持温度T1(例えば480〜590℃)までの昇温時間C11を10分以内、好ましくは7分以内、更に好ましくは5分以内で行い、しかも、その保持温度T1での保持時間C12を50分以内、好ましくは23分以内、より好ましくは10分以内とすることが、再結晶粒粗大化を防止する観点から望ましい。その結果、熱処理した展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質が向上する。
保持温度T1(溶体化処理温度)は、熱処理する対象がAl−Cu系展伸材用アルミニウム合金の場合は、505〜530℃であり、515〜530℃が更に好ましく、520〜530℃が特に好ましい。又、熱処理する対象がAl−Zn−Mg系展伸材用アルミニウム合金の場合は、保持温度T1は480〜530℃であり、490〜530℃が更に好ましく、500〜530℃が特に好ましい。
溶体化処理は、ワークピースを急速加熱出来ればよく、その手法について特に制限はない。即ち、雰囲気の温度を制御してワークピースを急速加熱し得るようにすればよく、例えば、高周波加熱や低周波加熱、遠赤外線加熱方式も適用可能であるが、流動層炉を用いた急速加熱が、より好ましい。
流動層炉による急速加熱は、ワークピースを流動層中に存在させることにより行う。流動層炉は、吹き込まれた熱風によって粒状物が加熱され均一に混合されて流動層が形成されたものであり、流動層中の温度が概ね均一になるとともに伝熱効率がよいという特徴を有している。流動層中の温度の均一化により、使用する展伸材用アルミニウム合金の融点に極近い、より高い温度での溶体化処理が可能となる。又、伝熱効率が優れることから、保持温度T1(溶体化処理温度)までの昇温時間を短縮することが出来る。これらの特徴は、従来の空気を熱媒体とする雰囲気炉に対して大きな利点である。
流動層炉を用いる場合に、その加熱手段として、一般に、流動層炉の容器の外部から加熱する容器加熱方式やラジアントチューブを流動層炉中に内蔵するラジアントチューブ方式等の間接加熱方式の他、熱風の直接吹込みによる直接加熱方式が知られており、何れの方式も適用出来るが、熱風の直接吹込みによる直接加熱方式によって流動層炉を形成することが好ましい。流動層中の温度分布が更に良好になり、流動層中の温度を約±1.5〜2℃の変動範囲内におさめることが出来るからである。
図3は、本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法に用いることが可能な熱風直接吹込み方式の流動層炉の一例を示す概略図である。流動層炉10において、粒状物12が多孔板16上に充填され、この粒状物12が多孔板16の下から吹き込まれる熱風14により流動化され、均一に混合されて流動層18が形成される。
又、図4は、本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法に用いられる流動層炉の他例を示す概略図である。熱風発生装置20において図示しないブロワより送られる空気がバーナ22からの火炎によって700〜800℃まで加熱され熱風となる。そして、得られた熱風は、熱風温度監視装置24を経て、流動層炉26へ吹き込まれる。より詳細には、熱風は、流動層炉26内において多孔パイプ28から流動層30中に吹き込まれ、粒状物32を流動化させるとともに、粒状物32を加熱する。このようにして、流動層炉26の流動層30の中は、例えば480〜590℃に加熱され、しかも、温度の振れ幅は約3℃(±1.5℃)という均一性が達成される。ワークピース34は、流動層30内において迅速に加熱される。尚、粒状物排出用バルブ36は、適宜、粒状物32を外部に排出するものである。
ワークピースを溶体化処理した後、急冷して常温に戻し、次いで、常温において時効処理を行う。この時効処理工程は、析出硬化を図る処理が行われる工程であるが、熱処理装置外で行うことが出来るため、ワークピースは熱処理装置内に拘束されない。従って、ワークピースを熱処理装置に拘束する総熱処理時間には含まれず、実質的には、熱処理工程に入らない。ワークピースは、製品の在庫管理等を兼ねて常温下で放置しておけばよい。尚、本明細書において、常温とは、特に冷やしたり熱したりしない温度をいい、限定されるものではないが0〜40℃程度を意味する。時効処理温度は、好ましくは10〜35℃、より好ましくは15〜35℃である。
以下、本発明を実施例に基づき、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
(実施例1)図4に示す流動層炉を用いて、本発明の熱処理方法を実施した。流動層炉は、内径1500mm×1500mmの角タンクで、直胴部高さが750mm、下方部が逆円錐状の流動層容器から構成されている。粒状物としては、平均粒径が50〜500μmの砂を用いた。
熱処理の対象物として図5に示す形状及び大きさを有する試験片を用いた。この試験片はA2017合金(Al−Cu系展伸材用アルミニウム合金)からなるものであり、その組成は、Cuを3.5〜5.0質量%の他、少量のMg、Fe、Siが含まれ、残部がAlである。熱処理条件としては、溶体化処理温度530℃で、溶体化処理温度までの昇温時間を10分、溶体化処理温度での保持時間を5分として、溶体化処理を行い、その後、急冷し、常温(20〜25℃)で72時間の時効処理を行った。
熱処理された試験片に対し、引張試験(引張強さ、0.2%耐力、伸び)、硬さ試験(ロックウェル硬さ)を行った。得られた結果を、図6、図7(a)、図7(b)、図8に示す。尚、引張試験は、JIS Z2241で規定されている試験法に従って行った。又、硬さ試験は、JIS Z2245に規定された試験法を用いた。
(実施例2〜8)溶体化処理温度での保持時間を、10分(実施例2)、15分(実施例3)、30分(実施例4)、60分(実施例5)、120分(実施例6)、180分(実施例7)、360分(実施例8)とした以外は、実施例1と同様にして、試験片に熱処理を行い、熱処理された試験片に対し、引張試験(引張強さ、0.2%耐力、伸び)、硬さ試験(ロックウェル硬さ)を行った。得られた結果を、図6、図7(a)、図7(b)、図8に示す。
