JP4216526B2 - ペレタイザ用のナイフ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラスチックペレタイザの製造等に使用されるペレタイザ用のナイフに関する。
【0002】
【従来の技術】
プラスチック造粒装置の構造例を、図2〜図4に示すように、溶融プラスチックはダイプレート1のノズル16から押出され、ダイプレート1に対向して取付けられ、駆動装置8により回転されているナイフにより切断されてペレット化される。運転中、ナイフは常にダイプレート1の硬化表面である樹脂吐出面3に接し、あるいは一定圧力で押付けられており、ナイフの摺動面は時間経過とともに摩耗する。
【0003】
ゆえに、従来のペレタイザ用のナイフは、ナイフ摺動面の摩耗を防ぐ目的で、ナイフそのものの材質を工具鋼(SKH10)あるいはTiC含有焼結合金としたものを採用している。
また、従来のペレタイザ用のナイフには、ナイフの全体をセラミック製としたものもある(例えば、実公平5ー18096号公報、特開昭59−83606号公報、実開昭63−21008号公報)。
しかし、工具鋼、TiC含有焼結合金、セラミック等の一体ナイフは、材質そのものが靭性が乏しいため、運転中に折損する等のトラブルがときに起こることがあった。
【0004】
そこで、この欠点を補う目的で、図7又は図8に示すように、ナイフの母材53をステンレス鋼等の一般鋼とし、刃先部54をTiC含有焼結合金とし、刃先部54のTiC含有焼結合金をナイフの母材53にロー付したものが使用されるようになってきている。
しかし、その接合方法がロー付である為、接合面の強度が十分でない。あるいはロー付部内部にブローホールが発生することでさらに接合強度が低下し、運転中に剥がれることがある。さらに、これらナイフは、刃先部54の摺動面55全体がいずれも硬質材料である為、折損あるいは、剥がれトラブル以外に刃先部54の摺動面55の周囲が欠損することもある。
【0005】
また、従来のペレタイザ用のナイフには、SUS440C等のナイフ母材の外表面をTiN等の高硬度コーティング層をCVD法等で被覆し、刃先の欠け、バリ発生による切れ味低下を防ぐようにしたものがある(例えば特開2000−176932号公報)。
しかし、この場合、高硬度コーティング層は10μm以下の薄い層である。ゆえにシリカ(SiC)、酸化チタン(TiO2)等をコンパウンディングしたプラスチックをペレット化するケースでは、切断されたペレットがナイフのすくい面をすべるので、短期間で薄い層が摩耗してしまい、効果がなくなってしまう。
【0006】
さらにダイプレートと接触する部分は、母材のSUS440Cが支配的であるため、TiC含有焼結合金等と比べると、耐摩耗性に劣るという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点に鑑み、耐摩耗性に優れナイフそのものの折損、刃先部の欠損が起こりにくく、しかも硬質物を含んだプラスチックのペレット化する場合であっても、ナイフのすくい面が摩耗しにくいペレタイザ用のナイフを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、刃先と、すくい面と、ダイプレートに接触する摺動面と、逃がし面とを有するペレタイザ用のナイフであって、前記ナイフの母材は、靭性のあるステンレス鋼等の一般鋼とされ、前記ナイフの刃先は、TiC、NbC、WC、CrC等の硬質の炭化物が含まれる金属とされ、前記すくい面の刃先側は、前記硬質の炭化物が含まれる金属とされ、前記摺動面の刃先側は、前記硬質の炭化物が含まれる金属とされており、前記摺動面の逃し面側は、前記母材である一般鋼とされている又は前記すくい面の刃先側における炭化物が含まれる金属が前記母材である一般鋼で希釈された希釈層とされている点にある。
【0009】
好ましくは、前記ナイフの刃先、すくい面の刃先側、ダイプレートと接触する摺動面の刃先側を前記硬質の炭化物が含まれる金属で形成する手段として、前記硬質の炭化物が含まれる金属のパウダーを溶接により母材の一般鋼に肉盛するとよい。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図3は本発明が適用されるペレタイザの構造図を示し、図3において、1はダイプレート、2はダイホルダ、3はダイプレート1の樹脂吐出面である。
6はカッター軸で、保持筒体7に軸心廻りに回転自在に保持され、カッター軸6はモータ等の駆動装置8によって軸心廻りに回転駆動されるようになっている。9は水室で、水入口10と水出口11とを有し、内部に水が満たされるように構成されている。
【0011】
13はナイフホルダで、中央部がボルト等の締結具によりカッター軸6に締め付け固定されている。図4に示すように、ナイフホルダ13の外周部には、複数のペレタイザ用のナイフ15が外方突出状に取り付けられている。駆動装置8により、カッター軸6を回転駆動すると、カッター軸6と共にナイフホルダ13がカッター軸6の軸心廻りに回転し、複数のペレタイザ用のナイフ15は、運転中、常にダイプレート1の硬化表面である樹脂吐出面3に接し、或いは一定圧力で押付けられており、図2に示すダイプレート1のノズル16から押出された溶融プラスチックはナイフ15で切断されてペレット化される。
【0012】
図1、図2及び図4において、ペレタイザ用のナイフ15は、その取付部17がナイフホルダ13の外周部にボルト等の締結具により締め付け固定され、ナイフ15の切断部18がナイフホルダ13から外方突出されている。ペレタイザ用のナイフ15は、ナイフ15の切断部18の刃先19側に、ダイプレート1に接する摺動面21と、逃し面22と、すくい面23とを有している。
