JP4216439B2 - 衛星切換器及び衛星受信システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の衛星からの受信信号を信号伝送路の途中に設けた衛星選択手段により切り換えて1つの衛星の受信信号を受信端に伝送する衛星受信システムに関し、特にその衛星選択手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
CSデジタル放送の開始に伴い、重複する周波数帯で電波を送出する複数のCS衛星、例えばJCSAT−3やJCSAT−4が打ち上げられている。そのため、それらの衛星の電波を1本の信号伝送路で屋内に引き込んで受信する場合、受信アンテナから受信端に設けたチューナ等の受信機器に至る信号伝送路の途中に、受信アンテナを切り換えて何れか1つのアンテナからの信号を選択して受信端に伝送する衛星選択手段が介在される。
【0003】
このような衛星選択手段(衛星切換器)に特開平11−298355号公報に開示された構成のものがある。これは図6に示すように、チューナ接続端子31と2つの衛星受信アンテナ接続端子32a,32bとを切換スイッチ33により切り換えて接続する構成であって、受信信号とコンバータ動作電流及びアンテナ切換信号とを分離するために、信号伝送路に直列にコンデンサC11を設けると共にコンデンサC11に並列に3個のチョークコイルL11,L12,L13が接続されている。また、チョークコイルL11を介して切換信号であるトーン信号を取り出している。尚、図6において、34はトーン信号検出回路、35は切換スイッチドライブ回路、36は電源安定化回路である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記構成の場合、トーン信号を信号伝送路から取り出して切換スイッチ33の切り換え動作をさせることができるが、1個のコンデンサC11と3個のチョークコイルL11,L12,L13からなる分離回路は特性が相互に関連しているため回路設計が難しく、また、チョークコイルの相互接続点を接地する2個のコンデンサC12,C13が必要であった。
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、回路設計が容易で然も部品点数を削減した衛星切換器を設けた衛星受信システムを提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1の発明に係る衛星切換器は、衛星信号を受信する複数の衛星受信アンテナからの受信信号を選択して何れか1つのアンテナからの信号を受信端に伝送する衛星切換器であって、受信端から送られてくる35kHz〜53kHzの選択信号により切換動作し、衛星受信アンテナからの受信信号を入力する複数の信号入力端子と1つの信号出力端子とを有したシールドケース内に、前記信号出力端子から出力する受信信号を切り換える切換手段と、受信端から該信号出力端子を介して送られてくる前記選択信号を検出して切換手段を作動させる信号検出手段とを具備し、更にシールドケース内の受信信号伝送経路の途中に、アンテナに設けられたコンバータを作動させる上り方向の直流の動作電流を通過させると共にアンテナからの受信信号を通過させる一方、上り方向の前記選択信号の通過を阻止するために、第1のチョークコイルとコンデンサとの並列回路から成る阻止回路を設け、また前記信号出力端子に、前記選択信号を通過させると共に前記受信信号の通過を阻止して前記信号検出手段に前記選択信号を供給する第2のチョークコイルを接続したことを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明に係る衛星受信システムは、衛星信号を受信する複数の衛星受信アンテナと、該複数のアンテナのうち何れか1つのアンテナからの信号を選択して受信端に伝送する信号伝送路の途中に設けた衛星選択手段とを有する衛星受信システムであって、前記衛星選択手段は、受信端から送られてくる35kHz〜53kHzの選択信号を検出する信号検出手段と、該信号検出手段の検出信号により複数のアンテナからの受信信号を切り換える切換手段と、受信信号伝送経路の途中に、アンテナに設けられたコンバータを作動させる上り方向の直流の動作電流を通過させると共にアンテナからの受信信号を通過させる一方、上り方向の前記選択信号の通過を阻止するために、第1のチョークコイルとコンデンサとの並列回路から成る阻止回路と、前記選択信号を通過させると共に前記受信信号の通過を阻止し、前記信号検出手段に前記選択信号を供給する第2のチョークコイルとを具備することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る衛星受信システムの1例を示すブロック図であり、2(2a,2b)は例えばJCSAT−3やJCSAT−4Aを受信する第1のCS受信アンテナ及び第2のCS受信アンテナであり、それぞれ垂直偏波、水平偏波を受信して内蔵するコンバータによりIF変換して2本の同軸ケーブルによりその受信信号を出力している。それぞれの信号はCSブースタ3a,3bにより増幅され独立した2個のCS偏波切換分配器4(4a,4b)に接続され、4分配している。また、この偏波切換分配器4にはVHF,UHFアンテナ6,7により受信した地上波放送並びにBSアンテナ8により受信したBS放送も分配器9で分配され、入力されている。