又、実施例3、実施例4、実施例7、実施例8については、試験片の金属ミクロ組織を光学顕微鏡で拡大し、観察した。その写真を、図9(a)(実施例3)、図9(b)(実施例4)、図9(c)(実施例7)、図9(d)(実施例8)に示す。
(比較例1)溶体化処理を、溶体化処理温度が500℃で、昇温、保持を含め240分(4時間)実施した以外は、実施例1と同様にして、試験片に熱処理を行い、熱処理された試験片に対し、引張試験(引張強さ、0.2%耐力、伸び)、硬さ試験(ロックウェル硬さ)を行った。得られた結果を、図6、図7(a)、図7(b)、図8に示す。
(考察)実施例1〜8の結果を表した図6、図7(a)、図7(b)より、硬さは溶体化処理時間15分で、引張強さ、耐力は溶体化処理時間10分で、それぞれ最高値を示している。そして、溶体化処理時間10分〜60分で、比較例1(溶体化処理240分)と同等の硬さ、強度(引張強さ、耐力)を得ることが出来ることがわかる。伸びは、実施例1〜8の結果を表した図8より、180分で最高値を示し、そこから低下している。硬さ、引張強さ、耐力、伸びの何れも比較例1と同等以上の値とするには概ね90分の溶体化処理が最適であるが、60分でも14%以上の伸びが得られた。何れにしても比較例に比較して大幅に溶体化処理時間を短縮出来る。又、図9(a)〜図9(d)に表されたミクロ組織より、再結晶粒粗大化が抑制されていることがわかる。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法は、Al−Cu系乃至Al−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金を用いて、二輪車用部品、四輪車用部品、自転車用部品、家電製品用部品、航空宇宙産業用部品、その他高強度構造部材を必要とする部品を作製する際に、それらの機械的性質を向上させる手段として、好適に利用される。
本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法にかかる熱処理スケジュールを示すパターン図である。 従来の熱処理方法にかかる熱処理スケジュールを示すパターン図である。 本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法に用いられる流動層炉の一例を示す概略の断面図である。 本発明の展伸材用アルミニウム合金の熱処理方法に用いられる流動層炉の他例を示す概略の断面図である。 実施例で用いられた試験片を表す平面図である。 実施例の結果を示すグラフであり、硬さと溶体化時間との関係を示すグラフである。 実施例の結果を示すグラフであり、引張強さと溶体化時間との関係を示すグラフである。 実施例の結果を示すグラフであり、耐力と溶体化時間との関係を示すグラフである。 実施例の結果を示すグラフであり、伸びと溶体化時間との関係を示すグラフである。 実施例の結果を示す写真であり、試験片の金属ミクロ組織を拡大した写真である。 実施例の結果を示す写真であり、試験片の金属ミクロ組織を拡大した写真である。 実施例の結果を示す写真であり、試験片の金属ミクロ組織を拡大した写真である。 実施例の結果を示す写真であり、試験片の金属ミクロ組織を拡大した写真である。
符号の説明
10…流動層炉、12…粒状物、14…熱風、16…多孔板、18…流動層、20…熱風発生装置、22…バーナ、24…熱風温度監視装置、26…流動層炉、28…多孔パイプ、30…流動層、32…粒状物、34…ワークピース、36…粒状物排出用バルブ。

Claims (8)

  1. 銅を1.5〜6.8質量%含有するAl−Cu系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法であって、
    溶体化処理工程と時効処理工程とを有し、
    前記溶体化処理工程における保持温度が前記展伸材用アルミニウム合金の融点温度に対して−10℃乃至+5℃の範囲であり、前記時効処理工程が常温の自然時効で行われる展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法。
  2. 亜鉛を4.0〜7.5質量%、マグネシウムを0.5〜4.0質量%含有するAl−Zn−Mg系の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの機械的性質を向上させる熱処理方法であって、
    溶体化処理工程と時効処理工程とを有し、
    前記溶体化処理工程における保持温度が前記展伸材用アルミニウム合金の融点温度に対して−10℃乃至+5℃の範囲であり、前記時効処理工程が常温の自然時効で行われる展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法。
  3. 前記溶体化処理工程に要する時間が、昇温時間及び保持時間を含み、60分以内である請求項1又は2に記載の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法。
  4. 前記溶体化処理工程における昇温に要する時間が、10分以内の急速昇温である請求項1〜3の何れか一項に記載の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法。
  5. 前記溶体化処理工程が、前記展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースを流動層中に存在させることにより行われる請求項1〜4の何れか一項に記載の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法。
  6. 前記流動層が、熱風の直接吹込みにより形成されている請求項5に記載の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法。
  7. 請求項1〜6の何れか一項に記載の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法による熱処理が施された車両用部品。
  8. 請求項1〜6の何れか一項に記載の展伸材用アルミニウム合金からなるワークピースの熱処理方法による熱処理が施された航空宇宙産業部品。
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