ナイフ15の母材25は、靭性のあるステンレス鋼等の一般鋼Aで形成され、ナイフ15の刃先19,すくい面23の刃先19側及び摺動面21の刃先19側は、TiC、NbC、WC、CrC等硬質の炭化物が含まれる金属(炭化物含有金属)Bにより形成され、摺動面21の逃し面22側は、一般鋼Aで形成され又は一般鋼Aと炭化物を含んだ金属Bとのブレンド層(希釈層)Cで形成されている。
【0013】
前記炭化物を含んだ金属Bを形成する手段として、後述するように、炭化物を含んだ金属パウダー27を溶接により母材である一般鋼Aに肉盛する方法が採用されている。
図5は、炭化物含有金属Bを溶接肉盛する前の、ナイフ15の母材となる一般鋼Aの形状を示す。母材となる一般鋼Aの材質は、水中ホットカットに使用することもあるため、靭性、高強度を考慮にSUS420J2、SUS630等が適切である。
【0014】
母材25にあらかじめ、加工されたV字状溝29のナイフ刃先に相当する面Dの全域にTiC、NbC、WC、CrC等の硬質の炭化物を含んだ金属Bを、図6に示す如く溶接で肉盛る。
このようにして、炭化物含有金属Bを溶接肉盛した材料を、その後、図6に2点鎖線で示す如く、ナイフ15の形状に加工する。前記図1は、このようにして製作されたナイフ15の刃先19側の拡大図を示している。
なお、炭化物を含んだ金属パウダー溶接には、PTA(プラズマトランスファーアーク)溶接が一般的によく用いられる。
【0015】
以上のように、溶接法で硬質の炭化物含有金属Bを肉盛する場合、金属そのものの、ナイフ15の母材25との親和性さえ考慮しておけばよく、炭化物の組成を選ばない。又、炭化物の含有量も任意に選べる。ゆえに、ナイフ15が接触する相手側ダイプレート1表面の硬化面3も傷めず、かつ、ナイフ15自身の摩耗も少なくする最適の炭化物、含有量を選定することができる。
上記実施の形態によれば、ナイフ15の母材25が、靭性のあるステンレス鋼等の一般鋼Aで形成されているので、ナイフ15にかかる曲げによる折損は生じにくい。
【0016】
刃先19、ダイプレート1と接触する摺動面21の刃先19側は、炭化物を含んだ硬質金属Bであるゆえ、耐摩耗性が優れている。すくい面23の刃先19側も硬質金属Bであるため、シリカ、酸化チタン等を含んだコンパウンドプラスチックのペレット化に使用しても、耐摩耗性に優れる。
ナイフ15の摺動面21の逃し面22側は、一般鋼Aあるいは、一般鋼Aと硬質の炭化物含有金属Bとのブレンド層Cで形成されるため、セラミック、TiC含有焼結金属で刃先が形成されたナイフより刃先部の靭性が高まり、刃先19の欠損が起こりにくくなる。
【0017】
また、溶接で炭化物を含んだ金属Bを一般鋼Aに融合する為、ロー付と比べ、はるかに信頼性の高い接合ができる。
溶接の際、炭化物を含んだ金属パウダー27を高温で溶接しながら、母材25の一般鋼Aに肉盛していくが、この時母材25側も一部溶融するので、おのずと接合部近傍には硬質金属Bと母材金属Aとのブレンド層Cが形成され靭性のある刃先19が形成される。
硬質金属Bの溶接の際、一定箇所の溶接時間を長くすれば、ブレンド層Cが厚くできる等、ある程度、ブレンド層Cの厚さをコントロールすることができる。
炭化物を含んだ金属パウダー27を溶接するので、耐摩耗性にもっとも適した炭化物の選定、その含有率が自由に設定できる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、耐摩耗性に優れナイフそのものの折損、刃先部の欠損が起こりにくくなる。しかも、硬質物を含んだプラスチックのペレット化する場合であっても、ナイフのすくい面が摩耗しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すナイフの刃先側の拡大断面図である。
【図2】 同ナイフがダイプレートに接する状況の斜視図である。
【図3】 同ペレタイザの構造を示す側面断面図である。
【図4】 同ナイフ及びナイフホルダ部分の背面図である。
【図5】 同ナイフの製造工程を示す斜視図である。
【図6】 同ナイフの製造工程を示す側面図である。
【図7】 従来例を示すナイフの側面図である。
【図8】 他の従来例を示すナイフの側面図である。
【符号の説明】
1 ダイプレート
15 ナイフ
19 刃先
21 摺動面
22 逃し面
23 すくい面
25 母材
27 金属パウダー
Claims (2)
- 刃先(19)と、すくい面(23)と、ダイプレート(1)に接触する摺動面(21)と、逃がし面(22)とを有するペレタイザ用のナイフであって、
前記ナイフの母材(25)は、靭性のあるステンレス鋼等の一般鋼(A)とされ、
前記ナイフの刃先(19)は、TiC、NbC、WC、CrC等の硬質の炭化物が含まれる金属(B)とされ、
前記すくい面(23)の刃先側は、前記硬質の炭化物が含まれる金属(B)とされ、
前記摺動面(21)の刃先側は、前記硬質の炭化物が含まれる金属(B)とされており、
前記摺動面(21)の逃し面側は、前記母材(25)である一般鋼(A)とされている又は前記すくい面(23)の刃先側における炭化物が含まれる金属(B)が前記母材(25)である一般鋼(A)で希釈された希釈層(C)とされている
ことを特徴とするペレタイザ用のナイフ。 - 前記ナイフの刃先(19)、すくい面(23)の刃先(19)側、ダイプレート(1)と接触する摺動面(21)の刃先(19)側を前記硬質の炭化物が含まれる金属(B)で形成する手段として、前記硬質の炭化物が含まれる金属(B)のパウダー(27)を溶接により母材(25)の一般鋼に肉盛していることを特徴とする請求項1に記載のペレタイザ用のナイフ。
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