【0010】
CS偏波切換分配器4は、受信したCS信号の水平偏波と垂直偏波とを切り換えて何れかの信号を受信端へ送出する機能を有し、合わせてVHF,UHFそしてBS放送も重畳して送出している。そして、CS偏波切換分配器4の各出力はそれぞれ衛星選択手段である衛星切換器1を介して、受信端に設けられたテレビ端子10に接続され、テレビ端子10に衛星切換器1の動作信号を送出するCSチューナ12やビデオ13やBS内蔵テレビ14等が接続されている。CS偏波切換分配器4及び衛星切換器1は受信端から信号伝送路を介して送られてくる信号により動作し、CS偏波切り換えはCSアンテナに設けられたコンバータを動作させる動作電流の直流電圧値を例えば11/15Vと切り換えることで行い、衛星切換器の切り換え動作は35kHz〜53kHzのパルス信号の有無により行われる。
【0011】
衛星切換器1を図2の回路ブロック図を基に説明する。16a,16bは受信信号が入来する信号入力端子、17は信号出力端子であり、高周波対応のリレー18を介して出力端子17は何れかの信号入力端子と接続されている。リレー18と信号入力端子の間には第1のチョークコイルL1とコンデンサC1を並列接続したパルス信号阻止回路15が介在され、下り方向の衛星受信信号と上り方向のコンバータ動作電流の双方を通過させ、衛星切換信号の通過を阻止するようになっている。また、信号出力端子17には衛星切換信号を検出する信号検出手段であるパルス信号検出回路19が第2のチョークコイルL2を介して接続され、更に電源回路20が第3のチョークコイルL3を介して接続されている。
第2のチョークコイルL2はアンテナからの伝送信号である高周波信号の通過を阻止し、第3のチョークコイルL3は高周波信号及びパルス信号の通過を阻止している。
【0012】
パルス信号検出回路19は受信端から送られてくるパルス信号を検出してリレー18を作動させるリレードライブ回路21を制御する回路で、パルス信号の有無により切り換え動作をさせている。また、低電圧電源回路20は受信端から送られてくるコンバータ動作電流を利用し、一定電圧を発生してパルス信号検出回路19及びリレードライブ回路21に電力を供給している。
【0013】
衛星切換器をこのような回路にすることで、第1から第3のチョークコイルをそれぞれ独立した特性のものを使用することができ、容易に回路設計することができる。特に、第1のチョークコイルが独立しているのでコンデンサとの良好な組み合わせを容易に選択することができる。また、コンデンサの数を1個に削減し素子数を削減できる。
更に、衛星選択信号を上述するように35kHz〜53kHzとすれば、選択信号が第1のチョークコイルL1を通過して変調によるノイズの原因になることが無いし、コンデンサC1を通過して変調によるノイズの原因になることもない。
【0014】
衛星切換器の外観は図3に示すようなシールドケース23で形成され、一方の側面に2つの信号入力端子16a,16bを有し、対向する側面に1つの信号出力端子17が設けられ、何れもF型接栓が使用されている。このシールドケース23は例えばアルミ或いは銅と亜鉛の合金を使用したダイカストで形成することができ、妨害排除能力が1GHzで100dB〜110dB程度有するものが良い。
【0015】
テレビ端子に接続されているCSチューナ12は衛星選択スイッチを有し、この信号選択スイッチの操作によりパルス信号を発生させて衛星切換器1を切換動作させている。CSチューナはまた、CSアンテナに設けられているコンバータ及びBSアンテナに電力を供給すると共にCS電波の受信偏波切り換えを行うための11/15Vの直流電圧も出力している。
尚、この実施の形態の場合、切り換える衛星は2個であるが、衛星切換器の入力部を3個とし、その何れかを選択するようにすれば3個のアンテナを切り換えて受信することができるし、更に選択数を増やす事も可能であり、任意の数の入力を容易に切り換える事ができる。この場合、切換信号は周波数を変えたり振幅を変えることで容易に切換を実施する事ができる。また、パルス信号はトーン信号であっても良い。
このように、周波数帯の重なる衛星が複数あっても、受信端からの操作によりそれらの衛星信号を容易に選択して受信することができる。
【0016】
図4は衛星切換器の他の回路例を示し、上記実施の形態とは電源回路の接続が異なっている。第3のチョークコイルL3を第2のチョークコイルL2を介して信号出力端子17に接続し、第2,第3のチョークコイルの接続点をコンデンサC2を介して接地している。第3のチョークコイルL3をこのように接続しても良い。
【0017】
また、衛星切換器はCS偏波切換分配器に内蔵させることもでき、その場合、衛星受信システムは図5に示すような構成となり、入力信号を4分配するCS偏波切換分配器24は2つのCS衛星からの信号を入力する4個の信号入力端子と地上波放送及びBS放送を入力する1つの信号入力端子を有し、4個の信号出力端子は同軸ケーブルにより直接受信端となる各テレビ端子10に接続される。
このように、衛星切換器をCS偏波切換分配器に内蔵させれば、CS偏波切換分配器を1個とすることができるし、その出力を直接端末に接続するだけで良く引き込み工事を簡略化することができる。
【0018】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、衛星受信信号及び直流電流を通過させて且つ衛星を選択する選択信号の通過を阻止する阻止回路を、コンデンサと第1のチョークコイルの並列回路で形成し、他の第2及び第3のチョークコイルと独立して設けるので、各コイルを独立した特性とすることができ、衛星切換器及び衛星選択手段の回路設計を容易に行うことがでいる。また、回路を構成する素子数を削減することができる。
【0019】
更に、選択信号が35kHz〜53kHzの信号であるため、電源と選択信号の選別が容易であるし、変調によるノイズの原因になることもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の1例を示す衛星受信システムのブロック図である。
【図2】図1の衛星切換器の回路ブロック図である。
【図3】図2の衛星切換器の外観を示す斜視図である。
【図4】衛星切換器の他の形態を示す回路図である。
【図5】衛星受信システムの他の形態を示すブロック図である。
【図6】従来の衛星選択手段の回路ブロック図である。
【符号の説明】
1・・衛星切換器(衛星選択手段)、2・・CSアンテナ、4・・CS偏波切換分配器、6・・VHFアンテナ、7・・UHFアンテナ、8・・BSアンテナ、10・・テレビ端子、12・・CSチューナ、15・・パルス信号阻止回路(阻止回路)、16・・信号入力端子、17・・信号出力端子、18・・リレー(切換手段)、19・・パルス信号検出回路(信号検出手段)、24・・CS偏波切換分配器、C1・・コンデンサ、L1・・第1のチョークコイル、L2・・第2のチョークコイル、L3・・第3のチョークコイル。
Claims (2)
- 衛星信号を受信する複数の衛星受信アンテナからの受信信号を選択して何れか1つのアンテナからの信号を受信端に伝送する衛星切換器であって、
受信端から送られてくる35kHz〜53kHzの選択信号により切換動作し、衛星受信アンテナからの受信信号を入力する複数の信号入力端子と1つの信号出力端子とを有したシールドケース内に、
前記信号出力端子から出力する受信信号を切り換える切換手段と、
受信端から該信号出力端子を介して送られてくる前記選択信号を検出して切換手段を作動させる信号検出手段とを具備し、
更にシールドケース内の受信信号伝送経路の途中に、アンテナに設けられたコンバータを作動させる上り方向の直流の動作電流を通過させると共にアンテナからの受信信号を通過させる一方、上り方向の前記選択信号の通過を阻止するために、第1のチョークコイルとコンデンサとの並列回路から成る阻止回路を設け、
また前記信号出力端子に、前記選択信号を通過させると共に前記受信信号の通過を阻止して前記信号検出手段に前記選択信号を供給する第2のチョークコイルを接続したことを特徴とする衛星切換器。 - 衛星信号を受信する複数の衛星受信アンテナと、該複数のアンテナのうち何れか1つのアンテナからの信号を選択して受信端に伝送する信号伝送路の途中に設けた衛星選択手段とを有する衛星受信システムであって、
前記衛星選択手段は、受信端から送られてくる35kHz〜53kHzの選択信号を検出する信号検出手段と、
該信号検出手段の検出信号により複数のアンテナからの受信信号を切り換える切換手段と、
受信信号伝送経路の途中に、アンテナに設けられたコンバータを作動させる上り方向の直流の動作電流を通過させると共にアンテナからの受信信号を通過させる一方、上り方向の前記選択信号の通過を阻止するために、第1のチョークコイルとコンデンサとの並列回路から成る阻止回路と、
前記選択信号を通過させると共に前記受信信号の通過を阻止し、前記信号検出手段に前記選択信号を供給する第2のチョークコイルとを具備することを特徴とする衛星受信システム。
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